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【発明の名称】 基地局装置及び空間多重方法
【発明者】 【氏名】眞鍋 祐介

【要約】 【課題】空間多重通信の継続時間を短縮することにより、伝送スループットの低下を防ぎつつ通信品質を向上させること。

【構成】複数の多重化候補移動局装置のうち、その一部である複数の移動局装置に係る組み合わせを多重化対象として決定する組み合わせ決定部22を含み、組み合わせ決定部22は、前記複数の多重化候補移動局装置の少なくとも一部について、推定される残りの通信時間の長短を示す残通信時間情報を取得する残通信時間情報取得部23と、残通信時間情報取得部23により取得される残通信時間情報に基づいて、前記複数の多重化候補移動局装置から前記複数の移動局装置を多重化対象として選出する多重化対象選出部24を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ多重化候補となる移動局装置である複数の多重化候補移動局装置のうち、その一部である複数の移動局装置と空間分割多重による通信を行う基地局装置であって、
前記複数の多重化候補移動局装置から、前記複数の移動局装置となる組み合わせを決定する組み合わせ決定手段を含み、
前記組み合わせ決定手段は、
前記複数の多重化候補移動局装置の少なくとも一部について、推定される残りの通信時間の長短を示す残通信時間情報を取得する残通信時間情報取得手段と、
前記残通信時間情報取得手段により取得される残通信時間情報に基づいて、前記複数の多重化候補移動局装置から前記複数の移動局装置を多重化対象として選出する多重化対象選出手段と、
を含む、
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基地局装置において、
前記多重化対象選出手段は、
前記複数の多重化候補移動局装置から、前記複数の移動局装置となる1又は複数の組み合わせ候補を選出する組み合わせ候補選出手段、
を含み、
前記残通信時間情報取得手段は、前記組み合わせ候補選出手段により選出される組み合わせ候補に含まれる各移動局装置について、前記残通信時間情報を取得し、
前記多重化対象選出手段は、前記残通信時間情報取得手段により取得される残通信時間情報に基づいて、前記組み合わせ候補選出手段により選出される組み合わせ候補からいずれか1つの組み合わせ候補に含まれる移動局装置を選出する、
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基地局装置において、
前記残通信時間情報は、前記各移動局装置に係る通信開始から現在までの通信時間と、一部又は全部の前記移動局装置に係る過去の通信時間の平均値と、の差の大きさに応じて決定される、
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項4】
請求項2に記載の基地局装置において、
前記残通信時間情報は、前記各移動局装置に係る通信開始から現在までの通信時間と、該移動局装置に係る過去の通信時間の平均値と、の差の大きさに応じて決定される、
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項5】
それぞれ多重化候補となる移動局装置である複数の多重化候補移動局装置のうち、その一部である複数の移動局装置と空間分割多重による通信を行う空間多重方法であって、
前記複数の多重化候補移動局装置から、前記複数の移動局装置となる組み合わせを決定する組み合わせ決定ステップを含み、
前記組み合わせ決定ステップは、
前記複数の多重化候補移動局装置の少なくとも一部について、推定される残りの通信時間の長短を示す残通信時間情報を取得する残通信時間情報取得ステップと、
前記残通信時間情報取得ステップにおいて取得される残通信時間情報に基づいて、前記複数の多重化候補移動局装置から前記複数の移動局装置を多重化対象として選出する多重化対象選出ステップと、
を含む、
ことを特徴とする空間多重方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置及び空間多重方法に関し、特に、空間多重する移動局装置を選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空間分割多重接続(SDMA:Space Division Multiple Access)方式を適用する基地局装置は、指向性を動的に制御するアダプティブアレイアンテナを備えており、電波の放射パターンを絞り込むことにより、同一のキャリア周波数において空間的に離れた複数の移動局装置それぞれと同一のタイミングで通信を行うことができる。
【0003】
しかし、空間多重通信では、空間多重された移動局装置相互の空間的位置関係が変化しやすいこと、アダプティブアレイアンテナによる指向性制御の性能に限界があること等により、空間多重によらない通信に比べて良好な通信品質を維持することが難しい。
【0004】
そこで、複数の通信チャネルそれぞれにおいて空間多重通信を行うことができる基地局装置では、空間多重の起動を接続する移動局装置の数が使用可能な通信チャネル(所要通信品質を有する通信チャネル)の数を超えた場合に限ることにより、空間多重の起動回数を抑えるようにしている。
【0005】
従来、空間多重通信の可否や安定性を評価し、その評価結果に基づいて空間多重を行う移動局装置の組み合わせを選択することにより、空間多重通信における通信品質を向上させる技術が提案されている。
【0006】
例えば、下記特許文献1には、複数の通信端末についての無線環境パラメータ(受信電力レベル、受信応答ベクトルの変化速度、フレームエラー率、通信チャネルの周波数等)に基づいて空間多重生成確率パラメータを算出し、該算出値に基づいて空間多重の可否を判定する技術が開示されている。
【0007】
また、下記特許文献2には、空間多重の多重化確率(空間多重している状態をどの程度維持できるかを表す値)の過去の平均値及び変動特性を算出し、該算出値に基づいて空間多重する端末の組み合わせを選択する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−229088号公報
【特許文献2】特開2005−123871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の技術では、基地局装置は、各移動局装置の通信(通話)継続時間を考慮せず、空間多重生成確率等のパラメータのみに基づいて空間多重する移動局装置の組み合わせを選択するため、通信終了までの残りの通信時間が長い移動局装置を含む組み合わせについて空間多重をしてしまう場合があった。すなわち、空間多重通信における通信品質を向上させることはできても、空間多重通信の継続時間そのものを短縮させることはできなかった。
【0009】
このため、空間多重によらない通信の方が空間多重通信よりも先に終了し、空きチャネルがあるにも関わらず空きチャネル以外の通信チャネルで空間多重通信が継続されるという状況が頻発して、通信品質が低下する原因となっていた。一方、かかる状況を解消するために空間多重通信中であるいずれかの移動局装置に当該空きチャネルを割り当てるチャネル切替処理を行えば通信品質の低下を防止することはできるものの、逆にチャネル切替による伝送スループットの低下を招いてしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、空間多重通信の継続時間を短縮することにより、伝送スループットの低下を防ぎつつ通信品質を向上させることができる基地局装置及び空間多重方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る基地局装置は、それぞれ多重化候補となる移動局装置である複数の多重化候補移動局装置のうち、その一部である複数の移動局装置と空間分割多重による通信を行う基地局装置であって、前記複数の多重化候補移動局装置から、前記複数の移動局装置となる組み合わせを決定する組み合わせ決定手段を含み、前記組み合わせ決定手段は、前記複数の多重化候補移動局装置の少なくとも一部について、推定される残りの通信時間の長短を示す残通信時間情報を取得する残通信時間情報取得手段と、前記残通信時間情報取得手段により取得される残通信時間情報に基づいて、前記複数の多重化候補移動局装置から前記複数の移動局装置を多重化対象として選出する多重化対象選出手段と、を含むことを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る方法は、それぞれ多重化候補となる移動局装置である複数の多重化候補移動局装置のうち、その一部である複数の移動局装置と空間分割多重による通信を行う空間多重方法であって、前記複数の多重化候補移動局装置から、前記複数の移動局装置となる組み合わせを決定する組み合わせ決定ステップを含み、前記組み合わせ決定ステップは、前記複数の多重化候補移動局装置の少なくとも一部について、推定される残りの通信時間の長短を示す残通信時間情報を取得する残通信時間情報取得ステップと、前記残通信時間情報取得ステップにおいて取得される残通信時間情報に基づいて、前記複数の多重化候補移動局装置から前記複数の移動局装置を多重化対象として選出する多重化対象選出ステップと、を含むことを特徴としている。
【0013】
本発明では、複数の多重化候補移動局装置の少なくとも一部について、推定される残りの通信時間の長短を示す残通信時間情報を取得するとともに、取得した残通信時間情報に基づいて、複数の多重化候補移動局装置の中から多重化対象となる複数の移動局装置の組み合わせを決定する。
【0014】
本発明によれば、複数の多重化候補移動局装置のうち、残りの通信時間が最も短いと推定される移動局装置を多重化対象として選出することができるため、空間多重通信の継続時間そのものを短縮することができる。このため、空間多重通信に係るチャネル以外の通信チャネルが先に空きチャネルとなる場合が減り、通信品質を向上させることができるようになる。また、空間多重の解消を目的として空間多重通信中であるいずれかの移動局装置に空きチャネルを割り当てるチャネル切替を行う頻度が減り、伝送スループットの低下を防ぐことができるようになる。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記多重化対象選出手段は、前記複数の多重化候補移動局装置から、前記複数の移動局装置となる1又は複数の組み合わせ候補を選出する組み合わせ候補選出手段、を含み、前記残通信時間情報取得手段は、前記組み合わせ候補選出手段により選出される組み合わせ候補に含まれる各移動局装置について、前記残通信時間情報を取得し、前記多重化対象選出手段は、前記残通信時間情報取得手段により取得される残通信時間情報に基づいて、前記組み合わせ候補選出手段により選出される組み合わせ候補からいずれか1つの組み合わせ候補に含まれる移動局装置を選出する。こうすれば、例えば、空間多重確率が所定閾値以上である移動局装置の組み合わせを1又は複数選出した後に、当該選出した組み合わせのうち残り通信時間が最も短いと推定される移動局装置を含む組み合わせを多重化対象の組み合わせとして決定することができるため、空間多重通信における通信の安定性を確保しつつ、空間多重通信の継続時間そのものを短縮させることができるようになる。
【0016】
本発明においては、前記残通信時間情報は、前記各移動局装置に係る通信開始から現在までの通信時間と、一部又は全部の前記移動局装置に係る過去の通信時間の平均値と、の差の大きさに応じて決定されるようにしてもよい。
【0017】
また、前記残通信時間情報は、前記各移動局装置に係る通信開始から現在までの通信時間と、該移動局装置に係る過去の通信時間の平均値と、の差の大きさに応じて決定されるようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る移動体通信システムの全体構成図である。同図に示すように、本移動体通信システムは、基地局装置10と複数の移動局装置12(ここでは4つとする)を含んで構成されている。
【0019】
各移動局装置12は、基地局装置と無線通信を行うものであり、例えば可搬型の携帯電話機や携帯情報端末である。ここでは、時分割多重接続(TDMA:Time Division Multiple Access)方式により多重通信を行う。なお、各通信に使用される無線チャネル(通信チャネル)は、時分割スロットのスロット番号と所定周波数帯域におけるいずれかのキャリア周波数との組み合わせにより特定される。
【0020】
基地局装置10は、後述するようにアダプティブアレイアンテナを備えており、このアダプティブアレイアンテナを用いて、同一の時分割スロット及び同一のキャリア周波数において、複数の移動局装置12のそれぞれと空間分割多重接続(SDMA)方式による多重通信を行う。
【0021】
図2は、基地局装置10の機能ブロック図である。基地局装置12は、制御部20、アダプティブアレイアンテナ30、無線通信部32、空間多重処理部34、変復調部36、時分割多重処理部38、通信時間管理部40を含んで構成されている。
【0022】
制御部20は、無線通信部32、空間多重処理部34、変復調部36、時分割多重処理部38等と接続されており、基地局装置10全体の制御を行う。また、制御部20は、スロット制御部21を含んでおり、各移動局装置12との通信に用いる時分割スロットの割当を制御する。なお、制御部20は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)及びメモリを含んで構成されており、上記の機能は、メモリに記憶される各種制御プログラムをCPUが実行することによって実現されるものである。
【0023】
アダプティブアレイアンテナ30は、複数のアンテナの配列であり、無線通信部32から入力される信号を各アンテナから送信し、また、各移動局装置12から送信される信号を各アンテナで受信して、その信号を無線通信部32に出力するものである。この送信及び受信は、無線通信部32からの制御に従って時分割で切り替えられる。
【0024】
無線通信部32は、空間多重処理部34から入力される送信信号を無線信号にアップコンバートし、送信出力レベルにまで増幅して、アダプティブアレイアンテナ30に供給する。また、アダプティブアレイアンテナ30で受信される無線信号をダウンコンバートし、空間多重処理部34に出力するものである。
【0025】
空間多重処理部34は、アダプティブアレイアンテナ30による放射パターンを動的に制御して、変復調部36から入力される信号を所望の移動局装置12へ送信できるようにすべく空間多重用に重み付けした送信信号を生成し、その信号を無線信号部32に出力する。また、無線信号部32から入力される受信信号から、空間多重された各移動局装置12の受信信号を時分割スロット毎に分離抽出し、変復調部36に出力するものである。
【0026】
また、空間多重処理部34は、各移動局装置12の受信電力レベル(RSSI:Receive Signal Strength Indication) 等に基づいて空間多重確率を定期的に算出し、その算出結果を後述する組み合わせ候補選出部25に供給する。ここで、空間多重確率とは、空間多重通信に関する品質情報の一種であり、特定の移動局装置12の組み合わせについて特定の時分割スロットにおいて空間多重通信をする場合に、空間多重している状態をどの程度維持できるかを表すパラメータ、すなわち、空間多重通信の適性を表すパラメータである。
【0027】
変復調部36は、時分割多重処理部38から入力されるベースバンド送信信号を所定の変調方式により変調し、変調された信号を空間多重処理部34に出力する。また、空間多重処理部34から入力される各移動局装置12の受信信号を所定の復調方式により復調し、復調されたベースバンド受信信号を時分割多重処理部38に出力する。
【0028】
時分割多重処理部38は、時分割多重に係る機能を備えており、上位レイヤの装置(図示せず)との間で各移動局装置12のベースバンド信号を授受するものである。具体的には、上位レイヤの装置から入力される各移動局装置12のベースバンド信号を分割し、分割した各ベースバンド信号を後述するスロット制御部21により指定された所定のスロット番号に係る時分割スロットにそれぞれ格納したベースバンド送信信号を生成して、変復調部36に出力する。また、変復調部36から入力されるベースバンド受信信号から各移動局装置12のベースバンド信号を分離抽出し、上位レイヤの装置に出力する。
【0029】
通信時間管理部40は、メモリを含んで構成されており、通信中の各移動局装置12に係る通信開始から現在までの通信時間と、基地局装置10の運用開始から現在までの全通信に係る総通信時間及び総通信数を管理するものである。通信時間管理部40で管理されるこれらの情報は、後述するスロット制御部21が、各移動局装置12にいずれかの時分割スロットを割り当てる時又はその割当を解除する時等に更新される。なお、通信時間管理部40は、搭載されるメモリの容量に応じて、移動局装置12毎に、総通信時間及び総通信数を管理するようにしてもよいし、移動局装置12毎に、割り当てたスロット番号、通信開始時刻及び通信終了時刻等を含む履歴を管理するようにしてもよい。
【0030】
次に、スロット制御部21の構成を詳細に説明する。図3は、スロット制御部21の構成を示すブロック図である。同図に示すように、スロット制御部21は、組み合わせ決定部22及びスロット割当部26を含んで構成されており、移動局装置12との通信に使用する時分割スロットの割当や割当の解除を制御するものである。また、空間多重を起動する際には、空間多重を行う時分割スロット及び空間多重する移動局装置12の組み合わせを決定する。
【0031】
スロット割当部26は、移動局装置12からのチャネル確立要求等に応じて、移動局装置12に時分割スロットの割当を行う。また、通信の終了に応じて、時分割スロットの割当を解除するものである。さらに、スロット割当部26は、時分割スロットを割当や割当の解除を行う際に、割り当てたスロット番号、通信開始時刻及び通信終了時刻等の情報を通信時間管理部40に記録する。
【0032】
組み合わせ決定部22は、残通信時間情報取得部23及び多重化対象選出部24を含んで構成されており、空間多重を起動する際に、それぞれ多重化候補となる複数の移動局装置12(以下、多重化候補移動局装置と称する)から、空間多重の多重化対象となる複数の移動局装置12(以下、多重化候補移動局装置と称する)の組み合わせを選出するものである。ここで、多重化候補移動局装置には、いずれかの時分割スロットで通信中の移動局装置12と、基地局装置10に対してチャネル確立要求をしてきた移動局装置12とが含まれる。また、多重化対象移動局装置とは、異なる時分割スロットで通信中の移動局装置12(基地局装置10に対してチャネル確立要求をしてきた移動局装置12を含む)であって、当該使用中のいずれかの時分割スロットで多重通信を開始する移動局装置12のことをいう。組み合わせ決定部22は、空間多重を起動する際、多重化対象移動局装置の組み合わせを選出し、当該組み合わせに係る情報をスロット割当部26に通知する。そして、スロット割当部26は、組み合わせ決定部22から通知された組み合わせに含まれる移動局装置12に同一の時分割スロットを割り当てる。このようにして、基地局装置10は、同一の時分割スロット及び同一のキャリア周波数において、組み合わせ決定部22により選出された組み合わせに係る移動局装置12のそれぞれと空間多重通信を行う。
【0033】
残通信時間情報取得部23は、通信時間管理部40に記録される情報に基づいて、複数の多重化候補移動局装置の少なくとも一部について、残りの通信時間の長短を示す残通信時間情報を推定するものである。ここで、残通信時間情報とは、通信中の移動局装置12が現在から通信終了までに要する時間(以下、残通信時間と称する)の長短を示すパラメータであり、例えば、通信終了までに要する時間そのものであってもよいし、通信終了までに要する時間の短さに応じて付される順位であってもよい。より具体的には、通信時間管理部40に記録されている総通信時間及び総通信数から算出される基地局装置10における平均通信時間と、通信中の各移動局装置12に係る現在までの通信時間との差の大きさ(絶対値)に応じて決定されるようにしてもよい。また、通信時間管理部40に移動局装置12毎の総通信時間及び総通信数が記録されている場合には、当該総通信時間及び総通信数から算出される各移動局装置12の平均通信時間と、通信中の各移動局装置12に係る通信開始から現在までの通信時間との差の大きさ(絶対値)に応じて決定されるようにしてもよい。このようにして取得された残通信時間情報は、多重化対象選出部24に供給される。
【0034】
多重化対象選出部24は、組み合わせ候補選出部25を含んで構成されており、残通信時間情報取得部23により取得される残通信時間情報に基づいて、複数の多重化候補移動局装置の中からその一部である複数の多重化対象移動局装置を選出するものである。具体的には、複数の多重化候補移動局装置の中から、残通信時間が最も短いと推定される移動局装置12が含まれるように複数の多重化対象移動局装置を選出する。このようにして選出した移動局装置12の組み合わせにより空間多重を起動すれば、空間多重通信の継続時間そのものを短縮することができる。このため、空間多重通信に係るスロット以外の時分割スロットが先に空きスロットとなる場合が減り、伝送スループットの低下を防ぎつつ通信品質を向上させることができるようになる。
【0035】
組み合わせ候補選出部25は、複数の多重化候補移動局装置の中から、多重化対象移動局装置となり得る複数の移動局装置12の組み合わせ(以下、組み合わせ候補と称する)を1又は複数の選出するものである。組み合わせ候補とは、安定した空間多重を維持できると期待される移動局装置12の組み合わせであり、具体的には、異なる時分割スロットで通信中である特定の複数の移動局装置12を当該使用中のいずれか特定の時分割スロットで空間多重するときの空間多重確率が所定閾値以上である移動局装置12の組み合わせのことである。なお、空間多重確率は、前記の通り、空間多重処理部34において移動局装置12の組み合わせ毎に算出されるパラメータであって、空間多重通信をどの程度安定して維持できるかを表すパラメータである。
【0036】
なお、残通信時間情報取得部23は、組み合わせ候補選出部25により選出される組み合わせ候補に含まれる各移動局装置12について残通信時間情報を取得するようにしてもよい。また、多重化対象選出部24は、その残通信時間情報に基づいて、組み合わせ候補選出部25により選出される組み合わせ候補からいずれか1つの組み合わせ候補を選択し、当該組み合わせ候補に含まれる移動局装置12を多重化対象移動局装置として選出するようにしてもよい。こうすれば、空間多重確率が所定閾値以上である移動局装置12の組み合わせ候補の中から、残通信時間が最も短いと推定される移動局装置12を含む組み合わせ候補のいずれかを多重化対象の組み合わせとして選出することができるようになる。
【0037】
ここで、基地局装置10の動作について説明する。図4は、基地局装置10におけるスロット割当処理を示すフロー図である。
【0038】
基地局装置10がある移動局装置12からのチャネル確立要求を受信すると、同図に示すように、スロット制御部21は、空きスロットが存在するか否かを確認する(S100)。S100において空きスロットがあることが確認されると、スロット割当部26は、チャネル確立要求をしてきた移動局装置12に対して、当該空きスロットを割り当てる(S114)。
【0039】
S100において空きスロットがない、すなわち、全ての時分割スロットが使用中であると判定されると、組み合わせ候補選出部25は、空間多重処理部34から、通信中であるいずれか2以上の移動局装置12の組み合わせ全てに関して定期的に算出されている空間多重確率を取得する(S102)。そして、S102において取得した空間多重確率が所定閾値以上である組み合わせ、すなわち、安定した空間多重を維持できると期待される移動局装置12の組み合わせ(組み合わせ候補)が存在するか否かを判定する(S104)。S104において組み合わせ候補がないと判定されると、組み合わせ候補選出部25は、その旨をスロット割当部26に通知する。そして、スロット割当部26は、チャネル確立要求をしてきた移動局装置12に対してスロットの割当を拒否する(S106)。
【0040】
S104において2以上の組み合わせ候補があると判定されると、残通信時間情報取得部23は、通信時間管理部40に記録されている情報に基づいて、当該組み合わせ候補に含まれる各移動局装置12について残通信時間情報を取得する(S108)。次に、多重化対象選出部24は、S108において取得された残通信時間情報に基づいて、当該2以上の組み合わせ候補の中から、残通信時間が最も短いと推定される移動局装置12を含む組み合わせ候補のいずれか1つを多重化対象の組み合わせとして選出する(S110)。そして、S110において選出した移動局装置12の組み合わせをスロット割当部26に通知する。なお、S104において組み合わせ候補が1つしかないと判定される場合、多重化対象選出部24は、S108及びS110の処理を実行することなく、当該1つの組み合わせ候補を多重化対象の組み合わせとして選出する(図示せず)。
【0041】
スロット割当部26は、S110において選出された組み合わせ含まれる移動局装置12に、当該移動局装置12のいずれかが使用している時分割スロットを割り当てることにより、空間多重を起動する(S112)。そして、空間多重を起動したことにより発生した空きチャネルを、チャネル確立要求をしてきた移動局装置12に割り当てる(S114)。
【0042】
上記実施形態によれば、空間多重確率のみに基づいて空間多重する移動局装置12の組み合わせを選出するのではなく、当該空間多重確率が所定閾値以上である移動局装置12の組み合わせの中から、残通信時間が最も短い移動局装置12を含むいずれかの組み合わせを多重化対象として選出することができるため、空間多重通信の継続時間そのものを短縮することができる。このため、空間多重通信に係るスロット以外の時分割スロットが先に空きスロットとなる場合が減り、伝送スループットの低下を防ぎつつ通信品質を向上させることができるようになる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、以上の説明では、空間分割多重接続(SDMA)方式と時分割多重接続(TDMA)方式を併用する移動体通信システムを例示したが、本発明は、空間分割多重接続方式を採用するあらゆる通信システムに適用可能である。
【0044】
また、本実施形態において、残通信時間取得部23は、通信種別をさらに考慮して残通信時間情報を取得するようにしてもよい。こうすれば、現在の通信種別が通話であるかパケット通信であるか等に応じたより正確な残通信時間の推定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る移動体通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る基地局装置の機能ブロック図である。
【図3】スロット制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】基地局装置におけるスロット割当処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0046】
10 基地局装置、12 移動局装置、20 制御部、21 スロット制御部、22 組み合わせ決定部、23 残通信時間情報取得部、24 多重化対象選出部、25 組み合わせ候補選出部、26 スロット割当部、30 アダプティブアレイアンテナ、32 無線通信部、34 空間多重処理部、36 変復調部、38 時分割多重処理部、40 通信時間管理部。
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−10977(P2008−10977A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−177091(P2006−177091)