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【発明の名称】 超音波モータ及び超音波モータの振動検出方法
【発明者】 【氏名】舟窪 朋樹

【氏名】坂井 長英

【氏名】岡田 淳二

【要約】 【課題】縦振動および屈曲振動の双方の振動をそれぞれ独立した形で、容易に検出すること。

【構成】圧電セラミックシートを長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、各領域にまたがって配置されるとともに、各領域における占有面積が略同一になるように内部電極を配置し、該内部電極間の電位差に基づいて縦振動を検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動と屈曲振動とを同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータであって、
前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、隣接する2つの領域、または、全ての領域に、各前記領域における占有面積が略等しくなるように配置される第1の内部電極と、
前記第2の圧電素子において、前記第1の内部電極に対応する位置に配置される第2の内部電極と、
前記第1の内部電極と前記第2の内部電極との電位差に基づいて前記縦振動を検出する縦振動検出手段と
を具備する超音波モータ。
【請求項2】
第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動と屈曲振動を同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータであって、
前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の前記領域に配置される第1の内部電極と、
前記一の領域に隣接する隣接領域に配置される第2の内部電極と、
前記第2の圧電素子において、前記一の領域に対応する領域に配置される第3の内部電極と、
前記第2の圧電素子において、前記隣接領域に対応する領域に配置される第4の内部電極と、
前記第1の内部電極と前記第4の内部電極とに励起される電荷の総和と、前記第2の内部電極と前記第3の内部電極とに励起される電荷の総和との差分に基づいて前記屈曲振動を検出する屈曲振動検出手段と
を具備する超音波モータ。
【請求項3】
第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動と屈曲振動とを同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータであって、
前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の前記領域に配置される第1の内部電極と、
前記一の領域に隣接する隣接領域に配置される第2の内部電極と、
前記第2の圧電素子において、前記一の領域に対応する領域に配置される第3の内部電極と、
前記第2の圧電素子において、前記隣接領域に対応する領域に配置される第4の内部電極と、
前記第1の内部電極と前記第3の内部電極との電位差に基づいて第1の振動検出信号を生成する第1振動検出手段と、
前記第2の内部電極と前記第4の内部電極との電位差に基づいて第2の振動検出信号を生成する第2振動検出手段と、
前記第1の振動検出信号と前記第2の振動検出信号との和をとることにより、前記縦振動を検出するとともに、前記第1の振動検出信号と前記第2の振動検出信号との差をとることにより、前記屈曲振動を検出する第3の振動検出手段と
を具備する超音波モータ。
【請求項4】
第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動及び屈曲振動を同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータの振動検出方法であって、
前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、隣接する2つの領域、または、全ての領域に、各前記領域における占有面積が略等しくなるように第1の内部電極を配置し、
前記第2の圧電素子において、前記第1の内部電極に対応する位置に第2の内部電極を配置し、
前記第1の内部電極と前記第2の内部電極との電位差に基づいて前記縦振動を検出する超音波モータの振動検出方法。
【請求項5】
第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動及び屈曲振動を同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータの振動検出方法であって、
前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の前記領域に第1の内部電極を配置するとともに、前記一の領域に隣接する隣接領域に第2の内部電極を配置し、
前記第2の圧電素子において、前記一の領域に対応する領域に第3の内部電極を配置するとともに、前記隣接領域に対応する領域に第4の内部電極を配置し、
前記第1の内部電極と前記第4の内部電極とに励起される電荷の総和と、前記第2の内部電極と前記第3の内部電極とに励起される電荷の総和との差分に基づいて前記屈曲振動を検出する超音波モータの振動検出方法。
【請求項6】
第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動及び屈曲振動を同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータの振動検出方法であって、
前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の前記領域に第1の内部電極を配置するとともに、前記一の領域に隣接する隣接領域に第2の内部電極を配置し、
前記第2の圧電素子において、前記一の領域に対応する領域に第3の内部電極を配置するとともに、前記隣接領域に対応する領域に第4の内部電極を配置し、
前記第1の内部電極と前記第3の内部電極との電位差に基づいて第1の振動検出信号を生成し、
前記第2の内部電極と前記第4の内部電極との電位差に基づいて第2の振動検出信号を生成し、
前記第1の振動検出信号と前記第2の信号検出信号との和をとることにより、前記縦振動を検出するとともに、前記第1の振動検出信号と前記第2の信号検出信号との差をとることにより、前記屈曲振動を検出する超音波モータの振動検出方法。
【請求項7】
第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動及び屈曲振動を同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータであって、
前記縦振動に比例する縦振動検出信号を出力する縦振動検出手段と、
前記屈曲振動に比例する屈曲振動検出信号を出力する屈曲振動検出手段と、
前記縦振動検出信号と前記屈曲振動検出信号との位相差を検出し、該位相差が予め設定されている所定の基準位相差になるように、前記超音波振動子に印加する2相の駆動交番電圧の位相を制御する信号制御手段と
を具備する超音波モータ。
【請求項8】
前記信号制御手段が、前記縦振動検出信号または前記屈曲振動検出信号と何れか一方の前記駆動交番電圧との位相差を検出し、該位相差が所定の値となるように、各前記駆動交番電圧の周波数を制御する請求項7に記載の超音波モータ。
【請求項9】
前記超音波振動子は、交互に積層される第1の圧電素子と第2の圧電素子とを備えており、
前記縦振動検出手段は、
前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、隣接する2つの領域、または、全ての領域に、各領域における占有面積が略等しくなるように配置される第1の内部電極と、
前記第2の圧電素子において、前記第1の内部電極に対応する位置に配置される第2の内部電極と
を備え、
前記第1の内部電極と前記第2の内部電極との電位差に基づいて前記縦振動を検出する請求項7または請求項8に記載の超音波モータ。
【請求項10】
前記超音波振動子は、交互に積層される第1の圧電素子と第2の圧電素子とを備えており、
前記屈曲振動検出手段は、
前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の前記領域に配置される第1の内部電極と、
前記一の領域に隣接する隣接領域に配置される第2の内部電極と、
前記第2の圧電素子において、前記一の領域に対応する領域に配置される第3の内部電極と、
前記第2の圧電素子において、前記隣接領域に対応する領域に配置される第4の内部電極と
を備え、
前記第1の内部電極と前記第4の内部電極とに励起される電荷の総和と、前記第2の内部電極と前記第3の内部電極とに励起される電荷の総和との差分に基づいて前記屈曲振動を検出する請求項7または請求項8に記載の超音波モータ。
【請求項11】
第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動と屈曲振動とを同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータであって、
前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の前記領域に配置される第1の内部電極と、
前記一の領域に隣接する隣接領域に配置される第2の内部電極と、
前記第2の圧電素子において、前記一の領域に対応する領域に配置される第3の内部電極と、
前記第2の圧電素子において、前記隣接領域に対応する領域に配置される第4の内部電極と、
前記第1の内部電極と前記第3の内部電極との電位差に基づいて第1の振動検出信号を生成する第1振動検出手段と、
前記第2の内部電極と前記第4の内部電極との電位差に基づいて第2の振動検出信号を生成する第2振動検出手段と、
前記第1の振動検出信号と前記第2の信号検出信号との和をとることにより、前記縦振動を検出するとともに、前記第1の振動検出信号と前記第2の信号検出信号との差をとることにより、前記屈曲振動を検出する第3の振動検出手段と、
前記縦振動検出信号と前記屈曲振動検出信号との位相差を検出し、該位相差が予め設定されている所定の基準位相差になるように、前記超音波振動子に印加する2相の駆動交番電圧の位相を制御する信号制御手段と
を具備する超音波モータ。
【請求項12】
前記信号制御手段が、前記縦振動検出信号または前記屈曲振動検出信号といずれか一方の前記駆動交番電圧との位相差を検出し、該位相差が所定の値となるように、各前記駆動交番電圧の周波数を制御する請求項11に記載の超音波モータ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波モータ及び超音波モータの振動検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁型モータに代わる新しいモータとして超音波モータが注目されている。この超音波モータは、従来の電磁型モータに比べ以下のような利点を有している。
(1)ギヤなしで高トルクが得られる。
(2)電気OFF時に保持力がある。
(3)高分解能である。
(4)静粛性に富んでいる。
(5)磁気的ノイズを発生せず、また、ノイズの影響も受けない。
【0003】
従来の超音波モータとしては、特許文献1に開示された構造のものがある。この特許文献1に開示された超音波モータには、積層圧電素子の一部に振動検出用の内部電極が設けられており、これにより振動を検出することができるようになっている。
【特許文献1】特開平7−193291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の超音波モータにより検出することができる振動は、円柱棒形状振動子に生じる屈曲振動のみである。そのため、縦振動と屈曲振動とを同時に発生する振動子においては、特許文献1に開示された内部電極を用いて各振動をそれぞれ独立した形で検出することはできず、別途特別な装置が必要となるといった問題点があった。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、縦振動および屈曲振動の双方の振動をそれぞれ独立した形で、容易に検出することができる超音波モータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動と屈曲振動とを同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータであって、前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、隣接する2つの領域、または、全ての領域に、各前記領域における占有面積が略等しくなるように配置される第1の内部電極と、前記第2の圧電素子において、前記第1の内部電極に対応する位置に配置される第2の内部電極と、前記第1の内部電極と前記第2の内部電極との電位差に基づいて前記縦振動を検出する縦振動検出手段とを具備する超音波モータを提供する。
【0007】
このような構成によれば、第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、隣接する2つの領域、または、全ての領域に、各領域における占有面積が略等しくなるように、第1の内部電極が配置されているので、縦振動に比例した電気信号のみを検出することが可能となる。即ち、超音波振動子に縦振動が励起された場合、第1の圧電素子の上記4つの各領域には同一符号の電荷が励起され、また、超音波振動子に屈曲振動が励起された場合、対角線上にある各領域には同符号の電荷が励起されるとともに隣接する領域には異符号の電荷が励起されることとなる。従って、第1の内部電極に励起された電荷の総和は、屈曲振動において電荷は相殺されてゼロとなり、縦振動においては、振動に応じた同一符号の電荷が励起されることとなる。
また、第2の圧電素子においても、第1の内部電極に対応する位置に第2の内部電極が配置されているので、同様に、縦振動に応じた同一符号の電荷が励起されることとなる。ここで、第1の内部電極に励起される電荷は、第2の内部電極に励起される電荷と異符号となる。従って、第1の内部電極から得られる電気信号と第2の内部電極から得られる電気信号との差分(電位差)をとることにより、超音波振動子に発生している縦振動を電気信号として検出することができる。
【0008】
本発明は、第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動と屈曲振動を同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータであって、前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の前記領域に配置される第1の内部電極と、前記一の領域に隣接する隣接領域に配置される第2の内部電極と、前記第2の圧電素子において、前記一の領域に対応する領域に配置される第3の内部電極と、前記第2の圧電素子において、前記隣接領域に対応する領域に配置される第4の内部電極と、前記第1の内部電極と前記第4の内部電極とに励起される電荷の総和と、前記第2の内部電極と前記第3の内部電極とに励起される電荷の総和との差分に基づいて前記屈曲振動を検出する屈曲振動検出手段とを具備する超音波モータを提供する。
【0009】
このような構成によれば、第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の領域に第1の内部電極を配置するとともに、その隣接領域に第2の内部電極を配置する。また、第2の圧電素子において、該一の領域に対応する領域に第3の内部電極を配置するとともに、該隣接領域に対応する領域に第4の内部電極を配置する。ここで、超音波振動子に縦振動が励起された場合、一の領域及び隣接領域には、同一符号の電荷が励起され、超音波振動子に屈曲振動が励起された場合、一の領域及び隣接領域には、異符号の電荷が励起されることとなる。また、第2の圧電素子において各領域に励起される電荷の符号は、第1の圧電素子の対応する各領域に励起される電荷と逆符号となる。従って、第1の圧電素子における一の領域に設けられた第1の内部電極と、第2の圧電素子における隣接領域に設けられた第4の内部電極とに励起される電荷の総和は、縦振動において電荷が相殺されてゼロとなり、屈曲振動において振動に応じた同一符号の電荷となる。
【0010】
同様に、第1の圧電素子における隣接領域に設けられた第2の内部電極と、第2の圧電素子における一の領域に設けられた第3の内部電極とに励起される電荷の総和は、縦振動において電荷が相殺されてゼロとなり、屈曲振動において振動に応じた同一符号の電荷となる。そして、第1及び第4の内部電極に励起される電荷の総和は、第2及び第3の内部電極に励起される電荷の総和と、略同量であり、且つ、異符号となる。従って、屈曲振動検出手段において、これらの電荷の差、つまり、電位差をとることにより、屈曲振動を電気信号として検出することができる。
【0011】
本発明は、第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動と屈曲振動とを同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータであって、前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の前記領域に配置される第1の内部電極と、前記一の領域に隣接する隣接領域に配置される第2の内部電極と、前記第2の圧電素子において、前記一の領域に対応する領域に配置される第3の内部電極と、前記第2の圧電素子において、前記隣接領域に対応する領域に配置される第4の内部電極と、前記第1の内部電極と前記第3の内部電極との電位差に基づいて第1の振動検出信号を生成する第1振動検出手段と、前記第2の内部電極と前記第4の内部電極との電位差に基づいて第2の振動検出信号を生成する第2振動検出手段と、前記第1の振動検出信号と前記第2の振動検出信号との和をとることにより、前記縦振動を検出するとともに、前記第1の振動検出信号と前記第2の振動検出信号との差をとることにより、前記屈曲振動を検出する第3の振動検出手段とを具備する超音波モータを提供する。
【0012】
このような構成によれば、第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の領域に第1の内部電極を配置するとともに、その隣接領域に第2の内部電極を配置する。また、第2の圧電素子において、該一の領域に対応する領域に第3の内部電極を配置するとともに、該隣接領域に対応する領域に第4の内部電極を配置する。ここで、超音波振動子に縦振動が励起された場合、一の領域及び隣接領域には、同一符号の電荷が励起され、超音波振動子に屈曲振動が励起された場合、一の領域及び隣接領域には、異符号の電荷が励起されることとなる。また、第2の圧電素子において各領域に励起される電荷の符号は、第1の圧電素子において各領域に励起される電荷と逆符号となる。
【0013】
従って、第1及び第4の内部電極の電位差と第2及び第3の内部電極の電位差とを足し合わせることにより、縦振動に比例した振動検出信号を得ることができ、また、第1及び第4の内部電極の電位差と第2及び第3の内部電極の電位差との差分をとることにより、屈曲振動に比例した振動検出信号を得ることができる。
【0014】
本発明は、第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動及び屈曲振動を同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータの振動検出方法であって、前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、隣接する2つの領域、または、全ての領域に、各前記領域における占有面積が略等しくなるように第1の内部電極を配置し、前記第2の圧電素子において、前記第1の内部電極に対応する位置に第2の内部電極を配置し、前記第1の内部電極と前記第2の内部電極との電位差に基づいて前記縦振動を検出する超音波モータの振動検出方法を提供する。
【0015】
本発明は、第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動及び屈曲振動を同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータの振動検出方法であって、前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の前記領域に第1の内部電極を配置するとともに、前記一の領域に隣接する隣接領域に第2の内部電極を配置し、前記第2の圧電素子において、前記一の領域に対応する領域に第3の内部電極を配置するとともに、前記隣接領域に対応する領域に第4の内部電極を配置し、前記第1の内部電極と前記第4の内部電極とに励起される電荷の総和と、前記第2の内部電極と前記第3の内部電極とに励起される電荷の総和との差分に基づいて前記屈曲振動を検出する超音波モータの振動検出方法を提供する。
【0016】
本発明は、第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動及び屈曲振動を同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータの振動検出方法であって、前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の前記領域に第1の内部電極を配置するとともに、前記一の領域に隣接する隣接領域に第2の内部電極を配置し、前記第2の圧電素子において、前記一の領域に対応する領域に第3の内部電極を配置するとともに、前記隣接領域に対応する領域に第4の内部電極を配置し、前記第1の内部電極と前記第3の内部電極との電位差に基づいて第1の振動検出信号を生成し、前記第2の内部電極と前記第4の内部電極との電位差に基づいて第2の振動検出信号を生成し、前記第1の振動検出信号と前記第2の信号検出信号との和をとることにより、前記縦振動を検出するとともに、前記第1の振動検出信号と前記第2の信号検出信号との差をとることにより、前記屈曲振動を検出する超音波モータの振動検出方法を提供する。
【0017】
本発明は、第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動及び屈曲振動を同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータであって、前記縦振動に比例する縦振動検出信号を出力する縦振動検出手段と、前記屈曲振動に比例する屈曲振動検出信号を出力する屈曲振動検出手段と、前記縦振動検出信号と前記屈曲振動検出信号との位相差を検出し、該位相差が予め設定されている所定の基準位相差になるように、前記超音波振動子に印加する2相の駆動交番電圧の位相を制御する信号制御手段とを具備する超音波モータを提供する。
【0018】
このような構成によれば、超音波振動子に生じている縦振動に比例する縦振動検出信号と屈曲振動に比例する屈曲振動検出信号とが個別に検出され、これら振動検出信号の位相差が所定の基準位相差になるように、超音波振動子に印加される2相の駆動交番電圧の位相差が制御されるので、モータ負荷などの外乱によって超音波振動子に生ずる縦振動と屈曲振動の位相差が変化した場合に、速やかにその変化に追従して2相の駆動交番電圧を調節することができる。これにより、超音波振動子に生ずる縦振動と屈曲振動との位相差を一定の値に保つことが可能となるので、安定したモータ駆動を実現させることができる。
【0019】
上記超音波モータにおいて、前記信号制御手段が、前記縦振動検出信号または前記屈曲振動検出信号と何れか一方の前記駆動交番電圧との位相差を検出し、該位相差が所定の値となるように、各前記駆動交番電圧の周波数を制御することとしても良い。
【0020】
このような構成によれば、縦振動検出信号または前記屈曲振動検出信号と何れか一方の駆動交番電圧との位相差が検出され、この位相差が所定の値となるように、2相の駆動交番電圧の周波数が制御されることとなる。これにより、例えば、環境温度が変化することにより、周波数特性にずれが生じた場合でも、速やかに駆動周波数をその環境温度の変化に追従させることができる。この結果、モータの駆動効率を一定に保持することができ、安定したモータ駆動を実現させることができる。
【0021】
上記超音波モータにおいて、前記超音波振動子は、交互に積層される第1の圧電素子と第2の圧電素子とを備えており、前記縦振動検出手段は、前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、隣接する2つの領域、または、全ての領域に、各前記領域における占有面積が略等しくなるように配置される第1の内部電極と、前記第2の圧電素子において、前記第1の内部電極に対応する位置に配置される第2の内部電極とを備え、前記第1の内部電極と前記第2の内部電極との電位差に基づいて前記縦振動を検出することとしても良い。
このような構成によれば、縦振動を容易に検出することができる。
【0022】
上記超音波モータにおいて、前記超音波振動子は、交互に積層される第1の圧電素子と第2の圧電素子とを備えており、前記屈曲振動検出手段は、前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の前記領域に配置される第1の内部電極と、前記一の領域に隣接する隣接領域に配置される第2の内部電極と、前記第2の圧電素子において、前記一の領域に対応する領域に配置される第3の内部電極と、前記第2の圧電素子において、前記隣接領域に対応する領域に配置される第4の内部電極とを備え、前記第1の内部電極と前記第4の内部電極とに励起される電荷の総和と、前記第2の内部電極と前記第3の内部電極とに励起される電荷の総和との差分に基づいて前記屈曲振動を検出することとしても良い。
このような構成によれば、屈曲振動を容易に検出することができる。
【0023】
本発明は、第1の圧電素子と第2の圧電素子とが交互に積層された超音波振動子に、縦振動と屈曲振動とを同時に発生させ、前記超音波振動子の出力端に略楕円振動を生じさせて、前記超音波振動子と前記超音波振動子に接触する被駆動体とを相対的に移動させる超音波モータであって、前記第1の圧電素子を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して4つの領域に区分した場合に、一の前記領域に配置される第1の内部電極と、前記一の領域に隣接する隣接領域に配置される第2の内部電極と、前記第2の圧電素子において、前記一の領域に対応する領域に配置される第3の内部電極と、前記第2の圧電素子において、前記隣接領域に対応する領域に配置される第4の内部電極と、前記第1の内部電極と前記第3の内部電極との電位差に基づいて第1の振動検出信号を生成する第1振動検出手段と、前記第2の内部電極と前記第4の内部電極との電位差に基づいて第2の振動検出信号を生成する第2振動検出手段と、前記第1の振動検出信号と前記第2の信号検出信号との和をとることにより、前記縦振動を検出するとともに、前記第1の振動検出信号と前記第2の信号検出信号との差をとることにより、前記屈曲振動を検出する第3の振動検出手段と、前記縦振動検出信号と前記屈曲振動検出信号との位相差を検出し、該位相差が予め設定されている所定の基準位相差になるように、前記超音波振動子に印加する2相の駆動交番電圧の位相を制御する信号制御手段とを具備する超音波モータを提供する。
【0024】
上記超音波モータにおいて、前記信号制御手段が、前記縦振動検出信号または前記屈曲振動検出信号といずれか一方の前記駆動交番電圧との位相差を検出し、該位相差が所定の値となるように、各前記駆動交番電圧の周波数を制御することとしても良い。
【0025】
上記発明は、可能な範囲で組み合わせることができるものとする。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、縦振動および屈曲振動の双方の振動をそれぞれ独立した形で、容易に検出することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る超音波モータについて、図を参照して説明する。
〔第1の実施形態〕
図1に示されるように、本発明の第1の実施形態に係る超音波モータ1は、被駆動体2に接触配置される超音波振動子3と、該超音波振動子3を被駆動体2に押し付ける押圧手段4とを備えている。被駆動体2は、ベース5に固定された直動ベアリング6の可動部7に固定されている。また、被駆動体2には、超音波振動子3に接触する面に、例えば、ジルコニアセラミックスからなる摺動板8が接着されている。図中符号9は、直動ベアリング6の固定部10をベース5に固定するためのネジである。
【0028】
超音波振動子3は、図2から図5に示されるように、矩形板状の圧電セラミックスシート11の片側面にシート状の内部電極12(図4参照)を設けたものを複数枚積層してなる直方体状の圧電積層体13と、該圧電積層体13の一側面に接着された2個の摩擦接触子14と、該摩擦接触子14が設けられた側面に隣接する側面からピン15を突出させる振動子保持部材16とを備えている。
【0029】
圧電積層体13は、図3に示されるように、例えば、長さ18mm、幅4.4mm、厚さ2mmの外形寸法を備えている。
圧電積層体13を構成する圧電セラミックスシート11は、図4及び図5に示されるように、例えば、厚さ約80μmのチタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミックス素子(以下、PZTという。)である。PZTとしては、Qm値の大きなハード系材料を選択した。Qm値は約1800である。
また、内部電極12は、例えば、厚さ約4μmの銀パラジウム合金からなっている。積層方向の一端に配置される圧電セラミックスシート11a(図2参照)は内部電極12を備えていない。それ以外の圧電セラミックスシート11は、図4及び図5に示されるような2種類の内部電極12を備えている。
【0030】
図4に示される圧電セラミックスシート(第1の圧電素子)11は、その略全面に内部電極12を備えている。内部電極12は、駆動用の内部電極12(A+),12(B+)と、振動検出用の内部電極12(C+),12(D+),12(E+)とに分類される。
本実施形態において、内部電極12(C+)は、縦振動検出用の内部電極として、また、12(D+)及び12(E+)は、屈曲振動検出用の内部電極として用いられる。
内部電極12(C+)は、圧電セラミックスシート11の幅方向の中央部において、圧電セラミックスシート11の長さ方向に沿って帯状に設けられている。具体的には、縦振動検出用の内部電極12(C+)は、図8に示すように、圧電セラミックスシート11を長手方向に2等分及び幅方向に2等分して第1の領域乃至第4の領域からなる4つの領域に区分した場合に、第1から第4の各領域における占有面積が略等しくなるように配置されている。
なお、内部電極12(C+)は、上記配置例に代えて、4つの領域のうち、所定の2つの隣接する領域における占有面積が略等しく、また、その他の2つの隣接する領域における占有面積が略等しくなるように配置されてもよい。例えば、第1の領域と第2の領域とが同一占有面積とされ、第3の領域と第4の領域とが同一占有面積とされるように配置されることとしてもよい。この場合、第1の領域と第3の領域とは、占有面積が異なってもよい。また、4つの領域にわたって内部電極12(C+)を配置するのではなく、隣接する2つの領域にわたって内部電極12(C+)を配置することとしてもよい。例えば、内部電極12(C+)を、第3の領域と第4の領域にわたって互いの領域における占有面積が略等しくなるように配置することとしてもよい。
【0031】
また、屈曲振動検出用の内部電極12(D+)は、圧電セラミックスシートを同様に4つの領域に区分した場合に、いずれか一つの領域に設けられる。本実施形態では、内部電極12(D+)は、図8における第3の領域に設けられている。内部電極12(E+)は、内部電極12(D+)が設けられている領域に隣接する領域、つまり、本実施形態では、図8における第4の領域に設けられている。なお、第4の領域に代えて、第1の領域に設けられていても良い。
また、駆動用の内部電極12(A+)及び12(B+)は、圧電セラミックスシート11の長手方向に沿って一列に配置されている。本実施形態では、内部電極12(A+)が図8における第1の領域に、内部電極12(B+)が第2の領域に配置されている。
【0032】
同様に、図5に示される圧電セラミックスシート(第2の圧電素子)11は、その略全面に内部電極12を備えている。内部電極12は、駆動用の内部電極12(A−),12(B−)と、振動検出用の内部電極12(C−),12(D−),12(E−)とに分類される。
内部電極12(C−)は、縦振動検出用の内部電極として、また、12(D−)及び12(E−)は、屈曲振動検出用の内部電極として用いられる。
内部電極12(C−)は、図5に示した圧電セラミックスシート11において、図4に示した圧電セラミックスシート11における内部電極(C+)に対応する位置に配置されている。同様に、内部電極12(D−)及び12(E−)についても、図4に示した内部電極12(D+)及び12(E+)にそれぞれ対応する位置に配置されている。
【0033】
上記各内部電極12は、圧電セラミックスシート11の幅方向に、互いに約0.4mmの絶縁距離を開けて配置されているとともに、圧電セラミックスシート11の長さ方向に互いに約0.4mmの絶縁距離を開けて設けられている。
圧電セラミックスシート11の中央に帯状に設けられた内部電極12(C+)、12(C−)はともに略同一の大きさを有し、また、内部電極12(C+),12(C−)をそれぞれ囲んで配置される8つの内部電極12(A+),12(B+),12(D+),12(E+),12(A−),12(B−),12(D−),12(E−)は、略同一の大きさを有している。
各内部電極12は、圧電セラミックスシート11の周縁から約0.4mmの隙間を空けて配置されるとともに、その一部が圧電セラミックスシート11の周縁まで延び、後述する各外部電極17に接続されるようになっている。
【0034】
図4に示される圧電セラミックスシート11と、図5に示される圧電セラミックスシート11とは交互に複数枚積層されることにより、直方体状の圧電積層体13を構成している。
このようにして構成された圧電積層体13の長さ方向の端面には、各圧電セラミックスシート11に配置された同種の内部電極12(A+)乃至12(E−)をそれぞれ接続するための外部電極17がそれぞれ設けられている。
具体的には、圧電積層体13の長さ方向の一端には、圧電積層体13の他側面の側(図において上側)からA相の外部電極17(A+),17(A−),C相の外部電極17(C+),17(C−),D相の外部電極17(D+),17(D−)が設けられ、これに対向する面には、図において上方からB相の外部電極17(B+),17(B−),E相の外部電極17(E+),17(E−)が設けられている。
【0035】
A相およびB相の外部電極17は駆動用の外部電極であり、C相乃至E相の外部電極17は振動検出用の外部電極である。各外部電極にはそれぞれ配線が接続されている。この配線は、リード線、フレキシブル基板等、可撓性を有する配線であれば任意のものでよい。
具体的には、A相の外部電極17(A+),(A−)にそれぞれ接続される1対の配線、並びに、B相の外部電極17(B+),(B−)にそれぞれ接続される1対の配線は、それぞれA相、B相の駆動用信号線として、図11に示す制御装置30のドライブIC33に接続される。
【0036】
また、C相の外部電極17(C+)、C(−)にそれぞれ接続される1対の配線L1は、図11に示す制御装置30の縦振動検出回路34に接続される。
一方、外部電極17(D+)及び17(E−)に接続される配線は、結線されて1つの配線とされ、外部電極17(D−)及び17(E+)に接続される配線は、結線されて1つの配線とされた後、1対の配線L2として図11に示す制御装置30の屈曲振動検出回路34に接続される。
【0037】
次に、このようにして構成された圧電積層体13の動作について説明する。
A相の外部電極17(A+,A−)(以下、単に「A相」という。)およびB相の外部電極17(B+.B−)(以下、単に「B相」という。)に同位相で共振周波数に対応する駆動交番電圧を印加すると、図6に示されるような1次の縦振動が励起されるようになっている。また、このとき、前述した圧電セラミックスシート11に生ずる電荷は、例えば、図8に示すように、圧電セラミックシート11を4つの領域に区分した場合、図9に示すように、第1領域から第4領域において正電荷もしくは負電荷が同時に励起された状態となる。
【0038】
また、A相およびB相に逆位相で共振周波数に対応する駆動交番電圧を印加すると、図7に示されるような2次の屈曲振動が励起されるようになっている。このとき、前述した各領域では図10に示すような電荷状態となる。すなわち、屈曲振動が励起されている場合には、第1の領域から第4の領域のうち、対角線上に位置する領域、つまり、第1の領域と第4の領域、第2の領域と第3の領域では同符号の電荷が同時に励起され、隣り合う領域、つまり、第1の領域と第2の領域、第2の領域と第4の領域、第4の領域と第3の領域、第3の領域と第1の領域では異符号の電荷が同時に励起されていることになる。
【0039】
なお、対をなす内部電極12には、互いに異符号の電荷が励起されることとなる。つまり、内部電極12(C+)と12(C−),12(D+)と12(D−),12(E+)と12(E−)とには、互いに異符号の電荷がそれぞれ励起されることとなる。
【0040】
以上のことから、隣接する領域に対して均等に分布して配置されているC相の内部電極12(C+)及び12(C−)においては、それぞれ屈曲振動による電荷は相殺され、縦振動にのみ比例した電荷が励起された状態となる。従って、C相の一対の配線L1により検出される電気信号は、縦振動に比例した電気信号となる。なお、どちらの符号の電荷が励起されるかは振動の位相状態によって決まる。
【0041】
一方、内部電極12(D+)及び12(E−)においては、縦振動による電荷は相殺され、屈曲振動にのみ比例した電荷が励起された状態となる。同様に、内部電極12(D−)、12(E+)においては、縦振動による電荷は相殺され、屈曲振動にのみ比例した電荷が励起された状態となる。したがって、一対の配線L2により検出される電気信号は、屈曲振動に比例した電気信号となる。なお、どちらの符号の電荷が励起されるかは振動の位相状態によって決まる。
【0042】
前記摩擦接触子14は、前記圧電積層体13の2次の屈曲振動の腹となる2カ所の位置に接着されている。これにより、圧電積層体13に1次の縦振動が発生したときには、摩擦振動子14が圧電積層体13の長さ方向(図2に示されるX方向)に変位させられるようになっている。一方、圧電積層体13に2次の屈曲振動が生じたときには、摩擦接触子14が、圧電積層体13の幅方向(図2に示されるZ方向)に変位させられるようになっている。
【0043】
したがって、超音波振動子3のA相とB相とに、位相がずれた共振周波数に対応する駆動交番電圧を印加することにより、1次の縦振動と2次の屈曲振動とが同時に発生して、図2に矢印Cで示されるように、摩擦接触子14の位置において時計回りまたは反時計回りの略楕円振動が発生するようになっている。
【0044】
前記振動子保持部材16は、図2に示すように、断面略コ字状に形成された保持部16aと、該保持部16aの両側面から垂直に突出する該保持部16aと一体的なピン15とを備えている。保持部16aは、圧電積層体13の幅方向の一側から圧電積層体13を囲むようにして、例えば、シリコン樹脂またはエポキシ樹脂により圧電積層体13に接着されている。保持部16aが圧電積層体13に接着された状態で、保持部16aの両側面に一体的に設けられた2つのピン15は、圧電積層体13の縦振動と屈曲振動の共通の節となる位置に同軸に配置されるようになっている。
【0045】
前記押圧手段4は、図1に示されるように、超音波振動子3に対して、その幅方向(Z方向)に、前記摩擦接触子14とは逆方向に離れた位置においてベース5に固定されるブラケット18と、該ブラケット18に対して、前記超音波振動子3の幅方向に移動可能に支持された押圧部材19と、該押圧部材19に対して押圧力を加えるコイルスプリング20と、該コイルスプリング20による押圧力を調節する調節ネジ21と、ブラケット18に対する押圧部材19の移動を案内するガイドブッシュ22とを備えている。符号23は、ブラケット18をベース5に固定するネジである。
【0046】
前記押圧部材19には、前記超音波振動子3を厚さ方向に挟む2つの保持板24が備えられている。各保持板24には、前記振動子保持部材16の2本のピン15をそれぞれ貫通させる貫通孔25が設けられている。押圧部材19に加えられる押圧力は、保持板24およびその貫通孔25に貫通するピン15を介して超音波振動子3に伝達されるようになっている。
【0047】
前記コイルスプリング20は、圧縮コイルスプリングであって、前記調節ネジ21と前記押圧部材19との間に挟まれている。したがって、ブラケット18に対する調節ネジ21の締結位置を変化させることで、弾性変形量を変化させて押圧部材19を超音波振動子3方向に付勢する押圧力を変化させることができるようになっている。
【0048】
次に、本実施形態に係る超音波モータ1の制御装置について図11を参照して説明する。
図11に示すように、制御装置30は、信号制御部(信号制御手段)50、縦振動検出回路(縦振動検出手段)34、屈曲振動検出回路(屈曲振動検出手段)35を備えている。
信号制御部50は、周波数設定回路31、駆動パルス発生回路32、ドライブIC33、及び振動位相比較回路36を備えている。
【0049】
周波数設定回路31は、超音波モータ1を駆動するのに必要な周波数、例えば、共振周波数のパルス信号を生成し、このパルス信号を駆動パルス発生回路32に出力する。
駆動パルス発生回路32は、図12に示すように、周波数設定回路31から入力されるパルス信号を用いて、所定の駆動周波数及び所定の位相差(以下「駆動位相差」という。)θの2相の駆動制御信号を生成し、ドライブIC33に出力する。所定の位相差θは、例えば、約120°とされている。
ドライブIC33は、駆動パルス発生回路32から入力される2相の駆動制御信号に基づいて、所定の位相差、及び、所定の駆動周波数の2相の駆動交番電圧を生成し、各駆動交番信号を上述したA相の外部電極17(A+,A−)、並びにB相の外部電極17(B+,B−)に印加する。
【0050】
縦振動検出回路34は、上述したように、図2に示した外部電極17(C+,C−)に接続される一対の配線L1に接続されており、超音波振動子3に生じている縦振動に比例した振動検出信号を生成する。具体的には、配線L1を介して入力される電気信号に対して、レベル調整、ノイズ除去、2値化等の各種信号処理を施してデジタル信号に変換し、処理後のデジタル信号を縦振動検出信号として出力する。
【0051】
屈曲振動検出回路35は、上述したように、一対の配線L2に接続されており、超音波振動子3に生じている屈曲振動に比例した振動検出信号を生成する。具体的には、配線L2を介して入力される電気信号に対して、レベル調整、ノイズ除去、2値化等の各種信号処理を施してデジタル信号に変換し、処理後のデジタル信号を屈曲振動検出信号として出力する。
【0052】
振動位相比較回路36は、縦振動検出回路34から出力された縦振動検出信号と屈曲振動検出回路34から出力された屈曲振動検出信号とが入力されるようになっている。振動位相比較回路36は、縦振動検出信号と屈曲振動検出信号との位相差(以下、「振動位相差」という。)φ1を求め、更に、この振動位相差φ1と予め記憶している基準位相差φ1refとの差分Δφ1(=φ1−φ1ref)を求め、この差分Δφ1に応じた信号を出力する。
上記基準位相差φ1refは、超音波モータ1の駆動効率に応じて設計事項により任意に決定できる値である。ここで、超音波モータの駆動効率と超音波振動子3の振動位相差φ1との関係を図13に示す。この図に示すように、振動位相差φ1が120°付近のときに超音波モータの駆動効率が最大値をとり、振動位相差φ1が120°から離れるにつれて、徐々に駆動効率が低下する。本実施形態では、超音波モータ1を最も効率よく駆動させるために、基準位相差φ1refを120°に設定している。
【0053】
振動位相比較回路36から出力された差分Δφ1に応じた信号は、駆動パルス発生回路32に入力される。駆動パルス発生回路32は、この差分Δφ1がゼロとなるように2相の駆動制御信号の駆動位相差θを調整し、調整後の2相の駆動制御信号を出力する。具体的には、駆動パルス発生回路32は、差分Δφ1がマイナスの値を示していた場合には、駆動位相差θを所定量増加させ、差分Δφ1がプラスの値を示していた場合には、駆動位相差θを所定量減少させる、いわゆる逐次制御を行う。
【0054】
なお、駆動パルス発生回路32には、方向指示回路37から方向指示信号が入力されるようになっている。駆動パルス発生回路32は、方向指示信号に応じてドライブIC33に出力する2相の駆動制御信号の符号を反転させる。これにより、超音波振動子3の摩擦接触子14に発生する略楕円振動の向きを正転、または負転に切り替えることができ、この結果、被駆動体2の移動方向を正転方向、負転方向に移動させることができる。
【0055】
次に、上記制御装置30の作用について説明する。
まず、周波数設定回路31から共振周波数のパルス信号が駆動パルス発生回路32に入力されると、駆動パルス発生回路32において、所定の駆動周波数、及び、所定の駆動位相差θ(=120°)の2相の駆動制御信号が生成され、ドライブIC33に出力される。ドライブIC33では、この2相の駆動制御信号に基づいて、所定の位相差、及び、所定の駆動周波数の2相の駆動交番電圧が生成され、この2相の駆動交番電圧がA相、B相の外部電極17(A+,A−)、17(B+,B−)にそれぞれ印加される。これにより、超音波振動子3には、縦振動と屈曲振動とが同時に励起され、摩擦接触子14には、図14に示すような略楕円振動が発生し、この略楕円振動の接線方向に沿って被駆動体2の摺動板8との間の生ずる摩擦力により、被駆動体2が推進されることになる。
【0056】
このようにして超音波振動子3に縦振動及び屈曲振動が同時に励起されると、縦振動に応じた電気信号が配線L1を介して縦振動検出回路34に入力され、超音波振動子3の屈曲振動に応じた電気信号が配線L2を介して屈曲振動検出回路35に入力される。これにより、縦振動検出回路34から縦振動検出信号が、屈曲振動検出回路34からは屈曲振動検出信号が位相比較回路36に入力されることとなる。
振動位相比較回路36では、縦振動検出信号と屈曲振動検出信号との振動位相差φ1が求められ、更に、この振動位相差φ1と基準位相差φ1refとの差分Δφが求められ、この差分Δφに応じた信号が駆動パルス発生回路32に出力される。
これにより、駆動パルス発生回路32は、差分Δφがゼロとなるように、2相の駆動制御信号の駆動位相差θを調整する。
【0057】
以上説明してきたように、本実施形態に係る超音波モータ1によれば、圧電セラミックシート11において、図8に示した第1の領域から第4の領域において、隣接する領域に対する占有面積が略等しくなるように縦振動検出用の内部電極12(C+),12(C−)を配置したので、縦振動により励起される電荷のみを検出することができる。これにより、超音波振動子3に生じている縦振動のみを容易に検出することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る超音波モータ1によれば、圧電セラミックシート11において、縦振動による電荷の総和が相殺され、屈曲振動においては振動に比例した電荷が励起される位置に内部電極12(D+)及び12(E−)、並びに、内部電極12(D−)及び12(E+)をそれぞれ配置したので、屈曲振動により励起される電荷のみを検出することができる。これにより、超音波振動子3に生じている屈曲振動のみを容易に検出することができる。
【0059】
更に、本実施形態に係る超音波モータ1によれば、縦振動及び屈曲振動をそれぞれ検出し、これらの振動位相差φ1を求め、更に、この振動位相差φ1が基準位相差φ1refになるように、2相の駆動交番電圧の駆動位相差θを制御するので、超音波振動子3に励起される縦振動と屈曲振動との振動位相差φ1を常に所望の値(例えば、120°)に保持することが可能となる。これにより、モータの駆動効率を一定に保つことができ、安定したモータ駆動を実現させることができる。
【0060】
なお、上記実施形態においては、駆動パルス発生回路32が、振動位相比較回路36から入力される差分Δφに応じて、逐次制御を行っていたが、これに代えて、例えば、駆動パルス発生回路32が図15に示すような振動位相差φ1と駆動位相差θとの特性テーブルを保有しており、この特性テーブルを用いて、振動位相差φ1に応じた駆動位相差θを取得し、この駆動位相差の2相の駆動制御信号を生成することとしても良い。
具体的には、振動位相比較回路36は、縦振動検出信号と屈曲振動検出信号との振動位相差φ1を求めると、この振動位相差φ1に応じた信号を駆動パルス発生回路32に出力する。駆動パルス発生回路32は、入力された位相差φ1に対応する駆動位相差θを図15に示した特性テーブルを参照して取得し、駆動位相差θを持つ2相の駆動制御信号を生成して出力する。
【0061】
このような構成によれば、例えば、外乱などの要因により、急激に振動変化が生じ、振動位相差φ1が基準位相差φ1refから大きくずれてしまった場合でも、速やかにこのずれ量に応じた駆動位相差θを求めることができる。これにより、急峻な振動変化に対しても速やかに追従することができ、応答性を向上させることができる。
なお、図15に示した振動位相差φ1−駆動位相差θの特性テーブルに代えて、振動位相差φ1をパラメータとした演算式を用いることにより、振動位相差φ1に応じた駆動位相差θを求めることとしても良い。
なお、本実施形態では、基準位相差φ1refを120°としたが、この基準位相差φ1refは、所望のモータ効率に応じて複数設定されており、モータの使用状況に応じて、基準位相差φ1refを切り替えることとしても良い。更に、被駆動体の移動方向に応じて、基準位相差φ1refを切り替えることとしても良い。例えば、図14に示すような向きで被駆動体を移動させる場合には、振動位相差120°のときにモータ効率が最も高くなるが、被駆動体の移動方向を逆方向にした場合には、異なる振動位相差(例えば、60°)でモータ効率が最も高くなる。従って、この場合には、基準位相差φ1refを60°に設定することとしても良い。
【0062】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る超音波モータについて説明する。
本実施形態に係る超音波モータは、その制御装置が周波数追従機能を更に備えている点で、上述した第1の実施形態と異なる。以下、本実施形態の超音波モータについて、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図16に示すように、本実施形態に係る超音波モータは、追尾位相比較回路40を備えている。追尾位相比較回路40は、縦振動検出回路34から出力される縦振動検出信号と、駆動パルス発生回路32から出力されるA相の駆動制御信号とが入力されるようになっている。追尾位相比較回路40は、縦振動検出信号とA相の駆動制御信号との位相差φ2を求め、更に、この位相差φ2と予め記憶している基準位相差φ2refとの差分Δφ2(=φ2−φ2ref)を求め、この差分Δφ2に応じた信号を出力する。
【0063】
ここで、超音波モータは、共振周波数において駆動すると効率が良いことが知られている。ところが、共振周波数は環境温度によって変化する。具体的には、図17に示すように、環境温度が増加すると、共振周波数は減少するという特性を有している。したがって、最大のモータ速度が得られるように超音波モータ1を制御しようとする場合には、温度変化に追従して、共振周波数を変化させる必要がある。
【0064】
これに対し、縦振動検出信号とA相の駆動制御信号との位相差φ2と共振周波数との間には、図18に示すように、温度が増加して共振周波数が変化したとしても位相差φ2は常に一定の値に維持されるという関係がある。これは、縦振動検出信号とA相の駆動制御信号との位相差φ2が常に一定の値となるように、共振周波数を制御すれば、常に一定のモータ速度が得られることを示している。そこで、本実施形態においては、上述のように、A相の駆動制御信号と縦振動検出信号との位相差φ2が、常に一定の値となるように、共振周波数を制御することとしている。
【0065】
本実施形態では、基準位相差φ2refを3π/4に設定し、A相の駆動制御信号と縦振動検出信号との位相差φ2が常に基準位相差3π/4となるように共振周波数を制御することとしている。これは、3π/4のときに、共振周波数を取ることとなり、図17に示されるように、超音波モータを最も効率の良い領域で駆動することができるからである。なお、基準位相差φ2refの値については、特に限定されることなく、超音波モータ1の駆動効率、換言すると、所望のモータ速度に応じて設計事項により任意に決定できる。
【0066】
図16に戻り、周波数設定回路31は、追尾位相比較回路40からの差分Δφ2が入力されるようになっている。周波数設定回路31は、差分Δφ2に基づいて、差分Δφ2をゼロにするようにパルス信号の周波数を調節する。具体的には、周波数設定回路31は、差分Δφ2がプラスの値を示していた場合には、周波数を所定数増加させたパルス信号を生成し、差分Δφ2がマイナスの値を示していた場合には、周波数を所定量減少させたパルス信号を生成し、このパルス信号を駆動パルス発生回路32に出力する。このように、本実施形態では、周波数設定回路31が差分Δφ2に基づく周波数の逐次制御を実施することとしている。
【0067】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る超音波モータによれば、振動位相差φ1に基づいて2相の駆動交番電圧の駆動位相差θが調整されるとともに、縦振動検出信号とA相の駆動制御信号との位相差φ2に基づいて、駆動交番電圧の周波数が調整されることとなるので、環境温度が変化した場合でも、常にモータ速度を一定に保つことができる。これにより、更に安定したモータ駆動を実現させることができる。
【0068】
なお、上記実施形態においては、周波数設定回路31が、追尾位相比較回路40から出力される差分Δφ2に基づいて逐次制御を行うこととしたが、これに代えて、例えば、周波数設定回路31が図19に示すようなA相の駆動制御信号と縦振動検出信号との位相差φ2と周波数fの特性テーブルを保有しており、この特性テーブルを用いて位相差φ2に応じた周波数fを決定するような構成としても良い。
具体的には、追尾位相比較回路40は、A相の駆動制御信号と縦振動検出信号との位相差φ2を求めると、この位相差φ2に応じた信号を周波数設定回路31に出力する。周波数設定回路31は、入力された位相差φ2に対応する周波数fを図19に示した特性テーブルを参照して取得し、この周波数fのパルス信号を生成して、駆動パルス発生回路32に出力する。
【0069】
このような構成によれば、例えば、急激な温度変化が生じたことにより、位相差φ2が基準位相差φ2refから大きくずれてしまった場合でも、速やかにこのずれ量に応じた周波数fを求めることができる。これにより、急激な温度変化に対しても速やかに追従することができ、応答性を向上させることができる。
なお、図19に示した位相差φ2−周波数fの特性テーブルに代えて、位相差φ2をパラメータとした演算式を用いることにより、位相差φ2に応じた周波数fを求めることとしても良い。
【0070】
また、本実施形態においては、A相の駆動制御信号と縦振動検出信号とを比較することとしたが、A相の駆動制御信号に代えてB相の駆動制御信号を用いることとしても良い。なお、この場合には、基準位相差φ2refをA相の駆動制御信号とB相の駆動制御信号との位相差θに応じて変更する必要がある。また、2相の駆動制御信号に代えて、ドライブIC33から超音波モータ1へ印加される2相の駆動交番電圧のいずれか一方を用いることとしても良い。
更に、縦振動検出信号に代えて、屈曲振動検出信号を用いることとしても良い。この場合においても、基準位相差φ2refを縦振動検出信号と屈曲振動検出信号との位相差(本実施形態では120°)に応じて変更する必要がある。
【0071】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る超音波モータについて説明する。
上述した第1の実施形態に係る超音波モータでは、縦振動を検出するための内部電極と、屈曲振動を検出するための内部電極とをそれぞれ設けていたが、本実施形態では、同一の内部電極から得られる信号を用いて縦振動並びに屈曲振動を検出することとしている。
以下、本実施形態の超音波モータについて、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図20及び図21は、本実施形態に係る圧電セラミックシートの内部電極の配置を示した図、図22は、図20及び図21に示した圧電セラミックシートを交互に積層して構成される圧電積層体を示した図である。図20乃至図22に示すように、本実施形態に係る圧電セラミックシートは、第1の実施形態に係る内部電極12(C+),12(C−)が除去された構成をとる。つまり、本実施形態においては、内部電極12(D+),12(D−),12(E+),12(E−)を用いて、縦振動及び屈曲振動を検出する。
【0072】
具体的には、図23に示すように、D相の外部電極17(D+)及び17(D−)にそれぞれ接続される1対の配線L3を第1振動検出回路(第1振動検出手段)41に、E相の外部電極17(E+)及び(E−)にそれぞれ接続される1対の配線L4を第2振動検出回路(第2振動検出手段)42に接続する。
第1振動検出回路41は、配線L3を介して入力される電気信号に対して、ノイズ除去を行い、第1の振動検出信号として振動分離回路(第3振動検出手段)43に出力する。
【0073】
第2振動検出回路42は、配線L4を介して入力される電気信号に対して、ノイズ除去を行い、第2の振動検出信号として振動分離回路43に出力する。
振動分離回路43は、第1の振動検出信号及び第2の振動検出信号が入力されると、これらの信号の和をとることで縦振動検出信号を得、また、これらの信号の差をとることで屈曲振動検出信号を得る。そして、これら縦振動検出信号及び屈曲振動検出信号を振動位相比較回路に出力する。
【0074】
ここで、図9及び図10に示したように、内部電極12(D+),12(D−)が配置された第3の領域と内部電極12(E+),12(E−)が配置されている第4の領域とは、縦振動において同符号の電荷が励起され、屈曲振動において異符号の電荷が励起されるようになっている。
【0075】
従って、例えば、外部電極17(D+)と17(D−)から出力される電気信号に基づいて検出された第1の振動検出信号と外部電極17(E+)と17(E−)とから出力される電気信号に基づいて検出された第2の振動検出信号との和をとることは、振動分離回路43では、実質的に外部電極17(D+)と17(E+)とを結線するとともに、外部電極17(D−)と17(E−)とを結線することに対応し、この和信号は屈曲振動によって励起された電荷を相殺してゼロとすることになり、結果として縦振動に比例した信号のみを得ることができる。
【0076】
また、外部電極17(D+)と17(D−)から出力される電気信号に基づいて検出された第1の振動検出信号と外部電極17(E+)と17(E−)とから出力される電気信号に基づいて検出された第2の振動検出信号との差をとることは、振動分離回路43では、実質的に外部電極17(D+)と17(E−)とを結線するとともに、外部電極17(D−)と17(E+)とを結線することに対応し、この差信号は、縦振動によって励起された電荷を相殺してゼロとすることになり、結果として屈曲振動に比例した信号のみを得ることができる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る超音波モータによれば、上述した第1の実施形態と比較して、振動検出用の内部電極並びに外部電極の数を減らすことができ、装置の簡素化を図ることができる。
【0078】
なお、図16に示した第2の実施形態に係る超音波モータにおいても、各圧電セラミックシート11における内部電極を上述した第3の実施形態と同様とし、また、図24に示すように、縦振動検出回路34及び屈曲振動検出回路35に代えて、第3の実施形態に係る第1振動検出回路41、第2振動検出回路42及び振動分離回路43を適用することとしても良い。
【0079】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した実施形態では、振動検出用の内部電極を全層にわたって設けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、一層にだけもしくは数層にだけ設けるようにすることとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波モータを示す全体構成図である。
【図2】図1の超音波モータの超音波振動子を示す斜視図である。
【図3】図2の超音波振動子を構成する圧電積層体を示す斜視図である。
【図4】図3の圧電積層体を構成する圧電セラミックスシートを示す斜視図である。
【図5】図3の圧電積層体を構成する圧電セラミックスシートを示す斜視図である。
【図6】図2の圧電積層体が1次の縦振動で振動する様子をコンピュータ解析により示す図である。
【図7】図2の圧電積層体が2次の屈曲振動で振動する様子をコンピュータ解析により示す図である。
【図8】セラミックスシートに設けられた内部電極に発生する電荷状態を説明するための図であって、セラミックスシートを四つの領域に区分した図である。
【図9】縦振動が励起されているときに、図8に示した各領域に励起される電荷状態を示した図である。
【図10】屈曲振動が励起されているときに、図8に示した各領域に励起される電荷状態を示した図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る制御装置の概略構成を示したブロック図である。
【図12】駆動パルス発生回路により生成される2相の駆動制御信号を示した図である。
【図13】振動位相差とモータ効率との関係を示した図である。
【図14】振動位相差を120°付近に設定した場合に、摩擦接触子に生ずる略楕円振動の一例を示した図である。
【図15】駆動位相差と振動位相差との関係を示した図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る制御装置の概略構成を示したブロック図である。
【図17】縦振動における周波数−モータ速度の関係を示した図である。
【図18】縦振動における周波数−位相差の特性を示した図である。
【図19】周波数設定回路が保有する位相差φ−周波数fの特性テーブルの一例を示した図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係る振動検出用の内部電極の配置を説明するための図である。
【図21】本発明の第3の実施形態に係る振動検出用の内部電極の配置を説明するための図である。
【図22】図20及び図21に示した圧電セラミックシートを積層して構成される超音波振動子の斜視図である。
【図23】本発明の第3の実施形態に係る制御装置の概略構成を示したブロック図である。
【図24】本発明の第2の実施形態に係る制御装置の変形例を示した図である。
【符号の説明】
【0081】
1 超音波モータ
2 被駆動体
3 超音波振動子
11 圧電セラミックスシート
12 内部電極
14 摩擦接触子
17 外部電極
30 制御装置
31 周波数設定回路
32 駆動パルス発生回路
33 ドライブIC
34 縦振動検出回路
35 屈曲振動検出回路
36 振動位相比較回路
40 追尾位相比較回路
41 第1振動検出回路
42 第2振動検出回路
43 振動分離回路
50 信号制御部
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
【出願日】 平成18年8月9日(2006.8.9)
【代理人】 【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生

【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴


【公開番号】 特開2008−43123(P2008−43123A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−216710(P2006−216710)