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【発明の名称】 撮像装置、手ぶれ補正方法およびプログラム
【発明者】 【氏名】阿部 達朗

【氏名】山宮 秀次

【要約】 【課題】ユーザーの撮影状況に合わせて手ぶれ補正を最適化することができる撮像装置、手ぶれ補正方法およびプログラムを提供する。

【構成】制御部200は、動き検出部210の位置と速度の実測値から周波数特性を解析する周波数解析部200aと、撮像装置10の位置と速度の予測値を算出する状態予測部200bと、実測値を蓄積して状態予測部200bへ出力する状態蓄積部200cと、動き検出部210の実測値と状態予測部200bの予測値との差分を出力する差分検出部200dと、差分検出部200dからの出力を周波数特性に基づいて調整して手ぶれ補正部211へ出力する補正量調整部200eと、差分検出部200dからの出力に基づいて手ぶれ補正のモードを判定して手ぶれ補正部211の動作モードを制御するモード判定部200fとから構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置の位置と速度を実測値として検出する動き検出部と、
前記実測値の周波数特性を解析する周波数解析部と、
前記周波数特性に基づいて位置と速度の予測値を算出する状態予測部と、
前記実測値と前記予測値との差分を算出する差分検出部と、
前記周波数特性に基づいて補正パラメータを算出し、前記差分と前記補正パラメータに基づいて補正量を出力する補正量調整部とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記周波数解析部は、一定の周期で解析を繰り返して前記周波数特性を更新することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記補正量調整部は、予め定められた補正パラメータテーブルより前記周波数に対応づけられた補正パラメータを選択して使用することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記状態予測部は、カルマンフィルタを用いて構成され、前記周波数特性に基づいて観測ノイズと状態ノイズの信用度の組み合わせを変化させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記状態予測部は、予め定められた信用度テーブルより前記周波数特性に対応づけられた信用度を選択して使用することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像装置の位置と速度を実測値として検出する動き検出ステップと、
前記実測値の周波数特性を解析する周波数解析ステップと、
前記周波数特性に基づいて位置と速度の予測値を算出する状態予測ステップと、
前記実測値と前記予測値との差分を算出する差分検出ステップと、
前記周波数特性に基づいて補正パラメータを算出し、前記差分と前記補正パラメータに基づいて補正量を出力する補正量調整ステップとを有することを特徴とする手ぶれ補正方法。
【請求項7】
前記周波数解析ステップは、一定の周期で解析を繰り返して前記周波数特性を更新することを特徴とする請求項6に記載の手ぶれ補正方法。
【請求項8】
前記状態予測ステップは、カルマンフィルタを用いて実行され、前記周波数特性に基づいて観測ノイズと状態ノイズの信用度の組み合わせを変化させることを特徴とする請求項6に記載の手ぶれ補正方法。
【請求項9】
手ぶれ補正方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
撮像装置の位置と速度を実測値として検出する動き検出ステップと、
前記実測値の周波数特性を解析する周波数解析ステップと、
前記周波数特性に基づいて位置と速度の予測値を算出する状態予測ステップと、
前記実測値と前記予測値との差分を算出する差分検出ステップと、
前記周波数特性に基づいて補正パラメータを算出し、前記差分と前記補正パラメータに基づいて補正量を出力する補正量調整ステップと、
を有することを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記周波数解析ステップは、一定の周期で解析を繰り返して前記周波数特性を更新することを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、手ぶれ補正機能を有する撮像装置、手ぶれ補正方法およびプログラムに関し、特にユーザーの撮影状況に合わせて手ぶれ補正を最適化することができる撮像装置、手ぶれ補正方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、ユーザーの特性に合わせて手ぶれ補正を行う撮像装置がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
この撮像装置によると、ユーザーの手ぶれの周波数特性を入力または測定し、手ぶれ補正設定テーブルからその周波数特性に最適化された設定値を読み込むことでユーザーに対して最適な手ぶれ補正を行うことができる。
【特許文献1】特開2006−50678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の撮像装置によると、録画を開始する前に、予めユーザーの手ぶれの周波数特性に基づいて手ぶれ補正設定テーブルから最適な設定値を読み出し、撮像装置の使用中は選択された設定値に固定されるため、ユーザーの撮影状況によって周波数特性が変化する場合には自動で対応することができない。
【0005】
従って、本発明の目的は、ユーザーの撮影状況に合わせて手ぶれ補正を最適化することができる撮像装置、手ぶれ補正方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は上記目的を達成するため、撮像装置の位置と速度を実測値として検出する動き検出部と、前記実測値の周波数特性を解析する周波数解析部と、前記周波数特性に基づいて位置と速度の予測値を算出する状態予測部と、前記実測値と前記予測値との差分を算出する差分検出部と、前記周波数特性に基づいて補正パラメータを算出し、前記差分と前記補正パラメータに基づいて補正量を出力する補正量調整部とを有することを特徴とする撮像装置を提供する。
【0007】
このような構成によれば、ユーザーの手ぶれの周波数特性を測定して、周波数特性に基づいて予測値と補正量を算出するため、ユーザーに最適化されるだけでなく、逐次変わるユーザーの撮影状況に最適化された手ぶれ補正機能を有する撮像装置が可能となる。
【0008】
(2)また、本発明は上記目的を達成するため、撮像装置の位置と速度を実測値として検出する動き検出ステップと、前記実測値の周波数特性を解析する周波数解析ステップと、前記周波数特性に基づいて位置と速度の予測値を算出する状態予測ステップと、前記実測値と前記予測値との差分を算出する差分検出ステップと、前記周波数特性に基づいて補正パラメータを算出し、前記差分と前記補正パラメータに基づいて補正量を出力する補正量調整ステップとを有することを特徴とする手ぶれ補正方法を提供する。
【0009】
このような方法によれば、(1)と同等の効果を有する手ぶれ補正方法が可能となる。
【0010】
(3)また、本発明は上記目的を達成するため、手ぶれ補正方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、撮像装置の位置と速度を実測値として検出する動き検出ステップと、前記実測値の周波数特性を解析する周波数解析ステップと、前記周波数特性に基づいて位置と速度の予測値を算出する状態予測ステップと、前記実測値と前記予測値との差分を算出する差分検出ステップと、前記周波数特性に基づいて補正パラメータを算出し、前記差分と前記補正パラメータに基づいて補正量を出力する補正量調整ステップと、を有することを特徴とするプログラムを提供する。
【0011】
このようなプログラムによれば、(1)と同等の効果を有するプログラムが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザーの撮影状況に応じた手ぶれ補正が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の撮像装置の実施の形態を図面を参考にして詳細に説明する。
【0014】
[実施の形態]
(撮像装置の構成)
図1(a)は、本発明の実施の形態に関する撮像装置の前面方向からの斜視図である。図1(b)は、本発明の実施の形態に関する撮像装置の背面方向からの斜視図である。
【0015】
撮像装置10は、内部にCCDや、CPU、小型のHDD(Hard Disc Drive)等の電子部品を有する本体100と、ズーム機能を有しCCDに結像するための複数のレンズ群よりなるレンズ101と、手ぶれ補正機能のオンおよびオフ状態を制御可能な手ぶれ補正スイッチ102と、レンズ101のズーム状態を電子制御で操作可能なズームボタン103と、本体100の側部に可動式で取り付けられ、文字、画像等を表示する表示部204を有するモニタ104と、各種操作が可能なキー入力部201とを有する。
【0016】
キー入力部201は、手ぶれ補正スイッチ102とズームボタン103を含み、動画の記録の開始および停止を制御可能な録画スイッチ201aと、メニュー項目を選択および決定可能なメニュースイッチ201bとを有する。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態に関する撮像装置の概略構成図である。
【0018】
撮像装置10は、キー入力部201の操作に従って各部に命令を送信し、各部の信号処理を行う制御部200と、レンズ101のズーム状態を制御するレンズ制御部203と、入射する像を画像信号として電気的に出力するCCD209と、CCD209の信号をデジタルに変換するA/D変換部208と、A/D変換部208の出力を手ぶれに合わせて加工する手ぶれ補正部211と、撮像装置10の位置および速度を測定する動き検出部210と、入力される画像信号を統括的に管理する信号処理部202と、画像信号を一時的に保存するためのメモリ207と、画像信号の圧縮および伸張を行う動画コーデック部206と、圧縮された画像信号を記憶する記憶部205と、撮影時および再生時の画像モニタとしての表示部204とを有する。
【0019】
(ソフトウェアの構成)
図3は、本発明の実施の形態におけるソフトウェア構成を示す概略図である。
【0020】
撮像装置10の手ぶれ補正を実行するためのソフトウェアは、制御部200により処理され動作するものであって、動き検出部210の位置と速度の実測値から周波数特性を解析する周波数解析部200aと、撮像装置10の位置と速度の予測値を算出する状態予測部200bと、実測値を蓄積して状態予測部200bへ出力する状態蓄積部200cと、動き検出部210の実測値と状態予測部200bの予測値との差分を出力する差分検出部200dと、差分検出部200dからの出力を周波数特性に基づいて調整して手ぶれ補正部211へ出力する補正量調整部200eと、差分検出部200dからの出力に基づいて手ぶれ補正のモードを判定して手ぶれ補正部211の動作モードを制御するモード判定部200fとから構成される。
【0021】
(状態予測部の構成)
図4は、本発明の実施の形態における状態予測部の構成を示す概略図である。
【0022】
状態予測部200bは、カルマンフィルタにより構成され、動き検出部210から出力される実測値と、状態蓄積部200cから得られる過去の実測値とを用いて位置と速度の予測値を計算する。また、状態予測部200bは、位置を抽出する位置成分抽出部2000bと、カルマンフィルタのパラメータを周波数解析部200aの出力に基づき設定するパラメータ設定部2001bとを有する。
【0023】
(動作)
以下に、本発明の実施の形態における撮像装置の動作を図1から図5を参照しつつ説明する。
【0024】
(状態予測部の動作)
カルマンフィルタは、3つのゲインK、H、およびFを付与する部分からなり、実測値とダイナミクスに基づきノイズを除去して、モデル対象の状態を推定する手法である。
【0025】
カルマンフィルタを本実施の形態における状態予測部200bに適用する場合、まず撮像装置10の状態のダイナミクスを線形差分運動方程式として表現し、これを状態方程式と呼ぶ。撮像装置10の動きは局所的に等速直線運動するモデルを仮定し、撮像装置10の位置と速度をパラメータとして次式で表す状態方程式を定義する。状態方程式には、手ぶれや風邪揺れなどの外乱による状態ノイズが付加される。
【数1】


【0026】
ここで、xは位置、vは速度、wは状態ノイズ、Δtは動き検出部210における検出時間間隔をそれぞれ表す。式(1)、(2)の状態方程式によって、状態予測部200bにおけるゲインFが決まる。
【0027】
次に、動き検出部210による撮像装置10の位置の実測値を次式で示す観測方程式によって定義する。観測方程式には、動き検出部210が動きを検出する際のマッチング誤差や量子化誤差による検出ノイズが付加される。
【数2】


【0028】
ここで、yは位置の実測値、Sは検出ノイズをそれぞれ表す。
【0029】
式(3)、(4)の観測方程式によって、状態予測部200bにおけるゲインHが決まる。次に、各時刻tの位置の実測値yから、逐次的に時刻tにおける状態の濾波推定値、および次の時刻t+1における状態の予測推定値を求める。
【数3】


【0030】
ここで、


は時刻tにおける濾波推定値、


は時刻t+1における予測推定値、Qは、検出ノイズSの共分散行列をそれぞれ表す。
【0031】
上記の逐次処理を繰り返すことにより、各時刻での濾波推定値を求めることが可能になる。また式(5)〜(9)によって、状態予測部200bにおけるゲインKを算出することができる。位置成分抽出部2000bは、状態の濾波推定値である位置成分と速度成分から、位置成分のみを抽出して差分検出部200dへ位置の予測値を出力する。
【0032】
状態ノイズの共分散行列Qと観測ノイズの共分散行列Rのどちらを信用するかで、予測値の精度と応答特性が変化する。例えば、観測ノイズの共分散行列Rを信用すれば、予測値の精度が上がるが、状態の変化に追従しにくくなる。また、状態ノイズの共分散行列Qを信用すれば、予測値の精度は下がるが、状態の変化に追従しやすくなる。
【0033】
パラメータ設定部2001bは、RおよびQの信用度の組み合わせを周波数解析部200aの出力に基づき変化させる。その結果、状態予測部200bは、周波数特性に最適な予測値を出力することが可能となる。
【0034】
信用度の組み合わせは、予め周波数特性に基づいて最適化された複数の設定値よりなる信用度テーブル用意し、周波数特性に基づいて信用度としての設定値を読み出すことにより対応する。
【0035】
図5は、本発明の実施の形態に関する撮像装置の手ぶれ補正の動作を示すフローチャートである。
【0036】
まず、手ぶれ補正スイッチ102を押下することで手ぶれ補正機能を起動する(S11)。次に、動き検出部210から出力される位置と速度の実測値を周波数解析部200aにおいてフーリエ変換し、周波数分布の中心となる周波数を周波数特性として出力する(S12)。次に、状態予測部200bのパラメータ設定部2001bにおいて、周波数特性に基づいて状態ノイズと観測ノイズの信用度の組み合わせを変化させる(S13)。
【0037】
次に、差分検出部200dにおいて、位置の実測値と予測値とから差分を算出する(S14)。差分は、モード判定部200fへと入力され、差分の振る舞いより撮像装置10の状態が判定される(S15)。差分がある周期で正の値と負の値を交互に出力するような場合は、手ぶれ状態と判定し、まず、補正量調整部200eが周波数特性に基づいて差分から補正量を算出する(S16)。その後、補正量を手ぶれ補正部211に入力することで手ぶれ補正機能を実行する(S17)。
【0038】
また、差分が一定の符号を有する場合は、パンもしくはチルト等の撮影動作を行っていると判定し、手ぶれ補正部211の処理を停止する(S18)。
【0039】
次に、手ぶれ補正スイッチ102を再び押下することで手ぶれ補正機能を停止することができ、制御部200が停止命令を受信した場合は(S19;Yes)、手ぶれ補正機能を停止させて(S20)、処理を終了する。
【0040】
手ぶれ補正命令がない場合は(S19;No)、一定周期で周波数の解析が更新されS12〜S17の処理が繰り返される。
【0041】
手ぶれ補正部211は、A/D変換部208より出力された映像信号を撮像装置10の位置に基づいてオフセットしてトリミングすることにより、手ぶれをキャンセルした映像を信号処理部202へと出力する。
【0042】
補正量調整部200eは、予め周波数特性に基づいて最適化された複数の設定値よりなる補正パラメータテーブルを用意し、周波数特性に基づいて補正パラメータとしての設定値を読み出すことにより対応する。
【0043】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によると、ユーザーの手ぶれの周波数特性を測定して、周波数特性に基づいて予測値と補正量を算出するため、ユーザーに最適化されるだけでなく、逐次変わるユーザーの撮影状況、例えば風による影響や足場の振動による影響等がある場合にも、その撮影状況における周波数特性に対して最適化された手ぶれ補正が可能となる。
【0044】
また、周波数特性に対応づけた信用度テーブルと補正パラメータテーブルを用意したため、処理の度に計算を繰り返す必要がなくなり、手ぶれ補正処理の時間短縮となる。
【0045】
なお、本実施の形態では動画撮影において説明したが、静止画撮影時における手ぶれに関しても同様の効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態に関する撮像装置の前面方向からの斜視図である。(b)は、本発明の実施の形態に関する撮像装置の背面方向からの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に関する撮像装置の概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるソフトウェア構成を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態における状態予測部の構成を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に関する撮像装置の手ぶれ補正の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
10…撮像装置、100…本体、101…レンズ、102…補正スイッチ、103…ズームボタン、104…モニタ、200…制御部、200a…周波数解析部、200b…状態予測部、200c…状態蓄積部、200d…差分検出部、200e…補正量調整部、200f…モード判定部、201…キー入力部、201b…メニュースイッチ、201a…録画スイッチ、202…信号処理部、203…レンズ制御部、204…表示部、205…記憶部、206…動画コーデック部、207…メモリ、208…A/D変換部、209…CCD、210…動き検出部、211…手ぶれ補正部、2000b…位置成分抽出部、2001b…パラメータ設定部
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄

【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二

【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子

【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光


【公開番号】 特開2008−11252(P2008−11252A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180269(P2006−180269)