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【発明の名称】 画像処理プログラムおよび画像処理装置
【発明者】 【氏名】久野 雅司

【要約】 【課題】レティネックス処理を行った場合の画像をより高画質に改善することができる画像処理プログラムおよび画像処理装置を提供する。

【構成】まず、ヒストグラム処理における補正のパラメータを定め(S21)、次に、定められたパラメータに基づいてOut(x、y)の各座標についてヒストグラム補正を行う(S22)。次に、全ての座標(x、y)についてヒストグラム補正を行ったか否かを判断し(S23)、まだ、補正を行っていない座標がある場合は(S23:No)、S22の処理に戻り、全ての座標について補正を行った場合は(S23:Yes)、このヒストグラム処理を終了する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより画像の補正を実行させる画像処理プログラムにおいて、
元画像における輝度信号と色信号のうち、輝度信号のみにレティネックス処理を行い、元画像の色信号に基づいて補正するレティネックス処理ステップと、
そのレティネックス処理ステップにより補正された画像の画素値が取る全範囲における各画素値の頻度を集計し、画素値が取る値の範囲を変更することにより画素値の補正を行うヒストグラム処理により補正を行うヒストグラム処理ステップとを備えていることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項2】
前記ヒストグラム処理ステップは、画像の画素値が取る全範囲の最小値から所定の範囲である下端範囲と最大値から所定の範囲である上端範囲とを除き、残りの範囲を全範囲に拡大する処理であって、前記レティネックス処理ステップにより行われるレティネックス処理におけるパラメータに応じたパラメータにより処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理プログラム。
【請求項3】
前記ヒストグラム処理ステップは、前記レティネックス処理ステップにより行われたレティネックス処理において、明部が補正されない範囲を有する場合は、明部に対応する下端範囲または上端範囲を明部が補正される場合に比べて大きく設定することを特徴とする請求項2記載の画像処理プログラム。
【請求項4】
前記レティネックス処理ステップは、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、
前記ヒストグラム処理ステップは、前記レティネックス処理ステップにおいて用いられた定数γ1の値に応じて、暗部に対応する下端範囲または上端範囲の大きさを設定することを特徴とする請求項2記載の画像処理プログラム。
【請求項5】
前記ヒストグラム処理ステップは、元画像の画素値のメディアン値に、前記レティネックス処理ステップにより処理された画像の画素値のメディアン値が近づくようにパラメータを設定することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の画像処理プログラム。
【請求項6】
前記レティネックス処理ステップは、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、
前記ヒストグラム処理ステップは、画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の最大値をD、上端範囲の最小値をUとした場合に、
inputが、下端範囲の場合は、MINとし、
inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、
inputが、上記範囲以外の場合は、
a=(input−D)/(U−D)
outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、
γ2=(γ1−1.0)/A+1.0
(但し、Aは、5から20の値)とすることを特徴とする請求項5記載の画像処理プログラム。
【請求項7】
前記レティネックス処理ステップは、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、
前記ヒストグラム処理ステップは、画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の上限値をD、上端範囲の下限値をU、元画像のメディアン値をOM、前記レティネックス処理ステップにより処理された画像のメディアン値をRM、定数をαとした場合に、
inputが、下端範囲の場合は、MINとし、
inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、
inputが、上記範囲以外の場合は、
a=(input−D)/(U−D)
outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、
γ2=log(target/MAX)/log(RM/MAX)
但し、target=(OM×α+RM)/(1+α)
とすることを特徴とする請求項5記載の画像処理プログラム。
【請求項8】
コンピュータにより画像の補正を実行する画像処理装置において、
元画像における輝度信号と色信号のうち、輝度信号のみにレティネックス処理を行い、元画像の色信号に基づいて補正するレティネックス処理手段と、
そのレティネックス処理手段により補正された画像の画素値が取る全範囲における各画素値の頻度を集計し、画素値が取る値の範囲を変更することにより画素値の補正を行うヒストグラム処理により補正を行うヒストグラム処理手段とを備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
前記ヒストグラム処理手段は、画像の画素値が取る全範囲の最小値から所定の範囲である下端範囲と最大値から所定の範囲である上端範囲とを除き、残りの範囲を全範囲に拡大する処理であって、前記レティネックス処理ステップにより行われるレティネックス処理におけるパラメータに応じたパラメータにより処理を行うことを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記ヒストグラム処理手段は、前記レティネックス処理手段により行われたレティネックス処理において、明部が補正されない範囲を有する場合は、明部に対応する下端範囲または上端範囲を明部が補正される場合に比べて大きく設定することを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記レティネックス処理手段は、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、
前記ヒストグラム処理手段は、前記レティネックス処理手段により行われたレティネックス処理において用いられた定数γ1の値に応じて、暗部に対応する下端範囲または上端範囲の大きさを設定することを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記ヒストグラム処理手段は、元画像の画素値のメディアン値に、前記レティネックス処理手段により処理された画像の画素値のメディアン値が近づくようにパラメータを設定することを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記レティネックス処理手段は、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、
前記ヒストグラム処理手段は、画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の最大値をD、上端範囲の最小値をUとした場合に、
inputが、下端範囲の場合は、MINとし、
inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、
inputが、上記範囲以外の場合は、
a=(input−D)/(U−D)
outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、
γ2=(γ1−1.0)/A+1.0
(但し、Aは、5から20の値)とすることを特徴とする請求項12記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記レティネックス処理手段は、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、
前記ヒストグラム処理手段は、画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の上限値をD、上端範囲の下限値をU、元画像のメディアン値をOM、前記レティネックス処理ステップにより処理された画像のメディアン値をRM、定数をαとした場合に、
inputが、下端範囲の場合は、MINとし、
inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、
inputが、上記範囲以外の場合は、
a=(input−D)/(U−D)
outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、
γ2=log(target/MAX)/log(RM/MAX)
但し、target=(OM×α+RM)/(1+α)
とすることを特徴とする請求項12記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理プログラムおよび画像処理装置に関し、特にレティネックス処理を行った場合の画像をより高画質に改善することができる画像処理プログラムおよび画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
逆光条件下で被写体が撮像された場合、被写体部分の画像は、詳細な態様が判別困難となるほど明度やコントラストの低い不明瞭な逆光画像となる。かかる逆光画像のみならず、露光の過不足や、撮像時のぶれやぼけ、ノイズ、光量不足などによる劣悪な画像を、画像処理によって明度やコントラストを向上させて画質を改良することが行われている。かかる画像処理の1手法として、レティネックス処理(Retinex処理)が知られている。
【0003】
レティネックス処理は、高画質部分については入力画像データを保持し、主に低画質部分の画質改良を行うものである。このレティネックス処理では、ガウスフィルタにより、元の画像の各画素データを周辺画素の画素データを反映させた値に補正し、その補正された画素データの自然対数から元の画像のリファレンス成分データを算出し、元画像の画素成分で元の画像の画素データを除してイルミナンス成分データを算出する。つまり、元の画像を、リファレンス成分とイルミナンス成分との2の構成成分に分けるのである。そして、イルミナンス成分に対してガンマ補正等の明度や階調(コントラスト)を補正する処理を行った後、その補正されたイルミナンス成分と、リファレンス成分とを合成することにより、元の画像に対し逆光画像部分などの低画質部分の画質が改良された画像データを生成することができる。
【0004】
特開2001−69525号公報(特許文献1)には、このレティネックス処理をRGBの各プレーンで独立に行った場合に、カラーバランスが崩れたり色ずれが発生するという問題点を解決するために、RGB値をYCbCrやYIQという輝度成分と色成分により構成される座標空間に変換し、輝度成分Yに対してのみレティネックス処理を施し、色成分を維持したまま、RGBに戻すという方法が開示されている。この方法を用いると輝度成分のみが調整され、色成分は調整されないのでカラーバランスが崩れたり色ずれが発生することがない。また、この方法では、輝度成分のみにレティネックス処理を行うので、RGBの各プレーンそれぞれにレティネックス処理を行う場合に比べ、計算量が少なく、高速で処理を実行することができる。
【特許文献1】特開2001−69525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された処理では、暗部はやや明るく、明部はやや暗く補正され、レティネックス処理によりダイナミックスレンジが狭くなる。また、暗部は、明るくなっただけで、彩度は変わらないので、白っぽく深みに欠ける画像になるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、レティネックス処理を行った場合の画像をより高画質に改善することができる画像処理プログラムおよび画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1記載の画像処理プログラムは、コンピュータにより画像の補正を実行させるものであり、元画像における輝度信号と色信号のうち、輝度信号のみにレティネックス処理を行い、元画像の色信号に基づいて補正するレティネックス処理ステップと、そのレティネックス処理ステップにより補正された画像の画素値が取る全範囲における各画素値の頻度を集計し、画素値が取る値の範囲を変更することにより画素値の補正を行うヒストグラム処理により補正を行うヒストグラム処理ステップとを備えている。
【0008】
請求項2記載の画像処理プログラムは、請求項1記載の画像処理プログラムにおいて、前記ヒストグラム処理ステップは、画像の画素値が取る全範囲の最小値から所定の範囲である下端範囲と最大値から所定の範囲である上端範囲とを除き、残りの範囲を全範囲に拡大する処理であって、前記レティネックス処理ステップにより行われるレティネックス処理におけるパラメータに応じたパラメータにより処理を行う。
【0009】
請求項3記載の画像処理プログラムは、請求項2記載の画像処理プログラムにおいて、前記ヒストグラム処理ステップは、前記レティネックス処理ステップにより行われたレティネックス処理において、明部が補正されない範囲を有する場合は、明部に対応する下端範囲または上端範囲を明部が補正される場合に比べて大きく設定する。
【0010】
請求項4記載の画像処理プログラムは、請求項2記載の画像処理プログラムにおいて、前記レティネックス処理ステップは、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、前記ヒストグラム処理ステップは、前記レティネックス処理ステップにおいて用いられた定数γ1の値に応じて、暗部に対応する下端範囲または上端範囲の大きさを設定する。
【0011】
請求項5記載の画像処理プログラムは、請求項2から4のいずれかに記載の画像処理プログラムにおいて、前記ヒストグラム処理ステップは、元画像の画素値のメディアン値に、前記レティネックス処理ステップにより処理された画像の画素値のメディアン値が近づくようにパラメータを設定する。
【0012】
請求項6記載の画像処理プログラムは、請求項5記載の画像処理プログラムにおいて、前記レティネックス処理ステップは、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、前記ヒストグラム処理ステップは、画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の最大値をD、上端範囲の最小値をUとした場合に、inputが、下端範囲の場合は、MINとし、inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、inputが、上記範囲以外の場合は、a=(input−D)/(U−D)、outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、γ2=(γ1−1.0)/A+1.0(但し、Aは、5から20の値)とする。
【0013】
請求項7記載の画像処理プログラムは、請求項5記載の画像処理プログラムにおいて、前記レティネックス処理ステップは、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、前記ヒストグラム処理ステップは、画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の上限値をD、上端範囲の下限値をU、元画像のメディアン値をOM、前記レティネックス処理ステップにより処理された画像のメディアン値をRM、定数をαとした場合に、inputが、下端範囲の場合は、MINとし、inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、inputが、上記範囲以外の場合は、a=(input−D)/(U−D)、outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、γ2=log(target/MAX)/log(RM/MAX)但し、target=(OM×α+RM)/(1+α)とする。
【0014】
請求項8記載の画像処理装置は、コンピュータにより画像の補正を実行するものであり、元画像における輝度信号と色信号のうち、輝度信号のみにレティネックス処理を行い、元画像の色信号に基づいて補正するレティネックス処理手段と、そのレティネックス処理手段により補正された画像の画素値が取る全範囲における各画素値の頻度を集計し、画素値が取る値の範囲を変更することにより画素値の補正を行うヒストグラム処理により補正を行うヒストグラム処理手段とを備えている。
【0015】
請求項9記載の画像処理装置は、請求項8記載の画像処理装置において、前記ヒストグラム処理手段は、画像の画素値が取る全範囲の最小値から所定の範囲である下端範囲と最大値から所定の範囲である上端範囲とを除き、残りの範囲を全範囲に拡大する処理であって、前記レティネックス処理ステップにより行われるレティネックス処理におけるパラメータに応じたパラメータにより処理を行う。
【0016】
請求項10記載の画像処理装置は、請求項9記載の画像処理装置において、前記ヒストグラム処理手段は、前記レティネックス処理手段により行われたレティネックス処理において、明部が補正されない範囲を有する場合は、明部に対応する下端範囲または上端範囲を明部が補正される場合に比べて大きく設定する。
【0017】
請求項11記載の画像処理装置は、請求項9記載の画像処理装置において、前記レティネックス処理手段は、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、前記ヒストグラム処理手段は、前記レティネックス処理手段により行われたレティネックス処理において用いられた定数γ1の値に応じて、暗部に対応する下端範囲または上端範囲の大きさを設定する。
【0018】
請求項12に記載の画像処理装置は、請求項9から11のいずれかに記載の画像処理装置において、前記ヒストグラム処理手段は、元画像の画素値のメディアン値に、前記レティネックス処理手段により処理された画像の画素値のメディアン値が近づくようにパラメータを設定する。
【0019】
請求項13記載の画像処理装置は、請求項12記載の画像処理装置において、前記レティネックス処理手段は、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、前記ヒストグラム処理手段は、画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の最大値をD、上端範囲の最小値をUとした場合に、inputが、下端範囲の場合は、MINとし、inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、inputが、上記範囲以外の場合は、a=(input−D)/(U−D)、outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、γ2=(γ1−1.0)/A+1.0(但し、Aは、5から20の値)とする。
【0020】
請求項14記載の画像処理装置は、請求項12記載の画像処理装置において、前記レティネックス処理手段は、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、前記ヒストグラム処理手段は、画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の上限値をD、上端範囲の下限値をU、元画像のメディアン値をOM、前記レティネックス処理ステップにより処理された画像のメディアン値をRM、定数をαとした場合に、inputが、下端範囲の場合は、MINとし、inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、inputが、上記範囲以外の場合は、a=(input−D)/(U−D)、outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、γ2=log(target/MAX)/log(RM/MAX)、但し、target=(OM×α+RM)/(1+α)とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の画像処理プログラムによれば、元画像における輝度信号と色信号のうち、輝度信号のみにレティネックス処理を行い、元画像の色信号に基づいて補正するレティネックス処理ステップと、そのレティネックス処理ステップにより補正された画像の画素値が取る全範囲における各画素値の頻度を集計し、画素値が取る値の範囲を変更することにより画素値の補正を行うヒストグラム処理により補正を行うヒストグラム処理ステップとを備えているので、レティネックス処理により逆光補正を行うとともに、レティネックス処理によりダイナミックレンジが狭くなったり、暗部が、明るくなっただけで、白っぽく深みに欠ける画像になる欠点を除き、より高画質な画像を得ることできるという効果がある。
【0022】
請求項2記載の画像処理プログラムによれば、請求項1記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、ヒストグラム処理ステップは、画像の画素値が取る全範囲の最小値から所定の範囲である下端範囲と最大値から所定の範囲である上端範囲とを除き、残りの範囲を全範囲に拡大する処理であって、レティネックス処理ステップにより行われるレティネックス処理におけるパラメータに応じたパラメータにより処理を行うので、レティネックス処理におけるダイナミックレンジが狭くなったり、暗部が白っぽくなる程度に応じた補正をヒストグラム処理により行うことができる。
【0023】
請求項3記載の画像処理プログラムによれば、請求項2記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、ヒストグラム処理ステップは、レティネックス処理ステップにより行われたレティネックス処理において、明部が補正されない範囲を有する場合は、明部に対応する下端範囲または上端範囲を明部が補正される場合に比べて大きく設定するので、明部におけるダイナミックレンジが広げられる。
【0024】
請求項4記載の画像処理プログラムによれば、請求項2記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、レティネックス処理ステップは、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、前記ヒストグラム処理ステップは、前記レティネックス処理ステップにおいて用いられた定数γ1の値に応じて、暗部に対応する下端範囲または上端範囲の大きさを設定する。
【0025】
よって、γ1の値を大きくした時に、暗部に対応する範囲を大きく除き、明るくなりすぎて画像にしまりがなくなるのを防止することができる。
【0026】
請求項5記載の画像処理プログラムによれば、請求項2から4のいずれかに記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、ヒストグラム処理ステップは、元画像の画素値のメディアン値に、レティネックス処理ステップにより処理された画像の画素値のメディアン値が近づくようにパラメータを設定する。レティネックス処理により、逆光部分は、明るく補正されるとともに、逆光部分ではない他の部分も明るく補正される。レティネック処理された画像のメディアン値を元の画像のメディアン値に近づけることにより、逆光部分以外を、レティネックス処理が行われていない元の状態に近い自然な状態に戻すことができる。
【0027】
請求項6記載の画像処理プログラムによれば、請求項5記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、レティネックス処理ステップは、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、ヒストグラム処理ステップは、画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の最大値をD、上端範囲の最小値をUとした場合に、inputが、下端範囲の場合は、MINとし、inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、inputが、上記範囲以外の場合は、a=(input−D)/(U−D)、outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、γ2=(γ1−1.0)/A+1.0(但し、Aは、5から20の値)とする。よって、レティネックス処理により逆光補正が行われた部分を生かし、その他の部分は、弱い目の補正を行うことができ、逆光補正と、自然さを残すという相反する処理とを調和させた処理を行うことができる。
【0028】
請求項7記載の画像処理プログラムによれば、請求項5記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、レティネックス処理ステップは、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、前記ヒストグラム処理ステップは、画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の上限値をD、上端範囲の下限値をU、元画像のメディアン値をOM、レティネックス処理ステップにより処理された画像のメディアン値をRM、定数をαとした場合に、inputが、下端範囲の場合は、MINとし、inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、inputが、上記範囲以外の場合は、a=(input−D)/(U−D)、outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、γ2=log(target/MAX)/log(RM/MAX)但し、target=(OM×α+RM)/(1+α)とするので、定数αにより元画像のメディアン値にレティネックス処理を行った画像のメディアン値を近づける度合いが設定でき、レティネックス処理における補正と、ヒストグラム処理における補正との調和をとることができる。
【0029】
請求項8記載の画像処理装置によれば、元画像における輝度信号と色信号のうち、輝度信号のみにレティネックス処理を行い、元画像の色信号に基づいて補正するレティネックス処理手段と、そのレティネックス処理手段により補正された画像の画素値が取る全範囲における各画素値の頻度を集計し、画素値が取る値の範囲を変更することにより画素値の補正を行うヒストグラム処理により補正を行うヒストグラム処理手段とを備えているので、レティネックス処理により逆光補正を行うとともに、レティネックス処理によりダイナミックレンジが狭くなったり、暗部が、明るくなっただけで、白っぽく深みに欠ける画像になる欠点を除き、より高画質な画像を得ることできるという効果がある。
【0030】
請求項9記載の画像処理装置によれば、請求項8記載の画像処理装置の奏する効果に加え、ヒストグラム処理手段は、画像の画素値が取る全範囲の最小値から所定の範囲である下端範囲と最大値から所定の範囲である上端範囲とを除き、残りの範囲を全範囲に拡大する処理であって、前記レティネックス処理ステップにより行われるレティネックス処理におけるパラメータに応じたパラメータにより処理を行うので、レティネックス処理におけるダイナミックレンジが狭くなったり、暗部が白っぽくなる程度に応じた補正をヒストグラム処理により行うことができる。
【0031】
請求項10記載の画像処理装置によれば、請求項9記載の画像処理装置の奏する効果に加え、ヒストグラム処理手段は、レティネックス処理手段により行われたレティネックス処理において、明部が補正されない範囲を有する場合は、明部に対応する下端範囲または上端範囲を明部が補正される場合に比べて大きく設定するので、明部におけるダイナミックレンジが広げられる。
【0032】
請求項11記載の画像処理装置によれば、請求項9記載の画像処理装置の奏する効果に加え、レティネックス処理手段は、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、前記ヒストグラム処理手段は、前記レティネックス処理手段により行われたレティネックス処理において用いられた定数γ1の値に応じて、暗部に対応する下端範囲または上端範囲の大きさを設定する。よって、γ1の値を大きくした時に、暗部に対応する範囲を大きく除き、明るくなりすぎて画像にしまりがなくなるのを防止することができる。
【0033】
請求項12記載の画像処理装置によれば、請求項9から11のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、ヒストグラム処理手段は、元画像の画素値のメディアン値に、前記レティネックス処理手段により処理された画像の画素値のメディアン値が近づくようにパラメータを設定する。レティネックス処理により、逆光部分は、明るく補正されるとともに、逆光部分ではない他の部分も明るく補正される。レティネック処理された画像のメディアン値を元の画像のメディアン値に近づけることにより、逆光部分以外を、レティネックス処理が行われていない元の状態に近い自然な状態に戻すことができる。
【0034】
請求項13記載の画像処理装置によれば、請求項12記載の画像処理装置の奏する効果に加え、レティネックス処理手段は、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、前記ヒストグラム処理手段は、画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の最大値をD、上端範囲の最小値をUとした場合に、inputが、下端範囲の場合は、MINとし、inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、inputが、上記範囲以外の場合は、a=(input−D)/(U−D)、outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、γ2=(γ1−1.0)/A+1.0(但し、Aは、5から20の値)とする。よって、レティネックス処理により逆光補正が行われた部分を生かし、その他の部分は、弱い目の補正を行うことができ、逆光補正と、自然さを残すという相反する処理とを調和させた処理を行うことができる。
【0035】
請求項14記載の画像処理装置によれば、請求項12記載の画像処理装置の奏する効果に加え、レティネックス処理手段は、元画像の各画素値について周辺平均輝度値を求め、元画像の画素値をその画素の周辺平均輝度値により除算した値の対数を取って正規化した参照値により、元画像の画素値を除算し、その商を(1−1/γ1)べき乗した値で、更に元画像の画素値を除算することにより画素値を補正するものであって、前記ヒストグラム処理手段は、画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の上限値をD、上端範囲の下限値をU、元画像のメディアン値をOM、前記レティネックス処理ステップにより処理された画像のメディアン値をRM、定数をαとした場合に、inputが、下端範囲の場合は、MINとし、inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、inputが、上記範囲以外の場合は、a=(input−D)/(U−D)、outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、γ2=log(target/MAX)/log(RM/MAX)、但し、target=(OM×α+RM)/(1+α)とするので、定数αにより元画像のメディアン値にレティネックス処理を行った画像のメディアン値を近づける度合いが設定でき、レティネックス処理における補正と、ヒストグラム処理における補正との調和をとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の画像処理を行うプログラムを搭載したプリンタ1の電気的な構成を示したブロック図である。本実施形態においては、プリンタ1に搭載された画像処理プログラムは、パーソナルコンピュータ(以下「PC」と称する)2や、デジタルカメラ21や、外部メディア20から入力された画像データ(原画像データなど)に対しレティネックス処理(Retinex処理)およびヒストグラム処理を実行して、画像データの逆光画像部分などの低画質領域の補正を実行するように構成されている。
【0037】
図1に示すように、プリンタ1には、CPU11、ROM12、RAM13、印刷ヘッドなどから構成され、印刷媒体(例えば、紙媒体など)への印刷(出力)を行う印刷部15、出力画像サイズなどの入力値をユーザが入力可能なユーザ操作部(例えば、テンキーなど)を有する操作パネル16とを備えている。
【0038】
また、プリンタ1は、ケーブル5を介してPC2と接続可能なインターフェイス(以下「I/F」と称する)17と、ケーブル6を介してデジタルカメラ21と接続可能なI/F18と、外部メディア20(例えば、SDメモリカード、メモリスティックなどのフラッシュメモリにより構成される)を着脱自在に装着可能な外部メディアスロット19とを備えている。これらのI/F17、18により行われる通信方法としてUSB(Universal Serial Bus)が使用される。
【0039】
よって、プリンタ1は、PC2に記憶されている画像データをケーブル5及びI/F17を介して入力することが可能であると共に、デジタルカメラ21によって撮影された画像データをケーブル6及びI/F18を介して入力することが可能である。さらに、外部メディアスロット19に装着された外部メディア20から、その外部メディア21に記憶されている画像データを入力することが可能である。
【0040】
CPU11は、プリンタ1全体を制御する演算処理装置(演算装置)である。ROM12は、CPU11により実行される各種制御プログラムやそのプログラムを実行する際に用いられる固定値などを記憶するものであり、制御プログラムとしてレティネックス処理やヒストグラム処理などの画像の処理を行う画像処理プログラムを記憶する画像処理プログラムメモリ12aや、印刷を行うための印刷制御プログラムを記憶する印刷制御プログラムメモリ12b等が備えられている。
【0041】
RAM13は、CPU11により実行される制御プログラムに必要な各種レジスタ群などが記憶されるワーキングエリアや、処理中のデータを一時的に格納するテンポラリエリア等を有しランダムにアクセスできる書き換え可能なメモリであり、元画像データを記憶する元画像メモリ13aと、元画像から分離した輝度信号を記憶する輝度信号メモリ13bと、色信号を記憶する色信号メモリ13cと、レティネックス処理において求められる反射率を記憶する反射率メモリ13dと、ヒストグラム処理において各画素値の頻度が記憶されるヒストグラムメモリ13e等を備えている。
【0042】
元画像データメモリ13aは、PC2、デジタルカメラ21、及び外部メディア20から、それぞれ、I/F17、I/F18、及び外部メディアスロット19を介して入力した画像データを記憶するものである。なお、本実施形態では、元画像データ及び出力画像データはいずれも、RGB値から構成され、これらの各RGB値は、「0」〜「255」の範囲の値である。
【0043】
尚、RGB値は、光の3原色である赤を表すR値と、緑を表すG値と、青を示すB値とを構成成分とする値である。光の3原色の混色により各種の色は生成されるので、入力画像の各画素の色は、R値とG値とB値との組合せ(RGB値)により1の色(色相や階調など)が示される。このRGB値の値が大きいほど、輝度(明度)は高くなる。
【0044】
輝度信号メモリ13bおよび色信号メモリ13cは、元画像のRGB値から輝度信号と色信号とを分離し、それぞれの値を記憶するメモリである。輝度信号Yおよび色信号CrおよびCbは、次式により求められる。
【0045】
【数1】


なお、色信号ではなく、色差信号I,Qに変換してもよい。輝度信号Yおよび色差信号I、Qは、次式により求められる。
【0046】
【数2】


RGBのそれぞれの値にレティネック処理を行うと色バランスがくずれたり演算に時間を要するという欠点があるが、輝度にのみレティネックス処理を行い、レティネックス処理を行った後で、色信号を用いてRGB値に戻すと、色バランスがくずれず、処理も速いという利点がある。
【0047】
反射率メモリ13dは、レティネックス処理において求められる反射率R(x,y)を記憶するメモリであり、この反射率の最大値および最小値が求められ、その最大値、最小値に基づいて正規化される。
【0048】
ヒストグラムメモリ13eは、レティネックス処理が完了した後のヒストグラム処理において、画像のRGB値が、0〜255までの各整数値を取る頻度が求められ、その頻度を記憶するメモリである。ヒストグラムが作成されると、そのヒストグラムに基づいて、
上端または下端の範囲、メディアン値などが定められる。
【0049】
また、元画像のメディアン値に、レティネックス処理後の画像のメディアン値を近づけるようにヒストグラム処理において、補正が行われる場合は、元画像のヒストグラムが、このヒストグラムメモリ13eを用いて頻度が集計される。
【0050】
次に図2および図3を参照して、プリンタ1のCPU11によって実行される画像処理について説明する。図2および図3は、本プリンタ1で実行される画像処理を示すフローチャートである。
【0051】
図2に示すように、まず、PCなどから画像データを読み込み、RAM13の元画像メモリ13aに記憶する(S1)。次に、元画像の全画素についてRGB値を輝度信号と色信号とに変換する。この変換は上述の通り数式1を用いて演算により行い、輝度信号を輝度信号メモリ13bに、色信号を色信号メモリ13cにそれぞれ記憶する(S2)。
【0052】
次に、輝度信号のみについて、レティネックス処理を行う。レティネックス処理では、まず、座標(x、y)における反射率R(x,y)を算出し、RAM13の反射率メモリ13dに記憶する(S3)。この反射率R(x,y)は、次式により算出される。
【0053】
【数3】


ここで、xは、横方向の座標を、yは、縦方向の座標を、I(x,y)は、座標(x、y)における輝度値を、F(x、y)は、座標(x、y)のフィルタ係数を、*は、畳み込み演算(コンボリューション)をそれぞれ示す。
【0054】
次に、演算した反射率R(x,y)の最大値、最小値と比較する。最初に演算により求めた反射率R(x、y)を、まず、最大値および最小値とし、つぎの座標について求めた反射率R(x、y)とそれぞれ比較し、今回演算により求めた反射率R(x,y)が、最大値より大きい場合は、今回求めた反射率R(x,y)を新たな最大値とし、今回演算により求めた反射率R(x,y)が、最小値より小さい場合は、今回求めた反射率R(x,y)を新たな最小値とし、今回演算により求めた反射率R(x,y)が、最大値より小さく、最小値より大きい場合は、最大値、最小値を変更しない(S4)。
【0055】
次に、画像の全ての座標についてS3、S4の処理を行ったか否かを判断し(S5)、まだ、未処理の座標がある場合は(S5:No)、S3の処理に戻り、全ての座標についての処理を終了した場合は(S5:Yes)、S4の処理により求めた最大値と最小値に基づいて、反射率R(x,y)を正規化し、ヒストグラムを形成する(S6)。
【0056】
次に、その形成されたヒストグラムからメディアン値を求め(S7)、そのメディアン値とヒストグラムとから反射率R(x,y)のクリップされる範囲を定める(S8)。次に、そのクリップされる範囲によって、反射率R(x,y)を正規化し、正規化反射率refle(x、y)を得る(S9)。次に、このrefle(x、y)を用いて、次式により輝度についてレティネックス処理を行った画素の値Out(x、y)を得る(S10)。
【0057】
【数4】


次に、このOut(x、y)と、色信号メモリ13cに記憶した色信号とに基づいて、RGB値に変換し、RAM13のレティネックス処理画像メモリ13eに記憶する(S11)。
【0058】
以上の処理により元画像の輝度信号にレティネックス処理を行い、色信号に基づいてRGB値に戻した画像が求められる。ここで、得られたRGB値により、ヒストグラムに登録する(S12)。このヒストグラムの登録とは、RGB値それぞれが取る値は、0から255までの整数値であり、ヒストグラムメモリ13eに0から255までの各値について出現頻度が集計され、ここで得られた、R値、G値、B値の各値に対応する値に1を加算することである。
【0059】
このS9からS12までの処理を全ての座標について処理を行ったか否かを判断し(S13)、まだ処理を行っていない座標が残っている場合は(S13:No)、S9の処理に戻り、全ての座標について処理を行った場合は(S13:Yes)、ヒストグラム処理を行い(S14)、ヒストグラム処理を終了した場合は、この画像処理を終了する。
【0060】
次に、図3を参照して、S14のヒストグラム処理について説明する。図3は、ヒストグラム処理を示すフローチャートである。このヒストグラム処理では、まず、S12の処理により作成されたヒストグラムを用いてヒストグラム処理における補正のパラメータを定める(S21)。この補正のパラメータを定める方法には、各種の方法があり後述する。次に、定められたパラメータに基づいてOut(x、y)の各座標についてヒストグラム補正を行う(S22)。次に、全ての座標(x、y)についてヒストグラム補正を行ったか否かを判断し(S23)、まだ、補正を行っていない座標がある場合は(S23:No)、S22の処理に戻り、全ての座標について補正を行った場合は(S23:Yes)、このヒストグラム処理を終了する。
【0061】
次に、ヒストグラム処理におけるパラメータの定め方について説明する。まず、ヒストグラム処理について図4を参照して説明する。図4は、元画像と、その元画像のヒストグラムを示す。
【0062】
図4(a)は、画像の一例であり、図4(b)は、その画像から形成したヒストグラムである。このヒストグラムは、画素値がとる値の全範囲の各値について、頻度を集計したものである。カラー画像の場合には、R,G,Bの各値を8ビット、すなわち0から255までの値をとる場合には、0から255の各整数値について、その値となる画素のR,G,B値について1を加算することにより集計する。例えば、あるピクセルのR,G,B値が(100,200,200)である場合には、100の値に1を、200の値に2を加算するというようにして集計する。
【0063】
このようにして作成されたヒストグラムにおいて、明部と暗部とを除く割合(カット割合)が設定され、その割合から上端値Uと下端値Dとが求められる。例えば、明部と暗部とを除く割合として、それぞれ3%とした場合に、明部に含まれるピクセル数が全ピクセル数の3倍(1ピクセルにつき、R,G,Bの3つの値をとる)の3%に当たる数を、最大値255から上端値Uまでに含むように上端値Uを設定し、同様に、暗部に含まれるピクセル数が全ピクセル数の3倍の3%に当たる数を、最小値0から下端値Dまでに含むように下端値Uを設定する。
【0064】
このようにして、上端値Uおよび下端値Dを設定すると、画素値の最小値から下端値Dまでの範囲の値を最小値とし、上端値Uから最大値までの範囲の値を最大値とし、下端値Dから上端値Uまでの範囲の値を線形、または非線形な関数で補正する。
【0065】
即ち、入力する画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る範囲を0から255、γ2を定数とした場合に、
inputが、下端値D以下の場合は、0、
inputが、上端値U以上の場合は、255
inputが、下端値Dより大きく上端値Uより小さい場合は、
a=(input−D)/(U−D)
【0066】
【数5】


この式でγ2=1とすると、outputは、下端値と上端値との間の値を線形に拡大することになる。
【0067】
次に、上記のように輝度についてレティネックス処理を行い、カラー画像に戻した後、ヒストグラム処理を行う場合の、パラメータの設定について説明する。
【0068】
方法(1)
図5(a)は、元画像のR,G,B値がレティネックス処理により変化した値を示すグラフである。即ち横軸を入力値(元画像の値)とし、縦軸を出力値(レティネックス処理により変化した値)として入出力の関係を示す。Aに示す実線は、正規化反射率が最大値の時、Bに示す実線は、正規化反射率が中央値の時、Cに示す実線は、正規化反射率が最小値の時のカーブであり、破線は、入力値と出力値とが一致し、変化されない場合をそれぞれ示す。このグラフは、数式4により行う演算式において、定数γ1を1.5とした場合のものであり、このγ1の値を大きくすると、より明るく補正されることになり、γ1の値が小さいと、あまり補正されないことになる。したがって、γ1が大きい場合は、ヒストグラム処理における下端値Uの値を大きく(暗部のカット量またはカット割合を大きく)し、全体的に暗い方へ画素値を変更すると画像に締まりがでる。
【0069】
方法(2)
図5(b)は、レティネックス処理において、明度の高い部分では補正を行わない手法を用いた場合の、入力値と出力値との関係を示すグラフである。この手法は、論文「竹松祐紀、中口俊哉、津村徳道、三宅洋一、統一的な画質評価に基づくレティネックスを用いた写真画像の改善、日本写真学会誌、Vol.67.No4,pp410-416(2004)に記載されている。
【0070】
このグラフが示すように、明部である入力値が200以上の区間では、補正が全く行われない。したがって、図5(a)に示すようなカーブのレティネック処理を行った場合には、明部が持ち上げられるので、ヒストグラム処理における明部のカット割合を少なくし、図5(b)に示すようなカーブのレティネックス処理を行った場合は、明部のカット割合を大きくする。このことにより、レティネックス処理に応じたダイナミックレンジの拡大処理を行うことができ、より高画質の画像を得ることができる。
【0071】
方法(3)
レティネックス処理により、逆光などの部分は、明るく補正されるが、全体的にも明るく補正され、元の画像とは、異なった印象となる。そこでレティネックス処理におけるガンマ補正とは逆のガンマ補正をヒストグラム処理によかけることにより、明るく成りすぎた部分を自然な状態に戻すことができる。
【0072】
レティネックス処理におけるガンマ補正に用いたガンマγ1に応じて、ヒストグラム処理におけるガンマγ2を次式により求める。
γ2=(γ1−1.0)/A+1.0
(但し、Aは、5から20の値)とする。
【0073】
方法(4)
レティネック処理前のメディアン値にレティネックス処理後のメディアン値が近づくようにγ2を設定する。
【0074】
画素値をinput、補正した画素値をoutput、画素値が取る全範囲をB、全範囲の最大値をMAX、全範囲の最小値をMIN、下端範囲の上限値をD、上端範囲の下限値をU、元画像のメディアン値をOM、前記レティネックス処理ステップにより処理された画像のメディアン値をRM、定数をαとした場合に、
inputが、下端範囲の場合は、MINとし、
inputが、上端範囲の場合は、MAXとし、
inputが、上記範囲以外の場合は、
a=(input−D)/(U−D)
outputをaのγ2べき乗にBを乗じた値とし、
γ2=log(target/MAX)/log(RM/MAX)
但し、target=(OM×α+RM)/(1+α)
ここで、定数αを1とした場合は、レティネックス処理前のメディアン値とレティネックス処理後のメディアン値との中間にtargetが設定され、定数αの値を1より大きくするとtargetが元画像のメディアン値に近づき、定数αの値を1より小さい値とすると元画像のメディアン値から離れるように設定される。なお、定数αは、予め所定の値に設定してもよいし、使用者が任意に設定できるようにしてもよい。
【0075】
図6(a)は、元画像を、(b)は、レティネックス処理を行った後、ヒストグラム処理を行った画像を模式的に示す模式図である(写真を添付するのが望ましいが、データ化すると不鮮明になるので、あえて模式図とする)。
【0076】
元画像では、鳥首から胸あたりが逆光のために、羽の細かい線がほとんど判別できないが、図4(a)に示す、レティネックス処理のみを行った画像ではかなり改善される。さらに、図6(b)に示すレティネックス処理を行った後、ヒストグラム処理を行った画像では、細部まで判別できるように補正が行われる。
【0077】
さらに、レティネックス処理におけるγ1の値を2.0とし、ヒストグラム処理におけるγ2の値を1.0として処理すると、羽の細部が現れるが、全体的に白っぽくなる。ここで、ヒストグラム処理におけるγ2の値を1.2にすると、羽の細部が維持されたまま、全体的に暗い方に補正され、画像に締まりがでる。
【0078】
以上、説明したように上記実施形態によれば、カラー画像の輝度についてレティネックス処理を行い、カラー画像に戻した後、ヒストグラム処理を行うことにより、画像のダイナミックレンジを広げ、より高画質の画像を得ることができる。ヒストグラム処理を行う場合は、レティネックス処理におけるパラメータに応じてヒストグラム処理におけるパラメータを設定することにより、より良く画質を向上させることができる。
【0079】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0080】
例えば、上記実施形態では、色表現系はRGB形式としたが、RGB形式以外の他の色表現系、例えば、CMY形式などに本発明を適用してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、本発明の画像処理プログラムは、プリンタ1に組み込まれたCPU11により実行されるものとしたが、パーソナルコンピュータにアプリケーションとして供給され、パーソナルコンピュータに組み込まれたCPUなどにより実行されるようにしてもよい。
【0082】
また、レティネックス処理は、SSR(シングルスケール法)であってもMSR(マルチスケール法)であってもよい。
【0083】
また、上記実施形態の画像処理では、CPU11によりレティネックス処理などを行うものとしたが、DSP(Digital Signal Processor)により行ってもよい。DSPを用いると、より高速に積和演算などの処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態の画像処理プログラムを搭載したプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理プログラムにより行われる処理を示すフロー図である。
【図3】図2に示す処理の一部の処理を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、レティネックス処理を行った画像の一例を示す画像図であり、(b)は、その画像の画素値のヒストグラムである。
【図5】元画像の画素値とレティネック処理を行た後の画素値との関係を示すグラフであり、(a)は、明部においても補正が行われる場合、(b)は、明部において補正が行われない場合を示す。
【図6】(a)は、元画像の一例であり、(b)は、レティネックス処理を行ったあと、ヒストグラム処理を行った画像を示す画像の模式図である。
【符号の説明】
【0085】
1 プリンタ
2 パーソナルコンピュータ
11 CPU
12 ROM
12a 画像処理プログラムメモリ
13 RAM
13b レティネックス画像メモリ
【出願人】 【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100103045
【弁理士】
【氏名又は名称】兼子 直久

【識別番号】100127605
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 愛

【識別番号】100129447
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 努


【公開番号】 特開2008−11286(P2008−11286A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180615(P2006−180615)