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【発明の名称】 点火プラグ
【発明者】 【氏名】柏倉 利美

【氏名】宮下 茂樹

【氏名】杉本 知士郎

【氏名】端無 憲

【氏名】岩見 篤

【要約】 【課題】点火プラグにおいて、副接地電極に、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める役割と、絶縁碍子表面に付着したカーボンを焼失させるために沿面放電を行わせる役割と、を両立させる技術を提供する。

【解決手段】中心電極と、中心電極の先端2aよりも燃焼室内方に延出し、中心電極の先端2aとの間に正規放電ギャップを形成する主接地電極7と、中心電極の先端2aよりも燃焼室内方に延出し、中心電極の先端2aとの間に、正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める補助放電ギャップを形成する副接地電極8と、を備えた点火プラグにおいて、副接地電極8の中途部に、絶縁碍子3の端面3aの表面上に付着したカーボンを介した沿面放電を行わせる突起部8bを設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁碍子から先端が突出する中心電極と、
前記中心電極の前記先端よりも燃焼室内方に延出し、前記中心電極の前記先端との間に正規放電ギャップを形成する主接地電極と、
前記中心電極の前記先端よりも燃焼室内方に延出し、前記中心電極の前記先端との間に、前記正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める補助放電ギャップを形成する副接地電極と、
を備えた点火プラグにおいて、
前記副接地電極の中途部に、前記絶縁碍子の表面上に付着したカーボンを介した沿面放電を行わせる突起部を設けたことを特徴とする点火プラグ。
【請求項2】
前記副接地電極の中途部に設けられた前記突起部は、前記副接地電極とは別部品で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の点火プラグ。
【請求項3】
前記突起部は、前記主接地電極の中途部にも設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の点火プラグ。
【請求項4】
前記主接地電極の中途部に設けられた前記突起部は、前記主接地電極とは別部品で構成されたことを特徴とする請求項3に記載の点火プラグ。
【請求項5】
前記正規放電ギャップをE、前記補助放電ギャップをC、前記中心電極の前記絶縁碍子から露出した縁部と前記突起部とのギャップをA、前記中心電極の前記先端と前記突起部とのギャップをD、前記絶縁碍子における前記中心電極の前記先端が突出する端面の縁部と前記突起部とのギャップをB、前記突起部と接地電極が接続されたハウジングとのギャップをH、前記絶縁碍子における前記中心電極の前記先端が突出する端面と接地電極が接続されたハウジングとのギャップをGとすると、
E<C、E<A、C<D、E>B、H<G
の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の点火プラグ。
【請求項6】
前記主接地電極を1つ有すると共に前記副接地電極を2つ有し、前記主接地電極及び前記副接地電極が前記中心電極の周りで120度毎均等に離れて配置されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の点火プラグ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に用いられる点火プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
リーンバーンエンジンは、空燃比をリーン化して燃焼することで、燃費とNOxエミッションを低減する。ここで、燃焼室内をリーン化するために燃焼室内の混合気の流動が促進されて激しくなっている。このように燃焼室内の混合気の流動が激しいときには、点火プラグにおける火花放電が流され、切断されてしまう場合がある。
【0003】
このため、正規放電ギャップを形成する主接地電極の他に、正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める補助放電ギャップを形成する副接地電極を設け、火花放電が切断されてしまうことを抑制する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、燃焼室内をリーン化する際にリッチ混合気が点火プラグ周辺に集まり、点火プラグにカーボンが付着し易い。点火プラグの中心電極を保持する絶縁碍子の表面にカーボンが付着すると、絶縁碍子表面の絶縁性が低下し、正規放電ギャップでの火花放電よりもカーボンを介して絶縁碍子表面からその周囲のハウジングとの間で沿面放電が生じてしまう場合がある。
【0005】
このため、正規放電ギャップを形成する主接地電極の他に、絶縁碍子表面に付着したカーボンを焼失させるための沿面放電を行わせる補助放電ギャップを形成する副接地電極を設ける技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−139276号公報
【特許文献2】特開2002−231414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記特許文献1での副接地電極は、正規放電ギャップから流された火花放電を受け止めるために、副接地電極の先端が中心電極の周りの絶縁碍子表面から離れた燃焼室内方に位置する。このため、前記特許文献1での副接地電極では、補助放電ギャップで火花放電が行われても、放電位置が絶縁碍子表面から遠く、前記特許文献2のように絶縁碍子表面に付着したカーボンを焼失させることはできなかった。
【0007】
したがって、副接地電極を設けただけでは、副接地電極に、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める役割と、絶縁碍子表面に付着したカーボンを焼失させるために沿面放電を行わせる役割と、を両立させることは困難であった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、点火プラグにおいて、副接地電極に、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める役割と、絶縁碍子表面に付着したカーボンを焼失させるために沿面放電を行わせる役割と、を両立させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、
絶縁碍子から先端が突出する中心電極と、
前記中心電極の前記先端よりも燃焼室内方に延出し、前記中心電極の前記先端との間に
正規放電ギャップを形成する主接地電極と、
前記中心電極の前記先端よりも燃焼室内方に延出し、前記中心電極の前記先端との間に、前記正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める補助放電ギャップを形成する副接地電極と、
を備えた点火プラグにおいて、
前記副接地電極の中途部に、前記絶縁碍子の表面上に付着したカーボンを介した沿面放電を行わせる突起部を設けたことを特徴とする点火プラグである。
【0010】
主接地電極の他に副接地電極を設けただけでは、副接地電極に、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める役割と、絶縁碍子表面に付着したカーボンを焼失させるために沿面放電を行わせる役割と、のいずれかの役割を持たせることしかできず、両方の役割を両立させることは困難であった。
【0011】
また、前記両方の役割を別々に持たせる副接地電極を夫々設ける場合には、副接地電極の総数が増加してしまい、主接地電極や副接地電極の電極間の隙間が小さくなる。このため、点火プラグにおける主接地電極や副接地電極に囲まれ放電を行う領域に対して電極間の小さな隙間からの掃気が不十分となり、点火を阻害する可能性があった。
【0012】
そこで、本発明では、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める補助放電ギャップを形成する副接地電極の中途部に、絶縁碍子の表面上に付着したカーボンを介した沿面放電を行わせる突起部を設けた。
【0013】
これによると、副接地電極の補助放電ギャップでは、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止めることができると同時に、突起部を用いて、絶縁碍子の表面上に付着したカーボンを焼失させるためにカーボンを介した沿面放電を行わせることができる。
【0014】
すなわち、突起部を設けた副接地電極は、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める役割と、絶縁碍子表面に付着したカーボンを焼失させるために沿面放電を行わせる役割と、を両立することができるようになる。
【0015】
また、突起部を設けた副接地電極は、前記両方の役割を担うことができるため、配置する副接地電極の総数が少なくてよく、主接地電極や副接地電極の電極間の隙間が大きくなる。このため、点火プラグにおける主接地電極や副接地電極に囲まれ放電を行う領域に対して電極間の大きな隙間から掃気が十分行えるので、点火をより良く行うことができる。
【0016】
前記突起部は、前記主接地電極の中途部にも設けられるとよい。これによると、主接地電極側の絶縁碍子表面に付着したカーボンを焼失させることができる。よって、副接地電極に設けられた突起部と主接地電極に設けられた突起部とを用いることで、絶縁碍子表面に付着したカーボンを全周的に死角なく焼失させることができる。
【0017】
前記突起部は、前記副接地電極若しくは前記主接地電極とは別部品で構成されるとよい。これによると、本発明の点火プラグと突起部を必要としない点火プラグとで副接地電極及び/又は主接地電極を共用することができ、当該接地電極の部品の共通化によって製造コストを低減することができる。
【0018】
前記正規放電ギャップをE、前記補助放電ギャップをC、前記中心電極の前記絶縁碍子から露出した縁部と前記突起部とのギャップをA、前記中心電極の前記先端と前記突起部とのギャップをD、前記絶縁碍子における前記中心電極の前記先端が突出する端面の縁部と前記突起部とのギャップをB、前記突起部と接地電極が接続されたハウジングとのギャ
ップをH、前記絶縁碍子における前記中心電極の前記先端が突出する端面と接地電極が接続されたハウジングとのギャップをGとすると、
E<C、E<A、C<D、E>B、H<G
の関係を満たすとよい。
【0019】
これによると、E<C、E<Aの関係を満たすことにより、通常時に正規放電ギャップEで火花放電することができる。C<Dの関係を満たすことにより、正規放電ギャップEから流された火花放電を補助放電ギャップCで受け止めることができる。E>B、H<Gの関係を満たすことにより、絶縁碍子表面にカーボンが付着した際にカーボンを焼失させるためにカーボンを介した沿面放電をギャップBで行うことができ、かつ当該沿面放電が絶縁碍子表面をはってギャップGを有するハウジングとの間で行われることを防止することができる。
【0020】
前記主接地電極を1つ有すると共に前記副接地電極を2つ有し、前記主接地電極及び前記副接地電極が前記中心電極の周りで120度毎均等に離れて配置されるとよい。これによると、前記両方の役割を3等分された領域で夫々の主接地電極及び副接地電極が担い、前記両方の役割を不具合なく果たすことができると共に、主接地電極や副接地電極の電極間の隙間を大きくとることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、点火プラグにおいて、副接地電極に、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める役割と、絶縁碍子表面に付着したカーボンを焼失させるために沿面放電を行わせる役割と、を両立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の具体的な実施例を説明する。
【0023】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例1に係る点火プラグの概略を示す図である。点火プラグ1は、内燃機関の燃焼室の上面に配置される。
【0024】
内燃機関に用いられる点火プラグ1は、その中心軸にそって配置される中心電極2と、中心電極2を取り囲む絶縁碍子3と、当該絶縁碍子3の周りに形成されるハウジング4と、を備える。
【0025】
中心電極2は、燃焼室外方端部に電力の供給を受ける端子5を有し、燃焼室内方端部(以下、単に先端2aという)が燃焼室内に突出する。
【0026】
絶縁碍子3は、中心電極2とハウジング4の間を絶縁し、高電圧が電極以外に逃げることを防止している。絶縁碍子3の燃焼室内方端部が燃焼室に突出するが、絶縁碍子3から中心電極2が露出し、中心電極2の先端2aの方が絶縁碍子3よりも燃焼室内方に突出している。
【0027】
ハウジング4は、金属製の筒状であり、その中心軸は点火プラグ1の中心軸上にある。ハウジング4は、絶縁碍子3を取り巻くように外殻を構成しその燃焼室内方側外周面にはねじ6が切られており、絶縁碍子3を支持すると共に点火プラグ1を内燃機関に取り付ける役目を果たす。また、ハウジング4の燃焼室内方端部(以下、単に端部4aという)には、主接地電極7及び副接地電極8が取り付けられている。
【0028】
主に図2を用いて点火プラグ1の燃焼室内方側の詳細を説明する。点火プラグ1の燃焼
室内方側において、中心軸側ではハウジング4の端部4aから絶縁碍子3及びその中心に位置する中心電極2の先端2aが燃焼室内方に突出する。また、外周側ではハウジング4の端部4aから主接地電極7及び副接地電極8が燃焼室内方に突出する。
【0029】
すなわち、点火プラグ1の中心軸上では、ハウジング4の端部4aから円柱状をした絶縁碍子3に覆われた中心電極2が燃焼室内方に突出する。そして、中心電極2は燃焼室内方で絶縁碍子3から露出し、その先端2aは燃焼室内方に向けて尖っている。
【0030】
一方、ハウジング4の端部4aから中心電極2の先端2aよりも燃焼室内方に主接地電極7が1つ延出されている。主接地電極7は、ハウジング4の端部4aから燃焼室内方に延出し、途中で垂直に曲がり、先端7aが中心電極2の延長線上、すなわち点火プラグ1の中心軸上に存在する。そして、中心電極2の先端2aと主接地電極7の先端7aとの間には、燃焼室内方の方向に沿った正規放電ギャップが形成される。
【0031】
また、ハウジング4の端部4aから中心電極2の先端2aよりも燃焼室内方、かつ主接地電極7の先端7aよりも燃焼室外方に副接地電極8が2つ延出されている。副接地電極8は、ハウジング4の端部4aから燃焼室内方に延出し、途中から点火プラグ1の中心軸側へ曲がっている。そして、中心電極2の先端2aと副接地電極8の先端8aとの間には、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める補助放電ギャップが形成される。
【0032】
主接地電極7と副接地電極8とは、図2(b)に示すように、絶縁碍子3に保持された中心電極2の周りで120度毎均等に離れて配置されている。
【0033】
そして、図2(a)に示すように、主接地電極7及び副接地電極8の中途部に、絶縁碍子3の端面3aの表面上に付着したカーボンを焼失させるためにカーボンを介した沿面放電を行わせる、点火プラグ1の中心軸方向に突出した突起部7b,8bを夫々備えている。
【0034】
ここで、図3を用いて点火プラグ1の燃焼室内方側の主なギャップの関係を説明する。中心電極2の先端2aと主接地電極7の先端7aとの間の正規放電ギャップをE、中心電極2の先端2aと副接地電極8の先端8aとの間の補助放電ギャップをCとすると、E<Cの関係を満たしている。また、正規放電ギャップをE、中心電極2の絶縁碍子3から露出した縁部2bと突起部8b(若しくは突起部7b)とのギャップをAとすると、E<Aの関係を満たしている。E<C、E<Aの関係を満たすことにより、正規放電ギャップEが補助放電ギャップCやギャップAよりも小さく、通常時に正規放電ギャップEで火花放電することができる。
【0035】
補助放電ギャップをC、中心電極2の先端2aと突起部8b(若しくは突起部7b)とのギャップをDとすると、C<Dの関係を満たしている。C<Dの関係を満たすことにより、正規放電ギャップEから流された火花放電を、ギャップDで受け止めず、補助放電ギャップCで受け止めることができる。
【0036】
なお、火花放電を補助放電ギャップCで受け止める際に着火性を保つため、中心電極2の先端2aとハウジング4の端部4aとのギャップをI、副接地電極8の先端8aとハウジング4の端部4aとのギャップをJとすると、I<Jの関係を満たすようにしている。
【0037】
正規放電ギャップをE、絶縁碍子3における中心電極2の先端2aが突出する端面3aの縁部3bと突起部8b(若しくは突起部7b)とのギャップをBとすると、E>Bの関係を満たしている。また、突起部8b(若しくは突起部7b)と接地電極7,8が接続さ
れたハウジング4の端部4aとのギャップをH、絶縁碍子3における中心電極2の先端2aが突出する端面3aと接地電極7,8が接続されたハウジング4の端部4aとのギャップをGとすると、H<Gの関係を満たしている。E>B、H<Gの関係を満たすことにより、絶縁碍子3の端面3aの表面にカーボンが付着した際にカーボンを焼失させるためにカーボンを介した沿面放電をギャップBで行うことができ、かつ当該沿面放電が絶縁碍子3表面をはってギャップGを有するハウジング4との間で行われることを防止することができる。
【0038】
ところで、リーンバーンエンジンは、空燃比をリーン化して燃焼することで、燃費とNOxエミッションを低減する。ここで、燃焼室内をリーン化するために燃焼室内の混合気の流動が促進されて激しくなっている。このように燃焼室内の混合気の流動が激しいときには、点火プラグ1における正規放電ギャップでの火花放電が流され、切断されてしまう場合がある。このため、正規放電ギャップを形成する主接地電極7の他に、正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める補助放電ギャップを形成する副接地電極8を設け、火花放電が切断されてしまうことを抑制している。
【0039】
一方、燃焼室内をリーン化する際にリッチ混合気が点火プラグ1周辺に集まり、点火プラグ1の絶縁碍子3の端面3aにカーボンが付着し易い。点火プラグ1の中心電極2を保持する絶縁碍子3の端面3aの表面にカーボンが付着すると、絶縁碍子3表面の絶縁性が低下し、正規放電ギャップでの火花放電よりもカーボンを介して絶縁碍子3表面からその周囲のハウジング4との間で沿面放電が生じてしまう場合がある。
【0040】
このため、副接地電極8を用いて、絶縁碍子3表面に付着したカーボンを焼失させるための沿面放電を行わせることが望まれる。ところが、副接地電極8は、正規放電ギャップから流された火花放電を受け止めるために、副接地電極8の先端8aが中心電極2の周りの絶縁碍子3表面から離れた燃焼室内方に位置する。このため、このままの副接地電極8では、補助放電ギャップで火花放電が行われても、放電位置が絶縁碍子3の端面3aから遠く、絶縁碍子3表面に付着したカーボンを焼失させることはできなかった。
【0041】
したがって、副接地電極8を設けただけでは、副接地電極8に、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める役割と、絶縁碍子3表面に付着したカーボンを焼失させるために沿面放電を行わせる役割と、を両立させることは困難であった。
【0042】
また、これら両方の役割を別々に持たせる副接地電極8を夫々設ける場合には、副接地電極8の総数が増加してしまい、主接地電極7や副接地電極8の電極間の隙間が小さくなる。このため、点火プラグ1における主接地電極7や副接地電極8に囲まれ放電を行う領域に対して電極間の小さな隙間からの掃気が不十分となり、点火を阻害する可能性があった。
【0043】
そこで、本実施例では、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める補助放電ギャップを形成する先端8aを有する副接地電極8の中途部に、絶縁碍子3の端面3aの表面上に付着したカーボンを焼失させるためにカーボンを介した沿面放電を行わせる突起部8bを設けている。
【0044】
したがって、本実施例では、中心電極2の先端2aと副接地電極8の先端8aとの間の補助放電ギャップでは、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止めることができると同時に、突起部8bを用いて、絶縁碍子3の端面3aの表面上に付着したカーボンを焼失させるためにカーボンを介した沿面放電を行わせることができる。
【0045】
すなわち、突起部8bを設けた副接地電極8は、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める役割と、絶縁碍子表面に付着したカーボンを焼失させるために沿面放電を行わせる役割と、を両立することができるようになる。
【0046】
また、突起部8bを設けた副接地電極8は、前記両方の役割を担うことができるため、配置する副接地電極8の総数が少なくてよく、主接地電極7や副接地電極8の電極間の隙間が大きくなる。このため、点火プラグ1における主接地電極7や副接地電極8に囲まれ放電を行う領域に対して電極間の大きな隙間から掃気が十分行えるので、点火をより良く行うことができる。
【0047】
また、本実施例では、主接地電極7の中途部にも突起部7bが設けられている。これによると、突起部7bでは主接地電極7側の絶縁碍子3の端面3a表面に付着したカーボンを焼失させることができる。よって、副接地電極8に設けられた突起部8bと主接地電極7に設けられた突起部7bとを用いることで、絶縁碍子3の端面3aの表面に付着したカーボンを全周的に死角なく焼失させることができる。
【0048】
なお、本実施例では、主接地電極7の中途部にも突起部7bが設けられている。しかし、図4(a)に示すように、主接地電極7の中途部には突起部7bが設けられていない構成としても本発明に包含される。この場合には、絶縁碍子3の端面3aの表面に付着したカーボンを焼失させるために沿面放電を行わせる役割を果たす副接地電極8の突起部8bが2つだけとなるので、1つの突起部8bが半円領域で前記役目を果たすように、図4(b)に示すように、副接地電極8を絶縁碍子3に保持された中心電極2の周りで夫々主接地電極7から90度離れた位置で対向させる。
【0049】
また、本実施例では、突起部7b,8bは主接地電極7及び副接地電極8と一体部品となっている。しかし、図5に示すように、突起部7b,8bは、主接地電極7及び副接地電極8とは別部品で構成されても本発明に包含される。この場合には、突起部7b,8bが、主接地電極7及び副接地電極8に対して、打ち込み(溶接)等によって配置されることになる。これによると、本実施例のような突起部7b,8bを必要としない点火プラグとで主接地電極7や副接地電極8を共用することができ、本実施例の点火プラグ1を製造する際に、当該接地電極7,8の部品の共通化によって製造コストを低減することができる。
【0050】
さらに、本実施例では、図2(b)に示すように、主接地電極7を1つ有すると共に副接地電極8を2つ有し、主接地電極7及び副接地電極8が絶縁碍子3に保持された中心電極2の周りで120度毎均等に離れて配置される。このため、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める役割と、絶縁碍子3の端面3aの表面に付着したカーボンを焼失させるために沿面放電を行わせる役割と、の両方の役割を3等分された領域で夫々の主接地電極7及び副接地電極8が担い、前記両方の役割を不具合なく果たすことができる。なお、火花放電の切断を抑制するために正規放電ギャップから流された火花放電を受け止める役割を主接地電極7が担うとは、主接地電極7自身の先端7aでの正規放電ギャップから流された火花放電を、主接地電極7自身の中途部で受け止めることができることから、主接地電極7も本役割を担うといえる。またこれと共に、主接地電極7や副接地電極8の電極間の隙間を大きくとることができる。このため、電極間の大きな隙間から掃気が十分行えるので、点火をより良く行うことができる。
【0051】
本発明に係る点火プラグは、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施例1に係る点火プラグを示す図である。
【図2】実施例1に係る点火プラグの燃焼室内方側を示す図であり、(a)は側面図、(b)は燃焼室内方からの底面図である。
【図3】実施例1に係る点火プラグの燃焼室内方側のギャップ関係を示す図である。
【図4】実施例1の他の例1に係る点火プラグの燃焼室内方側を示す図であり、(a)は側面図、(b)は燃焼室内方からの底面図である。
【図5】実施例1の他の例2に係る点火プラグの燃焼室内方側を示す側面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 点火プラグ
2 中心電極
2a 先端
2b 縁部
3 絶縁碍子
3a 端面
3b 縁部
4 ハウジング
4a 端部
5 端子
6 ねじ
7 主接地電極
7a 先端
7b 突起部
8 副接地電極
8a 先端
8b 突起部
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成18年11月21日(2006.11.21)
【代理人】 【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之

【識別番号】100106622
【弁理士】
【氏名又は名称】和久田 純一

【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦


【公開番号】 特開2008−130383(P2008−130383A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−314593(P2006−314593)