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イオン発生装置および電気機器 - 特開2008−16345 | j-tokkyo
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【発明の名称】 イオン発生装置および電気機器
【発明者】 【氏名】世古口 美徳

【要約】 【課題】小型化および薄型化に適したイオン発生装置およびそれを搭載した電気機器を提供する。

【構成】外装ケース40は、少なくとも高圧トランス駆動回路30を配置するための高圧トランス駆動回路ブロック40Cと、高圧トランス20の少なくとも二次側を配置するための高圧トランスブロック40Bと、イオン発生素子10を配置するためのイオン発生素子ブロック40Aとに平面的に区画されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランス駆動回路と、前記トランス駆動回路により駆動されて電圧を昇圧するためのトランスと、前記トランスにより昇圧された電圧を印加されることで正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのイオン発生素子とを備えたイオン発生装置であって、
少なくとも前記トランス駆動回路を配置するためのトランス駆動回路ブロックと、前記トランスの少なくとも二次側を配置するためのトランスブロックと、前記イオン発生素子を配置するためのイオン発生素子ブロックとに平面的に区画されたケースを備えた、イオン発生装置。
【請求項2】
前記トランスブロックおよび前記イオン発生素子ブロックがモールドされた構成を有することを特徴とする、請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記トランス駆動回路ブロックは、前記トランス駆動回路を配置した状態でモールド可能な構成を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記ケースは、前記トランス駆動回路ブロックと前記トランスブロックとを仕切るための壁を有し、前記壁は前記トランス駆動回路と前記トランスとを電気的に接続する接続部を通すための切欠部を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のイオン発生装置。
【請求項5】
前記ケースは、前記トランスの一次側と二次側とを仕切るための壁を有し、
前記トランスは、1次側と2次側との中間部位に前記トランスの他の部分よりも径の大きな拡径部を有し、
前記トランスの前記中間部位が前記壁の切欠部に嵌め込まれた状態で前記拡径部が前記壁に当接することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のイオン発生装置。
【請求項6】
前記イオン発生素子は、
複数の貫通孔を有する一体の金属板からなり、かつ前記複数の貫通孔の各々の周縁部分を屈曲させることで前記貫通孔の壁部の厚みを前記金属板の板厚よりも厚くした誘導電極と、
それぞれが、前記誘導電極の前記複数の貫通孔の各々の内であって、前記貫通孔の厚みの範囲内に位置する針状の先端を有する複数の放電電極と、
前記誘導電極と前記複数の放電電極とを支持する支持基板とを備えたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のイオン発生装置。
【請求項7】
前記ケースは、前記トランス駆動回路ブロック、前記トランスブロックおよび前記イオン発生素子ブロックとに平面的に区画された本体と、その本体を蓋するための蓋体とを有し、
前記蓋体は、それぞれが前記複数の貫通孔の各々に対応して設けられた複数のイオン放出用孔を有していることを特徴とする、請求項6に記載のイオン発生装置。
【請求項8】
前記ケースは、前記トランス駆動回路ブロック、前記トランスブロックおよび前記イオン発生素子ブロックとに平面的に区画された本体と、その本体を蓋するための蓋体とを有し、
前記本体の底部は、それぞれが前記複数の貫通孔の各々に対応して設けられた複数のイオン放出用孔を有していることを特徴とする、請求項6に記載のイオン発生装置。
【請求項9】
前記複数のイオン放出用孔の各々は前記貫通孔よりも小さな開口寸法を有していることを特徴とする、請求項7または8に記載のイオン発生装置。
【請求項10】
トランス駆動回路と、前記トランス駆動回路により駆動されて電圧を昇圧するためのトランスと、前記トランスにより昇圧された電圧を印加されることで正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのイオン発生素子とを備えたイオン発生装置であって、
前記トランス駆動回路を表面上に搭載した基板と、
前記トランス駆動回路を搭載した前記基板、前記トランスおよび前記イオン発生素子を内部に収容するケースとを備え、
前記トランスは前記基板の表面上に搭載されない状態で前記ケース内に収容されている、イオン発生装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の前記イオン発生装置と、
前記イオン発生装置で生じた正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを送風気流に乗せて送るための送風部とを備えた、電気機器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン発生装置および電気機器に関し、特に、トランス駆動回路、トランスおよびイオン発生素子を備えたイオン発生装置および電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放電現象を利用した多くのイオン発生装置が実用化されている。これらのイオン発生装置は通常、イオンを発生させるためのイオン発生素子と、イオン発生素子に高電圧を供給するための高圧トランスと、高圧トランスを駆動するための高圧トランス駆動回路と、コネクタなどの電源入力部とにより構成されている。
【0003】
イオン発生素子の種類は、大きく2種類に区分される。その1つは、金属線、鋭角部を持った金属板、針形状の金属などを放電電極とし、大地電位の金属板やグリッドなどを対向電極としたもの、あるいは対向電極を大地として特に対向電極を配置しないものである。この種類のイオン発生素子では、空気が絶縁体の役割を果たす。このイオン発生素子は、電極に高電圧を印加した際に、鋭角部をした電極の先端で電界集中が生じ、その先端の極近部分の空気が絶縁破壊することで放電現象を得る方式である。
【0004】
もう1つは、高耐圧の誘電体内部に埋没された誘導電極と、誘電体表面に配置された放電電極との一対で構成されたものである。この種類のイオン発生素子は、電極に高電圧を印加した際に、表面の放電電極の外縁部近傍で電界集中が生じ、その極近部分の空気が絶縁破壊することで放電現象を得る方式である。
【0005】
上記イオン発生素子に高電圧を印加する高圧トランスとして、一次巻線と二次巻線とを有する巻線トランスや、圧電セラミック素子で作られた圧電現象を利用した圧電トランスが実用化されている。
【0006】
従来のイオン発生装置としては、たとえば特開2002-374670号公報に記載されたものがある。このイオン発生装置は、イオン発生電極を放電電極とし、対向電極を配置しないタイプのものである。このイオン発生装置では、イオン発生電極に高電圧を供給する圧電トランスと、その圧電トランスを駆動するための駆動回路とがケース内に搭載されて、モールドにより一体化されている。ただし、イオン発生電極はケース外部に配置されており、ケースから引き出されたケーブルに接続されている。
【0007】
また高圧トランスに関しては圧電トランスと巻線トランスの違いや有利不利点が記載されており、圧電トランスでは巻線トランスよりもトランス自体がコンパクト化できるが周辺回路が複雑になることが記載されている。高圧トランスは他の部品と同一の基板上に搭載され、その基板はケース底面から一定距離浮かせた形で外装ケースに内に配置されていることが記載されている。
【特許文献1】特開2002-374670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記公報に記載されたイオン発生装置では、高圧トランスと駆動回路とがケース内でまとめてモールドされている。このため、たとえば駆動回路をモールドせずに高圧トランスのみをモールドすることができず、高電圧部のみを効率的にモールドできない。また高電圧部をモールドしない場合には、イオン発生電極以外の高電圧部で放電が生じる可能性があり、係る放電を防止するために高電圧部の部品間の絶縁距離を大きく確保する必要がある。一般的には、1kVの電圧当たり1mmの絶縁距離が目安といわれている。このように絶縁距離を大きくするとイオン発生装置が大きくなってしまうため、装置の小型化および薄型化が困難であるという課題があった。
【0009】
また上記公報に記載されたイオン発生装置では、高圧トランスは駆動回路と同一の基板上に搭載されている。このため、高圧トランスの配置部では、基板の厚み以外に、基板表面(部品面)側においては高圧トランスの厚み以上の高さが必要であり、基板裏面(半田面)側においては高圧トランスの半田付けしたリード部の長さ以上の高さが必要である。これにより高圧トランスの配置部においてイオン発生装置の厚みが大きくなり、装置の小型化および薄型化が困難であるという課題があった。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化および薄型化に適したイオン発生装置およびそれを搭載した電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のイオン発生装置は、トランス駆動回路と、そのトランス駆動回路により駆動されて電圧を昇圧するためのトランスと、そのトランスにより昇圧された電圧を印加されることで正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのイオン発生素子とを備えたイオン発生装置であって、少なくともトランス駆動回路を配置するためのトランス駆動回路ブロックと、トランスの少なくとも二次側を配置するためのトランスブロックと、イオン発生素子を配置するためのイオン発生素子ブロックとに平面的に区画されたケースを備えている。
【0012】
本発明のイオン発生装置によれば、ケース内部がトランス駆動回路ブロックとトランスブロックとイオン発生素子ブロックとに平面的に区画されているため、各ブロックごとに別個にモールドすることができる。たとえばトランスブロックにおいてはトランスの二次側全体をモールドしながらも、イオン発生素子ブロックにおいてはイオン発生部分をモールドせずにイオン発生素子の高圧回路部をモールドすることができる。これにより、イオン発生装置の高圧部分を効率よくモールドで絶縁分離することができるため、各部分を近づけて配置することが可能となり、イオン発生装置の小型化および薄型化が可能となる。
【0013】
上記のイオン発生装置において好ましくは、トランスブロックおよびイオン発生素子ブロックがモールドされた構成を有している。
【0014】
これにより、上述したようにたとえばトランスブロックにおいてはトランスの二次側全体をモールドしながらも、イオン発生素子ブロックにおいてはイオン発生部分をモールドせずにイオン発生素子の高圧回路部をモールドすることができ、イオン発生装置の高圧部分を効率よくモールドで絶縁分離することができる。このため、各部分を近づけて配置することが可能となり、イオン発生装置の小型化および薄型化が可能となる。
【0015】
上記のイオン発生装置において好ましくは、トランス駆動回路ブロックは、トランス駆動回路を配置した状態でモールド可能な構成を有している。
【0016】
これにより、必要に応じてトランス駆動回路ブロックもモールドできるため、さらにイオン発生装置の小型化および薄型化が可能となる。
【0017】
上記のイオン発生装置において好ましくは、ケースは、トランス駆動回路ブロックとトランスブロックとを仕切るための壁を有し、その壁はトランス駆動回路とトランスとを電気的に接続する接続部を通すための切欠部を有している。
【0018】
この壁によりトランス駆動回路ブロックとトランスブロックとを平面的に区画できるとともに、その壁に設けた切欠部によりトランス駆動回路とトランスとを電気的に接続することが可能となる。
【0019】
上記のイオン発生装置において好ましくは、ケースは、トランスの一次側と二次側とを仕切るための壁を有し、トランスは、1次側と2次側との中間部位にトランスの他の部分よりも径の大きな拡径部を有し、トランスの中間部位が壁の切欠部に嵌め込まれた状態で拡径部が壁に当接する。
【0020】
このようにトランスの中間部位が壁の切欠部に嵌め込まれた状態で拡径部が壁に当接するため、たとえばトランスブロックにモールドする際にトランスブロックからトランス駆動回路ブロックへモールドが流入することを防ぐことができる。
【0021】
上記のイオン発生装置において好ましくは、イオン発生素子は、誘導電極と、複数の放電電極と、支持基板とを備えている。誘導電極は、複数の貫通孔を有する一体の金属板からなり、かつ複数の貫通孔の各々の周縁部分を屈曲させることで貫通孔の壁部の厚みを金属板の板厚よりも厚くしたものである。複数の放電電極のそれぞれは、誘導電極の複数の貫通孔の各々の内であって、貫通孔の厚みの範囲内に位置する針状の先端を有している。支持基板は、誘導電極と複数の放電電極とを支持している。
【0022】
このように誘導電極が一体の金属板からなっているため、その厚みを薄くすることができる。また貫通孔の周縁部分を屈曲させているため、誘導電極を一体の金属板で形成しながらも、貫通孔の壁部の厚みを金属板の板厚よりも厚くすることができる。この貫通孔の厚みの範囲内に針状の先端を位置させることにより、誘導電極と放電電極との最短距離は放電電極の針状の先端と誘導電極の貫通孔の周縁部との距離となる。ここで、貫通孔の周縁部の厚みは金属板の板厚よりも厚くなっているため、放電電極の位置が周縁部の厚み方向に多少ずれても、その針状の先端は貫通孔の厚みの範囲内に留まる。このため、誘導電極と放電電極との最短距離は放電電極の針状の先端と誘導電極の貫通孔の周縁部との距離のまま維持され、位置関係のバラツキにより生じるイオン発生量のバラツキを低減することが可能となる。
【0023】
上記のイオン発生装置において好ましくは、ケースは、トランス駆動回路ブロック、トランスブロックおよびイオン発生素子ブロックとに平面的に区画された本体と、その本体を蓋するための蓋体とを有し、その蓋体は、それぞれが複数の貫通孔の各々に対応して設けられた複数のイオン放出用孔を有している。
【0024】
上記のイオン発生装置において好ましくは、ケースは、トランス駆動回路ブロック、トランスブロックおよびイオン発生素子ブロックとに平面的に区画された本体と、その本体を蓋するための蓋体とを有し、その本体の底部は、それぞれが複数の貫通孔の各々に対応して設けられた複数のイオン放出用孔を有している。
【0025】
上記のイオン発生装置において好ましくは、複数のイオン放出用孔の各々は貫通孔よりも小さな開口寸法を有している。
【0026】
これにより通電部である誘導電極に直接手が触れることを防止でき、感電を防止することができる。
【0027】
本発明の他のイオン発生装置は、トランス駆動回路と、そのトランス駆動回路により駆動されて電圧を昇圧するためのトランスと、そのトランスにより昇圧された電圧を印加されることで正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのイオン発生素子とを備えたイオン発生装置であって、基板と、ケースとを備えている。基板は、トランス駆動回路を表面上に搭載している。ケースは、トランス駆動回路を搭載した基板、トランスおよびイオン発生素子を内部に収容している。トランスは基板の表面上に搭載されない状態でケース内に収容されている。
【0028】
本発明の他のイオン発生装置によれば、トランスは基板の表面上に搭載されない状態でケース内に収容されているため、トランスブロックにおけるケースの高さにおいて基板の厚み分と、基板への接続のために必要な高さ分とを削除することができる。これにより、トランスブロックにおけるケースの高さを薄型化できるとともに、イオン発生装置の小型化を図ることができる。
【0029】
本発明の電気機器は、上記のいずれかに記載のイオン発生装置と、そのイオン発生装置で生じた正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを送風気流に乗せて送るための送風部とを備えている。
【0030】
本発明の電気機器によれば、イオン発生装置で生じたイオンを送風部により気流に乗せて送ることができるため、たとえば空調機器において機外にイオンを放出することができ、また冷蔵機器において庫内または庫外にイオンを放出することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように本発明によれば、ケース内が各素子ブロックに平面的に区画されているため、またトランスが基板に搭載されない状態でケース内に収容されているため、イオン発生装置の小型化および薄型化が可能となる。このため、これまで大きさの制約によりイオン発生装置を搭載できなかった電気機器への搭載が可能になり、イオン発生装置を搭載した電気機器への用途拡大や搭載箇所の自由度を拡大することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるイオン発生装置の構成を概略的に示す分解斜視図である。図2は、図1に示したイオン発生装置において蓋体を除いた状態での概略平面図である。また図3および図4は、図2のIII−III線およびIV−IV線に沿う概略断面図である。
【0033】
図1〜図4を参照して、本実施の形態のイオン発生装置50は、高圧回路5(図3)と、イオン発生素子10と、高圧トランス20と、高圧トランス駆動回路30(図3)と、電源入力コネクタ30b(図3)と、外装ケース40とを有している。
【0034】
高圧トランス駆動回路30は、外部からの入力電圧を受けて高圧トランス20を駆動するためのものである。高圧トランス20は、高圧トランス駆動回路30により駆動されて入力電圧を昇圧するためのものである。イオン発生素子10は、高圧トランス20により昇圧された電圧を印加されることで正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるものである。
【0035】
外装ケース40は、本体40aと、蓋体40bとを有している。本体40aの内部は、イオン発生素子10を配置するためのイオン発生素子ブロック40Aと、高圧トランス20を配置するための高圧トランスブロック40Bと、高圧トランス駆動回路30を配置するための高圧トランス駆動回路ブロック40Cとに平面的に区画されている。各ブロック40A、40B、40Cは、たとえば本体40a内に配置された壁41、42、43により仕切られている。
【0036】
イオン発生素子10は、高圧回路5の構成素子を取付けられた状態でイオン発生素子ブロック40A内に収容されている。高圧トランス20は、基板に搭載されない状態で高圧トランスブロック40B内に収容されている。高圧トランス駆動回路30および電源入力コネクタ30bは基板31に搭載された状態で高圧トランス駆動回路ブロック40C内に収容されている。電源入力コネクタ30bの一部は、外装ケース40の外部に露出しており、外部から電源をコネクタ接続できる構造となっている。
【0037】
本体40a内に収容された各機能素子は後述するように適宜、電気的に接続され、かつモールドされており、最後に、本体40aの上方開口部を閉じるように蓋体40bが取付けられている。なお、この蓋体40bには、イオン放出用の孔44が設けられている。
【0038】
次に、上記の各機能素子について、イオン発生素子10、高圧トランス20および高圧トランス駆動回路30の順で具体的に説明する。
【0039】
図6および図7は、図1〜図4に示すイオン発生装置に用いられるイオン発生素子の構成を概略的に示す分解斜視図および平面図である。図8は図7のVIII−VIII線に沿う概略断面図である。また図9は、図8のR2部を拡大して示す拡大断面図である。
【0040】
図6〜図8を参照して、イオン発生素子10は、たとえばコロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのものであり、誘導電極1と、放電電極2と、支持基板3とを有している。
【0041】
誘導電極1は、一体の金属板からなっており、かつ放電電極2の個数に対応して天板部1aに設けられた複数の貫通孔1bを有している。この貫通孔1bは、コロナ放電により発生するイオンをイオン発生素子10の外部へ放出するための開口部である。
【0042】
本実施の形態では貫通孔1bの個数はたとえば2個であり、貫通孔1bの平面形状はたとえば円形である。貫通孔1bの周縁部分は、たとえば絞り加工などの工法により、金属板を天板部1aに対して屈曲させた屈曲部1cとなっている。この屈曲部1cにより、図8、図9に示すように、貫通孔1bの周縁の壁部の厚みT1が天板部1aの板厚T2よりも厚くなっている。
【0043】
また誘導電極1は、たとえば両端部に、金属板の一部を天板部1aに対して屈曲させた基板挿入部1dを有している。この基板挿入部1dは、幅の広い支持部分1d1と、幅の狭い挿入部分1d2とを有している。支持部分1d1の一方端は天板部1aに繋がっており、他方端は挿入部分1d2に繋がっている。
【0044】
また誘導電極1は、金属板の一部を天板部1aに対して屈曲させた基板支持部1eを有してもよい。この基板支持部1eは、基板挿入部1dの屈曲方向と同じ方向(図6において下側)に屈曲している。基板支持部1eの折り曲げ方向の長さは、基板挿入部1dの支持部分1d1の折り曲げ方向の長さと略同一である。
【0045】
なお屈曲部1cは基板挿入部1dおよび基板支持部1eと同じ方向(図6において下側)に折り曲げられていてもよく、また基板挿入部1dおよび基板支持部1eと逆の方向(図6において上側)に折り曲げられていてもよい。また屈曲部1c、基板挿入部1dおよび基板支持部1eは、天板部1aに対してたとえば略直角に屈曲している。
【0046】
放電電極2は針状の先端を有している。支持基板3は、放電電極2を挿通させるための貫通孔3aと、基板挿入部1dの挿入部分1d2を挿通させるための貫通孔3bとを有している。
【0047】
針状の放電電極2は、貫通孔3aに挿入または圧入されて支持基板3を貫通した状態で支持基板3に支持されている。これにより、放電電極2の針状の一方端は支持基板3の表面側に突き出しており、また支持基板3の裏面側に突き出した他方端には、図8、図9に示すように、半田4によりリード線や配線パターンを電気的に接続することが可能である。
【0048】
誘導電極1の挿入部分1d2は貫通孔3bに挿入されて支持基板3を貫通した状態で支持基板3に支持されている。また支持基板3の裏面側に突き出した挿入部分1d2の先端には、図8に示すように、半田4によりリード線や配線パターンを電気的に接続することが可能である。
【0049】
誘導電極1が支持基板3に支持された状態で、支持部分1d1と挿入部分1d2との境界にある段部が支持基板3の表面に当接する。これにより誘導電極1の天板部1aは支持基板3に対して所定の距離を保って支持されている。また誘導電極1の基板支持部1eの先端が支持基板3の表面に補助的に当接している。つまり、基板挿入部1dと基板支持部1eとにより、誘導電極1は支持基板3に対してその厚み方向に位置決めすることが可能である。
【0050】
また誘導電極1が支持基板3に支持された状態で、放電電極2は、その針状の先端が、図7に示すように円形の貫通孔1bの中心Cに位置するように、かつ図9に示すように貫通孔1bの周縁部の厚み(つまり屈曲部1cの屈曲長さ)T1の範囲内に位置するように配置されている。また支持基板3の裏面(半田面)には、図8に示すように高圧回路5の構成素子が取付けられている。
【0051】
寸法上の一例として、貫通孔1bの周縁部の厚み(つまり屈曲部1cの屈曲長さ)T1は1mm以上2mm以下程度であり、板状の誘導電極1の板厚T2は0.5mm以上1mm以下程度である。また支持基板3上面から誘導電極1の表面までの厚みは2mm以上4mm以下程度である。これにより、このイオン発生素子10を内部に収容したイオン発生装置50の厚みを5mm以上8mm以下程度に薄型化することができる。
【0052】
図10は、図1〜図4に示すイオン発生装置に用いられる高圧トランスの構成を概略的に示す平面図である。図10を参照して、高圧トランス20は、たとえば巻線トランスよりなっている。この巻線トランス20は、互いに絶縁された一次巻線21と二次巻線22とを鉄心の周囲のボビンに巻き付けた構成を有しており、一次巻線21と二次巻線22とは並んで配置されている。
【0053】
巻線トランス20の二次側で発生する電圧は、一般的に一次巻線21と二次巻線22との巻数比およびインダクタンスで決まり、高電圧を発生させるには二次巻線22に通常、数千ターンの巻数を必要とする。この数千ターンの巻数の巻線をボビンの狭い領域に巻き付けると巻線トランス20の厚みが大きくなる。このため、数千ターンの巻数を一度にボビンに巻くのではなく、1本の巻線を可能な限り多数の層に分割して1層当たりの巻数を少なくして巻くボビン構造とし、全体としての薄型化を実現することが好ましい。また極端に分割数を増やすと巻線トランス20の長さが増し、小型化には不利になるので、適度な数に分割するのがよい。
【0054】
なお、一次巻線21の両端子23、23は巻線トランス20の長手方向(一次巻線21と二次巻線22とが隣り合う方向)の端部に配置されており、二次巻線22の両端子24、24は巻線トランス20の側部に配置されている。
【0055】
高圧トランス20は図10に示す単独の状態で本体40aの高圧トランスブロック40B内に配置されてもよいが、図11に示すように高圧トランス20をケース25に入れた状態で高圧トランスブロック40B内に配置されてもよい。この状態では、高圧トランス20をケース25に入れた状態でモールドが施され、ケース25と高圧トランス20との隙間にはモールド材26が充填されている。これにより、高圧トランス20単体で絶縁性能が確保されている。また高圧トランス20の端子23、24のそれぞれにはリード線27が接続されてケース25の外部に引き出されている。
【0056】
図3を参照して、高圧トランス駆動回路30は、電源入力コネクタ30bからの電源供給を受けて、これをコンデンサに充電し、規定以上の電圧に達すれば半導体スイッチなどを用いてコンデンサに充電した電荷を放電させ、高圧トランス20の一次側に電流を供給する機能を有している。高圧トランス駆動回路30を構成する素子30aは、基板31の裏面に取付けられている。また基板31の裏面には、電源入力コネクタ30bの一部または全部が取付けられている。この高圧トランス駆動回路30および電源入力コネクタ30bを搭載した基板31が高圧トランス駆動回路ブロック40C内に配置された状態で、電源入力コネクタ30bは外装ケース40の外部に電気的に接続できるように構成されている。
【0057】
この実施の形態では、高圧トランス駆動回路ブロック40Cの基板31の半田面が図3の上側で部品面(部品取付面)が図3の下側であり、電源入力コネクタ30bは図3の下側において露出している。
【0058】
図3および図4を参照して、外装ケース40の蓋体40bは、イオン発生素子10の貫通孔1bに対向する壁部にイオン放出用の孔44を有している。これにより、イオン発生素子10で生じたイオンがこの孔44を通じてイオン発生装置50の外部へ放出される。上記のようにイオン発生素子10の一方の放電電極2は正イオンを発生させるものであり、他方の放電電極2は負イオンを発生させるものであるため、外装ケース40に設けられた一方の孔44は正イオン発生部となり、他方の孔44は負イオン発生部となる。
【0059】
イオン放出用の孔44は、感電防止のために、通電部である誘導電極1に直接手が触れないように誘導電極1の貫通孔1bの孔径よりも小さい径に設定されている。さらに放電電極2の先端位置も、(外装ケース40の蓋体40bの厚み)+(誘導電極1の天板部1aの厚み)+(誘導電極1の屈曲長さ)でトータル1.5mm〜3.0mm程度、外装ケース40の表面から奥まった構造とされている。このように誘導電極1および放電電極2の先端に手が触れないように、イオン放出用の孔44の径は小さく設定される必要があるが、逆に小さすぎるとイオン放出量が減少するため、たとえば6mmの寸法とされている。
【0060】
このイオン発生装置50は、上述したように5mm以上8mm以下の厚みを有しているが、もちろんそれ以上の厚みであってもよい。
【0061】
次に、各機能素子の電気的接続の状態について説明する。
図12は、本発明の一実施の形態におけるイオン発生装置の機能ブロック図であり、各機能素子の電気的接続を示す図である。図12を参照して、イオン発生装置50は、上述したように、外装ケース40と、イオン発生素子ブロック40Aに配置されたイオン発生素子10および高圧回路5と、高圧トランスブロック40Bに配置された高圧トランス20と、高圧トランス駆動回路ブロック40Cに配置された高圧トランス駆動回路30と、電源入力コネクタ30bとを有している。なお、電源入力コネクタ30bは一部が高圧トランス駆動回路ブロック40C内に配置されており、また他の一部が外装ケース40の外部に露出しており、外部から電源をコネクタ接続できる構造となっている。
【0062】
この電源入力コネクタ30bは、入力電源としての直流電源や商用交流電源の供給を受ける部分である。電源入力コネクタ30bは高圧トランス駆動回路30に電気的に接続されている。この高圧トランス駆動回路30は高圧トランス20の一次側に電気的に接続されている。この高圧トランス20は、一次側に入力された電圧を昇圧して二次側に出力するためのものである。高圧トランス20の二次側の一方はイオン発生素子10の誘導電極1に電気的に接続されており、二次側の他方は高圧回路5を通じて放電電極2に電気的に接続されている。
【0063】
高圧回路5は、正イオンを発生させる放電電極2には誘導電極1に対し正極性の高電圧を印加し、また負イオンを発生させる放電電極2には誘導電極1に対し負極性の高電圧を印加するよう構成されている。これにより、正と負の2極性のイオンを発生させることができる。もちろん、高圧回路5の構成により正イオンのみ、または負イオンのみを発生させることも可能である。
【0064】
具体的な接続の構成としては、たとえば図2に示すように高圧トランス20は一次側の端子23と二次側の端子24とを有しており、端子23は高圧トランス駆動回路30を搭載する基板31の表面(半田面)に半田接続により直接接続されており、端子24は高圧回路5を搭載する支持基板3の裏面(半田面)に半田接続により直接接続されている。また端子23、24によらずにリード線により上記の接続がおこなわれてもよい。
【0065】
また電源入力コネクタ30bと高圧トランス駆動回路30とは、図3に示すように基板31上に搭載された状態で、図示しないリード線や配線パターンにより電気的に接続されている。また高圧トランス20とイオン発生素子10および高圧回路5とは、図3に示すように支持基板3上に搭載された状態で、図示しないリード線や配線パターンにより電気的に接続されている。
【0066】
次に、モールドについて説明する。
上記のように各機能素子が外装ケース内に収容されて電気的に接続された状態で適宜モールドが施されている。ここで、イオン発生素子ブロック40Aや高圧トランスブロック40Bは高電圧部であるため、イオン発生素子ブロック40A内のイオン発生部分(支持基板3の表面側)を除き、支持基板3の裏面側(半田面側)および高圧トランスブロック40Bを樹脂モールド(たとえばエポキシ樹脂)により絶縁を強化することが望ましい。図11に示すように高圧トランス20をケース25内に入れる場合には、ケース25内をモールドすることで独立してモールドすることが好ましい。また図1に示すように高圧トランス20を単独で高圧トランスブロック40B内に収容する場合には、イオン発生素子ブロック40Aの支持基板3の裏面側とともに高圧トランス20をモールドすることが好ましい。
【0067】
後者の場合、外装ケース40には高圧トランスブロック40Bからのモールドが高圧トランス駆動回路ブロック40Cに流れ込まないように壁41が設けられているが、一方で高圧トランス20の入力端子23を高圧トランス駆動回路30に接続するための接続部(リード線など)を通すことも必要になる。そのため図5に示すように壁41の一部に、接続部を通すための切欠部41aを設けることが好ましい。
【0068】
高圧トランス駆動回路ブロック40Cも、イオン発生装置50の使用環境によりモールドされてもよい。基本的にこのブロック40Cは印加電圧が家庭用の電源電圧であるため、他のブロックと比較して低電圧であり、高湿や多塵などの特殊環境でない限りは外装ケース40に覆われているのでモールドまでは必要とされない場合もあり、モールドを選択できる構造(モールド可能な構成)とすることができる。
【0069】
ここでモールドを選択できる構造(モールド可能な構成)とは、高圧トランス駆動回路30および電源入力コネクタ30bを搭載した基板31が高圧トランス駆動回路ブロック40C内に配置された状態で、モールド材を基板31の表面側(蓋側)から裏面側(本体40aの底部側)に回り込ませることが可能で、かつ外装ケース40の本体40aの底部からモールド材が漏れないように構成されていることを意味する。
【0070】
つまり、モールドは各機能素子を外装ケース40内に配置した後に行われるため、基板31の表面側からモールド材を注入しても、部品搭載面である裏面側にまでモールド材が回り込むように外装ケース40および基板31が構成されていなければならない。また、モールド材は注入の際には液体であるため、外装ケース40の底部が密閉されていないと外装ケース40の外部に漏れ出してしまうため、モールド材が漏れ出さないように外装ケース40の底部を密閉構造とする必要がある。
【0071】
なお上記においては、図2に示すように高圧トランス20の全体が高圧トランスブロック40B内に配置された構成について説明したが、図13に示すように高圧トランス20の少なくとも二次側(二次巻線22および端子24)が高圧トランスブロック40B内に配置されていればよく、高圧トランス20の一次側(一次巻線21および端子23)は高圧トランス駆動回路ブロック40C内に配置されていてもよい。この場合、高圧トランスブロック40Bと高圧トランス駆動回路ブロック40Cとを仕切る壁41には、高圧トランス20を嵌め込むための切欠部41bを設ける必要がある。
【0072】
また、この構成において高圧トランス駆動回路ブロック40C内をモールドしない場合には、高圧トランス20は、図14に示すように一次側(一次巻線21および端子23)と二次側(二次巻線22および端子24)との中間部位に、高圧トランス20の他の部分よりも径の大きな拡径部28を有していることが好ましい。これにより、図13に示すように壁41の切欠部41bに高圧トランス20を嵌め込んだ状態において、高圧トランス20の拡径部28の一方端面が壁41に当接することになる。これにより、高圧トランスブロック40B内のモールドが高圧トランス駆動回路ブロック40C内に流入することを防止することができる。
【0073】
また上記においては、イオン放出用の孔44を外装ケース40の蓋体40bに設けた場合について説明したが、この孔44は図13に示すように外装ケース40の本体40aの底面に設けられてもよい。つまり、蓋体40bはイオン放出用の孔44を設ける側とされてもよく、またイオン放出用の孔44を設けない側とされてもよい。
【0074】
また図15に示すように高圧トランスブロック40Bと高圧トランス駆動回路ブロック40Cとの間の外装ケース40底部に段差Sを設けることにより、高圧トランス20を外装ケース40内に配置した状態で、高圧トランス20の端子23の高さ位置が、高圧トランス駆動回路30を搭載した基板31の上面に接する高さ位置とされてもよい。これにより、高圧トランス20の端子23を、基板31に半田付けなどにより直接接続することができる。
【0075】
なお図15においては、説明の便宜上、高圧トランスブロック40Bと高圧トランス駆動回路ブロック40Cとの間を仕切る壁の図示が省略されている。
【0076】
また図16に示すように、高圧トランス駆動回路を構成する素子30aを基板31に搭載する場合、基板31の一部をくり抜いた貫通孔31a内に素子30aが配置されてもよい。この場合、図17に示すように素子30aはリード線32などにより他の素子と電気的に接続されている。このリード線32は図17においては基板31の下側に配置されているが、基板31の上側に配置されてもよい。このように基板31の貫通孔31a内に素子30aを配置することにより、素子30aを基板31上に搭載する場合よりも薄型化が可能となる。
【0077】
上記のイオン発生装置において正イオンまたは負イオンのいずれか一方の極性のイオンを発生させる場合、イオンを発生させる放電電極2の針状の先端位置を誘導電極1の貫通孔1bの中心に合わせ、かつ誘導電極1の貫通孔1bの厚みT1の範囲内に配置することにより、誘導電極1と放電電極2の針状の先端とが空気空間を挟んで対向するようにする。
【0078】
また正イオンと負イオンの両極性のイオンを放出させるためには、正イオンを発生させる放電電極2の針状の先端位置と負イオンを発生させる放電電極2の針状の先端位置との各々を、互いに所定の距離を確保して配置し、かつ誘導電極1の貫通孔1bの中心に合わせ、かつ誘導電極1の貫通孔1bの厚みT1の範囲内に配置することにより、誘導電極1と放電電極2の針状の先端とが空気空間を挟んで対向するようにする。
【0079】
上記のイオン発生素子10において、板状の誘導電極1と針状の放電電極2とを上記のように所定の距離を確保して配置し、誘導電極1と放電電極2との間に高電圧を印加すると、針状の放電電極2の先端でコロナ放電が生じる。このコロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかのイオンが発生し、このイオンが誘導電極1に設けられた貫通孔1bからイオン発生素子10の外部に放出される。さらに送風を加えることで、より効果的にイオンを放出することが可能となる。
【0080】
正イオンと負イオンとの双方を生じさせる場合、一方の放電電極2の先端では正コロナ放電を発生させて正イオンを発生させ、他方の放電電極2の先端では負コロナ放電を発生させて負イオンを発生させる。印加する波形はここでは特に問わず、直流、正負にバイアスされた交流波形や正負にバイアスされたパルス波形などの高電圧とする。電圧値は放電を発生させるに十分かつ、所定のイオン種は生成させる電圧領域を選定する。
【0081】
ここで、正イオンは、水素イオン(H+)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、H+(H2O)m(mは任意の自然数)として表される。また負イオンは、酸素イオン(O2-)の周囲に複数の水分子が付随したクラスターイオンであり、O2-(H2O)n(nは任意の自然数)として表される。
【0082】
本実施の形態のイオン発生装置50によれば、図1および図2に示すように外装ケース40の内部が高圧トランス駆動回路ブロック40Cと高圧トランスブロック40Bとイオン発生素子ブロック40Aとに平面的に区画されているため、各ブロックごとに別個にモールドすることができる。たとえば高圧トランスブロック40Bにおいてはトランスの二次側全体をモールドしながらも、イオン発生素子ブロック40Aにおいてはイオン発生部分をモールドせずにイオン発生素子の高圧回路5をモールドすることができる。これにより、イオン発生装置50の高圧部分を効率よくモールドで絶縁分離することができるため、各部分を近づけて配置することが可能となり、イオン発生装置の小型化および薄型化が可能となる。
【0083】
また図1および図2に示すように、高圧トランス20が基板31の表面上に搭載されない状態で外装ケース40の高圧トランスブロック40B内に収容されているため、高圧トランスブロック40Bにおける外装ケース40の高さにおいて基板31の厚み分(たとえば1.0mm〜1.6mm)と、基板31への接続のために必要な高さ分(たとえば最低2mm)とを削除することができる。これにより、高圧トランスブロック40Bにおける外装ケース40の高さにおいて薄型化できるとともに、イオン発生装置50の小型化を図ることができる。
【0084】
また高圧トランス駆動回路ブロック40Cは、高圧トランス駆動回路30を配置した状態でモールド可能な構成を有しているため、必要に応じて高圧トランス駆動回路ブロック40Cもモールドできるため、さらにイオン発生装置50の小型化および薄型化が可能となる。
【0085】
また図1および図2に示すように外装ケース40は、高圧トランス駆動回路ブロック40Cと高圧トランスブロック40Bとを仕切るための壁41を有し、その壁41は高圧トランス駆動回路30と高圧トランス20とを電気的に接続する接続部(端子23またはリード線)を通すための切欠部41aを有している。この壁41により高圧トランス駆動回路ブロック40Cと高圧トランスブロック40Bとを平面的に区画できるとともに、その壁41に設けた切欠部41aにより高圧トランス駆動回路30と高圧トランス20とを電気的に接続することが可能となる。
【0086】
また図6〜図9に示すようにイオン発生素子10では、誘導電極1が一体の金属板からなっているため、その厚みを薄くすることができる。これにより、薄型化を実現することができる。また貫通孔1bの周縁部分を屈曲部1cのように屈曲させているため、誘導電極1を一体の金属板で形成しながらも、貫通孔1bの壁部の厚みT1を天板部1aの板厚T2よりも厚くすることができる。この貫通孔1bの厚みT1の範囲内に針状の先端を位置させることにより、誘導電極1と放電電極2との最短距離は放電電極2の針状の先端と誘導電極1の貫通孔1bの周縁部分との距離となる。ここで、貫通孔1bの周縁部分の厚みT1は金属板の板厚T2よりも厚くなっているため、放電電極2の位置が周縁部分の厚み方向に多少ずれても、その針状の先端は貫通孔1bの厚みT1の範囲内に留まる。このため、誘導電極1と放電電極2との最短距離は放電電極2の針状の先端と誘導電極1の貫通孔1bの周縁部分との距離のまま維持され、位置関係のバラツキにより生じるイオン発生量のバラツキを低減することが可能となる。
【0087】
また支持基板3により、誘導電極1と放電電極2との双方が互いに位置決めされて支持されるため、誘導電極1と放電電極2との位置関係のバラツキを抑えることができる。
【0088】
また放電電極2および挿入部分1d2の各々が支持基板3を貫通して支持基板3に支持されている。このようにして誘導電極1と放電電極2とが支持基板3に支持されるとともに、支持基板3の裏面側から突き出た放電電極2の端部および誘導電極1の挿入部分1d2の各々に電気回路などを電気的に接続することが可能となる。
【0089】
また基板支持部1eの端部を支持基板3の表面に当接させることにより、誘導電極1を支持基板3に対して位置決めできるため、誘導電極1と放電電極2との位置関係のバラツキをさらに抑えることができる。また基板支持部1eの端部を支持基板3を貫通させずに表面に当接させるだけとしたことにより、放電電極2との絶縁距離を確保することが容易となる。
【0090】
また図3および図4に示す複数のイオン放出用の孔44の各々は貫通孔1bよりも小さな開口寸法を有しているため、通電部である誘導電極1に直接手が触れることを防止でき、感電を防止することができる。
【0091】
また正イオンおよび負イオンの両極性のイオンを放出すれば、空気中の正イオンであるH+(H2O)m(mは任意の自然数)と、負イオンであるO2-(H2O)n(nは任意の自然数)とを略同等量発生させることにより、両イオンが空気中を浮遊するカビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸化ラジカル(・OH)の作用により、浮遊カビ菌などを除去することが可能となる。
【0092】
次に、上記のイオン発生装置を用いた電気機器の一例として空気清浄機の構成について説明する。
【0093】
図18は、図1〜図3に示すイオン発生装置を用いた空気清浄機の構成を概略的に示す斜視図である。また図19は、図18に示す空気清浄機にイオン発生装置を配置した様子を示す空気清浄機の分解図である。
【0094】
図18および図19を参照して、空気清浄機60は前面パネル61と本体62とを有している。本体62の後方上部には吹き出し口63が設けられており、この吹き出し口63からイオンを含む清浄な空気が室内に供給される。本体62の中心には空気取り入れ口64が形成されている。空気清浄機60の前面の空気取り入れ口64から取り込まれた空気が、図示しないフィルターを通過することで清浄化される。清浄化された空気は、ファン用ケーシング65を通じて、吹き出し口63から外部へ供給される。
【0095】
清浄化された空気の通過経路を形成するファン用ケーシング65の一部に、図1〜図3に示すイオン発生装置50が取り付けられている。イオン発生装置50は、そのイオン発生部となる孔44からイオンを上記の空気流に放出できるように配置されている。イオン発生装置50の配置の例として、空気の通過経路内であって、吹き出し口63に比較的近い位置P1、比較的遠い位置P2などの位置が考えられる。このようにイオン発生装置50のイオン発生部44に送風を通過させることにより、吹き出し口63から清浄な空気とともに外部にイオンを供給するイオン発生機能を空気清浄機60に持たせることが可能になる。
【0096】
本実施の形態の空気清浄機60によれば、イオン発生装置50で生じたイオンを送風部(空気の通過経路)により気流に乗せて送ることができるため、機外にイオンを放出することができる。
【0097】
なお本実施の形態においては電気機器の一例として空気清浄機について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電気機器は、これ以外に空気調和機(エアコンディショナー)、冷蔵機器、掃除機、加湿器、除湿機、電気ファンヒータなどであってもよく、イオンを気流に乗せて送るための送風部を有する電気機器であればよい。
【0098】
また上記においてイオン発生装置10に入力される電源(入力電源)は商用交流電源および直流電源のいずれであってもよい。入力電源が商用交流電源である場合、一次側回路である高圧トランス駆動回路30を構成する部品間やプリント基板のパターン間には法的距離をとる必要がある。また部品は電源電圧に対し耐圧確保できる部品が必要となり、大型化を招くが回路構成は簡素化でき、部品点数は少なくできる。一方、入力電源が直流電源である場合、一次側回路となる高圧トランス駆動回路30を構成する部品間やプリント基板のパターン間の距離は上記商用交流電源の場合と比べると大きく緩和され、近距離で配置でき、かつ部品自体もチップ部品などの小型品が採用でき、高密度配置が可能となるものの、高電圧駆動回路実現のための回路が複雑になり、部品点数が上記商用交流電源の場合と比べて多くなる。
【0099】
また高圧トランス20は巻線トランスおよび圧電トランスのいずれであってもよい。巻線トランスは一般的に一次巻線と二次巻線との巻数比およびインダクタンスで決まり、高電圧を発生させるには通常数千ターンの巻数を必要とするため相応の大きさが必要になる。一方、圧電トランスは実用化されているものには小型で薄型のものはあるが、原理的に一定の長さが必要となる。また、出力の負荷量に制限があることと、駆動回路が複雑であることとが難点である。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、コロナ放電により正イオンおよび負イオンの少なくともいずれかを生じさせるためのイオン発生素子、イオン発生装置および電気機器に特に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の一実施の形態におけるイオン発生装置の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図2】図1に示したイオン発生装置において蓋体を除いた状態での概略平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う概略断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う概略断面図である。
【図5】図2のR1部を矢印A方向から見た図である。
【図6】図1〜図4に示すイオン発生装置に用いられるイオン発生素子の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図7】図1〜図4に示すイオン発生装置に用いられるイオン発生素子の構成を概略的に示す平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う概略断面図である。
【図9】図8のR2部を拡大して示す拡大断面図である。
【図10】図1〜図4に示すイオン発生装置に用いられる高圧トランスの構成を概略的に示す平面図である。
【図11】高圧をトランスをケース内にモールドした様子を示す平面図である。
【図12】本発明の一実施の形態におけるイオン発生装置の機能ブロック図であり、各機能素子の電気的接続を示す図である。
【図13】高圧トランスブロックに高圧トランスの二次側のみを配置し、一次側を高圧トランス駆動回路ブロックに配置した構成を示す平面図である。
【図14】高圧トランスの一次側と二次側との間に拡径部を設けた構成を示す平面図である。
【図15】高圧トランスブロックと高圧トランス駆動回路ブロックとの間のケース底部に段差を設けた構成を示す図である。
【図16】高圧トランス駆動回路を搭載する基板をくり抜いた貫通孔内に駆動回路の素子を配置した様子を示す斜視図である。
【図17】図16のXVII−XVII線に沿う部分断面図である。
【図18】図1〜図3に示すイオン発生装置を用いた空気清浄機の構成を概略的に示す斜視図である。
【図19】図18に示す空気清浄機にイオン発生装置を配置した様子を示す空気清浄機の分解図である。
【符号の説明】
【0103】
1 誘導電極、1a 天板部、1b 貫通孔、1c 屈曲部、1d 基板挿入部、1e 基板支持部、2 放電電極、3 支持基板、3a,3b 貫通孔、4 半田、5 高圧回路、10 イオン発生素子、20 高圧トランス、21 一次巻線、22 二次巻線、23,24 端子、25 ケース、26 モールド材、27 リード線、28 拡径部、30 高圧トランス駆動回路、30a 素子、30b 電源入力コネクタ、31 基板、31a 貫通孔、32 リード線、40 外装ケース、40a 本体、40b 蓋体、40A イオン発生素子ブロック、40B 高圧トランスブロック、40C 高圧トランス駆動回路ブロック、41,42,43 壁、41a、41b 切欠部、44 イオン放出用の孔、50 イオン発生装置、60 空気清浄機、61 前面パネル、62 本体、63 吹き出し口、64 空気取り入れ口、65 ファン用ケーシング。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎

【識別番号】100085132
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 俊雄

【識別番号】100083703
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 義平

【識別番号】100096781
【弁理士】
【氏名又は名称】堀井 豊

【識別番号】100098316
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 久登

【識別番号】100109162
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 將行


【公開番号】 特開2008−16345(P2008−16345A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186925(P2006−186925)