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【発明の名称】 イオン風発生装置
【発明者】 【氏名】若松 俊男

【氏名】遠藤 誠二

【氏名】草間 裕司

【要約】 【課題】オゾンをほとんど発生させることなく、十分な風量を得ることができるイオン風発生装置を提供する。

【解決手段】放電電極1と対向電極2の間でコロナ放電を生じさせてイオン風を発生させるイオン風発生装置であって、上記対向電極2が多孔質導電部材から構成され、上記放電電極1が束ねられた多数の炭素繊維6から構成されている。これにより、オゾンをほとんど発生させることなく、十分に風量感を感じる風速のイオン風が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせてイオン風を発生させるイオン風発生装置であって、上記対向電極が多孔質導電部材から構成され、上記放電電極が多数の炭素繊維から構成されていることを特徴とするイオン風発生装置。
【請求項2】
上記対向電極が多孔質金属から形成されている請求項1記載のイオン風発生装置。
【請求項3】
上記対向電極の材質がニッケル系金属である請求項1または2記載のイオン風発生装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンの発生を抑制しながら、マイナスイオン等のイオンを発生して室内等の空気中にイオン風として放出するイオン風発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラスイオンやマイナスイオンを発生させてイオン風として室内等に放出するイオン風発生装置が提案されている。このようなイオン風発生装置は、イオン化電極と対向電極を対置して両電極間に高電圧を印加し、コロナ放電によってイオン風を発生させるものである(例えば、下記の特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−43628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のイオン風発生装置では、コロナ放電によって周辺の酸化や刺激臭の原因となるオゾンが発生し、オゾンによる周辺環境への悪影響が生じることがある。このようなオゾンによる悪影響を防止するため、従来は、印加電圧を低く抑えたり、活性炭フィルターによって発生したオゾンを吸着したり、あるいはオゾン分解触媒によってオゾンを分解する等の手法がとられていた。
【0004】
ところが、印加電圧を低く抑える方法では、風量感を与えるほどの風速が得られないという問題があった。また、フィルターによる吸着では、圧力損失によって風速が低下してしまううえ、定期的にフィルターを交換しなければならず、ランニングコストが高くなるという問題がある。一方、触媒によってオゾンを分解する方法でも、風速を落とさないようにするためにハニカム構造の触媒を設備しなければならず、装置自体が大型化するうえ、見栄えもよくないという問題が残る。しかも、長期的な使用により、ハニカム構造の触媒が塵埃や油分等で覆われると、イオン風と触媒との接触機会が減少し、オゾンを十分に分解できなくなり、長期的な信頼性に欠けるという問題がある。このように、触媒で分解させたりフィルターで吸着する等の方法は、オゾンそのものを発生させなくするのではなく、発生させたオゾンを事後的に取り除くものであることから、抜本的な解決には至っていないのが実情である。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたもので、オゾンをほとんど発生させることなく、十分な風量を得ることができるイオン風発生装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のイオン風発生装置は、放電電極と対向電極の間でコロナ放電を生じさせてイオン風を発生させるイオン風発生装置であって、上記対向電極が多孔質導電部材から構成され、上記放電電極が多数の炭素繊維から構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
すなわち、本発明のイオン風発生装置は、上記対向電極を多孔質導電部材から構成し、上記放電電極を多数の炭素繊維から構成したため、オゾンをほとんど発生させることなく、十分に風量感を感じる風速のイオン風が得られる。繊維状の放電電極と多孔質導電部材の対向電極との間でコロナ放電を生じさせることにより、微小電力による分散放電となってオゾンの発生を防止しているものと考えることができる。そして、フィルターのような圧力損失もないし、触媒のような長期信頼性が低下する心配もない。また、放電電極と対向電極以外にオゾンを除去する部材を設備する必要がないため、装置自体がコンパクトになる。また、従来の金属製の針状放電電極のように金属自体の劣化が生じることがなく、長期間にわたって安定的にイオン風を発生させることができ、信頼性や寿命の面で大幅に優れたものとなる。さらに、多孔質導電部材製の対向電極に空気中の浮遊塵埃が吸着することによる空気清浄効果も発揮し得るようになる。
【0008】
本発明において、上記対向電極が多孔質金属から形成されている場合には、電極表面に気孔が露出し、気孔間の薄い壁部分で放電を起すことになることから、より微小電力による分散放電となってオゾンの発生が防止される。
【0009】
本発明において、上記対向電極の材質がニッケル系金属である場合には、放電による対向電極の劣化が極めて少ないため、長期間にわたって安定的にオゾンの発生を防止しながらイオン風を発生させることができ、信頼性や寿命の面で大幅に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明のイオン風発生装置をマイナスイオン発生器に適用した一実施形態を示す図である。
【0012】
このマイナスイオン発生器は、放電電極1と対向電極2の間でコロナ放電を生じさせてイオン風を発生させるものである。この例では、対向電極2は長方形の板状の電極板2aを2枚1組で使用し、2枚の電極板2aを所定間隔を隔てて平行に配置して構成されている。そして、放電電極1は、対向電極2の幅方向に延びる細長い状態に形成されている。上記放電電極1は、対向電極2の一端側における対向電極2から少し離れた位置に、2枚の電極板2aの略中央高さで対向電極2に沿うように配置されている。
【0013】
上記対向電極2は、多孔質導電部材から構成されている。多孔質導電部材としては、例えば、焼結金属や金属フォーム等の多孔質金属を用いることができる。また、多孔質導電部材としては、炭素繊維クロス、炭素繊維不織布、金属繊維クロス、金属繊維不織布、合成繊維のクロス・不織布に金属めっきを施した導電性クロス・導電性不織布等を用いることもできる。これらのなかでも、上記対向電極2を金属フォームから形成するのが好ましい。
【0014】
上記金属フォームは、例えば、発泡剤を均一に分散させて緻密化した金属粉末圧密体を加熱することにより、発泡剤の分解ガスの圧力を利用して軟化した金属母材中に気泡組織を形成させることにより多数の気泡を分散させたセル構造の多孔質金属である。なお、本発明に適用することができる金属フォームは、多数の気泡を分散させたセル構造の多孔質金属であれば、上述した製法で得られるものに限定する趣旨ではない。
【0015】
上記金属フォーム等の多孔質金属における多孔率は、50〜85容積%程度が好適である。上記多孔率が85容積%を超えると、強度が不足する上、放電による対向電極2の劣化度合が激しくなるおそれがあるからである。反対に50容積%未満では、コロナ放電の際に分散放電効果が十分に得られず、オゾンを発生させるおそれがあるうえ、空気中微小塵埃の吸着効果が乏しく、空気清浄効果もあまり得られず、触媒の担持もあまりできなくなるからである。
【0016】
上記金属フォーム等の多孔質金属における気孔寸法は、平均径で50μm〜1mm程度が好適である。上記気孔寸法が1mmを超えると、強度が不足する上、放電による対向電極2の劣化度合が激しくなるおそれがあるからである。また、空気中微小塵埃の吸着効果が乏しく、空気清浄効果もあまり得られず、触媒の担持もあまりできなくなるからである。反対に50μm未満では、吸着による目詰まりが早く、コロナ放電の際に分散放電効果が十分に得られず、オゾンを発生させるおそれがあるからである。
【0017】
上記対向電極2を構成する多孔質金属の材質としては、純ニッケルや、ニッケル基合金等のニッケル系金属から形成するのが好ましい。ニッケル基合金としては、例えば、Ni−Cu系合金(Ni−Cu−Al合金、Ni−Cu−Si合金等を含む)、Ni−Al系合金、Ni−Fe系合金(Ni−Fe−Mo合金等を含む)、Ni−Cr系合金(Ni−Cr−Fe合金、Ni−Cr−Mo合金等を含む)等のニッケル基耐熱合金、ニッケル基耐食合金を用いることができる。これらのなかでも、特に、Ni−Cr−Fe系合金であるインコネルを好適に用いることができる。
【0018】
また、上記対向電極2を構成する多孔質金属の材質として、上記各ニッケル系金属以外に、純アルミニウムや、Al−Si系合金、Al−Mg系合金、Al−Cu−Mg系合金、Al−Cu−Mg−Ni系合金、Al−Cu−Si系合金、Al−Si−Mg系合金、Al−Si−Cu系合金、Al−Si−Mg−Cu系合金、Al−Si−Mg−Ni系合金、Al−Mn系合金、Al−Si−Cu−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金、Al−Zn−Mg−Si系合金等の各種アルミ基合金等のアルミ系金属を用いることもできる。
【0019】
また、上記対向電極2を構成する多孔質金属の材質として、上記各ニッケル系金属やアルミニウム系金属以外に、工業用純チタンや、各種のα型チタン合金、各種Nearα型チタン合金、各種のα+β型チタン合金、各種のβ型チタン合金等の各種チタン基合金等のチタン系金属を用いることもできる。
【0020】
また、上記放電電極1は、所定長さに切断された多数の炭素繊維6から形成され、各炭素繊維6の一端側を結束部材7で束ね、対向電極2に沿って幅寸法だけ延びる金属板11に炭素繊維6の先端が対向電極2側を向くように所定の等間隔で複数並べて取り付けられたものである。
【0021】
この例では、多数の炭素繊維6が束ねられ、環状に形成した絶縁性のゴム部材8が巻回されて、その外側を金属環9でかしめて結束するとともに、さらに根元部を金属製の端子部材10が巻回されて構成され、上記ゴム部材8、金属環9および端子部材10により結束部材7が構成されている。また、束ねられた炭素繊維6は、生じさせる気流に沿った長手方向と直交する方向に先端が切りそろえられている。そして、束ねた炭素繊維6の自由端側の各先端からコロナ放電させてイオン風を発生させるようになっている。
【0022】
上記のように構成した放電電極1にマイナス電位を印加することにより、各炭素繊維6の先端からコロナ放電を生じ、より微弱な電力で風力の強いイオン風を生じさせることができる。また、微弱な電力でコロナ放電を生じることから、オゾンの発生量が激減する。
【0023】
上記放電電極1に用いる炭素繊維6は、アクリル繊維を高温で炭化して作ったPAN系炭素繊維、レーヨンを加熱して炭化したレーヨン系炭素繊維、パルプの廃材であるリグニンを原料にしたリグニンPVA系炭素繊維、石油・石炭・コールタールなどの副生成物であるピッチを原料としたPITCH系炭素繊維等、各種の炭素繊維を用いることができる。
【0024】
上記放電電極1に用いる炭素繊維6の繊維外径は、0.6〜30μm程度が好適である。0.6μm未満では、強度が不足する上、放電による繊維自体の劣化度合が激しくなるおそれがあるからである。放電分散電圧が繊維の本数npと放電電極印加電圧Voにより、Vo/npの関係を維持することから、繊維外径を細くして繊維の本数npを多くした方が、繊維1本あたりの分散電圧が少なくなるため、反対に、30μmを超えると、コロナ放電の際に分散放電効果が十分に得られず、オゾンを発生させるおそれがあるからである。
【0025】
上記放電電極1と対向電極2は、ケース3の中に図示しない絶縁性の保持部材に保持されて上述したような位置関係で配置される。上記ケース3には、一方に空気取入口4が設けられ、他方にイオン風吹出口5が設けられており、空気取入口4側に放電電極1を配置し、イオン風吹出口5側に対向電極2を配置する。言い換えると、発生させるイオン風の上流側に放電電極1が配置され、下流側にはイオン風の流れに沿うよう対向電極2が配置されている。
【0026】
この状態で、放電電極1にマイナス電位を印加し、対向電極にプラス電位を印加すると、放電電極1の先端でコロナ放電が起こり、放電電極1の先端から対向電極2の内面に向かって電子が放出される。放出された電子の流れは高電界によって加速されながら気体分子と衝突し、気体分子に運動エネルギーを与えて空気の電子誘導風となって気流を生み出す。このとき、電子の一部は気体分子の結合起動の外殻にトラップされてマイナスに帯電したマイナスイオン分子となる。したがって、電子誘導風は、マイナスイオン分子を含むイオン風の気流となる。
【0027】
このように、上記放電電極1と対向電極2に直流の電位を印加することによって生じるイオン風は、放電電極1から対向電極2の間を抜けて吹出される気流となり、マイナスイオン分子を含むイオン風がイオン風吹出口5から室内に放出され、空気取入口4から外気が取り入れられる。
【0028】
以上のように、本実施形態のマイナスイオン発生器によれば、上記対向電極2を多孔質導電部材から構成し、上記放電電極1を束ねられた多数の炭素繊維6から構成したため、オゾンをほとんど発生させることなく、十分に風量感を感じる風速のイオン風が得られる。繊維状の放電電極1と多孔質導電部材の対向電極2との間でコロナ放電を生じさせることにより、微小電力による分散放電となってオゾンの発生を防止しているものと考えることができる。そして、フィルターのような圧力損失もないし、触媒のような長期信頼性が低下する心配もない。また、放電電極1と対向電極2以外にオゾンを除去する部材を設備する必要がないため、装置自体がコンパクトになる。また、従来の金属製の針状放電電極のように金属自体の劣化が生じることがなく、長期間にわたって安定的にイオン風を発生させることができ、信頼性や寿命の面で大幅に優れたものとなる。さらに、多孔質導電部材製の対向電極2に空気中の浮遊塵埃が吸着することによる空気清浄効果も発揮し得るようになる。
【0029】
また、放電電極1と対向電極2によってマイナスイオン分子が生成するため、マイナスイオンによる精神安定やリラックス効果が得られる。
【0030】
また、上記対向電極2を多孔質金属から形成したため、電極表面に気孔が露出し、気孔間の薄い壁部分で放電を起すことになることから、より微小電力による分散放電となってオゾンの発生が防止される。
【0031】
また、上記対向電極2をニッケル基合金から形成することにより、放電による対向電極2の劣化が極めて少ないため、長期間にわたって安定的にオゾンの発生を防止しながらイオン風を発生させることができ、信頼性や寿命の面で大幅に優れたものとなる。
【0032】
図2は、本発明の第2の実施形態を示す。
【0033】
この例では、上記放電電極1は、多数の炭素繊維6が束ねられて構成されている。すなわち、長尺の炭素繊維6を対向電極2の幅寸法に合わせて切断し、両端部に端子部材ともなる結束部材7を巻き付けることにより束ねたものである。そして、炭素繊維6の長手方向が対向電極2の幅方向に沿うように放電電極1を配置している。それ以外は、上記第1の実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、上記第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0034】
図3は、本発明の第3の実施形態を示す。
【0035】
この例では、対向電極2として、平板状の電極板2aを対面させて配置するのではなく、円筒状に形成し、上記円筒上の中心に放電電極1を配置したものである。この放電電極は、図2(C)に示したものと同様であり、束ねて根元を結束し、先端を切りそろえたもので、先端を対向電極2側に向けて配置されている。
【0036】
この例において、筒状の対向電極2は、円筒状だけでなく、四角筒状にしてもよいし、イオン風の下流側を先広がりに形成したり、反対に先窄まりに形成したりすることもできる。
【0037】
上記のように構成した放電電極1にマイナス電位を印加することにより、各炭素繊維6の先端からコロナ放電を生じ、より微弱な電力で風力の強いイオン風を生じさせることができる。また、微弱な電力でコロナ放電を生じることから、オゾンの発生量が激減する。それ以外は、上記第1および第2の実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、この実施形態でも上記第1および第2の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0038】
図4は、本発明の第4の実施形態を示す。
【0039】
図4(A)は、図3に示した円筒状の対向電極2と先頭がその中心に向かうよう配置された放電電極1のユニットを複数組(この例では5組)並列状に配置した例を示す。このようにすることにより、大きな風量のイオン風を得ることができる。
【0040】
図4(B)は、円筒状の第1対向電極2bと第2対向電極2cとを所定の隙間20を隔てて直列状に配置し、第1対向電極2b側に放電電極1を1つ配置したものである。このようにすることにより、第1対向電極2bと第2対向電極2cの間の隙間20が空気取入口として機能して空気が取り込まれることにより、より風量の大きなイオン風を得ることができる。
【0041】
図4(C)は、図3に示した円筒状の対向電極2と先頭がその中心に向かうよう配置された放電電極1のユニットを複数組(この例では2組)直列状に配置した例を示す。このようにすることにより、後方のユニットと前方のユニットでそれぞれイオン風が発生するとともに、後方のユニットで発生したイオン風が前方のユニットに流れ込んでイオン風を加速させ、より風量の大きなイオン風を発生させることができる。
【0042】
図4(D)は、図3に示した円筒状の対向電極2と先頭がその中心に向かうよう配置された放電電極1のユニットを複数組(この例では7組)備え、1つのユニットを中心として6つのユニットがそれを取り囲むように配置した例を示す。このようにすることにより、より大きな風量のイオン風を得ることができる。
【0043】
それ以外は、上記第1〜第3の実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、この実施形態でも上記第1〜第3の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0044】
図5は、本発明の第5の実施形態を示す。
【0045】
この例は、図3に示した円筒状の対向電極2と先頭がその中心に向かうよう配置された放電電極1のユニットを複数組(この例では6組)備え、各放電電極1が中心部に集積するとともに先端が放射状に向くように配置した例を示す。このようにすることにより、全方向にイオン風を送ることができ、例えば居室内全体にマイナスイオンをまんべんなく送ることができる。それ以外は、上記第1〜第4の実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、この実施形態でも上記第1〜第4の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0046】
図6は、本発明の第6の実施形態を示す。
【0047】
この例では、円筒状の金属フォーム部材13で形成された1つの対向電極2と、複数の放電電極1a,1bから構成された放電電極ユニット1cを備えている。上記放電電極ユニット1cは、先端が対向電極2の中心に向かうよう配置されたセンター電極1aと、上記センター電極1aの周囲を囲む仮想円上に等間隔で配置された周辺電極1bとを備えて構成されている。そして、上記センター電極1aの先端の方が、周辺電極1bの先端よりも対向電極2側に突出するよう設定され、各周辺電極1bの先端と対向電極2との距離は等しくなるよう設定されている。
【0048】
このように、1つの対向電極2に対して複数の放電電極1a,1bを配置してコロナ放電させることにより、マイナスイオンの発生量も増大するうえ、より風力の強いイオン風を発生させることができる。また、センター電極1aと周辺電極1bとの間で対向電極2の内周面との距離に差がなくなるため、複数の放電電極1a,1b間で放電状態のばらつきが少なくなって安定した放電が行なわれ、マイナスイオンの発生量も安定するうえ、イオン風の風量も安定する。それ以外は、上記第1〜第5の実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、この実施形態でも上記第1〜第5の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0049】
図7は、本発明の第7の実施形態を示す。
【0050】
この例では、対向電極2は、円筒状の内側電極15と、上記内側電極15の外側に同心状に配置された外側電極16とにより構成された2重構造に形成されている。そして、上記複数の放電電極1が内側電極15と外側電極16との間の隙間に先端が向かうように配置されている。各放電電極1は、上記内側電極15および外側電極と同心状をなす仮想円上に等間隔で配置されている。
【0051】
このように、内側電極15と外側電極16の間のドーナツ状の隙間に対して複数の放電電極1を配置してコロナ放電させることにより、マイナスイオンの発生量も増大するうえ、より風力の強いイオン風を発生させることができる。また、各放電電極1間で対向電極2の周面との距離に差がなくなるため、各放電電極1間で放電状態のばらつきが少なくなって安定した放電が行なわれ、マイナスイオンの発生量も安定するうえ、イオン風の風量も安定する。さらに、内側電極15と外側電極16の間に形成されるドーナツ状の空間でイオン風を発生させることから、イオン風の指向性が高くなり、真っ直ぐ流れるイオン風を発生させることができる。それ以外は、上記第1〜第6の実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、この実施形態でも上記第1〜第6の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0052】
図8は、本発明の第8の実施形態を示す。
【0053】
この例では、金属フォーム板を組み合わせて4つの四角筒状部17が形成された対向電極2を形成し、各四角筒状部17に対応させて4つの放電電極1を配置したものである。それ以外は、上記第1〜第7の実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、この実施形態でも上記第1〜第7の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0054】
図9は、本発明の第9の実施形態を示す。
【0055】
この例は、所定間隔を隔てて対面させた2枚の金属フォーム板にそれぞれ複数の開口部22を形成して対向電極2を構成し、放電電極1を複数(この例では3つ)並列状に配置している。このようにすることにより、上記開口部22が空気取入口として機能して空気が取り込まれることにより、より風量の大きなイオン風を得ることができる。それ以外は、上記第1〜第8の実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、この実施形態でも上記第1〜第8の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0056】
図10は、本発明の第10の実施形態を示す。
【0057】
この例では、所定間隔を隔てて対面させた2枚の金属フォーム板で対向電極2を構成し、上記対向電極2の幅方向に沿うように棒状の放電電極1を配置している。上記放電電極1は、金属棒に短い炭素繊維を植毛したものであり、表面に多数の炭素繊維が放射状に植毛されている。上記放電電極1では、対向電極2に面した部分に存在する炭素繊維先端からコロナ放電が生じる。そして、ある程度使用して対向電極2側の炭素繊維が消耗してきたら、放電電極1を3分の1回転〜半回転させて炭素繊維が消耗していない部分を対向電極2に向けて使用を継続することができる。それ以外は、上記第1〜第9の実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、この実施形態でも上記第1〜第9の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0058】
図11は、本発明の第11の実施形態を示す。
【0059】
この例では、一端側に繰出ロール25、他端側に巻取ロール26を設けた一対の長尺状の金属フォーム帯材を所定間隔を隔てて配置して対向電極2を形成している。また、放電電極1は、長尺状の導電性の不燃フィルム帯材に炭素繊維を植毛し、一端側に繰出ロール25、他端側に巻取ロール26を設けて構成している。そして、ある程度使用して放電電極1の炭素繊維が消耗してきたら、その分だけ巻き取って新しい部分を繰出して使用を続けることができる。また、ある程度使用して対向電極2に塵埃等が付着して汚れてきたらその分だけ巻き取って新しい部分を繰出して使用を続けることができる。それ以外は、上記第1〜第10の実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。そして、この実施形態でも上記第1〜第10の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0060】
本発明は、上記各実施形態に限定するものではなく、下記の各変形例を包含する趣旨である。
【0061】
上記各実施形態では、マイナスイオンを含むイオン風を発生させるだけのものを示したが、発生するイオン風の上流側や下流側に、芳香剤や消臭剤等の液剤を蒸散させる液剤蒸散部を設け、上記液剤の有効成分をイオン風とともに室内に拡散させるようにしてもよい。
【0062】
この場合、液剤の有効成分は、自然蒸散させるようにしてもよいし、超音波霧化装置を使用して強制的に霧化させて有効成分を積極的に蒸散させたり、加熱装置等によって液剤を加熱することにより有効成分を積極的に蒸散させたりすることもできる。上記液剤としては、芳香剤や消臭剤に限定するものではなく、例えば、防虫剤、殺虫剤、忌避剤、殺菌剤等各種のものを適用することができる。
【0063】
また、上記各実施形態において、イオン風の下流側に、発生したイオン風の風力で動いて視覚的効果を演出する可動演出部材を設けることもできる。上記可動演出部材としては、例えば、イオン風で回転するプロペラや、LEDを根元につけた光ファイバー状のものや、風鈴、人形等、イオン風を受けて動くことにより視覚的演出効果が得られるものであれば各種のものを適用することができる。このようにすることにより、マイナスイオンが発生するだけでなく、視覚的に面白みのある演出効果を得ることもできる。
【0064】
また、上記各実施形態では、先端が対向電極2側を向いてイオン風を発生させる放電電極1によりマイナスイオン分子を生成するようにしたが、これに加えてイオン風の発生には寄与せずにマイナスイオン分子だけを生成するマイナスイオン生成電極を並設するようにしてもよい。
【0065】
また上記実施形態では、上記放電電極1と対向電極2の組を1組だけ設けた例を示したが、イオン風の流れ方向に沿って複数組直列的に配置することにより、2段の放電電極1と対向電極2からそれぞれイオン風を生じさせ、1段目段の放電電極1と対向電極2で発生したイオン風を2段目の放電電極1から放出された電子によりさらに加速して、より強力なイオン風を発生させるようにしてもよい。
【0066】
さらに、上記放電電極1と対向電極2を、イオン風の流れ方向に対して複数組並列的に配置することにより、並列的に配置された複数組の放電電極1と対向電極2からイオン風が発生するので、より多くのマイナスイオンを発生させるとともに、トルクの強いイオン風を発生させるようにしてもよい。また、この態様において、並列的に配置された複数組の放電電極1と対向電極2を、イオン風の流れに沿う方向に沿ってさらに複数組直列的に配置することもできる。
【0067】
また、上記各実施形態では、外装を筒状のケース3としたが、外装は筒状のものに限定するのではなく、各種の外観形状のものを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態のイオン風発生装置を示す図であり、(A)は放電電極と対向電極を示す斜視図、(B)は断面図、(C)は放電電極の要部を示す拡大図である。
【図2】本発明の第2実施形態のイオン風発生装置を示す図であり、(A)は放電電極と対向電極を示す斜視図、(B)は断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態のイオン風発生装置を示す斜視図である。
【図4】本発明の第4実施形態のイオン風発生装置を示す斜視図である。
【図5】本発明の第5実施形態のイオン風発生装置を示す斜視図である。
【図6】本発明の第6実施形態のイオン風発生装置を示す斜視図である。
【図7】本発明の第7実施形態のイオン風発生装置を示す斜視図である。
【図8】本発明の第8実施形態のイオン風発生装置を示す斜視図である。
【図9】本発明の第9実施形態のイオン風発生装置を示す斜視図である。
【図10】本発明の第10実施形態のイオン風発生装置を示す斜視図である。
【図11】本発明の第11実施形態のイオン風発生装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
1:放電電極
1a:放電電極(センター電極)
1b:放電電極(周辺電極)
1c:放電電極ユニット
2:対向電極
2a:電極板
2b:第1対向電極
2c:第2対向電極
3:ケース
4:空気取入口
5:イオン風吹出口
6:炭素繊維
7:結束部材
8:ゴム部材
9:金属環
10:端子部材
11:金属板
15:内側電極
16:外側電極
17:四角筒状部
22:開口部
25:繰出ロール
26:巻取ロール
【出願人】 【識別番号】506275612
【氏名又は名称】株式会社ベクトル
【出願日】 平成19年5月24日(2007.5.24)
【代理人】 【識別番号】100109472
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 直之


【公開番号】 特開2008−112714(P2008−112714A)
【公開日】 平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願番号】 特願2007−137516(P2007−137516)