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【発明の名称】 画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
【発明者】 【氏名】小野 光洋

【氏名】後藤 文孝

【氏名】後藤 史博

【氏名】加藤 真夫

【氏名】山田 顕季

【氏名】諏訪 徹哉

【氏名】橋井 雄介

【氏名】宮城 新

【要約】 【課題】エッジ強調処理を行う際の出力デバイスの特性に基づく画像劣化を低減する。

【構成】画像記録部により記録媒体に記録される画像データを処理する画像処理装置において、記録媒体への記録特性を設定する設定手段と、領域を設定する領域設定手段と、輝度値を求める輝度値導出手段と、輝度値の一次微分量を導出する一次微分量導出手段と、輝度のエッジ方向を判定するエッジ方向判定手段と、輝度の一次微分量に基づいて画素値の強調量を決定する強調量決定手段と、輝度の二次微分量を求め正の値を持つ場合には最小輝度となる画素の画素値に強調量を付与した画素値で置換し、負の値を持つ場合には最大輝度となる画素の画素値に強調量を付与した画素値で置換する置換手段とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像記録部により記録媒体に記録される画像データを処理する画像処理装置であって、
画像処理部における記録媒体への記録特性を設定する設定手段と、
注目画素を含む複数画素で構成される領域を設定する領域設定手段と、
前記領域内の各画素の輝度値を求める輝度値導出手段と、
前記領域内において、注目画素を含みそれぞれが互いに異なる方向の複数の画素配列について、前記輝度値導出手段で導出した輝度値の一次微分量を導出する一次微分量導出手段と、
前記一次微分量導出手段で導出した各画素配列の注目画素位置における一次微分量の結果に基づき、該注目画素位置における輝度のエッジ方向を判定するエッジ方向判定手段と、
前記記録特性および前記エッジ方向判定手段で判定されたエッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における輝度の一次微分量に基づいて、画素値の強調量を決定する強調量決定手段と、
前記エッジ方向判定手段で判定されたエッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における輝度の二次微分量を求め、前記注目画素位置における二次微分量が正の値を持つ場合には該注目画素の画素値を前記画素配列内で最小輝度となる画素の画素値に前記強調量を付与した画素値で置換し、前記注目画素位置における二次微分量が負の値を持つ場合には該注目画素の画素値を前記画素配列内で最大輝度となる画素の画素値に前記強調量を付与した画素値で置換する置換手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記記録特性は、前記記録部の種別および前記記録媒体の種別の少なくとも一方により指定されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記強調量決定手段は、
前記エッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における一次微分量に基づき輝度値の変動回数を導出する変動回数導出手段と、
前記エッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における一次微分量に基づき輝度値の変動量を導出する変動量導出手段と、
を備えており、前記変動回数および前記変動量の少なくとも一方に基づいて画素値の強調量を決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記強調量決定手段は、前記変動回数を第1閾値および該第1閾値より大きい第2閾値と比較する第1比較手段を備えており、前記変動回数が前記第1閾値より小さい場合に前記強調量を予め指定された最大値となるよう設定し、前記変動回数が前記第2閾値より大きい場合に前記強調量を予め指定された最小値となるよう設定し、前記変動回数が前記第1閾値より大きくかつ前記第2閾値より小さい場合に前記強調量を前記最大値および前記最小値から線形補間により設定することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記強調量決定手段は、前記変動量を第3閾値および該第3閾値より大きい第4閾値と比較する第2比較手段を備えており、前記変動量が前記第3閾値より小さい場合に前記強調量を予め指定された最小値となるよう設定し、前記変動量が前記第4閾値より大きい場合に前記強調量を予め指定された最大値となるよう設定し、前記変動量が前記第3閾値より大きくかつ前記第4閾値より小さい場合に前記強調量を前記最大値および前記最小値から線形補間により設定することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像データは文字画像を含んでおり、前記記録特性は、前記記録媒体へ記録される文字の太さの指定であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像記録部により記録媒体に記録される画像データを処理する画像処理方法であって、
画像処理部における記録媒体への記録特性を設定する設定工程と、
注目画素を含む複数画素で構成される領域を設定する領域設定工程と、
前記領域内の各画素の輝度値を求める輝度値導出工程と、
前記領域内において、注目画素を含みそれぞれが互いに異なる方向の複数の画素配列について、前記輝度値導出工程で導出した輝度値の一次微分量を導出する一次微分量導出工程と、
前記一次微分量導出工程で導出した各画素配列の注目画素位置における一次微分量の結果に基づき、該注目画素位置における輝度のエッジ方向を判定するエッジ方向判定工程と、
前記記録特性および前記エッジ方向判定工程で判定されたエッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における輝度の一次微分量に基づいて、画素値の強調量を決定する強調量決定工程と、
前記エッジ方向判定工程で判定されたエッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における輝度の二次微分量を求め、前記注目画素位置における二次微分量が正の値を持つ場合には該注目画素の画素値を前記画素配列内で最小輝度となる画素の画素値に前記強調量を付与した画素値で置換し、前記注目画素位置における二次微分量が負の値を持つ場合には該注目画素の画素値を前記画素配列内で最大輝度となる画素の画素値に前記強調量を付与した画素値で置換する置換工程と、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
画像記録部により記録媒体に記録される画像データを処理する画像処理プログラムであって、
画像処理部における記録媒体への記録特性を設定する設定工程を実行するためのプログラムコードと、
注目画素を含む複数画素で構成される領域を設定する領域設定工程を実行するためのプログラムコードと、
前記領域内の各画素の輝度値を求める輝度値導出工程を実行するためのプログラムコードと、
前記領域内において、注目画素を含みそれぞれが互いに異なる方向の複数の画素配列について、前記輝度値導出工程で導出した輝度値の一次微分量を導出する一次微分量導出工程を実行するためのプログラムコードと、
前記一次微分量導出工程で導出した各画素配列の注目画素位置における一次微分量の結果に基づき、該注目画素位置における輝度のエッジ方向を判定するエッジ方向判定工程を実行するためのプログラムコードと、
前記記録特性および前記エッジ方向判定工程で判定されたエッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における輝度の一次微分量に基づいて、画素値の強調量を決定する強調量決定工程を実行するためのプログラムコードと、
前記エッジ方向判定工程で判定されたエッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における輝度の二次微分量を求め、前記注目画素位置における二次微分量が正の値を持つ場合には該注目画素の画素値を前記画素配列内で最小輝度となる画素の画素値に前記強調量を付与した画素値で置換し、前記注目画素位置における二次微分量が負の値を持つ場合には該注目画素の画素値を前記画素配列内で最大輝度となる画素の画素値に前記強調量を付与した画素値で置換する置換工程を実行するためのプログラムコードと、
を備えることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項9】
注目画素を含む複数画素で構成される領域を設定する領域設定手段と、
前記設定された領域内の複数画素を用いて、前記注目画素に関する画像の変化特性を判定する判定手段と、
記録部による記録媒体への記録特性を設定する記録特性設定手段と、
前記領域設定手段により設定された領域内の画素を用いて前記注目画素を加工し、設定された前記記録特性により加工された注目画素の値を補正する加工手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
前記変化特性は、領域内にある複数画素の輝度の変動量及び変動回数であり、
前記加工手段は、変動加速度に応じて、領域内の最大輝度または最小輝度を持つ画素を用いて算出された色に注目画素の色を置換し、前記補正として変動加速度を補正することを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
注目画素を含む複数画素で構成される領域を設定する領域設定工程と、
前記設定された領域内の複数が素を用いて、前記注目画素に関する画像の変化特性を判定する判定工程と、
記録部による記録媒体への記録特性を設定する記録特性設定工程と、
前記領域設定手段により設定された領域内の画素を用いて前記注目画素を加工し、設定された前記記録特性により加工された注目画素の値を補正する加工工程と、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
前記変化特性は、領域内にある複数画素の輝度の変動量及び変動回数であり、
前記加工工程は、変動加速度に応じて、領域内の最大輝度または最小輝度を持つ画素を用いて算出された色に注目画素の色を置換し、前記補正として変動加速度を補正することを特徴とする請求項11に記載の画像処理方法。
【請求項13】
注目画素を含む複数画素で構成される領域を設定する領域設定工程を実行するためのプログラムコードと、
前記設定された領域内の複数が素を用いて、前記注目画素に関する画像の変化特性を判定する判定工程を実行するためのプログラムコードと、
記録部による記録媒体への記録特性を設定する記録特性設定工程を実行するためのプログラムコードと、
前記領域設定手段により設定された領域内の画素を用いて前記注目画素を加工し、設定された前記記録特性により加工された注目画素の値を補正する加工工程を実行するためのプログラムコードと、
を備えることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項14】
前記変化特性は、領域内にある複数画素の輝度の変動量及び変動回数であり、
前記加工工程を実行するためのプログラムコードは、変動加速度に応じて、領域内の最大輝度または最小輝度を持つ画素を用いて算出された色に注目画素の色を置換し、前記補正として変動加速度を補正することを特徴とする請求項13に記載の画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術、特に画像記録の特性に基づいた画像データのエッジ強調技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原稿画像を光学的に読み取り、読み取った画像を用紙等の記録媒体上に記録する複写機がある。一般的に複写機の読取部(スキャナ)で光学的に読み取った画像のエッジ(輪郭)は、原稿画像のエッジに比べてなだらかなものとなる。そのため、このまま記録媒体上に記録を行うとエッジ部分のシャープ感が損なわれた画像として出力されることになる。
【0003】
そこで、特許文献1においては、注目点に置ける画像信号の分布形状が上方に凸である場合には注目点における画像信号より大きな画像強調信号、下方に凸である場合には注目点における画像信号より小さな画像強調信号、それ以外の場合には元の画像信号若しくはアンシャープ信号に置換した信号とすることを特徴とする画像信号処理方法が開示されている。また、特許文献2には、画像の注目画素と前記注目画素に隣接する画素とを用いて生成した置換レベルで、前記注目画素のレベルを置き換える映像信号処理方法が開示されている。さらに、特許文献3には、前述のシャープ感だけではなく、縮小時のドット抜けや細線が消える不具合に対してデータ入力装置もしくは出力装置の解像度を変更することで回避する方法が開示されている。
【特許文献1】特許第2620368号公報
【特許文献2】特開平07−288768号公報
【特許文献3】特開2004−056252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の方法によりエッジ強調を行うことで必ずしもユーザの所望する出力画像品位が向上するわけではない。図8は、太い文字を含む画像データに対しエッジ強調処理を行った状態を例示的に示す図である。図8(a)は原稿を読み込んだ直後の未処理の画像を示しており、図8(b)はエッジ強調処理後の画像を記録媒体上に記録した際の画像を示す。図から分かるように、エッジ強調処理の結果、文字の黒い部分の間隔が狭まり読みにくい文字になってしまうことが分かる。
【0005】
この問題は、画像処理を行う単位である画素の表現域がエッジ強調などの画像処理時と、それを再現する記録プロセスを含めた出力装置との間で差異があることに起因している。特にこの問題は、文字の種類として太い(ボールド)文字を読んだ場合や、文字が複雑な漢字(画数の多い漢字)の原稿において顕著に表れる。また、インクジェットプリンタにおいては記録媒体上でのインクのにじみが発生するため、文字つぶれによる読みにくさの問題は顕著になってしまう。また、インクのにじみの問題は、インクの特性、記録媒体の特性に左右されるため、同じプリンタ装置を用いても、インクや記録媒体の違い、さらにはその組み合わせで変わってくるという問題がある。
【0006】
そのため、上述の特許文献1および特許文献2に開示された技術においてはこれらの問題点を解決できない。また、入力装置、出力装置ともに解像度に関し十分な設定自由度を有していれば、特許文献3に開示された技術により上述した問題を低減可能であるが、装置コストが大幅に増大してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、上記問題点の少なくとも1つを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。
【0009】
画像記録部により記録媒体に記録される画像データを処理する画像処理装置において、画像処理部における記録媒体への記録特性を設定する設定手段と、注目画素を含む複数画素で構成される領域を設定する領域設定手段と、領域内の各画素の輝度値を求める輝度値導出手段と、領域内において注目画素を含みそれぞれが互いに異なる方向の複数の画素配列について輝度値導出手段で導出した輝度値の一次微分量を導出する一次微分量導出手段と、一次微分量導出手段で導出した各画素配列の注目画素位置における一次微分量の結果に基づき該注目画素位置における輝度のエッジ方向を判定するエッジ方向判定手段と、記録特性およびエッジ方向判定手段で判定されたエッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における輝度の一次微分量に基づいて画素値の強調量を決定する強調量決定手段と、エッジ方向判定手段で判定されたエッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における輝度の二次微分量を求め、注目画素位置における二次微分量が正の値を持つ場合には該注目画素の画素値を画素配列内で最小輝度となる画素の画素値に強調量を付与した画素値で置換し、注目画素位置における二次微分量が負の値を持つ場合には該注目画素の画素値を画素配列内で最大輝度となる画素の画素値に強調量を付与した画素値で置換する置換手段とを備える。
【0010】
上記問題点を解決するために、本発明の画像処理方法は以下の構成を備える。
【0011】
画像記録部により記録媒体に記録される画像データを処理する画像処理方法において、画像処理部における記録媒体への記録特性を設定する設定工程と、注目画素を含む複数画素で構成される領域を設定する領域設定工程と、領域内の各画素の輝度値を求める輝度値導出工程と、領域内において注目画素を含みそれぞれが互いに異なる方向の複数の画素配列について輝度値導出工程で導出した輝度値の一次微分量を導出する一次微分量導出工程と、一次微分量導出工程で導出した各画素配列の注目画素位置における一次微分量の結果に基づき該注目画素位置における輝度のエッジ方向を判定するエッジ方向判定工程と、記録特性およびエッジ方向判定工程で判定されたエッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における輝度の一次微分量に基づいて画素値の強調量を決定する強調量決定工程と、エッジ方向判定工程で判定されたエッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における輝度の二次微分量を求め、注目画素位置における二次微分量が正の値を持つ場合には該注目画素の画素値を画素配列内で最小輝度となる画素の画素値に強調量を付与した画素値で置換し、注目画素位置における二次微分量が負の値を持つ場合には該注目画素の画素値を画素配列内で最大輝度となる画素の画素値に強調量を付与した画素値で置換する置換工程とを備える。
【0012】
上記問題点を解決するために、本発明の画像処理プログラムは以下の構成を備える。
【0013】
画像記録部により記録媒体に記録される画像データを処理する画像処理方法において、画像処理部における記録媒体への記録特性を設定する設定工程を実行するためのプログラムコードと、注目画素を含む複数画素で構成される領域を設定する領域設定工程と、領域内の各画素の輝度値を求める輝度値導出工程を実行するためのプログラムコードと、領域内において注目画素を含みそれぞれが互いに異なる方向の複数の画素配列について輝度値導出工程で導出した輝度値の一次微分量を導出する一次微分量導出工程を実行するためのプログラムコードと、一次微分量導出工程で導出した各画素配列の注目画素位置における一次微分量の結果に基づき該注目画素位置における輝度のエッジ方向を判定するエッジ方向判定工程を実行するためのプログラムコードと、記録特性およびエッジ方向判定工程で判定されたエッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における輝度の一次微分量に基づいて画素値の強調量を決定する強調量決定工程を実行するためのプログラムコードと、エッジ方向判定工程で判定されたエッジ方向に並ぶ複数の画素それぞれの位置における輝度の二次微分量を求め、注目画素位置における二次微分量が正の値を持つ場合には該注目画素の画素値を画素配列内で最小輝度となる画素の画素値に強調量を付与した画素値で置換し、注目画素位置における二次微分量が負の値を持つ場合には該注目画素の画素値を画素配列内で最大輝度となる画素の画素値に強調量を付与した画素値で置換する置換工程を実行するためのプログラムコードとを備える。
【0014】
上記問題点を解決するために、本発明の画像処理装置は、注目画素を含む複数画素で構成される領域を設定する領域設定手段と、前記設定された領域内の複数画素を用いて、前記注目画素に関する画像の変化特性を判定する判定手段と、記録部による記録媒体への記録特性を設定する記録特性設定手段と、前記領域設定手段により設定された領域内の画素を用いて前記注目画素を加工し、設定された前記記録特性により加工された注目画素の値を補正する加工手段とを備える。
【0015】
上記問題点を解決するために、本発明の画像処理方法は、注目画素を含む複数画素で構成される領域を設定する領域設定工程と、前記設定された領域内の複数が素を用いて、前記注目画素に関する画像の変化特性を判定する判定工程と、記録部による記録媒体への記録特性を設定する記録特性設定工程と、前記領域設定手段により設定された領域内の画素を用いて前記注目画素を加工し、設定された前記記録特性により加工された注目画素の値を補正する加工工程とを備える。
【0016】
上記問題点を解決するために、本発明の画像処理プログラムは、注目画素を含む複数画素で構成される領域を設定する領域設定工程を実行するためのプログラムコードと、前記設定された領域内の複数が素を用いて、前記注目画素に関する画像の変化特性を判定する判定工程を実行するためのプログラムコードと、記録部による記録媒体への記録特性を設定する記録特性設定工程を実行するためのプログラムコードと、前記領域設定手段により設定された領域内の画素を用いて前記注目画素を加工し、設定された前記記録特性により加工された注目画素の値を補正する加工工程を実行するためのプログラムコードとを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、記録媒体の種別によるデジタル画像の記録画像の劣化を低減可能なエッジ強調技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
(第1実施形態)
本発明に係る画像処理装置の第1実施形態として、MFP(Multi Function Printer)装置を例に挙げて以下に説明する。なお、以下の説明においては、まず前提となるMFP装置の装置構成および概略動作について述べた後、本発明の特徴的な部分について詳細に説明を行う。
【0020】
<MFP装置の構成>
図1は、第1実施形態に係るマルチファンクションプリンタ装置(以下、MFP装置)の概観斜視図である。
【0021】
MFP装置100は、ホストコンピュータ(PC)からデータを受信して記録媒体上に記録を行う通常のPCプリンタとしての機能、および、原稿を読み取るスキャナとしての機能を備えている。さらに、MFP装置100単体で動作する機能として、スキャナで読取った画像をプリンタで印刷するコピー機能、メモリカードなどの記憶媒体に記憶されている画像データを直接読取って印刷する機能、或いはデジタルカメラからの画像データを受信して印刷する機能を備えている。
【0022】
そのため、MFP装置100は、フラットベットスキャナなどの読取装置134、インクジェット式や電子写真式などによる記録装置133を備えている。また、ユーザへ各種状態を通知するための表示パネル139やユーザからの各種指示を受け付けるためのおよび各種キースイッチ等により構成される操作パネル135を備えている。また、MFP装置100の背面にはPCと通信するためのUSBポート(不図示)が設けられ、PCとの間で各種の通信が行われる。上記の構成に加え、各種メモリカードからデータを読み出すためのカードスロット142や、ディジタルスチルカメラ(DSC:Digital Still Camera)と直接通信を行うためのカメラポート143を備えている。また、自動で原稿を原稿台にセットするためのオートドキュメントフィーダー(以下ADF)131などを併せて備えている。
【0023】
図2は、MFP装置の内部構成図である。
【0024】
CPU211は、操作部215においてユーザから受け付けた操作に従い、ROM216に記憶された各種画像処理プログラムを実行し、画像処理装置が備える様々な機能部を制御する。
【0025】
読取部214は読取装置134に対応し、原稿画像をCCDなどの光学センサにより読取り、例えば、赤(R)、緑(G)および青(B)色のアナログ輝度データを出力する。なお、CCDの代わりに密着型イメージセンサ(CIS)を備えてもよい。また、前述のADF131を用いることにより、オーダーシートなどを連続的に読取る事も出来る。
【0026】
カードインターフェイス222はカードスロット142に対応し、例えばDSCで撮影されメモリカードなどに記憶された画像データを、ユーザによる操作部215の操作に従い読み込む。なお、カードインターフェイス222を介して読み込まれた画像データの色空間は、必要ならば、画像処理部212により、DSCの色空間(例えばYCbCr)から標準的なRGB色空間(例えばNTSC−RGBやsRGB)に変換される。また、画像データのヘッダ情報に基づいて、読み込まれた画像データは有効な画素数への解像度変換などの処理が必要に応じてなされる。また、カメラインターフェイス223はカメラポート143に対応し、DSCに直接接続して画像データを読み込むためのものである。
【0027】
画像処理部212は、画像データに対し後述する画像処理を行うための機能部である。例えば、画像解析、変換特性の算出、輝度信号(RGB)から濃度信号(CMYK)への変換、スケーリング、ガンマ変換、誤差拡散等の画像処理が行われる。また、これらの画像処理がなされた画像データはRAM217に格納される。そして、RAM217に格納されたデータが、印刷装置133に対応する記録部213で記録するのに必要な所定のデータ量に達すると、記録部213による記録動作が実行される。
【0028】
不揮発性RAM218は、バッテリバックアップされたSRAMなどで構成され画像処理装置に固有のデータなどを記憶する。
【0029】
操作部215は操作パネル135に相当し、ユーザからの各種操作を受け付ける機能部である。例えば、記憶媒体(メモリカード)に記憶された画像データを選択し記録を実行するフォトダイレクトプリントスタートキー、オーダーシートを記録するためのキー、オーダーシートを読み込むためのキーなどの特定の処理に特化したキーがある。また、モノクロコピー時やカラーコピー時におけるコピースタートキー、コピー解像度や画質などのモードを指定するモードキー、コピー動作などを停止するためのストップキーなどの設定を行うためのキーがある。その他、コピー数を入力するテンキーや登録キーなどのキーから構成される。CPU211は、これらキーの押下状態を検出しその状態に応じて各部を制御する。
【0030】
表示部219は表示パネル139に対応し、ドットマトリクスタイプの液晶表示部(LCD)およびLCDドライバから構成され、CPU211の制御に基づき各種表示を行う。また、記憶媒体に記録されていた画像データのサムネイル画像などを表示可能としても良い。
【0031】
記録部213は印刷装置133に対応し、例えば、インクジェット方式のインクジェットヘッドおよび汎用ICなどによって構成される。記録部213はCPU211の制御によりRAM217に格納されている画像データを読み出しハードコピーとして記録出力する。
【0032】
駆動部221は、上述した読取部214および記録部213それぞれの動作における、給排紙ローラを駆動するためのステッピングモータ、ステッピングモータの駆動力を伝達するギヤ、および、ステッピングモータを制御するドライバ回路などから構成される。
【0033】
センサ部220は、記録紙幅センサ、記録紙有無センサ、原稿幅センサ、原稿有無センサおよび記録媒体検知センサなどから構成される。CPU211は、これらセンサから得られる情報に基づき原稿および記録紙の状態を検知する。
【0034】
PCインターフェイス224は、PCとMFP装置100とのインターフェイスである。MFP装置100はPCインターフェイス224を介してPCからのプリント、スキャンなどの動作制御の受け付けが可能である。
【0035】
なお、MFP装置100単体でのコピー動作時には、ユーザによる操作部215の操作に基づき、読取部214で読み取り生成された画像データを画像処理212で処理し記録部213で記録を行うことになる。
【0036】
<画像処理概要>
図3は、MFP装置の画像処理部において実行される処理の全体フローチャートである。以下、各ステップについて説明するが、処理の詳細は割愛する。なお、以下の各ステップはCPU211が各種制御プログラムを実行することにより実現される。
【0037】
ステップS301では、シェーディング補正を実行する。つまり、読取部214で読み取られA/D変換された生成された画像データに対し、撮像素子のばらつきを補正する処理を行う。
【0038】
ステップS302では、入力デバイス色変換を実行する。これは、入力デバイス固有の色空間により表現された画像データを標準色空間に変換する処理である。標準色空間としては、IEC(国際電気標準会議:International Electrotechnical Commission)により標準化されたsRGBや、Adobe Systems社により提唱されているAdobeRGBなどがある。変換方法は、3x3や3x9のマトリクスによる演算方式や、変換規則を記載したテーブルを参照し、それに基づいて決定するルックアップテーブル方式などが挙げられる。
【0039】
ステップS303では、画像補正・加工処理を実行する。具体的には、読取りによるボケを補正するエッジ強調処理や、文字の判読性を向上させる文字加工処理、光照射による読取りで発生した裏写りを除去する処理などが挙げられる。なお、エッジ強調処理についての詳細については後述する。
【0040】
ステップS304では、拡大縮小処理を実行する。これは、ユーザーにより変倍指定がされている場合や、2枚の原稿を一枚の紙に割り当てる割付けコピーが指定されている際に画像データを所望の倍率に変換する処理である。変換方法は、バイキュービックやニアレストネイバーなどの方法が一般的である。
【0041】
ステップS305では、出力デバイス色変換を実行する。これは、標準色空間で表現された画像データを、出力デバイス固有の色空間により表現された画像データへと変換する処理である。例えば、本実施形態のMFP装置100の記録部213がシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)などのインクを使用するインクジェット方式の記録部である場合、RGBからCMYKのデータに変換される。この変換処理はステップS302と同様の処理である。
【0042】
ステップS306では、画像データの量子化処理を実行する。つまり、画像データを記録部213で記録可能な階調レベルに変換する。例えば、インクジェット方式の記録部において、インクドットを打つ/打たないの2値で表現する場合あれば、誤差拡散などの量子化方法において、2値化すればよい。量子化処理を経て画像データは記録部213で処理可能なデータ形式となり、記録部213はこの画像データに基づいて記録動作を実行する。
【0043】
<画像処理単位>
図4は、画像処理を実施する際の画像処理の処理単位を説明する図である。
【0044】
先ず、処理単位が画素単位の場合を説明する。図4(a)の○印の画素を注目画素(処理対象画素)とすると、図4(a)の太線のように注目画素を含む7×7画素で構成される領域(7×7領域)を設定する。この設定した7×7領域内の画像データを用いて注目画素に対する補正強度を設定して注目画素を補正する。注目画素の補正後は、例えば図4(b)の×印の画素のように、注目画素に隣接する画素を次の注目画素と設定し、前述したように×印を注目画素として7×7領域を設定して同様に補正処理を実行する。以降、同様に順次注目画素を1画素ずつ移動し、その都度7×7領域を設定することによって補正対象の画素の全てについて補正する。
【0045】
次に、処理単位が領域単位の場合を説明する。図4(a)の○印の画素に対して7×7領域を設定し、○印に対して設定する補正強度を7×7領域内の複数画素、例えば全画素に適用する。次の処理は、図4(c)の△印の画素に対して7×7領域を設定することで、○印に対する7×7領域と△印に対する7×7領域とが隣接するように処理単位を移動する。ただし、処理単位を画素単位とした方がより高い精度で補正強度を設定できる為、好適である。以下に説明する実施形態は、処理単位を画素単位として説明する。
【0046】
図5は、処理単位の移動する動作を説明するフローチャートである。
【0047】
ステップS501は処理対象領域の設定処理であり、処理の開始後、最初の処理対象を設定する。なお、ステップS505からステップS501に戻った場合は、次の処理対象を設定することになる。
【0048】
ステップS502では、処理領域を設定する。処理領域とは前述したように処理単位を含む複数画素(7×7領域)で構成される領域である。
【0049】
ステップS503では、補正強度を設定する。すなわち、処理単位に対する補正強度を設定する。
【0050】
ステップS504においてステップS503で設定した補正強度を使用して処理単位を補正する。
【0051】
ステップS505では最終補正対象の判定を行い、処理した処理単位が最後の処理単位であるか否かを判定する。最後の処理単位でなければ(NO)ステップS501に戻り、最後の処理単位であれば(YES)この処理の終了となる。
【0052】
本実施形態における置換処理では処理領域を7×7領域として説明している。これは図1で説明する読取装置134と図2で説明する読取部214で使っているCCDまたはCISの撮像素子の1画素が読む原稿の画素範囲を6画素以内とするよう設計されていることを想定した為である。尚、6画素以内の設計と言っても、原稿台からの原稿の浮きや原稿の凹凸等によって、撮像素子に入射する原稿からの反射光は種々の影響を受ける。その為、実際には6画素を超える範囲を読み取る場合もある。以下の実施形態において原稿を読み取った画像信号の説明図を複数示すが、これらの画像信号も必ずしも6画素以内の反射光とは限らない。
図6は、撮像素子1画素に入る原稿からの反射光範囲を例示的に示す図である。本実施形態で使用する撮像素子は、図6(a)に示すように撮像素子の1画素に対して、原稿の7画素範囲から6画素以内の反射光が入射するよう設計されている(前述したように場合によっては6画素を超える場合もある)。つまり、原稿の1画素の反射光は撮像素子7画素に影響している。これが背景技術で述べたエッジのボケを発生し、シャープ感を損なう原因となっている。
【0053】
したがって、画素値置換によるエッジ強調処理を行う際、注目画素に対応する原稿画素の影響が少ない画素領域から置換候補を選択するとエッジ強調の効果は高くなる。そこで最低限、原稿画像の1画素の影響を受けている領域は処理領域として確保するため、7×7領域を処理領域と設定している。しかしながら、エッジ強調の効果をより高くする為、7×7を超える領域を参照領域とすることも有効である。また、図6(b)に示すように撮像素子の1画素に対して、原稿の3画素範囲から反射光が入射する設計とした場合は、処理領域を3×3領域のように小さく設定してもよい。このように参照領域は、原稿画像の1画素が影響する撮像素子の画素数や、スポット径、ボケ画素数、Modulation Transfer Function(MTF)等の撮像素子の性能に応じて適宜設定すればよい。
【0054】
ここで、本発明の実施形態の説明に使用される言葉の定義と限定について以下に記載する。
【0055】
変動回数とは、以下の実施形態では注目する領域内の輝度変化における符号変化数(零交差点数)として説明する。しかしながらこれに限定されるものではなく、注目する領域内の画像信号に関連する値の1次微分の零交差点数や空間周波数、2値化後の黒白の変化数等、画像信号に関連する値の変化の頻度を表現する値であると定義するものである。
【0056】
変動量とは、以下の実施形態では、注目する画素に対する輝度の差の絶対値(エッジ量)として説明する。しかしながらこれに限定されるものではなく、注目する画素の画像信号に関連する値の1次微分の絶対値等、変化の差分(大きさ)を表現する値、または注目する領域内の画像信号に関連する値の変化の差分(大きさ)を代表して表現する値であると定義するものである。
【0057】
変動加速度とは、以下の実施形態では注目する領域内の輝度の差からさらに差をとった値として説明する。しかしながらこれに限定されるものではなく、注目する領域内の画像信号に関連する値の2次微分等、変化の加速度を表現する値であると定義するものである。
【0058】
彩度とは、以下の実施形態では注目する画素または領域における各色の画像信号差の内最大絶対値として説明するが、これに限定されるものではなく、輝度軸からの距離を表現する値であると定義するものである。
【0059】
適応的に補正強度を設定するとは、以下の実施形態で説明するように少なくとも前記定義した変動回数、変動量、変動加速度、彩度の夫々取り得る値領域の内、夫々少なくとも一部の値領域において、夫々の値毎に異なる補正強度を設定することであると定義する。
【0060】
以下、実施例の詳細を説明する。尚、実施例において画像信号はRGB成分により表現され、各成分は8ビット整数値(10進では0〜255)として表現されている場合を例に説明するが、画像信号の範囲はこれに限るものではなく、画像処理に適するよう設定すればよい。なお、ホワイトはR=G=B=255として表現され、ブラックはR=G=B=0として表現される。
<出力デバイス特性>
まず、出力デバイス特性として、記録媒体種とインクの組み合わせからなるインクのにじみを挙げて説明する。
【0061】
図7は、記録媒体にインクが着弾し記録された様子を例示的に示す図である。破線で示されている枠は、画像処理を行う最小単位である画素に相当する間隔を示す。例えば、1インチあたり600画素(600DPI)で処理を行う場合、一つの格子の1辺は42.3[μm]である。一方、丸で示されているものは、1画素の記録に対応する1ドットの吐出インクを表している。
【0062】
図7(a)は、一般的に普通紙と呼ばれる複写用紙へインクを吐出した際の記録状態を図示したものである。本実施形態で使用したインクジェットプリンタにおいては、1ドットの直径は、100[μm]である。一方、図7(b)は、一般に写真印刷用紙と呼ばれる写真印刷を目的とした記録媒体へインクを吐出した際の記録状態を図示したものである。写真専用紙は、インクの吸収相が表面に塗布されているため、インクのにじみが少なく、発色特性も普通紙に比べてよいものになっている。そのため、1ドットの直径は、80[μm]と普通紙に比べて小さくなっている。
【0063】
つまり、画像のエッジ部分を強調する処理を行う上で、記録媒体上に着弾したインクの状態を考慮しないと、処理結果が意図した結果とずれてしまうことになる。特に文字画像においては、文字の輪郭線が太くなってしまうため、文字のつぶれを発生させ読みづらい文字になることがある。
【0064】
このインクが記録媒体へ着弾した際のドットの大きさに寄与する要因としては、記録媒体種別、インク組成、温度、湿度などの環境要因が考えられる。そこで、本実施形態では、これらの変動要因のうち記録媒体種別に起因するドットの大きさを補正する補正テーブルを用いて画像処理を行う。
<補正動作の詳細>
図9は、第1実施形態に係るエッジ処理動作の詳細フローチャートである。なお、本フローチャートの開始に先立って、MFP装置100の画像処理部には画像を記録出力する記録媒体種の種別が設定されているものとする。種別の設定は、ユーザが指定するよう構成してもよいし、記録媒体を設置する用紙トレイなどの場所に応じて自動的に設定されるよう構成しても良い。また、光学センサなどにより、記録媒体を直接検出しても良い。
【0065】
ステップS901では、入力されたRGBの多値の画像信号で構成される画像に対してコントラスト補正を行う。図12は、コントラスト補正の入出力特性を示す図である。このステップにおいて、1次元のルックアップテーブルにより読み取った輝度値(RGB信号値)を変換することでコントラストの補正を行う。特に原稿の紙面と思われる白色に近い部分(下地部分)を白にし、文字と思われる黒に近い部分(黒部分)を黒にする特性をもつ1次元ルックアップテーブルを用いる。
【0066】
なお、1次元ルックアップテーブルは入力輝度の全輝度値に対するテーブルでなくてもよく、下地部分・黒部分の輝度のみに対するテーブルのみを用意し、それ以外の輝度についてはテーブルを参照せずに入力値=出力値として処理しても良い。また、コントラスト補正の実現方法は必ずしも1次元ルックアップテーブルによる処理でなくともよく、例えば、入出力関数を用いた演算処理によって補正を行ってもよい。
【0067】
ステップS902では、コントラスト補正後の画像において、例えば注目画素を中心とした横7画素、縦7画素で構成される7×7領域の処理領域を設定する。さらに、処理領域の各画素値から式(11)に従って輝度Yを算出し、Lの7×7領域の処理領域を生成する。
【0068】
Y = 0.29891×R+0.58661×G+0.11448×B・・・式(11)
本実施形態においては式(11)で算出した輝度Yを用いているが、入力画素の明るさ成分を表す値であれば、他の値でもよい。例えば、L*a*b*色空間表現におけるL*の値や、LUV色空間表現におけるLの値でもよい。また、これら色空間をそのまま用いるのでなく、計算の単純化の為にこれらの色空間を近似的に表した色空間を用いてもよい。
【0069】
なお、本実施形態では処理領域サイズを7×7画素としたが、前述の画像処理単位の説明で述べたとおり、処理領域サイズは必要に応じてこれ以外の画素数で実施しても良い。
【0070】
図13は、2種のパターンに対し、画素位置に対応させた輝度値(Y)、一次微分相当量(Grd)、二次微分相当量(Lap)の変化を例示的に示した図である。図13の(a1)および(a2)輝度値を示しており、(a1)は白背景中の黒縦線を横方向に読み取った際の、画素位置に対応する輝度値の変化を示している。一方、図13(a2)は白背景中の横方向に並んだ網点を横方向に読み取った際の、画素位置に対応する輝度値の変化を示している。
【0071】
ステップS903では、ステップS902で生成したYの処理領域から2以上の方向の画素列から画素値を抽出する。例えば、図11に示すように横1方向、縦1方向、斜2方向の合計4方向の各7画素の画素値を抽出する。
【0072】
ステップS904では、ステップS903で抽出した4方向のYから各方向5画素のYの一次微分量に相当する差分Grdを図14と式(12)に示すように算出する。ここで、画素Y(i)の前画素をY(i−1)と後画素をY(i+1)とする。
【0073】
Grd(i) = Y(i+1)−Y(i−1) ・・・式(12)
なお、ここでは導出されるGrdの値が各画素の位置に対応するようにするため、注目画素の前後2画素についての差分を導出しているが、他の方法を用いても良い。例えば、隣接同士の差分でもよく、前後画素より更に離れた画素同士の差分でもよい。その際、画素位置とGrdの値が導出される画素位置を一致させるために、補間処理などを併せて用いると良い。
【0074】
図13(b1)と図13(b2)は、各々図13(a1)と図13(a2)の輝度値Yに対して式(12)を適用して求めた、画素位置に対応するGrdの値の変化を示している。
【0075】
ステップS905では、ステップS904で算出した4方向のGrdにおいて注目画素位置における4方向のGrd絶対値を求め、エッジ方向判定を行う。具体的には、4方向のGrd絶対値の内、最大のGrd絶対値である方向を注目画素のエッジ方向と判定する。なお、2方向のGrd値からアークタンジェント関数を用いて方向を求めてもよい。
【0076】
ステップS906では、ステップS905で判定したエッジ方向について、ステップS904で算出したエッジ方向のGrdの5画素から最大絶対値を注目画素のエッジ量として導出する。つまり、エッジ量が大きい程強いエッジであり、エッジ量が弱い程平坦に近いことを示す。
【0077】
ステップS907では、ステップS904で算出した4方向それぞれにおけるGrdの値に基づいて4方向合計の変動回数を算出する。なお、変動回数は周波数に相当する。
【0078】
図15は、変動回数を説明するための例示的な図である。変動回数は図15(a)に示すようにGrdの符号が+から−又は−から+に変化する回数である。図15(b)に示すようにGrdの符号が+から0そして次の画素で−又は−から0そして次の画素で+に変化する回数を注目画素の変動回数(零交差点数)として算出する。つまり、図15(a)および図15(b)に示される変化に対してはそれぞれ2回とカウントされる。ここでは、正負の変動回数をカウントすることにより周波数を導出する例について説明を行うが、もちろん、FFT演算などを用いて直接周波数成分を導出しても良い。
【0079】
なお、本実施形態では図15(c)に示すように複数画素の0を挟んで符号が変化する場合や図15(d)に示すように0にはなるが符号の変化がない場合には変動回数としてカウントしていない。
【0080】
ステップS908では、ステップS903で抽出した4方向に対する画素列から、ステップS905で判定したエッジ方向に対する画素列を抽出し、抽出された7個の画素から構成される画素列から最大Yと最小Yの画素位置を判定する。

ステップS909では、ステップS905で判定したエッジ方向について、ステップS904で算出したエッジ方向のGrdから3画素の変化の二次微分量である変動加速度Lapを算出する。変動加速度の算出方法は式(13)である。但し、画素Grd(i)の前画素をGrd(i−1)と後画素Grd(i+1)とする。尚、変動加速度の算出方法はこれに限らず、Grdの隣接同士の差分でもよい。また、一般的なラプラシアンマスクやDOGフィルタを用いてももちろん良い。
【0081】
Lap(i) = Grd(i+1) − Grd(i−1) ・・・式(13)
図13(c1)と図13(c2)は、各々図13(b1)と図13(b2)のGrdに対して式(13)を適用して求めた、画素位置に対応するLapの値の変化を示している。
【0082】
ステップS910では、ステップS908において求められたLap(i)の値を出力デバイス特性に基づいて修正する。本実施形態では、出力デバイス特性として記録媒体種を指定する例について説明する。つまり、記録媒体種によるインクのにじみを修正することに対応する。修正後の変動加速度Lap´(i)の導出式を式(14)に示す。
【0083】
Lap´(i) = Lap(i) + DEVICE(記録媒体種)・・・式(14)
ここで、DEVICE(記録媒体種)は記録媒体種に応じた修正量の関数を示す。
【0084】
つまり、ステップS909で求めたLap(i)の値に記録媒体の種別毎に予め定められた修正量を加算することで、Lap´(i)を導出する。
【0085】
図16は、各記録媒体種に対する修正量(Lap変化量)を示す図である。つまり、記録媒体とプリンタ装置に実装されるインクの種類から決定されるドット径に対応する修正量を示している。記録媒体種は、前述したように予めMFP装置100の画像処理部に設定されている。
【0086】
なお、この修正量が大きな値であると、後述するステップS914においてより小さな輝度側に補正される。つまり、エッジ部分が白くなりやすくなる。結果、文字のエッジ強調を行いすぎるということがなくなる。
【0087】
また、本実施形態では出力デバイス特性として記録媒体種のみを指定する例について説明しているが、インクの種別による補正を行ってももちろん良い。記録媒体とインクといった複数の変動要因に対して補正を行う際は、その組み合わせの補正テーブルをあらかじめ用意し処理を行うことでより良い補正結果を得ることが可能となる。また、本実施形態では輝度Yに対応する単一の補正テーブルを用いているが、インク各色に対応する複数の補正テーブルを用意し、それぞれ独立に補正を行ってもよい。
【0088】
ステップS911では、ステップS908で判定した最大Yと最小Yの画素位置とステップS910で算出した修正変動加速度Lap´(i)とから、置換画素位置を判定する。
【0089】
図19は、置換画素位置の判定方法を説明する図である。図13においてLapの符号が+の場合は注目画素のYは最大Yよりも最小Yに値の大きさが近く、Lapの符号が−の場合は注目画素のYは最小Yよりも最大Yに値の大きさが近い傾向があることが分かる。そこで、本実施形態では図19のように置換画素位置を判定する。ただし、注目画素のLapが0となるエッジ中心の扱いについては図19に限るものではなく、注目画素のLapが0であれば、最大Lの画素位置にしてもよいし、また逆に最小Lの画素位置にしてもよい。
【0090】
ステップS912では、ステップS907で算出した変動回数に基づいて適応的にエッジ強度Czを設定する。図10(a)はステップS912におけるCz設定を説明する図であり、横軸は変動回数、縦軸はCzを示している。文字の可能性が高い第1閾値より小さい変動回数の場合は、エッジを強調する為にFzを1に設定する。高線数でモアレ発生し易い網点の可能性が高い第2閾値より大きい変動回数の場合は、モアレを強調しない為にCzを0に設定する。さらに、第1閾値以上且つ第2閾値以下の変動回数の場合は、処理の切り換えを目立ち難くする為に変動回数毎に異なるCzを適応的に設定する。例えば、図10(a)に示される以下の式(15)によって適応的に設定できる。
【0091】
Cz = (第2閾値−変動回数)/(第2閾値−第1閾値) ・・・式(15)
なお、変動回数=第1閾値のときCz=1、変動回数=第2閾値のときCz=0である。
【0092】
ステップS913では、ステップS906で算出したエッジ量に応じて適応的にエッジ強度Ceを設定する。図10(b)はステップS913におけるCe設定を説明する図であり、横軸はエッジ量、縦軸はCeを示している。平坦の可能性が高い第3閾値より小さいエッジ量の場合は、小さい変動を強調して画像を荒らさない為にCe=0を設定する。エッジの可能性が高い第4閾値より大きいエッジ量の場合は、エッジ強調する為にFe=1を設定する。さらに、第3閾値以上且つ第4閾値以下のエッジ量の場合は、処理の切り換えを目立ち難くする為にエッジ量毎に異なるFeを適応的に設定する。例えば、図10(b)に示される以下の式(16)によって適応的に設定できる。
【0093】
Ce = (エッジ量−第3閾値)/(第4閾値−第3閾値) ・・・式(16)
なお、エッジ量=第3閾値のときCe=0、エッジ量=第4閾値のときCe=1である。
【0094】
ステップS914では、ステップS911で判定した置換画素位置の画素値を用いて置換量を算出する。具体的には、ステップS902で設定したRGBの7×7領域からステップS911で判定した置換画素位置のRGB値を抽出する。ここで、注目画素値をN0とし、置換画素位置の画素値をC0とし、置換量をΔCとすると、ΔCは式(17)を使って算出できる。
【0095】
ΔC = C0−N0 ・・・式(17)
ここでΔC、C0、N0はR,G,Bを要素とする行列である。
【0096】
ステップS915では、ステップS914で算出した置換量ΔCをステップS912で設定した置換強度Czで補正する。補正した置換量ΔCzは式(18)を使って算出する。
【0097】
ΔCz = Cz×ΔC ・・・式(18)
ここでΔCzはR,G,Bを要素とする行列である。
【0098】
ステップS916では、ステップS915で算出した置換量ΔCzをステップS913で設定した置換強度Ceで補正する。補正した置換量ΔCeは式(19)を使って算出する。
【0099】
ΔCe = Ce×ΔCz ・・・式(19)
ここでΔCeはR,G,Bを要素とする行列である。
【0100】
ステップS917では、ステップS916で算出した置換量ΔCeを式(20)に示すように注目画素の画素値N0に加算することによって、エッジ強調を行った注目画素値Ncを算出し画素値の置換を実行する。
【0101】
Nc = N0+ΔCe ・・・式(20)
ここでNcはR,G,Bを要素とする行列である。尚、Ncの値が所定の範囲に収まるようクリップする処理を入れてもよい。
【0102】
以上、説明したように、第1実施形態におけるMFP装置において、デジタル画像の画像劣化を低減可能なエッジ強調技術を提供することができる。具体的には、インクジェットプリンタに代表されるような記録特性としてにじみをもつ出力装置に対しても過度な補正を行うことなく、良好な出力画像を得ることが可能となる。さらに、記録媒体やインク種別に応じて補正テーブルを変更できるため、さまざまな記録媒体やインクによる記録特性を考慮した補正を行うことができ、さまざまな記録媒体やインクの組み合わせに応じて良好な出力結果を得ることが可能となる。
【0103】
(変形例)
第1実施形態では、記録媒体種やインク種別などの出力デバイス特性に基づいてエッジ処理の強度を修正する方法について述べた。ただし、必ずしも出力デバイス特性だけに基づいて修正を行う必要は無く、ユーザによる指示に基づいてエッジ処理の強度を修正してもよい。つまり、文字原稿画像などにおいて、記録画像における文字の太さをユーザによる選択に基づき指定する構成してもよい。
【0104】
図18は、変形例に係るエッジ処理動作の詳細フローチャートである。図9と異なる部分であるステップS1810について以下に説明する。なお、本フローチャートの開始に先立って、MFP装置100の画像処理部には、ユーザーにより文字の太さ/細さの指定が5段階で選択設定されるものとする。
【0105】
ステップS1810では、ステップS1808において求められたLap(i)の値を出力デバイス特性に基づいて修正する。本実施形態では、出力デバイス特性として記録媒体種を指定する例について説明する。つまり、記録媒体種によるインクのにじみを修正することに対応する。修正後の変動加速度Lap´(i)の導出式を式(21)に示す。
【0106】
Lap´(i) = Lap(i) + DEVICE(選択された文字の太さ)・・・式(21)
ここで、DEVICE(記録媒体種)は記録媒体種に応じた修正量の関数を示す。
【0107】
つまり、ステップS909で求めたLap(i)の値に記録媒体の種別毎に予め定められた修正量を加算することで、Lap´(i)を導出する。
【0108】
図17は、各文字の太さに対する修正量(Lap変化量)を示す図である。つまり、記録媒体とプリンタ装置に実装されるインクの種類から決定されるドット径に対応する修正量を示している。なお、この修正量が大きな値であると、後述するステップS914においてより小さな輝度側に補正される。つまり、エッジ部分が白くなりやすくなる。結果、細い文字として記録されることになる。
【0109】
なお、第1実施形態と組み合わせて、記録媒体種のテーブルと組み合わせて補正を行ってももちろん良い。そのときの演算式を式(22)に示す。
【0110】
Lap´(i) = Lap(i) + DEVICE(記録媒体種)+ DEVICE(ユーザー選択値)・・・式(22)
本実施例の補正量は、DEVICE()で表されるスカラー量であるため、複数の補正テーブルをそれぞれ独立に処理し補正を行うことが可能となっている。 以上のように補正処理を行うことで、ユーザの指示に基づいて記録される文字の太さ/細さを変化させることが可能となる。
【0111】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0112】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置が、供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0113】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0114】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどがある。
【0115】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明のクレームに含まれるものである。
【0116】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0117】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0118】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】第1実施形態に係るマルチファンクションプリンタ装置の概観斜視図である。
【図2】MFP装置の内部構成図である。
【図3】MFP装置の画像処理部において実行される処理の全体フローチャートである。
【図4】画像処理を実施する際の画像処理の処理単位を説明する図である。
【図5】処理単位の移動する動作を説明するフローチャートである。
【図6】撮像素子1画素に入る原稿からの反射光範囲を例示的に示す図である。
【図7】記録媒体にインクが着弾し記録された様子を例示的に示す図である。
【図8】太い文字を含む画像データに対しエッジ強調処理を行った状態を例示的に示す図である(従来技術)。
【図9】第1実施形態に係るエッジ処理動作の詳細フローチャートである。
【図10】エッジ強度設定を説明するための例示的な図である。
【図11】4方向の画素列からの画素値抽出を説明する図である。
【図12】コントラスト補正の入出力特性を示す図である。
【図13】2種のパターンに対する、輝度値、一次微分量、二次微分量の変化を例示的に示した図である。
【図14】一次微分量(Grd)導出を説明する図である。
【図15】変動回数を説明するための例示的な図である。
【図16】各記録媒体種に対する修正量(Lap変化量)を示す図である。
【図17】各文字の太さに対する修正量(Lap変化量)を示す図である。
【図18】変形例に係るエッジ処理動作の詳細フローチャートである。
【図19】置換画素位置の判定方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0120】
100 MFP装置
131 オートドキュメントフィーダ
133 印刷装置
134 読取装置
135 操作パネル
139 表示パネル
142 カードスロット
143 カメラポート
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳

【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎

【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘

【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二


【公開番号】 特開2008−17052(P2008−17052A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184846(P2006−184846)