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【発明の名称】 映像符号化装置及び映像符号化方法
【発明者】 【氏名】野澤 慎吾

【要約】 【課題】回路規模や消費電力を増大させることなく、符号化効率を高することができ、かつバッファモデルを適切に満たすストリームを生成することが可能な映像符号化装置を提供できるようにする。

【構成】入力された動画像の各ピクチャのデータ列を二値列へ変換する変換手段と、前記変換手段により変換された二値列を算術符号列へ変換する算術符号化手段とを有する映像符号化装置であって、前記変換手段の出力で発生データ量を暫定的に見積って量子化制御を順次行うとともに、前記算術符号化手段の出力から正確な発生データ量を検出し、発生データの見積もり量の補正を行う量子化制御手段とを設け、画質を損ねてしまうことなく、回路規模や消費電力を抑制できるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された動画像の各ピクチャのデータ列を2値列へ変換する二値化手段と、
前記二値化手段により変換された2値列を算術符号列へ変換する算術符号化手段とを備えた映像符号化装置であって、
前記二値化手段の出力で発生データ量を暫定的に見積って量子化制御を順次行うとともに、前記算術符号化手段の出力から正確な発生データ量を検出し、発生データの見積もり量の補正を行う量子化制御手段を有することを特徴とする映像符号化装置。
【請求項2】
入力された動画像の各ピクチャをブロック単位に係数列へ変換する変換手段と、
前記変換手段によって変換された係数列を量子化する量子化手段と、
前記量子化手段によって量子化されたデータを2値列へ変換する二値化手段と、
前記二値化手段によって変換された2値列を算術符号列へ変換する算術符号化手段とを備えた映像符号化装置であって、
前記二値化手段から出力されるデータ量を検出する第1のデータ量検出手段と、
前記算術符号化手段から出力されるデータ量を検出する第2のデータ量検出手段と、
前記第1のデータ量検出手段から供給される第1の検出値及び前記第2のデータ量検出手段から供給される第2の検出値に基づいて、前記量子化手段の量子化パラメータを決定する量子化制御手段とを有することを特徴とする映像符号化装置。
【請求項3】
前記量子化制御手段は、予め設定された入力画素列単位に対して発生データ量の目標値を決定し、前記目標値と発生データ量とが近接するよう前記量子化パラメータを選択することを特徴とする請求項2に記載の映像符号化装置。
【請求項4】
前記量子化制御手段は、前記第1のデータ量検出手段から供給される検出値の積算を暫定出力データ量として見積もり、出力データが復号時に予め設定されたバッファモデルを満たすように制御することを特徴とする請求項2に記載の映像符号化装置。
【請求項5】
前記量子化制御手段は、前記第2のデータ量検出手段から供給される検出値に比率値を掛けた値の積算を暫定出力データ量として見積もり、出力データが復号時に予め設定されたバッファモデルを満たすよう制御することを特徴とする請求項2に記載の映像符号化装置。
【請求項6】
前記量子化制御手段は、前記第2のデータ量検出手段から供給される検出値の積算によって、前記暫定出力データ量を逐次補正し、出力データが復号時に予め設定されたバッファモデルを満たすよう制御することを特徴とする請求項4または5に記載の映像符号化装置。
【請求項7】
前記予め設定された入力画素列単位がピクチャであることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の映像符号化装置。
【請求項8】
前記予め設定された入力画素列単位がブロックであることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の映像符号化装置。
【請求項9】
前記予め設定された入力画素列単位が複数のブロックの集合であることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の映像符号化装置。
【請求項10】
入力された動画像の各ピクチャのデータ列を2値列へ変換する二値化工程と、
前記二値化工程において変換された2値列を算術符号列へ変換する算術符号化工程とを備える映像符号化方法であって、
前記二値化工程の出力で発生データ量を暫定的に見積って量子化制御を順次行うとともに、前記算術符号化工程の出力から正確な発生データ量を検出し、発生データの見積もり量の補正を行う量子化制御工程を有することを特徴とする映像符号化方法。
【請求項11】
入力された動画像の各ピクチャをブロック単位に係数列へ変換する変換工程と、
前記変換工程において変換された係数列を量子化する量子化工程と、
前記量子化工程において量子化されたデータを2値列へ変換する二値化工程と、
前記二値化工程において変換された2値列を算術符号列へ変換する算術符号化工程とを備える映像符号化方法であって、
前記二値化工程から出力されるデータ量を検出する第1のデータ量検出工程と、
前記算術符号化工程から出力されるデータ量を検出する第2のデータ量検出工程と、
前記第1のデータ量検出工程から供給される第1の検出値及び前記第2のデータ量検出工程から供給される第2の検出値に基づいて、前記量子化工程の量子化パラメータを決定する量子化制御工程とを有することを特徴とする映像符号化方法。
【請求項12】
入力された動画像の各ピクチャのデータ列を2値列へ変換する二値化工程と、
前記二値化工程において変換された2値列を算術符号列へ変換する算術符号化工程とを備える映像符号化方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記二値化工程の出力で発生データ量を暫定的に見積って量子化制御を順次行うとともに、前記算術符号化工程の出力から正確な発生データ量を検出し、発生データの見積もり量の補正を行う量子化制御工程を有する映像符号化方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
入力された動画像の各ピクチャをブロック単位に係数列へ変換する変換工程と、
前記変換工程において変換された係数列を量子化する量子化工程と、
前記量子化工程において量子化されたデータを2値列へ変換する二値化工程と、
前記二値化工程において変換された2値列を算術符号列へ変換する算術符号化工程とを備える映像符号化方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記二値化工程から出力されるデータ量を検出する第1のデータ量検出工程と、
前記算術符号化工程から出力されるデータ量を検出する第2のデータ量検出工程と、
前記第1のデータ量検出工程から供給される第1の検出値及び前記第2のデータ量検出工程から供給される第2の検出値に基づいて、前記量子化工程の量子化パラメータを決定する量子化制御工程とを有する映像符号化方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項12または13に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は映像符号化装置及び映像符号化方法に関し、特に、映像を記録再生する記録再生装置および撮像装置に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル信号処理技術の進歩により、動画像や静止画像、音声等、大量のデジタル情報を高能率符号化し、小型記録媒体へ記録したり通信媒体を使用して伝送したりすることが可能になっている。このような技術を応用して、テレビ放送やビデオカメラの映像をストリームに変換できる映像符号化装置の開発が行われている。動画像の映像符号化方法の中では、とりわけH.264(別名MPEG4 Part10/AVC)が注目されている。
【0003】
H.264ではCABAC(Context−based Adaptive Binary Arithmetic Coding)と呼ばれる算術符号化(以下、CABACと称す)と、CAVLC(Context−based Adaptive Variable length Coding)と呼ばれる可変長符号化(以下、CAVLCと称す)とが採用されている。
【0004】
前記CABAC及びCAVLCに着目した先行例として、特許文献1が提案されている。特許文献1に記載された「画像情報符号化方法及び画像情報復号方法」によると、CABACへの入出力データ量を制限し、復号化器の処理時間を保証することを目的とした発明が開示されている。
【0005】
具体的には、CABAC符号化器に入力される2値データの個数のカウンタと、出力されるビットデータの個数のカウンタをそれぞれ独立に有している。そして、制限監視器によって、これらカウンタのうちのどちらか一方でも、あらかじめ設定された閾値を超えてしまった場合、その符号化データは無効であることを示す信号を出力して、再符号化処理する構成が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004―135251号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図5は、従来の映像符号化装置の構成例を示すブロック図である。図5において、901は映像入力部、902は変換部、903は量子化部、904はエントロピー符号化部、905はストリーム出力部、906はデータ量検出部、907は量子化制御部である。
【0008】
前記映像入力部901から入力される映像信号は、変換部902により、縦横それぞれ16画素から成るブロックに分割され、各ブロック毎に係数列へ変換される。前記変換部902は、動き予測処理や直交変換処理などを行うことによって、ブロックの視覚的な冗長性を削減する。
【0009】
前記変換部902において直交変換された係数列は量子化部903に供給され、所定の量子化パラメータによって量子化される。前記量子化部903における量子化パラメータの大小に応じて、前記係数列の情報量は削減され、その引き換えに符号化劣化が発生する。前記量子化された係数列は、エントロピー符号化部904に供給される。
【0010】
前記エントロピー符号化部904は、係数列を構成するシンボルの出現頻度に基づき、効率的な符号列へと変換し、データ圧縮する。エントロピー符号化によって生成された符号列は、ストリームとして前記ストリーム出力部905から出力される。前記量子化部903における量子化パラメータにより、ストリームのデータ量と画質とはトレードオフの関係であり、前記量子化パラメータの決定が映像符号化装置の性能に大きく影響する。また、生成されるストリームのデータ量が復号時のバッファモデルを満たすように、適切に決定されなければならない。前記バッファモデルはISO/IEC13818-2規格書や、ITU-T H.264規格書によって定められており、従来の装置では以下のように制御するのが一般的である。
【0011】
前記データ量検出部906は、前記エントロピー符号化部904から出力されるデータ量を検出し、検出値を量子化制御部907に供給する。前記量子化制御部907は、それまでに符号化されたピクチャ毎の発生データ量を積算し、バッファモデルが満たされるよう次に符号化するピクチャの目標符号量を算出する。
【0012】
そして、ブロック単位の発生符号量を監視しながら、次のピクチャの発生符号量が目標符号量に近接するように、量子化パラメータを逐次決定し、前記量子化部903へ前記パラメータを供給する。すなわち、1ピクチャ符号化する毎に、発生したピクチャのデータ量を検出し、それをフィードバックして次のピクチャの符号化に使用する、という処理の流れである。
【0013】
しかしながら、昨今注目されている高能率符号化方法H.264では、エントロピー符号化部904に二値算術符号化方式(CABAC)を使用していることに起因し、このような処理を行うことが極めて困難である。
【0014】
図6に示すように、H.264におけるエントロピー符号化方式CABACは、二値化部910と算術符号化部911とから構成されている。二値化部910は、前記量子化部903から供給される係数列を「0」、「1」の二値シンボル列に変換する。前記シンボル列は算術符号化部911に1つずつ供給され、算術符号列へ変換することでデータ圧縮される。
【0015】
この時、前記算術符号化部911は、1つの二値シンボル単位の処理であるため、データ処理回路は、旧来に比べて非常に多くの処理サイクルを必要としてしまう。なぜならば、旧来のエントロピー符号化部904では、前記量子化部903から供給される係数毎に処理していたのに対し、係数ひとつが複数個の二値シンボルに相当するため、数倍からワーストケースでは10倍近くもの処理サイクルを要するのである。
【0016】
前記算術符号化部911の処理サイクルが非常に長くなることがある。このため、1ピクチャのエントロピー符号化の処理時間も極めて長くなることになり、その結果、前述のように、1ピクチャ毎にエントロピー符号化後の発生データ量を検出してフィードバックすることが、実現し難くなっていた。
【0017】
より高い処理クロックを用いた回路構成で処理速度を上げることにより、この問題を解決する符号化装置も開発されている。しかしながら、このような構成にすると回路規模や消費電力を犠牲にしなければならない問題点があった。
【0018】
また、従来のエントロピー符号化と同等の符号化方式である可変長符号化CAVLCを用いて、前記問題を解決する符号化装置もあるが、CAVLCは符号化の効率がCABACよりも低く、画質を損ねてしまう問題点があった。したがって、前述した従来の特許文献1により提案されている「画像情報符号化方法及び画像情報復号方法」の場合も、前述のような問題点を解決することはできなかった。
【0019】
本発明は前述の問題点にかんがみ、回路規模や消費電力を増大させることなく、符号化効率を高することができ、かつバッファモデルを適切に満たすストリームを生成することが可能な映像符号化装置を提供できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の映像符号化装置は、入力された動画像の各ピクチャのデータ列を2値列へ変換する二値化手段と、前記二値化手段により変換された2値列を算術符号列へ変換する算術符号化手段とを備えた映像符号化装置であって、前記二値化手段の出力で発生データ量を暫定的に見積って量子化制御を順次行うとともに、前記算術符号化手段の出力から正確な発生データ量を検出し、発生データの見積もり量の補正を行う量子化制御手段を有することを特徴とする。
また、本発明の映像符号化装置の他の特徴とするところは、入力された動画像の各ピクチャをブロック単位に係数列へ変換する変換手段と、前記変換手段によって変換された係数列を量子化する量子化手段と、前記量子化手段によって量子化されたデータを2値列へ変換する二値化手段と、前記二値化手段によって変換された2値列を算術符号列へ変換する算術符号化手段とを備えた映像符号化装置であって、前記二値化手段から出力されるデータ量を検出する第1のデータ量検出手段と、前記算術符号化手段から出力されるデータ量を検出する第2のデータ量検出手段と、前記第1のデータ量検出手段から供給される第1の検出値及び前記第2のデータ量検出手段から供給される第2の検出値に基づいて、前記量子化手段の量子化パラメータを決定する量子化制御手段とを有することを特徴とする。
【0021】
本発明の映像符号化方法は、入力された動画像の各ピクチャのデータ列を2値列へ変換する二値化工程と、前記二値化工程において変換された2値列を算術符号列へ変換する算術符号化工程とを備える映像符号化方法であって、前記二値化工程の出力で発生データ量を暫定的に見積って量子化制御を順次行うとともに、前記算術符号化工程の出力から正確な発生データ量を検出し、発生データの見積もり量の補正を行う量子化制御工程を有することを特徴とする。
また、本発明の映像符号化方法の他の特徴とするところは、入力された動画像の各ピクチャをブロック単位に係数列へ変換する変換工程と、前記変換工程において変換された係数列を量子化する量子化工程と、前記量子化工程において量子化されたデータを2値列へ変換する二値化工程と、前記二値化工程において変換された2値列を算術符号列へ変換する算術符号化工程とを備える映像符号化方法であって、前記二値化工程から出力されるデータ量を検出する第1のデータ量検出工程と、前記算術符号化工程から出力されるデータ量を検出する第2のデータ量検出工程と、前記第1のデータ量検出工程から供給される第1の検出値及び前記第2のデータ量検出工程から供給される第2の検出値に基づいて、前記量子化工程の量子化パラメータを決定する量子化制御工程とを有することを特徴とする。
【0022】
本発明のプログラムは、入力された動画像の各ピクチャのデータ列を2値列へ変換する二値化工程と、前記二値化工程において変換された2値列を算術符号列へ変換する算術符号化工程とを備える映像符号化方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記二値化工程の出力で発生データ量を暫定的に見積って量子化制御を順次行うとともに、前記算術符号化工程の出力から正確な発生データ量を検出し、発生データの見積もり量の補正を行う量子化制御工程を有する映像符号化方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本発明のプログラムの他の特徴とするところは、入力された動画像の各ピクチャをブロック単位に係数列へ変換する変換工程と、前記変換工程において変換された係数列を量子化する量子化工程と、前記量子化工程において量子化されたデータを2値列へ変換する二値化工程と、前記二値化工程において変換された2値列を算術符号列へ変換する算術符号化工程とを備える映像符号化方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記二値化工程から出力されるデータ量を検出する第1のデータ量検出工程と、前記算術符号化工程から出力されるデータ量を検出する第2のデータ量検出工程と、前記第1のデータ量検出工程から供給される第1の検出値及び前記第2のデータ量検出工程から供給される第2の検出値に基づいて、前記量子化工程の量子化パラメータを決定する量子化制御工程とを有する映像符号化方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、処理サイクルの短い二値化手段の出力で発生データ量を暫定的に見積り、量子化制御を順次行いながら、それを追うようにして算術符号化手段の出力から正確な発生データ量を検出し、発生データの見積もり量の補正を行うようにした。これにより、回路規模や消費電力を増大させることなく、バッファモデルを満たすストリームを適切に生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による装置の構成例を示すブロック図である。101は映像入力部、102は変換部、103は量子化部、104は二値化部、105は算術符号化、106はストリーム出力部、107は第1のデータ量検出部、108は第2のデータ量検出部、109は量子化制御部である。
【0025】
本実施形態における装置は、H.264規格に基づき、以下の手順で高能率符号化処理を行う。
前記映像入力部101から入力される映像信号は、前記変換部102により、縦横それぞれ16画素から成るブロックに分割され、前記ブロック毎に係数列へ変換される。前記変換部102は、動き予測処理や、直交変換処理などにより、ブロックにおける情報量の視覚的な冗長性を削減する。
【0026】
変換部102における変換により得られた係数列は、量子化部103へ供給される。量子化部103は、前記係数列を量子化制御部109から供給される量子化パラメータによって量子化する。
【0027】
前記量子化部103における量子化パラメータの大小に応じて、前記係数列の情報量は削減され、その引き換えとして符号化劣化が発生する。前記量子化された係数列は、二値化部104に供給される。
【0028】
前記二値化部104は、各係数を0、1の二値シンボル列へ変換する。前記シンボル列は算術符号化部105に供給され、算術符号列へ変換することでデータ圧縮される。この時、二値化部104はテーブルによって各係数を二値シンボル列へ1対1に変換できるので、処理は1係数単位に実行することができる。
【0029】
一方、算術符号化部105は、二値シンボル1つずつ処理を行う必要がある。算術符号化によって生成された符号列は、ストリームとして前記ストリーム出力部106より出力される。前記量子化パラメータの大小により、ストリームのデータ量と画質はトレードオフの関係にあり、前記量子化制御部109の処理が装置の性能に大きく影響する。
【0030】
さらに、生成されるストリームのデータ量が復号時に所定のバッファモデルを満たすよう、適切に制御されねばならない。本構成例における量子化制御部109では、前記第1のデータ量検出部107および前記第2のデータ量検出部108の二つを用いて量子化パラメータの制御を行う。
【0031】
まず、前記第1のデータ量検出部107は、前記二値化部104から出力されるデータの量、すなわち、二値シンボルのデータ量を検出し、検出値を量子化制御部109へ供給する。前記量子化制御部109は、それまでに符号化されたピクチャ毎の発生二値シンボルデータ量を積算し、バッファモデルが満たされるよう次に符号化するピクチャの目標とする二値シンボルデータ量を算出する。そして、ブロック単位の発生符号量を監視しながら、次のピクチャの発生二値シンボルデータ量が目標符号量に近接するよう、逐次、量子化パラメータを決定し、前記量子化部103へ前記パラメータを供給する。
【0032】
この時、データ量の制御に用いる検出値、二値シンボルデータ量は、エントロピー符号化の中途段階におけるデータ量を示している。そのため、最終的に発生するデータ量よりも数割程度多い値を示していることになる。すなわち、算術符号化までを終えたにストリームのデータ量は検出値や目標値よりも少なくなる。しかし、バッファモデルを満たすという観点では、データ量が多過ぎるとバッファ容量を越えて破綻するが、少ない場合はバッファモデルに適合していると言える。
【0033】
また、前記量子化制御部109の処理は、係数単位で更新される前記第1のデータ量検出部107の出力に従って行うため、処理サイクルを係数単位で進めることができる。その結果、高性能な符号化方式を用いながら、旧来の方式と同様に、ピクチャ単位、ブロック単位、あるいはブロックの集合からなるスライス単位と同期して、円滑にデータ量制御を行うことができる。
【0034】
(第2の実施形態)
しかしながら、前記の処理によると、本来、バッファモデルが想定しているデータ発生量よりも常に少ない量しかデータが発生しないため、バッファモデルを破綻させることはないものの、符号化の効率という観点では、さらに工夫の余地が残っていた。
【0035】
本実施形態では、第2のデータ量検出部108を用いることで、より正確にデータ量を見積もり、効率の高い符号化を実現する。以下に処理手順を説明する。
前記量子化制御部109は、前記第1のデータ量検出部107から得られる第1の検出値と併せて、第2のデータ量検出部108から第2の検出値を受け取る。前記第2の検出値は、二値シンボル単位に更新される。1つの係数が非常に長い二値シンボル列であったり、あるいは非常に短い二値シンボル列であったりするために、係数とデータ量検出値との関係が1対1ではない。そのため、ピクチャやブロック、スライスなどの入力画素列単位とも非同期な関係になる。
【0036】
本実施形態の構成例では、第1の検出値を用いて暫定目標データ量を決定し、ピクチャやブロック、スライスと同期したデータ量制御を行い、逐次量子化パラメータを更新しながら、さらに非同期に第2の検出値を用いた、データ量補正を行う。
【0037】
図2は、本実施形態における量子化制御部109の処理手順を説明するフローチャートである。
ステップS1は前記第1の検出値を積算し、ピクチャの暫定発生データ量を算出する。ステップS2は、前のステップS1で算出した過去のピクチャの暫定発生データ量から、次のピクチャの目標データ量を決定する。
【0038】
次に、ステップS3は、目標データ量に基づいて各ブロックの量子化パラメータを逐次決定する。次に、ステップS4は前記第2の検出値を積算し、ピクチャ相当分の発生データ量が算出できたか否かを判定する。
【0039】
この判定の結果、ピクチャに達していない場合は、ステップS1へ戻る。また、ピクチャに達している場合、ステップS5へ進む。ステップS5では、第2の検出値から算出された発生データ量と、前記暫定発生データ量とを対応するピクチャ同士で比較し、前記暫定発生データ量を補正する。以上の処理を終了条件ステップS0で分岐するまで続ける。
【0040】
図3は、発生データ量の推移を示す特性図である。301は前記第1の検出値による発生データ量の推移(暫定ピクチャデータ量の積算値)である。特性図中のマーカーは、ピクチャデータ量の算出時刻を示している。図3からわかるように、第1の検出値によるデータ量の算出は、1/30秒など所定の間隔で更新されているのがわかる。
【0041】
一方、302に示す前記第2の検出値による発生データ量の推移は、前記算術符号化部の処理が画素数と同期しないため、変動する時刻間隔でピクチャのデータ量が算出されている。図3において303、304はそれぞれ第1の検出値と第2の検出値による発生データ量であり、ともに開始から6番目のピクチャの符号化時点に相当する積算量を示している。この積算量の差分dを算出し、前記フローチャートにおけるステップ5において、暫定発生データ量からdを減算する。
【0042】
補正前の状態では、暫定発生データ量は、正しい発生データ量より多く算出されるので、バッファ制御は本来よりも厳しく制御され、規格として許される量よりも、常に少なめのデータ量が発生し、画質性能をフルに発揮できない。しかし、前述したように、差分dが確定する毎に、データ量の検出値を正しい値に補正し、適切なバッファ制御による好適な画質性能を実現することができる。
【0043】
図4は、本構成例によるデコーダバッファモデルのバッファ量推移を示す特性図である。図4において、401は暫定発生データ量によって制御したバッファ量推移であるが、30分の1秒単位にバッファから取り除かれるピクチャデータ量が多いため、バッファ残量が常に少なくて、バッファを十分に生かせない状態である。
【0044】
6番目のピクチャに相当するマーカー404の時点で、前記差分dにより、マーカー403へ補正し、十分なバッファ残量を生かした制御を施すことが可能になる。このように、暫定発生データ量でバッファモデルを制御しながら、それを追いかけるように補正し、好適な制御を行うことができる。なお、本実施形態の説明では、第1の検出値と第2の検出値の差分によって補正を行っている例を説明したが、比率による補正を行っても同様な効果が得られ、本発明の範疇である。
【0045】
このような構成により、処理サイクルの短い二値化部の出力で暫定の発生データ量を見積り、順次量子化制御を行いながら、それを追うようにして算術符号化部の出力から正確な発生データ量を検出し、適宜見積もり量の補正を行う。その結果、回路規模や消費電力を増大させることなく、適切にバッファモデルを満たすストリームを生成することができる。
【0046】
(本発明に係る他の実施形態)
前述した本発明の実施形態における映像符号化装置を構成する各手段、並びに映像符号化方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0047】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0048】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図2に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接、あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0049】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0050】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0051】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM、DVD−R)などもある。
【0052】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0053】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0054】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0055】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0056】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態を示し、映像符号化装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】実施形態における量子化制御部の処理手順を説明するフローチャートである。
【図3】実施形態における発生データ量の推移を示す図である。
【図4】実施形態におけるデコーダバッファモデルの推移を示す図である。
【図5】従来の映像符号化装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】H.264におけるエントロピー符号化方式の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
101 映像入力部
102 変換部
103 量子化部
104 二値化部
105 算術符号化部
106 ストリーム出力部
107 第1の検出部
108 第2の検出部
109 量子化制御部
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦


【公開番号】 特開2008−10943(P2008−10943A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176636(P2006−176636)