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【発明の名称】 放電電極、誘導電極、イオン発生素子、イオン発生装置および電気機器
【発明者】 【氏名】押鐘 倫明

【要約】 【課題】放電電極の耐久性の向上を図ることができ、放電電極と誘導電極とを簡易な方法で支持基板に固定でき、ユニットの小型化を図ることができる放電電極、誘導電極、イオン発生素子、イオン発生装置および電気機器を提供する。

【構成】放電電極2は、ニッケルおよびクロムを少なくとも含む合金よりなる基材2aと、その基材2aの表面を覆い、かつスズおよびニッケルの少なくともいずれかを含む材質よりなる被覆材2bとを備え、針状の先端部Tを有し、その先端部Tにおいて基材2aが被覆材2bから露出していることを特徴とするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるための放電電極であって、
ニッケルおよびクロムを少なくとも含む合金よりなる基材と、
前記基材の表面を覆い、かつスズおよびニッケルの少なくともいずれかを含む材質よりなる被覆材とを備え、
針状の先端部を有し、前記先端部において前記基材が前記被覆材から露出している、放電電極。
【請求項2】
コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるための誘導電極であって、
貫通孔を有する板状の天板部と前記天板部に対して屈曲された基板挿入部とを有する一体の金属板と、
前記基板挿入部の少なくとも一部において前記金属板の表面を覆い、かつスズおよびニッケルの少なくともいずれかを含む材質よりなる被覆材とを備えた、誘導電極。
【請求項3】
請求項1に記載の前記放電電極と、
請求項2に記載の前記誘導電極と、
前記放電電極および前記誘導電極を支持する支持基板とを備えた、イオン発生素子。
【請求項4】
前記支持基板は、前記放電電極を支持するための第1の貫通孔と、前記誘導電極を支持するための第2の貫通孔とを有し、
前記放電電極は、前記第1の貫通孔に挿入されて前記支持基板を貫通した状態で、前記放電電極の前記被覆材の表面と前記支持基板の表面とに半田付けすることにより前記支持基板に固定されており、
前記誘導電極の前記基板挿入部は、前記第2の貫通孔に挿入されて前記支持基板を貫通した状態で、前記基板挿入部の前記被覆材の表面と前記支持基板の表面とに半田付けすることにより前記支持基板に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載のイオン発生素子。
【請求項5】
請求項3または4に記載の前記イオン発生素子と、
入力電圧を昇圧して前記誘導電極および前記放電電極に電圧を印加するための高電圧発生回路部と、
前記入力電圧を受けて前記高電圧発生回路部を駆動させる駆動回路部とを備えた、イオン発生装置。
【請求項6】
請求項5に記載の前記イオン発生装置と、
前記イオン発生装置で生じた正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを送風気流に乗せて送るための送風部とを備えた、電気機器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、放電電極、誘導電極、イオン発生素子、イオン発生装置および電気機器に関し、特に、コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるための放電電極、誘導電極、イオン発生素子、イオン発生装置および電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放電電極としての針電極と誘導電極としての板電極とを組合せ、その放電電極と誘導電極との間に高電圧を印加すると、針電極の先鋭部近傍の空気が絶縁破壊を起こし、部分的な放電が生じることは一般に知られており、この現象はコロナ放電と呼ばれている。
【0003】
このコロナ放電現象を利用したイオン発生素子が実現されている。このようなイオン発生素子は、例えば特開平9−262498号公報に開示されている。この公報には、短冊状の板状電極として形成された対向極と、針電極部材が支持基板部材に取り付けられた構造となっている放電極とからなる電極構成が記載されている。放電極の針電極部材の材質としては鉄、ステンレスなどの鉄系の金属材料や真鍮、洋銀などの銅系の金属材料を焼入れしたものが用いられている。また、針電極部材は圧着固定やスポット溶接などの方法で支持基板部材に固定して取り付けられている。
【特許文献1】特開平9−262498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放電電極に高電圧を印加することによってコロナ放電を発生させるイオン発生装置においては、放電電極の針状の先端部がスパークにより経年的に徐々に消耗し丸くなる場合がある。その結果、放電電極において、放電性能が低下することによりイオン発生能力が低下することとなるので放電電極の耐久性の向上が要望されている。また、放電電極を支持基板に固定して取り付けるにあたり、組み立て効率やユニットの小型化などの観点から従来例のような圧着やスポット溶接などによらない、より簡易な取り付け方法が要望されている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、放電電極の耐久性の向上を図ることができ、しかも、放電電極と誘導電極とを簡易な方法で支持基板に固定して取り付けることができ、ユニットの小型化を図ることができる放電電極、誘導電極、イオン発生素子、イオン発生装置および電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の放電電極は、コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるための放電電極であって、ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)を少なくとも含む合金よりなる基材と、その基材の表面を覆い、かつスズ(Sn)およびニッケルの少なくともいずれかを含む材質よりなる被覆材とを備え、針状の先端部を有し、その先端部において基材が被覆材から露出していることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の放電電極によれば、基材がニッケルおよびクロムを少なくとも含む合金よりなっており、放電を生じる針状の先端部がその合金よりなっているため、コロナ放電による放電電極の損傷を抑制することができ、長期にわたって安定した放電性能が得られ、良好なイオン発生能力を継続することができる。よって、放電電極の耐久性の向上を図ることができる。
【0008】
また針状の先端部において基材が被覆材から露出しているため、先端を被覆材で覆う場合よりも、針状先端の鋭角さを安定させることができる。
【0009】
また、被覆材はスズおよびニッケルの少なくともいずれかを含む材料よりなっており、この材料は半田との接合性が良好である。このため、放電電極を半田付けのような簡易な方法で他の部材に良好な接合性で固定することが可能となり、取り付け作業が従来の圧着やスポット溶接などの方法に比べて容易となる。
【0010】
本発明の誘導電極は、コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるための誘導電極であって、貫通孔を有する板状の天板部とその天板部に対して屈曲された基板挿入部とを有する一体の金属板と、基板挿入部の少なくとも一部において金属板の表面を覆い、かつスズおよびニッケルの少なくともいずれかを含む材質よりなる被覆材とを備えている。
【0011】
本発明の誘導電極によれば、基板挿入部の表面を覆う被覆材がスズおよびニッケルの少なくともいずれかを含む材料よりなっており、この材料は半田との接合性が良好である。このため、放電電極を半田付けのような簡易な方法で他の部材に良好な接合性で固定することが可能となり、取り付け作業が従来の圧着やスポット溶接などの方法に比べて容易となる。
【0012】
本発明のイオン発生素子は、上記の放電電極と、上記の誘導電極と、放電電極および誘導電極を支持する支持基板とを備えている。
【0013】
本発明のイオン発生素子によれば、上記の放電電極と誘導電極とを備えているため、放電電極および誘導電極の双方を半田付けのような簡易な方法で支持基板に良好な接合性で固定することが可能となる。これにより、放電電極の耐久性の向上を図ることができ、かつ放電電極および誘導電極を簡易な方法で支持基板に固定して取り付けることができる。また同一の支持基板に放電電極および誘導電極の双方を固定することができるため、イオン発生素子の小型化および薄型化を図ることができ、イオン発生装置の小型化を図ることができる。
【0014】
上記のイオン発生素子において好ましくは、支持基板は、放電電極を支持するための第1の貫通孔と、誘導電極を支持するための第2の貫通孔とを有している。放電電極は、第1の貫通孔に挿入されて支持基板を貫通した状態で、放電電極の被覆材の表面と支持基板の表面とに半田付けすることにより支持基板に固定されている。誘導電極の基板挿入部は、第2の貫通孔に挿入されて支持基板を貫通した状態で、基板挿入部の被覆材の表面と支持基板の表面とに半田付けすることにより支持基板に固定されている。
【0015】
このように放電電極および誘導電極を貫通孔に挿入して貫通させた状態で半田付けすることにより、簡易に支持基板に固定することができる。
【0016】
本発明のイオン発生装置は、上記のイオン発生素子と、入力電圧を昇圧して誘導電極および放電電極に電圧を印加するための高電圧発生回路部と、入力電圧を受けて高電圧発生回路部を駆動させる駆動回路部とを備えている。
【0017】
本発明のイオン発生装置によれば、駆動回路部により高電圧発生回路部を駆動させて、高電圧発生回路部により誘導電極および放電電極に高電圧を印加できるため、誘導電極および放電電極間でコロナ放電を生じさせ、正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせることができる。
【0018】
本発明の電気機器は、上記のいずれかに記載のイオン発生装置と、そのイオン発生装置で生じた正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを送風気流に乗せて送るための送風部とを備えている。
【0019】
本発明の電気機器によれば、イオン発生装置で生じたイオンを送風部により気流に乗せて送ることができるため、たとえば空調機器において機外にイオンを放出することができ、また冷蔵機器において庫内または庫外にイオンを放出することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、放電電極の耐久性の向上を図ることができ、かつ放電電極および誘導電極の双方を半田付けのような簡易な方法で同じ支持基板に固定して取り付けることができ、イオン発生装置の小型化を図ることができる。このため、これまで大きさの制約によりイオン発生装置を搭載できなかった電気機器への搭載が可能になり、イオン発生装置を搭載した電気機器への用途拡大や搭載箇所の自由度を拡大することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず、本実施の形態の放電電極の構成について説明する。
【0022】
図1および図2は、本発明の一実施の形態における放電電極の構成を概略的に示す正面図および断面図である。図1および図2を参照して、本実施の形態の放電電極2は、コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのものであり、基材2aと被覆材2bとを有している。基材2aは、ニッケルおよびクロムを少なくとも含む合金よりなっており、たとえばインコネル(INCONEL(登録商標))600よりなっている。インコネル600は、72質量%以上のニッケル(Ni)と、14質量%以上17質量%以下のクロム(Cr)と、6質量%以上10質量%以下の鉄(Fe)と、0.5質量%以下の銅(Cu)とを主に含有する組成を有し、また他の材料として0.15質量%以下の炭素(C)と、0.5質量%以下のシリコン(Si)と、1質量%以下のマンガン(Mn)と、0.03質量%以下のリン(P)と、0.015質量%以下の硫黄(S)とを含有している。
【0023】
被覆材2bは、この基材2aの表面を覆うように形成されている。この被覆材2bは、半田との接合性の良好な材質よりなっており、スズおよびニッケルの少なくともいずれかを含む材質よりなっている。被覆材2bは、たとえばニッケル系よりなる場合には純ニッケル(ニッケル100%)や、ニッケルと金(Au)、リン(P)などとの合金であり、スズ系よりなる場合には純スズ(スズ100%)や、スズと銅(Cu)、ビスマス(Bi)などとの合金である。
【0024】
また被覆材2bは、上記のニッケル系の材質の層とスズ系の材質の層との多層構造であってもよく、多層構造の場合にはニッケル系の材質の層が下層で鉄系の材質の層が上層であってもよく、また鉄系の材質の層が下層でニッケル系の材質の層が上層であってもよい。もちろん被覆材2bは、2層の多層構造に限定されるものではなく、3層以上の多層構造であってもよい。
【0025】
この被覆材2bは、たとえばメッキ法により形成されることが好ましいが、これに限定されるものではなく、たとえばスパッタリングなどの他の方法により形成されてもよい。また被覆材2bの厚みは1μm以上であることが好ましい。被覆材2bと半田とが接合するときに、被覆材2bが溶融して半田と被覆材2bとの合金が形成されるが、被覆材2bの厚みが1μm未満では被覆材2bの厚み全体が溶融してしまい、半田と基材2aとの接合となり接合性が悪くなるおそれがあるからである。
【0026】
放電電極2は、円柱形状の部分Cと、針状の先端部Tとを有している。針状の先端部Tはテーパ状に先鋭化した形状を有しており、この先端部Tにおいて基材2aが被覆材2bから露出している。
【0027】
次に、本実施の形態の放電電極の製造方法について説明する。
図3および図4は、本発明の一実施の形態における放電電極の製造方法を工程順に示す概略断面図である。図3を参照して、長尺の棒材が基材2aとして準備され、その基材2aの表面全面にたとえばメッキ法などにより被覆材2bが形成される。
【0028】
図4を参照して、被覆材2bが形成された後、基材2aが所定の長さに切断される。この後、一方の先端部がテーパ状に先鋭化した針状に加工されて図1および図2に示す本実施の形態の放電電極2が製造される。
【0029】
本実施の形態の放電電極2によれば、基材2aがニッケルおよびクロムを少なくとも含む合金よりなっており、放電を生じる先端部がその合金よりなっている。このため、コロナ放電による放電電極2の損傷を抑制することができ、長期にわたって安定した放電性能が得られ、良好なイオン発生能力を継続することができる。よって、放電電極2の耐久性の向上を図ることができる。
【0030】
また針状の先端部Tにおいて基材2aが被覆材2bから露出しているため、先端部Tを被覆材2bで覆う場合よりも、針状先端部Tの鋭角さを安定させることができる。
【0031】
また、被覆材2bはスズおよびニッケルの少なくともいずれかを含む材料よりなっており、この材料は半田4との接合性が良好である。このため、放電電極2を半田付けのような簡易な方法で支持基板3に良好な接合性で固定することが可能となり、取り付け作業が従来の圧着やスポット溶接などの方法に比べて容易となる。
【0032】
次に、本実施の形態の誘導電極の構成について説明する。
図5は、本発明の一実施の形態における誘導電極の構成を概略的に示す斜視図である。また図6は、図5に示す誘導電極の基板挿入部のVI−VI線に沿う概略断面図である。
【0033】
主に図5を参照して、誘導電極1は、コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのものであって、一体の金属板からなっている。誘導電極1は、板状の天板部1aに設けられた複数の貫通孔1bを有しており、複数の貫通孔1bの個数は放電電極2の個数に対応している。この貫通孔1bは、コロナ放電により発生するイオンをイオン発生素子の外部へ放出するための開口部である。
【0034】
本実施の形態では貫通孔1bの個数はたとえば2個であり、貫通孔1bの平面形状はたとえば円形である。貫通孔1bの周縁部分は、たとえば絞り加工などの工法により、金属板を天板部1aに対して屈曲させた屈曲部1cとなっている。この屈曲部1cにより、貫通孔1bの周縁の壁部の厚みが天板部1aの板厚よりも厚くなっている。
【0035】
また誘導電極1は、たとえば両端部に、金属板の一部を天板部1aに対して屈曲させた基板挿入部1dを有している。この基板挿入部1dは、幅の広い支持部分1d1と、幅の狭い挿入部分1d2とを有している。支持部分1d1の一方端は天板部1aに繋がっており、他方端は挿入部分1d2に繋がっている。
【0036】
また誘導電極1は、金属板の一部を天板部1aに対して屈曲させた基板支持部1eを有してもよい。この基板支持部1eは、基板挿入部1dの屈曲方向と同じ方向(図6において下側)に屈曲している。基板支持部1eの折り曲げ方向の長さは、基板挿入部1dの支持部分1d1の折り曲げ方向の長さと略同一である。
【0037】
なお屈曲部1cは基板挿入部1dおよび基板支持部1eと同じ方向(図5において下側)に折り曲げられていてもよく、また基板挿入部1dおよび基板支持部1eと逆の方向(図5において上側)に折り曲げられていてもよい。また屈曲部1c、基板挿入部1dおよび基板支持部1eは、天板部1aに対してたとえば略直角に屈曲している。
【0038】
主に図6を参照して、基板挿入部1dの少なくとも一部(挿入部分1d2)において金属板1fの表面を覆うように被覆材1gが形成されている。金属板1fはたとえばSUS304よりなっている。被覆材1gは、半田との接合性の良好な材質よりなっており、スズおよびニッケルの少なくともいずれかを含む材質よりなっている。被覆材2bは、たとえばニッケル系よりなる場合には純ニッケル(ニッケル100%)や、ニッケルと金(Au)、リン(P)などとの合金であり、スズ系よりなる場合には純スズ(スズ100%)や、スズと銅(Cu)、ビスマス(Bi)などとの合金である。
【0039】
なお被覆材1gは挿入部分1d2にのみ形成されていてもよく、挿入部分1d2および支持部分1d1に形成されていてもよく、さらに天板部1aにも形成されていてもよい。また誘導電極1の場合には放電電極2と異なり、誘導電極1がSUS304よりなっていても、放電による誘導電極1の消耗は生じない。
【0040】
また被覆材1gは、上記のニッケル系の材質の層とスズ系の材質の層との多層構造であってもよく、多層構造の場合にはニッケル系の材質の層が下層で鉄系の材質の層が上層であってもよく、また鉄系の材質の層が下層でニッケル系の材質の層が上層であってもよい。もちろん被覆材1gは、2層の多層構造に限定されるものではなく、3層以上の多層構造であってもよい。
【0041】
この被覆材1gは、たとえばメッキ法により形成されることが好ましいが、これに限定されるものではなく、たとえばスパッタリングなどの他の方法により形成されてもよい。また被覆材1gの厚みは1μm以上であることが好ましい。被覆材1gと半田とが接合するときに、被覆材1gが溶融して半田と被覆材1gとの合金が形成されるが、被覆材1gの厚みが1μm未満では被覆材1gの厚み全体が溶融してしまい、半田と金属板1fとの接合となり接合性が悪くなるおそれがあるからである。
【0042】
本実施の形態の誘導電極1によれば、基板挿入部1dの表面を覆う被覆材1gがスズおよびニッケルの少なくともいずれかを含む材料よりなっており、この材料は半田4との接合性が良好である。このため、誘導電極1を半田付けのような簡易な方法で支持基板3に良好な接合性で固定することが可能となり、取り付け作業が従来の圧着やスポット溶接などの方法に比べて容易となる。
【0043】
次に、上記の放電電極と誘導電極とを有するイオン発生素子の構成について説明する。
図7および図8は、図1および図2に示す放電電極と図5および図6に示す誘導電極とを有するイオン発生素子の構成を概略的に示す分解斜視図および平面図である。図9は図8のIX−IX線に沿う概略断面図である。図10および図11のそれぞれは図9の領域R1、R2を拡大して示す断面図である。
【0044】
図7〜図9を参照して、イオン発生素子10は、たとえばコロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのものであり、図5および図6に示す誘導電極1と、図1および図2に示す放電電極2と、支持基板3とを有している。
【0045】
支持基板3は、放電電極2を挿通させるための貫通孔3aと、基板挿入部1dの挿入部分1d2を挿通させるための貫通孔3bとを有している。
【0046】
針状の放電電極2は、貫通孔3aに挿入されて支持基板3を貫通した状態で半田付けすることにより支持基板3に固定されている。この半田付けは、図10に示すように放電電極2の被覆材2bの表面と支持基板3の裏面とに半田4が接合されることによりなされている。この際、被覆材2bは半田4との接合性の良好な材質よりなっているため、被覆材2bと半田4との間で良好な接合性が得られる。
【0047】
放電電極2の針状の先端部Tは支持基板3の表面側に突き出しており、また支持基板3の裏面側に突き出した円柱形状の部分Cには、半田4によりリード線や配線パターンを電気的に接続することが可能である。
【0048】
図7〜図9を参照して、誘導電極1の挿入部分1d2は貫通孔3bに挿入されて支持基板3を貫通した状態で半田付けすることにより支持基板3に固定されている。この半田付けは、図11に示すように誘導電極1の被覆材1gの表面と支持基板3の裏面とに半田4が接合されることによりなされている。この際、被覆材1gは半田4との接合性の良好な材質よりなっているため、被覆材1gと半田4との間で良好な接合性が得られる。
【0049】
支持基板3の裏面側に突き出した挿入部分1d2の先端には、半田4によりリード線や配線パターンを電気的に接続することが可能である。
【0050】
誘導電極1が支持基板3に支持された状態で、支持部分1d1と挿入部分1d2との境界にある段部が支持基板3の表面に当接する。これにより誘導電極1の天板部1aは支持基板3に対して所定の距離を保って支持されている。また誘導電極1の基板支持部1eの先端が支持基板3の表面に補助的に当接している。つまり、基板挿入部1dと基板支持部1eとにより、誘導電極1は支持基板3に対してその厚み方向に位置決めすることが可能である。
【0051】
また誘導電極1が支持基板3に支持された状態で、放電電極2は、その針状の先端が、図8に示すように円形の貫通孔1bの中心Cに位置するように、かつ図9に示すように貫通孔1bの周縁部の厚み(つまり屈曲部1cの屈曲長さ)T1の範囲内に位置するように配置されている。また支持基板3の裏面(半田面)には、図9に示すように高圧回路5の構成素子が取付けられている。
【0052】
寸法上の一例として、貫通孔1bの周縁部の厚み(つまり屈曲部1cの屈曲長さ)T1は1mm以上2mm以下程度であり、板状の誘導電極1の板厚T2は0.5mm以上1mm以下程度である。また支持基板3上面から誘導電極1の表面(上面)までの厚みは2mm以上4mm以下程度である。これにより、このイオン発生素子10を内部に収容したイオン発生装置の厚みを5mm以上8mm以下程度に薄型化することができる。
【0053】
次に、上記のイオン発生素子を有するイオン発生装置の構成について説明する。
図12は、図7〜図9に示すイオン発生素子を有するイオン発生装置の構成を概略的に示す分解斜視図である。図13は、図12に示したイオン発生装置において蓋体を除いた状態での概略平面図である。また図14は、図13のXIV−XIV線に沿う概略断面図である。
【0054】
図12〜図14を参照して、本実施の形態のイオン発生装置50は、高圧回路5(図14)と、イオン発生素子10と、高圧トランス(高電圧発生回路部)20と、高圧トランス駆動回路(駆動回路部)30(図14)と、電源入力コネクタ30b(図14)と、外装ケース40とを有している。
【0055】
高圧トランス駆動回路30は、外部からの入力電圧を受けて高圧トランス20を駆動するためのものである。高圧トランス20は、高圧トランス駆動回路30により駆動されて入力電圧を昇圧するためのものである。イオン発生素子10は、高圧トランス20により昇圧された電圧を印加されることで正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるものである。
【0056】
外装ケース40は、本体40aと、蓋体40bとを有している。本体40aの内部は、イオン発生素子10を配置するためのイオン発生素子ブロック40Aと、高圧トランス20を配置するための高圧トランスブロック40Bと、高圧トランス駆動回路30を配置するための高圧トランス駆動回路ブロック40Cとに平面的に区画されている。各ブロック40A、40B、40Cは、たとえば本体40a内に配置された壁41、42、43により仕切られている。
【0057】
イオン発生素子10は、高圧回路5の構成素子を取付けられた状態でイオン発生素子ブロック40A内に収容されている。高圧トランス20は、基板に搭載されない状態で高圧トランスブロック40B内に収容されている。高圧トランス駆動回路30および電源入力コネクタ30bは基板31に搭載された状態で高圧トランス駆動回路ブロック40C内に収容されている。電源入力コネクタ30bの一部は、外装ケース40の外部に露出しており、外部から電源をコネクタ接続できる構造となっている。
【0058】
本体40a内に収容された各機能素子は後述するように適宜、電気的に接続され、かつモールドされており、最後に、本体40aの上方開口部を閉じるように蓋体40bが取付けられている。なお、この蓋体40bには、イオン放出用の孔44が設けられている。
【0059】
次に、上記の各機能素子について、高圧トランス20および高圧トランス駆動回路30の順で具体的に説明する。
【0060】
図12および図13を参照して、高圧トランス20は、たとえば巻線トランスよりなっている。この巻線トランス20は、互いに絶縁された一次巻線21と二次巻線22とを鉄心の周囲のボビンに巻き付けた構成を有しており、一次巻線21と二次巻線22とは並んで配置されている。
【0061】
巻線トランス20の二次側で発生する電圧は、一般的に一次巻線21と二次巻線22との巻数比およびインダクタンスで決まり、高電圧を発生させるには二次巻線22に通常、数千ターンの巻数を必要とする。この数千ターンの巻数の巻線をボビンの狭い領域に巻き付けると巻線トランス20の厚みが大きくなる。このため、数千ターンの巻数を一度にボビンに巻くのではなく、1本の巻線を可能な限り多数の層に分割して1層当たりの巻数を少なくして巻くボビン構造とし、全体としての薄型化を実現することが好ましい。また極端に分割数を増やすと巻線トランス20の長さが増し、小型化には不利になるので、適度な数に分割するのがよい。
【0062】
なお、一次巻線21の両端子23、23は巻線トランス20の長手方向(一次巻線21と二次巻線22とが隣り合う方向)の端部に配置されており、二次巻線22の両端子24、24は巻線トランス20の側部に配置されている。
【0063】
高圧トランス20は図12に示す単独の状態で本体40aの高圧トランスブロック40B内に配置されてもよいが、高圧トランス20をケースに入れた状態で高圧トランスブロック40B内に配置されてもよい。この状態では、高圧トランス20をケースに入れた状態でモールドが施され、ケースと高圧トランス20との隙間にはモールド材が充填されることで、高圧トランス20単体で絶縁性能が確保されてもよい。
【0064】
図14を参照して、高圧トランス駆動回路30は、電源入力コネクタ30bからの電源供給を受けて、これをコンデンサに充電し、規定以上の電圧に達すれば半導体スイッチなどを用いてコンデンサに充電した電荷を放電させ、高圧トランス20の一次側に電流を供給する機能を有している。高圧トランス駆動回路30を構成する素子30aは、基板31の裏面に取付けられている。また基板31の裏面には、電源入力コネクタ30bの一部または全部が取付けられている。この高圧トランス駆動回路30および電源入力コネクタ30bを搭載した基板31が高圧トランス駆動回路ブロック40C内に配置された状態で、電源入力コネクタ30bは外装ケース40の外部に電気的に接続できるように構成されている。
【0065】
この実施の形態では、高圧トランス駆動回路ブロック40Cの基板31の半田面が図14の上側で、部品面(部品取付面)が図14の下側であり、電源入力コネクタ30bは図14の下側において露出している。
【0066】
図12および図14を参照して、外装ケース40の蓋体40bは、イオン発生素子10の貫通孔1bに対向する壁部にイオン放出用の孔44を有している。これにより、イオン発生素子10で生じたイオンがこの孔44を通じてイオン発生装置50の外部へ放出される。上記のようにイオン発生素子10の一方の放電電極2は正イオンを発生させるものであり、他方の放電電極2は負イオンを発生させるものであるため、外装ケース40に設けられた一方の孔44は正イオン発生部となり、他方の孔44は負イオン発生部となる。
【0067】
イオン放出用の孔44は、感電防止のために、通電部である誘導電極1に直接手が触れないように誘導電極1の貫通孔1bの孔径よりも小さい径に設定されている。さらに放電電極2の先端位置も、(外装ケース40の蓋体40bの厚み)+(誘導電極1の天板部1aの厚み)+(誘導電極1の屈曲長さ)でトータル1.5mm〜3.0mm程度、外装ケース40の表面から奥まった構造とされている。このように誘導電極1および放電電極2の先端に手が触れないように、イオン放出用の孔44の径は小さく設定される必要があるが、逆に小さすぎるとイオン放出量が減少するため、たとえば6mmの寸法とされている。
【0068】
このイオン発生装置50は、上述したように5mm以上8mm以下の厚みを有しているが、もちろんそれ以上の厚みであってもよい。
【0069】
本実施の形態のイオン発生装置50によれば、高圧トランス駆動回路30により高圧トランス20を駆動させて、高圧トランス20により誘導電極1および放電電極2に高電圧を印加できるため、誘導電極1および放電電極2間でコロナ放電を生じさせ、正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせることができる。
【0070】
次に、各機能素子の電気的接続の状態について説明する。
図15は、本発明の一実施の形態におけるイオン発生装置の機能ブロック図であり、各機能素子の電気的接続を示す図である。図15を参照して、イオン発生装置50は、上述したように、外装ケース40と、イオン発生素子ブロック40Aに配置されたイオン発生素子10および高圧回路5と、高圧トランスブロック40Bに配置された高圧トランス20と、高圧トランス駆動回路ブロック40Cに配置された高圧トランス駆動回路30と、電源入力コネクタ30bとを有している。なお、電源入力コネクタ30bは一部が高圧トランス駆動回路ブロック40C内に配置されており、また他の一部が外装ケース40の外部に露出しており、外部から電源をコネクタ接続できる構造となっている。
【0071】
この電源入力コネクタ30bは、入力電源としての直流電源や商用交流電源の供給を受ける部分である。電源入力コネクタ30bは高圧トランス駆動回路30に電気的に接続されている。この高圧トランス駆動回路30は高圧トランス20の一次側に電気的に接続されている。この高圧トランス20は、一次側に入力された電圧を昇圧して二次側に出力するためのものである。高圧トランス20の二次側の一方はイオン発生素子10の誘導電極1に電気的に接続されており、二次側の他方は高圧回路5を通じて放電電極2に電気的に接続されている。
【0072】
高圧回路5は、正イオンを発生させる放電電極2には誘導電極1に対し正極性の高電圧を印加し、また負イオンを発生させる放電電極2には誘導電極1に対し負極性の高電圧を印加するよう構成されている。これにより、正と負の2極性のイオンを発生させることができる。もちろん、高圧回路5の構成により正イオンのみ、または負イオンのみを発生させることも可能である。
【0073】
具体的な接続の構成としては、たとえば図12および図13に示すように高圧トランス20は一次側の端子23と二次側の端子24とを有しており、端子23は高圧トランス駆動回路30を搭載する基板31の表面(半田面)に半田接続により直接接続されており、端子24は高圧回路5を搭載する支持基板3の裏面(半田面)に半田接続により直接接続されている。また端子23、24によらずにリード線により上記の接続がおこなわれてもよい。
【0074】
また電源入力コネクタ30bと高圧トランス駆動回路30とは、図14に示すように基板31上に搭載された状態で、図示しないリード線や配線パターンにより電気的に接続されている。また高圧トランス20とイオン発生素子10および高圧回路5とは、図14に示すように支持基板3上に搭載された状態で、図示しないリード線や配線パターンにより電気的に接続されている。
【0075】
次に、モールドについて説明する。
上記のように各機能素子が外装ケース内に収容されて電気的に接続された状態で適宜モールドが施されている。ここで、イオン発生素子ブロック40Aや高圧トランスブロック40Bは高電圧部であるため、イオン発生素子ブロック40A内のイオン発生部分(支持基板3の表面側)を除き、支持基板3の裏面側(半田面側)および高圧トランスブロック40Bを樹脂モールド(たとえばエポキシ樹脂)により絶縁を強化することが望ましい。図11に示すように高圧トランス20をケース内に入れる場合には、ケース内をモールドすることで独立してモールドすることが好ましい。また図12に示すように高圧トランス20を単独で高圧トランスブロック40B内に収容する場合には、イオン発生素子ブロック40Aの支持基板3の裏面側とともに高圧トランス20をモールドすることが好ましい。
【0076】
後者の場合、外装ケース40には高圧トランスブロック40Bからのモールドが高圧トランス駆動回路ブロック40Cに流れ込まないように壁41が設けられているが、一方で高圧トランス20の入力端子23を高圧トランス駆動回路30に接続するための接続部(リード線など)を通すことも必要になる。そのため図12および図13に示すように壁41の一部に、接続部を通すための切欠部41aを設けることが好ましい。
【0077】
高圧トランス駆動回路ブロック40Cも、イオン発生装置50の使用環境によりモールドされてもよい。基本的にこのブロック40Cは印加電圧が家庭用の電源電圧であるため、他のブロックと比較して低電圧であり、高湿や多塵などの特殊環境でない限りは外装ケース40に覆われているのでモールドまでは必要とされない場合もあり、モールドを選択できる構造(モールド可能な構成)とすることができる。
【0078】
ここでモールドを選択できる構造(モールド可能な構成)とは、高圧トランス駆動回路30および電源入力コネクタ30bを搭載した基板31が高圧トランス駆動回路ブロック40C内に配置された状態で、モールド材を基板31の表面側(蓋側)から裏面側(本体40aの底部側)に回り込ませることが可能で、かつ外装ケース40の本体40aの底部からモールド材が漏れないように構成されていることを意味する。
【0079】
つまり、モールドは各機能素子を外装ケース40内に配置した後に行われるため、基板31の表面側からモールド材を注入しても、部品搭載面である裏面側にまでモールド材が回り込むように外装ケース40および基板31が構成されていなければならない。また、モールド材は注入の際には液体であるため、外装ケース40の底部が密閉されていないと外装ケース40の外部に漏れ出してしまうため、モールド材が漏れ出さないように外装ケース40の底部を密閉構造とする必要がある。
【0080】
また上記においては、イオン放出用の孔44を外装ケース40の蓋体40bに設けた場合について説明したが、この孔44は外装ケース40の本体40aの底面に設けられてもよい。つまり、蓋体40bはイオン放出用の孔44を設ける側とされてもよく、またイオン放出用の孔44を設けない側とされてもよい。
【0081】
上記のイオン発生装置において正イオンまたは負イオンのいずれか一方の極性のイオンを発生させる場合、イオンを発生させる放電電極2の針状の先端位置を誘導電極1の貫通孔1bの中心に合わせ、かつ誘導電極1の貫通孔1bの厚みT1の範囲内に配置することにより、誘導電極1と放電電極2の針状の先端とが空気空間を挟んで対向するようにする。
【0082】
また正イオンと負イオンの両極性のイオンを放出させるためには、正イオンを発生させる放電電極2の針状の先端位置と負イオンを発生させる放電電極2の針状の先端位置との各々を、互いに所定の距離を確保して配置し、かつ誘導電極1の貫通孔1bの中心に合わせ、かつ誘導電極1の貫通孔1bの厚みT1の範囲内に配置することにより、誘導電極1と放電電極2の針状の先端とが空気空間を挟んで対向するようにする。
【0083】
上記のイオン発生素子10において、板状の誘導電極1と針状の放電電極2とを上記のように所定の距離を確保して配置し、誘導電極1と放電電極2との間に高電圧を印加すると、針状の放電電極2の先端でコロナ放電が生じる。このコロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかのイオンが発生し、このイオンが誘導電極1に設けられた貫通孔1bからイオン発生素子10の外部に放出される。さらに送風を加えることで、より効果的にイオンを放出することが可能となる。
【0084】
正イオンと負イオンとの双方を生じさせる場合、一方の放電電極2の先端では正コロナ放電を発生させて正イオンを発生させ、他方の放電電極2の先端では負コロナ放電を発生させて負イオンを発生させる。印加する波形はここでは特に問わず、直流、正負にバイアスされた交流波形や正負にバイアスされたパルス波形などの高電圧とする。電圧値は放電を発生させるに十分かつ、所定のイオン種は生成させる電圧領域を選定する。
【0085】
ここで、正イオンは、水素イオン(H+)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、H+(H2O)m(mは任意の自然数)として表される。また負イオンは、酸素イオン(O2-)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、O2-(H2O)n(nは任意の自然数)として表される。
【0086】
正イオンおよび負イオンの両極性のイオンを放出すれば、空気中の正イオンであるH+(H2O)m(mは任意の自然数)と、負イオンであるO2-(H2O)n(nは任意の自然数)とを略同等量発生させることにより、両イオンが空気中を浮遊するカビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸化ラジカル(・OH)の作用により、浮遊カビ菌などを除去することが可能となる。
【0087】
次に、上記のイオン発生装置を用いた電気機器の一例として空気清浄機の構成について説明する。
【0088】
図16は、図12〜図14に示すイオン発生装置を用いた空気清浄機の構成を概略的に示す斜視図である。また図17は、図16に示す空気清浄機にイオン発生装置を配置した様子を示す空気清浄機の分解図である。
【0089】
図16および図17を参照して、空気清浄機60は前面パネル61と本体62とを有している。本体62の後方上部には吹き出し口63が設けられており、この吹き出し口63からイオンを含む清浄な空気が室内に供給される。本体62の中心には空気取り入れ口64が形成されている。空気清浄機60の前面の空気取り入れ口64から取り込まれた空気が、図示しないフィルターを通過することで清浄化される。清浄化された空気は、ファン用ケーシング65を通じて、吹き出し口63から外部へ供給される。
【0090】
清浄化された空気の通過経路を形成するファン用ケーシング65の一部に、図12〜図14に示すイオン発生装置50が取り付けられている。イオン発生装置50は、そのイオン発生部となる孔44からイオンを上記の空気流に放出できるように配置されている。イオン発生装置50の配置の例として、空気の通過経路内であって、吹き出し口63に比較的近い位置P1、比較的遠い位置P2などの位置が考えられる。このようにイオン発生装置50のイオン発生部44に送風を通過させることにより、吹き出し口63から清浄な空気とともに外部にイオンを供給するイオン発生機能を空気清浄機60に持たせることが可能になる。
【0091】
本実施の形態の空気清浄機60によれば、イオン発生装置50で生じたイオンを送風部(空気の通過経路)により気流に乗せて送ることができるため、機外にイオンを放出することができる。
【0092】
なお本実施の形態においては電気機器の一例として空気清浄機について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電気機器は、これ以外に空気調和機(エアコンディショナー)、冷蔵機器、掃除機、加湿器、除湿機、電気ファンヒータなどであってもよく、イオンを気流に乗せて送るための送風部を有する電気機器であればよい。
【0093】
また上記においてイオン発生装置50に入力される電源(入力電源)は商用交流電源および直流電源のいずれであってもよい。入力電源が商用交流電源である場合、一次側回路である高圧トランス駆動回路30を構成する部品間やプリント基板のパターン間には法的距離をとる必要がある。また部品は電源電圧に対し耐圧確保できる部品が必要となり、大型化を招くが回路構成は簡素化でき、部品点数は少なくできる。一方、入力電源が直流電源である場合、一次側回路となる高圧トランス駆動回路30を構成する部品間やプリント基板のパターン間の距離は上記商用交流電源の場合と比べると大きく緩和され、近距離で配置でき、かつ部品自体もチップ部品などの小型品が採用でき、高密度配置が可能となるものの、高電圧駆動回路実現のための回路が複雑になり、部品点数が上記商用交流電源の場合と比べて多くなる。
【0094】
また高圧トランス20は巻線トランスおよび圧電トランスのいずれであってもよい。巻線トランスは一般的に一次巻線と二次巻線との巻数比およびインダクタンスで決まり、高電圧を発生させるには通常数千ターンの巻数を必要とするため相応の大きさが必要になる。一方、圧電トランスは実用化されているものには小型で薄型のものはあるが、原理的に一定の長さが必要となる。また、出力の負荷量に制限があることと、駆動回路が複雑であることとが難点である。
【実施例】
【0095】
以下、本発明の実施例について説明する。
本願発明者は、インコネル600とステンレス系の金属材料であるSUS304との各々を先端が針状の放電電極にして、その放電電極にインパルス状の高電圧を連続的に印加することで放電を生じさせ、各材料についての経過時間と放電による針状の先端部の消耗体積との関係を調べた。その結果を図18に示す。
【0096】
図18の結果から、120日経過したときのプラス電極の消耗体積は、インコネル600ではSUS304の1/3程度となった。これにより放電電極の材質としてインコネル600のようなニッケルおよびクロムを少なくとも含む合金を使用することで、従来のSUS304に比べて耐久性が向上することが分かった。
【0097】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるための放電電極、誘導電極、イオン発生素子、イオン発生装置および電気機器に特に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施の形態における放電電極の構成を概略的に示す正面図である。
【図2】本発明の一実施の形態における放電電極の構成を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態における放電電極の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態における放電電極の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態における誘導電極の構成を概略的に示す斜視図である。
【図6】図5に示す誘導電極の基板挿入部のVI−VI線に沿う概略断面図である。
【図7】図1および図2に示す放電電極と図5および図6に示す誘導電極とを有するイオン発生素子の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図8】図1および図2に示す放電電極と図5および図6に示す誘導電極とを有するイオン発生素子の構成を概略的に示す平面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿う概略断面図である。
【図10】図9の領域R1を拡大して示す断面図である。
【図11】図9の領域R2を拡大して示す断面図である。
【図12】図7〜図9に示すイオン発生素子を有するイオン発生装置の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図13】図12に示したイオン発生装置において蓋体を除いた状態での概略平面図である。
【図14】図13のXIV−XIV線に沿う概略断面図である。
【図15】本発明の一実施の形態におけるイオン発生装置の機能ブロック図であり、各機能素子の電気的接続を示す図である。
【図16】図12〜図14に示すイオン発生装置を用いた空気清浄機の構成を概略的に示す斜視図である。
【図17】図16に示す空気清浄機にイオン発生装置を配置した様子を示す空気清浄機の分解図である。
【図18】インコネル600とSUS304との各々を放電電極として用いたときの、経過時間と放電による針状の先端部の消耗体積との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 誘導電極、1a 天板部、1b 貫通孔、1c 屈曲部、1d 基板挿入部、1e 基板支持部、1f 金属板、1g 被覆材、2 放電電極、2a 基材、2b 被覆材、3 支持基板、3a,3b 貫通孔、4 半田、5 高圧回路、10 イオン発生素子、20 高圧トランス、21 一次巻線、22 二次巻線、23,24 端子、30 高圧トランス駆動回路、30a 素子、30b 電源入力コネクタ、31 基板、40 外装ケース、40a 本体、40b 蓋体、40A イオン発生素子ブロック、40B 高圧トランスブロック、40C 高圧トランス駆動回路ブロック、41,42,43 壁、41a 切欠部、44 イオン放出用の孔、50 イオン発生装置、60 空気清浄機、61 前面パネル、62 本体、63 吹き出し口、64 空気取り入れ口、65 ファン用ケーシング。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成18年8月23日(2006.8.23)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎

【識別番号】100085132
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 俊雄

【識別番号】100083703
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 義平

【識別番号】100096781
【弁理士】
【氏名又は名称】堀井 豊

【識別番号】100098316
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 久登

【識別番号】100109162
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 將行


【公開番号】 特開2008−53000(P2008−53000A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−226863(P2006−226863)