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【発明の名称】 点火コイル
【発明者】 【氏名】中尾 健吾

【氏名】藤山 徳一

【要約】 【課題】スパークプラグとの間の導電状態を安定して維持することができるスティックタイプの点火コイルを提供すること。

【構成】点火コイル1は、コイル本体部11の高電圧側D1の端部に、プラグ装着部12を設けてなる。プラグ装着部12は、筒状のキャップ取付部212に、ゴム製のプラグキャップ51を取り付けてなる。プラグキャップ51における嵌入口511内には、コイルスプリング53が配置してあり、コイルスプリング53の低電圧側端532は、高電圧端子52を介して二次コイル22の高電圧側巻線端部225と導通してあり、コイルスプリング53の高電圧側端は、スパークプラグにおける端子部と接触させる。プラグキャップ51における嵌入口511には、コイルスプリング53における中間部分53Aが径方向へ変形することを抑制するスプリング保持部512が形成してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次コイル及び二次コイルをコイルケース内に収容してなるコイル本体部と、該コイル本体部の高電圧側の端部に設けたプラグ装着部とを備え、該プラグ装着部及び上記コイル本体部をエンジンのプラグホール内に挿入配置して用いる点火コイルにおいて、
上記プラグ装着部は、上記一次コイルを構成するスプール又は上記コイルケースから延長形成した筒状のキャップ取付部に、スパークプラグにおける碍子部を嵌入するための嵌入口を備えたゴム製のプラグキャップを取り付けてなり、
該プラグキャップにおける上記嵌入口内には、コイルスプリングが配置してあり、当該コイルスプリングの低電圧側端は、高電圧端子を介して上記二次コイルの高電圧側巻線端部と導通してあり、当該コイルスプリングの高電圧側端は、上記スパークプラグにおける碍子部の先端に形成した端子部と接触させるよう構成してあり、
上記プラグキャップにおける上記嵌入口には、上記コイルスプリングにおける中間部分が径方向へ変形することを抑制するスプリング保持部が形成してあることを特徴とする点火コイル。
【請求項2】
請求項1において、上記プラグキャップは、上記キャップ取付部の外周に装着する筒状の外周装着部を有しており、上記スプリング保持部は、上記外周装着部の内周側において、軸方向における低電圧側に向けて筒状に突出形成してあることを特徴とする点火コイル。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記コイルスプリングは、該コイルスプリングを構成する鋼線同士の間に所定の間隔を設けて軸方向へ巻いた疎巻き部と、該疎巻き部における中間位置において、該疎巻き部よりも上記間隔を小さくして軸方向へ巻いた密巻き部とを有しており、
該密巻き部を上記スプリング保持部に保持させたことを特徴とする点火コイル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記コイルスプリングの内周側には、補強用のガイド棒が配置してあることを特徴とする点火コイル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記スプリング保持部には、該スプリング保持部を構成するゴムよりも硬度が高い筒状の補強材が配設してあることを特徴とする点火コイル。
【請求項6】
一次コイル及び二次コイルをコイルケース内に収容してなるコイル本体部と、該コイル本体部の高電圧側の端部に設けたプラグ装着部とを備え、上記コイルケース内における間隙を絶縁性樹脂によって充填してなると共に、上記プラグ装着部及び上記コイル本体部をエンジンのプラグホール内に挿入配置して用いる点火コイルにおいて、
上記プラグ装着部は、上記一次コイルを構成するスプール又は上記コイルケースから延長形成した筒状のキャップ取付部に、スパークプラグにおける碍子部を嵌入するための嵌入口を備えたゴム製のプラグキャップを取り付けてなり、
該プラグキャップにおける上記嵌入口内には、コイルスプリングが配置してあり、当該コイルスプリングの低電圧側端は、高電圧端子を介して上記二次コイルの高電圧側巻線端部と導通してあり、当該コイルスプリングの高電圧側端は、上記スパークプラグにおける碍子部の先端に形成した端子部と接触させるよう構成してあり、
上記コイルスプリングにおける一部は、上記キャップ取付部における内周面によって保持してあり、
上記プラグキャップは、上記キャップ取付部の外周に装着する筒状の外周装着部を有しており、
上記キャップ取付部内には、上記コイルケース内における間隙と連通する環状空間が形成してあり、該環状空間には、上記絶縁性樹脂が充填してあり、
上記環状空間における高電圧側端部は、上記外周装着部における低電圧側端部よりも高電圧側に位置していることを特徴とする点火コイル。
【請求項7】
請求項6において、上記キャップ取付部における内周面は、先端側に向けて拡径するテーパ内周面部と、該テーパ内周面部よりも先端側において、軸方向に平行に形成したストレート内周面部とを有しており、
上記コイルスプリングの一部は、上記テーパ内周面部と上記ストレート内周面部との少なくとも一方によって保持してあることを特徴とする点火コイル。
【請求項8】
請求項7において、上記コイルスプリングは、該コイルスプリングを構成する鋼線同士の間に所定の間隔を設けて軸方向へ巻いた疎巻き部と、該疎巻き部における中間位置において、該疎巻き部よりも上記間隔を小さくして軸方向へ巻いた密巻き部とを有しており、
該密巻き部を上記テーパ内周面部と上記ストレート内周面部との少なくとも一方によって保持してなることを特徴とする点火コイル。
【請求項9】
請求項8において、上記外周装着部の内周側には、軸方向における低電圧側に向けて筒状に突出し、上記キャップ取付部の内周側に配置する突出保持部が形成してあり、
該突出保持部の低電圧側端面によって上記密巻き部の軸方向端部を保持してなることを特徴とする点火コイル。
【請求項10】
請求項3、8、9のいずれか一項において、上記密巻き部の外径は、上記疎巻き部の外径よりも大きいことを特徴とする点火コイル。
【請求項11】
請求項3、8、9、10のいずれか一項において、上記密巻き部における鋼線同士は、互いに密接していることを特徴とする点火コイル。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関において、スパークプラグにおける一対の電極間にスパークを発生させるために用いる点火コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン等の内燃機関に用いる点火コイルにおいては、例えば、一次スプールに一次巻線を巻回して形成した一次コイルと、二次スプールに二次巻線を巻回して形成した二次コイルとを、径方向に重ねて同心円状に配置して、コイル本体部を形成している。また、一次コイル及び二次コイルの内周側に、磁性材料からなる中心コアを配置し、一次コイル及び二次コイルの外周側に、磁性材料からなる外周コアを配置して、中心コア及び外周コアを通過する磁気回路を形成している。
【0003】
また、二次コイルの高電圧側の端部には、スパークプラグを装着するプラグ装着部を形成している。このプラグ装着部は、一次コイルを構成するスプール等から延長形成した筒状のキャップ取付部に、ゴム製のプラグキャップを取り付けてなる。
また、プラグキャップにおける嵌入口内には、高電圧端子を介して二次コイルの高電圧側巻線端部と導通させたコイルスプリングが配置してある。そして、スパークプラグは、その碍子部を嵌入口内に嵌入すると共に、その端子部をコイルスプリングに接触させて、プラグ装着部に装着している。
このような点火コイルとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
【0004】
しかしながら、上記従来の点火コイルにおいては、コイルスプリングの中間位置が十分に保持されておらず、このコイルスプリングの中間位置が径方向に変形してしまうおそれがある。そして、この変形が大きい場合には、コイルスプリングとスパークプラグの端子部との間に接触不良が生じるおそれがある。また、上記変形が大きい場合には、高電圧になったコイルスプリングから低電圧の部分に向けて漏電が生じるおそれもあった。
【0005】
ところで、特許文献2においては、一次コイル及び二次コイルを備えたイグニッションコイル部(コイル本体部)をプラグホールの外部に配置し、プラグホール内に二次コイルの高電圧巻線端部から導通させたスプリングを挿通配置したソケットを挿入配置して用いるイグニッションコイル装置(点火コイル)が開示されている。そして、ソケットによってスプリングを保持している。
【0006】
しかしながら、特許文献2の点火コイルは、コイル本体部をプラグホールの外部に配置するタイプのものである。そのため、特許文献2の技術は、コイル本体部をプラグホール内に挿入配置して用いるスティックタイプの点火コイルに対しては直接適用することはできない。
【0007】
【特許文献1】特開2003−163126号公報
【特許文献2】特開平8−100753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、スパークプラグとの間の導電状態を安定して維持することができるスティックタイプの点火コイルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、一次コイル及び二次コイルをコイルケース内に収容してなるコイル本体部と、該コイル本体部の高電圧側の端部に設けたプラグ装着部とを備え、該プラグ装着部及び上記コイル本体部をエンジンのプラグホール内に挿入配置して用いる点火コイルにおいて、
上記プラグ装着部は、上記一次コイルを構成するスプール又は上記コイルケースから延長形成した筒状のキャップ取付部に、スパークプラグにおける碍子部を嵌入するための嵌入口を備えたゴム製のプラグキャップを取り付けてなり、
該プラグキャップにおける上記嵌入口内には、コイルスプリングが配置してあり、当該コイルスプリングの低電圧側端は、高電圧端子を介して上記二次コイルの高電圧側巻線端部と導通してあり、当該コイルスプリングの高電圧側端は、上記スパークプラグにおける碍子部の先端に形成した端子部と接触させるよう構成してあり、
上記プラグキャップにおける上記嵌入口には、上記コイルスプリングにおける中間部分が径方向へ変形することを抑制するスプリング保持部が形成してあることを特徴とする点火コイルにある(請求項1)。
【0010】
本発明の点火コイルは、コイル本体部をエンジンのプラグホール内に挿入配置して用いるスティックタイプのものである。また、スパークプラグを装着するプラグ装着部は、ゴム製のプラグキャップにおける嵌入口内にコイルスプリングを配置してなる。
そして、本発明においては、プラグキャップにおける嵌入口に、コイルスプリングにおける中間部分が径方向へ変形することを抑制するスプリング保持部を形成している。
【0011】
これにより、絶縁性に優れたゴム製のプラグキャップによって、コイルスプリングの中間部分を保持することができる。そのため、コイルスプリングの中間部分が径方向へ変形することを抑制して、コイルスプリングとスパークプラグの端子部との間に接触不良が生じることを防止することができ、コイルスプリングから低電圧の部分に向けて高電圧電流が漏電してしまうことを防止することもできる。
それ故、本発明のスティックタイプの点火コイルによれば、スパークプラグとの間の導電状態を安定して維持することができる。
【0012】
第2の発明は、一次コイル及び二次コイルをコイルケース内に収容してなるコイル本体部と、該コイル本体部の高電圧側の端部に設けたプラグ装着部とを備え、上記コイルケース内における間隙を絶縁性樹脂によって充填してなると共に、上記プラグ装着部及び上記コイル本体部をエンジンのプラグホール内に挿入配置して用いる点火コイルにおいて、
上記プラグ装着部は、上記一次コイルを構成するスプール又は上記コイルケースから延長形成した筒状のキャップ取付部に、スパークプラグにおける碍子部を嵌入するための嵌入口を備えたゴム製のプラグキャップを取り付けてなり、
該プラグキャップにおける上記嵌入口内には、コイルスプリングが配置してあり、当該コイルスプリングの低電圧側端は、高電圧端子を介して上記二次コイルの高電圧側巻線端部と導通してあり、当該コイルスプリングの高電圧側端は、上記スパークプラグにおける碍子部の先端に形成した端子部と接触させるよう構成してあり、
上記コイルスプリングにおける一部は、上記キャップ取付部における内周面によって保持してあり、
上記プラグキャップは、上記キャップ取付部の外周に装着する筒状の外周装着部を有しており、
上記キャップ取付部内には、上記コイルケース内における間隙と連通する環状空間が形成してあり、該環状空間には、上記絶縁性樹脂が充填してあり、
上記環状空間における高電圧側端部は、上記外周装着部における低電圧側端部よりも高電圧側に位置していることを特徴とする点火コイルにある(請求項6)。
【0013】
本発明の点火コイルも、コイル本体部をエンジンのプラグホール内に挿入配置して用いるスティックタイプのものである。また、スパークプラグを装着するプラグ装着部は、ゴム製のプラグキャップにおける嵌入口内にコイルスプリングを配置してなる。
そして、本発明においては、コイルスプリングにおける一部をキャップ取付部における内周面によって保持している。これにより、コイルスプリングの中間部分が径方向へ変形することを抑制して、コイルスプリングとスパークプラグの端子部との間に接触不良が生じることを防止することができる。
【0014】
また、キャップ取付部内には、絶縁性樹脂を充填した環状空間が形成してあり、この環状空間における高電圧側端部は、プラグキャップの外周装着部における低電圧側端部よりも高電圧側に位置している。これにより、キャップ取付部にコイルスプリングの一部が接触しても、このコイルスプリングの一部が接触するキャップ取付部の対向部位の外周側においては、絶縁性に優れた絶縁性樹脂を充填した環状空間又は絶縁性に優れたゴム製のプラグキャップの外周装着部が存在する。そのため、コイルスプリングから低電圧の部分に向けて高電圧電流が漏電してしまうことを防止することができる。
それ故、本発明のスティックタイプの点火コイルによれば、スパークプラグとの間の導電状態を安定して維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上述した第1、第2の発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1、第2の発明において、低電圧側とは、エンジンのプラグホールに点火コイルを挿入配置する際の手前側(上側)のことをいい、高電圧側とは、低電圧側とは反対側のことをいう。
また、上記プラグ装着部の上記キャップ取付部は、上記一次コイルを構成するスプール又は上記コイルケースと一体成形することができる。また、キャップ取付部は、一次コイルを構成するスプール又はコイルケースとは別体に成形した成形品を、このスプール又はコイルケースに連結して形成することもできる。
【0016】
第1の発明において、上記プラグキャップは、上記キャップ取付部の外周に装着する筒状の外周装着部を有しており、上記スプリング保持部は、上記外周装着部の内周側において、軸方向における低電圧側に向けて筒状に突出形成することが好ましい(請求項2)。
この場合には、スプリング保持部を容易に形成することができる。
【0017】
また、上記コイルスプリングは、該コイルスプリングを構成する鋼線同士の間に所定の間隔を設けて軸方向へ巻いた疎巻き部と、該疎巻き部における中間位置において、該疎巻き部よりも上記間隔を小さくして軸方向へ巻いた密巻き部とを有しており、該密巻き部を上記スプリング保持部に保持させることが好ましい(請求項3)。
この場合には、密巻き部の形成によって、コイルスプリングの中間部分の強度を向上させることができる。そして、この強度が向上した密巻き部を、プラグキャップにおけるスプリング保持部によって保持することにより、コイルスプリングの中間部分が径方向へ変形することを一層効果的に抑制することができる。
【0018】
また、上記コイルスプリングの内周側には、補強用のガイド棒を配置することができる(請求項4)。
この場合には、ガイド棒によって、コイルスプリングの中間部分が径方向へ変形することを一層効果的に抑制することができる。
【0019】
また、上記スプリング保持部には、該スプリング保持部を構成するゴムよりも硬度が高い筒状の補強材を配設することができる(請求項5)。
この場合には、筒状の補強材により、スプリング保持部の強度を向上させることができる。そのため、コイルスプリングの中間部分が径方向へ変形することを一層効果的に抑制することができる。
【0020】
また、第2の発明において、上記キャップ取付部における内周面は、先端側に向けて拡径するテーパ内周面部と、該テーパ内周面部よりも先端側において、軸方向に平行に形成したストレート内周面部とを有しており、上記コイルスプリングの一部は、上記テーパ内周面部と上記ストレート内周面部との少なくとも一方によって保持することが好ましい(請求項7)。
この場合には、コイルスプリングにおける一部を、キャップ取付部におけるストレート内周面部とストレート内周面部との少なくとも一方によって安定して保持することができる。なお、先端側とは、点火コイルに対してスパークプラグを装着する側のことをいう。
【0021】
また、上記コイルスプリングは、該コイルスプリングを構成する鋼線同士の間に所定の間隔を設けて軸方向へ巻いた疎巻き部と、該疎巻き部における中間位置において、該疎巻き部よりも上記間隔を小さくして軸方向へ巻いた密巻き部とを有しており、該密巻き部を上記テーパ内周面部と上記ストレート内周面部との少なくとも一方によって保持することが好ましい(請求項8)。
この場合には、コイルスプリングにおける密巻き部を、キャップ取付部におけるストレート内周面部とストレート内周面部との少なくとも一方によって安定して保持することができる。
【0022】
また、上記外周装着部の内周側には、軸方向における低電圧側に向けて筒状に突出し、上記キャップ取付部の内周側に配置する突出保持部を形成し、該突出保持部の低電圧側端面によって上記密巻き部の軸方向端部を保持することが好ましい(請求項9)。
この場合には、外周装着部の突出保持部によって、コイルスプリングの抜け防止を行うと共に、このコイルスプリングが径方向へ変形することを一層効果的に抑制することができる。
【0023】
また、第1、第2の発明において、上記密巻き部の外径は、上記疎巻き部の外径よりも大きいことが好ましい(請求項10)。
この場合には、スプリング保持部によって密巻き部を一層安定して保持することができる。また、この場合には、コイルスプリングを、プラグキャップにおける嵌入口から脱落することを防止して、安定して点火コイルに組み付けることができる。
【0024】
また、上記密巻き部における鋼線同士は、互いに密接していることが好ましい(請求項11)。
この場合には、密巻き部の強度を一層向上させることができ、コイルスプリングの中間部分が径方向へ変形することを、一層効果的に抑制することができる。
【実施例】
【0025】
以下に、本発明の点火コイルにかかる実施例につき、図面と共に説明する。
(実施例1)
本例の点火コイル1は、図1に示すごとく、一次コイル21及び二次コイル22をコイルケース33内に収容してなるコイル本体部11と、このコイル本体部11の高電圧側D1の端部に設けたプラグ装着部12とを備えており、プラグ装着部12及びコイル本体部11をエンジンのシリンダヘッドカバー8のプラグホール81内に挿入配置して用いるスティックタイプのものである。
プラグ装着部12は、一次コイル21を構成する一次スプール211から延長形成した筒状のキャップ取付部(高電圧タワー)212に、スパークプラグ7における碍子部71を嵌入するための嵌入口511を備えたゴム製のプラグキャップ51を取り付けてなる。
【0026】
図2に示すごとく、プラグキャップ51における嵌入口511内には、コイルスプリング53が配置してあり、コイルスプリング53の低電圧側端(上側端又は基端)532は、高電圧端子52を介して二次コイル22の高電圧側巻線端部225と導通してあり、コイルスプリング53の高電圧側端(下側端又は先端)531は、スパークプラグ7における碍子部71の先端部に形成した端子部72と接触させるよう構成してある。
そして、プラグキャップ51における嵌入口511には、コイルスプリング53における中間部分53Aが径方向へ変形することを抑制するスプリング保持部512が形成してある。
【0027】
以下に、本例の点火コイル1につき、図1、図2と共に詳説する。
図1に示すごとく、本例の点火コイル1は、コイル本体部11の軸方向一端側(高電圧側)D1に、プラグ装着部12を設けてなると共に、コイル本体部11の軸方向他端側(低電圧側)D2に、当該点火コイル1をその外部のエンジンの電子制御ユニット(ECU)に電気接続するためのコネクタ部13を設けてなる。
そして、本例の点火コイル1は、コイル本体部11及びプラグ装着部12をプラグホール81内に挿入配置すると共に、コネクタ部13をプラグホール81の外部に配置して用いる。
【0028】
上記一次コイル21は、断面円環状の熱可塑性樹脂からなる一次スプール211の外周に、絶縁被覆した一次巻線を巻回してなる。上記二次コイル22は、断面円環状の熱可塑性樹脂からなる二次スプール221の外周に、絶縁被覆した二次巻線を巻回してなる。また、二次巻線は、一次巻線よりも細径であり、二次スプール221には、一次巻線よりも多い巻回数で二次巻線が巻回してある。
【0029】
図1に示すごとく、一次コイル21及び二次コイル22の内周側には、磁性体からなる棒状の中心コア31が配置してあり、一次コイル21及び二次コイル22の外周側には、磁性体からなる筒状の外周コア32が配置してある。また、本例においては、一次コイル21の内周側に二次コイル22が配置してあり、二次コイル22の内周側に中心コア31が配置してある。また、コイルケース33は、薄肉の筒形状を有しており、一次コイル21の外周と外周コア32との間に配置してある。
本例の中心コア31は、平板状の電磁鋼板(珪素鋼板等)を点火コイル1の径方向に積層して、断面略円形状に形成してある。本例の外周コア32は、コイルケース33の外周面の形状に沿って円筒状に形成した電磁鋼板(珪素鋼板等)を径方向に積層してなる。
【0030】
図2に示すごとく、上記プラグ装着部12において、プラグキャップ51は、キャップ取付部212の外周に装着する筒状の外周装着部513を有している。スプリング保持部512は、外周装着部513の内周側において、軸方向Dにおける低電圧側D2に向けて筒状に突出形成してある。
また、本例のスプリング保持部512には、このスプリング保持部512を構成するゴムよりも硬度が高い筒状の補強材514が配設してある。本例においては、外周装着部513とスプリング保持部512との間に環状溝が形成されており、補強材514は、スプリング保持部512の外周に配設してある。
【0031】
また、本例の高電圧端子(二次ターミナル)52には、二次巻線における高電圧側巻線端部225が結線してある。高電圧端子52は、二次スプール221の高電圧側D1の端部に形成した端子取付部222と、一次スプール211のキャップ取付部212の内周側に形成した保持部213との間に挟持してある。
そして、二次巻線の高電圧側巻線端部225は、高電圧端子52及びコイルスプリング53を介してスパークプラグ7の端子部72と導通される。また、図1に示すごとく、スパークプラグ7は、その碍子部71をプラグキャップ51における嵌入口511に嵌入し、碍子部71の先端に形成した端子部72を、コイルスプリング53の高電圧側端531に接触させた状態で、エンジンのシリンダヘッドカバー8に固定される。
【0032】
また、図2に示すごとく、プラグキャップ51の嵌入口511においては、スパークプラグ7の碍子部71を嵌入する嵌入部位511Aと、スプリング保持部512の内周側に形成した保持部位511Bとの間に、突起状の縮径部511Cが形成してある。また、コイルスプリング53の中間部分53Aは、他の部分よりも外径を大きくしてある。そして、コイルスプリング53の中間部分53Aを、上記保持部位511Bに挿入配置することにより、この中間部分53Aが縮径部511Cに掛止されて、コイルスプリング53が嵌入口511から脱落することが防止される。
【0033】
図1に示すごとく、上記コネクタ部13は、熱可塑性樹脂からなるコネクタケース部41内に、一次巻線に電力を供給するイグナイタ45を配設してなる。また、コネクタ部13には、径方向外方に突出してコネクタ接続部42が形成してある。イグナイタ45における複数の導電ピンは、コネクタ接続部42内にインサート成形した導電ピンと導通されている。また、本例のコイル本体部11は、熱可塑性樹脂からなる嵌合部材34を介して、コネクタケース部41における嵌入穴411内に嵌入してある。
また、イグナイタ45は、一次巻線に電力を供給する電力供給回路、及びスパークプラグ7における一対の電極間を介して二次巻線に流れるイオン電流を検出するイオン電流検出回路等を備えている。
【0034】
また、点火コイル1における間隙内には、絶縁性樹脂15が充填してある、本例の絶縁性樹脂15は、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂である。絶縁性樹脂15は、点火コイル1の各構成部品の組付を行った後、当該点火コイル1における間隙内を真空状態にし、この真空状態の間隙内に液状のエポキシ樹脂を充填し、その後エポキシ樹脂を硬化させて形成したものである。
【0035】
上記点火コイル1において、ECUからのパルス状のスパーク発生信号によって、一次巻線に電流を流したときには、中心コア31及び外周コア32を通過する磁界が形成される。次いで、一次巻線に流す電流を遮断したときには、上記磁界の形成方向とは反対方向に向けて、中心コア31及び外周コア32を通過する誘導磁界が形成される。そして、この誘導磁界の形成により、二次巻線に高電圧の誘導起電力(逆起電力)が発生し、点火コイル1に装着したスパークプラグ7における一対の電極間にスパークを発生させることができる。
【0036】
本例の点火コイル1においては、上記のごとく、ゴム製のプラグキャップ51に、軸方向Dにおける低電圧側D2に向けて筒状に突出形成したスプリング保持部512を形成してなる。そして、このスプリング保持部512の外周に、筒状の補強材514を配設している。これにより、絶縁性に優れると共に補強材514によって強度が向上したゴム製のプラグキャップ51によって、コイルスプリング53の中間部分53Aを保持することができる。
【0037】
そのため、コイルスプリング53の中間部分53Aが径方向へ変形することを抑制して、コイルスプリング53とスパークプラグ7の端子部72との間に接触不良が生じることを防止することができ、コイルスプリング53から低電圧の部分に向けて高電圧電流が漏電してしまうことを防止することもできる。
それ故、本例のスティックタイプの点火コイル1によれば、スパークプラグ7との間の導電状態を安定して維持することができる。
【0038】
なお、図示は省略するが、上記キャップ取付部212は、コイルケース33から延長形成することもできる。また、この場合には、キャップ取付部212は、コイルケース33を一体成形することができ、あるいはコイルケース33とは別体に成形したものをコイルケース33と連結させることもできる。
【0039】
(実施例2)
本例は、図3〜図6に示すごとく、上記コイルスプリング53の中間部分53Aが径方向へ変形することを抑制するために、コイルスプリング53にも工夫を行った例である。
図3、図4に示すごとく、本例のコイルスプリング53は、このコイルスプリング53を構成する鋼線530同士の間に所定の間隔を設けて軸方向Dへ巻いた疎巻き部533と、この疎巻き部533における中間位置において、疎巻き部533よりも上記間隔を小さくして軸方向Dへ巻いた密巻き部534とを有している。そして、密巻き部534の形成によって、コイルスプリング53の中間部分53Aの強度を向上させている。
【0040】
また、本例の密巻き部534の外径は、疎巻き部533の外径よりも大きくしてある。さらに、本例の密巻き部534は、上記間隔をほとんど設けることなく形成してある。そして、密巻き部534における鋼線530同士は、互いに密接している。
また、図3に示すごとく、プラグキャップ51の嵌入口511においては、スパークプラグ7の碍子部71を嵌入する嵌入部位511Aと、スプリング保持部512の内周側に形成した保持部位511Bとの間に、突起状の縮径部511Cが形成してある。そして、コイルスプリング53の密巻き部534を、上記保持部位511Bに挿入配置することにより、この密巻き部534が縮径部511Cに掛止されて、コイルスプリング53が嵌入口511から脱落することが防止される。
【0041】
本例の点火コイル1においては、強度が高い密巻き部534をスプリング保持部512によって保持させている。そのため、本例によっても、コイルスプリング53の中間部分53Aが径方向へ変形することを効果的に抑制することができる。
【0042】
また、図5、図6に示すごとく、コイルスプリング53の内周側には、補強用のガイド棒54を配置することもできる。このガイド棒54には、コイルスプリング53における鋼線530の一部に掛止する掛止部541を形成し、この掛止部541を、コイルスプリング53に掛止することにより、コイルスプリング53から脱落することを防止することができる。また、ガイド棒54は、その高電圧側D1の先端部が、スパークプラグ7の端子部72に接触しない長さに形成する。この場合には、ガイド棒54によって、コイルスプリング53の中間部分53Aが径方向へ変形することを一層効果的に抑制することができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0043】
(実施例3)
本例は、図7に示すごとく、コイルスプリング53における一部を、プラグ装着部12のキャップ取付部212における内周面によって保持した例である。
本例のキャップ取付部212における内周面は、先端側(高電圧側)に向けて拡径するテーパ内周面部212Aと、このテーパ内周面部212Aよりも先端側において、軸方向Dに平行に形成したストレート内周面部212Bとを有している。
【0044】
本例のコイルスプリング53は、このコイルスプリング53を構成する鋼線530同士の間に所定の間隔を設けて軸方向Dへ巻いた疎巻き部533と、この疎巻き部533における中間位置において、疎巻き部533よりも上記間隔を小さくして軸方向Dへ巻いた密巻き部534とを有している。また、本例の密巻き部534の外径は、疎巻き部533の外径よりも大きくなっており、密巻き部534は、この密巻き部534を構成する鋼線530同士を互いに密接させて形成してある。
【0045】
また、同図に示すごとく、プラグキャップ51における外周装着部513の内周側には、軸方向Dにおける低電圧側D2に向けて筒状に突出し、キャップ取付部212の内周側に配置する突出保持部512Aが形成してある。
キャップ取付部212内には、コイルケース33内における間隙と連通する環状空間214が形成してあり、この環状空間214には、絶縁性樹脂15が充填してある。そして、絶縁性樹脂15を充填した環状空間214における高電圧側端部214Aは、外周装着部513における低電圧側端部513Aよりも高電圧側に位置している。
【0046】
また、コイルスプリング53の密巻き部534は、キャップ取付部212のストレート内周面部212Bにおける突出保持部512Aが対向配置されていない部位に配置してある。また、密巻き部534よりも高電圧側に位置する疎巻き部533は、プラグキャップ51の嵌入口511内に配置してある。
そして、本例においては、コイルスプリング53の密巻き部534が、キャップ取付部212におけるストレート内周面部212Bによって保持してあり、密巻き部534の軸方向端部が、プラグキャップ51における突出保持部512Aの低電圧側端面によって保持してある。
【0047】
本例においては、コイルスプリング53の密巻き部534をキャップ取付部212のストレート内周面部212Bによって保持している。これにより、コイルスプリング53の密巻き部534が径方向へ変形することを抑制して、コイルスプリング53とスパークプラグ7の端子部72との間に接触不良が生じることを防止することができる。
また、キャップ取付部212にコイルスプリング53の密巻き部534が接触しても、この密巻き部534が接触するキャップ取付部212の対向部位の外周側においては、絶縁性に優れたゴム製のプラグキャップ51の外周装着部513が存在する。そのため、コイルスプリング53から低電圧の部分に向けて高電圧電流が漏電してしまうことを防止することができる。
それ故、本例のスティックタイプの点火コイルによっても、スパークプラグ7との間の導電状態を安定して維持することができる。
【0048】
また、図8に示すごとく、コイルスプリング53の密巻き部534は、キャップ取付部212におけるテーパ内周面部212Aとストレート内周面部212Bの一部とに対向する位置に跨って形成することもできる。この場合には、コイルスプリング53の密巻き部534を、テーパ内周面部212Aとストレート内周面部212Bとによって保持することができる。そして、密巻き部534は、テーパ内周面部212Aと突出保持部512Aの低電圧側端面との間に挟まれて、軸方向D及び径方向への変形が規制される。これにより、コイルスプリング53とスパークプラグ7の端子部72との間に接触不良が生じることを一層効果的に防止することができる。
【0049】
また、この場合には、密巻き部534がテーパ内周面部212A及びストレート内周面部212Bに接触しても、テーパ内周面部212A及びストレート内周面部212Bの外周側においては、絶縁性に優れた絶縁性樹脂15を充填した環状空間214、又は絶縁性に優れたゴム製のプラグキャップ51の外周装着部513が存在する。そのため、この場合にも、コイルスプリング53から低電圧の部分に向けて高電圧電流が漏電してしまうことを防止することができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1における、点火コイルを示す断面説明図。
【図2】実施例1における、点火コイルのプラグ装着部の周辺を示す断面説明図。
【図3】実施例2における、点火コイルのプラグ装着部の周辺を示す断面説明図。
【図4】実施例2における、コイルスプリングを示す説明図。
【図5】実施例2における、他の点火コイルのプラグ装着部の周辺を示す断面説明図。
【図6】実施例2における、他のコイルスプリングを示す説明図。
【図7】実施例3における、プラグ装着部の周辺を示す断面説明図。
【図8】実施例3における、他のプラグ装着部の周辺を示す断面説明図。
【符号の説明】
【0051】
1 点火コイル
11 コイル本体部
12 プラグ装着部
21 一次コイル
211 一次スプール
212 キャップ取付部
212A テーパ内周面部
212B ストレート内周面部
214 環状空間
22 二次コイル
221 二次スプール
225 高電圧側巻線端部
31 中心コア
32 外周コア
33 コイルケース
51 プラグキャップ
511 嵌入口
512 スプリング保持部
512A 突出保持部
513 外周装着部
514 補強材
52 高電圧端子
53 コイルスプリング
53A 中間部分
530 鋼線
531 高電圧側端
532 低電圧側端
533 疎巻き部
534 密巻き部
54 ガイド棒
7 スパークプラグ
71 碍子部
72 端子部
8 シリンダヘッドカバー
81 プラグホール
D 軸方向
D1 高電圧側
D2 低電圧側
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成19年2月6日(2007.2.6)
【代理人】 【識別番号】100079142
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥泰

【識別番号】100110700
【弁理士】
【氏名又は名称】岩倉 民芳


【公開番号】 特開2008−53204(P2008−53204A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2007−27152(P2007−27152)