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【発明の名称】 PLL回路
【発明者】 【氏名】渡邉 雅史

【要約】 【課題】従来のPLL回路は、ループフィルタにかかるコンデンサの回路面積が回路面積全体に占める割合が大きい問題があった。

【構成】本発明にかかるPLL回路は、位相比較器12の出力信号に応じて出力電流を制御する第1のチャージポンプ回路13と、第1のチャージポンプ回路13が出力する電流に基づき発生する電圧信号から所定の周波数成分を除去する積分フィルタ14と、位相比較器12の出力信号に応じて第1のチャージポンプ回路13より大きな電流を出力し、当該電流を制御する第2のチャージポンプ回路16と、第2のチャージポンプ回路16が出力する電流に基づき発生する電圧信号からリップル成分を除去するリップルフィルタ17とを備え、積分フィルタ14の出力電圧に応じた電流とリップルフィルタ17の出力電圧に応じた電流との合計値に基づき出力信号の発振周波数を制御するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相比較器の出力信号に応じて出力電流を制御する第1のチャージポンプ回路と、
前記第1のチャージポンプ回路が出力する電流に基づき発生する電圧信号から所定の周波数成分を除去する積分フィルタと、
前記位相比較器の出力信号に応じて前記第1のチャージポンプ回路より大きな電流を出力し、当該電流を制御する第2のチャージポンプ回路と、
前記第2のチャージポンプ回路が出力する電流に基づき発生する電圧信号からリップル成分を除去するリップルフィルタと、
前記積分フィルタの出力電圧を電流に変換する第1の電圧電流変換回路と、
前記リップルフィルタの出力電圧を電流に変換する第2の電圧電流変換回路と、
前記第1及び第2の電圧電流変換回路の出力電流の合計値に基づいた発振周波数で発振する電流制御発振器とを備え、
前記電流制御発振器の出力信号を前記位相比較器に帰還させるPLL回路。
【請求項2】
前記リップルフィルタは、前記第2のチャージポンプ回路の出力と第1の電源との間に接続された第1の抵抗と、前記第2のチャージポンプ回路の出力と第2の電源との間に接続された第2の抵抗と、前記第2のチャージポンプ回路の出力と第3の電源との間に接続されたコンデンサとを含むことを特徴とする請求項1記載のPLL回路。
【請求項3】
前記積分フィルタは、前記第1のチャージポンプ回路の出力と第4の電源との間に接続されたコンデンサを含むことを特徴とする請求項1又は2記載のPLL回路。
【請求項4】
前記第1のチャージポンプ回路が出力する電流と、前記第2のチャージポンプ回路が出力する電流とは、所定の比率を有しており、前記所定の比率に基づいて、前記積分フィルタのコンデンサ値が決定されることを特徴とする請求項3に記載のPLL回路。
【請求項5】
前記第2乃至第4の電源は実質的に同電位であることを特徴とする請求項2又は3に記載のPLL回路。
【請求項6】
前記第2の電圧電流変換回路は、前記リップルフィルタの出力電圧と基準電圧とを比較し、その差電圧を電流に変換する電圧電流変換回路であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載のPLL回路。
【請求項7】
前記基準電圧は、基準電圧配線を介して前記第2の電圧電流変換回路に供給され、前記基準電圧配線と前記第1の電源との間に接続された第3の抵抗と、前記基準電圧配線と前記第2の電源との間に接続された第4の抵抗とによって、値が設定されることを特徴とする請求項6に記載のPLL回路。
【請求項8】
前記第1乃至第4の抵抗は、実質的に同じ抵抗値であることを特徴とする請求項7に記載のPLL回路。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はPLL回路に関し、特に基準信号と出力信号との位相差に基づき生成される電圧信号のノイズを除去するフィルタを有するPLL回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置に搭載される発振回路としてPLL(Phase Locked Loop)回路が多く用いられている。PLL回路は、基準信号の位相と出力信号の位相とが同期するように出力信号の発振周波数を制御する。
【0003】
従来例1として、一般的なPLL回路100のブロック図を図2に示す。図2に示すように、PLL回路100は、分周器110、111、117、位相比較器112、チャージポンプ回路113、ループフィルタ114、電圧電流変換回路115、電流制御発振器116を有している。
【0004】
位相比較器112は、基準信号Finを分周した信号と、PLL回路100の出力信号Foutを分周した信号とを比較し、チャージポンプ回路113を制御する信号を出力する。チャージポンプ回路113は、電流を出力する。この電流は、位相比較器112の出力信号に基づいて流入方向又は流出方向になるように制御される。ループフィルタ114は、チャージポンプ回路113が出力する電流に基づいて電圧を生成する。また、ループフィルタ114は、生成される電圧に重畳される高周波ノイズ及びリップルノイズを除去する。電圧電流変換回路115は、ループフィルタ114を介して生成される電圧に応じた電流を生成する。電流制御発振器116は、電圧電流変換回路115が出力する電流に応じた周波数を有する信号を出力する。電流制御発振器116が出力する信号は、分周器117で分周されて出力信号Foutとなる。
【0005】
また、PLL回路の他の例が特許文献1〜3(従来例2〜4)に開示されている。従来例2にかかるPLL回路200のブロック図を図3に示す。図3に示すように、PLL回路200は、位相比較器211、チャージポンプ回路212、ループフィルタ213、加算器214、電圧制御発振器215を有している。
【0006】
PLL回路200のチャージポンプ回路212は、出力を2つ有している。この出力の一方は電流源IPRによって制御され、他方は電流源IPCによって制御される。そして、一方の出力と接地電圧との間には抵抗R1が接続され、他方の出力と接地電圧との間にはコンデンサC1が接続される。加算器214は、ループフィルタ213の抵抗R1で生成される電圧と、コンデンサC1によって生成される電圧とを加算する。そして、電圧制御発振器215は、加算器214によって生成される電圧に応じた周波数を有する出力信号を生成する。
【0007】
従来例1のループフィルタで生成される電圧v(s)は、コンデンサC2にはほとんど電流が流れ込まないと仮定すると、ラプラス領域にて、抵抗R1に流れる電流i(s)とコンデンサC1に流れる電流i(s)とによって式1によって求まる。(以降の式は全てラプラス領域で表すものとする。)
v(s)=R×i(s)+i(s)/sC ・・・ 式1
【0008】
また、従来例2のループフィルタ213で生成される電圧は、式1の第1項と第2項とがそれぞれ抵抗R1が接続される配線とコンデンサC1が接続される配線に生成される。従来例2では、別々に生成された電圧を加算器214で加算することで、従来例1と同様の電圧を生成するものである。そして、PLL回路200は、電流源IPR及び電流源IPCの電流値を調節することで、容量値の小さなコンデンサC1であっても、式1の関係を満たすことが可能である。これによって、PLL回路200は、回路面積に占めるコンデンサC1の割合を小さくすることが可能である。
【0009】
従来例3にかかるPLL回路300のブロック図を図4に示す。図4に示すようにPLL回路300は、第1のチャージポンプ回路312、第1のループフィルタ313、第1の電圧電流変換回路314、第1の同相電圧制御回路315を有する第1の電流生成回路と、第2のチャージポンプ回路316、第2のループフィルタ317、第2の電圧電流変換回路318、第2の同相電圧制御回路319を有する第2の電流生成回路とを有している。
【0010】
PLL回路300は、第1の電流生成回路にて基準信号Finと出力信号Foutとの位相差の積分値に基づき電流制御発振器320を制御する電流を生成する。また、第2の電流生成回路は、基準信号Finと出力信号Foutとの位相差のオフセットを制御する。これによって、PLL回路300は、位相差オフセットを低減した出力信号Foutを生成することが可能である。なお、第1のチャージポンプ回路312と第2のチャージポンプ回路316とは、同じ回路構成である。
【0011】
従来例4にかかるPLL回路のブロック図を図5に示す。なお、図5に示されるブロック図は、従来例1にかかるPLL回路100のループフィルタ114に相当する部分を示すものである。図5に示されるループフィルタ400は、第1のフィルタ手段410、電流生成手段411、第2のフィルタ手段412、加算手段413を有している。
【0012】
第1のフィルタ手段410は、基準信号に応じて、第1の電圧を生成する。そして、第1の電圧に基づいて第1の電流を生成し、電流生成手段に第1の電流を出力する。電流生成手段411は、第1の電流に対して所定比を有する第2の電流を生成する。この第2の電流は第2のフィルタ手段によって、第2の電圧に変換される。そして、加算手段413は、第1の電圧と第2の電圧とを加算した出力信号を生成する。第1のフィルタ手段、第2のフィルタ手段は、一般的に大きな容量値を有するコンデンサを用いるが、ループフィルタ400によれば、この容量値を小さくすることが可能である。
【特許文献1】特開平7−79159号公報
【特許文献2】特開2001−119296号公報
【特許文献3】特表2005−520455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来例1で示したPLL回路100では、チャージポンプ回路で発生するノイズを除去するために大きな容量値を有するコンデンサC1が必要である。これに対して、従来例2では、コンデンサC1の容量値を低減することが可能である。しかしながら、従来例2のPLL回路200は、電圧を加算する必要があり、回路規模が増大する問題がある。一般的に、互いの配線を接続するだけでは電圧を加算することはできない。電圧の加算を行う場合、例えばオペアンプなどを利用した加算器が必要である。また、従来例2のPLL回路200のループフィルタ114は、チャージポンプ回路で発生する周波数の高いノイズのみを除去することを目的としているため、周波数の低いリップルノイズを除去することができない。そのため、出力信号の位相の安定度が悪化する問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかるPLL回路は、位相比較器の出力信号に応じて出力電流を制御する第1のチャージポンプ回路と、前記第1のチャージポンプ回路が出力する電流に基づき発生する電圧信号から所定の周波数成分を除去する積分フィルタと、前記位相比較器の出力信号に応じて前記第1のチャージポンプ回路より大きな電流を出力し、当該電流を制御する第2のチャージポンプ回路と、前記第2のチャージポンプ回路が出力する電流に基づき発生する電圧信号からリップル成分を除去するリップルフィルタと、前記積分フィルタの出力電圧を電流に変換する第1の電圧電流変換回路と、前記リップルフィルタの出力電圧を電流に変換する第2の電圧電流変換回路と、前記第1及び第2の電圧電流変換回路の出力電流の合計値に基づいた発振周波数で発振する電流制御発振器とを備え、前記電流制御発振器の出力信号を前記位相比較器に帰還させるものである。
【0015】
本発明にかかるPLL回路によれば、第1のチャージポンプ回路が出力する電流と積分フィルタの容量値の比によって求まる伝達関数が一定となるように、第1のチャージポンプ回路の出力電流と積分フィルタの容量値を変更することが可能である。つまり、第1のチャージポンプ回路の出力電流を小さくすることで、積分フィルタの容量値を小さくすることが可能である。これによって、本発明にかかるPLL回路は、積分フィルタにかかるコンデンサの大きさを小さくし、PLL回路の回路面積を削減することが可能である。
【0016】
さらに、本発明にかかるPLL回路は、リップルフィルタを有している。そのため、第2のチャージポンプ回路で発生するリップルノイズを低減することが可能である。
【0017】
また、積分フィルタ及びリップルフィルタの出力は、それぞれ第1、第2の電圧電流変換回路によって電圧から電流に変換される。そのため、本発明にかかるPLL回路は、電圧を加算する必要がなく、単に配線を接続するのみで、積分フィルタ及びリップルフィルタの出力結果を加算することが可能である。これによって、簡単な回路構成でありながら、ノイズ成分の少ない電流を電流制御発振器に供給することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかるPLL回路によれば、回路面積を削減と、位相安定度の高い出力信号の生成とが可能である。
【0019】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に実施の形態1にかかるPLL回路1のブロック図を示す。図1に示すように、PLL回路1は、分周器10、11、21、位相比較器12、第1のチャージポンプ回路13、積分フィルタ14、第1の電圧電流変換回路15、第2のチャージポンプ回路16、リップルフィルタ17、第2の電圧電流変換回路18、基準電圧生成回路19、電流制御発振器20を有している。
【0020】
分周器10は、基準信号Finを分周した信号を出力する。分周器11は、出力信号Foutを分周した信号を出力する。位相比較器12は、分周器10の出力信号と分周器11の出力信号との位相差に基づき、電圧上昇信号UPと電圧下降信号DNとを出力する。電圧上昇信号UPと電圧下降信号DNは、例えばパルス信号である。そして、分周器10の出力信号に対して分周器11の出力信号の位相が遅れている場合は、電圧上昇信号UPのパルス幅を電圧下降信号DNのパルス幅よりも長くする。一方、分周器10の出力信号に対して分周器11の出力信号の位相が進んでいる場合は、電圧上昇信号UPのパルス幅を電圧下降信号DNのパルス幅よりも短く。そして、分周器10の出力信号の位相と分周器11の出力信号の位相とが一致している場合は、電圧上昇信号UPのパルス幅と電圧下降信号DNのパルス幅とを同じ長さにする。
【0021】
第1のチャージポンプ回路13は、電圧上昇信号UPと電圧下降信号DNとに基づき出力電流を制御する。例えば、電圧上昇信号UPのパルス幅が電圧下降信号DNのパルス幅よりも長い場合、そのパルス幅の差に相当する期間の間電流αIcpを流出させる。一方、電圧上昇信号UPのパルス幅が電圧下降信号DNのパルス幅よりも短い場合、そのパルス幅の差に相当する期間の間電流αIcpを流入させる。ここで、αは、0〜1間での値である。そして、α=1である場合、第1のチャージポンプ回路13が出力する電流はIcpとなり、この電流は、第2のチャージポンプ回路16が出力する電流Icpと同じ電流量である。
【0022】
積分フィルタ14は、第1のチャージポンプ回路13が動作することで発生する所定の周波数成分を有する信号(例えば、高周波ノイズ)を除去する。積分フィルタ14は、コンデンサC1を有している。コンデンサC1は、第1のチャージポンプ回路13の出力と第4の電源(例えば、接地電圧)との間に接続される。第1のチャージポンプ回路13が出力する電圧は、第1のチャージポンプ回路13が出力する電流αIcpとコンデンサC1の容量値αCとによって設定される。第1のチャージポンプ回路13の出力電圧は、積分フィルタ14の伝達関数であり、次式によって表される。ここで、第1のチャージポンプ回路13が出力する電流αIcpをαi(s)、コンデンサC1の容量値をαC、第1のチャージポンプ回路13の出力電圧をv1(s)とすると、この伝達関数は、式2によって表される。なお、コンデンサC1の容量値に関するαは、第1のチャージポンプ回路13のαと同じ値である。
v1(s)=αi(s)/sαC ・・・ 式2
【0023】
第1の電圧電流変換回路15は、積分フィルタを介して第1のチャージポンプ回路13が出力する電圧に応じた電流を出力する。つまり、第1の電圧電流変換回路15が生成する電流は、積分フィルタ14によって、高周波ノイズが取り除かれた電圧から生成されたものである。従って、第1の電圧電流変換回路15が生成する電流は、高周波ノイズ成分が低減されたものとなる。
【0024】
第2のチャージポンプ回路16は、電圧上昇信号UPと電圧下降信号DNとに基づき出力電流を制御する。例えば、電圧上昇信号UPのパルス幅が電圧下降信号DNのパルス幅よりも長い場合、そのパルス幅の差に相当する期間の間電流Icpを流出させる。一方、電圧上昇信号UPのパルス幅が電圧下降信号DNのパルス幅よりも短い場合、そのパルス幅の差に相当する期間の間電流Icpを流入させる。
【0025】
リップルフィルタ17は、第2のチャージポンプ回路16が動作することで発生する高周波ノイズ(例えば、リップルノイズ)を除去する。リップルフィルタ17は、第1の抵抗(例えば、抵抗R1)、第2の抵抗(例えば、抵抗R2)、コンデンサC2を有している。抵抗R1は、第1の電源(例えば、電源電圧)と第2のチャージポンプ回路16の出力との間に接続される。抵抗R2は、第2の電源(例えば、接地電圧)と第2のチャージポンプ回路16の出力との間に接続される。コンデンサC2は、第2のチャージポンプ回路16の出力と第3の電源(例えば、接地電圧)との間に接続される。リップルフィルタ17において、コンデンサC2は、第2のチャージポンプ回路16の出力で発生するノイズのうち周波数の高いリップルノイズを除去する。
【0026】
ここで、抵抗R1、R2の抵抗値を同じ2Rとすると、第2のチャージポンプ回路16の出力電圧は、直流電圧としては電源電圧の半分の値となる。一方、交流電圧として第2のチャージポンプ回路16の出力電圧を考えると、出力電圧は、抵抗値がRと出力電流Icpとの積で表される。つまり、第2のチャージポンプ回路16の出力電圧をv2(s)、出力電流Icpをi(s)とすると、リップルフィルタの伝達関数は、式3によって表される。なお、ここでは、コンデンサC2にはほとんど電流が流れ込まないものとする。
v2(s)=R×i(s) ・・・ 式3
【0027】
第2の電圧電流変換回路18は、リップルフィルタ17を介して第2のチャージポンプ回路16が出力する電圧と、基準電圧生成回路19が生成する基準電圧との差電圧に応じた電流を出力する。後述するが、基準電圧は、リップルフィルタと同じ値を有する直流電圧であって、第2のチャージポンプ回路16の動作に起因するリップルノイズの影響を受けない電圧である。つまり、第2の電圧電流変換回路18が生成する電流は、積分フィルタ14によって、高周波ノイズが取り除かれた電圧から生成されたものである。従って、第2の電圧電流変換回路18が生成する電流は、第2のチャージポンプ回路16の動作に起因するリップルノイズ成分が低減されたものとなる。
【0028】
基準電圧生成回路19は、第3の抵抗(例えば、抵抗R3)、第4の抵抗(例えば、抵抗R4)とを有している。抵抗R3は、第5の電源(例えば、電源電圧)と基準電圧生成回路19の出力配線との間に接続されている。抵抗R4は、第6の電源(例えば、接地電圧)と基準電圧生成回路19の出力配線との間に接続されている。抵抗R3、R4は、それぞれ抵抗R1、R2と実質的に同じ抵抗値であることが好ましい。また、基準電圧生成回路19の出力配線と接地電圧との間に、コンデンサC2と同じ容量値を有するコンデンサC3を接続しても良い。これによって、リップルフィルタ17で発生する電源電圧ノイズによる影響と基準電圧生成回路19で発生する電源電圧ノイズによる影響とを同じものとすることが可能である。第2の電圧電流変換回路18は、第2のチャージポンプ回路16が出力する電圧と基準電圧との差電圧に応じた電流を出力する。そのため、リップルフィルタ17と基準電圧生成回路19で発生する電源電圧ノイズによる影響が同じものであれば、この電源電圧ノイズによる影響に関する差電圧は、第2の電圧電流変換回路18によって相殺される。つまり、第2の電圧電流変換回路18の出力に対する電源電圧ノイズによる影響を低減することが可能である。
【0029】
電流制御発振器20は、入力される電流の電流量に応じて出力する信号の発振周波数を変更する。本実施の形態における入力電流は、第1の電圧電流変換回路15の出力電流と電圧電流変換回路18の出力電流とを合計したものである。電流制御発振器20の出力信号は、分周器21で分周される。そして、分周器21の出力がPLL回路1の出力信号Foutとなる。この出力信号Foutは、分周器11にフィードバックされる。
【0030】
ここで、PLL回路1の動作について説明する。PLL回路1は、基準信号Finを分周器10で分周する。また、出力信号Foutを分周器11で分周する。そして、分周器10の出力と分周器11の出力との位相を位相比較器12で比較する。そして、位相比較器12は、その位相差に基づいて、電圧上昇信号UPと電圧下降信号DNとを生成する。電圧上昇信号UPのパルス幅と電圧下降信号DNのパルス幅との差に基づいて、第1のチャージポンプ回路13及び第2のチャージポンプ回路16は、電流を出力する。ここで出力される電流は、例えば電圧上昇信号UPのパルス幅が電圧下降信号DNのパルス幅よりも長ければ、チャージポンプ回路から流出される方向になる。一方、電圧上昇信号UPのパルス幅が電圧下降信号DNのパルス幅よりも短ければ、チャージポンプ回路に流入する方向になる。
【0031】
第1のチャージポンプ回路13から出力される電流は、積分フィルタ14のコンデンサC1で電圧に変換される。このとき、積分フィルタ14は、第1のチャージポンプ回路13が動作することによって発生する高周波ノイズを除去する。また、積分フィルタ14によって変換された電圧値は、第1のチャージポンプ回路13の出力電流が流出方向である場合に上昇し、流入方向である場合に下降する。そして、第1の電圧電流変換回路15は、積分フィルタ14によって変換された電圧値に応じた電流を出力する。なお、第1のチャージポンプ回路13から出力される電流は、第2のチャージポンプ回路16から出力される電流のα倍(αは、0〜1の値)である。
【0032】
一方、第2のチャージポンプ回路16から出力される電流は、リップルフィルタ17を介して電圧に変換される。本実施の形態では、リップルフィルタ17は直流電圧としては、電源電圧の半分の電圧値を出力する。また、交流電圧としては、第2のチャージポンプ回路16の出力電流に応じた変動をする。この交流電圧の変動がリップルノイズとなる。リップルフィルタ17は、このリップルノイズを低減する。そして、リップルノイズのレベルを低減した電圧が第2の電圧電流変換回路18に入力される。第2の電圧電流変換回路18は、基準電圧生成回路19で生成される基準電圧と、リップルフィルタ17を介して入力される電圧とを比較する。そして、その差電圧に応じた電流を出力する。この第2の電圧電流変換回路18の使用範囲における電圧電流変換特性は、第1の電圧電流変換回路15と等しいものとする。
【0033】
第1の電圧電流変換回路15の出力と第2の電圧電流変換回路18の出力とは、互いに接続された後に電流制御発振器20に入力される。つまり、電流制御発振器20に入力される電流は、第1の電圧電流変換回路15の出力電流と第2の電圧電流変換回路18の出力電流とを足し合わせたものとなる。ここで、電流制御発振器20に入力される電流に対応する電圧v(s)は、上記式2、3を足し合わせたものとなるため、式4によって表すことができる。ここでは、コンデンサC2にはほとんど電流が流れないものとして近似している。
v(s)=v2(s)+v1(s)
=R×i(s)+αi(s)/sαC
=R×i(s)+i(s)/sC ・・・ 式4
【0034】
式4より、本実施の形態の積分フィルタ14及びリップルフィルタ17によって生成される伝達関数は、従来のPLL回路のループフィルタの伝達関数と同じものとなる。このような電圧に応じて生成された電流に基づき、電流制御発振器20は出力信号の発振周波数を制御する。そして、電流制御発振器20の出力信号を分周器21で分周することで出力信号Foutは生成される。また、出力信号Foutは、フィードバックされて、基準信号Finとの位相比較される。これによって、出力信号Foutの位相は、基準信号Finの位相と同期されたものとなる。
【0035】
上記説明より、本実施の形態にかかるPLL回路1によれば、式4にかかる第1項の電圧値と第2項の電圧値とをそれぞれリップルフィルタ17と積分フィルタ14とで個別に生成する。そして、個別に生成された電圧値に応じた電流を足し合わせることで、式4に示される電圧値に相当した電流を生成し、電流制御発振器20を制御する。つまり、リップルフィルタ17と積分フィルタ14とを異なる電流で動作させることが可能である。これによって、積分フィルタ14に供給される電流をリップルフィルタ17に供給される電流よりも少なくすることが可能である。また、積分フィルタ14に供給される電流とリップルフィルタ17に供給される電流との比αに基づいて、積分フィルタ14のコンデンサC1の値を小さくすることが可能である。
【0036】
このとき、コンデンサの容量値Cは、従来例1のPLL回路100のループフィルタ114のコンデンサC1と同じ容量値である。そして、本実施の形態のコンデンサC1の容量値は、容量値Cのα倍となるαCであって、容量値αCは容量値Cよりも小さな値である。また、積分フィルタ14に供給される電流は、リップルフィルタ17に供給される電流i(s)のα倍とすることが好ましい。この電流値i(s)は、従来例1のPLL回路100のチャージポンプ回路113の出力電流と同じ電流値である。これによって、式2における電流i(s)にかかるαとコンデンサの容量値Cにかかるαとが相殺され、式4における第2項を従来のPLL回路と同等のものとすることが可能である。
【0037】
つまり、本実施の形態にかかるPLL回路1は、コンデンサC1の容量値を低減させることが可能である。また、コンデンサC1の容量値が低減することで回路面積を削減することが可能である。コンデンサC1の容量値は、例えば従来のPLL回路100では、PLL回路100の回路面積のうち約半分を占める場合もあった。このコンデンサC1にかかる回路面積を低減することは、回路面積を低減する上で効果が非常に大きい。
【0038】
また、抵抗R1〜R4の抵抗値は、従来例1のPLL回路100のループフィルタ114の抵抗R1の抵抗値をRとすると、2倍の抵抗値2Rである。また、コンデンサC2(容量値C2)にも微少な電流が流れる影響が無視出来ない場合には、抵抗R1〜R4の抵抗値は2R×C/(C+C2)とし、同様に、リップルフィルタ17に供給される電流はi(s)×C/(C+C2)とし、積分フィルタ14に供給される電流はαi(s)×C/(C+C2)として補正することで、本実施の形態のループフィルタの伝達関数は、従来のPLL回路のループフィルタの伝達関数と全く同じものとなる。
【0039】
また、本実施の形態にかかるPLL回路1では、リップルフィルタ17と同じ構成を有する基準電圧生成回路19によって生成される基準電圧とリップルフィルタ17で生成される電圧との電圧差に応じた電流を生成している。これによって、電源電圧に混入したノイズの影響は、第2の電圧電流変換回路18で除去される。従って、本実施の形態にかかるPLL回路1は、電源電圧に混入したノイズに起因した発振周波数の変動を防止することが可能である。
【0040】
さらに、本実施の形態にかかるPLL回路1は、積分フィルタ14を介して生成される電圧とリップルフィルタ17を介して生成される電圧とをそれぞれ電圧電流変換回路で電流に変換する。そして、変換後の電流を足し合わせる。電流の足し合わせは、配線を接続するのみで行うことが可能である。つまり、本実施の形態にかかるPLL回路1では、従来のように電圧を加算するために、オペアンプ等の回路を使用した加算器が必要ない。従って、本実施の形態にかかるPLL回路1は、従来のPLL回路に比べて回路を簡略化することが可能である。
【0041】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態では、電流i(s)にかかるαの値とコンデンサの容量値Cにかかるαの値とを同じにしたが、電流i(s)にかかるαの値をコンデンサの容量値Cにかかるαの値とよりも小さくすることも可能である。これによって、電流制御発振器20に供給される電流に含まれるノイズ成分をさらに低減することが可能である。つまり、本発明にかかるPLL回路1によれば、回路面積と発振周波数を制御する電流に含まれるノイズ成分のレベルとの関係の自由度を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施の形態1にかかるPLL回路のブロック図である。
【図2】従来例1にかかるPLL回路のブロック図である。
【図3】従来例2にかかるPLL回路のブロック図である。
【図4】従来例3にかかるPLL回路のブロック図である。
【図5】従来例4にかかるPLL回路のブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
1 PLL回路
10、11、21 分周器
12 位相比較器
13 第1のチャージポンプ回路
14 積分フィルタ
15 第1の電圧電流変換回路
16 第2のチャージポンプ回路
17 リップルフィルタ
18 第2の電圧電流変換回路
19 基準電圧生成回路
20 電流制御発振器
【出願人】 【識別番号】302062931
【氏名又は名称】NECエレクトロニクス株式会社
【出願日】 平成18年8月21日(2006.8.21)
【代理人】 【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健


【公開番号】 特開2008−48320(P2008−48320A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−224041(P2006−224041)