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【発明の名称】 変調回路方式及びその電圧制御発振器
【発明者】 【氏名】石井 誠

【要約】 【課題】PLLループの電圧制御発振器にかかる回路負担を抑えることにより、電圧制御発振器の性能が低下することの無い変調回路方式及びその電圧制御発振器を提供することを目的とする。

【構成】電圧制御発振器12を具備するPLLループと、変調信号とPLLループ外調整電圧とを加算する加算手段17と、加算手段17の出力を電圧制御発振器12へ供給する周波数粗調整手段18とを有し、加算手段17において加算されて出力された、変調信号とPLLループ外調整電圧との加算信号を、周波数粗調整手段18を介して電圧制御発振器12へ供給し、PLLループにおける電圧制御発振器12の発振周波数信号に加算信号を重畳して変調信号を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧制御発振器を具備するPLLループと、変調信号とPLLループ外調整電圧とを加算する加算手段と、前記加算手段の出力を前記電圧制御発振器へ供給する周波数粗調整手段とを有し、
前記加算手段において加算されて出力された、前記変調信号と前記PLLループ外調整電圧との加算信号を、前記周波数粗調整手段を介して前記電圧制御発振器へ供給し、前記PLLループにおける前記電圧制御発振器の発振周波数信号に前記加算信号を重畳して変調信号を生成することを特徴とする変調回路方式。
【請求項2】
前記加算手段に換わり、前記PLLループ外調整電圧に、カップリングキャパシタを介して前記変調信号を重畳し、前記周波数粗調整手段に入力することを特徴とする請求項1に記載の変調回路方式。
【請求項3】
変調回路のない受信用電圧制御発振器であって、発振周波数信号に、変調信号とPLLループ外調整電圧との加算信号、又は、前記カップリングキャパシタを介して前記変調信号を重畳した前記PLLループ外調整電圧を前記発振周波数信号に重畳して、変調信号を生成することを特徴とすることを特徴とする電圧制御発振器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、PLLループを用いた変調回路方式に関し、詳しくは、PLLループの電圧制御発振器にPLLループ外調整電圧供給手段と変調手段を共存させる変調回路方式及びその電圧制御発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の第1の変調回路方式を示す回路ブロック図である。図4において、PLL10は、位相比較器及び分周器を有する。基準発振器(VC−TXCO)14が位相比較器に接続され、マイコン15の一方の端子が分周器に接続されたPLL10は、ループフィルタ11と電圧制御発振器(VCO)12とローパスフィルタ(LPF)13とにより閉ループを構成し、従来のPLLループを形成している。マイコン15の他方の端子はA/D−D/Aコンバータ16に接続されている。A/D−D/Aコンバータ16は、周波数粗調整回路18と変調回路23とに接続され、周波数粗調整回路18と変調回路23とは、VCO12に接続されている。またA/D−D/Aコンバータ16には、変調信号が入力されている。
【0003】
マイコン15は、PLL10の分周器の分周比を制御し、位相比較器は、分周器の出力信号とVC−TXCO14の出力信号との位相を比較する。ループフィルタ11は、位相比較器で比較された位相比較結果を基に制御電圧を生成し、VCO12は、この制御電圧により決定される所定の発振周波数を発生する。その後マイコン15は従来の方法により、PLL10からPLLループ周波数が所定の値にロックされていることを確認する。LPF13は、VCO12から分周器にフィードバックする信号に含まれる高調波成分をカットする。またマイコン15は、A/D−D/Aコンバータ16を制御して、入力された変調信号のレベルを所定のレベルに調整し、A/D−D/Aコンバータ16は、レベル調整された変調信号を変調回路23へ出力する。VCO12の発振周波数信号に変調回路23の変調信号を重畳させて変調が行われる。
【0004】
さらにマイコン15は、A/D−D/Aコンバータ16が個別に有するD/Aコンバータを制御して、PLLループ外調整電圧を生成し、A/D−D/Aコンバータ16は、生成されたPLLループ外調整電圧を周波数粗調整回路18へ出力する。周波数粗調整回路18は、周波数帯切り替え時のロックアップタイムの短縮のため、周波数切り替え前と同じPLL制御電圧で周波数帯が切り替るように、A/D−D/Aコンバータ16で設定されたPLLループ外調整電圧を基に、VCO12の発振周波数を制御する。特許文献1には、切り替え前のPLLループの制御電圧と同一制御電圧で、切り替え後の発信周波数帯の発振周波数となるように、電圧制御発振器の発振周波数を制御するループ外調整電圧を、電圧制御発振器に供給する手段が記載されている。
【特許文献1】特許第3302301号公報
【0005】
図5は、従来の第2の変調回路方式を示す回路ブロック図である。図5において、広い周波数帯域をカバーするため、図4のVCOに相当する第1VCO12と第1変調回路23に対して、第2VCO20と第2変調回路24と、周波数帯域を切り替るための切り替えスイッチ21が新たに加わっている。切り替えスイッチ21は、マイコン15により制御されて第1及び第2VCO12、20のいずれかを活性化し、周波数帯域を切り替えている。このように従来においては、周波数粗調整回路と変調回路との複数の回路がVCOに直接付加されるため、VCOに流入するノイズの経路も複数となり、S/N、C/N性能の劣化を招くばかりでなく、特性のばらつきの原因となっていた。また、VCOが複数になる場合にはVCOの数だけ変調回路を必要とし、回路構成が複雑になると共にコストも増大していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、発振機能及び変調機能を共存させることにより、個別の変調回路を不用とするPLLループの電圧制御発振器による変調回路方式及びその電圧制御発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の変調回路方式は、電圧制御発振器を具備するPLLループと、変調信号とPLLループ外調整電圧とを加算する加算手段と、加算手段の出力を電圧制御発振器へ供給する周波数粗調整手段とを有し、加算手段において加算されて出力された、変調信号とPLLループ外調整電圧との加算信号を、周波数粗調整手段を介して電圧制御発振器へ供給し、PLLループにおける電圧制御発振器の発振周波数信号に加算信号を重畳して変調信号を生成することを特徴とする。
【0008】
本発明の変調回路方式は、前記加算手段に換わり、前記PLLループ外調整電圧に、カップリングキャパシタを介して前記変調信号を重畳し、前記周波数粗調整手段に入力することを特徴とする。
【0009】
本発明の電圧制御発振器は、変調回路のない受信用電圧制御発振器であって、発振周波数信号に、変調信号とPLLループ外調整電圧との加算信号、又は、前記カップリングキャパシタを介して前記変調信号を重畳した前記PLLループ外調整電圧を前記発振周波数信号に重畳して、変調信号を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電圧制御発振器の性能を向上できると共に、個別の変調回路を不用にすることができ、変調回路のない受信用電圧制御発振器を送信用に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明による変調回路方式の実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明による変調回路方式を示す回路ブロック図である。図1において、VC−TXCO14とマイコン15に接続されたPLL10は、ループフィルタ11とVCO12とLPF13とにより閉ループを構成し、従来のPLLループを形成している。またマイコン15に接続されているA/D−D/Aコンバータ16は、加算手段である加算回路17に接続されている。さらに加算器17は、周波数粗調整手段である周波数粗調整回路18に接続され、周波数粗調整回路18は、VCO12に接続されている。A/D−D/Aコンバータ16には、変調信号が入力されている。
【0012】
マイコン15は、PLL10を制御し、LPF13の出力信号とVC−TXCO14の出力信号との位相を比較する。ループフィルタ11は、位相比較器で比較された位相比較結果を基に制御電圧を生成し、VCO12は、この制御電圧により決定される所定の発振周波数を発生する。LPF13は、VCO12から分周器にフィードバックする信号に含まれる高調波成分をカットする。
【0013】
またマイコン15は、A/D−D/Aコンバータ16を制御して、入力された変調信号のレベルを所定のレベルに調整する。A/D−D/Aコンバータ16は、レベル調整された変調信号を加算回路17へ出力する。さらにマイコン15は、A/D−D/Aコンバータ16が個別に有するD/Aコンバータを制御して、PLLループ外調整電圧を生成し、A/D−D/Aコンバータ16は、生成されたPLLループ外調整電圧を加算回路17へ出力する。
【0014】
加算回路17は、例えば演算増幅器によりPLLループ外調整電圧とレベル調整された変調信号とを加算した加算信号を周波数粗調整回路18へ出力する。周波数粗調整回路18は、VCO12の発振周波数信号に加算信号を重畳させて変調を行う。このため、周波数粗調整回路18はVCO12に組み込まれてもよい。変調された被変調信号は送信手段(図示されず)へ出力され電力増幅されて送信される。このようにPLLループのVCO12に掛かる回路負担を抑えることが可能となるため、VCO12の性能の低下を無くすることができる。
【0015】
図2は、本発明による広い周波数帯域をカバーするための変調回路方式を示す回路ブロック図である。図2において、図1のVCOに相当する第1VCO12に対して、第2VCO20と、周波数帯域を切り替るための切り替えスイッチ21とが新たに加わっている。切り替えスイッチ21は、マイコン15により制御されて第1及び第2VCO12、20のいずれかを活性化し、周波数帯域を切り替えている。このように、従来の変調回路のような付加回路を伴わないでVCOを増加することが可能であるため、回路構成が簡単でコストの増大を抑えることができる。
【0016】
また、入力される変調信号のレベル調整が不要な場合は、A/D−D/Aコンバータ16によるレベル変換と加算器17とを省略しても良い。図3は、本発明による変調信号のレベル調整が不要な場合の変調回路方式を示す回路ブロック図である。図3において、入力された変調信号は、カップリングキャパシタ22によりPLLループ外調整電圧に直接重畳されて、周波数粗調整回路18へ入力されるため、回路構成をさらに簡素化することが可能となる。
【0017】
以上説明したように、本発明によると、VCOに対して周波数粗調整回路以外に従来の変調回路を別に付加する必要がないので、従来の変調回路が原因で発生していたVCOの性能劣化やばらつきを著しく緩和することができる。又、加算回路が1回路増えるが、従来はひとつまたは複数個あった変調回路がすべて必要なくなる為、コストダウンできる。さらに、変調回路の無い受信用VCOにも変調回路を付加することなくかつ性能を劣化させずに変調をかける事ができるようになるため、送信用VCOとして使用できるようになり、使用周波数帯域の広帯域化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による変調回路方式を示す回路。
【図2】本発明の広周波数帯域をカバーする変調回路方式を示す回路ブロック図。
【図3】本発明の変調信号のレベル調整が不要な場合の変調回路方式を示す回路ブロック図。
【図4】従来の第1の変調回路方式を示す回路ブロック図。
【図5】従来の第2の変調回路方式を示す回路ブロック図。
【符号の説明】
【0019】
10 PLL
11 ループフィルタ
12 電圧制御発振器(第1電圧制御発振器)
13 ローパスフィルタ
14 基準発振器
15 マイコン
16 A/D−D/Aコンバータ
17 加算回路
18 周波数粗調整回路
20 第2電圧制御発振器
21 スイッチ
22 カップリングキャパシタ
23 変調回路(第1変調回路)
24 第2変調回路
VCO 電圧制御発振器
LPF ローパスフィルタ
VC−TXCO 基準発振器
【出願人】 【識別番号】000003595
【氏名又は名称】株式会社ケンウッド
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠


【公開番号】 特開2008−11383(P2008−11383A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181908(P2006−181908)