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【発明の名称】 HARQ方法、及びそれを用いた中継設備と通信システム
【発明者】 【氏名】劉 芳

【氏名】陳 嵐

【要約】 【課題】本発明は、HARQ方法、及びそれを用いた中継設備と通信システムを提供する。

【構成】該方法は、中継側において、基地局又は端末から送信されたデータを記憶して、端末又は基地局へ転送するステップと、基地局又は端末において送信データを再送する場合、中継側において、記憶されたデータを用いて再送データと合成して、端末又は基地局へ転送するステップとを含み、そのうち、初回の伝送プロセスにおいて、該記憶されたデータは、初回の伝送データの復調データであり、再送プロセスにおいて、該記憶されたデータは、復調した後の再送データに対して合成を行った後のデータであり、且つ、次回の再送プロセスにおける合成後のデータにより更新される。これにより、通信システムにおけるエンド・ツー・エンドのリンク信頼性を更に向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中継側において、基地局又は端末から送信されたデータを記憶して端末又は基地局へ転送するステップと、
基地局又は端末において送信データを再送する場合、中継側において、記憶されたデータを用いて再送データと合成して、端末又は基地局へ転送するステップとを含み、
初回の伝送プロセスにおいて、該記憶されたデータは、初回の伝送データの復調データであり、
再送プロセスにおいて、該記憶されたデータは、復調した後の再送データに対して合成を行った後のデータであり、且つ、次回の再送プロセスにおける合成後のデータにより更新されることを特徴とするHARQ方法。
【請求項2】
基地局又は端末側において、中継側から転送されたデータを記憶するステップと、
再送プロセスにおいて、基地局又は端末側において、記憶されたデータを用いて、再送データに対して合成を行うステップとをさらに含み、
初回の伝送プロセスにおいて、該記憶されたデータは、初回の伝送データの復調データであり、
再送プロセスにおいて、該記憶されたデータは、復調した後の再送データに対して合成を行った後のデータであり、且つ、次回の再送プロセスにおける合成後のデータにより更新されることを特徴とする請求項1に記載のHARQ方法。
【請求項3】
物理層フレーム構造に基づいて、その制御チャネルのシグナリング部分から、新たなデータか、それとも再送データかを判定し、そのうち、
新たなデータの場合は、直接記憶し、
再送データの場合は、合成を行い、合成後のデータを記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載のHARQ方法。
【請求項4】
再送プロセスにおいて、基地局又は端末側において、前記送信データに対して全部再送又は部分再送を行うことを特徴とする請求項3に記載のHARQ方法。
【請求項5】
最大比合成、等利得合成、又は選択合成の方式に応じて、中継側において前記合成を行うことを特徴とする請求項4に記載のHARQ方法。
【請求項6】
初回の伝送データかそれとも再送データかを判定し、チャネル推定値に基づいて該送信データを復調して、復調データを得る識別・復調ユニットと、
データを記憶するための記憶ユニットと、
記憶されたデータを用いて再送データと合成する合成ユニットと、
識別・復調ユニットからの復調後の新たなデータ、又は合成ユニットからの合成データに対して復号化、再度符号化、変調を行って、端末又は基地局へ転送する復号符号化・変調ユニットとを含み、
初回の伝送プロセスにおいて、該記憶ユニットに記憶されるのは、初回の伝送データの復調データであり、
再送プロセスにおいて、該記憶ユニットに記憶されるのは、復調した後の再送データに対して合成を行った後のデータであり、且つ、次回の再送プロセスにおける合成後のデータにより更新され、
該合成ユニットで利用する記憶データは、現在の再送プロセスの前回の伝送プロセスにおける復調データであることを特徴とする中継設備。
【請求項7】
識別・復調ユニットは、データのデータフレーム構造に基づいて、その制御チャネルのシグナリング部分から、新たなデータか、それとも再送データかを判定することを特徴とする請求項6に記載の中継設備。
【請求項8】
該合成ユニットは、最大比合成、等利得合成、又は選択合成の方式に応じて、前記合成を行うことを特徴とする請求項7に記載の中継設備。
【請求項9】
該識別・復調ユニットに接続され、該チャネル推定値を取得するためのチャネル推定器を更に備え、且つ、該記憶ユニットは、該チャネル推定値をさらに記憶することを特徴とする請求項8に記載の中継設備。
【請求項10】
該識別・復調ユニットは、復調後の初回の伝送データを直接該記憶ユニットに記憶するか、又は該合成ユニットを経て該記憶ユニットに記憶することを特徴とする請求項9に記載の中継設備。
【請求項11】
データを送受信する端末と基地局とを有する通信システムにおいて、
中継設備を有しており、該中継設備は、
基地局又は端末からのデータが初回の伝送データかそれとも再送データかを判定し、チャネル推定値に基づいて該送信データを復調して復調データを得る識別・復調ユニットと、
データを記憶するための記憶ユニットと、
記憶したデータを用いて再送データと合成する合成ユニットと、
識別・復調ユニットからの復調後の初回の伝送データ、又は合成ユニットからの合成データに対して復号化、再度符号化、変調を行って、端末又は基地局へ転送する復号符号化・変調ユニットとを含み、
初回の伝送プロセスにおいて、該記憶ユニットに記憶されるのは、初回の伝送データの復調データであり、
再送プロセスにおいて、該記憶ユニットに記憶されるのは、復調した後の再送データに対して合成を行った後のデータであり、且つ、次回の再送プロセスにおける合成後のデータにより更新され、
該合成ユニットで利用する記憶データは、現在の再送プロセスの前回の伝送プロセスにおける復調データであることを特徴とする通信システム。
【請求項12】
該端末又は基地局において、さらに、該中継設備から転送されたデータを記憶し、
再送プロセスにおいて、端末又は基地局は、記憶されたデータを用いて再送データと合成し、そのうち、
初回の伝送プロセスにおいて、該記憶ユニットに記憶されるのは、初回の伝送データの復調データであり、
再送プロセスにおいて、該記憶ユニットに記憶されるのは、復調した後の再送データに対して合成を行った後のデータであり、且つ、次回の再送プロセスにおける合成後のデータにより更新されることを特徴とする請求項11に記載の通信システム。
【請求項13】
識別・復調ユニットは、データのデータフレーム構造に基づいて、その制御チャネルのシグナリング部分から、新たなデータか、それとも再送データかを判定することを特徴とする請求項11又は12に記載の通信システム。
【請求項14】
該中継設備、端末又は基地局は、最大比合成、等利得合成、又は選択合成の方式に応じて、前記合成を行うことを特徴とする請求項13に記載の通信システム。
【請求項15】
該中継設備は、さらに、
該識別・復調ユニットに接続され、該チャネル推定値を取得するためのチャネル推定器を備え、且つ、該記憶ユニットは、該チャネル推定値をさらに記憶することを特徴とする請求項14に記載の通信システム。
【請求項16】
中継側において、基地局又は端末から送信されたデータが正しく受信されたかを判定し、記憶して端末又は基地局へ転送するステップと、
基地局又は端末において送信データを再送する場合、中継側において、前回の伝送の判定結果に基づいて再度判定するかを選択し、そのうち、中継側において、再度の判定結果に基づいて合成処理を行うかを選択するステップと、
を含むことを特徴とするHARQ方法。
【請求項17】
全増加的冗長(Incremental Redundancy)のHARQ方法を採用する場合、中継側において初回の伝送データを判定して記憶し、初回の伝送の判定結果が正しく受信されたことを示すとき、現在の伝送プロセスとその後の伝送プロセスにおいて初回の伝送プロセスにおける記憶データのみを転送し、その他の場合は、再送プロセスにおいて、記憶データを用いて再送データと合成し、合成データを判定して端末又は基地局へ転送し、初回の伝送プロセスにおいて、該記憶データは初回の伝送データであり、再送プロセスにおいて、該記憶データは再送データに対して合成した後のデータであり、
追跡合成(Chase Combining)又は部分増加的冗長のHARQ方法を採用する場合、中継側においてデータを正しく受信したと判定すると、現在の伝送プロセス又はその前の伝送プロセスにおいて正しく受信したデータを端末又は基地局へ転送し、複数回のデータ伝送プロセスにおいてデータが正しく受信されなかったときには、中継側において、記憶データを用いて現在の再送データと合成した後、正しく受信されたか再度判定して端末又は基地局へ転送し、初回の伝送プロセスにおいて該記憶データは初回の伝送データであり、且つ、再送プロセスにおいて該記憶データは再送データに対して合成した後のデータであることを特徴とする請求項16に記載のHARQ方法。
【請求項18】
中継側は、巡回冗長検査に基づいて毎回受信したデータに対して判定を行うか、又はデータが正しく受信されたことを判定すればその後の伝送プロセスにおいて判定を行わないことを特徴とする請求項17に記載のHARQ方法。
【請求項19】
追跡合成又は部分増加的冗長のHARQ方法を採用する場合、中継側は、現在の伝送プロセスにおいてデータを正しく受信したと判定すると、現在の伝送プロセスにおいて正しく受信したデータを記憶し、その後の伝送プロセスにおいて判定を行わず、該記憶データを直接転送し、
中継側は、合成データを正しく受信したと判定すると、正しく受信したデータを記憶し、その後の伝送プロセスにおいて判定を行わず、該記憶データを直接転送し、その他の場合は、その後の伝送プロセスにおいて、再送データに対して引き続き判定し、
全増加的冗長のHARQ方法を採用する場合、現在の伝送プロセスにおいて、中継側は、合成データを正しく受信したと判定すると、合成データを記憶して転送し、その後の伝送プロセスにおいて判定を行わず、記憶データを直接転送し、
合成データを正しく受信しなかったときに、その後の伝送プロセスにおいて、合成データに対して引き続き判定を行うことを特徴とする請求項17又は18に記載のHARQ方法。
【請求項20】
再送プロセスにおいて、基地局又は端末側において、前記送信データに対して、全部再送又は部分再送を行うことを特徴とする請求項19に記載のHARQ方法。
【請求項21】
最大比合成、等利得合成、又は選択合成の方式に応じて、中継側において前記合成を行うことを特徴とする請求項20に記載のHARQ方法。
【請求項22】
初回の伝送データかそれとも再送データかを判定し、前回の伝送プロセスにおいて正しく受信したかの判定結果に基づいて再度判定するかを選択し、再度の判定結果に基づいて合成処理を行うかを選択する識別・復調ユニットと、
データを正しく受信したかの判定結果及び復調データを記憶するための記憶ユニットと、
記憶ユニットに記憶された前回の伝送プロセスにおける判定結果に基づいて再送データを合成する合成ユニットと、
識別・復調ユニットからの復調後のデータに対して復号化、再度符号化、変調を行って、端末又は基地局へ転送する復号符号化・変調ユニットとを含むことを特徴とする中継設備。
【請求項23】
全増加的冗長のHARQ方法を採用する場合、識別・復調ユニットは、初回の伝送データのみを判定し、初回の伝送の判定結果が正しく受信されたことを示すとき、現在の伝送プロセスとその後の伝送プロセスにおいて、初回の伝送プロセスにおける記憶データのみを転送し、その他の場合は、再送プロセスにおいて、記憶データを用いて再送データと合成し、合成データを判定して端末又は基地局へ転送し、初回の伝送プロセスにおいて、該記憶データは初回の伝送データの復調データであり、再送プロセスにおいて、該記憶データは、合成ユニットが再送データに対して合成を行った後のデータの復調データであり、
追跡合成又は部分増加的冗長のHARQ方法を採用する場合、識別・復調ユニットは、データを正しく受信したと判定すると、現在のデータ伝送プロセス又はその前のデータ伝送プロセスにおいて正しく受信したデータを端末又は基地局へ転送し、複数回のデータ伝送プロセスにおいてデータが正しく受信されなかったときには、合成ユニットは、記憶データを用いて再送データと合成した後、正しく受信されたか再度判定して端末又は基地局へ転送し、初回の伝送プロセスにおいて、該記憶データは初回の伝送データの復調データであり、再送プロセスにおいて、該記憶データは再送データに対して合成を行った後のデータの復調データであることを特徴とする請求項22に記載の中継設備。
【請求項24】
識別・復調ユニットは、データのデータフレーム構造に基づいて、その制御チャネルのシグナリング部分から、新たなデータか、それとも再送データかを判定し、
巡回冗長検査に基づいて毎回受信したデータを判定するか、又は、データを正しく受信したことを判定すればその後判定を行わないことを特徴とする請求項23に記載の中継設備。
【請求項25】
追跡合成又は部分増加的冗長のHARQ方法を採用する場合、識別・復調ユニットは、現在の伝送プロセスにおいてデータを正しく受信したと判定すると、現在の伝送プロセスにおいて正しく受信したデータを記憶し、その後のデータ伝送プロセスにおいて判定を行わず、該記憶データを直接転送し、
識別・復調ユニットは、さらに合成データを正しく受信したと判定すると、正しく受信したデータを記憶し、その後の伝送プロセスにおいて判定を行わず、該記憶データを直接転送し、その他の場合は、その後の伝送プロセスにおいて、引き続き判定を行い、
全増加的冗長のHARQ方法を採用する場合、識別・復調ユニットは、現在の伝送プロセスにおいて合成データを正しく受信したと判定すると、合成データを記憶して転送し、その後の伝送プロセスにおいて判定を行わず、記憶データを直接転送し、
現在の伝送プロセスにおいて合成データを正しく受信しなかったときには、その後の伝送プロセスにおいて、合成データに対して引き続き判定を行うことを特徴とする請求項23又は24に記載の中継設備。
【請求項26】
該合成ユニットは、最大比合成、等利得合成、又は選択合成の方式に応じて、前記合成を行うことを特徴とする請求項25に記載の中継設備。
【請求項27】
該識別・復調ユニットに接続され、該チャネル推定値を取得するためのチャネル推定器を更に備え、且つ、該記憶ユニットは、該チャネル推定値をさらに記憶することを特徴とする請求項26に記載の中継設備。
【請求項28】
データを送受信する端末と基地局とを有する通信システムにおいて、
中継設備を有しており、該中継設備は、
初回の伝送データかそれとも再送データかを判定し、前回の伝送プロセスにおいて正しく受信したかの判定結果に基づいて再度判定するかを選択し、再度の判定結果に基づいて合成処理を行うかを選択する識別・復調ユニットと、
データを正しく受信したかの判定結果及び復調データを記憶するための記憶ユニットと、
記憶ユニットに記憶された前回の伝送プロセスにおける判定結果に基づいて再送データを合成する合成ユニットと、
識別・復調ユニットからの復調後のデータに対して復号化、再度符号化、変調を行って、端末又は基地局へ転送する復号符号化・変調ユニットとを含むことを特徴とする通信システム。
【請求項29】
全増加的冗長のHARQ方法を採用する場合、識別・復調ユニットは、初回の伝送データのみを判定し、初回の伝送における判定結果が正しく受信されたことを示すとき、現在の伝送プロセスとその後の伝送プロセスにおいて、初回の伝送プロセスにおける記憶データのみを転送し、その他の場合は、再送プロセスにおいて、記憶データを用いて再送データと合成し、合成データを判定して端末又は基地局へ転送し、初回の伝送プロセスにおいて、該記憶データは初回の伝送データの復調データであり、再送プロセスにおいて、該記憶データは、合成ユニットが再送データに対して合成を行った後のデータの復調データであり、
追跡合成又は部分増加的冗長のHARQ方法を採用する場合、識別・復調ユニットは、データを正しく受信したと判定すると、現在の伝送プロセス又はその前の伝送プロセスにおいて正しく受信したデータを端末又は基地局へ転送し、複数回の伝送プロセスにおいてデータが正しく受信されなかったときには、合成ユニットは、記憶データを用いて現在の再送データと合成した後、正しく受信されたか再度判定して端末又は基地局へ転送し、初回の伝送プロセスにおいて、該記憶データは初回の伝送データの復調データであり、再送プロセスにおいて、該記憶データは再送データに対して合成を行った後のデータの復調データであることを特徴とする請求項28に記載の通信システム。
【請求項30】
識別・復調ユニットは、データのデータフレーム構造に基づいて、その制御チャネルのシグナリング部分から、新たなデータか、それとも再送データかを判定し、
巡回冗長検査に基づいて毎回受信したデータを判定するか、又は、データを正しく受信したことを判定すればその後判定を行わないことを特徴とする請求項29に記載の通信システム。
【請求項31】
追跡合成又は部分増加的冗長のHARQ方法を採用する場合、識別・復調ユニットは、現在の伝送プロセスにおいてデータを正しく受信したと判定すると、現在の伝送プロセスにおいて正しく受信したデータを記憶し、その後の伝送プロセスにおいて判定を行わず、該記憶データを直接転送し、
識別・復調ユニットは、さらに合成データを正しく受信したと判定すると、正しく受信したデータを記憶し、その後の伝送プロセスにおいて判定を行わず、該記憶データを直接転送し、その他の場合は、その後の伝送プロセスにおいて、引き続き判定を行い、
全増加的冗長のHARQ方法を採用する場合、識別・復調ユニットは、現在の伝送プロセスに合成データを正しく受信したと判定すると、合成データを記憶して転送し、その後の伝送プロセスにおいて判定を行わず、記憶データを直接転送し、
現在の伝送プロセスにおいて合成データを正しく受信しなかったときに、その後の伝送プロセスにおいて、合成データに対して引き続き判定を行うことを特徴とする請求項29又は30に記載の通信システム。
【請求項32】
該合成ユニットは、最大比合成、等利得合成、又は選択合成の方式に応じて、前記合成を行うことを特徴とする請求項31に記載の通信システム。
【請求項33】
該中継設備はさらに、
該識別・復調ユニットに接続され、該チャネル推定値を取得するためのチャネル推定器を備え、且つ、該記憶ユニットは、該チャネル推定値をさらに記憶することを特徴とする請求項32に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術分野に係り、特に、中継セルラーシステムにおける中継合成HARQの誤り制御技術であるHARQ方法、及びそれを用いた中継設備と通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
将来の無線通信システムは、周波数が高く、バンド幅が大きく、シークレスリンク、電力消耗が低く、コストが低いといった特徴を有する。従来のセルラーシステムは高周波数帯におけるパスロスが大きいため、カバー面積の減少を招く。そして、ネットワーク全体をカバーするために、基地局の数が膨大となり、コストも上昇し、コストを抑止する目的を達成できない。
【0003】
従来、システムにおいて中継によりカバー面を拡大させる技術が提案されている。低い電力消費で同一のカバー面積を取得することができるため、コストが低い。現在、一般的に利用されている中継方式は、拡大中継と復号中継である。拡大中継方式において、中継ノードは、単に受信信号を拡大して、目的端末に中継するだけであり、ノイズも中継パスにおいて拡大される。復号中継方式において、中継ノードは、まず受信信号を復調・復号化し、復調・復号化した後のデータを改めて符号化して目的端末に中継するが、間違った復号コードを目的端末に中継する可能性があり、目的端末の誤り判定を生じる。
【0004】
従って、中継セルラーシステムにおいて通信の高品質を確保するために、誤り制御技術が不可欠である。現在、無線システムに良く使用される誤り制御技術は、主にHARQである。そのうち、Chase合成と増加的冗長は、最も効果的なHARQであり、具体的にI、II、III型の三種類に分ける。I型(追跡合成―Chase合成)は、CRC(巡回冗長検査)を付加しており、FECを用いてデータを符号化する。受信機は、FEC復号化を行いデータパケットを検査し、誤りがあると、データパケットを再送し、誤りパケットは廃棄され、再送時にも、初回の伝送時と同一のFECコードを使用する。これは、ソフトレイヤにおけるHARQであり、RLC(無線リンク制御)において伝送制御を行う。
【0005】
増加的冗長技術(IR)は、簡単なデータパケット再送に取って代わっている。1回目の復号化に失敗した場合、冗長情報を付加して伝送するよう送信機に要求し、廃棄された伝送パケットがないと、合成後のデータパケットが比較的低いビットレートで復号される。再送パケットと原始伝送パケットは、完全に同じではない。再送パケットには、誤り訂正のための一部の冗長情報が付加されており、これら冗長情報とその前に受信したデータパケットとを合成して、よりよいFECコードを得ることができる。IR方式は、通常、部分IR、全IRの二種類に分ける。部分IRは、H−ARQ−type−IIIともいう。毎回の再送バージョンは、全てのシステムビットと部分検査ビットとを含んでおり、自分で復号でき、複数のバージョンを合成した後のデータパケットも自分で復号できる。
【0006】
全IRは、H−ARQ−type−IIともいう。毎回の再送バージョンは、検査ビットしか有しておらず、システムビットを有しない。各再送バージョンは、自分で復号することができず、必ず他のバージョンと合成してから復号できるようになる。
【非特許文献1】G. Neonakis Agglou and R. Tafazolli, “On the Relaying Capability of Next-Generation GSM Cellular Networks,” IEEE Pers. Commun., vol. 8, no. 1, Feb. 2001, pp. 40-47.
【非特許文献2】A. N. Zadeh and B. Jabbari, “Performance Analysis of Multihop Packet CDMA Cellular Networks,” Proc. IEEE GLOBECOM 2001, vol. 5, San Antonio, TX, Nov. 2001, pp. 2875-79.
【非特許文献3】N. Esseling, H. S. Vandra, and B. Walke, “A Forwarding Concept for HiperLAN/2,” Proc. Euro. Wireless 2000, Sept. 2000, Dresden, Germany, pp. 13-18.
【非特許文献4】V. Sreng, H. Yanikomeroglu, D. Falconer, “Coverage enhancement through two-hop relaying in cellular radio systems,” IEEE Wireless Commun. and Networking Conf. (WCNC’02), March 2002, Orlando, USA.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のセルラーシステムにおけるシングルホップポイント・ツー・ポイントの通信と異なり、中継に基づいた2ホップセルラーシステムのエンド・ツー・エンドの信頼性は、2ホップ(例えば、基地局から中継、中継から端末までの2ホップ)のリンク品質に依存しており、そのうちのいずれか一つのホッピングリンクが通信全体の信頼性に影響する。その理由は、次のとおりである。従来の中継は、非常に簡単な物理層機能(非特許文献4を参照)を有するだけであり、受信したデータが新たなデータ(初回に伝送されたもの)か再送データかに拘らず、ただ受信したデータを拡大して転送し又は復号した後符号化して転送し、そして廃棄する。データが再送される場合、単に端末において受信した複数のデータのレプリカを合成することにより中継と受信側との間におけるリンク信頼性を向上させ、従来の中継システムにおける中継の機能が充分に開発されていない。
【0008】
従って、中継合成HARQの誤り制御技術を設計することによりプロトコルスタックを変えないと同時に、通信システムのエンド・ツー・エンドのリンク信頼性を効果的に向上させることが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の目的は、通信システムのエンド・ツー・エンドのリンク信頼性を効果的に向上できるHARQ方法を提供することである。
【0010】
本発明の第2の目的は、通信システムのエンド・ツー・エンドのリンク信頼性を効果的に向上できる中継設備を提供することである。
【0011】
本発明の第3の目的は、通信システムのエンド・ツー・エンドのリンク信頼性を効果的に向上できる通信システムを提供することである。
【0012】
本発明の第1の目的によると、HARQ方法を提供する。該方法において、中継側において、基地局又は端末から送信されたデータを記憶して端末又は基地局へ転送するステップと、基地局又は端末において、送信データを再送する場合、中継側において、記憶されたデータを用いて再送データと合成して、端末又は基地局へ転送するステップとを含み、そのうち、初回の伝送プロセスにおいて、該記憶されたデータは、初回の伝送データの復調データであり、再送プロセスにおいて、該記憶されたデータは、復調した後の再送データに対して合成を行った後のデータであり、且つ、次回の再送プロセスにおける合成後のデータにより更新される。
【0013】
本発明の第1の目的によると、本発明は、さらにHARQ方法を提供する。該方法は、中継側において、基地局又は端末から送信されたデータが正しく受信されたかを判定し、記憶して端末又は基地局へ転送するステップと、基地局又は端末において送信データを再送する場合、中継側において、前回の伝送における判定結果に基づいて再度判定するかを選択するステップとを含み、そのうち、中継側において、再度の判定結果に基づいて合成処理を行うかを選択する。
【0014】
本発明の第2の目的によると、本発明は、中継設備を提供する。該中継設備は、初回の伝送データかそれとも再送データかを判定し、チャネル推定値に基づいて該送信データを復調して、復調データを得る識別・復調ユニットと、データを記憶するための記憶ユニットと、記憶されたデータを用いて再送データと合成する合成ユニットと、識別・復調ユニットからの復調後の新たなデータ、又は合成ユニットからの合成データに対して復号化、再度符号化、変調を行って、端末又は基地局へ転送する復号符号化・変調ユニットとを含み、初回の伝送プロセスにおいて、該記憶ユニットに記憶されるのは、初回の伝送データの復調データであり、再送プロセスにおいて、該記憶ユニットに記憶されるのは、復調した後の再送データに対して合成を行った後のデータであり、且つ、次回の再送プロセスにおける合成後のデータにより更新され、該合成ユニットで利用する記憶データは、現在の再送プロセスの前回の伝送プロセスにおける復調データである。
【0015】
本発明の第2の目的によると、本発明は、さらに中継設備を提供する。該中継設備は、初回の伝送データかそれとも再送データかを判定し、前回の伝送プロセスにおいて正しく受信したかの判定結果に基づいて再度判定するかを選択し、再度の判定結果に基づいて合成処理を行うかを選択する識別・復調ユニットと、データを正しく受信したかの判定結果及び復調データを記憶するための記憶ユニットと、記憶ユニットに記憶された前回の伝送プロセスにおける判定結果に基づいて再送データを合成する合成ユニットと、識別・復調ユニットからの復調後のデータに対して復号化、再度符号化、変調を行って、端末又は基地局へ転送する復号符号化・変調ユニットとを含む。
【0016】
本発明の第3の目的によると、本発明は、通信システムを提供する。該通信システムは、データを送受信する端末と基地局とを有し、中継設備を有しており、該中継設備は、基地局又は端末からのデータが初回の伝送データかそれとも再送データかを判定し、チャネル推定値に基づいて該送信データを復調して復調データを得る識別・復調ユニットと、データを記憶するための記憶ユニットと、記憶したデータを用いて再送データと合成する合成ユニットと、識別・復調ユニットからの復調後の初回の伝送データ、又は合成ユニットからの合成データに対して復号化、再度符号化、変調を行って、端末又は基地局へ転送する復号符号化・変調ユニットとを含み、初回の伝送プロセスにおいて、該記憶ユニットに記憶されるのは、初回の伝送データの復調データであり、再送プロセスにおいて、該記憶ユニットに記憶されるのは、復調した後の再送データに対して合成を行った後のデータであり、且つ、次回の再送プロセスにおける合成後のデータにより更新され、該合成ユニットで利用する記憶データは、現在の再送プロセスの前回の伝送プロセスにおける復調データである。
【0017】
本発明の第3の目的によると、本発明は、さらに通信システムを提供する。該通信システムは、データを送受信する端末と基地局とを有し、中継設備を有しており、該中継設備は、初回の伝送データかそれとも再送データかを判定し、前回の伝送プロセスにおいて正しく受信したかの判定結果に基づいて再度判定するかを選択し、再度の判定結果に基づいて合成処理を行うかを選択する識別・復調ユニットと、データを正しく受信したかの判定結果及び復調データを記憶するための記憶ユニットと、記憶ユニットに記憶された前回の伝送プロセスにおける判定結果に基づいて再送データを合成する合成ユニットと、識別・復調ユニットからの復調後のデータに対して復号化、再度符号化、変調を行って、端末又は基地局へ転送する復号符号化・変調ユニットとを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、本発明は中継設備側において受信した複数のデータのレプリカを合成することによって、プロトコルスタックを変えないと同時に、通信システムのエンド・ツー・エンドのリンク信頼性を効果的に向上でき、システムのスループットを向上でき、システムの再送遅延を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
エンド・ツー・エンドのリンク信頼性を十分に向上させるために、本発明は、HARQ方法を採用する通信システムを提供する。即ち、該通信システムにおいて、中継を行う場合、合成技術によるHARQ方式を採用する。図1は、本発明による通信システムを示す。
【0020】
図1に示すように、該通信システムは、基地局1、中継設備2、及び端末3を含む。ここで、一つの中継設備2で中継を行う場合を例として説明する。しかし、該通信システムは、複数の中継設備2を介して中継を行ってもいいし、そのプロセスと方法が同じであることは理解すべきである。
【0021】
<実施形態1>
図2は、図1に示す通信システムが実施形態1によるHARQ方法によって通信を行う場合のプロセスを具体的に説明している。図2においては、通信が基地局から開始するとする。本発明の実施形態1によるHARQ方法の具体的な流れは、次のとおりである。
【0022】
ステップ11において、基地局1は送信データを中継設備2に送信する。
【0023】
ステップ12において、中継設備2は送信データを記憶して端末3に転送する。
【0024】
ステップ13において、端末3は、データを正しく受信したかを判定し、判定結果(ACK/NACK)を中継設備2を介して基地局1にフィードバックする。
【0025】
端末3から基地局1にACKをフィードバックした場合、該流れは、ステップ14に進む。ステップ14において、基地局1は端末3に新たなデータを送信する。
【0026】
端末3から基地局1にNACKをフィードバックした場合、該流れは、ステップ15に進む。ステップ15において、基地局1は端末3にデータを再送する。
【0027】
ステップ16において、中継設備2は、記憶されたデータを用いて、基地局1からの再送データと合成した後端末3に転送する。
【0028】
ステップ17において、端末3は、受信した複数のデータレプリカに対して合成処理を行い、且つ、該流れは、ステップ13に戻ってデータを正しく受信したかを判定し、判定結果(ACK/NACK)を中継設備2を介して基地局1にフィードバックする。
【0029】
そのうち、中継設備2及び端末3は、同一又は異なる合成方式を採用してもよく、例えば、最大比合成、等利得合成、選択合成などである。
【0030】
理解すべきことは、システムが許可する最大許可再送回数を超えた場合、基地局から開始した該通信が中止されることである。しかも、上記流れは、通信が基地局から開始すると仮定した上で行った流れであるが、勿論、本発明のHARQ方法は、端末から開始する通信にも適用できる。具体的なプロセスは、上記ステップ11-17に類似するので、ここでは重複する説明を省略する。また、上記再送データは、基地局が初回に伝送したデータパケットの全てのデータであってもよいし、データパケットにおける誤りの情報ビット、即ち、部分再送であってもよい。
【0031】
図3は、本発明の実施形態1による中継設備2の具体的な構成を示す。
【0032】
図3に示すように、本発明の中継設備2は、識別・復調ユニット21、記憶ユニット22、合成ユニット23、及び復号符号化・変調ユニット24を含む。
【0033】
ここでも、基地局1から通信を開始する場合を例として説明する。
【0034】
基地局1から中継設備2にデータ(初回に送信する新たなデータ又は再送データ)を伝送すると、識別・復調ユニット21は、基地局1からのデータの物理層フレーム構造に基づいて、その制御チャネルのシグナリング部分から、新たなデータ(初回に伝送するデータ)かそれとも再送データかを読み取り、合成するか否かを判定し、チャネル推定値に基づいて、基地局1からの該データを復調して復調データを取得する。
【0035】
そのうち、新たなデータの場合、合成せず、識別・復調ユニット21が、復調データ(復調後の初回の伝送データ、即ち、新たなデータ)を記憶ユニット22に記憶し、復調データを直接復号符号化・変調ユニット24に伝送し、復号化、再度符号化、変調した後に端末3に転送する。再送データの場合、例えば1回目の再送データのとき、識別・復調ユニット21は、復調後の1回目の再送データを合成ユニット23に伝送する。
【0036】
合成ユニット23は、記憶ユニット22に記憶された復調データを利用して、それを該復調後の1回目の再送データと合成し(例えば、最大比合成、等利得合成、選択合成など)、合成して得られたデータを記憶ユニット22に記憶して復号符号化・変調ユニット24に伝送する。
【0037】
復号符号化・変調ユニット24は、合成ユニット23からの合成後のデータに対して復号化、再度符号化、変調を行い、基地局から送信されたデータのレプリカを形成して端末3に伝送する。
【0038】
また、再送データが2回目の再送データの場合、識別・復調ユニット21は、復調後の2回目の再送データを合成ユニット23に伝送する。
【0039】
合成ユニット23は、記憶ユニット22に記憶された、1回目の再送データに対して合成を行って得られた合成後のデータを利用して、それを該復調後の2回目の再送データと合成し(例えば、最大比合成、等利得合成、選択合成など)、合成して得られたデータ(2回目の再送データに対する)を記憶ユニット22に記憶して復号符号化・変調ユニット24に伝送する。
【0040】
復号符号化・変調ユニット24は、合成ユニット23からの合成後のデータに対して復号化、再度符号化、変調を行い、基地局から送信されたデータのレプリカを形成して端末3に伝送する。
【0041】
注意すべきこととして、上記再送データは、基地局1から1回目に伝送されたデータパケットの全てのビットである可能性もあるし、該データパケットの部分ビットである可能性もある。
【0042】
また、識別・復調ユニット21で利用するチャネル推定値は、従来技術における任意のチャネル推定器より取得できる。本発明の中継設備2は、チャネル推定器(図示せず)を有してもよい。該チャネル推定器は、識別・復調ユニット21に接続され、チャネル推定値を該識別・復調ユニット21に提供する。
【0043】
また、該記憶ユニットは、さらにチャネル推定器から取得したチャネル推定値を記憶してもよい。
【0044】
また、上記中継設備の構成も、図3に示すものに限られない。そのうち、該識別・復調ユニットは、復調データを全て直接該合成ユニットを経由して該記憶ユニットに記憶してもいいし、毎回の伝送データの復調データに合成係数を乗じて記憶ユニットに記憶してもよい。
【0045】
次に、合成ユニット23が最大比合成(MRC)を用いて行った処理を例として説明する。
【0046】
基地局1から送信された新たなデータをXとする。レイリーフェージングチャネルを介して中継設備2に到達した信号
【数1】


【0047】
は、
【数2】


【0048】
と示すことができる。
【0049】
そのうち、Pは、信号エネルギーである。
【数3】


【0050】
は、ホワイトガウスノイズであり、平均値がゼロ、分散が
【数4】


【0051】
の分布に従う。
【0052】
位相補正及び振幅規格化を経た信号は、
【数5】


【0053】
である。
【0054】
そのうち、
【数6】


【0055】
は、レイリーフェージングのチャネル係数であり、
【数7】


【0056】
は、
【数8】


【0057】
の共役であり、
【数9】


【0058】

【数10】


【0059】
のノルムである。
【数11】


【0060】
とすると、
【数12】


【0061】
である。
【0062】
信号エネルギーとノイズとの比は、
【数13】


【0063】
である。
【0064】
中継して受信した1回目の再送データ
【数14】


【0065】
は、
【数15】


【0066】
と示すことができる。
【0067】
そのうち、
【数16】


【0068】
は、ホワイトガウスノイズであり、平均がゼロ、分散が
【数17】


【0069】
の分布に従う。
【0070】
同じように、
【数18】


【0071】
である。
【数19】


【0072】
は、レイリーフェージングのチャネル係数である。
【0073】
信号エネルギーとノイズとの比は、
【数20】


【0074】
である。
【0075】
合成ユニット23が、新たなデータ及び1回目の再送データを合成して得られた後のデータを
【数21】


【0076】
と示すことができる。
【0077】
そのうち、
【数22】


【0078】
である。
【0079】
複数回再送した後のデータ合成は、上記と類似する。例えば、2回目の再送データ
【数23】


【0080】
の場合、合成後のデータは
【数24】


【0081】
である。
【0082】
上記最大比合成の方式のほか、本発明の中継設備2は、等利得合成、選択合成などを採用してもよい。例えば、等利得合成の方式において、合成ユニット23が、新たなデータ及び初回に伝送するデータを合成して得られたデータを
【数25】


【0083】
と表すことができる。或いは、選択合成の方式において、合成ユニット23は、
【数26】


【0084】
の一部のみに対して合成を行う。もちろん、端末3も、上記最大比合成の方式、等利得合成、選択合成などを採用することができる(すなわち、従来技術を用いてデータレプリカを合成できる端末)。且つ、中継設備2及び端末3は、同一又は異なる合成の方式を採用してもよい。
【0085】
図4、図5、図6は、本発明の実施形態1と従来のHARQ方法との間において、ブロック誤り率、スループットとSNRとの関係、及びブロック誤り率と最大許可再送回数との関係をそれぞれ示す。表1において、上記比較のシミュレーションパラメータを示す。
【表1】


【0086】
図4に示すように、同じブロック誤り率を取得するために、本発明の実施形態1によるHARQ方法(中継合成HARQ)により、約3dBのエネルギーを節約できる。同じように、図5に示すように、同じスループットを取得するために、本発明の実施形態1のHARQ方法(中継合成HARQ)により、約1.5dBのエネルギーを節約できる。図6において、ブロック誤り率と最大許可再送回数との関係を示す曲線が示されているが、図6によると、同じ10-2のブロック誤り率を取得するために、本発明の実施形態1のHARQ方法(中継合成HARQ)で必要とする最大許可再送回数が3であるに対して、従来方式では5回を必要とする。よって、本発明のHARQ方法(中継合成HARQ)により、再送による遅延を大幅に節約している。
【0087】
<実施形態2>
図7に示すように、本発明の実施形態2による通信システム及び中継設備2の構成は、実施形態1による構成と基本的に同じであり、且つ、実施形態2のHARQ方法は、実施形態1と大体同じである。異なる点は、中継側において、基地局又は端末から送信されたデータが正しく受信されたかを判定し、記憶して端末又は基地局に転送すること、及び、基地局又は端末において送信データを再送する場合、中継側において、前回の伝送の判定結果に基づいて再度判定するか又は前回の伝送プロセスにおける記憶データを転送するかを選択し、そのうち、中継側において、再度の判定結果に基づいて合成処理を行うかを選択することである。現在の通信システムにおいてChase合成(I型)又は部分増加的冗長方式(III型)のHARQを採用する場合、中継設備2は、さらに、データを正しく受信したかを判定し(判定結果ACK/NACKはフィードバックせず)、再送プロセスにおいて、中継設備2は、前回の伝送の判定結果に基づいて、再度判定を行うかそれとも前回の伝送における復調データを転送するかを選択する。現在の通信システムに全増加的冗長方式(II型)のHARQを採用する場合、中継設備2は、初回に伝送するデータを正しく受信したと判定するとき、その後の再送プロセスにおいて判定を行わず初回に伝送する復調データを直接に転送し、さもなければ、中継設備2は、再送データを判定せず、合成後のデータを判定する。
【0088】
その具体的な流れを図8に示す。
【0089】
ステップ31において、基地局1は送信データを中継設備2に送信する。
【0090】
ステップ32において、現在の通信システムでChase合成(I型)又は部分増加的冗長方式(III型)のHARQを採用する場合、中継設備2は、巡回冗長検査(cyclic redundancy check(CRC))を利用して、該送信データを正しく受信したかを判定し(ACK/NACKはフィードバックせず)、判定結果及び復調データ(復調データ)を記憶して端末3に転送する。
【0091】
CRC検査は、多項式符号化方法を用いることが知られている。処理されるデータブロックは一つのnオーダーの二進法多項式とみなされ、例えば、8ビットの二進法数10110101を1x7+0x6+1x5+1x4+0x3+1x2+0x1+1 g(x)と表すことができる。
【0092】
CRC検査を用いる場合、送信側と受信側は、同じ生成多項式g(x)を用い、且つ、g(x)の第1ビットと最後のビットの係数が1でなければならない。CRCの処理方法において、送信側は、g(x)でt(x)を割り算し、得られた余りをCRC検査コードとする。検査するとき、算出した校正結果が0であるか否かを根拠として、データフレームにミスがあるか否かを判定する。
【0093】
ステップ33において、端末3は、データを正しく受信したかを判定し、判定結果(ACK/NACK)を中継設備2を経由して基地局1にフィードバックする。
【0094】
端末3から基地局1にACKをフィードバックした場合、該流れは、ステップ34に進む。ステップ34において、基地局1は端末3に新たなデータを送信する。
【0095】
端末3から基地局1にNACKをフィードバックした場合、該流れは、ステップ35に進む。ステップ35において、基地局1から端末3にデータを再送する。
【0096】
ステップ36において、中継設備2は、前回の伝送における判定結果に基づいて、再度判定を行ってデータを転送するか、それとも、前回伝送した復調データを転送するかを選択する。
【0097】
ステップ37において、端末3は、受信した複数のデータレプリカに対して合成処理を行い、該流れは、ステップ33に戻って、データを正しく受信したかを判定し、判定結果(ACK/NACK)を中継設備2を経由して基地局1にフィードバックする。
【0098】
そのうち、中継設備2及び端末3は、例えば、最大比合成、等利得合成、選択合成などの同一又は異なる合成処理を行ってもよい。
【0099】
理解すべきことは、システムが許可する最大許可再送回数を超えた場合、基地局から開始する該通信が中止される。しかも、上記流れは、通信が基地局から開始すると仮定した上で行った流れであるが、勿論、本発明のHARQ方法は、端末から開始する通信にも適用できる。具体的な流れは、上記ステップ31-37に類似するので、ここでは重複する説明を省略する。また、上記再送データは、基地局が初回に伝送するデータパケットの全てのデータであってもよいし、データパケットにおける誤りの情報ビット、即ち、部分再送であってもよい。
【0100】
ここでも、基地局1から開始する通信を例として具体的に説明する(図9を参照)。
【0101】
基地局1から中継設備2にデータ(初回に送信する新たなデータ又は再送データ)を伝送すると、識別・復調ユニット21は、基地局1からのデータの物理層フレーム構造に基づいて、その制御チャネルのシグナリング部分から、新たなデータ(初回に伝送するデータ)かそれとも再送データかを判定し、データを正しく受信したか、且つ合成を採用するかを判定し、チャネル推定値に基づいて、基地局1からのデータを復調して復調データを取得する。
【0102】
そのうち、新たなデータ(初回の伝送データ)の場合、判定結果がACKであっても、NACKであっても、合成する必要がなく、識別・復調ユニット21は、記憶データ(復調後の初回の伝送データ、及び判定結果(ACK/NACK)を含む)を記憶ユニット22に記憶し、復調データを直接復号符号化・変調ユニット24に伝送し、合成処理を行わないよう合成ユニットに通知し、その後、該データは復号化、符号化、変調された後に端末3に転送される。理解すべきことは、新たなデータを正しく受信した場合、初回の伝送における判定結果はその後の伝送プロセスの判定結果と見なされる。
【0103】
また、再送データの場合、例えば1回目の再送データの場合、識別・復調ユニット21は、前回の伝送における判定結果(記憶ユニット22に記憶されている)に基づいて、再送データを再度判定して、復調するか否かを判定する。例えば、判定結果が新たなデータを正しく受信したことを示すとき(ACK)、識別・復調ユニット21は、再送データに対して再度判定及び復調を行わなくてもよい。記憶された復調データを復号符号化・変調ユニット24に伝送し、合成処理を行わないよう合成ユニット23に通知する。このとき、記憶ユニット22には、依然として上記新たなデータの復調データが記憶されている。新たなデータを正しく受信しなかったことを示すとき(NACK)、識別・復調ユニット21は、再送データに対して再度判定を行う。1回目の再送データを正しく受信した場合、記憶ユニット22は、現在の伝送における判定結果及び復調データを記憶し、記憶ユニット22に記憶されている前回の伝送における判定結果及び復調データを削除し、復調データを復号符号化・変調ユニット24に伝送し、合成処理を行わないよう合成ユニット23に通知する。一方、データを正しく受信しなかったことを示すとき(NACK)、1回目の再送データの復調データを合成ユニット23に送信して合成を行う。
【0104】
合成ユニット23は、識別・復調ユニット21の通知に基づいて、記憶ユニット22に記憶された新たなデータの復調データ、及び識別・復調ユニット21より現在提供された1回目の再送データの復調データを利用して合成処理を行う。すなわち、記憶ユニット22に記憶された判定結果が新たなデータを正しく受信しなかったことを示し(NACK)、且つ、識別・復調ユニット21が1回目の再送データを正しく受信しなかったと判定した場合、合成ユニット23は、記憶ユニットに記憶された、正しく受信されなかった新たなデータの復調データ、及び識別・復調ユニット21から送信された再送データの復調データを利用して合成処理を行い、合成後のデータを識別・復調ユニット21に返送してCRC判定を再度行い、合成後のデータの判定結果及び復調データで、記憶ユニット22における前回の伝送の判定結果及び復調データを更新する。このとき、識別・復調ユニット21は、合成後のデータの復調データを復号符号化・変調ユニット24に伝送する。理解すべきことは、識別・復調ユニット21は、正しく受信されなかった新たなデータと正しく受信されなかった1回目の再送データを合成して得られたデータに対してCRC検査を行った後、判定結果がデータを正しく受信したことを示す可能性がある。
【0105】
記憶ユニット22においては、各データ伝送プロセスにおける識別・復調ユニット21のCRC結果が記憶され、識別・復調ユニット21及び合成ユニット23に用いられる。
【0106】
復号符号化・変調ユニット24は、合成ユニット23からのデータに対して復号化、再度符号化、変調を行い、基地局より送信されたデータのレプリカを形成して端末3に送信する。
【0107】
また、再送データが2回目の再送データの場合、識別・復調ユニット21は、記憶ユニット22に記憶された前回の伝送における判定結果に基づいて、再度判定を行うか否かを選択し、前回の伝送においてデータを正しく受信すれば(例えば、新たなデータ、再送データ又は合成データを正しく受信したと判定すれば)、再度判定する必要がない。その他の場合は、再度判定を行い、2回目の再送データを正しく受信した場合、判定結果及び復調データで記憶ユニット22におけるデータを更新し、正しく受信しなかった場合、合成処理を行うよう合成ユニット23に通知し、正しく受信されなかったデータの復調データを合成ユニット23に提供する。
【0108】
合成ユニット23は、識別・復調ユニット21の通知に基づいて、記憶ユニット22における復調データ及び識別・復調ユニット21より現在提供された復調データを利用して合成処理を行う。具体的なプロセスは、1回目の再送プロセスに類似するため、ここでは重複する説明を省略する。
【0109】
復号符号化・変調ユニット24は、識別・復調ユニット21からの復調データ(正しく受信されたデータ又は合成データ)に対して復号化、再度符号化、変調を行い、基地局より送信されたデータのレプリカを形成して端末3に送信する。
【0110】
ステップ36に戻り、もし、現在の通信システムにおいて全増加的冗長方式(II型)のHARQを用いる場合、その処理フローは上記部分増加的冗長方式と大体同じであり、唯一の差異は、中継設備2が初回の伝送データのみに対して復号化を行うため、初回に伝送されたデータ(新たなデータ)を正しく受信したかを判定し、再送データに対しては判定しないが、中継設備2は合成後のデータに対しては判定を行うことである。よって、中継設備2における識別・復調ユニット21は、初回の伝送データに対してCRC判定を行い、正しく受信すると、判定結果及び復調データを記憶ユニット22に記憶し、その後の再送プロセスにおいて判定をせず、記憶された復調データを直接利用する。
【0111】
新たなデータを正しく受信しなかった場合、再送データ(例えば1回目の再送データ)を受信すると、識別・復調ユニット21は、再送データに対して判定を行わず、合成するよう合成ユニット23に通知する。
【0112】
合成ユニット23は、記憶ユニット22における新たなデータの復調データと1回目の再送データを利用して合成処理を行い、合成データを識別・復調ユニット21にフィードバックする。
【0113】
識別・復調ユニット21は、該合成データに対してCRC判定を行い、判定結果と合成データで、記憶ユニット22に記憶されたデータを更新する。そのうち、合成データを正しく受信したと判定すると、その後の再送プロセスにおいて判定を行わず、合成データ(1回目の合成データ)を正しく受信しなっかたとき、その後の再送プロセスにおいて、合成後のデータ(2回目の合成データ)に対してCRC判定を行う。
【0114】
注意すべきこととして、上記再送データは、基地局1から初回に伝送したデータパケットの全てのビットである可能性もあるし、該データパケットの一部ビットである可能性もある。
【0115】
また、識別・復調ユニット21は、毎回の再送データに対して判定を行い、正しく受信したと判定するデータ(ACK)の復調後のデータを全て記憶ユニット22に記憶し、合成ユニットにおいて何れかの正しく受信されたデータを選択して利用できるようにしてもいい。また、データを正しく受信したら、次回の再送プロセスにおいて判定を行わず、復調データを識別・復調ユニット21から復号符号化・変調ユニット24に直接伝送するか、又は、合成ユニットより統一して伝送してもよい。
【0116】
また、識別・復調ユニット21に利用されるチャネル推定値は、従来技術における任意のチャネル推定器より取得できる。本発明の中継設備2は、チャネル推定器(図示せず)を有してもよい。該チャネル推定器は、識別・復調ユニット21に接続され、チャネル推定値を該識別・復調ユニット21又は合成ユニット23に提供して復号符号化・変調ユニット24に送信する。
【0117】
また、該記憶ユニットは、さらにチャネル推定器から取得したチャネル推定値を記憶してもよい。
【0118】
また、上記中継設備の構成は、図3に示すもの限られない。そのうち、該識別・復調ユニットは、復調データを該合成ユニットを経由せずに、該記憶ユニットに記憶し、直接初回の伝送データの復調データに合成係数を乗じて記憶ユニットに記憶してもよい。具体的な合成の方式は、実施形態1の方式を参照することができる。
【0119】
以上より、実施形態2によれば、例えば初回にデータを正しく受信し、第二回にデータを正しく受信しなかった場合、両者を合成した後のデータを端末3に転送して、データが端末3で正しく受信されないことを回避でき、通信システムにおけるエンド・ツー・エンドのリンク信頼性を更に向上させることができる。
【0120】
理解すべきことは、実施形態1の端末3又は基地局1は、実施形態2における中継設備2の判定と合成の方式に基づいて、合成処理を行うか否かを選択できる。ここでは、重複する説明を省略する。
【0121】
まとめると、本発明によるHARQ方法、及びそれを用いた中継設備と通信システムによれば、中継側と端末側において合成を行うため、プロトコルスタックを変えないと同時に、通信システムのエンド・ツー・エンドのリンク信頼性を効果的に向上でき、システムのスループットを向上でき、システムの再送遅延を低下させることができる。
【0122】
以上は、本発明の望ましい実施形態に限らない。当業者には、本発明の発明原理を逸しない前提で各種の改良を行うことができ、これらの改良も本発明の保護範囲に属することは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明によるHARQ方法を用いた通信システムを示す。
【図2】本発明の実施形態1による時間分割方式の通信プロセスを示す。
【図3】本発明の実施形態1による中継設備の具体的な構成を示す。
【図4】本発明の実施形態1と従来のHARQ方法におけるブロック誤り率とSNRとの関係を示す。
【図5】本発明の実施形態1と従来のHARQ方法におけるスループットとSNRとの関係を示す。
【図6】本発明の実施形態1と従来のHARQ方法におけるブロック誤り率と最大許可再送回数との関係を示す。
【図7】本発明の実施形態2による中継設備の具体的な構成を示す。
【図8】本発明の実施形態2による時間分割方式の通信プロセスを示す。
【図9】本発明の実施形態2による、I型又はIII型を用いたHARQの場合、基地局から開始する通信を例とする通信プロセスを示す。
【符号の説明】
【0124】
1…基地局
2…中継設備
3…端末
21…該識別・復調ユニット
21…識別・復調ユニット
22…記憶ユニット
23…合成ユニット
24…変調ユニット
【出願人】 【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
【出願日】 平成19年7月4日(2007.7.4)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100117064
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 市太郎


【公開番号】 特開2008−17487(P2008−17487A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2007−176561(P2007−176561)