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【発明の名称】 放電電極素子およびイオナイザー
【発明者】 【氏名】高橋 俊一

【氏名】桜田 琢也

【要約】 【課題】イオン化効率が高く、狭小な空間においても充分に適用可能な放電電極素子を提供すること。

【構成】放電電極素子1は、複数の細線2をブラシ状に束ねた束状電極3と、束状電極3に対向させて設けた対向電極4とからなることを、主たる構成とする。細線2にはたとえば極細ステンレス鋼製のものを好適に用いることができる。束状電極3は複数の細線2を束ねて、これが絶縁体6により被覆された基体5に設けられた構造として構成する。束状電極3は高圧電源7に接続される。また対向電極4はアースされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細線をブラシ状に束ねた束状電極と、該束状電極に対向させて対向電極を設けてなる、放電電極素子。
【請求項2】
前記束状電極を構成する細線の径は、50μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の放電電極素子。
【請求項3】
前記束状電極を構成する細線の径は、5μm以上15μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の放電電極素子。
【請求項4】
前記束状電極を構成する細線の数は、50本以上1000本以下であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の放電電極素子。
【請求項5】
前記束状電極に対して直流電圧を印加するための直流電源が備えられ、直流電圧の印加による該束状電極を構成する細線の帯電および各細線同士の反撥によって、該束状電極の先端部が拡径した放射状に形成されることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の放電電極素子。
【請求項6】
前記対向電極はメッシュ状であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の放電電極素子。
【請求項7】
前記メッシュ状の対向電極を構成する細線の径は、0.1mm以上0.5mm以下であることを特徴とする、請求項6に記載の放電電極素子。
【請求項8】
前記メッシュ状の対向電極は、10メッシュ/インチ以上50メッシュ/インチ以下の網状電極であることを特徴とする、請求項6または7に記載の放電電極素子。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の放電電極素子を用いた、集塵用のプラスイオンおよび脱臭効果のあるオゾンを発生可能であることを特徴とする、イオナイザー。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は放電電極素子およびイオナイザーに係り、特に、効率的に塵埃を帯電させて集塵でき、さらに脱臭効果のあるオゾンを発生させることのできる、放電電極素子およびイオナイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
光触媒を用いた空気浄化装置は、オフィス・店舗・ホテル・工場・自動車内・住居などさまざまな場所で用いられており、また、後掲する例のように技術的な提案も多くなされている(特許文献1、2)。
【0003】
また、空気浄化装置には、人間に対するリラックス効果付与を目的としたマイナスイオン、あるいは除塵効果を目的としたプラスイオンを発生させる機能を付加したものも従来提供されている。イオンを発生させてこれを送風する装置としては、後掲特許文献3開示の技術等がある。
【0004】
【特許文献1】特開2005−161022「空気清浄ユニットおよび空気調和装置」
【特許文献2】特開2005−160914「空気浄化装置」
【特許文献3】特開2004−234972「送風式イオン生成装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて近年は、パチンコ店等の遊技施設の空気環境改善手段として、空気清浄機や換気装置など各種空調設備の積極的な導入がなされている。パチンコ店を例に挙げれば、各遊技台の台間に設置可能な仕様の空気清浄機や脱臭機も提供されている。かかる環境においては、悪臭原因となる有機物質や有害な有機物質を光触媒により分解する機能、煙草の灰その他の微粉塵を集塵除去する機能、リラックス効果を発揮するマイナスイオン発生機能、吸気・送風用のファンといった諸機能を、できるだけコンパクトに筐体に収納しなくてはならず、したがって各機能には、通常用途の空気清浄機以上に高い性能が要求される。
【0006】
しかしながら、かかる用途にも充分適用可能な高い効率を有するプラスイオン発生方式は、上記各特許文献開示技術を含めても、従来提供されていない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を除き、イオン化効率が高く、かつ上述の遊技場の台間設置用空気浄化装置のような狭小な空間においても充分に適用可能なイオナイザー、およびこれに用いることのできる放電電極素子を提供することである。また特に、効率的に集塵用に塵埃をプラスイオン化(プラスに帯電)させ、および脱臭効果のあるオゾンを発生させることのできるイオナイザー、およびこれに用いることのできる放電電極素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は上記課題について検討した結果、細線をブラシ状に束ねた束状電極および対向電極からなる放電電極素子を基礎とすることによって上記課題の解決が可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0009】
(1) 細線をブラシ状に束ねた束状電極と、該束状電極に対向させて対向電極を設けてなる、放電電極素子。
(2) 前記束状電極を構成する細線の径は、50μm以下であることを特徴とする、(1)に記載の放電電極素子。
(3) 前記束状電極を構成する細線の径は、5μm以上15μm以下であることを特徴とする、(1)に記載の放電電極素子。
(4) 前記束状電極を構成する細線の数は、50本以上1000本以下であることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の放電電極素子。
(5) 前記束状電極に対して直流電圧を印加するための直流電源が備えられ、直流電圧の印加による該束状電極を構成する細線の帯電および各細線同士の反撥によって、該束状電極の先端部が拡径した放射状に形成されることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載の放電電極素子。
【0010】
(6) 前記対向電極はメッシュ状であることを特徴とする、請求項(1)ないし(5)のいずれかに記載の放電電極素子。
(7) 前記メッシュ状の対向電極を構成する細線の径は、0.1mm以上0.5mm以下であることを特徴とする、(6)に記載の放電電極素子。
(8) 前記メッシュ状の対向電極は、10メッシュ/インチ以上50メッシュ/インチ以下の網状電極であることを特徴とする、(6)または(7)に記載の放電電極素子。
(9) (1)ないし(8)のいずれかに記載の放電電極素子を用いた、集塵用のプラスイオンおよび脱臭効果のあるオゾンを発生可能であることを特徴とする、イオナイザー。
【発明の効果】
【0011】
本発明の放電電極素子およびイオナイザーは上述のように構成されるため、これによれば、イオン化効率が高く、かつ狭小な空間においても充分に適用可能なイオナイザーを提供することができる。したがって、たとえば上述のような遊技場の台間設置用空気浄化装置の如きコンパクトな仕様の装置においても、充分な効率にて塵埃等の物質をイオン化させることができる。もちろん用途はかかる環境のみに限定されず、広くイオナイザー全般に本発明を適用することができる。
【0012】
また、かかる本発明のイオナイザーによって、集塵用として塵埃のプラスイオン化のみならず、脱臭効果のあるオゾンをも効率的に発生させることができ、除塵と脱臭の両効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面も用いつつ、本発明についてより詳細に説明する。
図1は、本発明のイオナイザーの基礎たる放電電極素子について、その基本的な構成を示す説明図である。図示するように本発明放電電極素子1は、複数の細線2をブラシ状に束ねた束状電極3と、束状電極3に対向させて設けた対向電極4とからなることを、主たる構成とする。細線2にはたとえば極細ステンレス鋼製のものを好適に用いることができるが、これに限定されない。図に例示するように束状電極3は、複数の細線2を束ねて、これが絶縁体6により被覆された基体5に設けられた構造として構成することができる。なお、束状電極3は高圧電源7に接続される。また対向電極4はアースされる。
【0014】
かかる構成により本放電電極素子1は、これに高圧電源7によって高電圧を印加すると、束状電極3を構成する複数の細線2は帯電し、各細線2同士が相互に反撥し合い、それによって束状電極3の先端部は拡径した放射状となる。そして、束状電極3を構成する細線2の先端から、対向して設けられる対向電極4に向かってコロナ放電(E)が発生し、それにより両電極3、4間の空間に存在する塵埃は帯電する。帯電した塵埃は、アースされた対向電極4に吸着され、すなわち集塵がなされる。
【0015】
また、束状電極3への高電圧印加によるコロナ放電(E)によって、空間中に存在する酸素からオゾンOが生成し、これによる補助的な脱臭効果が得られる。つまり本発明放電電極素子1により、集塵効果とオゾン発生による脱臭効果が得られるのだが、放電電極素子1を構成するものは径の細い細線2であるため、高い電界強度が得られ、効率の良い放電が得られる。また対向電極4にも後述するように細線を用いることにより、電界強度は一層高めることができ、より高効率のコロナ放電が得られ、集塵効果、補助的脱臭効果ともに一層高めることができる。
【0016】
束状電極3を構成する細線2は、具体的には、径50μm以下とすることが、本発明の目的上推奨される。特に、5μm以上15μm以下とすることが、より望ましい。
【0017】
また、束状電極3を構成する細線2の数は、50本以上1000本以下とすることが、発明の効果上も、また製造工程・コストの点でも実用的であり、本発明の目的上推奨される。たとえば、これを100本前後とすることは、発明の効果上も、また製造工程・コストの点でも充分に実用的である。
【0018】
本放電電極素子1の対向電極4としては、これをメッシュ状の形状とすることができる。メッシュを構成する細線としては、ステンレス鋼製の細線を好適に用いることができるが、本発明はこれに限定されない。またこの場合、メッシュ状対向電極4を構成する細線の径は、0.1mm以上0.5mm以下とすることが、発明の効果上も、また製造工程・コストの点でも実用的であり、本発明の目的上推奨される。特に、0.2mm程度とすることは、発明の効果上も、また製造工程・コストの点でも充分に実用的である。
【0019】
また、メッシュ状対向電極4の目開きは、10メッシュ/インチ以上50メッシュ/インチ以下とすることが、発明の効果上も、また製造工程・コストの点でも実用的であり、本発明の目的上推奨される。特に、20メッシュ/インチ程度とすることは、発明の効果上も、また製造工程・コストの点でも充分に実用的である。
【0020】
すなわち、対向電極4としては、たとえば、ステンレス鋼製の0.1〜0.5mm程度の径、あるいは0.2mm程度の径の細線を用いた、10メッシュ/インチ以上50メッシュ/インチ以下の目開き、あるいは20メッシュ/インチ程度の目開きのメッシュ状電極を、好適に用いることができる。そして、かかる仕様の対向電極と、径5μm以上15μm以下程度のステンレス鋼製極細線を100本程度束ねてなる束状電極とにより、放電効果の高い放電電極素子を構成することができる。
【0021】
以上説明した本発明放電電極素子を用いて、集塵用のプラスイオンおよび脱臭効果のあるオゾンを発生可能なイオナイザーを構成することができる。かかる構成のイオナイザーは、イオン発生効率が高く、かつ狭小な空間においても充分に適用可能であるため、たとえばパチンコ台の台間設置用空気浄化装置の如きコンパクトな仕様の装置においても、充分な効率にて塵埃を帯電させて集塵でき、かつオゾン発生による補助的脱臭効果を得ることができる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されない。
図2は、本発明イオナイザーの実施例の構成を示す説明図である。また、
図2−2は、該実施例を構成するユニットを分離した状態を示す説明図である。ここに用いた放電電極素子の主たる仕様は下記の通りである。
束状電極:極細SUS製細線(径12μm)を約100本用いて束にした。
対向電極:SUS製細線(径0.2mm)からなる20メッシュ/インチ程度の目開きのメッシュ状電極とした。
高圧電源:直流+4.5kVとした。
【0023】
図2に示すように、本例イオナイザー28は、放電電極素子の主要部たる束状電極部23(図中、「SUSブラシ部」と表示)と、対向電極部24(図中、「SUSメッシュ部」と表示)、さらに被処理空気を導入する吸気部291、除塵された空気を本イオナイザー28から排出する排気部292の備えられた、直接除塵等の処理機能が発揮されるユニット(A)28Aと、高圧電源部27の備えられたユニット(B)28Bからなる。もちろん、本発明イオナイザーを本例のように複数のユニットから構成する必要はなく、単一基板上に設けたものとするなど、具体的構造は特に限定されるものではない。
【0024】
本例イオナイザー28では、被処理空気は吸気部291からユニット28A内に導入され、これが束状電極部23の設けられた領域を経て、メッシュ状の対向電極部24を通して、排気部292から後流側へと排気されていく。その過程において、高圧電源部27からの+の直流高電圧が印加された束状電極部23により、対向電極部24との間でコロナ放電が発生し、両電極部間や周囲の空間中に存在する物質のプラスイオン化、帯電現象が発生する。すなわち、流入してきた被処理空気中に塵埃が含まれている場合、塵埃はプラスに帯電する。また、酸素もオゾン化される。
【0025】
プラスに帯電した塵埃は対向電極部24に電気集塵され、これにより被処理空気は除塵される。除塵・清浄化され、さらに発生したオゾンを含む空気は、排気部292から後流側へと排気される。排気される処理後の空気は、除塵がなされ、かつオゾンによる補助的な脱臭効果を有する。これをさらに後流側において、たとえば光触媒機能によって処理したり、あるいはマイナスイオンを付加する等して、高度に処理された空気として、最終的に排出することも可能である。
【0026】
なお、被処理空気をこのように流通させるための気流形成手段すなわち端的には、適宜のファン(図示せず)を排気部292の後流側に設けることにより、被処理空気の流れを上述のごとく形成することができる。
【0027】
図2および2−2に示す本例イオナイザー28は、ユニット28A、28Bからなるが、図示するようにこれらは分離・結合自在の構成とすることができる。これにより、運転中には被処理空気が常時流通するユニット28Aを、必要に応じてユニット28Bから取り外して清掃することができ、イオナイザーの清潔維持管理、および負荷増大を防止することができる。
【0028】
また、ユニット28A中においても特に集塵がなされて汚れが激しくなる部位である対向電極部24も、束状電極部23から脱着自在な構成とし、必要に応じてこれを引き抜いて取り外し、清掃可能なものとすることができる。
【0029】
図3は、図2等に示した本発明実施例イオナイザーを用いた、パチンコ台の台間設置用空気浄化機の構成例を示す分解斜視図である。特に本例は、幅4cmという薄さの仕様を備えるものとして構成されたものでもある。図示するように本例空気浄化機30は、イオナイザー38の前流側にはプレフィルター32を配置し、また後流側には順に、脱臭フィルター33、光触媒ユニット34、ファン35(図ではシロッコファン)、マイナスイオン発生ユニット36を設け、最終的に処理された空気を排気する排気口37を設けた構成をとる。本例空気浄化機30は、本発明イオナイザー38がコンパクトに構成できることにもよって、40mmという薄さの中にこれらの機能をすべて搭載することができ、パチンコ台の台間設置用として極めて適したものである。なお図中には、ファン35としてはシロッコファン、光触媒ユニット34の光源342としては紫外線ランプ、筐体側板305としては樹脂製の密閉フタ、本体固定用構造307としてはワンタッチロックである旨等の記載をしているが、これらはあくまでも好適な実施例の一例であり、本発明に係る空気浄化機がこれらの具体的構成に限定されるものではない。
【0030】
パチンコ店に設置される本例空気浄化機30では、煙草のヤニ、灰その他の汚染物質により汚染された被処理空気は、ファン35の作動によって吸気口31から装置内部に導入され、まずプレフィルター32において予備的な除塵がなされ、ついでイオナイザー38にて電気集塵がなされるとともに発生するオゾンによる補助的な脱臭処理がなされ、ついで脱臭フィルター33による本格的な脱臭処理がなされ、そして光触媒ユニット34によってVOC等の有害なもしくは好ましくない有機物質が光触媒機能により分解除去され、最後にマイナスイオン発生ユニット36において、ここまで処理された空気の一部がマイナスイオン化されて、排気口37から排出される。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の放電電極素子およびイオナイザーによれば、たとえばパチンコ台の台間設置用空気浄化装置の如きコンパクトな仕様の装置においても、充分な効率にて塵埃のイオン化、脱臭効果のあるオゾン発生が可能であり、除塵と脱臭の両効果を得ることができる。したがって、環境浄化装置分野、娯楽産業等の空気汚染が激しい状況において、特に利用価値が高い発明である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のイオナイザーの基礎たる放電電極素子について、その基本的な構成を示す説明図である。
【図2】本発明イオナイザーの実施例の構成を示す説明図である。
【図2−2】本発明実施例を構成するユニットを分離した状態を示す説明図である。
【図3】本発明実施例イオナイザーを用いた、パチンコ台の台間設置用空気浄化機の構成例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1…放電電極素子
2…細線
3…束状電極
23…束状電極部(SUSブラシ部)
4…対向電極
24…対向電極部(SUSメッシュ部)
5…基体
6…絶縁体
7、27…高圧電源
28…イオナイザー
28A、28B…イオナイザーのユニット(A、B)
291…吸気部
292…排気部
E…コロナ放電
【0034】
30…空気浄化機
301、302、303…筐体前面パネル
304…本体筐体
305…筐体側板
306…本体取付け枠
307…本体固定用構造
308…取手
31…吸気口
32…プレフィルター
33…脱臭フィルター
34…光触媒ユニット
341…光触媒部
342…光源
343…ランプインバータ基板
35…ファン
36…マイナスイオン発生ユニット
364…マイナスイオン発生針(イオンニードル)
37…排気口
38…イオナイザー
39…電源制御基板

【出願人】 【識別番号】591269712
【氏名又は名称】アンデス電気株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成


【公開番号】 特開2008−34220(P2008−34220A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−205721(P2006−205721)