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【発明の名称】 パルス送信装置、パルス受信装置、パルス通信システム、およびパルス通信方法
【発明者】 【氏名】松尾 道明

【氏名】浅野 仁

【氏名】青柳 英毅

【氏名】高橋 和晃

【氏名】エン ユー スー

【要約】 【課題】UWBに代表されるような高速パルス伝送においても、比較的簡易な方法でマルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を回避して受信品質を改善すること。

【構成】パルス調整部110は、送信データに応じてパルスを生成し、不使用区間設定部120は、マルチパスにより発生する遅延波が主波に遅れて通信相手へ到着するまでの遅延時間に基づいて、パルス調整部110によって生成されたパルスを送信しない不使用区間を設定する。パルス位置調整部130は、不使用区間では、パルスが送信されないようにパルス位置を調整する。RF送信部140は、前記パルス位置調整手段によりパルス位置が調整されたパルスを無線周波数帯へ変換して、変換後のパルス無線信号を通信相手へ送信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信データに応じてパルスを生成するパルス生成手段と、
遅延波が主波に遅れて通信相手へ到着するまでの遅延時間を取得する取得手段と、
前記遅延時間に基づいて、前記パルスを送信しない不使用区間を設定する不使用区間設定手段と、
前記不使用区間では、前記パルスが送信されないよう前記パルスのパルス位置を調整するパルス位置調整手段と、
前記パルス位置調整手段により前記パルス位置が調整された前記パルスを無線周波数帯へ変換したパルス信号を送信する無線送信手段と、
を具備するパルス送信装置。
【請求項2】
前記不使用区間設定手段は、
オンパルス信号を送信するシンボル区間の直後に、前記不使用区間を設定する
請求項1に記載のパルス送信装置。
【請求項3】
前記不使用区間設定手段は、
連続したシンボル区間で前記オンパルス信号が送信される場合に、当該シンボル区間の間に、前記不使用区間を設定する
請求項1に記載のパルス送信装置。
【請求項4】
連続したシンボル区間に割り当てられる送信データのビット遷移から差動フラグを生成する差動フラグ生成手段、をさらに具備し、
前記不使用区間設定手段は、前記差動フラグを用いて、連続したシンボル区間で前記オンパルス信号が送信されるか否かを判定する
請求項3に記載のパルス送信装置。
【請求項5】
前記パルス生成手段は、
シンボル区間を複数に等分割した区間長をパルス占有区間とするパルスを生成し、
前記不使用区間設定部は、
前記パルス占有区間の区間長に等しい不使用区間を設定する
請求項1に記載のパルス送信装置。
【請求項6】
前記パルス位置調整手段は、
同一のシンボル区間内で、前記パルス占有区間の単位で、前記パルス位置を調整する
請求項5に記載のパルス送信装置。
【請求項7】
前記パルス生成手段は、
シンボル区間をパルス占有区間とするパルスを生成し、
前記不使用区間設定部は、
シンボル区間に等しい区間長の前記不使用区間をシンボル区間の間に挿入し、
前記パルス位置調整手段は、
前記パルス位置をシンボル区間の単位で調整する
請求項1に記載のパルス送信装置。
【請求項8】
通信相手から送信されるパルス信号を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記パルス信号に対し、前記パルス信号が割り当てられるパルス占有区間の時間間隔でサンプリングして、パルスの有無を検出するパルス検出手段と、
前記パルス検出手段により検出されたパルス検出結果のうち、主波に遅れて遅延波が自装置に到着するまでの遅延時間と重なる前記パルス占有区間の前記パルス検出結果を、パルス無しに補正する補正手段と、
前記補正手段により補正されたパルス検出結果から復調データを取得する復調手段と、
を具備するパルス受信装置。
【請求項9】
送信データに応じてパルスを生成するパルス生成手段と、
遅延波が主波に遅れて通信相手へ到着するまでの遅延時間を取得する取得手段と、
前記遅延時間に基づいて、前記パルスを送信しない不使用区間を設定する不使用区間設定手段と、
前記不使用区間では、前記パルスが送信されないよう前記パルスのパルス位置を調整するパルス位置調整手段と、
前記パルス位置調整手段により前記パルス位置が調整された前記パルスを無線周波数帯へ変換したパルス信号を送信する無線送信手段と、
を有するパルス送信装置と、
前記パルス信号を受信する受信手段と、
主波となるオンパルス信号を受信してから、当該オンパルス信号の遅延波を受信するまでの時間を前記遅延時間として測定する測定手段と、
受信後の前記パルス信号に対し、前記パルス信号が割り当てられるパルス占有区間の時間間隔でサンプリングして、パルスの有無を検出するパルス検出手段と、
前記パルス検出手段により検出された検出結果のうち、前記遅延時間と重なる前記パルス占有区間の前記検出結果を、パルス無しに補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された検出結果から復調データを取得する復調手段と、
を有するパルス受信装置と、
を具備するパルス通信システム。
【請求項10】
送信データに応じてパルスを生成するステップと、
遅延波が主波に遅れて通信相手へ到着するまでの遅延時間を取得するステップと、
前記遅延時間に基づいて、前記パルスを送信しない不使用区間を設定するステップと、
前記不使用区間では、前記パルスが送信されないよう前記パルスのパルス位置を調整するステップと、
前記パルス位置が調整された前記パルスを無線周波数帯へ変換したパルス信号を送信するステップと、
を有するパルス通信方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高速パルス伝送が適用されるパルス送信装置、パルス受信装置、パルス通信システム、およびパルス通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話端末やオーディオビジュアル機器、パーソナルコンピュータ及びその周辺機器といった機器を相互に接続し、マルチメディア情報等のデータをやり取りするアプリケーションが容望されており、例えばオーディオ機器で録音した音楽データをパーソナルコンピュータで管理する、あるいはビジュアル機器で録画した映像データを携帯電話端末に転送して外出先で視聴するといった用途が考えられている。この様な要望を実現する手段として、各機器間をケーブルで接続してネットワークを構築することが考えられる。しかしながら、有線ネットワークの構築は、結線の作業が煩雑であり機器の配置にも制約が生じるなどユーザへの利便性の点で課題がある。このため、より利便性を高める手段として無線によるネットワークが注目されており、IEEE802.11bに代表される無線LANやブルートゥースに代表される無線PAN(パーソナルエリアネットワーク)に関する技術の実用化が進んできている。
【0003】
この様な背景の中、より高速のデータ通信を安価に提供する技術として、広い周波数帯域を用いてパルス状の変調信号を伝送するUWB(Ultra Wide Band)と呼ばれる通信方式が注目されている。このUWBは、既存の無線システムに干渉を与えない程度まで送信電力を小さくすることで、極めて広い周波数帯域を利用可能として大容量の通信路を得るものであり、わずかな電力できわめて高いデータ送信レートを実現できるという利点がある。このUWBによる無線伝送には、スペクトラム成分が広帯域にわたるパルス状の信号を無線周波数に変換して送信するという技術を用いているものがある。
【0004】
パルス状信号の無線伝送においては、送信装置から送信された信号電波が受信装置との間に存在する障害物や壁などによって反射や回折を生じ、受信装置において複数の経路から同じ信号電波を受信してしまうという現象が起こることがある。このような伝搬環境は、マルチパスと称されている。このマルチパスの環境では、受信装置に最初に到達する信号電波(以下「主波」と称する)から遅延して信号電波(以下「遅延波」と称する)が受信端末に到達し、主波と干渉して受信品質を劣化させることが問題となる。
【0005】
パルス変調方式としてオン・オフ・キーイング(OOK:On Off Keying)変調を用いた場合を例に、遅延波による受信品質劣化について図17を用いて説明する。オン・オフ・キーイング変調では、図17の送信信号に示したように、オンパルス信号の有無によって「1」または「0」のディジタル信号を伝送する。受信側ではシンボル周期内のオンパルス信号の有無を検波して復調する。
【0006】
ここで、マルチパスなどによって一定時間後に1つの遅延波を生じる伝搬環境を仮定すると、データが「1」であることを示すオンパルス信号(電圧値がゼロでないパルス信号)を送信する度に遅延波が生じ、受信側では、遅延波を含む信号が受信されることとなる。振幅レベルが大きい遅延波が他のシンボル周期内に生じるような場合には、当該シンボル周期でデータが「0」であることを示すオフパルス信号(電圧値がゼロのパルス信号)が伝送されている場合においても遅延波を検波して、「0」を「1」と誤って判定してしまう可能性がある。例えば、送信パルス信号S10が送信された場合に、受信装置へは送信パルス信号S10の主波S20と、送信パルス信号S10の遅延波S21とが到着し、実際には、遅延波S21が受信されたタイミングでは送信側の送信データは「0」であるのでオンパルス信号を送信していないにも関わらず、遅延波S21が検波され、このシンボル周期内における判定値が「1」と誤って判定されてしまうことになる。このように「0」が「1」と判定される誤りは警報誤りと呼ばれ、受信品質を劣化させる。
【0007】
このようなマルチパスによって生じる受信品質の劣化を改善する技術として、データを時間的に一部重複させたガードインターバルを設け送信するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex:直交周波数分割多重)方式や、遅延波が重畳した受信信号から逆拡散処理によって希望信号を分離し、主波と遅延波の位相差を補正して合成し受信信号強度を高めるRAKE受信といった技術が一般に知られており、携帯電話などで実用化されている。
【0008】
また、特許文献1には、上述した一般技術とは異なる遅延波対策技術が開示されている。特許文献1に開示される技術は、パルス位置変調において、複数の遅延波が受信側に到来することによってパルス幅が拡がり、位置判定が困難となり、受信品質が劣化するという技術課題を解決する。図18を用いて特許文献1に開示された技術について説明する。図18(a)は2ビットの各シンボルデータに対する送信パルス位置変調(PPM:Pulse Position Modulation)信号S30および受信信号S31〜S34を示した図である。シンボル周期内には4つのタイムスロットが設けられており、送信PPM信号S30はどれか1つの時間位置のみにオンパルス信号を配置することでシンボルを表現している。受信側では、受信信号S31を受信するとともに、異なる伝搬経路を介して遅れて到来する受信信号S32およびS33をも同時に受信する。よって、実際にはこれらの重ね合わせによる受信信号S34が受信されることになる。受信信号S34は、送信PPM信号S30よりもパルス幅が拡がってしまうことから、復調時にオンパルス信号が配置された位置を判定することが困難となり、1ビット乃至2ビットの誤りを生じる可能性がある。
【0009】
このような課題を解決するために、特許文献1に開示される技術では、図18(b)に示すような送信PPM信号S30に対し、図18(b)の点線の楕円枠に示されるようにシンボル「11」とシンボル「00」とが続いて、2つのパルスの配置位置が接してしまう箇所に対し、このパルス幅をあらかじめ半分に狭める処理が施されて、送信信号S40が生成される。そして、受信側へは、マルチパスの影響を受けて図18(c)に示す受信信号S41が到着する。受信信号S41は、上述した受信信号S34と同じように、遅延波によってパルス幅が後ろにおよそ1タイムスロット分だけ拡大している。そこで、特許文献1に開示される技術では、この受信信号S41に対し、時間軸上で後ろに拡がったパルスの幅を戻す処理が施され、回復信号S42が生成される。さらに、回復信号S42の連続するシンボルのうち先のシンボル周期内の最後部のタイムスロットにオンパルス信号が配置され、後のシンボル周期内にはオンパルス信号がどこにも配置されていないような場合には、先のシンボル周期内の最後部のタイムスロットに配置されたオンパルス信号の幅が、後のシンボルの先頭のタイムスロットまで拡大される。このようにすることで、図18(c)の点線の楕円枠に示されるように送信側で施された前処理が復元され、この結果、パルス信号S43が復調信号として取得される。
【0010】
以上のように、特許文献1に開示される技術では、遅延波による受信パルス幅の拡大をあらかじめ考慮して加工した信号を送信し、受信側で加工を復元する処理を施すことによって、マルチパスの影響により遅延波が生じる場合でも、遅延波による復調誤りを防止して受信品質の改善を図っている。
【特許文献1】特開2004−229288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、マルチパス対策の一般的な技術として知られているOFDM方式やRAKE受信では、改善効果は大きいものの高度な信号処理を必要とし、回路規模の増大や消費電力の増加を招いてしまうという課題がある。特に、UWBへの適用を考慮すると、これら技術はUWBの利点である低電力性や低コストによる実現性を損なうことから、より簡易にマルチパス対策を実現することが可能な方法が求められる。
【0012】
また、特許文献1に開示される送受信装置や送受信方法では、シンボル周期に対して遅延時間が短い場合には有効であるが、数シンボル周期だけ離れたシンボルに対して遅延波が干渉するような場合に対応が困難となって、UWBに代表されるような高速パルス伝送では効果を得ることが難しいと思われる。さらに、特許文献1に開示される技術は、パルス位置変調方式に対する遅延波対策となっており、より簡単に実装可能なオン・オフ・キーイング変調方式に対しては、この技術をそのまま利用することができない。
【0013】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、UWBに代表されるような高速パルス伝送においても、比較的簡易な方法でマルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を回避して受信品質を改善することができるパルス送信装置、パルス受信装置、パルス通信システム、およびパルス通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を解決するため、本発明のパルス送信装置は、送信データに応じてパルスを生成するパルス生成手段と、遅延波が主波に遅れて通信相手へ到着するまでの遅延時間を取得する取得手段と、前記遅延時間に基づいて、前記パルスを送信しない不使用区間を設定する不使用区間設定手段と、前記不使用区間では、前記パルスが送信されないよう前記パルスのパルス位置を調整するパルス位置調整手段と、前記パルス位置調整手段により前記パルス位置が調整された前記パルスを無線周波数帯へ変換したパルス信号を送信する無線送信手段と、を具備する構成を採る。
【0015】
この構成によれば、マルチパスにより電力値がゼロでないオンパルス信号の遅延波が発生する場合において、オンパルス信号の遅延波が通信相手に到着するタイミングに後続のパルスが到着しないように不使用区間を設定することによって、オンパルス信号の遅延波と後続のパルスが通信相手に重なって到着するのを回避することができ、マルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、UWBに代表されるような高速パルス伝送においても、比較的簡易な方法でマルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を回避して受信品質を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態に係るパルス送信装置の要部構成を示す。図1に示すパルス送信装置100は、パルス変調部110と、不使用区間設定部120と、パルス位置調整部130と、RF送信部140とを備えている。
【0019】
パルス変調部110は、送信データに応じて、電圧値がゼロのパルス(以下「オフパルス信号」という)または電圧値がゼロでないパルス(以下「オンパルス信号」という)のいずれかを生成する。以下では、パルス変調部110は、送信データが「1」のときにオンパルス信号を生成し、送信データが「0」のときにはオフパルス信号を生成するOOK変調を行う場合について説明する。送信データは、テキスト、映像、画像、音声などのいずれかのデータ、またはこれらの組合せでアプリケーションに依存する。なお、OOK変調は、送信データが「0」のときにオンパルス信号を生成し、送信データが「1」のときにオフパルス信号を生成するようにしてもよく、オン/オフパルス信号と送信データとの割り当て方法が送受信間で共有されていれば良い。
【0020】
不使用区間設定部120は、送信データに応じて、パルスを発生させない不使用区間Tbを挿入する。図2に、送信データのシンボル区間(「シンボル周期」ともいう)Tsと不使用区間Tbとの関係を示す。具体的には、不使用区間設定部120は、送信データが「1」のときにのみ、当該送信データのシンボル区間Ts経過直後に不使用区間Tbを設定する。後述するようにパルス位置調整部130によって、不使用区間Tbではパルスが送信されないようにパルス位置が調整されるため、図2に示すように、送信データが「0」のときに割り当てられる時間長Tfに比べ、送信データが「1」のときに割り当てられる時間長Tf’が長くなる。このとき、時間長Tf’、つまり、所定のシンボル区間Tsと不使用区間Tbとの合計時間が、マルチパスの平均遅延時間Dよりも大きいかまたは同じ値になるように不使用区間Tbを設定する。この結果、受信側へ遅延波がオンパルス信号またはオフパルス信号の主波と重ならずに到着するようになって、パルス間干渉の影響を回避することができるようになる。不使用区間設定部120は、設定した不使用区間Tbを内部に記憶するとともに、パルス位置調整部130へ出力する。なお、平均遅延時間Dの取得方法については、後述する。
【0021】
パルス位置調整部130は、不使用区間設定部120に記憶される不使用区間Tbに応じて、i番目(iは自然数)のパルスのシンボル開始位置を調整する。具体的には、(i−1)番目の送信データが「1」で、不使用区間設定部120によって不使用区間Tbが設定されている場合には、パルス位置調整部130は、(i−1)番目のパルスのシンボル開始位置からシンボル区間Tsおよび不使用区間Tbが経過した時点が、i番目のパルスのシンボル開始位置となるようパルス位置を調整する。また、(i−1)番目の送信データが「0」で、不使用区間設定部120によって不使用区間Tbが設定されなかった場合には、パルス位置調整部130は、(i−1)番目のパルスのシンボル開始位置からシンボル区間Tsが経過した時点が、i番目のパルスのシンボル開始位置となるようにパルス位置を調整する。つまり、パルス位置調整部130は、不使用区間Tbではオンパルス信号およびオフパルス信号のいずれもが送信されないようにパルス位置を調整する。パルス位置調整部130は、パルス位置を調整したパルスをRF送信部140へ出力する。
【0022】
RF送信部140は、パルス位置調整部130から出力されたパルスがオンパルス信号の場合に、当該オンパルス信号に対し所定の無線送信処理を施し、パルス無線変調信号を生成する。具体的には、局部発振信号を用いてアップコンバートしたり、または無線周波数信号を発振する発振器をオン/オフしたりなどして、パルス無線変調信号を生成する。RF送信部140は、パルス無線変調信号を適当な送信電力に増幅してアンテナを介して空間に送信する。
【0023】
図3に本発明に係るパルス受信装置200の要部構成を示す。図3に示すパルス受信装置200は、RF受信部210と、パルス判定部220と、復調部230とを備えている。パルス判定部220は、パルス検出部221と、パルス検出値記憶部222と、パルス検出値補正部223とから構成される。
【0024】
RF受信部210は、アンテナを介して受信したパルス無線変調信号に対し所定の無線受信処理(ダウンコンバート、増幅処理、帯域制限処理等)を施し、ベースバンド信号へ変換する。パルス無線変調信号はOOK変調信号であるため、ベースバンド信号への周波数変換には、比較的回路構成が簡易なダイオード検波器による包絡線検波を用いることができる。
【0025】
パルス検出部221は、RF受信部210から出力されるベースバンド信号を、シンボル区間Tsの1/M(Mは整数)の時間間隔でサンプリングし、オンパルス信号の有無を検出する。オンパルス信号の有無の検出には、例えば、比較器による閾値判定が用いられる。
【0026】
パルス検出値記憶部222は、例えば、シフトレジスタやメモリなどから構成されて、パルス検出部221から出力されるパルス検出結果を所定の時間分だけ記憶し、また、参照できるような構成を採る。パルス検出結果を記憶する時間長は、少なくとも主波と当該主波に対する遅延波とが受信側に到着するまでの時間差、つまり、遅延時間以上とする。
【0027】
パルス検出値補正部223は、パルス検出値記憶部222に記憶されたパルス検出結果が「1」でオンパルス信号が検出された場合に、当該オンパルス信号に対応する不使用区間Tb内のパルス検出結果を調べ、当該不使用区間Tb内のパルス検出結果が「1」のとき、当該パルス検出結果を「0」に補正する。パルス送信装置100の不使用区間設定部120では、送信データが「1」のときにのみ、当該送信データのシンボル区間Ts経過直後に不使用区間Tbが設定され、パルス位置調整部130では、不使用区間Tbではオンパルス信号およびオフパルス信号がともに送信されないようにパルス位置が調整される。したがって、パルス検出値補正部223において、パルス検出値記憶部222に記憶されたパルス検出結果が「1」の場合には、本来当該オンパルス信号に対応する不使用区間Tb内にはパルスが送信されていないはずであるから、当該不使用区間Tb内のパルス判定結果は「0」となるところ、雑音等の影響を受けて、当該不使用区間Tb内にパルス有りと誤ってパルス検出された場合には、上述したように当該パルス検出結果を「0」に補正することで、雑音の影響により誤ってパルス検出された結果を正しく訂正することができるようになる。
【0028】
復調部230は、パルス検出値補正部223によって補正が施されたパルス検出結果から、シンボル区間内の検出結果を抽出し、送信データを復調する。
【0029】
上述したように、本実施の形態では、所定のシンボル区間Tsと不使用区間Tbとの合計時間が、マルチパスの平均遅延時間Dよりも大きいかまたは同じ値になるように不使用区間Tbを設定することで、受信側へ遅延波が主波と重ならずに到着させるようにして、パルス間干渉の影響を回避するようにしている。したがって、不使用区間Tbの設定に際し、マルチパスの平均遅延時間Dに関する情報が必要となるため、送受信間でこの平均値遅延時間Dに関する情報を共有しておく必要がある。
【0030】
マルチパスの平均遅延時間Dは、例えば、以下のように取得する。図4は、パルス送信装置100から、単一のオンパルス信号S100が送信され、伝搬経路を経由して、パルス受信装置200に到着した場合の波形のタイミング図を示している。オンパルス信号S100は、伝搬遅延時間t1経過後に、パルス受信装置200に主波S110として到着するとともに、壁などの障害物に反射して、伝搬遅延時間t2経過後に、パルス受信装置200に遅延波S120として到着する。パルス受信装置200は、これら主波S110および遅延波S120を受信し、これら受信信号をシンボルレート以上の周波数でサンプリングしてパルス検出し、パルス検出されたサンプル間のサンプル点の標本化周波数から、主波S110と遅延波S120との遅延時間を算出する。このようにして、取得された遅延時間に関する情報を、パルス受信装置200は内部に保持する送信機能を用いて、パルス送信装置100へ通知する。遅延時間は、不使用区間Tbの設定の際に必要となるため、伝送レートを低くしたり、より大きな送信電力で送信したり、より大きな信号対雑音比が得られるような変調方法によって送信したりなどして、確実にパルス送信装置100へ通知されるようにする。
【0031】
なお、実際の伝搬環境では、障害物は複数でかつ複雑な形状をしているため、3つ以上の伝搬経路が存在し、遅延波が複数生じることがあるが、複数の遅延波が生じるような場合も、同様に、各遅延波の遅延時間を把握することができ、得られた遅延時間に関する情報をパルス送信装置100へ確実に通知することで、不使用区間Tbとして最適な値を設定することができるようになる。ただし、遅延波の数が多くなると、演算量が多くなるため、遅延波の受信レベルと所定の閾値とを比較し、閾値より大きい遅延波に対してのみ遅延時間を算出するようにすればよく、すべての遅延波に対し遅延時間の演算を行う必要はない。
【0032】
次いで、上記のように構成されたパルス送信装置100および受信装置200の動作について、図5および図6のフロー図を用いながら説明する。
【0033】
始めに、パルス変調部110によって、送信データに基づいてオン・オフ・キーイング(OOK)変調方式によるパルス変調信号が生成される。OOK変調方式は変調度100%の振幅シフトキーイング(ASK:Amplitude Shift Keying)変調方式であり、オンパルス信号の有無によって「1」または「0」のディジタル信号を伝送する方式である。つまり、送信データが「1」か否かの判定がされ(ST110)、送信データが「1」のとき、パルス変調部110によってオンパルス信号が生成される(ST120)。
【0034】
不使用区間設定部120では、送信データに応じてパルスを発生させない区間、つまり、不使用区間Tbが設定される。具体的には、不使用区間設定部120によって、送信データが「1」のとき、つまり、オンパルス信号が割り当てられる場合に、所定のシンボル区間Ts経過直後に不使用区間Tbが設定される。このとき、所定のシンボル区間Tsと不使用区間Tbとの合計時間が、マルチパスの平均遅延時間Dよりも大きいかまたは同じ値になるように不使用区間Tbが設定されるようにする。この結果、受信側へ遅延波が主波と重ならずに到着するようになって、パルス間干渉の影響を回避することができるようになる。このようにして設定された不使用使用区間Tbは、不使用区間設定部120に記憶される。
【0035】
不使用区間設定部120に記憶された不使用区間Tbに関する情報に基づいて、パルス位置調整部130によって、i番目のパルスのシンボル開始位置が調整される。具体的には、(i−1)番目の送信データが「1」で、不使用区間設定部120によって不使用区間Tbが設定されている場合には(ST130:YES)、(i−1)番目のパルスのシンボル開始位置から所定のシンボル区間Tsおよび不使用区間Tbが経過した時点が、i番目のパルスのシンボル開始位置としてパルス位置が調整される(ST140)。一方、(i−1)番目の送信データが「0」で、不使用区間設定部120によって不使用区間Tbが設定されていない場合には(ST130:No)、(i−1)番目のパルスのシンボル開始位置から所定のシンボル区間Tsが経過した時点が、i番目のパルスのシンボル開始位置とされる。そして、i番目のパルスがオンパルス信号の場合、RF送信部140によって無線送信処理が施されて、パルス無線変調信号が送信される(ST150)。
【0036】
そして、実際に送信されたパルス無線変調信号の送信開始タイミングに対応する不使用区間Tbが不使用区間設定部120に記憶される(ST160)。この不使用区間設定部120に記憶された不使用区間Tbは、(i+1)番目のパルスの開始タイミングを決定することになる。
【0037】
そして、上述した手順ST110〜ST160が繰り返され、必要に応じてパルス位置が調整され、パルス無線変調信号が通信相手のパルス受信装置200へ送信される。
【0038】
パルス送信装置100から送信されたパルス無線変調信号は、マルチパス伝搬路を経由し、パルス受信装置200に到達する。
【0039】
アンテナを介して受信されたパルス無線変調信号は、RF受信部210によって、所定の無線受信処理が施されベースバンド信号に変換される。
【0040】
そして、パルス検出部221によって、ベースバンド信号がサンプリングされ(ST210)、閾値判定によりオンパルス信号の有無が検出される(ST220)。そして、パルス検出値補正部223によって、パルス検出結果が「1」か否か時系列順に調べられ(ST230)、オンパルス信号有りと検出されパルス検出結果が「1」の場合に、「1」と検出された時刻が不使用区間Tb内か否か判定される(ST240)。そして、「1」と検出された時刻が不使用区間Tb内の場合にのみ、当該パルス検出結果が「0」に補正される(ST250)。すなわち、送信側では、シンボル区間Ts内にオンパルス信号を発生させた場合に、シンボル区間Tsに連続して不使用区間Tbを設け、不使用区間Tb内ではパルスを発生させないようにしたので、遅延波を受信し不使用区間Tb内にオンパルス信号有りと誤って検出された場合にも、受信側でパルス検出結果を正しい値に補正することができ、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【0041】
そして、パルス検出値補正部223によって補正が施されたパルス検出結果から、復調部230によって、シンボル区間Ts内のパルス検出結果が抽出され(ST270)、送信データが復調される。具体的には、シンボル区間Ts内のパルス検出結果がすべて「0」の場合は、復調データとして「0」が取得される(ST281)。一方、シンボル区間Ts内の検出結果に「1」が含まれる場合には、復調データとして「1」が取得される(ST280)。
【0042】
そして、復調データとして「1」が取得されたシンボル区間Tsに対する不使用区間Tbが、パルス検出値補正部223に記憶される。
【0043】
なお、図7に、本実施の形態に係るパルス送信装置100によって送信された主波および遅延波が、受信側に到着するタイミング図を示す。図7は、不使用区間Tbの値として、所定のシンボル区間Tsと不使用区間Tbとの合計時間がマルチパルの平均遅延時間Dよりも大きくなるような値に設定した場合の例で、遅延波が主波と重ならずに受信側に到着し、パルス間干渉の影響を回避できることがわかる。一方、不使用区間Tbを設けない場合には、図8に示すように遅延波と主波とが通信相手に重なって到着し、パルス間干渉が生じてしまう。
【0044】
以上のように、本実施の形態によれば、マルチパスによって主波に遅れて到着する遅延波の遅延時間を考慮して、オンパルス信号を送信した直後にパルスを送信しない不使用区間Tbを設けるようにしたので、主波と遅延波とが受信側に同時に到着することによって生じるパルス間干渉を確実に回避することができ、この結果、マルチパス環境下においても受信品質の劣化を防止することができるようになる。
【0045】
なお、上述した例では、不使用区間設定部120は、送信データが「1」でオンパルス信号が生成される場合にシンボル区間Tsの後に不使用区間Tbを必ず設けるようにしたが、送信データが「1」から「1」へ遷移する場合、つまり、連続したシンボル区間Tsでオンパルス信号が生成される場合にのみ、当該シンボル区間Tsの間に不使用区間Tbを挿入するようにしてもよい。この場合のパルス送信装置100の要部構成を図9に示す。図1に対し、図9に示すパルス送信装置100は、差動フラグ生成部150を追加した構成を採る。
【0046】
差動フラグ生成部150は、送信データの遷移に応じて差動フラグを生成し、不使用区間設定部120へ出力する。具体的には、差動フラグ生成部150は、送信データに「1」が連続する場合には、差動フラグとして「1」を生成し、それ以外の場合には、差動フラグとして「0」を生成し、不使用区間設定部120へ出力する。なお、図9には図示していないが、差動フラグはRF送信部140によって送信され、通信相手へ通知される。
【0047】
不使用区間設定部120は、差動フラグに応じて、不使用区間Tbを設定する。具体的には、差動フラグが「1」の場合にのみ、つまり、送信データに「1」が連続する場合にのみ、不使用区間Tbを設定する。すなわち、連続したシンボル区間Tsでオンパルス信号が生成される場合にのみ、当該シンボル区間Tsの間に不使用区間Tbが設けられることになる。図10に、送信データのビット遷移、差動フラグFdiff、不使用区間Tb、および時間長Tfとの関係を示す。また、図11に、主波および遅延波が受信側に到着するタイミング図を示す。図11からわかるように、送信データに「1」が連続し、オンパルス信号が連続して生成される場合に、当該オンパルス信号の間に不使用区間Tbを設けたことにより、送信データが「1」の場合に対応して生成されたオンパルス信号の主波と遅延波とによって生じるパルス間干渉を回避することができる。また、送信データに「1」が連続し、オンパルス信号が連続して送信される場合にのみ不使用区間Tbを設けるようにしたので、図7に示すように送信データが「1」の場合に必ず不使用区間Tbを設ける場合に比べ、パルスを送信することができない時間領域を減らすことができ、この結果、不使用区間Tbを設けたことによって生じるデータスループットの低減を最小限に抑えることができるようになる。
【0048】
なお、図12は、差動フラグが「1」の場合にのみ不使用区間Tbが挿入されて送信されるパルス無線変調信号を受信するパルス受信装置200の要部構成を示すブロック図である。図12は、図3に対し、パルス判定部220を削除し、パルス判定部240を追加した構成を採る。図12に示すパルス判定部240は、テンプレート信号生成部241と、相関器242と、比較部243とを備えている。
【0049】
テンプレート信号生成部241は、RF受信部210によって無線受信処理が施された受信信号との相関演算を行うためのパルステンプレート信号を生成し、相関器242へ出力する。
【0050】
相関器242は、パルス送信装置100から通知される差動フラグFdiffの値に基づいて、各ビットの可変ビット時間長Tfに関する情報を取得し、各ビットの相関処理の開始位置を決定し、さらに、テンプレート信号生成部241から出力されるテンプレート信号と受信信号との相関演算を行って、ベースバンド信号を取得する。なお、相関器242はフィルタを含んでいて、当該フィルタは乗算機能、積分機能、信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)を最適化する役目をする。
【0051】
比較部243は、ベースバンド信号を所定の閾値とを比較し、閾値より大きい結果に対応するベースバンド信号を復調部230へ出力する。
【0052】
復調部230は、比較部243から出力されたベースバンド信号に基づいて、「0」「1」判定を行って、送信データを取得する。
【0053】
このようにして、送信データが「1」から「1」へビット遷移し、連続するシンボル区間Tsでオンパルス信号が生成される場合にのみ、当該シンボル区間Tsの間に不使用区間Tbを設けるようにしたので、パルスが送信できない区間を最小にして、データスループットの低減を最小限にしつつ、パルス間干渉の影響を回避することができる。
【0054】
(実施の形態2)
実施の形態1においては、オンパルス信号が生成されたシンボル区間Tsの直後に遅延時間に相当する時間だけ不使用区間Tbを設け、不使用区間Tbではパルスを送信しないようにパルス位置を調整して、受信側に主波と遅延波とが重なって到着しないようにした。しかし、シンボル区間Tsが数ナノ秒の場合には、マルチパスの平均遅延時間Dがシンボル区間Tsに比べ非常に長くなるため、オンパルス信号が生成されたシンボル区間Tsの直後から遅延時間に相当する時間だけ不使用区間Tbを設けると、パルスを送信することができない時間領域が増え、データのスループットが低下する。このため、本実施の形態では、遅延波が受信側に到達する時間領域のみを不使用区間Tbに設定する。
【0055】
本発明の実施の形態に係るパルス送信装置およびパルス受信装置の要部構成は、実施の形態1(図1,図3)と同じであるため、その説明を省略する。ただし、本実施の形態に係るパルス送信装置においては、不使用区間設定部120における不使用区間Tbの設定方法、およびパルス位置調整部130におけるパルス位置調整方法が、実施の形態1とは異なっている。
【0056】
なお、パルス送信装置100へは、通信相手のパルス受信装置200へ到着する主波と遅延波との遅延時間に関する情報が、実施の形態1と同様に予めパルス受信装置200へ通知されているものとする。また、本実施の形態に係るパルス送信装置100では、シンボル区間Tsを3つのタイムスロット(Ts1,Ts2,Ts3)に区切り、シンボル区間Ts内のタイムスロットTs1〜Ts3のいずれか一つが選択されて、選択されたタイムスロットのタイミングでパルスが送信される。Ts1〜Ts3の各時間幅ΔTは、パルスの時間幅と同程度かそれよりも長い時間幅が確保されている。
【0057】
不使用区間設定部120は、オンパルス信号を送信する開始タイミングから遅延時間だけ経過したタイミングに不使用区間Tbを設け、不使用区間Tbの開始タイミングを記憶する。
【0058】
パルス位置調整部130は、不使用区間設定部120に記憶された不使用区間Tbではパルスが送信されないように、パルス信号の送信タイミングを調整する。
【0059】
次いで、上記のように構成されたパルス送信装置100および受信装置200の動作について、図面を用いながら具体的に説明する。なお、以下では、図13に示すように、送信側から送信された送信データ「1」に対するパルス無線変調信号が、最短の伝搬路を経由して主波S200として受信側に到着し、さらに、主波S200からシンボル区間Tsの2.75倍だけ遅れて、他の伝搬路を経由して遅延波S210として受信側に到着する場合を想定して説明する。
【0060】
図14は、送信データとパルス無線変調信号とのタイミング関係を示している。まず、最初の送信データ「1」に対応して、パルス変調部110によって、オンパルス信号S300が生成され、任意のタイムスロットTs1〜Ts3に配置される。図14では、タイムスロットTs1にオンパルス信号S300が配置された様子を示している。
【0061】
オンパルス信号S300の開始位置に基づいて、不使用区間設定部120によって、オンパルス信号S300の開始位置から2.75Ts経過後に不使用区間Tbが設定される。2.75Tsは、遅延時間に相当する時間である。図14において、P(Protect)300が、オンパルス信号S300に対応して設定された不使用区間Tbを示す。設定された不使用区間Tb(P300)は、不使用区間設定部120に記憶される。なお、続く送信データ「0」「0」に対しては、パルス調整部110によってオンパルス信号が生成されないため、不使用区間設定部120によって不使用区間Tbは設定されない。
【0062】
続く送信データ「1」に対しては、パルス調整部110によってオンパルス信号S310が生成される。このとき、パルス位置調整部130によって、不使用区間設定部120に記憶された不使用区間Tbではオンパルス信号S310が送信されないように、パルス信号の送信タイミングが調整される。つまり、オンパルス信号S310のシンボル区間Ts内に不使用区間Tbが設定されている場合には、パルス位置調整部130は、この不使用区間Tbを避けるようにして、オンパルス信号S310を配置する。図14に示す例では、送信データ「1」のシンボル区間Ts内には不使用区間Tbが設定されていないので、タイムスロットTs1〜Ts3の任意の位置が選択されて、オンパルス信号S310が配置される。同じタイムスロットを多用してパルス無線変調信号を送信すると、パルスの繰り返し周期に起因したスペクトラム成分が強く生じることを配慮して、図14では、前回オンパルス信号S300を配置したタイムスロットTs1とは異なるタイムスロット(Ts2)にオンパルス信号S310が配置された様子を示している。
【0063】
そして、オンパルス信号S300と同様に、オンパルス信号S310の開始位置に基づいて、不使用区間設定部120によって、オンパルス信号S310の開始位置から2.75Ts経過後に不使用区間Tbが設定される。図14において、P310が、オンパルス信号S310に対応して設定された不使用区間Tbを示す。設定された不使用区間Tb(P310)は、不使用区間設定部120に記憶される。
【0064】
続く送信データ「1」に対しては、パルス調整部110によってオンパルス信号S320が生成される。オンパルス信号S310と同様に、送信データ「1」のシンボル区間Ts内に不使用区間Tbが設定されていないので、タイムスロットTs1〜Ts3の任意の位置が選択されて、オンパルス信号S320が配置される。図14では、同じタイムスロット位置を多用してパルス無線変調信号を送信すると、パルスの繰り返し周期に起因したスペクトラム成分が強く生じることを配慮して、オンパルス信号S300,S310を配置したタイムスロットTs1,Ts2とは異なる位置(Ts3)に分散配置された様子を示している。
【0065】
そして、オンパルス信号S300,S310と同様に、オンパルス信号S320の開始位置に基づいて、不使用区間設定部120によって、オンパルス信号S320の開始位置から2.75Ts経過後に不使用区間Tbが設定される。図4において、P320が、オンパルス信号S320に対応して設定された不使用区間Tbを示す。設定された不使用区間Tb(P320)は、不使用区間設定部120に記憶される。
【0066】
続く送信データ「0」に対しては、オンパルス信号が生成されず、続く送信データ「1」に対し、パルス調整部110によって、オンパルス信号S330が生成される。このとき、シンボル区間Ts内のタイムスロットTs1に不使用区間Tb(P310)が存在するため、タイムスロットTs2またはTs3のいずれか一方が選択されて、オンパルス信号S330が配置される。また、オンパルス信号S330の開始位置に基づいて、不使用区間設定部120によって、オンパルス信号S330の開始位置から2.75Ts経過後に不使用区間Tbが設定される。図14において、P330が、オンパルス信号S330に対応して設定された不使用区間Tbを示す。設定された不使用区間Tb(P330)は、不使用区間設定部120に記憶される。
【0067】
以後、同様の手順が繰り返されて、オンパルス信号が配置される位置が分散されるようにしてタイムスロットTs1〜Ts3に分散配置されるとともに、オンパルス信号のパルス配置位置に対応して不使用区間Tbが設定される。
【0068】
上述したように、シンボル区間Tsを複数のタイムスロットに区切り、オンパルス信号の主波に対し遅延波が到着する遅延時間経過後に不使用区間Tbを設定するようにしたので、時間調整等の管理をタイムスロット単位で行うようにすることが可能となり、この結果、パルス位置の調整を離散的に処理することができるため実装が容易となる。
【0069】
このようにして、パルス位置が調整されたパルス無線変調信号がパルス送信装置100から送信され、通信相手であるパルス受信装置200に到着する。図15に、パルス受信装置200に到着したパルス無線変調信号(主波および遅延波)のタイミング図と、各シンボル区間Ts内の復調データが併せて示されている。図15において、横軸は時間で、時間軸上の区切りはシンボル区間Tsを示している。
【0070】
図15からわかるように、パルス受信装置200には、パルス送信装置100から送信されるオンパルス信号の主波S500,S510,S520,S530に加え、これら主波に対応する遅延波S501,S511,S521,S531が到着する。なお、上述したように、遅延波は主波に対しシンボル区間Tsの2.75倍の時間だけ遅れてパルス受信装置200に到着する場合を想定している。
【0071】
パルス無線変調信号の復調は、以下のように行う。先ず、パルス無線変調信号に対して、パルス検出部221によって、シンボル伝送レートの3倍の周波数で標本化が行われる。これは、送信側において、シンボル区間Tsを3つのタイムスロット(Ts1,Ts2,Ts3)に区切り、各タイムスロットを選択してパルスを配置するようにしたためであり、シンボル区間Tsをさらに細かく区切った場合には、パルス検出部221によって、より高速に標本化を行えばよい。本実施の形態では、パルス検出部221によって、1つのシンボル区間Tsあたり3つのパルス検出結果が出力される。パルス検出結果は、パルス検出値記憶部222に記憶される。
【0072】
そして、パルス検出値補正部223によって、パルス検出結果に補正が加えられる。具体的には、「1」と検出された時刻が、先に「1」と検出された時刻に対して設けられた不使用区間Tbと一致する場合には、パルス検出結果が「1」から「0」に補正される。例えば、図15において、オンパルス信号S501が受信される時刻は、オンパルス信号S500に対し設けられた不使用区間Tbと一致するため、オンパルス信号S501に対するパルス検出結果「1」が「0」に補正される。同様に、上述した手順が繰り返されて、オンパルス信号S511〜S531に対するパルス検出結果が「0」に補正される。
【0073】
パルス検出結果を補正する方法としては、パルス検出値補正部223の内部に各検出結果「1」に対する不使用区間Tbについての情報を記憶する記憶部を設け、パルス検出結果が「1」の場合に、「1」と検出された時刻に対する不使用区間Tbについての情報が記憶しておき、次に「1」と検出された時刻が当該記憶部に記憶された不使用区間Tbと一致するか否か随時照合し、一致する場合にパルス検出結果を「0」に補正するようにしたり、補正前のパルス検出結果をすべて記憶部に記憶しておいて、すべての判定が終了した時点で一括して補正するようにしたりすることが可能で、実装が容易な方法を選択すればよい。
【0074】
このようにして、オンパルス信号の主波に対して設けられた不使用区間Tbに「1」と検出された場合には、遅延波と判断して、パルス検出結果を「0」に補正するようにしたので、パルス検出結果から主波に対する結果のみを抽出することができるようになって、マルチパスの影響を低減することができるようになる。
【0075】
なお、雑音等の影響を受けて、本来オンパルス信号の主波または遅延波が無い時刻において「1」と検出される場合も考えられる。通常、オンパルス信号の主波が正しく「1」と検出された場合には、当該パルス検出結果に対する不使用区間Tbにおけるパルス検出結果も遅延波により「1」と検出されることになることから、不使用区間Tbにおいてパルス検出結果が「0」となる場合には、元のパルス検出結果が雑音等の影響を受けて誤って検出されたものであると判断することができる。このような場合には、パルス検出部221に用いられる比較器の閾値を調整したり、より高い電力でパルス無線変調信号を再送させたり、既知のデータパターンを間に設けて誤った検出や補正が連鎖的に生じないようにするなどの対策をすることが可能となる。
【0076】
そして、このようにして得られたパルス検出結果が用いられて、復調部230によって、送信データが復調される。具体的には、シンボル区間Ts内の3つのパルス検出結果がすべて「0」の場合は復調データとして「0」が取得され、シンボル区間Ts内の3つのパルス検出結果のいずれかに「1」が含まれる場合には、復調データとして「1」が取得される。
【0077】
なお、パルス受信装置200においても、図12に示したタイムスロットの概念を導入し、タイムスロットを単位としてパルス検出結果の補正等の処理を離散的に行うようにしたので、実装が容易となる。
【0078】
以上のように、本実施の形態によれば、マルチパスによってオンパルス信号の主波に遅れて到着する遅延波の遅延時間を考慮して、遅延波が受信側に到着するタイミングにのみ不使用区間Tbを設け、不使用区間Tbではパルスを送信しないようにしたので、オンパルス信号またはオフパルス信号の主波と遅延波とが受信側に同時に到着することによって生じるパルス間干渉を確実に回避することができ、この結果、マルチパス環境下においても受信品質の劣化を防止することができるようになる。なお、屋内チャネルの遅延時間Dの一般的な平均値は、アンテナの間隔が5〜30mである場合に、20〜30ナノ秒の範囲内であることが報告されている。したがって、UWBのようにシンボル区間Tsが数ナノ秒と短く、マルチパスの平均遅延時間Dがシンボル区間Tsに比べ非常に長い場合に、本実施の形態のようにオンパルス信号の遅延波が受信側に到着するタイミングにのみ不使用区間Tbを設ける場合には、オンパルス信号の主波が到着した時間から遅延時間が経過するまでの時間領域を不使用区間に設定する場合に比べ、パルスを送信することができなくなる時間領域を最小限にすることができ、結果として、不使用区間Tbを挿入することに起因するデータのスループットの低減を最小限に抑えることができる。
【0079】
また、シンボル区間Tsを複数のタイムスロットに区切り、パルスをタイムスロットのいずれかに分散して配置するようにしたので、スペクトラムを白色化することができるようになる。これに対し、パルスをシンボル区間Tsの同じ位置で送信し続けた場合には、搬送波周波数からシンボル周期ごとにパルス伝送の繰返し周期に起因してスペクトラム成分が発生し、このスペクトラム成分の電力レベルがパルス自体のスペクトラム成分と比較し高いピークレベルを有する場合がある。そのため、送信電力上限値が尖頭値によって規定されるような無線システムでは、繰り返し周期に起因して発生するスペクトラム成分が制限要因となって送信電力を抑える必要が生じ、伝送距離の確保といった点で不都合となる場合がある。また、高いピーク電力を有する線スペクトラムは他の無線システムへの妨害ともなりやすいと考えられる。
【0080】
しかしながら、本実施の形態によれば、不使用区間Tbを避けるようにシンボル区間Tsの複数のタイムスロットのいずれかが選択されてオンパルス信号が分散配置されて送信されるようになるため、繰り返し周期に起因して発生するスペクトラム成分のピークレベルを抑圧し、スペクトラムを白色化することができるようになる。この結果、UWBシステムのように、送信電力が尖頭値で規定された無線システムにおいても、伝搬距離を改善し、他の無線システムへの干渉を低減することができる。
【0081】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態に係るパルス送信装置およびパルス受信装置の要部構成は、実施の形態1(図1,図3)と同じであるため、その説明を省略する。ただし、本実施の形態に係るパルス送信装置においては、不使用区間設定部120における不使用区間Tbの設定方法、およびパルス位置調整部130におけるパルス位置調整方法が、実施の形態1とは異なっている。
【0082】
なお、パルス送信装置100へは、通信相手のパルス受信装置200へ到着する主波と遅延波との遅延時間に関する情報が、実施の形態1実施の形態2と同様に、予めパルス受信装置200へ通知されているものとする。また、本実施の形態に係るパルス送信装置100では、シンボル区間Tsの全時間領域にパルスが割り当てられている点で実施の形態2と相違する。
【0083】
次いで、図面を用いながらパルス送信装置100および受信装置200の動作について、具体的に説明する。図16は、送信データと、パルス無線変調信号の送信タイミングと、オンパルス信号の主波および遅延波の受信タイミングと、パルス判定結果と、復調データとの関係を示している。まず、最初の送信データ「1」に対応して、パルス調整部110によって、シンボル区間Tsに等しい区間長をパルス占有区間とするパルスが生成される。
【0084】
そして、オンパルス信号の開始位置に基づいて、不使用区間設定部120によって、オンパルス信号の開始位置からtd経過後に不使用区間Tbが設定される。tdは、遅延時間に相当する時間である。図16において、P600が、オンパルス信号S600に対応して設定された不使用区間Tbを示す。設定された不使用区間Tb(P600)は、不使用区間設定部120に記憶される。なお、送信データ「0」に対しては、パルス調整部110によってオンパルス信号が生成されないため、不使用区間設定部120によって不使用区間Tbは設定されない。
【0085】
そして、パルス位置調整部130によって、不使用区間Tbにはパルスが割り当てないようにパルス位置が調整される。例えば、オンパルス信号S600に対して設けられた不使用区間Tb(P600)では、パルスを割り当てないようにして、パルス位置がP600経過後にシフトされて送信される。
【0086】
パルス無線変調信号の復調は、以下のように行われる。先ず、パルス無線変調信号に対して、パルス検出部221によって、オンパルス信号の有無が検出され、パルス検出結果が、パルス検出値記憶部222に記憶される。
【0087】
そして、パルス検出値補正部223によって、パルス検出結果に補正が加えられる。具体的には、「1」と検出された時刻が、先に「1」と検出された時刻に対して設けられた不使用区間Tbと一致する場合には、パルス検出結果が「1」から「0」に補正される。例えば、図16において、オンパルス信号S700の遅延波S701が受信される時刻は、オンパルス信号S610に対し設けられた不使用区間Tb(P610)と一致するため、遅延波S701に対するパルス検出結果「1」(R701)を無効とするよう補正される。図16では、無効とされたパルス検出結果を「X」の記号で示している。以後、上述した手順が繰り返されて、パルス検出結果に補正が施される。
【0088】
そして、補正されたパルス検出結果から無効とされたパルス検出結果が除かれて、復調データが取得される。
【0089】
以上のように、本実施の形態によれば、シンボル区間Tsの全領域をパルス占有区間としてパルスを割り当て、当該シンボル区間Tsから遅延時間td経過後に不使用区間Tbを設け、不使用区間Tbが設定されないすべての時間領域を、パルスを送信することが可能な領域として積極的に用いるようにしたので、シンボル区間Tsを複数のタイムスロットに等分割し、同一シンボル内の不使用区間を避けるようにいずれかのタイムスロットを選択してパルスを分散配置する場合に比べ、一定時間あたりにより多くのデータを伝送することが可能となる。
【0090】
但し、本実施の形態では、伝送可能なデータ量が、データ総数に占める「1」の数に依存してしまうため、データの伝送レートを一定とすることはできない。しかしながら、伝送しようとするデータは分かっているので、データ総数に占める「1」の数から不使用区間Tbの全時間長を見積もることにより、単位時間中の伝送可能なデータ数、即ち伝送レートを見積もることは可能である。
【0091】
なお、上述した説明では、パルス変調としてOOK変調を行った場合を例に説明したが、オンパルス信号がASK変調信号である場合も同様の効果を得ることができる。
【0092】
本発明のパルス送信装置の一つの態様は、送信データに応じてパルスを生成するパルス生成手段と、遅延波が主波に遅れて通信相手へ到着するまでの遅延時間を取得する取得手段と、前記遅延時間に基づいて、前記パルスを送信しない不使用区間を設定する不使用区間設定手段と、前記不使用区間では、前記パルスが送信されないよう前記パルスのパルス位置を調整するパルス位置調整手段と、前記パルス位置調整手段により前記パルス位置が調整された前記パルスを無線周波数帯へ変換したパルス信号を送信する無線送信手段と、を具備する構成を採る。
【0093】
この構成によれば、マルチパスにより電力値がゼロでないオンパルス信号の遅延波が発生する場合において、オンパルス信号の遅延波が通信相手に到着するタイミングに後続のパルスが到着しないように不使用区間を設定することによって、オンパルス信号の遅延波と後続のパルスが通信相手に重なって到着するのを回避することができ、マルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を低減することができる。
【0094】
本発明のパルス送信装置の一つの態様は、前記不使用区間設定手段は、オンパルス信号を送信するシンボル区間の直後に、前記不使用区間を設定する構成を採る。
【0095】
この構成によれば、オンパルス信号が通信相手へ到着してから、当該オンパルス信号の遅延波が通信相手へ到着する間、後続のパルスが通信相手へ到着しないようにすることができるため、オンパルス信号の遅延波と後続のパルスが重なって通信相手へ到着するのを確実に回避して、マルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を確実に低減することができる。
【0096】
本発明のパルス送信装置の一つの態様は、前記不使用区間設定手段は、連続したシンボル区間で前記オンパルス信号が送信される場合に、当該シンボル区間の間に、前記不使用区間を設定する構成を採る。
【0097】
この構成によれば、連続したシンボル区間でオンパルス信号が送信されない場合には、不使用区間を設けないようにすることができるので、マルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を低減しつつ、上記第2の態様に比べ不使用区間領域を抑えることができ、データスループットの低減を抑えることができる。
【0098】
本発明のパルス送信装置の一つの態様は、連続したシンボル区間に割り当てられる送信データのビット遷移から差動フラグを生成する差動フラグ生成手段、をさらに具備し、前記不使用区間設定手段は、前記差動フラグを用いて、連続したシンボル区間で前記オンパルス信号が送信されるか否かを判定する構成を採る。
【0099】
この構成によれば、連続したシンボル区間でオンパルス信号が送信されるか否かの判定を、送信データのビット遷移から容易に判定することができるようになる。
【0100】
本発明のパルス送信装置の一つの態様は、前記パルス生成手段は、シンボル区間を複数に等分割した区間長をパルス占有区間とするパルスを生成し、前記不使用区間設定部は、前記パルス占有区間の区間長に等しい不使用区間を設定する構成を採る。
【0101】
この構成によれば、遅延時間がシンボル区間よりも長い場合に、主波のオンパルス信号に対して実際に当該オンパルス信号の遅延波が通信相手に到着するタイミングに、パルス占有区間に等しい不使用区間を設けるため、オンパルス信号を送信するシンボル区間の直後に遅延時間に相当する前記不使用区間を設ける態様に比べ、不使用区間領域を最小限に抑えることができ、データスループットの低下を最小限に抑えつつ、マルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を低減することができる。
【0102】
本発明のパルス送信装置の一つの態様は、前記パルス位置調整手段は、同一のシンボル区間内で、前記パルス占有区間の単位で、前記パルス位置を調整する構成を採る。
【0103】
この構成によれば、パルス位置調整をパルス占有区間の単位で行うことができるため、パルス位置調整動作が容易となり、また、同一のシンボル区間内の不使用区間を避けながら同一のシンボル区間内でパルス位置を調整するため、オンパルス信号が送信される位置がシンボル区間ごとに分散されるようになり、マルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を回避しつつ、シンボル区間内の固定のタイミングでオンパルス信号が送信される場合に比べ、シンボル周期の繰り返しに起因して生じるスペクトラム成分の尖頭値レベルを抑圧することができる。
【0104】
本発明のパルス送信装置の一つの態様は、前記パルス生成手段は、シンボル区間をパルス占有区間とするパルスを生成し、前記不使用区間設定部は、シンボル区間に等しい区間長の前記不使用区間をシンボル区間の間に挿入し、前記パルス位置調整手段は、前記パルス位置をシンボル区間の単位で調整する構成を採る。
【0105】
この構成によれば、シンボル区間の単位でパルス位置をシフトすることにより、不使用区間ではパルスが送信されないようにすることができるため、容易なパルス位置制御でマルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を回避することができる。また、パルス占有区間はシンボル区間と等しく、シンボル区間内にパルスが送信されない領域がないため、パルス占有区間がシンボル区間を複数に等分割した区間長に等しい場合に比べ、一定時間あたりにより多くの送信データを伝送することが可能となる。
【0106】
本発明のパルス受信装置の一つの態様は、通信相手から送信されるパルス信号を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記パルス信号に対し、前記パルス信号が割り当てられるパルス占有区間の時間間隔でサンプリングして、パルスの有無を検出するパルス検出手段と、前記パルス検出手段により検出されたパルス検出結果のうち、主波に遅れて遅延波が自装置に到着するまでの遅延時間と重なる前記パルス占有区間の前記パルス検出結果を、パルス無しに補正する補正手段と、前記補正手段により補正されたパルス検出結果から復調データを取得する復調手段と、を具備する構成を採る。
【0107】
この構成によれば、パルス有りと検出された時間領域が不使用区間の場合には、当該不使用区間におけるパルス検出結果をパルス無しに補正することができるため、不使用区間内に雑音の影響を受けてパルス有りと誤って検出された場合においても、この誤りを除去して正しく復調することができるようになる。
【0108】
本発明のパルス通信システムは、送信データに応じてパルスを生成するパルス生成手段と、遅延波が主波に遅れて通信相手へ到着するまでの遅延時間を取得する取得手段と、前記遅延時間に基づいて、前記パルスを送信しない不使用区間を設定する不使用区間設定手段と、前記不使用区間では、前記パルスが送信されないよう前記パルスのパルス位置を調整するパルス位置調整手段と、前記パルス位置調整手段により前記パルス位置が調整された前記パルスを無線周波数帯へ変換したパルス信号を送信する無線送信手段と、を有するパルス送信装置と、前記パルス信号を受信する受信手段と、主波となるオンパルス信号を受信してから、当該オンパルス信号の遅延波を受信するまでの時間を前記遅延時間として測定する測定手段と、受信後の前記パルス信号に対し、前記パルス信号が割り当てられるパルス占有区間の時間間隔でサンプリングして、パルスの有無を検出するパルス検出手段と、前記パルス検出手段により検出された検出結果のうち、前記遅延時間と重なる前記パルス占有区間の前記検出結果を、パルス無しに補正する補正手段と、前記補正手段により補正された検出結果から復調データを取得する復調手段と、を有するパルス受信装置と、を具備する構成を採る。
【0109】
この構成によれば、マルチパスによりオンパルス信号の遅延波が発生する場合において、オンパルス信号の遅延波が通信相手に到着するタイミングに後続のパルスが到着しないように不使用区間を設定することによって、オンパルス信号の遅延波と後続のパルスが通信相手に重なって到着するのを回避することができ、マルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を低減することができる。また、受信側において、パルス有りと検出された時間領域が不使用区間の場合には、当該不使用区間におけるパルス検出結果をパルス無しに補正することができるため、不使用区間内に雑音の影響を受けてパルス有りと誤って検出された場合においても、この誤りを除去して正しく復調することができるようになる。
【0110】
本発明のパルス通信方法は、送信データに応じてパルスを生成するステップと、遅延波が主波に遅れて通信相手へ到着するまでの遅延時間を取得するステップと、前記遅延時間に基づいて、前記パルスを送信しない不使用区間を設定するステップと、前記不使用区間では、前記パルスが送信されないよう前記パルスのパルス位置を調整するステップと、前記パルス位置が調整された前記パルスを無線周波数帯へ変換したパルス信号を送信するステップと、を有するようにした。
【0111】
この方法によれば、マルチパスによりオンパルス信号の遅延波が発生する場合において、オンパルス信号の遅延波が通信相手に到着するタイミングに後続のパルスが到着しないように不使用区間を設定することによって、オンパルス信号の遅延波と後続のパルスが通信相手に重なって到着するのを回避することができ、マルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明のパルス送信装置、パルス受信装置、パルス通信システム、およびパルス通信方法は、UWBに代表されるような高速パルス伝送においても、比較的簡易な方法でマルチパスの影響によって生じるパルス間干渉を回避して受信品質を改善することができ、例えばUWBのような高速パルス伝送が適用されるパルス送信装置、パルス受信装置、パルス通信システム、およびパルス通信方法などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態1に係るパルス送信装置の要部構成を示すブロック図
【図2】シンボル区間Tsと不使用区間Tbとのタイミング関係を示す図
【図3】上記実施の形態1に係るパルス受信装置の要部構成を示すブロック図
【図4】送信タイミングおよび受信タイミングを示す図
【図5】上記実施の形態1に係るパルス送信装置の動作を説明するためのフロー図
【図6】上記実施の形態1に係るパルス受信装置の動作を説明するためのフロー図
【図7】上記実施の形態1による主波および遅延波の到着タイミングを示す図
【図8】不使用区間を設けない場合の主波および遅延波の到着タイミングを示す図
【図9】上記実施の形態1に係るパルス送信装置の他の要部構成を示すブロック図
【図10】送信データのビット遷移、差動フラグFdiff、不使用区間Tb、および時間長Tfとの関係を示す図
【図11】上記実施の形態1による主波および遅延波の到着タイミングを示す図
【図12】上記実施の形態1に係るパルス受信装置の要部構成を示すブロック図
【図13】本発明の実施の形態2によるシンボル区間Tsと主波および遅延波の到着タイミングを示す図
【図14】上記実施の形態2による送信データとパルス無線変調信号とのタイミング関係を示す図
【図15】上記実施の形態の2による主波および遅延波の到着タイミングと、各シンボル区間Ts内の復調結果を示す図
【図16】送信データ、送信タイミング、受信タイミング、パルス判定結果、および復調データの関係を示す図
【図17】従来による送信データ、送信タイミング、および受信タイミングの関係を示す図
【図18】(a)パルス位置変調信号の送信タイミングおよびマルチパス伝搬路における受信信号の受信タイミングの関係を示した図(b)パルス位置変調信号および従来技術による送信信号の波形および送信タイミングの関係を示した図(c)従来技術による受信信号および復調信号の波形および送受信タイミングの関係を示した図
【符号の説明】
【0114】
100 パルス送信装置
110 パルス変調部
120 不使用区間設定部
130 パルス位置調整部
140 RF送信部
150 差動フラグ生成部
200 パルス受信装置
210 RF受信部
220,240 パルス判定部
221 パルス検出部
222 パルス検出値記憶部
223 パルス検出補正部
230 復調部
241 テンプレート信号生成部
242 相関器
243 比較部
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年7月24日(2006.7.24)
【代理人】 【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一


【公開番号】 特開2008−28873(P2008−28873A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201359(P2006−201359)