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【発明の名称】 携帯用機器の照明装置
【発明者】 【氏名】内田 大祐

【氏名】坂本 博信

【氏名】近藤 俊幸

【要約】 【課題】従来の携帯電話機などにおいて、折畳んだ状態でケース表面の全体を発光させようとすると、ケース表面を形成する部材に光が吸収され、期待するほどの明るさで照明が行えないという課題を生じていた。

【構成】本発明により、ケース2を構成する導光板6の内面に塗装面7を設け、導光板内を伝播させる光で塗装面(塗装膜7)を照明して成る携帯用機器の装飾用灯具であり、導光板と塗装面との間には、高屈折率膜および低屈折率膜の任意数の層で形成した多層膜9を形成し、この多層膜により塗装面側に吸収される光量を調整して導光板の導光作用を維持させたことを特徴とする携帯用機器の照明装置とすることで課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースを構成する導光板の内面に塗装面を設け、前記導光板内を伝播させる光で前記塗装面を照明して成る携帯用機器の照明用灯具であり、前記導光板と前記塗装面との間には、高屈折率膜および低屈折率膜の任意数の層で形成した多層膜を形成し、該多層膜により前記塗装面側に吸収される光量を調整して前記導光板の導光作用を維持させたことを特徴とする携帯用機器の照明装置。
【請求項2】
前記多層膜は前記高屈折率膜または前記低屈折率膜の少なくとも1層により成ることを特徴とする請求項1記載の携帯用機器の照明装置。
【請求項3】
前記多層膜は、金属膜、酸化金属膜、有機ポリマー膜の何れかにより構成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の携帯用機器の照明装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、携帯用のゲーム機など携帯用機器の外装の一部を光らせ、装飾効果を向上させるために小型化した照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話機90を示すものが図13であり、この携帯電話機90には、ダイヤル押釦91aが設けられた上ケース91と、液晶表示器などによる表示部92と、受話部93と、この携帯電話機90の不使用時は前記上ケース91のダイヤル押釦91aを覆うカバー94とから構成され、必要に応じては、アンテナ95、ストラップ96なども取付けられている。
【0003】
図14は、上記携帯電話機90をD−D線で断面して内部構成を示すものであり、図は上ケース91がカバー94で覆われている状態で示してある。そして、前記上ケース91には開口が設けられ、この開口から前記ダイヤル押釦91aの頂面(キートップ)が露出されている。
【0004】
このときに、前記ダイヤル押釦91aは前記携帯電話機90の内部に設けられたプリント配線板91b上に設置された板バネ91cにより適宜のストロークが与えられており、そして、前記ダイヤル押釦91aの何れかを押すことで、当該のダイヤル押釦91aのスイッチが投入される。
【0005】
ここで、前記携帯電話機90には、夜間の使用に備えて前記板バネ91cとダイヤル押釦91aとの間には透明樹脂などによる導光板97が設けられると共に、この導光板97の適宜位置には貫通孔が設けられ、LED98が挿入されていて、前記導光板97の板厚内に光が入射するようにされている。
【0006】
よって、前記導光板97内では大気との境界面で屈折率の差による内面反射が行われ、光が前記導光板97内全面はほぼ均一な明るさとなり、この導光板97とダイヤル押釦91aとを適宜位置で接触させておくと、ダイヤル押釦91aにも光が入射し、夜間でもダイヤル押釦91aのキートップは明るく照明されるものとなる。
【0007】
このように、導光板97を採用することで、ダイヤル押釦91aの1個毎にLED98を設ける必要はなくなり、消費電力が低減し、携帯電話機90など携帯用機器で重要視される継続使用時間の延長が可能となるものとなる。
【特許文献1】特開平06−061913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年においては携帯電話機の普及も著しく、また、機能も多機能化し、例えば、電話の着信、メールの着信など表示すべき機能も多様化し、従来の単純なダイヤル押釦を光らせる程度の照明装置では対応が困難となってきているという問題点を生じている。
【0009】
また、上記した携帯電話機の普及に伴い、電話会社の数も増えると共に、携帯電話機の機種も増え、販売店の店頭での見栄えの良さなどにより売れ行きにも差が出る状態となっており、装飾性も要求されるものとなっている。よって、着信時などには携帯電話機のケースの一部が発光するなど斬新な照明方法の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記した従来の課題を解決するための具体的な手段として、ケースを構成する導光板の内面に塗装面を設け、前記導光板内を伝播させる光で前記塗装面を照明して成る携帯用機器の装飾用灯具であり、前記導光板と前記塗装面との間には、高屈折率膜および低屈折率膜の任意数の層で形成した多層膜を形成し、該多層膜により前記塗装面側に吸収される光量を調整して前記導光板の導光作用を維持させたことを特徴とする携帯用機器の照明装置を提供することで、例えば、携帯電話機の着信時にはケースが発光するなど、斬新な照明方法を提供可能として、課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、外ケースを構成する導光板と、この外ケースの色彩を定める塗装膜の間に、高屈折率膜と低屈折率膜を積層した多層膜、或いは、高屈折率膜、または、低屈折率膜の何れかで形成した膜を設けることで、前記した塗装膜の側に光が吸収されることをなくして、前記外ケースのより広い範囲が照明されるものとして、装飾性などを高める効果の向上が計れるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1に符号1で示すものは携帯電話機であり、近年の携帯電話機1は、液晶表示器などによる表示部2aが取付けられた表示部用外ケース2と、ダイヤル用押釦な操作部3aが設けられた本体部用外ケース3とがヒンジ4で接続されており、使用しない時には、前記表示部2aと操作部3aとが内側となるように前記ヒンジ4で折り畳まれる。
【0013】
従って、使用していない場合の形態は、図2に示すように表示部用外ケース2と本体部用外ケース3とで囲まれる略箱状の形状となり、デザイン的にも工夫が凝らされている表示部2a、操作部3aは外部からは観視できないものとなり、結果的に折り畳んだ状態では、表示部用外ケース2と本体部用外ケース3との形状、色、質感などで他社との相違を演出せざるを得ないものとなる。
【0014】
そこで、折り畳んだ状態で最も注目される場所である表示部用外ケース2に、着信時などに点灯する照明装置を取付けることが考えられているが、前記表示部用外ケース2は、内部構造が透視されないように濃色部材による形成、或いは濃色塗装が行われているので、前記表示部用外ケース2の中にLEDランプなどの光源5を設置し、透過光で照明しようとする方式では、図3に示すように光源5の直近の極めて狭い範囲が光るのみで、期待するほどに充分な効果は得られないものであることが実情である。
【実施例1】
【0015】
そこで、発明者は、図4に示すように前記表示部用外ケース2の一部を透明部材で形成し、内面側にレンズカット6aを設けて導光板6とし、このように形成された導光板6のレンズカット6a側に任意色の塗料による塗装膜7を形成し、光源5からの光を導光板6の板厚面から入射させることで、導光板5内の光の伝播とレンズカット6aによる反射とにより広い範囲の照明が期待できる構成を実施例1として形成し、評価を行った。
【0016】
このようにして、形成した実施例1の表示部用外ケース2の試験の結果では、導光板6と塗装膜7との接触位置における光の吸収が著しく、期待するほどに導光板6を設けたことによる照射範囲の広がりが得られないことが確認された。尚、導光板6、即ち、表示部用外ケース2の内面側に塗装膜7を形成するのは、この表示部用外ケース2を携帯電話機1の表面に取付けるときの両面接着テープ8などを外部から見えなくするためである。
【実施例2】
【0017】
実施例1の結果に鑑みて、発明者は導光板6(レンズカット6aも含む)と、塗装膜7との間での光の吸収を少なくする手段として、導光板6と塗装膜7との間に多層膜9を設け、この多層膜9を適宜な反射率のものとすることで、導光板6から塗装膜7へ漏れる光量を制限し、より広い範囲の表示部用外ケース2を発光させることができると考え、前記多層膜9を設けた表示部用外ケース2を図5に示す第二実施例として形成した。
【0018】
ここで、まず、前記多層膜9について説明を行うと、基本的な構成としては、例えばTiO(屈折率=1.8)など屈折率の高い部材で形成した層と、例えばSiO(屈折率1.46))など屈折率の低い部材で形成した層とを交互に積層したもので、膜厚、積層する層数などを調整することで反射率、反射或いは透過させる波長などを調整できるものである。
【0019】
よって、この第二実施例においては、図5にも示したように導光板6のレンズカット6aが施された側に多層膜9が予めに形成され、その後に塗装膜7が形成されるものとされている。尚、このときに、前記導光板6に形成される多層膜9は、携帯電話機1の表示部用外ケース2としての見栄えに影響するものであるので、膜厚、層数などは、設計者などの意図に従い調整される。また、多層膜9に適宜な反射率が確保されるときには、前記レンズカット6aを省略する、或いは、小型化するなどは自由である。
【0020】
尚、この発明を成すための試作、検討の結果では、膜厚は100nm〜200nm程度、反射率は15%以上、積層数は2〜8層の範囲で良好な結果が得られたが、本発明は、これを限定するものではなく、デザイン上などの要求によっては、高屈折率膜の一層であっても良く、また、一層であれば有機ポリマーの塗装など簡便な手段でも容易に形成できる可能性がある。
【0021】
また、特に表示部用外ケース2を金属色系とする場合には、前記多層膜9も、例えば、アルミニウムなどの蒸着膜など金属膜でも良く、この場合には、蒸着の膜厚を調整するなどして、ハーフミラー化し、必要とされる反射率が得られるようにする。この場合にも層数は一層であっても良い。
【0022】
以上のように多層膜9を設けることで、前記表示部用外ケース2の予定の広さの範囲を光らせるものができることが実現可能となることが確認されたので、以降に、導光板6に光を入射させるための光取込部6bの形状の例をそれぞれの実施例として示す。
【実施例3】
【0023】
図6は、光源5を表示部用外ケース2の背(内)面側に設けるときの例であり、前記導光板6の少なくとも1箇所には、前記導光板の板厚面と平行する中心線を有する放物線Pの焦点fを通り、前記中心線と直交する軸で回転させたときに生じる略円錐状の凹部とした形状の光取込部6bが前記表示部用外ケース2の表(外)面側に形成されている。
【0024】
そして、前記光取込部6bを形成するときの基準とした放物線Pの焦点位置近傍には、LEDランプなど光源5が配置されている。このとき、前記光取込部6bと光源5との間には、前記レンズカット6a、および、塗装膜7の形成は省略されている。
【0025】
このようにすることで、光源5から放射された光は、まず、導光板6を形成する透明樹脂部材内に入射し、そして、前記光取込部6bに達する。このときには、光は導光板6が形成された高屈折率部材側に存在するので、大気で形成された凹部であるである光取込部6bでは内面全反射を生じ、光は導光板6の板厚面方向と平行方向に進行方向が変換され、これにより、導光板6内に取り込まれた状態となり、実施例2でも説明したようにレンズカット6aの作用などにより導光板6、即ち、表示部用外ケース2の表面を明るく照明する。
【0026】
尚、実施例3においては、前記導光板6の板厚などの条件によっては、前記光源5からの光が前記光取込部6bで全反射せず一部が直射光として直接に観視者に達し、違和感を与える可能性がある。このような場合には、前記した凹部にアルミの蒸着などで全反射膜6cを形成するなどで防止可能であり、或いは、不透明板などを貼着することで防止しても良い。また、これらにより、新たなデザイン効果も奏することができる。また、前記光取込部6bと光源5との間には、導光板6、および、多層膜9が形成されているが、光源5からの光を取込易くするため、この部分のみ多層膜9を省略しても良い。
【実施例4】
【0027】
図7は、上記光取込部6bからの光モレに当初から対策したものであり、前記導光板6の光取込部6bを設けるべき位置には例えば円形とした開口6dが設けられている。加えて、前記開口6dに嵌着できる径とされた部分が設けられ、挿入側には光取込部6bとほぼ同形状とした円錐状部10aが設けられた栓部10が別体として形成され、この円錐状部10aには反射膜10bが設けられている。
【0028】
そして、前記栓部10は円錐状部10a側から開口6dに挿入され固定が行われる。そして開口6d、即ち、栓部10の中心線上には光源5が設けられていて、この光源5からの光は円錐状部10aで全反射して導光板6の板厚内に入射させられる。ここで、栓部10は不透明部材で形成されており、必要部分に反射面処理が行われているものであるので、光源5からの直射光が表示部用外ケース2を透過して見えることを防止できると共に、前記栓部10の表面側のデザインに工夫を凝らすことで斬新な外観が提供できるものとなる。
【実施例5】
【0029】
尚、実施例3においても、実施例4においても、光を導光板6に取り込む部分は略円錐状として形成されていたが、本発明は限定するものでなく、例えば、図8〜図10に示すようにV字形の溝状凹部11として形成し、この溝状凹部11には、1個以上の光源5を対応させて導光板内に光を導入させ、更に、前記溝状凹部11の外面側にはエンブレム12などを取付け、このエンブレム12から光が放射されているように観視させても良いものである。
【実施例6】
【0030】
更には、図11〜図12に示すように、表示部用外ケース2の一方の短辺近傍など、導光板6の中心から外れた部分に光取込部6bを形成し、表示部用外ケース2の一端側から他端側に向けて照明を行っても良いものである。何れの実施例においても、本発明により導光板6と塗装膜7との間に多層膜9が設けられていることで、塗装膜7に光源5からの光が吸収されることがなくなり、1つの光源5からの光で広い範囲が照明できるものとなる。尚、実施例5、実施例6においても実施例4と同様に別部材で形成した栓部10を採用する構成とするのは自在である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る携帯電話機を使用時の状態で示す説明図である。
【図2】同じく本発明に係る携帯電話機を折畳時の状態で示す説明図である。
【図3】表示部用外ケースに照明を設けるときの一例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る照明装置の第一実施例を示す断面図である。
【図5】本発明に係る照明装置の第二実施例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る照明装置の第三実施例を示す断面図である。
【図7】本発明に係る照明装置の第四実施例を示す断面図である。
【図8】本発明に係る照明装置の第五実施例を示す正面図である。
【図9】図8のA−A線に沿う断面図である。
【図10】図8のB−B線に沿う断面図である。
【図11】本発明に係る照明装置の第六実施例を示す正面図である。
【図12】図11のC−C線に沿う断面図である。
【図13】従来の携帯電話機を使用時の状態で示す説明図である。
【図14】携帯電話機を携帯時の状態で示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1…携帯電話機
2…表示部用外ケース
3…本体部用外ケース
4…ヒンジ
5…光源
6…導光板
6a…反射カット
6b…光取込部
6c…全反射膜
6d…栓部
7…塗装膜
8…両面接着テープ
9…多層膜
10…栓部
10a…円錐状部
10b…反射膜
11…溝部
【出願人】 【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄


【公開番号】 特開2008−11356(P2008−11356A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181574(P2006−181574)