トップ :: H 電気 :: H04 電気通信技術




【発明の名称】 符号化回路、復号回路、エンコーダ回路、デコーダ回路、CABAC処理方法
【発明者】 【氏名】押切 亮

【氏名】境 隆二

【要約】 【課題】H.264/AVCのCABACを高速化処理する符号化回路、復号回路、エンコーダ回路、デコーダ回路、CABAC処理方法を提供する。

【構成】分割領域をもつフレーム画像について、一つ前のフレーム画像の分割領域の確率テーブルを、現在のフレーム画像の分割領域にそれぞれ継承する継承部と、マクロブロックが分割領域中の分割した境界に位置する場合は、一つ前のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得する取得部と、マクロブロックのパラメータを計算して、確率テーブル中の確率モデルの一つを選択する選択部と、選択した確率モデルに基づいて、フレーム画像中の残差信号を算術符号化して符号化ビット列を生成する符号化部をもつ符号化回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定時間間隔で連続的に与えられ、N個に分割された分割領域をもつフレーム画像について、一つ前のフレーム画像の分割領域の確率テーブルを、現在のフレーム画像の分割領域にそれぞれ継承する継承部と、
前記分割領域中の処理単位であるマクロブロックのパラメータの計算を行う際に、そのマクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置する場合は、一つ前のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得する取得部と、
前記取得した隣接するマクロブロックのパラメータを計算して、前記確率テーブル中の確率モデルの一つを選択する選択部と、
前記選択した確率モデルに基づいて、前記フレーム画像中の残差信号を算術符号化して符号化ビット列を生成する符号化部を具備することを特徴とする符号化回路。
【請求項2】
前記フレーム画像が与えられると、これを前記N個の分割領域に分割する分割部を更に有することを特徴とする請求項1記載の符号化回路。
【請求項3】
前記取得部は、前記マクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置しない場合は、現在のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得することを特徴とする請求項1記載の符号化回路。
【請求項4】
前記取得部は、前記マクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置しない場合は、前のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得することを特徴とする請求項1記載の符号化回路。
【請求項5】
一定時間間隔で連続的に与えられ、N個に分割された分割領域をもつフレーム画像について、一つ前のフレーム画像の分割領域の確率テーブルを、現在のフレーム画像の分割領域にそれぞれ継承する継承部と、
前記分割領域中の処理単位であるマクロブロックのパラメータの計算を行う際に、そのマクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置する場合は、一つ前のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得する取得部と、
前記取得した隣接するマクロブロックのパラメータを計算して、前記確率テーブル中の確率モデルの一つを選択する選択部と、
前記選択した確率モデルに基づいて、与えられる符号化ビット列を算術復号して、前記フレーム画像中の残差信号を出力する復号部を具備することを特徴とする復号回路。
【請求項6】
前記復号部が出力した残差信号を他の前記分割領域の残差信号と合成する合成部を更に有することを特徴とする請求項5記載の復号回路。
【請求項7】
前記取得部は、前記マクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置しない場合は、現在のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得することを特徴とする請求項5記載の復号回路。
【請求項8】
前記取得部は、前記マクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置しない場合は、前のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得することを特徴とする請求項5記載の復号回路。
【請求項9】
与えられるフレーム画像を量子化して量子化情報を出力する量子化部と、
前記与えられるフレーム画像から動きベクトル情報を検出する検出部と、
一定時間間隔で連続的に与えられ、N個に分割された分割領域をもつフレーム画像について、一つ前のフレーム画像の分割領域の確率テーブルを、現在のフレーム画像の分割領域にそれぞれ継承する継承部と、前記分割領域中の処理単位であるマクロブロックのパラメータの計算を行う際に、そのマクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置する場合は、一つ前のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得する取得部と、前記取得した隣接するマクロブロックのパラメータを計算して、前記確率テーブル中の確率モデルの一つを選択する選択部と、
前記選択した確率モデルに基づいて、前記量子化部からの量子化情報の残差信号を算術符号化して前記検出部が検出した前記動きベクトル情報と共に符号化ビット列を生成する符号化部を有するCABAC符号化回路を具備することを特徴とするエンコーダ回路。
【請求項10】
前記フレーム画像が与えられると、これを前記N個の分割領域に分割する分割部を更に有することを特徴とする請求項9記載のエンコーダ回路。
【請求項11】
前記取得部は、前記マクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置しない場合は、現在のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得することを特徴とする請求項9記載のエンコーダ回路。
【請求項12】
前記取得部は、前記マクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置しない場合は、前のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得することを特徴とする請求項9記載のエンコーダ回路。
【請求項13】
一定時間間隔で連続的に与えられ、N個に分割された分割領域をもつフレーム画像について、一つ前のフレーム画像の分割領域の確率テーブルを、現在のフレーム画像の分割領域にそれぞれ継承する継承部と、
前記分割領域中の処理単位であるマクロブロックのパラメータの計算を行う際に、そのマクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置する場合は、一つ前のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得する取得部と、
前記取得した隣接するマクロブロックのパラメータを計算して、前記確率テーブル中の確率モデルの一つを選択する選択部と、
前記選択した確率モデルに基づいて、与えられる符号化ビット列を算術復号して、前記フレーム画像中の残差信号及び動きベクトル情報を出力する復号部を有するCABAC復号回路と、
前記CABAC復号回路から出力される残差信号を逆量子化して出力する逆量子化部と、
前記CABAC復号回路から出力される動きベクトル情報に基づく画像信号を生成して前記残差信号と共に出力する動き補償部を具備することを特徴とするデコーダ回路。
【請求項14】
前記復号部が出力した残差信号を他の前記分割領域の残差信号と合成する合成部を更に有することを特徴とする請求項13記載のデコーダ回路。
【請求項15】
前記取得部は、前記マクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置しない場合は、現在のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得することを特徴とする請求項13記載のデコーダ回路。
【請求項16】
前記取得部は、前記マクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置しない場合は、前のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得することを特徴とする請求項13記載のデコーダ回路。
【請求項17】
一定時間間隔で連続的に与えられ、N個に分割された分割領域をもつフレーム画像について、一つ前のフレーム画像の分割領域の確率テーブルを、現在のフレーム画像の分割領域にそれぞれ継承し、
前記分割領域中の処理単位であるマクロブロックのパラメータの計算を行う際に、そのマクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置する場合は、一つ前のフレーム画像の隣接するマクロブロックのパラメータを取得し、
前記取得した隣接するマクロブロックのパラメータを計算して、前記確率テーブル中の確率モデルの一つを選択し、
前記選択した確率モデルに基づいて、前記フレーム画像中の残差信号を算術符号化して符号化ビット列を生成し、
他の符号化ビット列が与えられると、前記選択した確率モデルに基づいて、前記他の符号化ビット列を復号して残差信号を生成することを特徴とするCABAC処理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、H.264/AVCで用いられるCABAC(Context-Adaptive Binary Arithmetic Coding)と呼ばれるエントロピー符号化方式に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ブロードバンドの急速な発展と普及により、高品質な通信方法が望まれており、H.264/AVCは、高い圧縮率が知られている国際標準である。このH.264は、CABAC(Context-Adaptive Binary Arithmetic Coding)と呼ばれるエントロピー符号化方式を採用しており、Context-Adaptive、すなわち周囲の状況に応じて効率の良いコンテキストを適応的に選択する方式をとっている。ここで、CABACは、汎用CPUでの負荷が非常に高いという特徴をもつため、並列で処理することが望ましいといえる。
【0003】
特許文献1には、H.264/AVC等の画像符号化方式に基づく画像圧縮情報を出力する画像情報符号化装置において、パイプライン等の並列処理のために隣接ブロックの必要なベクトル情報等が得られない場合でも、擬似的な情報を生成し利用することで、高速な符号化処理を実現することができる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−244503公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1の従来技術が開示するものは、本発明が課題とするCABACではないため、当業者がこの文献を参照したとしても、CABACの並列処理をどのように高速化させるかを知ることはできない。
【0005】
即ち、CABAC処理では、隣接マクロブロック(以下、MBとする)の情報を利用するため、同一フレームで並列処理するにはフレームを複数のスライスに分割する必要がある。しかし、分割の影響でスライス境界のMBの依存関係がなくなり、例えば、図6を用いて後述するように、他のスライスに属した隣接MBの情報が利用できなくなってしまい、結果的に符号化効率を低下させてしまう。同様に、図5を用いて後述するように、確率テーブルをスライス毎に初期化する必要があるために、符号化効率が低下してしまう。
【0006】
本発明は、H.264/AVCのCABACを高速化処理する符号化回路、復号回路、エンコーダ回路、デコーダ回路、CABAC処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するための手段の一実施形態は、
一定時間間隔で連続的に与えられ、N個に分割された分割領域(U1,U2,U3)をもつフレーム画像(…F−1,F…)について、一つ前のフレーム画像の分割領域(U1,U2,U3)の確率テーブル(T1−1、T2−1、T3−1)を、現在のフレーム画像の分割領域(U1,U2,U3)にそれぞれ継承する継承部(B1:S12)と、
前記分割領域中の処理単位であるマクロブロック(MB)のパラメータの計算を行う際に、そのマクロブロックが前記分割領域中の分割した境界に位置する場合は、一つ前のフレーム画像(F−1)の隣接するマクロブロックのパラメータ(MBP−1)を取得する取得部(B2:S13,S14,S17)と、
前記取得した隣接するマクロブロックのパラメータ(MBP,MBP−1)を計算して、前記確率テーブル(T1−1、T2−1、T3−1)中の確率モデル(m1,m2,m3,m4,…)の一つを選択する選択部(B3:S15)と、
前記選択した確率モデル(m1,m2,m3,m4,…)に基づいて、前記フレーム画像中の残差信号を算術符号化して符号化ビット列(L)を生成する符号化部(B4:S16)と、を具備することを特徴とする符号化回路である。
【発明の効果】
【0008】
並列処理のためにフレーム画像を分割しており、分割して境界におけるマクロブロックは隣接するマクロブロックのパラメータを得ることができないが、一つ前のフレーム画像のマクロブロックのパラメータを利用することで、高画質が補償される。又、通常は分割領域毎に確率テーブルを初期化する必要があるが、一つ前のフレーム画像の分割領域の確率テーブルを承継することで高画質が補償される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、H.264/AVCのエンコーダ回路の構成の一例を示す回路図。図2は、H.264/AVCのデコーダ回路の構成の一例を示す回路図。図3は、H.264/AVCのエンコーダ回路の他の構成の一例を示す回路図。図4は、H.264/AVCのデコーダ回路の他の構成の一例を示す回路図。図5は、CABACのコンテキスト計算の一例を示す説明図。図6は、CABACの隣接MBを参照するコンテキスト計算の一例を示す説明図。図7は、CABACの前フレームを利用したコンテキスト計算の一例を示す説明図。図8は、CABACの前フレームを利用したコンテキスト計算と符号化処理の一例を示すフローチャート。図9は、CABACの前フレームを利用したコンテキスト計算と復号処理の一例を示すブロック図。図10は、CABACの前フレームを利用したコンテキスト計算の一例を示すブロック図である。
【0011】
<本発明の一実施形態であるCABACを含むエンコーダ回路・デコーダ回路の一例>
(エンコーダ回路の構成・動作)
本発明の一実施形態であるCABACを含むエンコーダ回路1は、図1に示すように、フレーム画像が供給される符号化制御部11と、減算演算子を介してDCT量子化部12と、DCT量子化部12の量子化データを受けるエントロピー符号化部13とを有している。更に、エンコーダ回路1は、DCT量子化部12の出力を受ける逆量子化逆DCT部14と、この出力をフレーム画像を加算する加算演算子を介して供給されるデブロッキング・フィルタ部16と、この出力を受ける動き補償部17と、この出力を受ける重み付き予測部18と、画面内予測部18を有している。更にエンコーダ回路1は、フレーム画像を受ける動きベクトル検出部19を持っており、その出力が動きベクトル補償部17に供給される。
【0012】
このような構成をもつエンコーダ回路1において、フレーム画像がDCT量子化部12により量子化されてエントロピー符号化部13に供給される。又、フレーム画像が供給される動きベクトル検出部19により検出された動きベクトルが動き補償部17に供給され、重み付き予測部18に供給され、画面内予測部15からの信号と適宜、切り替えられることにより、動きベクトル信号が先の量子化データに加えられて、エントロピー符号化部13に供給される。
【0013】
エントロピー符号化部13では、符号化制御部11からの動作タイミングに応じてCAVLC又はCABACによる符号化処理を行ない、量子化データを符号化処理することで動きベクトル成分を含んだ符号化ビット列を出力する。
【0014】
(デコーダ回路の構成・動作)
本発明の一実施形態であるCABACを含むデコーダ回路2は、図2に示すように、符号化ビット列を受けるエントロピー復号部21と、この出力を受ける逆量子化逆DCT部22と、逆量子化逆DCT部22からの出力を加算演算子を介して受けるデブロッキング・フィルタ部23と、このデブロッキング・フィルタ部23からの出力を受ける動き補償部24と、この出力を受ける重み付き予測部25と、エントロピー復号部21により動作制御される画面内予測部26とを有している。重み付き予測部25と画面内予測部26との出力がスイッチで選択的に加算演算子に供給される。
【0015】
このような構成をもつデコーダ回路2において、動きベクトル成分を含んだ符号化ビット列が、エントロピー復号部21により動きベクトル成分を伴うフレーム画像へと復号される。ここで動きベクトル成分は動き補償部24に供給され、動きベクトル成分に応じた重み付き予測部で重み付けが行なわれ、画面内予測部26の出力と適宜、スイッチで切り替えられることにより、適切な出力がデブロッキング・フィルタ部23に供給される。
【0016】
このようにして符号化ビット列が復号され、フレーム画像として出力端から出力されるものである。
【0017】
(CABACの構成・動作)
このような構成のエンコーダ回路1及びデコーダ回路2の実施形態において、エントロピー符号化部13及びエントロピー復号部21の特にCABACの並列動作を以下に図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
・原理
H.264/AVCはCABAC(Context-Adaptive Binary Arithmetic Coding)と呼ばれるエントロピー符号化方式を採用している。CABACは、Context-Adaptive、すなわち周囲の状況に応じて効率の良いコンテキストを適応的に選択する方式をとっている。これを図5に示す。図5のように隣接MBの情報を反映することで、符号化効率の高い確率モデルを選択することができる。
【0019】
CABACは汎用CPUでの負荷が非常に高いという特徴をもつため、並列で処理することが望ましいといえる。しかし、CABACは隣接MBの情報を利用するため、同一フレームで並列処理するにはフレームを複数のスライスに分割する必要がある。しかし、分割の影響でスライス境界のMBの依存関係がなくなり、例えば図6のように他のスライスに属した隣接MBの情報が利用できなくなってしまい、結果的に符号化効率を低下させてしまう。同様に、図5の確率テーブルTをスライスごとに初期化する必要があるために、確率テーブルが1つのフレームで最適化されずに符号化効率が低下してしまう。
【0020】
そこで、図7に示すように、本発明の一実施形態においては、時間的な依存関係に注目し、前のフレームF−1の確率テーブルT1−1、T2−1を現在のフレームFの各確率テーブルT2、T3に引き継ぐ方法をとる。これにより、例えば、分割フレームU2は、マクロブロック毎に行なわれる確率テーブル更新処理を、分割フレームU1の確率テーブル更新処理の結果の確率テーブルが得られるまで待つ必要がなくなる。従って、確率テーブル更新処理についても、複数の分割フレーム毎の並列処理が可能となるものである。
【0021】
又、コンテキスト計算時の参照MBとして、図7に示すように、前のフレームのMBを
利用する。これにより、符号化効率を低下させずに、同一フレーム内のMBの処理を並列に行える。このとき、各フレームでの並列化の単位を揃えることで、フレーム間の確率テーブルの引継ぎを無駄なく行える。
【0022】
・フローチャート及びブロック図による説明
次に、この一実施形態のCABACの並列動作を図8及び図9のフローチャート、図10のブロック図を用いて、本発明の一実施形態に係るCABACのコンテキスト計算の処理を更に詳細に説明する。
【0023】
与えられる画像フレームを初めにN分割する。これは、2分割、3分割、それ以上の分割等が考えられ、例えば、2個のCPU、3個のCPU等で並列処理を行なうことができる。ここで、画像フレームの分割処理は、図3及び図4のように、エンコーダ回路1の手前の分割部10及び合成部27等で行なってもよい。
【0024】
又、エントロピー符号化部13の中で図8のステップS11のように行なったり、エントロピー復号部21の中で図9のステップS22のように行なうことも好適である。
【0025】
次に、前のフレームの分割領域iの確率テーブルを、現在のフレームの分割領域i+1に継承する(ステップS12)。
【0026】
一般的に動画は時間的な依存関係が強く、フレーム内の情報は前後でかなり類似するといえる。そのため、通常は同一フレーム内の一つ前のMBから継承される確率テーブルを、前フレームの同位置での確率テーブルに置き換えても、符号化効率的にあまり影響がないと考えられる。
【0027】
前フレームの確率テーブルを継承することにより、一つ前のMBの処理を待つ必要がなくなり、同一フレーム内のMBが並列に行えるようになる。又、H.264等の動画形式では、Bピクチャ等、符号化時に後方フレームを用いる場合があるが、後述する他の実施形態の後方フレームの利用はこの場合を想定している。
【0028】
次に、符号化(復号)対象のMBが分割した境界に位置するかどうかを判断する(ステップS13,S21)。図6でも説明したように、分割領域U1,U2,U3を並列に処理する場合、分割境界に位置するMBは隣接MBを参照できなくなる。この場合、前フレームのMB情報を利用して予測の精度を上げる。
【0029】
ここで、現在、符号化対象としているMBが、境界に位置していなければ、現在のフレームの隣接MB情報を取得する(ステップS14)。なお、この場合も次の場合と同様に、前のフレームのMB情報を取得して利用することも好適である。
【0030】
又、現在、符号化対象としているMBが、境界に位置していれば、前のフレームの隣接MB情報を取得する(ステップS15)。
【0031】
次に、取得した隣接するMBのパラメータ等の情報に基づいて、確率テーブルTの中の確率モデルm1,…,m4…の中の使用すべき確率モデルを選択する(ステップS16)。すなわち、確率テーブル中の使用すべき確率モデルを示すインデックスを計算結果により求めることで、一つの使用すべき確率モデルが選択される。
【0032】
次に、この選択された確率モデルに基づいて、与えられらフレーム画像中の残差信号を算術符号化することで、符号化ビット列Lを出力する。
【0033】
なお、エントロピー復号部21内でのCABACの復号処理の場合も同様であるが、図9のフローチャートに示すように、部分的に異なる点だけを説明する。すなわち、ステップS21において、復号対象となるMBが、分割した境界に位置するかどうかが判断され、隣接MBが取得される。
【0034】
又、ステップS22において、エントロピー復号部21に与えられる符号化データが、選択した確率モデルに基づいて復号される。
【0035】
又、ステップS23において、出力された分割領域毎のデータが合成される。
【0036】
又、更に、図10においては、エントロピー符号化部13及びエントロピー復号部21での処理を行なう処理回路がブロック図として示されている。すなわち、エントロピー符号化部13及びエントロピー復号部21での処理回路は、確率テーブル承継部B1と、MB情報取得部B2と、インデックス算術部B3と、算術符号化/復号部B4を有している。ここで、これらの構成は、それぞれ図8及び図9のフローチャートが示す各機能を有するものである。
【0037】
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、並列処理の効率化のために、上部隣接位置に相当する前方フレームのMBを参照したが、符号化効率の向上を目的として、その周辺MB(例えば自分位置に相当するMB)を参照することも好適である。
【0038】
又、上述した実施形態では、並列処理の効率化のために前方フレームを利用したが、符号化効率の向上を目的として、後方フレームを利用することも好適である。
【0039】
以上、詳細に説明したように、本発明の一実施形態においては、CABACのコンテキスト計算部で、前のフレームとの依存関係を利用することにより、符号化効率を低下させずにCABACを効率よく並列処理することが可能となる。
【0040】
以上記載した様々な実施形態により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係るH.264/AVCのエンコーダ回路の構成の一例を示す回路図。
【図2】本発明の一実施形態に係るH.264/AVCのデコーダ回路の構成の一例を示す回路図。
【図3】本発明の一実施形態に係るH.264/AVCのエンコーダ回路の他の構成の一例を示す回路図。
【図4】本発明の一実施形態に係るH.264/AVCのデコーダ回路の他の構成の一例を示す回路図。
【図5】本発明の一実施形態に係るCABACのコンテキスト計算の一例を示す説明図。
【図6】本発明の一実施形態に係るCABACの隣接MBを参照するコンテキスト計算の一例を示す説明図。
【図7】本発明の一実施形態に係るCABACの前フレームを利用したコンテキスト計算の一例を示す説明図。
【図8】本発明の一実施形態に係るCABACの前フレームを利用したコンテキスト計算と符号化処理の一例を示すフローチャート。
【図9】本発明の一実施形態に係るCABACの前フレームを利用したコンテキスト計算と復号処理の一例を示すブロック図。
【図10】本発明の一実施形態に係るCABACの前フレームを利用したコンテキスト計算の一例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0042】
1…エンコーダ回路、2…デコーダ回路、10…分割部、11…符号化制御部、12…DCT量子化部、13…エントロピー符号化部、14…逆量子化逆DCT部、15…画面内予測部、16…デブロッキング・フィルタ部、17…動き補償部、18…重み付き予測部、19…動きベクトル検出部、21…エントロピー復号部、22…逆量子化・逆DCT部、23…デブロッキング・フィルタ部、24…動き補償部、25…重み付き予測部、26…画面内予測部、27…合成部。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−11204(P2008−11204A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179905(P2006−179905)