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【発明の名称】 電圧制御発振装置及びその制御方法
【発明者】 【氏名】前田 龍男

【氏名】飯塚 浩

【氏名】田辺 賢

【要約】 【課題】発振周波数の離散的な調整機能を設けた電圧制御発振装置の調整が簡単かつ正確にできるようにする。

【構成】調整データの入力で、電圧制御発振部の発振周波数の可変範囲を複数段階に調整可能な構成とする。また、制御電圧データに従い、調整用の制御電圧を可変で発生させる制御電圧生成部を備える。その上で、調整用の制御電圧を可変で生成させ、その可変生成された調整電圧で電圧制御発振部の発振を、設定可能な最大周波数と最小周波数とし、その最大周波数と最小周波数とを計測する。その計測結果から中心周波数を計算し、計算された中心周波数を用いて、電圧制御発振部の適正な調整用の制御電圧を設定し、その設定された制御電圧に固定して、調整データを可変させて適正な調整データを設定する処理を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧により発振周波数が制御されると共に、調整データの入力で、発振周波数の可変範囲を複数段階に調整可能である電圧制御発振部と、
基準となる周波数を発振する基準発振部と、
前記電圧制御発振部の発振周波数と前記基準発振部の発振周波数とを比較する比較部とを備えて、
前記比較部での比較結果に応じて、適正な調整データを設定する電圧制御発振装置において、
前記調整データを適正に設定する過程において、前記電圧制御発振部に印加するための調整用制御電圧を、制御電圧データに従い、可変で発生させる制御電圧発生部と、
前記制御電圧データと前記調整データを設定する制御部とを備え、
前記制御部は、前記電圧制御発振部の発振を、最大周波数と最小周波数とし、その最大周波数と最小周波数を前記比較部の比較結果により計測し、その計測結果から中心周波数を計算し、その計算された中心周波数を用いて、適正な調整用制御電圧を発生させる制御電圧データを設定し、
前記調整用制御電圧を用いて、前記調整データを可変させて適正な調整データを設定することを特徴とする
電圧制御発振装置。
【請求項2】
請求項1記載の電圧制御発振装置において、
前記比較部は、前記基準発振部の発振周波数と前記電圧制御発振部の発振周波数との差分をカウントし、
前記制御部は、前記制御電圧データを可変で生成させる処理として、前記カウント結果から現在の制御電圧データが、最終候補になり得るか否か判断し、最終候補になり得ないと判断した場合に、どちらの発振周波数が早いか又は遅いかの情報を使用して、次の候補となる制御電圧データを使用した計測に移り、最終候補になり得ると判断した場合に、再度前記カウント結果の判断を行う処理を行い、前記比較部で最も差分が小さな候補値を適正な制御電圧データとして設定することを特徴とする
電圧制御発振装置。
【請求項3】
請求項1記載の電圧制御発振装置において、
前記比較部は、前記基準発振部の発振周波数と前記電圧制御発振部の発振周波数との差分をカウントし、
前記制御部は、前記調整データを可変で生成させる処理として、前記カウント結果から現在の調整データが、最終候補になり得るか否か判断し、最終候補になり得ないと判断した場合に、どちらの発振周波数が早いか又は遅いかの情報を使用して、次の候補となる調整データを使用した計測に移り、最終候補になり得ると判断した場合に、再度前記カウント結果の判断を行う処理を行い、前記比較部で最も差分が小さな候補値を、適正な調整データとして設定することを特徴とする
電圧制御発振装置。
【請求項4】
入力電圧により発振周波数が制御されると共に、調整データの入力で、発振周波数の可変範囲を複数段階に調整可能である電圧制御発振部と、
基準となる周波数を発振する基準発振部と、
前記電圧制御発振部の発振周波数と前記基準発振部の発振周波数とを比較する比較部とを備えて、
前記比較部での比較結果に応じて、適切な調整データを設定する電圧制御発振装置において、
前記調整データを適切に設定する過程において、前記電圧制御発振部に印加するための調整用制御電圧を発生させる制御電圧発生部と、
前記調整データを設定する制御部とを備え、
前記比較部は、前記基準発振部の発振周波数と前記電圧制御発振部の発振周波数との差分をカウントし、
前記制御部は、前記調整データを可変で生成させる処理として、前記カウント結果から現在の調整データが、最終候補になり得るか否か判断し、最終候補になり得ないと判断した場合に、どちらの発振周波数が早いか又は遅いかの情報を使用して、次の候補となる調整データを使用した計測に移り、最終候補になり得ると判断した場合に、再度前記カウント結果の判断を行う処理を行い、前記比較部で最も差分が小さな候補値を、適正な調整データとして設定することを特徴とする
電圧制御発振装置。
【請求項5】
入力電圧により発振周波数が制御されると共に、調整データの入力で、発振周波数の可変範囲を複数段階に調整可能である電圧制御発振部と、
基準となる周波数を発振する基準発振部と、
前記電圧制御発振部の発振周波数と前記発振部の発振周波数とを比較する比較部とを備えて、
前記比較部での比較結果に応じて、適正な調整データを設定する電圧制御発振装置の制御方法において、
前記調整データを適正に設定する過程において、前記電圧制御発振部に印加するための調整用制御電圧を、制御電圧データに従い、可変で発生させ、
前記制御電圧データと前記調整データを設定する際に、前記電圧制御発振部の発振を、最大周波数と最小周波数とし、その最大周波数と最小周波数を前記比較部の比較結果により計測し、その計測結果から中心周波数を計算し、その計算された中心周波数を用いて、適正な調整用制御電圧を発生させる制御電圧データを設定し、
前記調整用制御電圧を用いて、前記調整データを可変させて適正な調整データを設定することを特徴とする
電圧制御発振装置の制御方法。
【請求項6】
入力電圧により発振周波数が制御されると共に、調整データの入力で、発振周波数の可変範囲を複数段階に調整可能である電圧制御発振部と、
基準となる周波数を発振する基準発振部と、
前記電圧制御発振部の発振周波数と前記基準発振部の発振周波数とを比較する比較部とを備えて、
前記比較部での比較結果に応じて、適切な調整データを設定する電圧制御発振装置の制御方法において、
前記調整データを適切に設定する過程において、前記電圧制御発振部に印加するための調整用制御電圧を発生させ、
前記基準発振部の発振周波数と前記電圧制御発振部の発振周波数との差分をカウントし、
前記調整データを可変で生成させる処理として、前記カウント結果から現在の調整データが、最終候補になり得るか否か判断し、最終候補になり得ないと判断した場合に、どちらの発振周波数が早いか又は遅いかの情報を使用して、次の候補となる調整データを使用した計測に移り、最終候補になり得ると判断した場合に、再度前記カウント結果の判断を行う処理を行い、前記比較部で最も差分が小さな候補値を、適正な調整データとして設定することを特徴とする
電圧制御発振装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧により発振周波数が制御される電圧制御発振装置及びその制御方法に関し、特に、発振周波数の調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信の伝送レートの高速化や伝送帯域の高周波数化により、送信装置や受信装置が扱う周波数が高周波数化しており、送信処理や受信処理で必要とするクロックを生成させる発振装置についても、高周波数に対応したものが必要になっている。
【0003】
また、この種の機器が必要な発振装置として、オン・チップ・VCO(Voltage Controlled Oscillator)と称される集積回路化された電圧制御発振装置が使用されつつあるが、そのような集積回路化された電圧制御発振装置の場合には、素子の特性の不均一を補正するために、発振周波数の離散的な調整機能を設ける構成としてある。
【0004】
ここで、VCOの典型的な応用例であるPLL(Phase-locked Loop)について、図13を用いて説明する。
発振周波数が一定の基準発振器11と、制御電圧の入力により発振周波数が制御される電圧制御発振器(VCO)16とを用意する。電圧制御発振器16の発振出力(発振周波数)は、分周器15に供給し、周波数を1/nに分周する。基準発振器11と分周器15の出力は、位相比較器12に入力される。位相比較器12は、2つの入力の位相差に応じたパルスをチャージポンプ・ローパスフィルタ13に出力する。チャージポンプ・ローパスフィルタ13は、入力パルスを直流に変換し、VCO制御電圧を出力する。出力されたVCO制御電圧により、VCO16の発振周波数は制御される。
【0005】
このようなループ構成としてあることで、PLL(Phase-locked loop)回路が構成されて、電圧制御発振器16の発振周波数が、規定された周波数となる。
電圧制御発振器16は、少なくとも規定された周波数で発振可能である必要があり、これを保証するために、上述の離散的な調整機能を設ける場合が多い。
【0006】
特許文献1には、発振周波数の離散的な調整機能を設けた発振器の例についての開示がある。
【特許文献1】特開2006−14352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発振周波数の離散的な調整機能を設けた発振器を使用する場合、発振周波数の調整に手間と時間がかかる問題があった。特に、発振周波数がGHz帯の電圧制御発振装置においては、電圧制御発振装置の制御電圧による発振周波数の変化量を大きくすることができない問題があり、最適な調整に時間がかかる問題があった。
【0008】
また、発振周波数の離散的な調整を行う際には、従来、固定した調整用の制御電圧を電圧制御発振装置に与えて、それに対して発振装置の発振中心周波数のずれを補正するようにしてあった。従って、調整用の制御電圧に起因する補正誤差が発生していた。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、発振周波数の離散的な調整機能を設けた電圧制御発振装置の調整が簡単かつ正確にできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、調整データの入力で、電圧制御発振部の発振周波数の可変範囲を複数段階に調整可能な構成とする。また、制御電圧データに従い、調整用の制御電圧を可変で発生させる制御電圧生成部を備える。その上で、制御電圧データを可変することにより、可変生成された調整電圧で電圧制御発振部の発振を、設定可能な最大周波数と最小周波数とし、その最大周波数と最小周波数とを計測する。その計測結果から中心周波数を計算し、計算された中心周波数を用いて、電圧制御発振部の適正な調整用の制御電圧を設定し、その設定された制御電圧に固定して、調整データを可変させて適正な調整データを設定する処理を行う。
【0011】
このようにしたことで、制御電圧を可変設定して適正な制御電圧を調整する作業と、その後の発振周波数範囲を決める調整データの可変作業とが行われるようになる。
【0012】
第2の発明は、比較部で基準発振部の発振周波数と電圧制御発振部の発振周波数との差分をカウントし、制御電圧データを可変で生成させ、カウント結果から現在の制御電圧データが、最終候補になり得るか否か判断し、その判断で最終候補になり得ないと判断した場合に、どちらの発振周波数が早いか又は遅いかの情報を使用して、次の候補となる制御電圧データを使用した計測に移り、最終候補になり得ると判断した場合に、再度カウント結果の判断を行う処理を行い、比較部で最も差分が小さな候補値を、適正な制御電圧データとして設定する処理を行う。
【0013】
第3の発明は、比較部で基準発振部の発振周波数と電圧制御発振部の発振周波数との差分をカウントし、調整データを可変で生成させ、カウント結果から現在の調整データが、最終候補になり得るか否か判断し、その判断で最終候補になり得ないと判断した場合に、どちらの発振周波数が早いか又は遅いかの情報を使用して、次の候補となる調整データを使用した計測に移り、最終候補になり得ると判断した場合に、再度カウント結果の判断を行う処理を行い、比較部で最も差分が小さな候補値を、適正な調整データとして設定する処理を行う。
【0014】
このようにしたことで、いわゆるバイナリサーチで、適正な制御電圧データ、適正な調整データの検出が可能になる。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によると、制御電圧を可変設定して適正な調整用の制御電圧を発生させる作業と、その後の発振周波数範囲を決める調整データの可変作業とが行われ、制御電圧の最適化と、発振周波数範囲を決める調整データの最適化とが行われ、最適な調整が可能になる。
【0016】
第2、及び、第3の発明によると、いわゆるバイナリサーチで、適正な制御電圧データ、及び、適正な調整データの検出が可能になり、精度を保ちつつ調整時間を短縮することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図12を参照して説明する。
【0018】
図1は、PLL回路に、本例の電圧制御発振装置を適用した構成例を示した図である。
PLL10と調整ブロック20から構成されている。
PLL(Phase-locked loop)10は、基準発振器11、位相比較器12、チャージポンプ・ローパスフィルタ13、分周器14,15および電圧制御発振器(VCO)16、スイッチ17により構成される。電圧制御発振器16の出力は、分周器15で分周された後、分周器14でさらに分周される。分周器14の分周出力は、位相比較器12に供給される。
【0019】
スイッチ17は、チャージポンプ・ローパスフィルタ13の出力と、後述する制御電圧生成用デジタル/アナログ変換器27の出力とを切換えるスイッチである。スイッチ17で選択された信号は、電圧制御発振器16に制御電圧として供給される。
【0020】
ここで、本例の電圧制御発振器16は、制御電圧による発振周波数の可変範囲を、複数段階に調整可能とし、容量バンク調整データFcで、電圧制御発振器16内のコンデンサの容量を複数段階に調整することで、発振周波数の可変範囲を、複数段階に調整可能としてある。本例の場合、容量バンク調整データFcは、2ビット又は3ビットのデータとしてあり、後述する調整工程で適正な値に調整される。
適正な容量バンク調整データFcを選択することを以下では、発振周波数調整と呼ぶ。
【0021】
調整ブロック20は上記PLL10内の電圧制御発振器16の発振周波数調整を行うためのもので、分周部21,22、周波数比較部23、判定・制御部24、制御電圧生成用デジタル/アナログ変換器(D/A)27からなる。分周部21は、基準発振器11の出力を分周する。分周部22は、分周部15の出力を分周する。それぞれで分周された信号と、分周部15の出力は、周波数比較部23に供給する。
【0022】
発振周波数調整の際には、図2(a)に示すように、スイッチ17が調整ブロック20側(D/A27の出力)に閉じ、調整が終わると、図2(b)に示すように、スイッチ17はチャージポンプ・ローパスフィルタ13側に閉じる。このスイッチ17の制御は自動調整ブロック20内の判定・制御部24が行う。
また、PLL10の分周器が14、15に分割されているのは、調整ブロック20に必要な周波数を生成するためである。
【0023】
PLL10の閉ループ時の動作は、前述の通りである。
発振周波数が一定である基準発振器11の発振出力(発振周波数)は、分周器21に供給し、周波数を1/n1(n1は任意の整数)に分周する。分周された信号は、周波数比較部23に供給する。制御電圧の入力により発振周波数が制御される電圧制御発振器16の発振出力(発振周波数)は、分周器15に供給し、周波数を1/n2に分周する。分周器14、15、21、22の分周比は、等しいとは限らない。分周器15の出力、およびそれをさらに分周器22で分周したものを周波数比較部23に供給する。
【0024】
周波数比較部23は、2つの発振周波数(分周器21,22の出力)を比較して、周波数差を、分周期15の出力によりカウントし、結果を出力する。周波数差をカウントした結果は、判定・制御部24に供給される。
判定・制御部24は、入力されるカウント結果に基づき、容量バンク調整データFc、及び、電圧制御データAUTO_VFIXを可変出力することで、発振周波数調整を行う。
制御電圧生成用D/A27は、電圧制御データAUTO_VFIXに基づき、アナログ電圧を発生、発振周波数調整時には、スイッチ17を介し、電圧制御発振器16の制御電圧入力端子に供給し、発振周波数を制御する。
調整で得られた調整値については、例えば判定・制御部24内のレジスタ(図示せず)に格納して、その値を設定して作動させる。
【0025】
なお、本例の制御電圧生成用D/A27は、電圧制御発振器16の中心周波数の温度変化を打ち消す温度特性を持つ回路構成とすることが望ましい。例えば、温度を上げると、ある制御電圧に対する発振周波数は下がるので、それを打ち消す(発振周波数を一定に保つ)ために、制御電圧生成用D/A27は、温度を上げると発振周波数が上がる方向に出力が変化するよう回路構成とする。
【0026】
図3は、電圧制御発振器16の発振周波数と制御電圧の関係の例を示す特性図である。この例では、容量バンク調整データFcが2ビットの例としてあり、Fc=00、Fc=01、Fc=10、Fc=11の4種類がある。それぞれのデータ毎に、図3に示すように制御電圧を変化させることで、発振周波数が一定範囲で変化する。各特性の中心周波数を丸で示してある。発振周波数が変化する範囲は、一部重なりがあり、希望する周波数可変範囲がカバーできれば、その希望周波数可変範囲が含まれるいずれの周波数範囲の特性に設定してもよいが、基本的には中心周波数が使用周波数に近いことが好ましい。また、電圧制御発振器16を構成する素子の特性のバラツキにより、個々の発振器ごとの発振周波数範囲は異なる。
【0027】
次に、このような図1に示した電圧制御発振装置の発振周波数を調整する工程について説明する。本例の調整工程は、図4フローチャートに示したように行われる。即ち、まず、制御電圧生成用D/A27で生成させる制御電圧を適正化する調整を行う(ステップS1)。その後、電圧制御発振器16の容量バンク調整データFcの調整を行い、電圧制御発振器16の発振周波数範囲を適正化し(ステップS2)、処理を終了する。
【0028】
図5は、図4のフローチャートのステップS1での制御電圧を適正化する調整工程例を示した図である。図5(a)は調整工程のフローチャートであり、図5(b)は調整時の状態を示した図である。この例は、容量バンク調整データFcが4ビット、電圧制御データAUTO_VFIXが5ビットの例である。
まず、容量バンクの値を固定した値(ここではFc=4’b1000)に設定する(ステップS11)。この状態で、制御電圧Vcontを0[V]にし、判定・制御部24は、電圧制御発振器16の発振周波数をカウントする(ステップS12)。このときカウントされた周波数が、最小周波数Fminとなる。つづいて、制御電圧Vcontを最大電圧VDD(=1.8)[V]にして、電圧制御発振器16の発振周波数をカウントする(ステップS13)。このときカウントされた周波数が、最大周波数Fmaxとなる。そして、最小周波数Fminと最大周波数Fmaxの2つを割り算することで、中間周波数Fcenterを計算する(ステップS14)。
【0029】
中間周波数Fcenterを計算すると、計算した中間周波数Fcenterに最も近くなるような制御電圧調整データAUTOVFIX[4:0]をバイナリサーチにより探索する(ステップS15)。バイナリサーチの例については後述する。そしてAUTOVFIX[4:0]の値をレジスタ値として保持する(ステップS15)。ここで、上述例でFc=4’b1000としたのは、図3のように最適な制御電圧は容量バンク調整データFcにはほとんど依存しないことを利用している。
【0030】
図6は、図4のフローチャートのステップS2での電圧制御発振器16の容量バンク調整データFcを適正化する調整工程例を示した図である。図6(a)は調整工程のフローチャートであり、図6(b)は調整時の状態を示した図である。この例は、容量バンク調整データFcが4ビット、電圧制御データAUTO_VFIXが5ビットの例である。
まず、先の制御電圧調整(図5のフローチャートの処理)で求められたAUTOVFIX[4:0]の値を読み込む(ステップS21)。次に、電圧制御発振器16の発振周波数が、中心周波数(例えば4GHz)になるような容量バンクの値Fc[3:0]を、バイナリサーチで探索する(ステップS22)。そして探索された容量バンクの値Fc[3:0]の値をレジスタ値として保持する(ステップS23)。
【0031】
このようにして調整が終了すると、スイッチ17(図1)を調整ブロック20から切り離し、チャージポンプ13側に閉じて、図1に示したPLL10のループを閉じる。
【0032】
なお、制御電圧調整と容量バンク調整については、必ずしも、同じ頻度で実施する必要はない。即ち、例えば図7のフローチャートに示すように、電圧制御装置を含むシステムの電源ON時に、制御電圧調整を予め行う(ステップS31)。そして、電圧制御発振装置の状態が、スリープモード(発振器は停止している状態)から、セーブモード(データ送受信は行われていないが発振器は動作している状態)に移行したか否か判断する(ステップS32)。ここでセーブモードに移行したと判断すると、容量バンク調整を行う(ステップS33)。以降、電源が切れるまでの間、スリープモードからセーブモードに移行する毎に、容量バンク調整を繰り返すようにしてもよい。
【0033】
次に、図5のフローチャートのステップS15でのバイナリサーチ、及び図6のフローチャートのステップS22でのバイナリサーチの例について説明する。
まず、バイナリサーチの原理について、図8のフローチャートを参照して説明すると、例えば3ビットデータでバイナリサーチを行う際には、最初に基準となる3ビット(ここでは値100)をセットする(ステップS41)。そして、その値をセットした結果が、ターゲットより速いか否か判断する(ステップS42)。ターゲットより速い場合には、値010をセットし(ステップS43)、ターゲットより速いか否か判断する(ステップS44)。ターゲットより速い場合には、値001をセットし(ステップS45)、さらに、ターゲットより速いか否か判断する(ステップS46)。この判断で、ターゲットより速い場合には、値000をセットして終了する(ステップS47)。
【0034】
ステップS44でターゲットより速くない場合には、011をセットして終了する(ステップS48)。また、ステップS42でターゲットより速くない場合には、110をセットし(ステップS49)、ターゲットより速いか否か判断する(ステップS50)。ターゲットより速い場合には、値101をセットして終了する(ステップS51)。ステップS50でターゲットより速くない場合には、111をセットして終了する(ステップS52)。
【0035】
このようにして、目的とする高精度のために、比較は、ターゲットに対し一番近い速いもの、及び、遅いものについて行う必要があり、どちらが近いかについて、判断しうる分解能をもつことが必要である。そのため、調整候補値の設定アルゴリズムには、バイナリサーチが適している。バイナリサーチは、最上位ビットMSB=1、他のビット=0からスタートし、最適値を求める手法である。この場合には、Nビットのデータであるとすると、そのNビットをN回+(1回)比較することで、最適値の前後の試行を実施することができる。
【0036】
図9のフローチャートは、本例のバイナリサーチによる調整スキームの例(例1)を示したものである。まず、比較に必要な時間をM*N Clockとし(ステップS61)、設定値は、バイナリサーチに従い、更新されるとする。M*N カウントの精度での比較が必要であるのは、最終的に理想値に近い2つだけであるので、それ以外の部分では、バイナリサーチに必要な理想値と比較し、速いか遅いかだけの指標である。
【0037】
そこで、比較部13で周波数差がNカウントされるごとに(ステップS62)、最終設定になりえるかどうかの比較を行い(ステップS63)、最終設定になり得る場合のみ、次のステップに進み、最終設定になり得ない場合、設定更新に戻る。最終設定になり得る場合には、次のNカウントを行い(ステップS64)、同様に、最終設定になりえるかどうかの比較を行う(ステップS65)。このようにして、M*Nカウントまで比較を実施する(ステップS66)。
【0038】
そして、M*Nカウント後、差分が0か否か判断し(ステップS67)、0となった場合には、現設定を最適値として、比較を終了する(ステップS68)。差分が0でない場合には、差分は今までで最小か否か判断し(ステップS69)、最小である場合には、現設定を差分を一時的な最適設定として更新する(ステップS70)その後、バイナリサーチにもとづき、設定が最終であるか否か判断し(ステップS71)、最終である場合は、現状の一時的な最適設定を最適設定として、調整を終了する(ステップS72)。最終でない場合は、ステップS61に戻る。
【0039】
このようにして、バイナリサーチで制御電圧調整データAUTOVFIX又は容量バンクの値Fcを求めることができる。
【0040】
なお、図9のフローチャートでは、ステップS63、ステップS65などで最終設定になり得るか否か判断するとしたが、これの具体的な処理としては、比較部13がカウントした差分値が、一定量以下であるか否か判断することが最も単純である。
図10のフローチャートは、この場合の例を示したものである。まず、設定更新すると(ステップS81)、比較部13で周波数差がNカウントされるごとに(ステップS82)、差分値が一定量L以下であるかどうかの比較を行い(ステップS83)、一定量L以下の場合のみ、次のステップに進み、最終設定になり得ない場合、設定更新に戻る。一定量L以下の場合には、次のNカウントを行い(ステップS84)、同様に、差分値が一定量L以下であるかどうかの比較を行い(ステップS85)。このようにして、M*Nカウントまで比較を実施する(ステップS86)。
【0041】
そして、M*Nカウント後、差分が0か否か判断し(ステップS87)、0となった場合には、現設定を最適値として、比較を終了する(ステップS88)。差分が0でない場合には、差分は今までで最小か否か判断し(ステップS89)、最小である場合には、現設定の差分を一時的な最適設定として更新する(ステップS90)その後、バイナリサーチにもとづき、設定が最終であるか否か判断し(ステップS91)、最終である場合は、現状の一時的な最適設定を最適設定として、調整を終了する(ステップS92)。最終でない場合は、ステップS81に戻る。
【0042】
なお、この図10のフローチャートに示した一定量Lは、必ずしも固定値である必要はなく、段階に応じて可変させてもよい。この段階に応じて可変させる例について説明すると、まず、最終候補値になるかどうかを判定する固定の基準をL_lastとする。
L_lastは、電圧制御発振器14のステップ間隔に相当するN*Mカウント比較後のエラーをL_stepとし、非同期による誤差をE0(典型的には1)、マージンをL_maとすると、一例としてL_lastは以下となる。
L_last = L_step/2 + E0 + L_ma
これを全てのステップに適用することは可能であるが、例えば、N*2カウント後については、以下とすることにより、最終候補となりえないことを早く判定することが可能となる。
L_2 = (L_step/2) / (M/2) + E0 + L_ma
なお、以上ではL_maを一定としているが、これを変化させることも可能である。
【0043】
実際に実装する場合を考慮すると、設定更新後、発振器など他のアナログブロックが定常状態に達するまでは一定の時間を要する。基本的には比較開始までに、ウエイトをいれ、この問題を回避するが、完全ではない。そのため、上記のような設定において、Mが小さい(短い時間で判定)する場合に、L_maを大きくしておくことなどの対応が有効である。
【0044】
また、図9のフローチャートにおいて、ステップS69での差分は今までで最小かという判断を行う際に、今までの最適値と同じ場合、その後の電圧制御発振器の周波数変化を考慮し、同じ場合は、設定値の小さいほうをとるなどすることが有効である。
即ち、図11のフローチャートに示すように、ステップS67で差分が0でない場合に、差分は今までの最小と等しいか否か判断し(ステップS73)、今までの最小と等しい場合に、現設定が今までの最適設定より大きいか判断し(ステップS74)、大きくない場合にステップS70に進んで、現設定と差分を一時的な最適設定として更新させる。そして、ステップS73で最小と等しくない場合に、ステップS69の処理に移る。また、ステップS74で、今までの最適設定より大きいと判断した場合には、ステップS70の処理後及びステップS69で最小でないと判断した場合と同様に、ステップS71に進む。その他の処理は、図9のフローチャートと同様の処理とする。
【0045】
この図11のフローチャートの処理を行うことで、例えば、調整時、システムの動作時において、消費電力が異なり、電圧制御発振器の発振周波数のシフトが見込める場合などに有効である。
【0046】
また、ここまでの例で説明した最終候補になりえるかの判断や、差分は0かの判断や、差分は今までで最小かの判断については、これらが必ずしも差分そのものである必要はなく、あるオフセットを持った値としてもよい。
即ち、例えば図10のフローチャートに対応した図12のフローチャートに示すように、ステップS83′及びステップS85′において、差分+DはL以下か判断し、ステップ87′において、差分+Dは0か判断し、ステップ89′において、差分+Dは今まで最小か判断する。差分+Dは、差分にオフセット(+D)を持たせた値である。その他の部分は、図10のフローチャートと同じである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態による構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるスイッチの切換え状態を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態による周波数−制御電圧の変化例を示す特性図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるVCO中心周波数制御例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施の形態による制御電圧調整例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態による容量バンク調整例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態の変形例(モード変化時の例)による制御例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態によるバイナリサーチの原理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態によるバイナリサーチの例(例1)を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施の形態によるバイナリサーチの例(例2)を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施の形態によるバイナリサーチの例(例3)を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施の形態によるバイナリサーチの例(例4)を示すフローチャートである。
【図13】従来のPLLの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
10…PLL、11…基準発振器、12…位相比較器、13…チャージポンプ・ローパスフィルタ、14,15…分周器、16…電圧制御発振器(VCO)、17…スイッチ、20…調整ブロック、21,22…分周器、23…周波数比較部、24…判定・制御部、27…制御電圧生成用デジタル/アナログ変換器
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100122884
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 芳末

【識別番号】100133824
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 仁恭


【公開番号】 特開2008−5141(P2008−5141A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171597(P2006−171597)