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【発明の名称】 コンテンツ処理装置及びコンテンツ処理方法
【発明者】 【氏名】楠 誠

【要約】 【課題】H.264方式で符号化された複数のフレームからなる映像PESが挿入されたMPEG2−TSをデコードしスムーズな早送り再生を容易に実現する。

【構成】本発明のコンテンツ処理装置1は、チューナ3及びTSパケットPES変換部5を備える。チューナ3は、複数のフレームからなる映像PESが挿入されたMPEG2−TSを受信する。TSパケットPES変換部5は、MPEG2−TS中の映像PESを、IDRピクチャのみを有する第1の分割映像PESとnonIDRピクチャを含む第2の分割映像PESとに分割し、第1及び第2の分割映像PESに対してアダプテーションフィールド及びスタッフィングを挿入する。早送り再生時、第1の分割映像PESを含むTSパケットは、TS抽出部9により抽出された後、デコードされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム内符号化により得られた第1のピクチャとフレーム間符号化により得られた第2のピクチャとを有する映像パケットが挿入されたコンテンツを取得するコンテンツ取得部と、
前記コンテンツ取得部により取得された前記コンテンツ中の前記映像パケットを、前記第1のピクチャを有する第1の分割映像パケットと前記第2のピクチャを含む第2の分割映像パケットとに分割するパケット分割部と、
前記パケット分割部により分割された前記第1及び第2の分割映像パケットに対し、アダプテーションフィールド及びスタッフィングを挿入するパケット調整部と
を具備することを特徴とするコンテンツ処理装置。
【請求項2】
前記パケット調整部により前記アダプテーションフィールド及び前記スタッフィングが挿入された第1の分割映像パケットを抽出するパケット抽出部と、
前記パケット抽出部により抽出された第1の分割映像パケットをデコードする映像デコード部と
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のコンテンツ処理装置。
【請求項3】
前記パケット調整部は、前記第1の分割映像パケットの最後尾が前記第1のピクチャで終了し且つ分割前後のパケット上で前記第2のピクチャの位置が同じになるように、前記アダプテーションフィールド及び前記スタッフィングを挿入することを特徴とする請求項1又は2記載のコンテンツ処理装置。
【請求項4】
前記コンテンツは、H.264方式で圧縮符号化されたエレメンタリストリームを伝送用にパケット化したトランスポートストリームであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項5】
フレーム内符号化により得られた第1のピクチャとフレーム間符号化により得られた第2のピクチャとを有する映像パケットが挿入されたコンテンツを取得するコンテンツ取得ステップと、
前記コンテンツ取得ステップで取得された前記コンテンツ中の前記映像パケットを、前記第1のピクチャを有する第1の分割映像パケットと前記第2のピクチャを含む第2の分割映像パケットとに分割するパケット分割ステップと、
前記パケット分割ステップで分割された前記第1及び第2の分割映像パケットに対し、アダプテーションフィールド及びスタッフィングを挿入するパケット調整ステップと
を有することを特徴とするコンテンツ処理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送の送信用として圧縮符号化されたトランスポートストリームなどのコンテンツを処理するコンテンツ処理装置及びコンテンツ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送における映像符号化方式は、ARIB標準規格(ARIB STD-B32)によって規定されている。例えば、MPEG2方式で符号化された映像データのPES(Packetized Elementary Stream)は、1フレーム分の映像データで構成される。
【0003】
MPEG2で符号化されたデータを通常再生する場合、映像デコーダは、PES単位でデコードを行い、PES先頭に記載されるPTS(Presentation Time Stamp)に示された時間情報に基づいて、映像データを出力する。一方、早送り再生の場合、映像デコーダは、Iピクチャと呼ばれる映像フレームを含むPESを抽出してデコードを行い、映像データの早送り再生を実現する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−192013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年のモバイル放送やワンセグ放送(1セグメント放送)では、映像符号化方式としてH.264(MPEG4−AVC)が採用されている。H.264は、MPEG2より高い圧縮性能を有しており、PES化する場合の圧縮効率を高めるために、一つの映像PESに複数の映像フレームを挿入することが許容されている。ここで、H.264で符号化されたデータを基に早送り再生を行う場合、上述したIピクチャに相当するIDR(Instantaneous Decoding Refresh)ピクチャが含まれるPESを抽出してデコード表示させることが必要となる。
【0005】
しかしながら、単一のPES内に、IDRピクチャを含む複数のフレームが挿入されている場合、IDRピクチャ以外の他のフレームも一緒にデコードされてしまうので、この結果、表示画像が間欠的に出力され、スムーズな早送り再生が実現されないことになる。
【0006】
そこで、このような状況を回避するために、単一のPES内の複数のフレームの中からIDRピクチャのみを表示させる処理が必要になるが、この場合、IDRピクチャのみをデコードする機能を映像デコーダに追加するか、若しくは映像デコーダの出力からIDRピクチャのみを抽出して表示させるという映像デコーダ後段での追加処理が必要となる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、複数のフレームからなる映像パケットが挿入されたコンテンツのスムーズな早送り再生を容易に実現することができるコンテンツ処理装置及びコンテンツ処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のコンテンツ処理装置は、フレーム内符号化により得られた第1のピクチャとフレーム間符号化により得られた第2のピクチャとを有する映像パケットが挿入されたコンテンツを取得するコンテンツ取得部と、前記コンテンツ取得部により取得された前記コンテンツ中の前記映像パケットを、前記第1のピクチャを有する第1の分割映像パケットと前記第2のピクチャを含む第2の分割映像パケットとに分割するパケット分割部と、前記パケット分割部により分割された前記第1及び第2の分割映像パケットに対し、アダプテーションフィールド及びスタッフィングを挿入するパケット調整部とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明では、フレーム内符号化された第1のピクチャを含む複数のフレームからなる映像パケットより、実質的に、第1のピクチャだけを備えた第1の分割映像パケットを取り出すことができる。したがって、本発明によれば、例えば映像デコーダの後段で早送り再生のための特別なデータ処理の追加や、映像デコーダ自体の機能の拡張などを行うことなく、映像パケットを分割して得た第1の分割映像パケットをデコードすることで、スムーズな早送り再生を実現することができる。
【0010】
また、本発明に係るコンテンツ処理方法は、フレーム内符号化により得られた第1のピクチャとフレーム間符号化により得られた第2のピクチャとを有する映像パケットが挿入されたコンテンツを取得するコンテンツ取得ステップと、前記コンテンツ取得ステップで取得された前記コンテンツ中の前記映像パケットを、前記第1のピクチャを有する第1の分割映像パケットと前記第2のピクチャを含む第2の分割映像パケットとに分割するパケット分割ステップと、前記パケット分割ステップで分割された前記第1及び第2の分割映像パケットに対し、アダプテーションフィールド及びスタッフィングを挿入するパケット調整ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明によれば、複数のフレームからなる映像パケットが挿入されたコンテンツのスムーズな早送り再生を容易に実現することが可能なコンテンツ処理装置及びコンテンツ処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るコンテンツ処理装置の構成を機能的に示すブロック図である。
【0013】
同図に示すように、本実施形態に係るコンテンツ処理装置1は、デジタル放送の伝送用に符号化されたコンテンツを記録再生するデジタル放送記録再生装置である。すなわち、コンテンツ処理装置1は、アンテナ2、チューナ3、MPEG2−TS分離部8、映像PES格納部10、音声PES格納部14、映像デコーダ11、音声デコーダ15、モニタ12、スピーカ16、記録再生制御部7、TSパケットPES変換部5、TS記録部6、TS抽出部9、スイッチ17、18、19を備える。
【0014】
チューナ3は、後に詳述するMPEG2−TS(MPEG2-Transport Stream)を取得するコンテンツ取得部として機能するものであって、受信再生の場合、アンテナ2を介して受信した放送波をMPEG2−TSとして復調し、これをMPEG2−TS分離部8に出力する。MPEG2−TS分離部8は、MPEG2−TSを後述する映像PESと音声PESとに分離し、分離した各PESを映像PES格納部10と音声PES格納部14とにそれぞれ格納する。
【0015】
映像デコーダ11及び音声デコーダ15は、PES単位でデコード処理を行うものであって、映像PES格納部10及び音声PES格納部14側から入力した映像PES及び音声PESをそれぞれデコードし、デコードした映像データ及び音声データをモニタ12とスピーカ16とに各々出力する。
【0016】
ここで、上述したチューナ3が放送波を復調して得るMPEG2−TSの構造を図2〜図4に基づき説明する。前記の図2は、デジタルコンテンツとしてのMPEG2−TS20の構造を示す図であり、図3は、図2のMPEG2−TS20のTSヘッダ21の構造を示す図である。また、図4は、図2のMPEG2−TS20に挿入されるPES24、26の構造を詳細に示す図である。
【0017】
図2に示すように、MPEG2−TS20は、モバイル放送や1セグメント放送(ワンセグ放送)で採用されるデジタルコンテンツであって、ARIB標準規格に準拠するH.264(MPEG4-AVC)方式で圧縮符号化されたエレメンタリストリーム(ES: Elementary Stream)を伝送用にパケット化したトランスポートストリームである。MPEG2−TS20は、1パケット188バイトのパケット列から構成されており、PESヘッダ(PES header)25、27をそれぞれ備える映像PES(Packetized Elementary Stream)24及び音声PES26が各々分割されて格納された映像ペイロード(Payload)22及び音声ペイロード23と、TSヘッダ(TS header)21とを有する。
【0018】
図3に示すように、TSヘッダ21は、同期バイト(sync byte)31、PID(Packet Identifier)32、アダプテーションフィールド制御(adaptation field control)33、アダプテーションフィールド(adaptation field)34などから構成される。同期バイト31は、パケットの同期を取るための情報であり、TSヘッダ21の先頭を表すシーク用の8ビットのマーカとして機能し、その値が「0x47」で示される。つまり、MPEG2−TS20は、1パケットが188バイトの固定長であるため、188バイトごとに「0x47」が出現することになる。
【0019】
PID32は、パケットの種別を示すパケット識別子であって、映像PES24と音声PES26とはそれぞれ異なる一意に決められたPID値を持つ。つまり、MPEG2−TS20は、映像PES24、音声PES26それぞれを、TSパケット化しTSレイヤ(階層)で多重化を行うものであるが、TSパケットのレイヤで、PIDにより各PESを識別可能なので、TSパケットのPIDをチェックすれば、PESを多重分離することが可能となる。ここで、PID値「0x1FFF」は、有効なデータを伝送しないヌル・パケット(Null Packet)を意味し、パケットのスタッフィング(パケットデータを一定長に保つために付加する内容のないバイト)を挿入する際に使用される。
【0020】
アダプテーションフィールド制御33は、2ビットのフラグにて、4バイト(固定長)のTSヘッダ21に続いてアダプテーションフィールド34が続くか否かを示すものである。すなわち、フラグ「01」は、アダプテーションフィールドなしでペイロードのみが存在することを示し、「10」は、アダプテーションフィールドのみがあり、ペイロードがないことを示す。また、「11」は、アダプテーションフィールドに続きペイロードがある旨を表し、「00」は、リザーブ(予約)を示す。なお、本実施形態では、フラグの値「11」が対応する態様を例示する。
【0021】
ここで、アダプテーションフィールド34の重要な構成要素として、スタッフィングバイトが挙げられる。スタッフィングバイトは、値「0xFF」を用い、アダプテーションフィールドに続くデータの長さの調整が必要な場合に使用される。
【0022】
詳細には、アダプテーションフィールド34は、アダプテーションフィールド長(adaptation field length)33、PCR(Program Clock Rreference)37、PCRフラグ(PCR Flag)36などで構成される。PCRフラグ36は、MPEG2−TS20のTSパケット内にPCR値が含まれることを示す。PCR37は、プログラム時刻基準値であり、27MHzでカウントする時計の現在時刻を示す。つまり、MPEG2−TS20は、PCR37を用いることで、受信機側のクロックを送信側のクロックに同期させる機能を有する。
【0023】
また、図4に示すように、PES(映像PES/音声PES)24、26は、上述したPESヘッダ25、27とPESパケットデータバイト(PES Packet Data Byte)43と称するES本体とから構成され、TSパケット化される場合、PESの先頭バイトが、TSパケットの上記ペイロードの先頭バイトとなるようにパケット化される。
【0024】
PESヘッダ25、27は、パケット開始符号プリフィックス(Packet Start Code Prefix)38、ストリームID(Stream Id)39、PESパケット長(PES Packet Length)40、PTS DTSフラグ(Pts_Dts Flags)41、PTS(Presentation Time Stamp)42を有する。
【0025】
パケット開始符号プリフィックス38は、パケット開始符号の先頭24ビットを示し、ストリームID39と合わせた32ビットでPES24、26の先頭を示す開始符号となる。ストリームID39は、PES24、26のデータの識別子である。PESパケット長40は、このフィールドより後からPESパケットの最終位置までのデータ長(PESパケットのサイズ)を示す。PTS42は、同期用の提示時刻情報の値であって、ESをデコード表示する開始時刻、及びESを音としてデコード出力する開始時刻を示す時刻データである。
【0026】
PTS DTSフラグ41は、PTS、DTS(Decoding Time Stamp:復号時刻情報)のフィールドの存在を示す2ビットのフラグであって、値「10」でPTSのみの存在を示し、値「11」でPTSとDTSが存在することを示す。つまり、上記「10」のように、PTS DTSフラグ41の値が、PTSの存在を示す場合、PTSフィールドが、PESヘッダ中に存在することになる。
【0027】
次に、本実施形態のコンテンツ処理装置1が備える、スムーズな早送り再生を実現するための機能について上述した図1〜図4に加え、図5〜図9に基づき説明を行う。ここで、図5は、複数のフレームからなる映像PESとの比較のために例示された単一のフレームからなりPESヘッダ46、49を持つ映像PES45、48の構造を模式的に示す図であり、図6は、図2のMPEG2−TSに含まれる複数のフレームからなる映像PES51の構造を模式的に示す図である。また、図7は、図5の複数のフレームからなる映像PES51を分割して得た第1及び第2の分割映像PES57、58の構造を示す図であり、図8は、図7に示す第1及び第2の分割映像PES57、58への分割処理と分割された各PESに対する調整処理とを説明するための図である。さらに、図9は、図8の分割処理及び調整処理を示すフローチャートである。
【0028】
すなわち、コンテンツ処理装置1の上述したTSパケットPES変換部5、TS記録部6、TS抽出部9、スイッチ17、18、19、及び装置本体内の各部を統括的に制御する記録再生制御部7は、次のような機能を備える。記録再生制御部7は、所定の入力インタフェース(図示せず)を介してのユーザからの入力指示、つまり、受信データの再生要求、録画要求、録画データの通常再生要求、及び録画データの早送り再生要求を受け付けた場合、コンテンツ処理装置1本体の動作モードを、受信再生モード、録画モード、通常再生モード、及び早送り再生モードにそれぞれ切替える。
【0029】
記録再生制御部7は、受信再生モードの場合、スイッチ17を制御してチューナ3とMPEG2−TS分離部8とを接続し、録画モードの場合、スイッチ19を制御してチューナ3とTSパケットPES変換部5とを接続する。また、通常再生モードの場合、スイッチ17、18を制御して、TS記録部6とMPEG2−TS分離部8とを接続し、早送り再生モードの場合、スイッチ17、18を制御して、TS抽出部9とMPEG2−TS分離部8とを接続する。
【0030】
ここで、図5及び図6に示すように、H.264方式により符号化された映像データは、IDRピクチャ(Instantaneous Decoding Refresh picture)47、53と、nonIDRピクチャ50、54、55とから構成される。IDRピクチャ47、53は、ISO/IEC 13818−2で規定されたMPEG−2のIピクチャに相当するフレーム内符号化により得られるデータ、すなわち、符号化対象の映像フレーム(原画面)だけを使って符号化した第1のピクチャである。一方、nonIDRピクチャ50、54、55は、符号化対象の映像フレームの他に対象フレームの前又は後のフレームを用いるフレーム間符号化により得られた第2のピクチャである。したがって、IDRピクチャ47、53は、自身単体の情報でデコードできるものの、nonIDRピクチャ50、54、55は、自身の情報に加え、IDRピクチャを参照して初めてデコードが可能となる。
【0031】
また、H.264では、ESをPES化する場合の圧縮効率を高めるために一つの映像PESに複数の映像フレームを挿入することが許容されているので、MPEG2−TS20に挿入される映像PESは、例えば図6に示す映像PES51の構造を有する(図6の例では単一のPESが3つのフレームを有している)。このため、早送り再生を目的として、IDRピクチャ53を含む映像PES51を、単純にデコードした場合、IDRピクチャ53に続くnonIDRピクチャ54、55も一緒にデコードされてしまうので、スムーズな早送り再生を行うことが難しくなる。
【0032】
そこで、録画モードの際に、TSパケットPES変換部5は、チューナ3により復調されたMPEG2−TS20中の映像PES51を、TSパケットのレイヤで、IDRピクチャ53のみを有する第1の分割映像PES57とnonIDRピクチャ54、55を含む第2の分割映像PES58とに分割し、分割した第1及び第2の分割映像PES57、58に対して、アダプテーションフィールド及びスタッフィングを挿入する。
【0033】
つまり、図8及び図9に示すように、まず、チューナ3がアンテナ2を介して受信した放送波をMPEG2−TSとして復調すると(S1)、TSパケットPES変換部5は、IDRピクチャ53とnonIDRピクチャ54、55との切れ目になるパケット(図3の例ではnonIDRピクチャ54)を検索する(S2)。境界のパケットが検出されると(S3)、TSパケットPES変換部5は、その境界のパケットを基準として映像PES51を、IDRピクチャ(図3の例ではIDRピクチャ53)の最後尾を含む第1の分割映像パケット(IDRピクチャのみを有する単一フレームからなる第1の分割映像PES57)と、先頭のnonIDRピクチャ54を含む第2の分割映像パケット(第2の分割映像PES58)とに分割する(S4)。
【0034】
また、TSパケットPES変換部5は、第1の分割映像PES57に対し、アダプテーションフィールドを追加してパケットの最後がIDRピクチャの最後尾で終わるようにスタッフィングを挿入する(スタッフィングバイト「0xFF」を埋め込む)。さらに、TSパケットPES変換部5は、第2の分割映像PES58に対し、PESヘッダ(PES header1)56の挿入後のnonIDRピクチャ54、55のパケット上の位置が、分割前の映像PES51のnonIDRピクチャ54、55のパケット上の位置と同じになるように、アダプテーションフィールドとスタッフィングを挿入する(S5)。
【0035】
また、IDRピクチャは必ずPES先頭に配置される必要があるため、IDRピクチャを単一フレームとする上記第1の分割映像PES57を生成するには、IDRピクチャの最後にPESヘッダ(PESヘッダ56)を追加すればよいことになる。追加するPESヘッダ(PESヘッダ56)には、図7に示すPTSの値を正しく設定する必要がある。つまり、図7において、第1の分割映像PES57のPESヘッダ52中のPTSと第2の分割映像PES58のPESヘッダ56中のPTS(PTS1)との関係は、次式1で与えられる。
【0036】
PTS1=PTS+映像1フレーム(IDRピクチャ53)分の時間 …式1
【0037】
したがって、TSパケットPES変換部5は、上記式1を満足するように、第2の分割映像PES58のPESヘッダ56中のPTS(PTS1)の値を設定する。
【0038】
また、TS記録部6は、例えばハードディスクやDVDなどの書き替え可能な記憶媒体を有し、上記のようにアダプテーションフィールド及びスタッフィングを挿入された第1及び第2の分割映像PES57、58が挿入されたTSパケットを記憶する。さらに、TS抽出部9は、このようなTSパケットが記憶されたTS記録部6から第1の分割映像PES57を含むTSパケットだけを抽出する。
【0039】
したがって、記録再生制御部7は、早送り再生モードの場合、単一フレームからなる第1の分割映像PES57を含むTSパケットだけをTS抽出部9を通じて抽出し、この抽出したデータをMPEG2−TS分離部8及び映像PES格納部10を介して映像デコーダ(PES単位でデコード処理を行うデコーダ)11でデコードし、早送り画像をモニタ12に表示出力させる。一方、通常再生モードの場合、記録再生制御部7は、第1及び第2の分割映像PES57、58の双方を取り出して、MPEG2−TS分離部8及び映像PES格納部10を介して映像デコーダ11でデコードし、通常の再生画像をモニタ12に表示出力させる。
【0040】
ここで、映像PES51を分割する際に、図8に示すように、第1の分割映像PES57の最後尾がIDRピクチャ53で終了し且つ分割前後のパケット(PES)上でのnonIDRピクチャ54、55の位置が同じになるように、アダプテーションフィールド及びスタッフィングを挿入するパケットの調整処理が行われていることで、特別な機能を持たない簡易的な構成の映像デコーダにより第1及び第2の映像PES57、58を通常再生することができる。
【0041】
既述したように、本実施形態に係るコンテンツ処理装置1によれば、フレーム内符号化されたIDRピクチャを含む複数のフレームからなる映像PES51より、IDRピクチャのみを有する第1の分割映像PES57を含むTSパケットを取り出すことができる。したがって、コンテンツ処理装置1によれば、例えば映像デコーダの後段で早送り再生のための特別なデータ処理の追加や、映像デコーダ自体の機能の拡張などを行うことなく、映像PES51を分割して得た第1の分割映像PES57をデコードすることで、スムーズな早送り再生を実現することができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図10に基づき説明する。ここで、図10は、この実施形態に係るコンテンツ処理装置70の構成を機能的に示すブロック図である。なお、図10において、図1に示した第1の実施形態のコンテンツ処理装置1に設けられていたものと同一の構成要素については、同一の符号を付与しその説明を省略する。
【0043】
この実施形態のコンテンツ処理装置70は、図10に示すように、第1の実施形態のコンテンツ処理装置1に設けられていた記録再生制御部7に代えて、記録再生制御部73を備えるとともに、スイッチ76が追加されている。また、コンテンツ処理装置70は、TSパケットPES変換部5とTS記録部6との前段、後段の配置関係が、コンテンツ処理装置1に対して逆転して配置されている。
【0044】
すなわち、この実施形態のコンテンツ処理装置70では、録画モードの場合、記録再生制御部73は、TS記録部6とTSパケットPES変換部5とが接続されないようにスイッチ76を制御し、図6に示した複数のフレームからなる分割前の映像PES51が挿入されたMPEG2−TSをそのままTS記録部6に記録する。一方、早送り再生モードの場合、記録再生制御部73は、TS記録部6とTSパケットPES変換部5とが接続されるようにスイッチ76を制御するとともに、映像PES51を図7及び図8に例示したように、TSパケットPES変換部5を通じて第1の映像PES57と第2の映像PES58とに分割し、分割された第1の映像PES57を含むTSパケットをTS抽出部9を通じて抽出する。
【0045】
したがって、この実施形態に係るコンテンツ処理装置70によれば、早送り再生の要求を受けた時点ではじめて、複数のフレームからなる映像PES51を分割するように構成されているので、録画時のデータ処理の効率化を図ることができる。また、この実施形態のコンテンツ処理装置70においても、映像デコーダの機能の拡張などを行うことなく、スムーズな早送り再生を容易に実現することができる。
【0046】
以上、本発明を各実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。上述した第1及び第2の実施形態のコンテンツ処理装置では、電気機器としての具体的な種別については例示しなかったが、本発明は、例えば1セグメント放送やモバイル放送などを受信可能な携帯電話や車載受像機などの移動体端末に適用した場合に有用である。また、上述した実施形態では、受信したコンテンツを記憶する機能と記憶したコンテンツを再生する機能との双方を備える記録再生装置を例示していたが、これに代えて、コンテンツを記憶可能な例えば可搬型の記憶媒体の読み出しなどに対応し、さらにHDDなどの外部記憶装置(及び/又はチューナ)を持たない再生専用装置に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第2の実施形態に係るコンテンツ処理装置の構成を機能的に示すブロック図。
【図2】図1のコンテンツ処理装置が受信するMPEG2−TSの構造を示す図。
【図3】図2のMPEG2−TSのTSヘッダの構造を示す図。
【図4】図2のMPEG2−TSに挿入されるPESの構造を詳細に示す図。
【図5】複数のフレームからなる映像PESとの比較のために例示された単一のフレームからなる映像PESの構造を模式的に示す図。
【図6】図2のMPEG2−TSに含まれる複数のフレームからなる映像PESの構造を模式的に示す図。
【図7】図5の複数のフレームからなる映像PESを分割して得た第1及び第2の分割映像PESの構造を示す図。
【図8】図7に示す第1及び第2の分割映像PESへの分割処理と分割された各PESに対する調整処理とを説明するための図。
【図9】図8の分割処理及び調整処理を示すフローチャート。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るコンテンツ処理装置の構成を機能的に示すブロック図。
【符号の説明】
【0048】
1,70…コンテンツ処理装置、2…アンテナ、3…チューナ、5…TSパケットPES変換部、6…TS記録部、7,73…記録再生制御部、9…TS抽出部、11…映像デコーダ、12…モニタ、20…MPEG2−TS、24,45,48,51…映像PES、34…アダプテーションフィールド、47,53…IDRピクチャ、50,54,55…nonIDRピクチャ、52,56…PESヘッダ、57…第1の分割映像PES、58…第2の分割映像PES。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100077849
【弁理士】
【氏名又は名称】須山 佐一

【識別番号】100113871
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 行雄

【識別番号】100124073
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聡

【識別番号】100134223
【弁理士】
【氏名又は名称】須山 英明


【公開番号】 特開2008−11404(P2008−11404A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182097(P2006−182097)