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【発明の名称】 内燃機関用のスパークプラグ
【発明者】 【氏名】高田 健一朗

【氏名】端無 憲

【氏名】竹内 隆之

【要約】 【課題】着火性に優れた内燃機関用のスパークプラグを提供すること。

【解決手段】取付金具2と、取付金具2の中心軸側に保持される絶縁碍子3と、絶縁碍子3の中心軸側に保持される中心電極4と、取付金具2に取付けられると共に中心電極4の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極5とを有する内燃機関用のスパークプラグ1。取付金具2の内周面には内周面に沿った環状の金具内周段部が設けられ、絶縁碍子3の外周面には金具内周段部と共に絶縁碍子3の位置を固定するための碍子外周段部が設けられてている。絶縁碍子3には、碍子外周段部よりも先端側であってかつ取付金具2の先端面23よりも碍子外周段部側となる位置に、先端側へ向かうほど碍子径が縮小する形状の段差部31を設けてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に取付け用ネジ部を設けた環状の取付金具と、該取付金具の中心軸側に保持される絶縁碍子と、該絶縁碍子の中心軸側に保持される中心電極と、上記取付金具に取付けられると共に上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグであって、
上記取付金具の内周面には、内周面に沿った環状の金具内周段部が設けられており、上記絶縁碍子の外周面には、上記金具内周段部と共に上記絶縁碍子の位置を固定するための碍子外周段部が設けられており、
かつ、上記絶縁碍子には、上記碍子外周段部よりも先端側であってかつ上記取付金具の先端面よりも上記碍子外周段部側となる位置に、先端側へ向かうほど碍子径が縮小する形状の段差部を設けてあることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項2】
請求項1において、上記取付金具は、先端部の内径が先端面に向かうにつれて大きくなっている金具先端傾斜内周面部を設けてなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記絶縁碍子は、先端部の内径が先端面に向かうにつれて大きくなっている碍子先端傾斜内周面部を設けてなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記接地電極のうち上記取付金具から上記スパークプラグの軸方向先端側に延びる垂直部の側面に、切欠部を設けてなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項5】
外周に取付け用ネジ部を設けた環状の取付金具と、該取付金具の中心軸側に保持される絶縁碍子と、該絶縁碍子の中心軸側に保持される中心電極と、上記取付金具に取付けられると共に上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグであって、
上記取付金具の内周面には、内周面に沿った環状の金具内周段部が設けられており、上記絶縁碍子の外周面には、上記金具内周段部と共に上記絶縁碍子の位置を固定するための碍子外周段部が設けられており、
上記絶縁碍子は、先端部の内径が先端面に向かうにつれて大きくなっている碍子先端傾斜内周面部を設けてなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項6】
外周に取付け用ネジ部を設けた取付金具と、該取付金具の中心軸側に保持される絶縁碍子と、該絶縁碍子の中心軸側に保持される中心電極と、上記取付金具に取付けられると共に上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグであって、
上記取付金具の内周面には、内周面に沿った環状の金具内周段部が設けられており、上記絶縁碍子の外周面には、上記金具内周段部と共に上記絶縁碍子の位置を固定するための碍子外周段部が設けられており、
上記絶縁碍子は、上記取付金具の先端面付近もしくはそれよりも上記碍子外周段部側となる位置の外周面に碍子凹部を設けてなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項7】
請求項6において、上記碍子凹部に対向する位置の上記取付金具の内周面に、金具凹部が設けてあることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項8】
外周に取付け用ネジ部を設けた環状の取付金具と、該取付金具の中心軸側に保持される絶縁碍子と、該絶縁碍子の中心軸側に保持される中心電極と、上記取付金具に取付けられると共に上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグであって、
上記取付金具の内周面には、内周面に沿った環状の金具内周段部が設けられており、上記絶縁碍子の外周面には、上記金具内周段部と共に上記絶縁碍子の位置を固定するための碍子外周段部が設けられており、
上記接地電極のうち上記取付金具から上記スパークプラグの軸方向先端側に延びる垂直部の側面に、切欠部を設けてなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項9】
請求項8において、上記切欠部は、外側端部よりも内側端部の方が幅が小さくなるよう形成されていることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項10】
請求項8又は9において、上記絶縁碍子は、上記取付金具の先端面付近もしくはそれよりも基端側かつ上記金具内周段部よりも先端側となる位置の外周面に碍子凹部を設けてなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか一項において、上記絶縁碍子は、先端部の内径が先端面に向かうにつれて大きくなっている碍子先端傾斜内周面部を設けてなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項において、上記接地電極の少なくとも上記中心電極の先端面と対向する面における内側角部には、面取部が形成されていることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車エンジン等の内燃機関用のスパークプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、外周に取付け用ネジ部を設けた取付金具と、該取付金具の中心軸側に保持される絶縁碍子と、該絶縁碍子の中心軸側に保持される中心電極と、上記取付金具に取付けられると共に上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグがある(特許文献1)。
【0003】
かかるスパークプラグにおいては、火花放電ギャップにおいて放電することにより、混合気に着火させて火炎を形成し、その火炎が成長することにより爆発が起こる。
しかしながら、内燃機関の燃焼室においては、流入する混合気により気流が生じており、その気流がスパークプラグの絶縁碍子と取付金具との間に形成されるポケット部に向かう流れとなることもある。この場合、火花放電ギャップ周辺において形成された初期火炎が上記ポケット部に流れ込み、消炎してしまうおそれがある。その結果、着火性を充分に確保することが困難となるおそれがある。
特に、直噴エンジンの場合には、燃料と空気とを攪拌すべく混合気の流速が速くなり、一層消炎しやすくなるという懸念がある。
【0004】
【特許文献1】特開平11−3765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、着火性に優れた内燃機関用のスパークプラグを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、外周に取付け用ネジ部を設けた環状の取付金具と、該取付金具の中心軸側に保持される絶縁碍子と、該絶縁碍子の中心軸側に保持される中心電極と、上記取付金具に取付けられると共に上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグであって、
上記取付金具の内周面には、内周面に沿った環状の金具内周段部が設けられており、上記絶縁碍子の外周面には、上記金具内周段部と共に上記絶縁碍子の位置を固定するための碍子外周段部が設けられており、
かつ、上記絶縁碍子には、上記碍子外周段部よりも先端側であってかつ上記取付金具の先端面よりも上記碍子外周段部側となる位置に、先端側へ向かうほど碍子径が縮小する形状の段差部を設けてあることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグにある(請求項1)。
【0007】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグを内燃機関において使用する際、内燃機関の燃焼室内において、流入する混合気の流れによって上記絶縁碍子と上記取付金具との間に形成される空間であるポケット部に向かう気流が生じることがある。しかし、上記スパークプラグは、上記絶縁碍子に上記段差部を設けてなるため、上記のような気流は、上記段差部に当り、段差部に沿った流れになり、再びポケット部の外側へ向かう流れになる。それ故、取付金具の先端部付近における気流がポケット部の内部に向かうことを大幅に低減することができる。
これにより、火花放電ギャップ付近に形成される火炎が混合気に流されたとしても、火炎がポケット部に流入して消炎することを防ぐことができる。その結果、スパークプラグの着火性を確保することができる。
【0008】
以上のごとく、本発明によれば、着火性に優れた内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
【0009】
第2の発明は、外周に取付け用ネジ部を設けた環状の取付金具と、該取付金具の中心軸側に保持される絶縁碍子と、該絶縁碍子の中心軸側に保持される中心電極と、上記取付金具に取付けられると共に上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグであって、
上記取付金具の内周面には、内周面に沿った環状の金具内周段部が設けられており、上記絶縁碍子の外周面には、上記金具内周段部と共に上記絶縁碍子の位置を固定するための碍子外周段部が設けられており、
上記絶縁碍子は、先端部の内径が先端面に向かうにつれて大きくなっている碍子先端傾斜内周面部を設けてなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグにある(請求項5)。
【0010】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグは、上記絶縁碍子に上記碍子先端傾斜内周面部を設けてなる。それ故、絶縁碍子の先端部における気流を、碍子先端傾斜内周面部に沿った流れにすることができる。即ち、スパークプラグの先端側から絶縁碍子の先端部に向かう気流は、上記碍子先端傾斜内周面部に沿って再び先端側へ排出される流れとなる。これにより、火炎が気流に流されたとしても、絶縁碍子と取付金具との間に形成されるポケット部に火炎が流入して消炎することを防ぐことができる。その結果、スパークプラグの着火性を確保することができる。
【0011】
以上のごとく、本発明によれば、着火性に優れた内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
【0012】
第3の発明は、外周に取付け用ネジ部を設けた取付金具と、該取付金具の中心軸側に保持される絶縁碍子と、該絶縁碍子の中心軸側に保持される中心電極と、上記取付金具に取付けられると共に上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグであって、
上記取付金具の内周面には、内周面に沿った環状の金具内周段部が設けられており、上記絶縁碍子の外周面には、上記金具内周段部と共に上記絶縁碍子の位置を固定するための碍子外周段部が設けられており、
上記絶縁碍子は、上記取付金具の先端面付近もしくはそれよりも上記碍子外周段部側となる位置の外周面に碍子凹部を設けてなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグにある(請求項6)。
【0013】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグは、上記絶縁碍子の外周面に上記碍子凹部を設けてなる。そのため、上記絶縁碍子と上記取付金具との間に形成されるポケット部の入口に混合気が流入してきたとき、上記碍子凹部において混合気が渦を巻くこととなる。これにより、この渦よりもポケット部の内部に混合気が入り込むことを防ぎ、ポケット部へ流入しない気流を形成することができる。
それ故、火炎が気流に流されたとしても、絶縁碍子と取付金具との間に形成されるポケット部に火炎が流入して消炎することを防ぐことができる。その結果、スパークプラグの着火性を確保することができる。
【0014】
以上のごとく、本発明によれば、着火性に優れた内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
【0015】
第4の発明は、外周に取付け用ネジ部を設けた環状の取付金具と、該取付金具の中心軸側に保持される絶縁碍子と、該絶縁碍子の中心軸側に保持される中心電極と、上記取付金具に取付けられると共に上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグであって、
上記取付金具の内周面には、内周面に沿った環状の金具内周段部が設けられており、上記絶縁碍子の外周面には、上記金具内周段部と共に上記絶縁碍子の位置を固定するための碍子外周段部が設けられており、
上記接地電極のうち上記取付金具から上記スパークプラグの軸方向先端側に延びる垂直部の側面に、切欠部を設けてなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグにある(請求項8)。
【0016】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグは、上記接地電極の垂直部に上記切欠部を設けてなる。それ故、スパークプラグの先端部に側方から流れてきた混合気が、円滑に側方へ吹き抜けることができるようにすることができる。
【0017】
即ち、例えば、混合気の流れの風上に上記接地電極の垂直部が配されたとき、混合気の流れを接地電極の垂直部が邪魔してしまい、取付金具の先端部付近においては気流が、スパークプラグの軸方向に略直交する方向に形成され難くなるおそれがある。そして、この流れに代わって、スパークプラグの先端側から上記絶縁碍子と上記取付金具との間に形成されるポケット部に流入する気流が生じるおそれがある。
これは、混合気の流れの風下に上記接地電極の垂直部が配されるときにも起こり得る現象である。
【0018】
そこで、上記切欠部を設けることにより、取付金具の先端部付近において、スパークプラグの軸方向に略直交する方向へ吹き抜ける気流を保ち、上記ポケット部へ向かう気流が形成されることを防ぐことができる。
それ故、火炎が気流に流されたとしても、上記ポケット部に火炎が流入して消炎することを防ぐことができる。その結果、スパークプラグの着火性を確保することができる。
【0019】
以上のごとく、本発明によれば、着火性に優れた内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
上記第1〜第4の発明において、上記内燃機関用のスパークプラグは、例えば、自動車、コージェネレーション、ガス圧送用ポンプ等における着火手段として用いることができる。
また、本明細書において、上記スパークプラグにおける、内燃機関の燃焼室に挿入する側を先端側とし、その反対側を基端側とする。
【0021】
次に、上記第1の発明(請求項1)において、上記取付金具は、先端部の内径が先端面に向かうにつれて大きくなっている金具先端傾斜内周面部を設けてなることが好ましい(請求項2)。
この場合には、混合気の流れが上記段差部に当りやすくなり、取付金具と絶縁碍子との間のポケット部から排出される流れを形成しやすくなる。その結果、初期火炎の消炎を防ぎ、より着火性に優れたスパークプラグを得ることができる。
【0022】
また、上記絶縁碍子は、先端部の内径が先端面に向かうにつれて大きくなっている碍子先端傾斜内周面部を設けてなることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上述した第1の発明の作用効果と第2の発明の作用効果との相乗効果により、一層着火性を向上させることができる。
【0023】
また、上記接地電極のうち上記取付金具から上記スパークプラグの軸方向先端側に延びる垂直部の側面に、切欠部を設けてなることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上述した第1の発明の作用効果と第3の発明の作用効果との相乗効果により、一層着火性を向上させることができる。
【0024】
次に、上記第3の発明(請求項6)において、上記碍子凹部に対向する位置の上記取付金具の内周面に、金具凹部が設けてあることが好ましい(請求項7)。
この場合には、ポケット部の入口に流入した混合気が、上記碍子凹部で渦を巻くことにより、後からくる気流がポケット内へ進入するのを大幅に低減できる。特に火花放電ギャップ部分の下流側の上記碍子凹部において形成された渦が効果的に働き、ポケット部へ流入しない気流が一層形成されやすくなり、より効果的に消炎を防ぐことができる。
【0025】
次に、上記第4の発明(請求項8)において、上記切欠部は、外側端部よりも内側端部の方が幅が小さくなるよう形成されていることが好ましい(請求項9)。
この場合には、上記接地電極の垂直部がスパークプラグの中心軸に対して混合気の上流側に配されたとき、上記切欠部を通過する気流がその流速を増しつつ取付金具の先端部付近に向かうこととなる。これにより、取付金具の先端部付近においてスパークプラグの軸方向に略直交する方向の気流を強く形成し、上記ポケット部へ流入する方向の気流を一層抑制することができる。
【0026】
また、上記絶縁碍子は、上記取付金具の先端面付近もしくはそれよりも基端側かつ上記金具内周段部よりも先端側となる位置の外周面に碍子凹部を設けてなることが好ましい(請求項10)。
この場合には、上述した第4の発明の作用効果と第3の発明の作用効果との相乗効果により、一層着火性を向上させることができる。
【0027】
次に、上記第3の発明又は第4の発明において、上記絶縁碍子は、先端部の内径が先端面に向かうにつれて大きくなっている碍子先端傾斜内周面部を設けてなることが好ましい(請求項11)。
この場合には、上述した第3の発明又は第4の発明の作用効果と、第2の発明の作用効果との相乗効果により、一層着火性を向上させることができる。
【0028】
次に、上記第1〜第4の発明において、上記接地電極の少なくとも上記中心電極の先端面と対向する面における内側角部には、面取部が形成されていることが好ましい(請求項12)。
この場合には、火花放電ギャップ付近に流入する気流を、上記面取部に沿った流れにして、スパークプラグの斜め先端側へ排出する方向へ整流しやすくすることができる。
上記面取部の形状は、例えば、テーパ形状、曲面形状等とすることができる。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる内燃機関用のスパークプラグにつき、図1〜図3を用いて説明する。
本例のスパークプラグ1は、図1に示すごとく、外周に取付け用ネジ部21を設けた環状の取付金具2と、該取付金具2の中心軸側に保持される絶縁碍子3と、該絶縁碍子3の中心軸側に保持される中心電極4と、取付金具2に取付けられると共に中心電極4の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極5とを有する。
【0030】
図2に示すごとく、取付金具2の内周面には、内周面に沿った環状の金具内周段部22が設けられており、絶縁碍子3の外周面には、金具内周段部22と共に絶縁碍子3の位置を固定するための碍子外周段部32が設けられている。
絶縁碍子3には、碍子外周段部32よりも先端側であってかつ取付金具2の先端面23よりも碍子外周段部32側となる位置に、先端側へ向かうほど碍子径が縮小する形状の段差部31を設けてある。
【0031】
絶縁碍子3の碍子外周段部32と取付金具2の金具内周段部22とは、環状のパッキン11を介して係合されている。これにより、係合部よりも先端側と後端側との機密性を確保している。そして、碍子外周段部32と金具内周段部22との係合部よりも先端側には、絶縁碍子3と取付金具2との間に形成されるポケット部12が存在している。
【0032】
また、絶縁碍子3に形成された段差部31は、ポケット部12の入口を少し入った部分、即ち取付金具2の先端面23から若干上記碍子外周段部32側(例えば、先端面23から0〜5mm程度碍子外周段部32側)に配されている。
また段差部31は、テーパ形状に形成されている。
【0033】
また、図1に示すごとく、接地電極5は、取付金具2の先端面23からスパークプラグ1の軸方向に延びる垂直部51と、中心電極4の先端部に対向する位置に配される対向部52とが、互いに屈曲した状態で連続形成されている。そして、接地電極5の対向部52における中心電極4との対向面に、貴金属チップ53が接合されている。また、中心電極4の先端部にも、貴金属チップ43が接合されている。貴金属チップ43と貴金属チップ53との間に、火花放電ギャップが形成される。
【0034】
図3に示すごとく、スパークプラグ1は、エンジン(内燃機関)の燃焼室6に先端部が露出するように取付けられ使用される。即ち、スパークプラグ1は、取付金具2の取付け用ネジ部21において、エンジンヘッド部に固定される。エンジンヘッド部には、混合気を吸入する吸気ポート61と、燃焼ガスを排出する排気ポート62とが設けられている。そして、吸気ポート61から燃焼室6に流入した混合気によって、矢印aに示すごとく、燃焼室6内を循環して、スパークプラグ1の先端部付近に、先端側斜め側方から当るような気流が形成される。
【0035】
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグ1を内燃機関において使用する際、内燃機関の燃焼室6内において、流入する混合気の流れによって上記絶縁碍子と上記取付金具との間に形成されるポケット部12に向かう気流が形成されることがある。しかし、上記スパークプラグ1は、上記絶縁碍子3に上記段差部31を設けてなるため、上記のような気流は、矢印aに示すごとく、段差部31に当り、段差部31に沿った流れになり、再びポケット部12の外側へ向かう流れになる。それ故、取付金具2の先端部230付近における気流がポケット部12の内部に向かうことを大幅に低減することができる。
これにより、火花放電ギャップ付近に形成される火炎が混合気に流されたとしても、火炎がポケット部12に流入して消炎することを防ぐことができる。その結果、スパークプラグ1の着火性を確保することができる。
【0036】
以上のごとく、本例によれば、着火性に優れた内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
【0037】
(実施例2)
本例は、図4〜図6に示すごとく、取付金具2は、先端部230の内径が先端面23に向かうにつれて大きくなっている金具先端傾斜内周面部24を設けてなるスパークプラグ1の例である。
金具先端傾斜内周面部24の形成角度及び該金具先端傾斜内周面部24と絶縁碍子3の段差部31との位置関係は、図5に示すごとく、金具先端傾斜内周面部24の延長線bが絶縁碍子3の段差部31の基端部311付近を通過するような位置関係であることが好ましい。
【0038】
また、図6に示すごとく、金具先端傾斜内周面部24と平行に流れ込む気流の平均の方向aと絶縁碍子3の段差部31とがスパークプラグ1の先端側においてなす角度αは、鈍角(90°よりも大)となるようにする。
その他は、実施例1と同様である。
【0039】
本例の場合には、気流が段差部31に当りやすくなり、ポケット部12から排出される流れ(図4の矢印a)を形成しやすくすることができる。その結果、消炎を防ぎ、より着火性に優れたスパークプラグ1を得ることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0040】
(実施例3)
本例は、図7、図8に示すごとく、絶縁碍子3の先端部に、該先端部の内径が先端面に向かうにつれて大きくなっている碍子先端傾斜内周面部34を設けてなるスパークプラグ1の例である。
また、本例においては、絶縁碍子3に実施例1の段差部31を設けていない。
その他は、実施例1と同様である。
【0041】
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグ1は碍子先端傾斜内周面部34を設けてなるため、絶縁碍子3の先端部における気流を、碍子先端傾斜内周面部34に沿った流れ(図8の矢印a)にすることができる。即ち、スパークプラグ1の先端側から絶縁碍子3の先端部に向かう気流は、碍子先端傾斜内周面部34に沿って再び先端側へ排出される流れとなる。これにより、火炎が気流に流されたとしても、絶縁碍子3と取付金具2との間に形成されるポケット部12に火炎が流入して消炎することを防ぐことができる。その結果、スパークプラグ1の着火性を確保することができる。
以上のごとく、本例の場合にも、着火性に優れた内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
【0042】
(実施例4)
本例は、図9、図10に示すごとく、取付金具2の先端部230付近であって金具内周段部22よりも先端側となる位置の、絶縁碍子3の外周面に碍子凹部35を設けてなるスパークプラグ1の例である。
本例においては、取付金具2の先端面23に対応する位置における絶縁碍子3の外周面に、円弧状の碍子凹部35が碍子外周面に沿って環状に形成されている。また、碍子凹部35に対向する位置の取付金具2の内周面に、金具凹部25が設けてある。これにより、ポケット部12の入口部分に、その奥よりも幅の広い空間が形成される。
【0043】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグ1は、絶縁碍子3の外周面に碍子凹部35を設けてなる。そのため、絶縁碍子3と取付金具2との間に形成されるポケット部12の入口に混合気が流入してきたとき、図9に示すごとく、碍子凹部35において混合気が渦(矢印c)を巻くこととなる。これにより、この渦よりもポケット部12の内部に混合気が入り込むことを低減し、ポケット部12へ流入しない気流(矢印a)をより多く形成することができる。
それ故、火炎が気流に流されたとしても、絶縁碍子3と取付金具2との間に形成されるポケット部12に火炎が流入して消炎することを防ぐことができる。その結果、スパークプラグ1の着火性を確保することができる。
【0044】
また、取付金具2の内周面にも金具凹部25を設けてあることにより、ポケット部12の入口に流入した混合気が、碍子凹部35で渦を巻くことにより、後からくる気流がポケット12内へ進入するのを大幅に低減できる。特に、図10に示すごとく、火花放電ギャップ部分の下流側の碍子凹部35において形成された渦(矢印c)が効果的に働き、ポケット部12へ流入しない気流(矢印a)が一層形成されやすくなり、より効果的に消炎を防ぐことができる。
以上のごとく、本例の場合にも、着火性に優れた内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
【0045】
(実施例5)
本例は、図11〜図13に示すごとく、接地電極5の垂直部51の側面に、切欠部511を設けてなるスパークプラグ1の例である。図12は、図11における矢印A方向から見た図であり、絶縁碍子3の先端部および中心電極4の図示を省略してある。
本例においては、接地電極5の垂直部51は、スパークプラグ1の中心軸に対して混合気の流れの下流側に配されている。また、垂直部51の略全体に切欠部511が形成されている。
また、切欠部511はテーパ状に形成され、垂直部51の断面形状が、図13に示すごとく、風上から風下に向かって垂直部51の幅が広くなるような台形形状に形成されている。
その他は、実施例2と同様である。
【0046】
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記スパークプラグ1は、接地電極5の垂直部51に切欠部511を設けてなる。それ故、スパークプラグ1の先端部に側方から流れてきた混合気が、円滑に側方へ吹き抜けることができるようにすることができる。
【0047】
即ち、混合気の流れの風下に接地電極5の垂直部51が配されたとき、混合気の流れを接地電極5の垂直部51が邪魔してしまい、取付金具2の先端部230付近においては、気流がスパークプラグ1の軸方向に略直交する方向に形成され難くなるおそれがある。そして、この流れに代わって、スパークプラグ1の先端側から絶縁碍子3と取付金具2との間に形成されるポケット部12に流入する気流が生じるおそれがある。
【0048】
そこで、切欠部511を設けることにより、取付金具2の先端部230付近において、スパークプラグ1の軸方向に略直交する方向へ吹き抜ける気流(矢印a)を保ち、ポケット部12へ向かう気流が形成されることを防ぐことができる。
それ故、火炎が気流に流されたとしても、ポケット部12に火炎が流入して消炎することを防ぐことができる。その結果、スパークプラグ1の着火性を確保することができる。
また、切欠部511に、図13に示すようなテーパを設けることにより、垂直部51の強度を確保しつつ、気流の阻害を抑制することができる。
以上のごとく、本例の場合にも、着火性に優れた内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
その他、実施例2と同様の作用効果を有する。
【0049】
(実施例6)
本例は、図14〜図16に示すごとく、火花放電ギャップを通過する流れと段差部31を通過する流れを個別に制御することを目的とした例である。
即ち、切欠部511は、接地電極5の垂直部51における、取付金具2の先端面23に近い側と、対向部52に近い側とに個別に設けてある。そして、図17に示すごとく、取付金具2側の切欠部511は、通過する気流(矢印a1)が絶縁碍子3の段差部31に当るような形状に形成されている。即ち、取付金具2側の切欠部511は、取付金具2の先端部230において内径が先端面23に向かうにつれて大きくなっている金具傾斜内周面部24の傾斜角度と略同等の傾斜形状を有しており、略平行な幅を有した切り欠き形状となっている。また、対向部52に近い側の切欠部511は、通過する気流(矢印a2)が火花放電ギャップに向かうような形状に形成されている。即ち、火花放電ギャップの略真横にあって略水平方向へ略平行な幅を有する切り欠き形状となっている。
その他は、実施例2と同様である。
【0050】
図14は接地電極5が上流側に設けられた例であって、この場合取付金具2側の切欠部511を通過する気流は、絶縁碍子3の段差部31に当り、取付金具2の斜め先端方向へ排出される流れとなる。
また、対向部52に近い側の切欠部511を通過する気流は、火花放電ギャップにおいて形成される火炎を側方へ押し出すような流れとなる。
これにより、火炎がポケット部12へ流入することを効果的に防ぐことができ、消炎を防いで着火性に優れたスパークプラグ1を得ることができる。
その他、実施例2と同様の作用効果を有する。
【0051】
また、接地電極5が下流側に設けられた場合であっても、実施例5と同様の効果を得ることができる。
また、本例の制流効果をより積極的に利用した例として図16に示したものが、接地電極5に設けた切欠部511が、外側端部512よりも内側端部513の方が小さくなるよう形成されているスパークプラグ1の例である。
また、本例においては、接地電極5の垂直部51が、風上側に配されている。即ち、切欠部511は、風上側が広く、風下側が狭い形状となっている。
【0052】
この場合には、切欠部511を通過する気流がその流速を増しつつ取付金具2の先端部230付近に向かうこととなる。これにより、取付金具2の先端部230付近においてスパークプラグ1の軸方向に略直交する方向への気流を強く形成し、ポケット部12へ流入する方向の気流を一層抑制することができる。
【0053】
(実施例7)
本例は、図18に示すごとく、絶縁碍子3に段差部31及び碍子先端傾斜内周面部34を設けると共に、取付金具2の先端部230に金具先端傾斜内周面部24を設けた例である。即ち、本例は、上記実施例2と実施例3とを組み合わせた例である。
また、接地電極5の対向部52における内側角部に、面取部514を設けてある。該面取部514の形状は、テーパ形状、曲面形状等とすることができる。
その他は、実施例1と同様である。
【0054】
本例の場合には、上記実施例2の作用効果及び実施例3の作用効果との相乗効果により、一層着火性を向上させることができる。即ち、取付金具2の先端部230においては、金具先端傾斜内周面部24及び絶縁碍子3の段差部31に沿った気流が形成され、混合気の流れがポケット部12に流入しないような流れ(矢印a)となる。また、絶縁碍子3の先端部においては、碍子先端傾斜内周面部34に沿った気流が形成され、スパークプラグ1の斜め先端側へ混合気が排出される流れ(矢印a)となる。
【0055】
更に、接地電極5の対向部52に面取部511を設けたことにより、火花放電ギャップ付近に流入する混合気の流れを、面取部511に沿った流れにして、スパークプラグ1の斜め先端側へ排出する方向へ整流しやすくなる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0056】
また、実施例1〜実施例7の態様を適宜組合わせて、更に効果的に気流の整流を行い、消炎を防ぐこともできる。
例えば、実施例3(図7、図8)のスパークプラグ1に対し、実施例4(図9)に示した碍子凹部35を形成することもでき、更には、金具凹部25を形成することもできる。また、これらの組合せの形態に対し、更に実施例5(図11〜図13)又は実施例6(図14〜図17)に示す接地電極5の切欠部511を設けることもできる。
また、実施例3(図7、図8)のスパークプラグ1、又は実施例4(図9)のスパークプラグ1に対し、同様に、実施例5(図11〜図13)又は実施例6(図14〜図17)に示す接地電極5の切欠部511を設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1における、内燃機関用のスパークプラグの正面図。
【図2】実施例1における、スパークプラグの先端部付近の説明図。
【図3】実施例1における、スパークプラグを取付けた内燃機関の説明図。
【図4】実施例2における、スパークプラグの先端部付近の説明図。
【図5】実施例2における、金具先端傾斜内周面部と段差部との位置関係を示す説明図。
【図6】実施例2における、段差部への気流の入射角度を示す説明図。
【図7】実施例3における、スパークプラグの先端部付近の説明図。
【図8】実施例3における、絶縁碍子の先端部付近の説明図。
【図9】実施例4における、スパークプラグの先端部付近の説明図。
【図10】実施例4における、火花放電ギャップの下流側の碍子凹部における気流の説明図。
【図11】実施例5における、スパークプラグの先端部付近の説明図。
【図12】図11のA視図。
【図13】図12のB−B線矢視断面図。
【図14】実施例6における、スパークプラグの先端部付近の説明図。
【図15】実施例6における、外側から見た接地電極の説明図。
【図16】図15のC−C線又はD−D線矢視断面図。
【図17】実施例6における、他のスパークプラグの先端部付近の説明図。
【図18】実施例7における、スパークプラグの先端部付近の説明図。
【符号の説明】
【0058】
1 スパークプラグ
12 ポケット部
2 取付金具
21 取付け用ネジ部
22 金具内周段部
23 先端部
24 金具先端傾斜内周面部
3 絶縁碍子
31 段差部
32 碍子外周段部
34 碍子先端傾斜内周面部
35 碍子凹部
4 中心電極
5 接地電極
51 垂直部
511 切欠部
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
【出願日】 平成18年10月24日(2006.10.24)
【代理人】 【識別番号】100079142
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥泰

【識別番号】100110700
【弁理士】
【氏名又は名称】岩倉 民芳

【識別番号】100130155
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥起


【公開番号】 特開2008−108481(P2008−108481A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−288239(P2006−288239)