| 【発明の名称】 |
動画像変換装置、および動画像変換方法、並びにコンピュータ・プログラム |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 誠司
【氏名】平澤 康孝
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| 【要約】 |
【課題】動画像データの画質低下を防止したデータ削減を行なう装置および方法を提供する。
【構成】動画像データを構成するブロックにおける被写体移動量(ブロック移動量[Vs])および視線移動量[Ve]を検出し、検出した被写体移動量および視線移動量に基づいて、標本点位相変化量[Vp]を決定し、決定した標本点位相変化量[Vp]を適用して空間方向間引き処理を実行する。本構成により、観測者が被写体を追従する場合においては超解像効果を発生させることが可能となり、また、観測者が被写体を追従しない場合においても、画像を構成する画素の配置の変化を最小限に抑えることが可能となり、画質劣化を抑制したデータ変換が実現される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 動画像データのデータ変換処理を実行する動画像変換装置であり、 動画像データを構成するフレーム毎にブロック分割処理を実行するブロック分割部と、 前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体移動量に対応するブロック移動量を検出する移動量検出部と、 動画像データの観測者の視線移動量を算出する視線移動量検出部と、 前記ブロック移動量と、前記視線移動量を入力して、各ブロックに対する空間間引き処理に適用するブロック対応の標本点位相変化量を決定する標本点位相変化量決定部と、 前記ブロック分割部において分割されたブロックを入力し、入力ブロックに対する空間間引き処理を実行する間引き処理実行部であり、前記標本点位相変化量決定部の決定したブロック対応の標本点位相変化量を適用した空間間引き処理を実行する間引き処理実行部と、 を有することを特徴とする動画像変換装置。 【請求項2】 前記視線移動量検出部は、 前記ブロック分割部において分割された各ブロックに対応する視線移動量を算出する構成であり、視線移動量算出対象ブロックの周囲に領域を拡張したブロック拡張領域に含まれるブロックに対応するブロック移動量中、より頻度の高いブロック移動量を視線移動量として算出する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。 【請求項3】 前記視線移動量検出部は、 処理対象となる動画像の観測者の視線解析により、視線移動量を出する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。 【請求項4】 前記標本点位相変化量決定部は、 前記ブロック移動量の様々な値に対応する画質評価値を計測した結果としての画質評価曲線を適用した標本点位相変化量の決定処理を実行する構成であり、予め定めた基準評価値以上の評価値の得られる標本点位相変化量を選択してブロック対応の標本点位相変化量を決定する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。 【請求項5】 前記標本点位相変化量決定部は、 前記ブロック移動量に基づいて、前記画質評価曲線において、予め定めた基準評価値以上の評価値の得られる標本点位相変化量候補を選択する第1段階処理と、 前記第1段階処理において選択された標本点位相変化量候補の解析により、前記動画像変換装置における変換画像の復元、再生画像の観測者の知覚画像における画素反転の発生の有無を検証して、知覚画像における画素反転を発生させない標本点位相変化量を選択する第2段階処理と、 を実行する構成であることを特徴とする請求項4に記載の動画像変換装置。 【請求項6】 前記標本点位相変化量決定部は、 知覚画像における画素反転を発生させない標本点位相変化量を選択する処理において、前記ブロック移動量と前記視線移動量、および網膜座標系における標本点位相変化量とを適用した判定処理を実行する構成であることを特徴とする請求項5に記載の動画像変換装置。 【請求項7】 前記標本点位相変化量決定部は、 前記間引き処理実行部の実行する空間間引き処理が、画素数を1/Mに削減する1/M間引き処理である場合、 0〜(M−1)のいずれかの標本点位相変化量を決定する処理を実行する構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。 【請求項8】 前記間引き処理実行部は、 前記移動量検出部から入力するブロック移動量情報から得られる各ブロックの水平方向の移動量Vxおよび垂直方向の移動量Vy、および予め定められた閾値Vtに基づいて間引き処理態様を決定する構成であり、 Vx>Vy、かつVx>Vtの場合は、 水平方向の画素数間引きを実行し、 Vy>Vx、かつVy>Vtの場合は、 垂直方向の画素数間引きを実行し、 VxおよびVyがともにVtを下回る場合は空間方向の画素数間引きを実行しない構成であることを特徴とする請求項1に記載の動画像変換装置。 【請求項9】 動画像変換装置において、動画像データのデータ変換処理を実行する動画像変換方法であり、 ブロック分割部において、動画像データを構成するフレーム毎にブロック分割処理を実行するブロック分割ステップと、 移動量検出部において、前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体移動量に対応するブロック移動量を検出する移動量検出ステップと、 視線移動量検出部において、動画像データの観測者の視線移動量を算出する視線移動量検出ステップと、 標本点位相変化量決定部において、前記ブロック移動量と、前記視線移動量を入力して、各ブロックに対する空間間引き処理に適用するブロック対応の標本点位相変化量を決定する標本点位相変化量決定ステップと、 間引き処理実行部において、前記ブロック分割部において分割されたブロックを入力し、入力ブロックに対する空間間引き処理を実行する間引き処理実行部であり、前記標本点位相変化量決定部の決定したブロック対応の標本点位相変化量を適用した空間間引き処理を実行する間引き処理実行ステップと、 を有することを特徴とする動画像変換方法。 【請求項10】 前記視線移動量検出ステップは、 前記ブロック分割ステップにおいて分割された各ブロックに対応する視線移動量を算出するステップであり、視線移動量算出対象ブロックの周囲に領域を拡張したブロック拡張領域に含まれるブロックに対応するブロック移動量中、より頻度の高いブロック移動量を視線移動量として算出するステップであることを特徴とする請求項9に記載の動画像変換方法。 【請求項11】 前記視線移動量検出ステップは、 処理対象となる動画像の観測者の視線解析により、視線移動量を出するステップであることを特徴とする請求項9に記載の動画像変換方法。 【請求項12】 前記標本点位相変化量決定ステップは、 前記ブロック移動量の様々な値に対応する画質評価値を計測した結果としての画質評価曲線を適用した標本点位相変化量の決定処理を実行するステップであり、予め定めた基準評価値以上の評価値の得られる標本点位相変化量を選択してブロック対応の標本点位相変化量を決定することを特徴とする請求項9に記載の動画像変換方法。 【請求項13】 前記標本点位相変化量決定ステップは、 前記ブロック移動量に基づいて、前記画質評価曲線において、予め定めた基準評価値以上の評価値の得られる標本点位相変化量候補を選択する第1段階処理と、 前記第1段階処理において選択された標本点位相変化量候補の解析により、前記動画像変換装置における変換画像の復元、再生画像の観測者の知覚画像における画素反転の発生の有無を検証して、知覚画像における画素反転を発生させない標本点位相変化量を選択する第2段階処理と、 を実行することを特徴とする請求項12に記載の動画像変換方法。 【請求項14】 前記標本点位相変化量決定ステップは、 知覚画像における画素反転を発生させない標本点位相変化量を選択する処理において、前記ブロック移動量と前記視線移動量、および網膜座標系における標本点位相変化量とを適用した判定処理を実行することを特徴とする請求項13に記載の動画像変換方法。 【請求項15】 前記標本点位相変化量決定ステップは、 前記間引き処理実行部の実行する空間間引き処理が、画素数を1/Mに削減する1/M間引き処理である場合、 0〜(M−1)のいずれかの標本点位相変化量を決定する処理を実行するステップであることを特徴とする請求項9に記載の動画像変換方法。 【請求項16】 前記間引き処理実行ステップは、 前記移動量検出部から入力するブロック移動量情報から得られる各ブロックの水平方向の移動量Vxおよび垂直方向の移動量Vy、および予め定められた閾値Vtに基づいて間引き処理態様を決定するステップを含み、 Vx>Vy、かつVx>Vtの場合は、 水平方向の画素数間引きを実行し、 Vy>Vx、かつVy>Vtの場合は、 垂直方向の画素数間引きを実行し、 VxおよびVyがともにVtを下回る場合は空間方向の画素数間引きを実行しないことを特徴とする請求項9に記載の動画像変換方法。 【請求項17】 動画像変換装置において、動画像データのデータ変換処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、 ブロック分割部において、動画像データを構成するフレーム毎にブロック分割処理を実行させるブロック分割ステップと、 移動量検出部において、前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体移動量に対応するブロック移動量を検出させる移動量検出ステップと、 視線移動量検出部において、動画像データの観測者の視線移動量を算出させる視線移動量検出ステップと、 標本点位相変化量決定部において、前記ブロック移動量と、前記視線移動量を入力して、各ブロックに対する空間間引き処理に適用するブロック対応の標本点位相変化量を決定させる標本点位相変化量決定ステップと、 間引き処理実行部において、前記ブロック分割部において分割されたブロックを入力し、入力ブロックに対する空間間引き処理を実行する間引き処理実行部であり、前記標本点位相変化量決定部の決定したブロック対応の標本点位相変化量を適用した空間間引き処理を実行させる間引き処理実行ステップと、 を実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、動画像変換装置、および動画像変換方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。特に動画像データのデータ圧縮処理として実行されるデータ変換において、画質劣化を抑え高品質なデータ変換を可能とするとともに、再生データに対する観測者の視線の移動を考慮した圧縮処理を行なうことで、高品質画像の再生を可能とする圧縮を実現する動画像変換装置、および動画像変換方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 動画像データは、ハードディスク、DVDなどの記憶媒体への保存、あるいはネットワークを介した配信などにおいて、データ量を削減するためのデータ変換、すなわち圧縮処理が行なわれる。特に、近年、動画像データの高品質化、例えばHD(High Difinition)データなど、データ品質の改善が進んでおり、このデータの高品質化に伴ってデータ量が急激に増大している。このような状況において、動画像データの圧縮、復元処理における圧縮効率の改善や、復元データの品質劣化防止に関する技術について多くの検討、研究がなされている。 【0003】 動画像の圧縮処理方法としては、例えば動画像データを構成する画像フレームの構成画素の間引き処理、すなわち空間方向の間引き処理と、フレームレートを間引く処理、すなわち時間方向の間引き処理などが知られている。 【0004】 このようなデータ変換によるデータ量削減により記憶媒体への保存やネットワークを介したデータ転送が効率的に行なわれるという利点がある。しかしながら、圧縮されたデータを復元し再生する場合、画質の劣化が発生してしまうという問題がある。特にオリジナルデータが高精細画像である場合には、その品質劣化がより顕著になってしまう。 【0005】 このような画質劣化をいかに低減するかについては様々な検討がなされている。例えば特許文献1には、被写体の移動速度の大小に応じて空間方向の画素数間引き処理と時間方向の画素数間引き処理を切り替える画像圧縮処理構成を開示している。また、特許文献2には、特許文献1の処理に対し、さらに空間方向の画素数間引きにおいて被写体の移動速度に応じた標本点の位相変化を施す処理を加えた圧縮処理構成を開示している。 【特許文献1】特開2005−198268号公報 【特許文献2】特開2006−5904号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 上述のように、いくつかの従来技術において、被写体の移動速度に応じて画像の領域毎に異なる処理を行なうことで、間引き処理による圧縮処理に伴う画質劣化を抑え、データ品質を高める構成が開示されている。しかしながら、これまでに開示されている圧縮方法を適用して生成した圧縮画像データの復元再生画像が高品質な画像として見えるためには、再生画像の観測者の視線が動画像中に現れる被写体を追従視していることが条件となっていた。 【0007】 一般的に、動画像データには複数のオブジェクトが含まれる。すなわち、動きの大きいオブジェクト、小さいオブジェクト、静止しているオブジェクトなど様々な動きを示すオブジェクトが混在しているのが一般的である。これらの異なる動きの全てを観測者が同時に追従することは困難である。従って、あるオブジェクトに対する追従視を行なった場合、観測者は、そのオブジェクトに対する良好な視覚情報が得られるが、その他のオブジェクトに対しては、良好な視覚情報が得られないという問題が発生する。 【0008】 本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像の各領域の被写体の動きおよび観測者の視線の動きに対応した最適な圧縮処理態様を決定し、決定した態様に従って各領域に対して最適なデータ変換処理を行なう構成とすることで品質劣化のきわめて少ない圧縮を可能とした動画像変換装置、および動画像変換方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明の第1の側面は、 動画像データのデータ変換処理を実行する動画像変換装置であり、 動画像データを構成するフレーム毎にブロック分割処理を実行するブロック分割部と、 前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体移動量に対応するブロック移動量を検出する移動量検出部と、 動画像データの観測者の視線移動量を算出する視線移動量検出部と、 前記ブロック移動量と、前記視線移動量を入力して、各ブロックに対する空間間引き処理に適用するブロック対応の標本点位相変化量を決定する標本点位相変化量決定部と、 前記ブロック分割部において分割されたブロックを入力し、入力ブロックに対する空間間引き処理を実行する間引き処理実行部であり、前記標本点位相変化量決定部の決定したブロック対応の標本点位相変化量を適用した空間間引き処理を実行する間引き処理実行部と、 を有することを特徴とする動画像変換装置にある。 【0010】 さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記視線移動量検出部は、前記ブロック分割部において分割された各ブロックに対応する視線移動量を算出する構成であり、視線移動量算出対象ブロックの周囲に領域を拡張したブロック拡張領域に含まれるブロックに対応するブロック移動量中、より頻度の高いブロック移動量を視線移動量として算出する構成であることを特徴とする。 【0011】 さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記視線移動量検出部は、処理対象となる動画像の観測者の視線解析により、視線移動量を出する構成であることを特徴とする。 【0012】 さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記標本点位相変化量決定部は、前記ブロック移動量の様々な値に対応する画質評価値を計測した結果としての画質評価曲線を適用した標本点位相変化量の決定処理を実行する構成であり、予め定めた基準評価値以上の評価値の得られる標本点位相変化量を選択してブロック対応の標本点位相変化量を決定する構成であることを特徴とする。 【0013】 さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記標本点位相変化量決定部は、前記ブロック移動量に基づいて、前記画質評価曲線において、予め定めた基準評価値以上の評価値の得られる標本点位相変化量候補を選択する第1段階処理と、前記第1段階処理において選択された標本点位相変化量候補の解析により、前記動画像変換装置における変換画像の復元、再生画像の観測者の知覚画像における画素反転の発生の有無を検証して、知覚画像における画素反転を発生させない標本点位相変化量を選択する第2段階処理とを実行する構成であることを特徴とする。 【0014】 さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記標本点位相変化量決定部は、知覚画像における画素反転を発生させない標本点位相変化量を選択する処理において、前記ブロック移動量と前記視線移動量、および網膜座標系における標本点位相変化量とを適用した判定処理を実行する構成であることを特徴とする。 【0015】 さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記標本点位相変化量決定部は、前記間引き処理実行部の実行する空間間引き処理が、画素数を1/Mに削減する1/M間引き処理である場合、0〜(M−1)のいずれかの標本点位相変化量を決定する処理を実行する構成であることを特徴とする。 【0016】 さらに、本発明の動画像変換装置の一実施態様において、前記間引き処理実行部は、前記移動量検出部から入力するブロック移動量情報から得られる各ブロックの水平方向の移動量Vxおよび垂直方向の移動量Vy、および予め定められた閾値Vtに基づいて間引き処理態様を決定する構成であり、 Vx>Vy、かつVx>Vtの場合は、 水平方向の画素数間引きを実行し、 Vy>Vx、かつVy>Vtの場合は、 垂直方向の画素数間引きを実行し、 VxおよびVyがともにVtを下回る場合は空間方向の画素数間引きを実行しない構成であることを特徴とする。 【0017】 さらに、本発明の第2の側面は、 動画像変換装置において、動画像データのデータ変換処理を実行する動画像変換方法であり、 ブロック分割部において、動画像データを構成するフレーム毎にブロック分割処理を実行するブロック分割ステップと、 移動量検出部において、前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体移動量に対応するブロック移動量を検出する移動量検出ステップと、 視線移動量検出部において、動画像データの観測者の視線移動量を算出する視線移動量検出ステップと、 標本点位相変化量決定部において、前記ブロック移動量と、前記視線移動量を入力して、各ブロックに対する空間間引き処理に適用するブロック対応の標本点位相変化量を決定する標本点位相変化量決定ステップと、 間引き処理実行部において、前記ブロック分割部において分割されたブロックを入力し、入力ブロックに対する空間間引き処理を実行する間引き処理実行部であり、前記標本点位相変化量決定部の決定したブロック対応の標本点位相変化量を適用した空間間引き処理を実行する間引き処理実行ステップと、 を有することを特徴とする動画像変換方法にある。 【0018】 さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記視線移動量検出ステップは、前記ブロック分割ステップにおいて分割された各ブロックに対応する視線移動量を算出するステップであり、視線移動量算出対象ブロックの周囲に領域を拡張したブロック拡張領域に含まれるブロックに対応するブロック移動量中、より頻度の高いブロック移動量を視線移動量として算出するステップであることを特徴とする。 【0019】 さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記視線移動量検出ステップは、処理対象となる動画像の観測者の視線解析により、視線移動量を出するステップであることを特徴とする。 【0020】 さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記標本点位相変化量決定ステップは、前記ブロック移動量の様々な値に対応する画質評価値を計測した結果としての画質評価曲線を適用した標本点位相変化量の決定処理を実行するステップであり、予め定めた基準評価値以上の評価値の得られる標本点位相変化量を選択してブロック対応の標本点位相変化量を決定することを特徴とする。 【0021】 さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記標本点位相変化量決定ステップは、前記ブロック移動量に基づいて、前記画質評価曲線において、予め定めた基準評価値以上の評価値の得られる標本点位相変化量候補を選択する第1段階処理と、前記第1段階処理において選択された標本点位相変化量候補の解析により、前記動画像変換装置における変換画像の復元、再生画像の観測者の知覚画像における画素反転の発生の有無を検証して、知覚画像における画素反転を発生させない標本点位相変化量を選択する第2段階処理とを実行することを特徴とする。 【0022】 さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記標本点位相変化量決定ステップは、知覚画像における画素反転を発生させない標本点位相変化量を選択する処理において、前記ブロック移動量と前記視線移動量、および網膜座標系における標本点位相変化量とを適用した判定処理を実行することを特徴とする。 【0023】 さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記標本点位相変化量決定ステップは、前記間引き処理実行部の実行する空間間引き処理が、画素数を1/Mに削減する1/M間引き処理である場合、0〜(M−1)のいずれかの標本点位相変化量を決定する処理を実行するステップであることを特徴とする。 【0024】 さらに、本発明の動画像変換方法の一実施態様において、前記間引き処理実行ステップは、前記移動量検出部から入力するブロック移動量情報から得られる各ブロックの水平方向の移動量Vxおよび垂直方向の移動量Vy、および予め定められた閾値Vtに基づいて間引き処理態様を決定するステップを含み、 Vx>Vy、かつVx>Vtの場合は、 水平方向の画素数間引きを実行し、 Vy>Vx、かつVy>Vtの場合は、 垂直方向の画素数間引きを実行し、 VxおよびVyがともにVtを下回る場合は空間方向の画素数間引きを実行しないことを特徴とする。 【0025】 さらに、本発明の第3の側面は、 動画像変換装置において、動画像データのデータ変換処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、 ブロック分割部において、動画像データを構成するフレーム毎にブロック分割処理を実行させるブロック分割ステップと、 移動量検出部において、前記ブロック分割部において分割された各ブロックに含まれる被写体移動量に対応するブロック移動量を検出させる移動量検出ステップと、 視線移動量検出部において、動画像データの観測者の視線移動量を算出させる視線移動量検出ステップと、 標本点位相変化量決定部において、前記ブロック移動量と、前記視線移動量を入力して、各ブロックに対する空間間引き処理に適用するブロック対応の標本点位相変化量を決定させる標本点位相変化量決定ステップと、 間引き処理実行部において、前記ブロック分割部において分割されたブロックを入力し、入力ブロックに対する空間間引き処理を実行する間引き処理実行部であり、前記標本点位相変化量決定部の決定したブロック対応の標本点位相変化量を適用した空間間引き処理を実行させる間引き処理実行ステップと、 を実行させることを特徴とするコンピュータ・プログラムにある。 【0026】 なお、本発明のコンピュータ・プログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な汎用コンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体、例えば、CDやFD、MOなどの記憶媒体、あるいは、ネットワークなどの通信媒体によって提供可能なコンピュータ・プログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、コンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。 【0027】 本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づく、より詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。 【発明の効果】 【0028】 本発明の一実施例の構成によれば、画像内の被写体の動き、および観測者の視線の動きに対応した最適な圧縮処理態様を決定し、決定した態様に従って領域毎に最適な態様でデータ変換処理を行なう構成としたので、観測者の視線の動きによらない品質劣化のきわめて少ない動画像のデータ削減処理が可能となる。 【0029】 本発明の一実施例の構成によれば、動画像データを構成するブロックにおける被写体移動量(ブロック移動量[Vs])および視線移動量[Ve]を検出し、検出した被写体移動量および視線移動量に基づいて、標本点位相変化量[Vp]を決定し、決定した標本点位相変化量[Vp]を適用して空間方向間引き処理を実行する構成としたので、観測者が被写体を追従する場合においては超解像効果を発生させることが可能となり、また、観測者が被写体を追従しない場合においても、画像を構成する画素の配置の変化を最小限に抑えることが可能となり、画質劣化を抑制したデータ変換が実現される。 【0030】 また、本発明の一実施例の構成によれば、間引き量Mの空間方向間引き処理において、0からM−1までの標本点位相変化量により間引き処理を施した場合の処理データに基づいて生成される被写体移動速度と画質評価値の対応データを用いて、まず追従視の状況下で処理対象ブロックの移動速度に対して画質の評価値が予め定めた基準評価値以上となる最適な標本点位相変化量の候補を複数選択し、前記候補の中からさらに非追従視に対して最適な標本点位相変化量を選択する構成とすることで、処理対象ブロックの様々な移動量および観測者の様々な視線移動に対応した高品質画像の提示を可能としたデータ変換が実現される。 【発明を実施するための最良の形態】 【0031】 以下、図面を参照しながら、本発明の動画像変換装置、および動画像変換方法、並びにコンピュータ・プログラムの構成について説明する。なお、説明は、以下の項目に従って行なう。 (1)超解像効果を利用した動画像変換装置の基本構成 (2)改良した間引き処理を実行する動画像変換装置の構成 【0032】 [(1)超解像効果を利用した動画像変換装置の基本構成] まず、本発明のベースとなる超解像効果を利用した動画像圧縮を実行する動画像変換装置の基本構成について説明する。なお、この基本構成は、本出願人が先に出願した特開2006−5904号に詳細を記載しているものであり、画像を小領域に分割し、各領域の移動速度に応じて画素数の間引きや、フレームレートの間引きを適応的に行うことでデータ量の圧縮を実現した構成である。 【0033】 図1に特開2006−5904号に記載した動画像変換装置10の構成例を示す。この動画像変換装置10は、超解像効果を利用した動画像変換処理を行うことにより、データ量の削減による画質劣化を観測者が知覚しないようにデータ量の削減を行うことができる構成としたものである。 【0034】 なお、超解像効果とは、観測者が、ある時間内に複数の画像が加算されたものを知覚するという視覚特性に基づいて実現される視覚的効果である。人の視覚は刺激を知覚すると、その刺激を、その刺激の呈示が終了した後もある時間記憶するという機能(感覚記憶機能と称する)を有している。この時間については10ms乃至200msであるという報告が多数されている。この機能は、アイコニックメモリー、あるいは視覚的持続などとも呼ばれ、例えば、"視覚情報ハンドブック,日本視覚学界編,pp.229−230"などに記載されている。なお、超解像効果は、人間の視覚機能における時間的積分機能および感覚記憶機能が複雑に関係して引き起こされていると考えられる。 【0035】 図1に特開2006−5904号に記載した動画像変換装置100の構成例を示す。この動画像変換装置100は、超解像効果を利用した動画像変換処理を行なうことにより、データ量の削減による画質劣化を観測者が知覚しないようにデータ量の削減を行なうことができる構成としたものである。 【0036】 なお、超解像効果とは、観測者が、ある時間内に複数の画像が加算されたものを知覚するという視覚特性に基づいて実現される視覚的効果である。人の視覚は、受けた光の刺激の総和がある閾値になったとき光を知覚するという機能(以下、時間的積分機能と称する)を有している。すなわち光の知覚は、呈示時間内の光の刺激の分布状態に関係なく、時間的に積分された光の総和に従う。また光を知覚できる刺激(閾値)は、刺激の呈示時間が長くなるにつれて小さくなり、呈示時間が短くなるにつれて大きくなる。時間的積分機能の詳細については、例えば、"視覚情報ハンドブック、日本視覚学会編、pp.229−230"などに記載されている。 【0037】 図1に示す動画像変換装置100は、時間的積分機能によって引き起こされる超解像効果を利用した動画像変換処理を行なうことにより、画質劣化を観測者が知覚しないようにデータを削減する圧縮を行なう構成としたものである。 【0038】 図1の動画像変換装置100の構成について説明する。ブロック分割部110は、入力された動画像の各フレームをブロックに分解し、移動量検出部120に供給する。移動量検出部120は、ブロック分割部110から供給された各ブロックについての移動量を検出し、ブロックとその移動量を、ブロック処理部130に送信する。ブロック処理部130は、移動量検出部120から供給されたブロックに対して、その移動量に応じた動画像変換処理を施し、データ量を削減する。ブロック処理部130は、その処理の結果得られた、データ量が削減されたブロックについてのデータを、出力部140に供給する。出力部140は、ブロック処理部130から供給された、データ量が削減されたブロックについてのデータを、例えば、ストリームデータなどとしてまとめて出力する。 【0039】 次に、図2を参照して、各部の詳細について説明する。初めにブロック分割部110について説明する。ブロック分割部110の画像蓄積部111には、動画像変換装置100に供給された動画像のフレームが入力される。画像蓄積部111は、入力されたフレームを蓄積する。画像蓄積部111は、蓄積したフレームの数がN枚(Nは正の整数)になる度に、そのN枚のフレームを、ブロック分割部112に供給するとともに、N枚のフレームの中のM番目に記憶したフレーム(以下、M番目のフレームと称する)を、移動量検出部120の移動量検出部121に供給する。なお、例えばN=4とする。 【0040】 ブロック分割部112は、画像蓄積部111から供給されたN枚のフレーム(連続するN枚のフレーム)のそれぞれを、ある大きさ(例えば8×8、16×16)のブロックに分割し、移動量検出部120のブロック分配部122に出力する。ブロック分割部112はまた、N枚のフレームの中の、画像蓄積部111でP番目に記憶されたフレーム(以下、P番目のフレームと称する)の各ブロックを移動量検出部120の移動量検出部121に供給する。P番目のフレームは、M番目のフレームと異なるフレームである。 【0041】 次に、移動量検出部120について説明する。移動量検出部120の移動量検出部121は、ブロック分割部110のブロック分割部112から供給されたP番目のフレームの各ブロックの動きベクトルを、画像蓄積部111から供給されたM番目のフレームを参照して例えばフレーム間のブロックマッチング処理を実行して検出し、検出した動きベクトルをブロック分配部122、ブロック処理部131および132に供給する。動きベクトルは、フレーム間の水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)の移動量を表している。例えば、参照フレーム:M=2で、供給フレーム:P=3とした場合、動きベクトルは、1フレーム間の水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)の移動量を表すことになる。なお、動きベクトルの検出はブロックマッチングによる検出のみならず他の方法を適用してもよい。 【0042】 移動量検出部120のブロック分配部122には、ブロック分割部112から、N個単位でブロック(N枚のフレームのそれぞれの同一位置にある合計N個のブロック)が供給され、移動量検出部121から、そのN個のブロックの中のP番目のフレームのブロックの移動量が供給される。ブロック分配部122は、供給されたN個のブロックを、ブロック処理部130の、その移動量に対応する処理を行うブロック処理部131乃至133(以下、個々に区別する必要がない場合、単に、ブロック処理部130と称する)の中のいずかに供給する。 【0043】 具体的にはブロック分配部122は、移動量検出部121から供給された、1フレーム間の水平方向(X軸方向)または垂直方向(Y軸方向)のどちらか大きいほうの移動量が2ピクセル以上である場合、ブロック分割部112から供給されたN個のブロックを、ブロック処理部131に出力する。また、1フレーム間の水平方向と垂直方向のどちらか大きいほうの移動量が2ピクセル未満で、かつ1ピクセル以上の場合、ブロック分配部122は、N個のブロックを、ブロック処理部132に出力する。移動量が、その他の場合には、ブロック分配部122は、N個のブロックをブロック処理部133に供給する。 【0044】 すなわち、 (a)移動量≧2ピクセル/フレーム:ブロック処理部131(空間方向間引き処理) (b)2ピクセル/フレーム>移動量≧1ピクセル/フレーム:ブロック処理部132(時間・空間方向間引き処理) (c)1ピクセル/フレーム>移動量:ブロック処理部133(時間方向間引き処理) 上記(a)〜(c)に処理ブロックを出力する。 【0045】 移動量≧2ピクセルの場合は、ブロック処理部131において空間方向間引き処理を実行し、2ピクセル>移動量≧1ピクセルの場合は、ブロック処理部132において時間・空間方向間引き処理を実行し、1ピクセル>移動量の場合は、ブロック処理部133において時間方向間引き処理を実行することになる。 【0046】 このように、ブロック分配部122は、移動量検出部121から供給された移動量に基づき、変換に最適なフレームレートおよび空間解像度を決定し、そのフレームレートおよび空間解像度にしたがって画像データを変換する処理を行うブロック処理部131〜133ブロック画像を分配する処理を実行する。なお、分配先決定のためのこの条件はあくまでも一例であり、他の条件で分配先を決定してもよい。 【0047】 次にブロック処理部130について説明する。ブロック処理部130は、この例の場合、3個のブロック処理部131乃至133で構成されている。 ブロック処理部131は、移動量検出部120のブロック分配部122から供給された、連続するN枚のフレームのそれぞれの同一位置にある合計N個のブロック(水平方向または垂直方向の移動量が2ピクセル/フレーム以上である場合のN個のブロック)に対して、画素数を、移動量検出部131から供給された水平方向または垂直方向どちらか大きいほうの移動量に応じて間引く処理(空間方向間引き処理)を行う。すなわち、移動量≧2ピクセルのN個のブロックに対して空間方向間引き処理を実行する。 【0048】 1フレーム間の水平方向の移動量が2ピクセル以上である場合、ブロック処理部131は、例えばブロックが8×8ピクセルで構成されている場合、図3(a)に示すように、ブロック内の画素を、1×4ピクセル単位の集合に分割する。 【0049】 さらに、ブロック処理部131は、図3(b)、図4、図5のいずれかの態様で、1×4ピクセルの各集合の画素値p1乃至p4を、その中の1つの画素値にする画素数の間引き(4画素間の画素数の間引き)(間引き量4の間引き)を行う。 【0050】 図3(b)に示す間引き処理は、連続するN枚のフレーム(k〜k+3)のすべてのフレームにおいて、同一の画素位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点(図の例では標本点=p1)として、4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。 【0051】 図4および図5に示す間引き処理は、連続するN枚のフレーム(k〜k+3)において、同一の画素位置を標本点とする設定ではなく、フレーム毎に異なる画素位置の画素を標本点とし、フレーム毎に異なる位置の画素値を各フレームの4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。 【0052】 図4に示す間引き処理は、k〜k+3番目にある4フレームにおいて、それぞれ同一位置にある4つの水平方向の画素の画素値p1〜p4について、 k番目のフレーム:標本点=p1 k+1番目のフレーム:標本点=p2 k+2番目のフレーム:標本点=p3 k+3番目のフレーム:標本点=p4 のように、フレームの進行に応じて、標本点の画素位置を右方向に1画素ずつ変更して設定した間引き処理である。 【0053】 図5に示す間引き処理は、k〜k+3番目にある4フレームにおいて、それぞれ同一位置にある4つの水平方向の画素の画素値p1〜p4について、 k番目のフレーム:標本点=p4 k+1番目のフレーム:標本点=p3 k+2番目のフレーム:標本点=p2 k+3番目のフレーム:標本点=p1 のように、フレームの進行に応じて、標本点の画素位置を左方向に1画素ずつ変更して設定した間引き処理である。 【0054】 このように図4、図5に示す間引き処理は、連続するN枚のフレーム(k〜k+3)において、同一の画素位置ではなく、異なる画素位置の画素値を各フレームの4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。 【0055】 ブロック処理部131は、移動量検出部120の移動量検出部121から供給された移動量情報に応じて、図3〜図5に示す3つの間引き処理のいずれかを選択して実行する。 【0056】 ブロック処理部131の詳細構成を図6に示す。ブロック処理部131は、間引き処理態様決定部151と、間引き処理実行部152を有する。間引き処理態様決定部151は、移動量検出部121から、移動量情報を入力する。なお、前述したように、ブロック処理部131へ入力されるブロックは、移動量≧2ピクセル/フレームのブロックであり、ブロック処理部131の間引き処理態様決定部151へ入力される移動量情報は、2ピクセル/フレーム以上の移動量情報となる。 【0057】 間引き処理態様決定部151は、移動量の値に基づいて、先に説明した図3、図4、図5のいずれの態様での間引き処理を実行するかを決定する。この決定手法の詳細については後述する。間引き処理実行部152は、間引き処理態様決定部151の決定に従って図3、図4、図5のいずれかの態様での間引き処理を実行する。 【0058】 このように、図1に示す動画像変換装置100は、入力された動画像を、そのデータ量が削減された動画像(圧縮データ)に変換する処理を行なうものであるが、その際、所定の視覚特性に基づいて実現される超解像効果を利用した動画像変換処理を行なうことによりデータ量の削減による画質劣化を観測者に知覚させないようにした装置である。 【0059】 なお、超解像効果とは、前述したように観測者が、ある時間内に複数の画像が加算されたものを知覚するという視覚特性に基づいて実現される視覚的効果であり、人間の視覚機能における時間的積分機能および感覚記憶機能が複雑に関係して引き起こされているものと考えられており、図1に示す動画像変換装置100は、時間的積分機能によって引き起こされる超解像効果を利用した動画像変換処理を行う構成を有する。 【0060】 なお、人間の視覚特性および超解像効果に関する原理や説明等は、特開2005−298268において詳しく解説がなされている。特開2005−298268に説明されている超解像効果の発生条件を以下に説明する。 【0061】 間引き量m(ピクセル)の画素数間引きを行った場合に超解像効果が発生するには、間引きによる1次乃至m−1次の折り返し成分が全て打ち消される必要がある。k(=1、2、・・・、m−1)次の折り返し成分が打ち消される条件は、下記式(式1)、(式2)を満足することである。 【数1】
【0062】 上記式において、φtは画素数の間引きにおけるサンプリング位置のずれ量であり、時間t(=0、1T、2T、・・・)、信号の移動速度v、時間間隔(フレームレートの逆数)T、を用いて、下記式(式3)によって定義される値である。 【数2】
【0063】 なお、上記式において、サンプリング位置が右にずれる場合を正としている(この条件は、特開2005−198268に開示している設定とは異なる)。 【0064】 間引き量m、小領域の移動量vという条件下で上記式(式1)および(式2)が満たされれば超解像効果が発生し、画質の劣化は観測者に知覚されにくい。 【0065】 続いて、図3乃至図5に示す(b1)〜(b3)の3種類の空間間引き処理を用いる理由について説明する。図1乃至図6を参照して説明した動画像変換装置100は、間引き量4の画素数間引きを行う際の小領域の1フレーム間の移動速度の条件を、水平または垂直方向に2ピクセル以上と設定していた。ここで、使用可能な空間間引き処理が図3に示す処理のみの構成を考える。そのような構成では、例えば移動速度が1フレームにつき4ピクセル、すなわち小領域の移動量v=4であった場合に、間引き量m=4とすると、上記式(式3)のサンプリング位置のずれ量:φtが取り得る値は0以上の整数のみとなる。 【0066】 つまり、この場合、上記式(式1)は全てのkの場合において満たされることはなく、超解像効果は発生しない。同様に、間引き量m=2、小領域の移動量v=1の場合、間引き量m=4、小領域の移動量v=2の場合、などの設定においても上記式(式1)は全てのkの場合において満たされることはなく、超解像効果は得られず画質は大幅に劣化する。すなわち、図1乃至図6を参照して説明した動画像変換装置100は、図3乃至図5に示した(b1)〜(b3)の3種類の空間間引き処理を併用することで、被写体の移動速度に依らず、超解像効果を得られる構成としている。 【0067】 図4あるいは図5に示されているように標本点位置を各フレームに応じて変更して間引き処理を行なう効果について説明する。なお、以下、このように標本点位置を各フレームに応じて変更して実行する間引き処理を[標本点移動型の間引き処理]あるいは[間引き位置の変更処理]と呼ぶことがある。なお、[標本点移動型の間引き処理]においても、図4のように標本点位置をフレームの進行に従って右方向へずらす間引き位置の変更処理と、図5のように、標本点位置をフレームの進行に従って左方向へずらす間引き位置の変更処理の2つの態様の他にも様々な態様が考えられるため、異なる間引き位置の変更処理を、標本点座標のフレーム毎の変化量によって区別する。この変化量を標本点位相変化量と呼ぶ。 【0068】 間引き位置変更処理において、 標本点位相変化量が[0]の場合が図3(b1)の間引き処理であり、 標本点位相変化量が[+1]の間引き処理が図4の処理、 標本点位相変化量が[−1]の場合が図5の処理、 に相当する。標本点位相変化量は、方向を区別するため、+−の符号を付加して区別する。例えば右方向と下方向を[+]、左方向と上方向を[−]とする。 【0069】 間引き位置の変更処理は、動画像変換装置の基本構成において説明した数式(式3)に示されている標本点のずれ量φtをフレーム毎に1/m加算(右にずらす場合(図4))、または1/m減算(左にずらす場合(図5))することに等しい。なお、mは間引き量(mピクセル)である。 【0070】 間引き位置の変更処理を行なった場合の新たな標本点のずれ量φ'tは、下記数式(式4)として示される。 【数3】
【0071】 上記数式(式4)から、被写体の進行方向に標本点の位置をずらすことは被写体の移動速度を減速することと、進行方向と逆に位置をずらすことは移動速度を加速することと信号処理の理論上の意味は等価であることがわかる。これは、もちろん実際の映像上で被写体の移動速度が変化することを意味するわけではない。以下、図7を用いて具体的な処理例について説明する。 【0072】 図7は被写体(k番目のフレームのp1〜p5間の5画素)201が4フレーム(フレームk〜k+3)の間に(A)移動していないという状況、(B)水平方向に速度v=1ピクセル/フレームで移動しているという状況を示している。 【0073】 図1、図2に示す動画像変換装置100のブロック処理部131には、本来、1フレーム間の水平方向の移動量が2ピクセル以上のブロックが入力されることになるので、図7に示す(A)、(B)のようなフレームデータの入力は行なわれないが、1フレーム間の水平方向の移動量が2ピクセル以上のデータにおいて、移動量に応じて図3、図4、図5に示す間引き処理のいずれかの処理が実行されることになる。すなわち、移動量に応じて[間引き位置の変更処理]を行なう場合と行なわない場合が生じる。 【0074】 図7を参照して、[間引き位置の変更処理]を行なう場合と行なわない場合の処理について説明する。例えば、(A)移動していないという状況において、図3に示す固定標本点の間引き処理を実行し、(B)水平方向に速度v=1ピクセル/フレームで移動しているという状況において、図4に示す標本点をフレーム毎に移動させる[間引き位置の変更処理]、すなわち標本点移動型の間引き処理を行なったとする。 【0075】 図7(A)に示すように被写体が移動していないという状況において、間引き量=4、すなわち4画素間の画素末間引きを行なったとすると、図3を参照して説明した固定標本点の間引き処理を実行した場合、各4ピクセル毎の出力値は全てのフレームにおいてp1とp5の画素であり、固定位置の画素値となる。一方、図7(B)に示すように、水平方向に速度v=1ピクセル/フレームで被写体が移動しているという状況において、図4を参照して説明した標本点をフレーム毎に移動させる[間引き位置の変更処理]を行なったとすると、各4ピクセルに対応する各フレームの出力値は、図7(B)に示す通り、 k番目のフレーム:p1、p5 k+1番目のフレーム:p2、p6 k+2番目のフレーム:p3、p7 k+3番目のフレーム:p4、p8 となる。 【0076】 結果として、図7(B)1ピクセル/フレームの移動被写体と、図7(A)移動しない被写体において、各フレームの出力値が一致することになる。すなわち移動量v=1ピクセル/フレームの被写体を含む動画像に対して図4を参照して説明した標本点をフレーム毎に移動させる[間引き位置の変更処理]を施した出力と、移動速度がv−1=0の被写体(A)に図3の処理、すなわち、固定標本点を適用した間引き処理を施した出力とが一致していることがわかる。つまり、移動している被写体に図4の処理を施すことは、その移動速度を1減速した被写体に図3の処理を施すことと等しいことが確認できる。 【0077】 結局、間引き位置の変更処理によって、被写体の移動速度を仮想的に加速または減速することが可能となる。 【0078】 次に、具体的にどのような速度で被写体が移動しているときに超解像効果が起こらないのかを確認する。図8は、様々なフレームあたりの移動量としての移動速度:vを持つ被写体を含む動画像データに対して図3の固定標本点間引き処理(4画素の間引き処理)を行い、その結果得られる変換(圧縮)画像を、再度、復元(伸張)して得られる画像データの画質の良否データを示している。横軸が被写体のフレームあたりの移動量としての移動速度:v(ピクセル/フレーム)であり、縦軸が画質評価値を示している。すなわち、横軸に示した移動量で被写体を右方向に移動させた際の画質の主観評価実験の結果の傾向を示すグラフであり、グラフ中に示す曲線が画質評価曲線205である。画質の良否判定基準として、図8中にTで示す基準評価値を設定し、基準評価値T以上の評価を得た場合を良好な画質とする。 【0079】 フレームあたりの移動量としての移動速度:v=P(ピクセル/フレーム)〜Q(ピクセル/フレーム)を持つ様々な被写体に対して、図3を参照して説明した固定標本点間引き処理(4画素の間引き処理)を行って、基準評価値T以上の評価を得た領域が、図8の領域Aである。領域A以外の領域Bは、基準評価値T未満の評価を得た領域である。 【0080】 基準評価値T以上の評価を得た領域、すなわち図8の領域Aは、被写体のフレームあたりの移動量としての移動速度:vが、a〜b、c〜d、e〜の範囲にある場合であり、これらの移動量を持つ場合には、図3を参照して説明した固定標本点間引き処理を適用した場合であっても良好な画質となり、超解像効果が損なわれることのない間引きが実現されたと判断される。一方、図8の領域B、すなわち、被写体のフレームあたりの移動量としての移動速度:vが、a〜b、c〜d、e〜以外の範囲にある場合は、基準評価値T未満の画質となり、超解像効果の発生しない、もしくは十分でない領域であると考えられる。 【0081】 この評価結果に基づいて、被写体の移動速度が図8の領域Bの速度に対応する場合に、間引き位置の変更処理によって被写体の移動速度を概念的に加速あるいは減速する。すなわち、例えば図4、図5に示すような間引き位置の変更処理を実行する。この結果として、図7を参照して説明したように、図8の領域Aの速度で移動する場合と同様の出力が得られ、超解像効果を伴う良好な画質が得られることになる。 【0082】 図9に示す領域B1、B2は図8に示した領域Bの一部である。すなわち、基準評価値T未満の画質領域であり、超解像効果の発生しない、もしくは十分でない被写体移動速度:vを持つ領域であると考えられる領域である。領域B1、B2の速度で被写体が移動している場合には、仮想的に被写体を加速(+Δv1、+Δv2)する処理を行なうことで、つまり被写体の進行方向とは逆の方向に間引き位置を変更する処理を行う(例えば、被写体が右に移動していれば図5に示すようにフレームの進行に伴い標本点位置を左に移動させる処理を行う)ことで、図9の領域B1を図9の領域C1に移動させ、図9の領域B2を図9の領域C2に移動させたと同様の効果を得ることができ、結果として、被写体の仮想的なフレームあたりの移動量としての移動速度:vを、基準評価値T以上となる画質領域(図9のC1、C2)に設定することが可能となる。すなわち、図5に示すようにフレームの進行に伴い標本点位置を左に移動させる間引き処理を実行することで、画質劣化の少ない画像変換(圧縮)が実現される。 【0083】 同様に、図10の領域B3の速度で被写体が移動している場合、仮想的に被写体を減速(−Δv3)する処理を行なうことで、つまり進行方向と同じ方向に間引き位置変更を行う(例えば右に移動していれば図4の処理を行なう)ことで図10の領域B3を図10の領域C3に移動させ、結果として、被写体の仮想的なフレームあたりの移動量としての移動速度:vを、基準評価値T以上となる画質領域(図10のC3)に設定することが可能となる。すなわち、図4に示すようにフレームの進行に伴い標本点位置を右に移動させる間引き処理を実行することで、画質劣化の少ない画像変換(圧縮)が実現される。 【0084】 なお、図8〜図10において示した画質評価曲線は、あくまでも主観評価による1実験の結果に基づいて設定した評価曲線を示すものであり、画質評価の方法は様々な方法が適用可能であり、その結果に基づいて間引き処理態様の決定を行なう構成としてもよい。 【0085】 移動量が2ピクセル/フレーム以上のブロックデータの処理を実行する図2に示すブロック処理部131は、図6に示す間引き処理態様決定部151において、移動量検出部からの移動量情報に基づいて、 (a)標本点固定の間引き処理(図3参照) (b)標本点位置をフレームの進行に従って右方向へずらす間引き処理(図4参照) (c)標本点位置をフレームの進行に従って左方向へずらす間引き処理(図5参照) これら(a)〜(c)の間引き処理のいずれを実行するかを決定し、図6に示す間引き処理実行部152において決定した処理態様の間引き処理を実行する。 【0086】 図6に示す間引き処理態様決定部151における間引き処理態様の決定に際しては、例えば図8〜図10に示した画質評価曲線に基づく決定処理を行なう。すなわち、画質評価曲線が基準評価値T以上の画質が維持される移動速度領域である場合は、(a)標本点固定の間引き処理(図3参照)を実行し、画質評価曲線が基準評価値T未満の画質になる移動速度領域においては、(b)標本点位置をフレームの進行に従って右方向へずらす間引き処理(図4参照)、または、(c)標本点位置をフレームの進行に従って左方向へずらす間引き処理(図5参照)のいずれかを行なう構成として、仮想的な移動量が、画質評価曲線が基準評価値T以上の画質が維持される移動量領域に入る設定とする。 【0087】 図6に示す間引き処理態様決定部151において、移動量検出部からの移動量情報に基づいて、決定する間引き処理態様の決定例を図11に示す。図11の決定例は、図8〜図10に示す画質評価曲線に基づいて処理態様を決定した例を示している。 図11(a)、(b)は、 移動速度:2ピクセル/フレーム≦移動量<cピクセル/フレーム、 移動速度:fピクセル/フレーム≦移動量<eピクセル/フレームのいずれかで、 かつ、 移動方向:右、 の場合であり、この場合には、標本点位置をフレームの進行に従って左方向へずらす間引き処理(図5参照)、すなわち標本点位相変化量=[+n]とした間引き処理を実行する。この処理は仮想的な加速処理であり、図9の領域B1からC1へ移す処理、または領域B2からC2へ移す処理に相当する。 【0088】 図11(c)、(d)は、 移動速度:2ピクセル/フレーム≦移動量<cピクセル/フレーム、 移動速度:fピクセル/フレーム≦移動量<eピクセル/フレームのいずれかで、 かつ、 移動方向:左 の場合であり、この場合には、標本点位置をフレームの進行に従って右方向へずらす間引き処理(図4参照)、すなわち標本点位相変化量=[−n]とした間引き処理を実行する。この処理も仮想的な加速処理であり、図9の領域B1からC1へ移す処理、または領域B2からC2へ移す処理に相当する。 【0089】 図11(e)は、 移動速度:dピクセル/フレーム≦移動量<fピクセル/フレームで、かつ、 移動方向:右 の場合であり、この場合には、標本点位置をフレームの進行に従って右方向へずらす間引き処理(図4参照)、すなわち標本点位相変化量=[+n]とした間引き処理を実行する。この処理は仮想的な減速処理であり、図10の領域B3からC3へ移す処理に相当する。 【0090】 図11(f)は、 移動速度:dピクセル/フレーム≦移動量<fピクセル/フレームで、かつ、 移動方向:左 の場合であり、この場合には、標本点位置をフレームの進行に従って左方向へずらす間引き処理(図5参照)、すなわち標本点位相変化量=[−n]とした間引き処理を実行する。この処理は仮想的な減速処理であり、図10の領域B3からC3へ移す処理に相当する。 【0091】 図11(g)は、 上記以外の移動速度、すなわち、 移動速度:cピクセル/フレーム≦移動量<dピクセル/フレーム、 移動速度:eピクセル/フレーム≦移動量、のいずれかで、 移動方向:左または右 の場合であり、この場合には、標本点位置をフレームの進行に従ってずらす間引き処理ではなく固定標本点とした間引き処理(図3参照)、すなわち標本点位相変化量=[0]とした間引き処理を実行する。この処理は、図8の領域Aに対応する移動量を持つ被写体を有するブロックの処理に相当する。 【0092】 上述の処理例は、水平方向の移動量を持つブロックの処理例であるが、垂直方向の移動量を持つブロックの処理においても同様の処理、すなわち、図2に示すブロック処理部131は、図6に示す間引き処理態様決定部151において、移動量検出部からの移動量情報に基づいて、 (1)標本点固定の間引き処理(図12(b1)参照)[標本点位相変化量=[0]] (2)標本点位置をフレームの進行に従って下方向へずらす間引き処理(図13(b2)参照)[標本点位相変化量=[+n]] (3)標本点位置をフレームの進行に従って上方向へずらす間引き処理(図14(b3)参照)[標本点位相変化量=[−n]] のいずれを実行するかを決定し、図6に示す間引き処理実行部152において決定した処理態様の間引き処理を実行する。 【0093】 ブロック処理部131は、このように、処理ブロックに含まれる被写体のフレームあたりの移動量としての移動速度:vに応じて異なる間引き処理を実行し、出力部140に出力する。ブロック処理部131は、間引き量4の場合、空間方向間引き処理を、供給された4個のブロックに対してそれぞれ施すので(隣接した4画素毎に1画素選択されるので)、各ブロックのデータ量が1/4に削減され、4個のブロック全体のデータ量が1/4に削減される。ブロック処理部131は、データ量が1/4に削減された4個のブロックについてのデータを、出力部140に供給する。 【0094】 続いて、ブロック処理部132の説明の前に、ブロック処理部133の動作を、具体的に説明する。 【0095】 ブロック処理部133は、移動量検出部120のブロック分配部122から供給された、連続するN枚のフレームのそれぞれの同一位置にある合計Nブロック(水平方向と垂直方向の移動量がともに1ピクセル未満である場合のN個のブロック)に対して、フレーム数を間引く処理(時間方向間引き処理)を行う。 【0096】 具体的にはブロック処理部133は、図15に示すように、連続する4枚のフレームF1乃至F4のそれぞれの同一位置ある4個のブロックBiを、その中の1つのブロック(この例の場合、フレームF1のブロックBi)にするフレーム数の間引き(4フレーム間のフレーム数の間引き)を行う。 【0097】 ブロック処理部133は、このような時間方向間引き処理により、データ量が1/4に削減された4個のブロックについてのデータ(1個のブロック)を、出力部140に供給する。なお、ここでは、N=4の場合を例として説明したが、Nが他の値であっても同様な処理が行われる。 【0098】 次に、ブロック処理部132の動作を具体的に説明する。ブロック処理部132は、移動量検出部120のブロック分配部122から供給された、連続するN枚のフレームのそれぞれの同一位置にある合計N個のブロック(水平方向と垂直方向の移動量が1ピクセル以上2ピクセル未満である場合のN個のブロック)に対して、画素数の間引き処理(空間間引き処理)とフレーム数の間引き処理(時間方向間引き処理)をそれぞれ行なうものである。 【0099】 ブロック処理部132に供給されるブロックのフレームあたりの移動量としての移動速度:v=1〜2は、数式(式1)、(式2)満足する。すなわち、超解像効果を得るための条件を満たしている。しかしながら、先に図3を参照して説明したものと同様の標本点固定とした間引き処理を実行してしまうと、画質劣化が知覚される場合があることがわかっている。 【0100】 そこで、ブロック処理部132は、間引き量m=4ではなく、間引き量m=2とした間引き処理を実行し、さらに、ブロック処理部131における間引き処理と同様の、標本点固定型の間引き処理と標本点移動型の間引き処理を、被写体移動速度に応じて適宜選択して実行する。 【0101】 間引き量m=2とした場合の、標本点固定型の間引き処理と標本点移動型の間引き処理の態様を図16〜図21を参照して説明する。図16〜図18は、水平方向のフレームあたりの移動量としての移動速度:v=1〜2ピクセル/フレームである場合のブロック処理部132の間引き処理例である。 【0102】 図16は、標本点固定型の間引き処理、すなわち標本点座標のフレーム毎の変化量である標本点位相変化量=[0]とした間引き処理であり、各フレーム(k〜k+3)の画素値p1乃至p4を、その中のいずれか2個の画素値(この例の場合、p1、p3)にする画素数の間引き(2画素間の画素数の間引き)、すなわち、間引き量m=2の間引き処理例である。 【0103】 図17は、標本点移動型の間引き処理であり、各フレーム(k〜k+3)の画素値p1乃至p4を、先行フレーム(k、k+1)については、画素値p1、p3に設定し、後続フレーム(k+2、k+3)については、画素値p2、p4に設定する間引き処理である。本処理例は、標本点座標のフレーム毎の変化量である標本点位相変化量=[0.5]とした間引き処理に相当する。 【0104】 図18も、標本点移動型の間引き処理であり、各フレーム(k〜k+3)の画素値p1乃至p4を、先行フレーム(k、k+1)については、画素値p2、p4に設定し、後続フレーム(k+2、k+3)については、画素値p1、p3に設定する間引き処理である。本処理例は、標本点座標のフレーム毎の変化量である標本点位相変化量=[−0.5]とした間引き処理に相当する。 【0105】 図19〜図21は、垂直方向のフレームあたりの移動量としての移動速度:v=1〜2ピクセル/フレームである場合のブロック処理部132の間引き処理例である。 【0106】 図19は、標本点固定型の間引き処理、すなわち標本点座標のフレーム毎の変化量である標本点位相変化量=[0]とした間引き処理であり、各フレーム(k〜k+3)の画素値p1乃至p4を、その中のいずれか2個の画素値(この例の場合、p1、p3)にする画素数の間引き(2画素間の画素数の間引き)、すなわち、間引き量m=2の間引き処理例である。 【0107】 図20は、標本点移動型の間引き処理であり、各フレーム(k〜k+3)の画素値p1乃至p4を、先行フレーム(k、k+1)については、画素値p1、p3に設定し、後続フレーム(k+2、k+3)については、画素値p2、p4に設定する間引き処理である。本処理例は、標本点座標のフレーム毎の変化量である標本点位相変化量=[0.5]とした間引き処理に相当する。 【0108】 図21も、標本点移動型の間引き処理であり、各フレーム(k〜k+3)の画素値p1乃至p4を、先行フレーム(k、k+1)については、画素値p2、p4に設定し、後続フレーム(k+2、k+3)については、画素値p1、p3に設定する間引き処理である。本処理例は、標本点座標のフレーム毎の変化量である標本点位相変化量=[−0.5]とした間引き処理に相当する。 【0109】 ブロック処理部132も、ブロック処理部131と同様、先に説明した図6の構成を持つ。すなわち、ブロック処理部132は、間引き処理態様決定部151と、間引き処理実行部152を有する。間引き処理態様決定部151は、移動量検出部121から、移動量情報を入力する。なお、前述したように、ブロック処理部132へ入力されるブロックは、フレームあたりの移動量としての移動速度:v=1〜2ピクセル/フレームであるブロックであり、ブロック処理部132の間引き処理態様決定部151へ入力される移動量情報は、移動速度v=1〜2ピクセル/フレームの移動量情報となる。 【0110】 間引き処理態様決定部151は、移動量の値に基づいて、図16〜図21のいずれの態様での間引き処理を実行するかを決定し、間引き処理実行部152は、間引き処理態様決定部151の決定に従って図16〜図21のいずれかの態様での間引き処理を実行する。 【0111】 ブロック処理部132は、このように、処理ブロックに含まれる被写体のフレームあたりの移動量としての移動速度:vに応じて異なる間引き処理を実行し、出力部140(図1、図2参照)に出力する。ブロック処理部132は、間引き量2の空間方向間引き処理を実行するとともに、図22に示す時間方向間引き(4フレーム→2フレーム)も施すので、各ブロックのデータ量が1/4に削減され、4個のブロック全体のデータ量が1/4に削減される。ブロック処理部131は、データ量が1/4に削減された4個のブロックについてのデータを、出力部140に供給する。 【0112】 次に、出力部140について説明する。出力部140は、ブロック処理部130のブロック処理部131〜133のそれぞれから供給された、データ量が削減されたN個のブロックについてのデータおよび、各ブロックがどのような処理をされたかを示す情報を出力する。処理内容に関する情報は、空間方向間引き、時間方向間引き、空間・時間方向間引きのいずれの方法で間引きされたのかを示す情報、空間間引きされている場合は間引き位置の変更処理は行われたのかを示す情報、行われているのならどのような間引き位置変更処理が施されたのかを示す情報、元の動画のフレームレート、空間解像度に関する情報、などから構成されるが、他の情報が加えられても構わない。 【0113】 以上のように、図1乃至図22を参照して説明した動画像変換装置100は、被写体の移動速度に応じて異なる間引き位相変化量の空間方向間引きを施すことで、画質劣化を抑えた圧縮によりデータ削減を可能とした構成となっている。 【0114】 具体的には、画像中の移動オブジェクトの移動量に応じて異なる間引き位相変化量の空間間引き処理を行なうデータ圧縮(削減)をしている。この間引き処理により、圧縮データを復元して再生を行なった場合に、画像中の移動オブジェクト(被写体)を観測者が追従視することで、各移動オブジェクト(被写体)の速度に対応する間引き処理に基づく超解像現象が発生し、観測者に画素数間引きに伴う画質劣化を知覚させないという効果を発生させるものである。 【0115】 なお、"追従視"または"観測者の視線が被写体を追従する"とは、被写体の移動速度:V(ピクセル/フレーム)と観測者の視線速度:Vo(ピクセル/フレーム)が同値またはほぼ同値となることである。観測者の視線速度は、フレームの進行に伴う、観測者の注目する画像中の座標位置の変化量である。 【0116】 しかし、画像中には複数の異なる移動速度や移動方向を持つ異なる複数のオブジェクトが存在する場合がある。例えば図23に示すように、画像中に複数のオブジェクト(被写体)281およびオブジェクト(被写体)282が存在し、これらオブジェクトが矢印で示すように異なる動きをしているとする。このとき、観測者がオブジェクト281に注目し、このオブジェクト281を追従視すると、もうひとつのオブジェクト282に対しては観測者の視線は追従視していないことになる。つまり、観測者があらゆる状況において、必ずしも移動しているオブジェクトを追従視するとは限らない。 【0117】 もし、図23に示す2つのオブジェクトの移動量V1およびV2がそれぞれ十分に高速であった場合、前記の動画像変換装置100によれば、画素数を1/4に削減する空間方向の画素数間引きが施される。観測者が画質劣化を知覚しないための条件のひとつは、観測者が追従視を行なうことであるから、図23に示す状況において観測者がオブジェクト282を追従した場合、オブジェクト282に関しては画質劣化を知覚しないが、観測者の視線が追従していないオブジェクト281に関しては、観測者が画質劣化を知覚する可能性が高い。以下、この問題点を解決した構成について説明する。 【0118】 [(2)改良した間引き処理を実行する動画像変換装置の構成] 以下、上述の動画像変換装置100の問題点を解決し、改良した間引き処理を実行することにより、空間方向の間引き処理を施した領域に対して観測者が追従視を行なわなかった場合の画質劣化を抑制したデータ削減(圧縮処理)を実現する動画像変換装置について説明する。 【0119】 改良した間引き処理を実行する動画像変換装置300の構成を、図24を参照して説明する。図24に示す動画像変換装置300は、先に図1を参照して説明した動画像変換装置100と同様、人間の視覚特性による超解像効果を利用することにより、データ量の削減による画質劣化を観測者が知覚しないようにデータ量を削減することを可能としたものであり、さらに、観測者が被写体に対して追従視を行なわなかった場合においても、観測者の知覚する画質劣化を最小限に抑制することを可能としたデータ削減(データ圧縮)を実現するものである。 【0120】 図24の動画像変換装置300の構成について説明する。入力された動画像データを構成する各フレームデータは、一旦フレームバッファ307に蓄積される。蓄積されたフレームはブロック分割部301および移動量検出部302に出力される。ブロック分割部301は入力されたフレームを、予め設定されたサイズのブロックに分割し、分割されたブロックデータを移動量検出部302および間引き処理実行部303に出力する。移動量検出部302はフレームバッファ307から供給されたフレームとブロック分割部から供給されたブロックを使用して、各ブロックに関する移動量[Vs]を検出し、間引き処理実行部303および標本点位相変化量決定部306に出力する。 【0121】 標本点位相変化量決定部306は、移動量検出部302から供給される各ブロックに対応するブロック移動量[Vs]および視線移動量検出部305から供給された視線移動量[Ve]を参照して、空間方向の画素数間引きにおける最適な標本点位相変化量[Vp]を決定し、間引き処理実行部303に出力する。 【0122】 間引き処理実行部303は、移動量検出部302から供給された各ブロックのブロック移動量[Vs]と、標本点位相変化量決定部から供給された各ブロックの空間間引き処理における標本点位相変化量[Vp]に基づき、ブロック分割部より入力されるブロックに対して空間方向の画素数間引きを施し、結果を出力部304に出力する。出力部304は、間引き処理実行部303から供給された、データ量が削減されたブロックについてのデータを、例えばストリームデータなどとしてまとめて出力する。 【0123】 続いて改良した間引き処理を実行する動画像変換装置300の各構成部の処理の詳細について説明する。 【0124】 まず、フレームバッファ307について説明する。フレームバッファ307は入力される動画像データを構成するフレームデータを蓄積する。フレームバッファ307に蓄積するフレーム数は、移動量検出部302における移動量検出処理に適用するフレーム画像に依存する。 【0125】 例えば、移動量検出部302における移動量検出処理において、現フレームFと過去のフレームF−k(kは正の整数)を用いて現フレームFにおける移動量を検出する構成とした場合は、フレームバッファ307は、フレームFが入力された時点で、少なくとも過去のkフレームを蓄積する構成とする。 【0126】 また、移動量検出部302における移動量検出処理において、現フレームFと未来のフレームF+kを用いて現フレームFにおける移動量を検出する構成である場合は、フレームバッファ307は、フレームF+kが入力されるまでフレームFの蓄積状態を維持する構成とする。 【0127】 また、移動量検出部302における移動量検出処理において、フレームFの移動量を検出する際に、過去のフレームF−kおよび未来のフレームF+kを使用する構成である場合には、フレームバッファ307は少なくともフレームF−kからフレームF+kまでのフレームを蓄積する構成とする。 【0128】 以下、1つの実施例として、移動量検出部302が、フレームFの移動量検出の際に過去のフレームF−1を参照する構成である場合の処理例について説明する。すなわち、連続する2つのフレームに基づいて、フレームFの移動量検出を行なう処理例について説明する。フレームバッファ307は移動量検出部302が移動量を検出するのに必要なフレームを蓄積し、現フレームNをブロック分割部301に出力する。また、移動量検出の際に必要となるフレームF−1を移動量検出部302に出力する。なお、移動量検出部302における移動量検出処理に適用するフレームについては、上述したように様々な設定が可能であり、それぞれの設定において本発明は適用可能である。 【0129】 続いて、ブロック分割部301の行なう処理について説明する。ブロック分割部301は、入力された動画像の各フレームを、予め設定した大きさ、例えば8ピクセル×8ピクセル、4ピクセル×4ピクセル等のブロックに分解し、移動量検出部302および間引き処理実行部303に供給する。 【0130】 移動量検出部302は、ブロック分割部301から供給された、フレームFの各ブロックについての移動量を検出する。すなわち、フレームバッファ307より入力されたフレーム(フレームF−1)を参照フレームとしてブロックマッチングを行いブロック単位の移動量(この場合は、1フレームあたりの移動量(ピクセル/フレーム))を検出する。移動量検出部302は、検出したブロック毎のブロック移動量[Vs]を、標本点位相変化量決定部306および視線移動量検出部305に供給する。 【0131】 なお、移動量検出部302において実行する移動量検出に適用する参照フレームは、前述したように過去のフレームF−1に限らず、さらに過去のフレームF−kであっても、未来のフレームF+kであってもよい。また使用する移動量検出手法はブロックマッチング法以外の方法を適用してもよい。移動量検出部302の検出した移動量は各ブロックに対応する動きベクトルとして表される。動きベクトルは、フレーム間の水平方向(X軸方向)および垂直方向(Y軸方向)の移動量を表すことになる。 【0132】 次に、視線移動量検出部305について説明する。視線移動量検出部305はフレームを構成する各ブロックに対応する観測者の視線移動の予測量を検出する。本発明の動画像変換装置300において、視線移動量検出部305は移動量検出部302から供給されるフレームを構成する各ブロックに対応する移動量に基づいて、視線移動の予測量の検出を行なう。視線移動量検出部305は、各ブロックについて検出した視線移動の予測量を、視線移動量[Ve]として標本点位相変化量決定部に出力する。 【0133】 すなわち、 移動量検出部302は、ブロック単位のブロック移動量[Vs]、 視線移動量検出部305は、ブロック単位の視線移動量[Ve]、 をそれぞれ検出する。 先に、図1〜図22を参照して説明した装置では、移動量検出部において検出するブロックの移動量に視線移動量が等しいと仮定して超解像現象を発生させるという構成としていた。 【0134】 しかし、以下、説明する本発明の構成に従った処理においては、 移動量検出部302の検出するブロックのブロック移動量[Vs]と、 視線移動量検出部305の検出するブロック単位の視線移動量[Ve]、 これらの2つの値[Vs],[Ve]は、必ずしも一致する値とならない。つまり、視線移動量検出部305は、ブロックを追従視しているとの仮定を行わず、観測者がブロック近傍を見ている場合に最も可能性が高いと考えられる視線の動きを予測し、この予測値を視線移動量[Ve]として算出するものである。 【0135】 観測者が、ブロックに含まれるオブジェクト(被写体)を完全に追従視する場合は、図1〜図22を参照して説明した装置において超解像現象の発生に基づく高画質化が可能となる。しかし、追従視していない場合は、これらのブロックの移動量と、ブロック単位の視線移動の予測量には差が発生し、画質の劣化を知覚させてしまうことになる。本発明の処理ではこの差分が発生した場合にも、観測者に大きな画質劣化を感じさせない構成としたものである。 【0136】 視線移動量検出部305は、各ブロック単位で視線移動量[Ve]の検出を行なう。例えば、あるブロックBにおける視線移動量[Ve]は、ブロックB上もしくはその付近を視線が通過すると仮定したときの観測者の注視点の移動速度であり、必ずしも実際の視線の移動と一致する必要は無い。また、本発明における視線移動量[Ve]は、原則的にはブロックBの移動量[Vs]とは別の独立した移動量として算出される。つまり、視線移動量検出部305は、ブロックBを追従視しているか否かに関わらない独立した値として視線移動量[Ve]を決定する。すなわち、観測者がブロックBを含むブロック近傍を見ている場合に最も可能性が高いと考えられる視線の動きを予測して、これを視線移動量[Ve]として算出する。以下、あるブロックにおける視線移動量[Ve]を検出する方法の一例を示す。 【0137】 図25および図26を用いて、ブロックに対応する視線移動量[Ve]の検出方法の例を説明する。図25は水平方向に動く2つのオブジェクト(被写体)351とオブジェクト(被写体)352がすれ違う様子を表している。オブジェクト351は、太い矢印が示すように左方向へと速度V1で動いており、オブジェクト352は細い矢印が示すように速度V2で右方向に移動している。点線の矩形354(ブロック354)が視線移動量[Ve]を検出しようとしているブロック、例えば4×4画素のブロックであるとする。ブロック354はオブジェクト352に完全に含まれるので、ブロック354に対応する移動量は、移動量検出部302においてV2として算出される。 【0138】 ここで、視線移動量検出部305は、ブロック354に対応する視線移動量[Ve]を予測する。視線移動量[Ve]は、原則的にそのブロックを観測者が追従視しなかったときに最も可能性の高い視線の動きを予測して算出する。従って、ブロック354の移動量[Vs]であるV2に等しくなるとは限らない。 【0139】 視線移動量検出部305は、視線移動量[Ve]の算出対象としてのブロック354を中心とするブロック拡張領域353を設定し、ブロック拡張領域353に含まれる全てのブロックのブロック移動量[Vs]の頻度を数え上げる。視線移動量検出部305は、ブロック拡張領域353に含まれる各ブロックの移動量の値において、ブロック354の移動量であるV2とは異なり、かつ頻度が最も高い移動量をブロック354における視線移動量とする。 【0140】 図25に示す例の場合は、ブロック拡張領域353に含まれる全てのブロックの移動量中、最も頻度が高い移動量はV1となる。V1は、V2とは異なる値であるので、V1をブロック354に対応する視線移動量、すなわち視線移動量Ve=V1とする。視線移動量検出部305は全てのブロックに関して上記の作業を行ない、それぞれのブロックに対応する視線移動量を決定する。 【0141】 視線移動量検出部305の異なる処理例について、図26を参照して説明する。図26において、オブジェクト(被写体)361,362の動きは図25のオブジェクト351,352と同様である。この構成において、ブロック364における視線移動量の検出処理を行なう場合、ブロック拡張領域363が設定されるが、ブロック拡張領域363に含まれる各ブロックの移動量が、全て中心のブロック364の移動量と同様となる。 【0142】 このような場合は、ブロック364に対応する視線移動量としてV1を割り当てる。すなわちVe=V1とする。ブロック拡張領域365のように、ブロック366を中心とする領域内のほとんどのブロックの移動量が、中心のブロック366の移動量と同じ場合も同様に、ブロック366に対応する視線移動量としてV2を割り当てる。すなわち視線移動量Ve=V2とする。ブロック拡張領域内のブロックの移動量の大半が中心のブロックと同様であるのかどうかについての判定処理としては、視線移動量検出部305、例えば以下の判定処理を実行する。 【0143】 視線移動量検出部305は、あらかじめ設定した閾値Rを保持し、中心のブロックと同じ(もしくはほぼ同じ)移動量を持つブロックの数Ncが閾値Rを超えた場合は、領域内の大半が中心のブロックと同様であると判断し、視線移動量として、ブロックの移動量と等しい値を設定する。 【0144】 以上の視線移動量決定処理は、ブロックを中心とする特定の範囲内において最も多大な面積を占めるオブジェクトを観測者が注視し易いとの推測によるものである。なお、ブロック拡張領域の形状・大きさは、視線移動量決定処理の対象とするブロックを含み、その中心ブロックより大きな面積を持つ構成とすればどのようなものでもよいが、例えば、中心ブロックを4×4ピクセルとした場合、縦、横の長さが共に10倍程度とした30ピクセル〜50ピクセル程度の正方形などが考えられる。 【0145】 このように、本発明の動画像変換装置では、 移動量検出部302において、ブロック移動量[Vs]、 視線移動量検出部305は、ブロックの視線移動量[Ve]、 これらの2つのブロック対応の値を算出して、これらの値に基づく間引き処理を実行してデータ圧縮(削減)を実行する。 【0146】 なお、上述した視線移動量検出部305の処理は、動画像データに基づいて観測者の視線移動量を推定する処理に基づくものであるが、視線移動量の検出方法は、上記に限らず様々な手法が考えられる。 【0147】 例えば、外部に設置したセンサ等により、実際に動画像を見ている観測者の眼球運動を撮像し、眼球の動きから実際の視線移動量を算出することも可能である。その場合は、全てのブロックに対して、実際の視線移動量を、そのブロックに対応する視線移動量として設定すれば良い。その際は、図27に示すように、視線移動量検出部305を動画像変換装置300の外部に設置する構成となり、視線移動量検出部305は移動量検出部302からのブロックごとの移動量の供給を必要としない。 【0148】 このようにして実際に動画像を見ている観測者の眼球運動に基づいて、各ブロック単位の視線移動量を、動画像データのブロックに対応する属性情報として設定して、この属性情報に従ったデータ圧縮(削減)を行なう構成としてもよい。 【0149】 続いて、標本点位相変化量決定部306の実行する処理の詳細について説明する。標本点位相変化量決定部306は、図24または図27に示す視線移動量検出部305から供給される各ブロックに対応する視線移動量[Ve]と、移動量検出部202から供給される各ブロックに対応するブロック移動量[Vs]の各情報を入力し、入力するこれらの情報に基づいて標本点位相変化量[Vp]を決定して、決定した標本点位相変化量[Vp]を間引き処理実行部303に出力する。間引き処理実行部303では、各ブロックに施す空間方向の画素数間引きにおいて、標本点位相変化量決定部306から入力する標本点位相変化量[Vp]に基づく間引き処理を実行する。 【0150】 標本点位相変化量決定部306における標本点位相変化量[Vp]の決定処理は以下の2段階の処理によって構成される。 (第1段階処理)画質評価特性に基づく標本点位相変化量[Vp]の候補の決定である候補決定処理 (第2段階処理)視線速度に対して最適な標本点位相変化量[Vp]の決定である最終決定処理 以下、これらの処理の詳細について説明する。 【0151】 (第1段階処理)画質評価特性に基づく標本点位相変化量[Vp]の候補の決定である候補決定処理 この第1段階の処理は、本出願人と同一出願人の先の出願である特開2006−5904号に記載されている動画像変換装置100による間引き処理態様決定の方式と同様の処理であり、例えば図28乃至図31および図32に示す画質評価曲線に基づいて行なわれる。 【0152】 図28に示すグラフは、横軸を被写体の移動量の値とし、 標本点位相変化量=0 とした空間方向の画素数間引き処理を施して生成した変換画像データを復元・再生し、追従視を行なった場合の画質評価を記録したグラフであり、図8に示したグラフと同様である。横軸に示した移動量で被写体を右方向に移動させた際の主観評価実験の結果の傾向を画質評価曲線401(図8における205と同様)として示している。縦軸が画質評価(高いほど画質が良いという評価)を示している。 【0153】 図28中にTで示す基準評価値402を設定し、基準評価値T以上の評価を得られる速度の領域を高画質移動量領域403乃至405によって示す。図28から、被写体が403乃至405の領域の速度で移動している場合には、標本点位相変化量=0の間引き処理を施しても、十分な画質を得られることがわかる。 【0154】 図29乃至図31は、図28の曲線401を右方向にシフトすることで作成した画質評価曲線であり、それぞれ、 図29:標本点位相変化量=+1の場合、 図30:標本点位相変化量=+2の場合、 図31:標本点位相変化量=+3の場合、 上記のように対応する。 【0155】 以下に図28の曲線401を右方向にシフトすることで、異なる標本点位相変化量の場合の画質評価曲線が得られる理由を説明する。 【0156】 (式4)ですでに示したように、間引き位置の変更処理(標本点位相変化量≠0の処理)は、(式3)に示されている標本点のずれ量φtをフレーム毎に1/m加算(右にずらす場合)、または1/m減算(左にずらす場合)することに等しい。なお、mは間引き量(mピクセル)である。さらに一般的に、標本点位相変化量=Pの場合の間引き処理は、(式3)に示されている標本点のずれ量φtをフレーム毎にP/m加算することに等しい。標本点位相変化量=Pのもとで画素数の間引き処理を行なった場合の新たな標本点のずれ量φ'tは、下記数式(式5)として示される。 【数4】
【0157】 結局、標本点位相変化量=Pで間引き処理を行なうことは、被写体の移動速度vを概念的に減速することと等しいことが(式5)からわかる。これは、例えばP=1の場合、v=V1における画質評価値はP=0の場合のv=V1−1における画質評価値から得られることを示している。よってP=1の画質評価曲線(図29の曲線411)は図28の曲線401(図29の点線で示した曲線)を右方向に1ピクセル分シフトすることで得られることがわかる。基準評価値T以上の評価を得られる速度の領域を高画質移動量領域413乃至416によって示す。 【0158】 同様に標本点位相変化量Pの場合のv=Vpにおける画質評価値は、標本点位相変化量=0の場合の速度v=Vp−Pの場合の画質評価値より得られるので、図30のP=2の場合の画質評価曲線421は曲線401(図30の点線で示した曲線)を右に2ピクセル分シフトすることで得られる。基準評価値T以上の評価を得られる速度の領域を高画質移動量領域423乃至425によって示す。 【0159】 さらに、図31のP=3の場合の画質評価曲線431は曲線401(図31の点線で示した曲線)を右に3ピクセル分シフトすることで得られることがわかる。基準評価値T以上の評価を得られる速度の領域を高画質移動量領域433乃至436によって示す。 【0160】 なお、以上のように標本点位相変化量P=0の場合以外の画質評価曲線はシミュレーションによって作成したが、全ての標本点位相変化量の場合について実際に実験等によってP=0の場合と同様にグラフを作成しても構わない。 【0161】 図32は図28乃至図31の画質評価曲線401、411、421、431を全て示した図である。図32を参照して理解されるように、あらゆる速度において、画質評価値が閾値Tを上回る(十分な画質を得られる)標本点位相変化量は、複数存在する。 【0162】 例えば、図32において移動量v=3ピクセル/フレームの位置(441の点線上)では、曲線401と421が閾値Tを上回っている。つまり、v=3の場合には、標本点位相変化量P=0またはP=2の間引き処理を施した場合に、観測者が画質劣化を感じない十分な品質の画像が提供できることがわかる。 【0163】 以上のようにして、標本点位相変化量決定部306の第1段階の処理では、各標本点位相変化量に対応する画質評価曲線に基づき、移動量検出部302から供給された各ブロックに対応するブロック移動量[Vs]において、十分な画質(閾値Tを上回る画質)を得られるような標本点位相変化量[Vp]の候補を複数決定する。 【0164】 上記の例は、変換画像データを右方向に移動させてグラフを作成したが、図28乃至図32に示した画質評価曲線は画像データの移動方向(水平・垂直)によらないので、垂直方向の画素数間引きにおける標本点位相変化量の候補も図28乃至図32を用いて決定することができる。 【0165】 また、図29〜図31に示すグラフは、変換画像データを右方向に移動させてグラフを作成した例であるが、例えば4画素から1画素を選択する間引きでは、 標本点位相変化量=+3は、標本点位相変化量=−1に等しく、 標本点位相変化量=+2は、標本点位相変化量=−2に等しく、 標本点位相変化量=+1は、標本点位相変化量=−3に等しい。 という結果であり、4画素から1画素を選択する間引きでは、標本点位相変化量=0〜+3のグラフですべてをカバーできることになる。 【0166】 また、上記の例は、間引き量M=4の場合の画質評価特性であったが、間引き量がその他の値でも、同様の手段によって画質評価特性を生成することが可能である。すなわち、まず、標本点位相変化量を0とした場合の変換画像データを作成して、移動速度を変えて表示し、画質を測定し、しかるのちに、得られた画質評価曲線をシフトすることで間引き量Mに対応する全ての標本点位相変化量に対応する評価曲線を得ることができる。ただし、全ての標本点位相変化量に対応する画質評価曲線を実験によって得ても良い。すなわち、0以外の標本点位相変化量に関しても、実際に変換画像データを作成し、速度を変えて表示し、評価曲線を得ることも可能である。 【0167】 なお、ある速度に対して、間引き量Mの値によっては、必ずしも複数の標本点位相変化量が、閾値Tを上回るものとして選択できるとは限らない。つまり、ある速度に対して評価値が閾値Tを上回るような標本点位相変化量が1種類しか存在しない場合も考えられる。そのような時はその1種類のみを候補とする。 【0168】 このように、標本点位相変化量決定部306は、第1段階処理として、 各標本点位相変化量に対応する画質評価曲線を適用して、移動量検出部302から供給された各ブロックに対応するブロック移動量[Vs]において、十分な画質(閾値Tを上回る画質)を得られるような標本点位相変化量[Vp]の候補を複数決定する。 すなわち、ブロック移動量[Vs]に基づいて、十分な画質(閾値Tを上回る画質)を得られるような標本点位相変化量[Vp]の候補を複数決定する。 【0169】 (第2段階処理)視線速度に対して最適な標本点位相変化量[Vp]の決定である最終決定処理 続いて、標本点位相変化量決定部306は第2段階の処理を行なう。つまり、前記の標本点位相変化量の候補、すなわち、十分な画質(閾値Tを上回る画質)を得られるような標本点位相変化量の候補の中から、視線移動量検出部305から供給された視線移動量[Ve]に対して最適な標本点位相変化量[Vp]を決定する。 【0170】 すなわち、第1段階の処理で、ブロック移動量[Vs]に対応して選択された、閾値Tを上回る画質を得られる標本点位相変化量[Vp]の候補から、さらに、視線移動量検出部305から供給された視線移動量[Ve]に対して最適な標本点位相変化量[Vp]を決定する。 【0171】 第1段階で得られた標本点位相変化量の候補の全ては、観測者が被写体に対して追従視を行なった場合には十分な画質が得られる。そこで第2段階の処理では、観測者が被写体を追従視しない場合、すなわち、非追従視の条件下において、観測者がどのような映像を知覚するかについて考慮した最終的な標本点位相変化量の決定を行なう。 【0172】 観測者が追従視を行なっていない場合に知覚する映像は、 被写体の移動速度であるブロック移動量[Vs]、 標本点位相変化量[Vp]、 観測者の視線の移動速度である視線移動量[Ve]、 これらの値によって決定される。 【0173】 図33は、表示系(実際にディスプレイに表示される様子)を表したものであり、縦軸を時間t(フレーム)、横軸を表示形における水平方向の座標Xdとし、間引き処理後の被写体が表示される様子を示したものである。 【0174】 図中の上部の図33(a)に示すオブジェクト453が、間引き処理前の原画像におけるオブジェクト(被写体)453であり、オブジェクト(被写体)453を構成する各画素に対して1〜11の番号を付与している。 【0175】 図中の下部の図33(b)に示す出力オブジェクト(被写体)450は、オブジェクト(被写体)453の間引き処理結果として各時間t=1,2,3に出力される出力オブジェクト(被写体)450を示している。 時間t=1では、4画素から1画素を抽出する間引き処理において選択された標本点3,7,11が出力され、 時間t=2では、標本点2,6,10が出力され、 時間t=3では、標本点1,5,9が出力されている。 【0176】 このように、出力オブジェクト450は、時間tがt=1、2、3と進行するにつれ、右方向に移動する移動オブジェクトである。このときの出力オブジェクト450の移動速度がブロック移動量に相当する[Vs]である。図中に示す矢印451が、ブロック移動量対応矢印451である。ブロック移動量対応矢印451が垂直に近いほどオブジェクト移動速度(=ブロック移動量[Vs])が小さく、水平に近いほどオブジェクト移動速度(=ブロック移動量[Vs])が大きいことを示している。図に示す例では、オブジェクト移動速度(=ブロック移動量[Vs])は、ほぼ2画素/フレームである。すなわち、Vs=+2である。なお、本処理例では、右方向を[+]、左方向を[−]とする。 【0177】 出力画像中の黒点と黒点の間の距離[M]は間引き量(サンプリング間隔=M)と一致する。黒点位置の変化が標本点位相変化量[Vp]である。被写体速度と同様に標本点位相変化量矢印452によって速度(位相変化量)の大きさを表している。標本点位相変化量[Vp]は、図33(c)に示すように、間引き処理において選択される標本点のフレームあたりの移動量に相当する。図に示す例では、時間t=1,2,3と1つのフレームの進行に従って右方向に1つずつ画素を移動させて標本点が選択されている。この場合の標本点位相変化量Vpは、Vp=+1となる。なお、本処理例では、右方向を[+]、左方向を[−]とする。 【0178】 次に、このような間引き処理画像を観測者が実際に見た場合、観測者の網膜上に映る像の状況を図34および図35を参照して説明する。図34、図35においては、 (a)オブジェクト (b)出力オブジェクト (c)観測者の知覚画像 を示している。 【0179】 (c)観測者の知覚画像は、観測者が(b)出力オブジェクトを実際に見た場合に、観測者の網膜上に映る像の状況を示したものである。 (b)出力オブジェクト中に示す縦軸は図33と同様に時間t(フレーム)であり、横軸は水平方向の座標Xeとなっている。座標Xeは、(c)観測者の知覚画像においても、観測者の「網膜上」の水平方向の座標Xeに相当する。 【0180】 図34(c)は、観測者が出力オブジェクト450を追従して観測した場合の、網膜上の像の状況を示している。網膜座標上における被写体(オブジェクト)移動速度[Vs_e]は、オブジェクト移動速度(=ブロック移動量[Vs])と、視線移動量[Ve]との差分、すなわち、 Vs−Ve によって得られる。 【0181】 観測者がオブジェクトを追従視している時の視線移動量[Ve]は、オブジェクト移動速度(=ブロック移動量[Vs])に等しいので、 網膜座標上における被写体(オブジェクト)移動速度[Vs_e]は、 Vs_e=Vs−Ve=0 となる(図34に示す矢印461)。 【0182】 また網膜座標系における標本点位相変化量[Vp_e]は、視線移動量[Ve]と、標本点位相変化量[Vp]とを用いた以下の式によって得られる(ただし、M=間引き量とする)。 Vp>Veの場合、 Vp_e=(Vp−Ve) mod M Vp<Veの場合、 Vp_e=M−{(Ve−Vp) mod M}・・・(式6) このように示される。 網膜座標系における標本点位相変化量Vp_eについては詳細を後述する。なお、[_e]の記号は、網膜座標系を示すものとする。 【0183】 図34(c)は、観測者が出力オブジェクト450を追従して観測した場合の、網膜上の像の状況としての知覚画像463を示している。観測者の網膜上には、視覚の積分効果により数フレーム分の画像が足しあわされた映像が知覚される。 【0184】 最終的に観測者が知覚する映像は、表示映像がサンプリング間隔Mの荒い映像であるにもかかわらず、超解像効果によりサンプリング間隔がMよりも小さくなった高精細な映像となり画質の劣化は起こらない。 【0185】 図34(c)は、観測者が出力オブジェクト450を追従して観測した場合の、網膜上の像の状況としての知覚画像463は、図34(a)に示すオブジェクト453と完全に同一の画素順序が保たれており、知覚画像においては被写体がほぼ完全に復元されていることがわかる。 【0186】 図35は、観測者が移動オブジェクトの追従視を行なわず、被写体の移動速度とは逆の方向に視線を移動させた場合、すなわち、 オブジェクト移動速度(=ブロック移動量[Vs])>0 視線移動量Ve<0 とした場合の網膜上の像の状況を説明する図であり、図34と同様、 (a)オブジェクト (b)出力オブジェクト (c)観測者の知覚画像 を示している。 【0187】 図35(c)に示す知覚画像472は、図34(c)に示す知覚画像463と同様に、実際に観測者が知覚する映像を表している。 【0188】 図35(c)に示す知覚画像472は、図35(a)に示すオブジェクト453と画素順序が異なっている。具体的には、図35(c)に示す知覚画像472の「5」の画素の左側に、原画像では右側に存在するはずの画素「11」、「6」や「7」の画素が存在しており画素の構成が極端に変わっている。図35(c)に示す知覚画像472のような画像、すなわち画素の並びが実際の並びと大きく食い違っている、より具体的には画素の並びが反転しているような画像を観測者が知覚した場合に、観測者は著しい画質劣化を認識する。 【0189】 観測者の網膜上に見える像が実際のオブジェクトと異なる画像となる現象、すなわち、観測者の網膜上に見える像の画素の並びが実際の並びと食い違う現象について、図を参照して説明する。 【0190】 図36は、動画像を構成する連続フレーム0,1,2における三角形のオブジェクトが速度2ピクセル/フレームで,右方向に移動している様子を示した図であり、(a)オブジェクトの動きと、1/4間引きを行なった出力画像における(b)出力オブジェクトを示している。オブジェクトは右方向に移動している。点線の幅が1画素であり、ブロックは4×4画素によって構成されているとする。図面では、横方向の画素区切りのみを示してある。 【0191】 オブジェクトは、速度2ピクセル/フレームで,右方向に移動している。(b)出力オブジェクトは、標本点位相変化量=3(=−1)で水平方向の空間間引き処理を施した結果の出力画像である。斜線領域は間引き処理により削除されたピクセルに相当する。フレーム0における標本点の位置は、ブロックの一番右の画素であり、標本点位相変化量=−1なので、フレームが進行すると、標本点は1ピクセルずつ左にずれる(右に3ピクセルずれる)設定となっている。 【0192】 このとき、観測者は、(b)出力オブジェクトを観測する。図37は、オブジェクトの追従視を行なった場合を説明する図である。観測者は、図37(1)に示すオブジェクトの中央(白丸)を中止して、オブジェクトを追従視するものとする。この場合、図37(2)出力オブジェクトに対する注視点は、オブジェクトの移動に対応した速度、すなわち2ピクセル/フレームで右側に移動することになる。 【0193】 このときの観測者の網膜上の像について、図38を参照して説明する。図38(1)はフレーム単位の観測者の網膜上の像を示している。外周の楕円が網膜の全体である。図38(2)は観測者の知覚画像を示している。観測者は、積分効果により短い間に表示された複数フレーム画像を積分して認識する結果、図38(2)に示すような複数フレーム分の像の積分結果としての知覚画像を認識する。 【0194】 観測者は、追従視を行なっているので、図38(1)に示すフレーム単位の観測者の網膜上において、注視点が網膜上の中央に設定される。視覚の積分効果により短い間に表示された複数フレームは積分して認識されるので、図38(1)に示すフレーム単位の3つの像がそのまま積分されて、右側の図38(2)知覚画像となる。図38(2)に示す知覚画像は、元のオブジェクトの形とほぼ同じである。すなわち、観測者の網膜上に見える像の画素の並びが実際の並びと食い違うことない画像として認識され、画像の劣化を感じることがない。 【0195】 次に、観測者の網膜上に見える像の画素の並びが実際の並びと食い違う場合の例について、図39、図40を参照して説明する。 【0196】 図39は、オブジェクトの追従視を行なわず、視線移動量[Ve]が、オブジェクト移動速度(=ブロック移動量[Vs])より大きい場合を示している。オブジェクト移動速度(=ブロック移動量[Vs])は、2ピクセル/フレームであるが、視線移動量[Ve]は4ピクセル/フレームである。この場合、視線が4ピクセル/フレームで右に移動しているためオブジェクトを追い越してしまうことになる。 【0197】 このときの観測者の網膜上の像について、図40を参照して説明する。図40(1)はフレーム単位の観測者の網膜上の像を示している。外周の楕円が網膜の全体である。図40(2)は観測者の知覚画像を示している。観測者は、積分効果により短い間に表示された複数フレーム画像を積分して認識する結果、図40(2)に示すような複数フレーム分の像の積分結果としての知覚画像を認識する。 【0198】 観測者は、4ピクセル/フレームで右に移動する視線移動量[Ve]で画像を観察しているので、図40(1)に示すフレーム単位の観測者の網膜上において、4ピクセル/フレームで右に移動する注視点が網膜上の中央に設定される。視覚の積分効果により短い間に表示された複数フレームは積分して認識されるので、図40(1)に示すフレーム単位の3つの像がそのまま積分されて、右側の図40(2)知覚画像となる。図40(2)に示す知覚画像は、元のオブジェクトの形と違う形となる。 【0199】 すなわち、観測者の網膜上に見える像の画素の並びが実際の並びと食い違うことになり、オブジェクトの形が認識できない画像が知覚されることになり、画像の劣化を感じる。 【0200】 このように、観測者が、移動オブジェクトを追従視しない場合には、観測者の知覚画像において、画素の並びの反転が発生する場合がある。 【0201】 続いて、図41乃至図44を参照して、観測者の知覚画像において、画素の並びの反転が発生する条件について考える。図41乃至図44は、 (1)オブジェクト移動速度(=ブロック移動量[Vs])と、視線移動量[Ve]との差の正負、 (2)オブジェクト移動速度(=ブロック移動量[Vs])と、標本点位相変化量[Vp]の大小関係によって区別して観測者の知覚画像を示した図である。すなわち、それぞれ、 図41:Vs−Ve<0 かつ Vs>Vp 図42:Vs−Ve<0 かつ Vs<Vp 図43:Vs−Ve>0 かつ Vs<Vp 図44:Vs−Ve>0 かつ Vs>Vp の状況を示している。図41乃至図44の各図における知覚画像と原画像とを比較して、知覚画像において、現画像に対する画素順反転が発生しているか否かを検討する。 【0202】 図41〜図44、それぞれにおいて、(a)オブジェクトと、(c)知覚画像の画素順を比較する。結果は、以下のようになる。 (1)図41:Vs−Ve<0 かつ Vs>Vpとした場合、 (a)オブジェクトと、(c)知覚画像の画素順の反転は発生しない。 (2)図42:Vs−Ve<0 かつ Vs<Vpとした場合、 (a)オブジェクトと、(c)知覚画像の画素順の反転が発生する。 (3)図43:Vs−Ve>0 かつ Vs<Vpとした場合、 (a)オブジェクトと、(c)知覚画像の画素順の反転は発生しない。 (4)図44:Vs−Ve>0 かつ Vs>Vpとした場合、 (a)オブジェクトと、(c)知覚画像の画素順の反転が発生する。 【0203】 以上の結果が導き出される。上記の結果から、結局、網膜座標系におけるオブジェクト移動速度の絶対値|Vs−Ve|よりも、網膜座標系における標本点位相変化量の絶対値|Vp_e|の方が大きければ画素の反転が起こらないと考えられ、以下の様に画素の反転の発生条件をまとめることができる。 【0204】 ・|Vp_e*|>|Vs−Ve|→画素順は反転しない ・|Vp_e*|<|Vs−Ve|→画素順は反転する 【0205】 ただし、Vp_e*は、正負をVs−Veと一致させた網膜座標系における標本点位相変化量[Vp_e(=Vp−Ve)]である。すなわち、Vs−Ve>0ならばVp_e*>0であり、Vs−Ve<0ならばVp_e*<0とする。 【0206】 先に、(式6)を参照して説明した網膜座標系における標本点位相変化量[Vp_e]は、常に正となるが、標本点の位置を変えずに、上記式のVp_e*を得ることが可能であり、正負が逆転したVp_eをVp_e−とすると、Vp_e−は、以下の式によって算出することができる。 Vp_e−=Vp_e−M・・・(式7) 【0207】 例えばM=4であり、Vp_e=1であったとすると、Vp_e−=−3となる。 つまり、 Vs−Ve>0の場合、 Vp_e*=Vp_e Vs−Ve<0の場合、 Vp_e*=Vp_e−・・・(式8) となる。 【0208】 上記(式7)の変換が単に記述形式の変更に過ぎず、標本点の位置はVp_eとVp_e−とで変わらない(間引き処理結果が変わらない)ことを図45および図46を用いて説明する。 【0209】 図45はある座標系(表示座標系でも網膜座標系であってもよい)における、標本点の位置(図中の黒点の位置)の時間的変化(t=1,2,3・・・)を示したものである。ここでは被写体の動きは特に考慮しない。図中の矢印は標本点位相変化量[Vp]を視覚的に図示したものであり、図45に示す例の場合、標本点位相変化量Vp=1ピクセル/フレームであり、右方向に標本点の位相が変化している様子がわかる。次に図46に注目すると、標本点位相変化量Vp=−3ピクセル/フレームであることがわかる。ところが、図45と図46では標本点の位置に全く違いはない。すなわち、上記の(式6)でVp_eの正負の変換が可能であることが確認できる。 【0210】 以上の結果を基に、標本点位相変化量決定部306の第2段階では、第1段階で決定した、標本点位相変化量の候補の中から、画素の並びが反転しないような標本点位相変化量を1つ決定する。 【0211】 すなわち、標本点位相変化量決定部306の第2段階の処理では、第1段階の処理においてブロック移動量[Vs]に対応して選択された、閾値Tを上回る画質を得られる標本点位相変化量[Vp]の候補から、さらに、視線移動量検出部305から供給された視線移動量[Ve]に基づいて、画素の並びが反転しないような標本点位相変化量、すなわち、 |Vp_e*|>|Vs−Ve| を満足する標本点位相変化量を決定する。 【0212】 なお、上記式において、Vp_e*は、正負をVs−Veと一致させた網膜座標系における標本点位相変化量[Vp_e(=Vp−Ve)]であり、標本点位相変化量決定部306は、移動量検出部302から入力するブロック移動量[Vs]と、視線移動量検出部305から入力する視線移動量[Ve]に基づいて、画素の並びが反転しないような標本点位相変化量、すなわち、 |Vp_e*|>|Vs−Ve| を満足する値、|Vp_e*|を算出し、このVp_e*に基づいて、網膜座標系における標本点位相変化量Vp_eを決定して、 Vp_e=Vp−Ve の関係式に従って、最終的に間引き処理実行部303に出力する標本点位相変化量[Vp]を決定して出力する。 【0213】 標本点位相変化量決定部306が1つのブロックに対して行なう処理を図47乃至図50に示すフローチャートを用いて説明する。標本点位相変化量決定部306はこの処理を全てのブロックに対して行なう。 【0214】 まず、標本点位相変化量決定部306の全体的な処理を図47に示すフローチャートを参照して説明する。標本点位相変化量決定部306は、ステップS101において、標本点位相変化量を決定するブロックに対応する被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])を、移動量検出部302から、視線移動量[Ve]を、視線移動量検出部305から入力する。 【0215】 続いて、ステップS102において、前述した(第1段階処理)画質評価特性に基づく標本点位相変化量[Vp]の候補の決定である候補決定処理を実行する。ここでは、移動量検出部302から入力するブロックに対応する被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])に基づいて、先に図28〜図32を参照して説明した画質評価曲線を適用して、予め定めた基準評価値以上の評価値の得られる曲線を選択して、選択曲線に対応する標本点位相変化量[Vp]の集合を選択候補[Q]として出力する。 【0216】 次に、ステップS103において、前述した(第2段階処理)視線速度に対して最適な標本点位相変化量[Vp]の決定である最終決定処理を実行する。ここでは、各ブロックに対応する被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])と、移動量検出部302から入力する視線移動量[Ve]とに基づいて、ステップS102において決定した標本点位相変化量の候補Qの中から、視線移動量[Ve]で動画像を観察した場合に画素の反転が発生しないような標本点位相変化量を1つ選択する。これを出力標本点位相変化量[Vp]として設定する。 【0217】 最後に、ステップS104において、ステップS103で決定した標本点位相変化量[Vp]を間引き処理実行部303に対して出力する。 【0218】 次に、ステップS102において実行される標本点位相変化量決定部306の第1段階の処理の詳細シーケンスについて、図48に示すフローチャートを参照して説明する。なお、本処理例では、間引き量をMとし、画質評価値の閾値をTとする。また、全ての標本点位相変化量に関する被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])とその画質評価値の関係を示すテーブルをEとする。テーブルEは被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])と標本点位相変化量[Vp]を基に、E(Vp、Vs)の形式で画質評価値を参照可能な表である。テーブルEは例えば図32に示したグラフを基に生成される。また、テーブルのような形式ではなく直接グラフを参照する形式にしてもよい。 【0219】 標本点位相変化量決定の第1段階の処理では、まずステップS201において、被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])を入力する。続いて、ステップS202において、初期化処理を行なう。初期化処理は、カウンタに対応する変数iおよび標本点位相変化量[Vp]に対応する変数[p]を0に設定する処理である。さらに、標本点位相変化量の候補Qの集合、すなわち、Q(i)によってi番目の要素を参照可能な集合Qを空集合に設定する。 【0220】 続いて、ステップS203〜S205において、標本点位相変化量について0からM−1の範囲とした全ての標本点位相変化量pに関して、被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])における評価値E(p、Vs)が閾値Tを超えるかどうかを調べる。閾値Tを超える場合は、集合Qにpの値を追加する。ステップS203はこの判定処理に相当し、判定の結果、閾値Tを超えると判断された標本点位相変化量のみが集合Qの要素として設定される。ステップS204、S205はそれぞれ変数pの更新処理、変数pがMと等しくなったか否かを判定する処理である。 【0221】 ステップS205において、p=Mとなったと判定されると、全ての標本点位相変化量pに関して評価値の確認が終了したものと判断して、ステップS206に進み、集合Qの各要素が、対応する評価値に関して降順に並ぶように、すなわち、評価値の大きい順に並ぶように要素のソートを行ない、ステップS207において、集合Qを出力する。 【0222】 次に、図47に示す全体処理フロー中のステップS103において実行される標本点位相変化量決定部306の第2段階の処理の詳細シーケンスについて、図49に示すフローチャートを参照して説明する。第2段階の処理では、まず、ステップS301において、各ブロックに対応する被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])と、視線移動量[Ve]と、間引き量M、第1段階の処理で生成された標本点位相変化量の候補の集合Qが入力される。 【0223】 続いて、ステップS302において、初期化処理として標本点位相変化量[Vp]についての初期設定として、Vp=Q(0)と設定する。集合Qの要素は、対応する評価値の大きい順にソーティングされているので、Q(0)は、被写体移動速度(=ブロック移動量)=Vsの場合に評価値が最大となる標本点位相変化量である。 【0224】 ステップS303では、視線移動量[Ve]と、被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])とを比較する。Ve=Vsであった場合には、ステップS310に進み、そのままVp=Q(0)、すなわち、図47に示すステップS102の第1段階処理において、評価値が最大となる標本点位相変化量を最終的な標本点位相変化量[Vp]として出力して処理を終了する。この処理は、Ve=Vs、すなわち、視線移動量[Ve]と、被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])とが一致する場合で、観測者がオブジェクトを追従視している場合に相当する処理である。 【0225】 ステップS303において、 Ve=Vs が成立しない場合、すなわち、視線移動量[Ve]と、被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])とが一致しない場合は、ステップS304以降の処理を実行する。 【0226】 ステップS304からS309では標本点位相変化量の候補Qの要素に関して、画素の反転が起きているかどうかを画質評価値が大きいものから順に調べ(S305)、あるiに対して、Q(i)が画素順の反転が起こらない標本点位相変化量であった場合(S306→S307)、VpをQ(i)に設定し(S307)終了する(S309)。あるiに対して、Q(i)が画素順の反転が起こる標本点位相変化量であった場合(S306→S308)、次の候補を調べるためにiをインクリメントする(S308)。この時点で、iがQの要素数|Q|に一致した場合(全ての候補を調べた場合)は処理を終了し(S309)、S302で設定されたVp=Q(0)を出力する。 【0227】 図49のステップS305における画素順の反転チェック処理の詳細を、図50に示すフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS401において、被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])、標本点位相変化量[N]、視線移動量[Ve]を入力する。標本点位相変化量[N]は、標本点位相変化量の候補Qの要素Q(i)である。なお、要素は評価値の高い順に配列されている。 【0228】 次に、ステップS402以下において、標本点位相変化量がN(=Q(i))であり、観測者が視線速度Veで観測する際、速度Vsで移動する被写体の画素順がどのようになるかを調べる。まず、ステップS402において、 Vs>Ve が成立するか否かを判定する。すなわち、Vs−Veが正になるか負になるかを調べる。 【0229】 ステップS402において、 Vs−Veが正であると判定されると、ステップS404に進み、検証対象とした標本点位相変化量N(=Q(i))の値をそのままVp_e*、すなわち、 Vp_e*=N とする。 なお、前述したように、Vp_e*は、正負をVs−Veと一致させた網膜座標系における標本点位相変化量[Vp_e(=Vp−Ve)]である。すなわち、Vs−Ve>0ならばVp_e*>0であり、Vs−Ve<0ならばVp_e*<0とする。 【0230】 ステップS402において、 Vs−Veが正でないと判定されると、ステップS403に進み、先に説明した式(式7)、すなわち、 Vp_e−=Vp_e−M に基づいて、 Vp_e*=N−M として、Vp_e*を算出する。 【0231】 次に、ステップS405において、画素の逆転が発生しない条件をVp_e*が満たしているかどうかを調べる。これは、前述した判定式、 |Vp_e*|>|Vs−Ve| を満足するか否かを判定する処理として実行する。 【0232】 ステップS405において、求めたVp_e*が |Vp_e*|>|Vs−Ve| を満足する場合は、画素の逆転が発生しない条件をVp_e*が満たしていると判断し、ステップS406に進み、反転識別値[Z]を1に設定し、 |Vp_e*|>|Vs−Ve| を満足しない場合は、画素の逆転が発生しない条件をVp_e*が満たしていないと判断し、ステップS407に進み、反転識別値[Z]を0に設定して出力する。反転識別値[Z]=1は反転を起こさないことを示し、反転識別値[Z]=0は反転を起こすことを示す識別値である。 ステップS408では、反転識別値[Z]を出力する。 【0233】 図48に示すフロー中のステップS305において、上記処理が実行され、あるiに対して、Q(i)に対して、画素順の反転が起こらない標本点位相変化量であるか否かを示す反転識別値[Z]が得られ、ステップS306において、Z=1か否かが判定される。 【0234】 ステップS306において、Z=0であると判定した場合は、反転を起こすことを示す識別値であるので、この検証対象となった標本点位相変化量の候補Qの要素Q(i)は不適切な要素であるので、ステップS308において、次の候補を調べるためにiをインクリメントする。ステップS309では、iがQの要素数|Q|に一致するか否かを判定する。一致した場合(全ての候補を調べた場合)は処理を終了し(S310)、ステップS302で設定されたVp=Q(0)を出力する。すなわち、最も評価値の高いものを標本点位相変化量[Vp]として出力する。 【0235】 ステップS306において、Z=1であると判定した場合は、反転を起こさないことを示す識別値であるので、この検証対象となった標本点位相変化量の候補Qの要素Q(i)は適切な要素であるので、ステップS307において、これを標本点位相変化量[Vp]として決定して、ステップS310に進み出力して処理を終了する。 【0236】 なお、|Vp_e*|の最大値はM−1であるが|Vs−Ve|の最大値は幾らでも大きくなることができる。|Vs−Ve|がM−1を超える場合、いかなる標本点位相変化量を用いても画素順の逆転を防ぐことはできない。しかしながら、|Vs−Ve|が大きい場合は、すなわち視線の移動速度と被写体の移動速度が極端に乖離している場合であり、そのような条件下では、画素順の逆転が発生しても、画質の劣化は認識されないことが実験により明らかになっている。 【0237】 以上のようにして標本点位相変化量決定部306は、視線移動量検出部305から供給される各ブロックに対応する視線移動量[Ve]と、移動量検出部302から供給される各ブロックに対応する被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])に基づき、間引き処理実行部303で各ブロックに施される空間方向の画素数間引きにおいて、画素の逆転の発生しない最適な標本点位相変化量[Vp]を決定して、間引き処理実行部303に供給する。 【0238】 なお、標本点位相変化量決定部306は、視線移動量検出部305から供給される視線移動量[Ve]と、移動量検出部302から供給される被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])に基づいて、逐次、最適な標本点位相変化量[Vp]を決定する処理を実行する構成としてもよいが、予め、被写体移動速度(=ブロック移動量[Vs])と、視線移動量[Ve]の想定される組み合わせに対する最適な標本点位相変化量を上述の処理によって算出し、算出結果をルックアップテーブルなどの形式で記憶部に記録し、入力される視線移動量[Ve]とブロック移動量[Vs]とに基づいて、ルックアップテーブルから最適な標本点位相変化量[Vp]を取得する構成としてもよい。 【0239】 続いて、間引き処理実行部303の処理について説明する。間引き処理実行部303はブロック分割部301より供給されたブロックに対して空間方向の画素数間引きを施す。この際、移動量検出部302より供給されたブロックに対応する移動量情報、すなわち、ブロック移動量[Vs]に基づいて、間引き処理を実際に施すかどうか、また、間引き処理を施す場合は、水平方向と垂直方向のどちらの方向の画素数間引き処理を施すかを判断する。さらに、標本点位相変化量決定部306から入力する標本点位相変化量[Vp]に基づいて、間引き処理を施す場合の標本点位相変化量[Vp]を決定する。 【0240】 間引き処理を施すか否かの判断には、まず移動量検出部302より供給された移動量(ブロック移動量[Vs])のX方向成分:VxとY方向成分:Vyを比較する。各成分のうち絶対値の大きいほうの成分の値:Vが、予め設定された閾値Vtを超えていた場合は画素数間引きを施す。このとき|Vy|>|Vx|ならば垂直方向の画素数間引きを施し、それ以外の場合は、水平方向の画素数間引きを施す。Vが閾値Vtを下回る場合は、間引き処理実行部13は当該ブロックに空間方向の画素数間引き処理は施さない。 【0241】 画素数間引きを施すと判断した場合は、さらに、間引き処理実行部303は、標本点位相変化量決定部306より供給される各ブロックに対応する標本点位相変化量[Vp]を適用して間引き処理を実行する。以下、画素数間引きの具体的な処理例を説明する。 【0242】 図51乃至図62を用いて、間引き処理実行部303の施す空間方向の画素数間引きの処理例を説明する。この例では、1つのブロックの大きさを、図51に示すような4ピクセル×4ピクセルに設定する。また、間引き処理実行部303の実行する画素数間引き処理によって残す出力画素数は4画素に1画素とする。つまり、画素数間引きが施されたブロックのデータ量は1/4に削減される。 【0243】 なお、この間引き処理態様は一例であり、画素数間引きの処理単位は、様々な設定が可能である。また、ここで説明する処理例では、画素数間引きを施す移動量の閾値Vtを、Vt=2ピクセル/フレームに設定する。すなわち、水平方向の移動量Vxおよび垂直方向の移動量Vyに関し、 |Vy|>|Vx|かつ |Vy|≧2 であれば、垂直方向の画素数間引き処理を施し、 |Vx|≧|Vy|かつ |Vx|>2 であれば、水平方向の画素数間引き処理を施す。 【0244】 ただし、十分な画質を得るための間引き量には移動速度に対応する上限があるため、その上限以内での処理を行なうことが好ましい。上限や一般的な間引き量と移動速度の関係については人間の視覚特性および超解像現象に関する原理や説明とともに、特開2005−198268において詳しく解説がなされている。なお、画素数間引き処理により残す出力画素数をM画素に1画素とすると、このときのブロックの大きさとして採用可能なサイズはPMピクセル×QMピクセルとなる(P、Q=1、2、・・・)。また、標本点位相変化量決定部306より供給される標本点位相変化量の取り得る値の範囲は、0〜M−1(ピクセル/フレーム)となる。標本点位相変化量を適用した処理については後述する。 【0245】 図51乃至図56を用いて、間引き処理実行部303の実行する水平方向の画素数間引きについて説明する。水平方向の画素数間引きを実行する条件は、前述したように、 |Vx|≧|Vy|かつ |Vx|>Vt であり、ブロックが上記移動量の条件を満足する場合に間引き処理実行部303は 水平方向の画素数間引き処理を実行する。 【0246】 水平方向の画素数間引き処理を施す場合、間引き処理実行部303は、まず、図51に示すように4×4のブロックを縦1画素×横4画素単位の集合に分割する。さらに、間引き処理実行部303は図52乃至図55のいずれかの態様で、1×4ピクセルの画素値p1乃至p4を、その中の1つの画素値にする画素数間引き処理を行なう。 【0247】 [標本点位相変化量=0の場合の間引き処理] まず、標本点位相変化量決定部306から入力する標本点位相変化量[Vp]が0の場合の間引き処理例について説明する。 【0248】 図52に示す間引き処理は、標本点位相変化量が0ピクセル/フレームの画素数間引き処理である。標本点位相変化量が0ピクセル/フレームの場合は、現在処理中のフレーム番号(現在のフレームが処理開始時から数えて何番目のフレームであるか)に依らず、同一位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点として、4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。図52の例ではp1が標本点となっているが、p1乃至p4のいずれの画素であってもよい。 【0249】 [標本点位相変化量=1の場合の間引き処理] 次に、標本点位相変化量決定部306から入力する標本点位相変化量[Vp]が1の場合の間引き処理例について説明する。なお、この処理例は1/4間引き処理の場合、標本点位相変化量[Vp]が−3の場合の間引き処理と同等である。 【0250】 図53に示す間引き処理は、標本点位相変化量が1ピクセル/フレームの画素数間引き処理である。標本点位相変化量が1ピクセル/フレームの場合は、フレーム番号の増加とともに標本点の位置も1ピクセルずつ右方向(右方向を正とする場合)へと変化する。すなわち、現在処理中のフレーム番号を4N+k(k=0、1、2、3)によって表し、4画素中の一番左の画素の座標を(X、Y)によって表すと、(X+k、Y)の位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点として、4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。なお、間引き量Mの場合kの範囲は0からM−1となる。 【0251】 図53に示す標本点位相変化量が1ピクセル/フレームの画素数間引き処理の場合、 フレーム0における標本点をp1とすると、 4N番目のフレーム(0、4、8番目等のフレーム):標本点=p1 4N+1番目のフレーム(1、5、9番目等のフレーム):標本点=p2 4N+2番目のフレーム(2、6、10番目等のフレーム):標本点=p3 4N+3番目のフレーム(3、7、11番目等のフレーム):標本点=p4 上記のように、1フレームの進行に応じて、4×4画素のブロック内における標本点の画素位置を右方向に1画素ずつ変更した間引き処理を、4フレーム単位で繰り返し実行することになる。 【0252】 [標本点位相変化量=2の場合の間引き処理] 次に、標本点位相変化量決定部306から入力する標本点位相変化量[Vp]が2の場合の間引き処理例について説明する。なお、この処理例は1/4間引き処理の場合、標本点位相変化量[Vp]が−2の場合の間引き処理と同等である。 【0253】 図54に示す間引き処理は、標本点位相変化量が2ピクセル/フレームの画素数間引き処理である。標本点位相変化量が2ピクセル/フレームの場合は、フレーム番号の増加とともに標本点の位置も2ピクセルずつ右方向へと変化する。すなわち、現在処理中のフレーム番号を4N+kによって表し、4画素中の一番左の画素の座標を(X、Y)によって表すと、(X+(2k MOD 4)、Y)の位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点として、4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。ここで、MODは剰余を意味する。なお、一般的に間引き量をMとして考えると、(X+(2k MOD M)、Y)の位置の画素値が標本点となる。 【0254】 図54に示す標本点位相変化量が2ピクセル/フレームの画素数間引き処理の場合、 フレーム0における標本点をp1とすると、 4N番目のフレーム:標本点=p1 4N+1番目のフレーム:標本点=p3 4N+2番目のフレーム:標本点=p1 4N+3番目のフレーム:標本点=p3 上記のように、1フレームの進行に応じて、4×4画素のブロック内における標本点の画素位置を右方向に2画素ずつ変更した間引き処理を、2フレーム単位で繰り返し実行することになる。 【0255】 [標本点位相変化量=3の場合の間引き処理] 次に、標本点位相変化量決定部306から入力する標本点位相変化量[Vp]が3の場合の間引き処理例について説明する。なお、この処理例は1/4間引き処理の場合、標本点位相変化量[Vp]が−1の場合の間引き処理と同等である。 【0256】 図55に示す間引き処理は、標本点位相変化量が3ピクセル/フレームの画素数間引き処理である。標本点位相変化量が3ピクセル/フレームの場合は、フレーム番号の増加とともに標本点の位置も3ピクセルずつ右方向へと変化する。すなわち、現在処理中のフレーム番号を4N+kによって表し、4画素中の一番左の画素の座標を(X、Y)によって表すと、(X+(3k MOD 4)、Y)の位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点として、4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。なお、一般的に間引き量をMとして考えると、(X+(3k MOD M)、Y)の位置の画素値が標本点となる。 【0257】 図55に示す標本点位相変化量が3ピクセル/フレームの画素数間引き処理の場合、 フレーム0における標本点をp4とすると、 4N番目のフレーム:標本点=p4 4N+1番目のフレーム:標本点=p3 4N+2番目のフレーム:標本点=p2 4N+3番目のフレーム:標本点=p1 上記のように、1フレームの進行に応じて、4×4画素のブロック内における標本点の画素位置を左方向に1画素ずつ変更した間引き処理を、4フレーム単位で繰り返し実行することになる。 【0258】 このように図53乃至図55に示す間引き処理は、フレームの進行に応じて、異なる標本点の画素位置を各フレームの4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。なお、上記は間引き量M=4の場合である。 【0259】 間引き量Mを任意の値に設定した場合の処理について説明する。一般的には、間引き量Mの場合、間引き処理実行部303は、まず、図56に示すようにM×Mのブロックを縦1画素×横M画素単位の集合に分割する。なお、標本点位相変化量:Pは0〜M−1までの値を取り得る。このとき、現在処理中のフレーム番号をM×N+kによって表し、M画素中の一番左の画素の座標を(X、Y)によって表すと、間引き処理実行部303は、(X+(P×k MOD M)、Y)の位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点として、M個の画素の画素値として設定する。 【0260】 次に、図57乃至図62を用いて、垂直方向の画素数間引きについて説明する。間引き処理実行部303が垂直方向の画素数間引き処理を施す場合、間引き処理実行部303は、まず、図57に示すように4×4のブロックを縦4画素×横1画素単位の集合に分割する。さらに、間引き処理実行部303は図58乃至図61のいずれかの態様で、4×1ピクセルの画素値p1乃至p4を、その中の1つの画素値にする画素数間引き処理を行なう。 【0261】 [標本点位相変化量=0の場合の間引き処理] 次に、標本点位相変化量決定部306から入力する標本点位相変化量[Vp]が0の場合の間引き処理例について説明する。 【0262】 図58に示す間引き処理は、標本点位相変化量が0ピクセル/フレームの画素数間引き処理である。標本点位相変化量が0ピクセル/フレームの場合は、現在処理中のフレーム番号(現在のフレームが処理開始時から数えて何番目のフレームであるか)に依らず、同一位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点として、4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。図58に示す間引き処理例ではp1が標本点となっているが、p1乃至p4のいずれの画素であってもよい。 【0263】 [標本点位相変化量=1の場合の間引き処理] 次に、標本点位相変化量決定部306から入力する標本点位相変化量[Vp]が1の場合の間引き処理例について説明する。なお、この処理例は1/4間引き処理の場合、標本点位相変化量[Vp]が−3の場合の間引き処理と同等である。 【0264】 図59に示す間引き処理は、標本点位相変化量が1ピクセル/フレームの画素数間引き処理である。標本点位相変化量が1ピクセル/フレームの場合は、フレーム番号の増加とともに標本点の位置も1ピクセルずつ下方向(下方向を正とする場合)へと変化する。すなわち、現在処理中のフレーム番号を4N+k(k=0、1、2、3)によって表し、4画素中の一番上の画素の座標を(X、Y)によって表すと、(X、Y+k)の位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点として、4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。なお、間引き量Mの場合kの範囲は0からM−1となる。 【0265】 図59に示す標本点位相変化量が1ピクセル/フレームの画素数間引き処理の場合、 フレーム0における標本点をp1とすると、 4N番目のフレーム(0、4、8番目等のフレーム):標本点=p1 4N+1番目のフレーム(1、5、9番目等のフレーム):標本点=p2 4N+2番目のフレーム(2、6、10番目等のフレーム):標本点=p3 4N+3番目のフレーム(3、7、11番目等のフレーム):標本点=p4 上記のように、1フレームの進行に応じて、4×4画素のブロック内における標本点の画素位置を下方向に1画素ずつ変更した間引き処理を、4フレーム単位で繰り返し実行することになる。 【0266】 [標本点位相変化量=2の場合の間引き処理] 次に、標本点位相変化量決定部306から入力する標本点位相変化量[Vp]が2の場合の間引き処理例について説明する。なお、この処理例は1/4間引き処理の場合、標本点位相変化量[Vp]が−2の場合の間引き処理と同等である。 【0267】 図60に示す間引き処理は、標本点位相変化量が2ピクセル/フレームの画素数間引き処理である。標本点位相変化量が2ピクセル/フレームの場合は、フレーム番号の増加とともに標本点の位置も2ピクセルずつ下方向へと変化する。すなわち、現在処理中のフレーム番号を4N+kによって表し、4画素中の一番上の画素の座標を(X、Y)によって表すと、(X、Y+(2×k MOD 4))の位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点として、4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。なお、一般的に間引き量をMとして考えると、(X、Y+(2×k MOD M))の位置の画素値が標本点となる。 【0268】 図60に示す標本点位相変化量が2ピクセル/フレームの画素数間引き処理の場合、 フレーム0における標本点をp1とすると、 4N番目のフレーム:標本点=p1 4N+1番目のフレーム:標本点=p3 4N+2番目のフレーム:標本点=p1 4N+3番目のフレーム:標本点=p3 上記のように、1フレームの進行に応じて、4×4画素のブロック内における標本点の画素位置を下方向に2画素ずつ変更した間引き処理を、2フレーム単位で繰り返し実行することになる。 【0269】 [標本点位相変化量=3の場合の間引き処理] 次に、標本点位相変化量決定部306から入力する標本点位相変化量[Vp]が3の場合の間引き処理例について説明する。なお、この処理例は1/4間引き処理の場合、標本点位相変化量[Vp]が−1の場合の間引き処理と同等である。 【0270】 図61に示す間引き処理は、標本点位相変化量が3ピクセル/フレームの画素数間引き処理である。標本点位相変化量が3ピクセル/フレームの場合は、フレーム番号の増加とともに標本点の位置も3ピクセルずつ下方向へと変化する。すなわち、現在処理中のフレーム番号を4N+kによって表し、4画素中の一番上の画素の座標をXによって表すと、(X、Y+(3×k MOD 4))の位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点として、4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。なお、一般的に間引き量をMとして考えると、(X、Y+(3×k MOD M))の位置の画素値が標本点となる。 【0271】 図61に示す標本点位相変化量が3ピクセル/フレームの画素数間引き処理の場合、 フレーム0における標本点をp4とすると、 4N番目のフレーム:標本点=p4 4N+1番目のフレーム:標本点=p3 4N+2番目のフレーム:標本点=p2 4N+3番目のフレーム:標本点=p1 上記のように、1フレームの進行に応じて、4×4画素のブロック内における標本点の画素位置を上方向に1画素ずつ変更した間引き処理を、4フレーム単位で繰り返し実行することになる。 【0272】 このように図58乃至図61に示す間引き処理は、フレームの進行に応じて、異なる標本点の画素位置を各フレームの4つの画素の画素値として設定する間引き処理である。なお、上記は間引き量M=4の場合である。 【0273】 間引き量Mを任意の値に設定した場合の処理について説明する。一般的には、間引き量Mの場合、間引き処理実行部303は、まず、図62に示すようにM×Mのブロックを縦M画素×横1画素単位の集合に分割する。なお、標本点位相変化量:Pは0〜M−1までの値を取り得る。このとき、現在処理中のフレーム番号をMN+kによって表し、M画素中の一番上の画素の座標を(X、Y)によって表すと、間引き処理実行部13は、(X、Y+(P×k MOD M))の位置の画素値を代表画素値、すなわち標本点として、M個の画素の画素値として設定する。 【0274】 最後に、出力部304について説明する。出力部304は、間引き処理実行部303から供給されたデータ量が削減されたブロックもしくはオリジナルのブロックについてのデータ、および各ブロックにどのような処理が施されたに関する情報を出力する。処理内容に関する情報は、間引き処理が施されたのか否かを示す情報、空間方向の間引き処理が施された場合はいずれの方向(水平・垂直)の間引き処理が施されたのかを示す情報、空間方向の間引き処理における標本点位相変化量を示す情報、元の動画像のフレームレート、空間解像度に関する情報などから構成されるが、他の情報が加えられても構わない。 【0275】 なお、出力部304の後段には、例えばハードディスク、DVDなどの記憶媒体、あるいはネットワーク出力手段が接続され、データ変換によって圧縮されたデータの格納、あるいはネットワーク出力が実行される。 【0276】 以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。 【0277】 また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。 【0278】 例えば、プログラムは記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことができる。あるいは、プログラムはフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。 【0279】 なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。 【0280】 なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。 【産業上の利用可能性】 【0281】 以上、説明したように、本発明の一実施例の構成によれば、画像内の被写体の動き、および観測者の視線の動きに対応した最適な圧縮処理態様を決定し、決定した態様に従って領域毎に最適な態様でデータ変換処理を行なう構成としたので、観測者の視線の動きによらない品質劣化のきわめて少ない動画像のデータ削減処理を可能とした動画像変換装置が実現される。 【0282】 本発明の一実施例の構成によれば、動画像データを構成するブロックにおける被写体移動量(ブロック移動量[Vs])および視線移動量[Ve]を検出し、検出した被写体移動量および視線移動量に基づいて、標本点位相変化量[Vp]を決定し、決定した標本点位相変化量[Vp]を適用して空間方向間引き処理を実行する構成としたので、観測者が被写体を追従する場合においては超解像効果を発生させることが可能となり、また、観測者が被写体を追従しない場合においても、画像を構成する画素の配置の変化を最小限に抑えることが可能となり、画質劣化を抑制したデータ変換を実現する動画像変換装置が提供される。 【0283】 また、本発明の一実施例の構成によれば、間引き量Mの空間方向間引き処理において、0からM−1までの標本点位相変化量により間引き処理を施した場合の処理データに基づいて生成される被写体移動速度と画質評価値の対応データを用いて、まず追従視の状況下で処理対象ブロックの移動速度に対して画質の評価値が予め定めた基準評価値以上となる最適な標本点位相変化量の候補を複数選択し、前記候補の中からさらに非追従視に対して最適な標本点位相変化量を選択する構成とすることで、処理対象ブロックの様々な移動量および観測者の様々な視線移動に対応した高品質画像の提示を可能としたデータ変換を実現する動画像変換装置が提供される。 【図面の簡単な説明】 【0284】 【図1】超解像効果を利用したデータ変換を実行する動画像変換装置の基本構成を示す図である。 【図2】超解像効果を利用したデータ変換を実行する動画像変換装置の詳細構成の詳細を示す図である。 【図3】動画像変換装置におけるブロック処理部の処理について説明する図である。 【図4】動画像変換装置におけるブロック処理部の処理について説明する図である。 【図5】動画像変換装置におけるブロック処理部の処理について説明する図である。 【図6】動画像変換装置におけるブロック処理部の詳細構成について説明する図である。 【図7】被写体が移動していないという状況、水平方向に速度v=1ピクセル/フレームで移動しているという状況を説明する図である。 【図8】被写体移動量と、画質の主観評価実験の結果の傾向を示すグラフとしての画質評価曲線を示す図である。 【図9】標本点移動型の間引き処理における仮想的な移動速度の設定と画質評価曲線との対応について説明する図である。 【図10】標本点移動型の間引き処理における仮想的な移動速度の設定と画質評価曲線との対応について説明する図である。 【図11】移動量検出部からの移動量情報に基づいて、決定する間引き処理態様の決定例について説明する図である。 【図12】標本点固定[標本点位相変化量=[0]]の間引き処理例について説明する図である。 【図13】標本点位置をフレームの進行に従って下方向へずらす間引き処理[標本点位相変化量=[+n]]について説明する図である。 【図14】標本点位置をフレームの進行に従って上方向へずらす間引き処理[標本点位相変化量=[−n]]について説明する図である。 【図15】時間方向間引き処理の例について説明する図である。 【図16】間引き量m=2とした場合の、標本点固定型の間引き処理と標本点移動型の間引き処理の態様を説明する図である。 【図17】間引き量m=2とした場合の、標本点固定型の間引き処理と標本点移動型の間引き処理の態様を説明する図である。 【図18】間引き量m=2とした場合の、標本点固定型の間引き処理と標本点移動型の間引き処理の態様を説明する図である。 【図19】間引き量m=2とした場合の、標本点固定型の間引き処理と標本点移動型の間引き処理の態様を説明する図である。 【図20】間引き量m=2とした場合の、標本点固定型の間引き処理と標本点移動型の間引き処理の態様を説明する図である。 【図21】間引き量m=2とした場合の、標本点固定型の間引き処理と標本点移動型の間引き処理の態様を説明する図である。 【図22】時間方向間引き(4フレーム→2フレーム)処理例について説明する図である。 【図23】複数の異なる移動速度や移動方向を持つ異なる複数のオブジェクトが存在する場合の例について説明する図である。 【図24】本発明の一実施例に従った動画像変換装置の構成例について説明する図である。 【図25】ブロックに対応する視線移動量[Ve]の検出方法の例を説明する図である。 【図26】ブロックに対応する視線移動量[Ve]の検出方法の例を説明する図である。 【図27】本発明の一実施例に従った動画像変換装置の構成例について説明する図である。 【図28】標本点位相変化量=0とした空間方向の画素数間引き処理を施して生成した変換画像データを復元・再生し、追従視を行なった場合の画質評価曲線を示す図である。 【図29】標本点位相変化量=+1の場合の画質評価曲線を示す図である。 【図30】標本点位相変化量=+2の場合の画質評価曲線を示す図である。 【図31】標本点位相変化量=+3の場合の画質評価曲線を示す図である。 【図32】図28乃至図31の画質評価曲線を全て示した図である。 【図33】縦軸を時間t(フレーム)、横軸を表示形における水平方向の座標Xdとし、間引き処理後の被写体が表示される様子を説明する図である。 【図34】間引き処理画像を観測者が実際に見た場合、観測者の網膜上に映る像の状況を説明 | |