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【発明の名称】 サージアブソーバ及びサージアブソーバの製造方法
【発明者】 【氏名】中元 隆裕

【要約】 【課題】放電空間の容積を小さくすることなく基板上への実装を容易としたサージアブソーバ及びサージアブソーバの製造方法を提供すること。

【構成】円柱状セラミックス11と、円柱状セラミックス11の表面に放電間隙12を介して対向配置された一対の放電電極13、14とを有するサージ吸収素子2と、サージ吸収素子2を封止して内部に放電空間24を形成する封止ガラス3と、放電電極13、14に固定されて封止ガラス3外に引き出される一対のリード線4、5とを備え、リード線4、5の引き出し方向が、互いに平行であると共にサージ吸収素子2の軸線に垂直である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性部材と、該絶縁性部材の表面に放電間隙を介して対向配置された一対の放電電極とを有するサージ吸収素子と、
該サージ吸収素子を封止して内部に放電空間を形成する封止ガラスと、
前記一対の放電電極に固定されて前記封止ガラス外に引き出される一対の引出電極とを備え、
該一対の引出電極の引き出し方向が、互いに平行であると共に前記サージ吸収素子の軸線に垂直であることを特徴とするサージアブソーバ。
【請求項2】
前記封止ガラスが、ガラス管と、該ガラス管の両端に設けられた一対のガラス蓋とを備えており、
前記一対の引出電極が、該一対のガラス蓋の一方から引き出されていることを特徴とする請求項1に記載のサージアブソーバ。
【請求項3】
前記封止ガラスが、筒状部と、該筒状部の両端に形成されて該筒状部に接続される基端から先端に向けて漸次その外形が小さくなる一対の収縮部とによって構成されており、
前記一対の引出電極が、該一対の収縮部の一方から引き出されていることを特徴とする請求項1に記載のサージアブソーバ。
【請求項4】
前記収縮部の先端に直線状の稜線が形成されており、
該一対の稜線が、ねじれの位置にあることを特徴とする請求項3に記載のサージアブソーバ。
【請求項5】
絶縁性部材と、該絶縁性部材の表面に放電間隙を介して対向配置されて前記絶縁性部材のそれぞれ異なる縁部まで形成された一対の放電電極とを有するサージ吸収素子を封止ガラス内に封止したサージアブソーバの製造方法において、
前記サージ吸収素子の両端に一対の引出電極を固定する固定工程と、
前記サージ吸収素子を中央に筒状部を有する封止用ガラス体内に収容して該封止用ガラス体の両端部を加熱し、該封止用ガラス体を含むガラス部材で構成された封止ガラス内に前記サージ吸収素子を封止する封止工程とを備え、
該封止工程で、前記一対の引出電極が前記封止ガラスから引き出され、
前記一対の引出電極の引き出し方向が、互いに平行であると共に前記サージ吸収素子の軸線に垂直であることを特徴とするサージアブソーバの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、サージから様々な機器を保護し、事故を未然に防ぐために使用するサージアブソーバ及びサージアブソーバの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電話機、ファクシミリ、モデムなどの通信機器用の電子機器が通信線との接続する部分、電源線、アンテナあるいはCRT駆動回路など、雷サージや静電気などの異常電圧(サージ電圧)による電撃を受けやすい部分には、この異常電圧によって電子機器やこの機器を搭載するプリント基板の熱的損傷または発火などによる破壊を防止するために、サージアブソーバが接続されている。
【0003】
従来、例えばマイクロギャップを有するサージ吸収素子を用いたサージアブソーバが提案されている。このサージアブソーバは、表面が導電性被膜で被覆されて周面にいわゆるマイクロギャップが形成された柱状のセラミックス部材とセラミックス部材の両端に設けられた一対のキャップ電極とを有するサージ吸収素子が、封止ガスと共に円筒状のガラス管内に収容され、ガラス管の両端にその軸線がサージ吸収素子の軸線と平行なリード線を有する端子電極を設けて高温加熱で封止した放電型サージアブソーバである(例えば、特許文献1参照)。
このような放電型のサージアブソーバは、一般にリード線がガラス管の両端から延出されているため、リード線を適宜の形状に曲げた状態で基板上に実装される。そこで、基板上への実装を容易にするために、中空の封止ガラス内でリード線を適宜の形状で曲げて折り返すことがある。このようなサージアブソーバでは、封止ガラス内でリード線を曲げているため、サージ吸収素子と折り返されたリード線とが近接して配置されることになるので、サージ吸収素子における放電特性を安定させるために折り返したリード線を絶縁性管で被覆している。
【特許文献1】特開平5−283141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のサージアブソーバには、以下の課題が残されている。すなわち、従来のサージアブソーバでは、折り返されたリード線に絶縁性管を設けているため、絶縁性管の占有容積に応じて封止ガラス内における放電空間が小さくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、放電空間の容積を小さくすることなく基板上への実装を容易としたサージアブソーバ及びサージアブソーバの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のサージアブソーバは、絶縁性部材と、該絶縁性部材の表面に放電間隙を介して対向配置された一対の放電電極とを有するサージ吸収素子と、該サージ吸収素子を封止して内部に放電空間を形成する封止ガラスと、前記一対の放電電極に固定されて前記封止ガラス外に引き出される一対の引出電極とを備え、該一対の引出電極の引き出し方向が、互いに平行であると共に前記サージ吸収素子の軸線に垂直であることを特徴とする。
【0007】
この発明では、引出電極を折り返すことなく引出電極間の距離を小さくすることができるので、放電空間の容積を小さくすることなく基板上への実装を容易とすることができる。
すなわち、引出電極をサージ吸収素子の両端からその軸線方向をサージ吸収素子の軸線に対して垂直となるように設けることで、一対の引出電極間の距離がサージ吸収素子と同等の距離になり、引出電極間の距離の短縮化が図れる。また、引出電極を折り返す必要がないため、引出電極を絶縁性管で被覆することがなくなる。これにより、絶縁性管によって放電空間の容積が減少することを防止して、サージアブソーバの放電特性を安定化させることができる。
【0008】
また、本発明のサージアブソーバは、前記封止ガラスが、ガラス管と、該ガラス管の両端に設けられた一対のガラス蓋とを備えており、前記一対の引出電極が、該一対のガラス蓋の一方から引き出されていることとしてもよい。
この発明では、ガラス管の両端にガラス蓋をそれぞれ設けることでガラス管の内部にサージ吸収素子を封止する。
【0009】
また、本発明のサージアブソーバは、前記封止ガラスが、筒状部と、該筒状部の両端に形成されて該筒状部に接続される基端から先端に向けて漸次その外形が小さくなる一対の収縮部とによって構成されており、前記一対の引出電極が、該一対の収縮部の一方から引き出されていることとしてもよい。
この発明では、両端に向かうにしたがってその外形を漸次収縮させることによって収縮部を形成し、筒状部の内部にサージ吸収素子を封止する。
【0010】
また、本発明のサージアブソーバは、前記収縮部の先端に直線状の稜線が形成されており、該一対の稜線が、ねじれの位置にあることが好ましい。
この発明では、一対の稜線をねじれの位置とすることで、筒状部の軸線方向に対するサージアブソーバの座屈強度を向上させることができる。
【0011】
また、本発明のサージアブソーバの製造方法は、絶縁性部材と、該絶縁性部材の表面に放電間隙を介して対向配置されて前記絶縁性部材のそれぞれ異なる縁部まで形成された一対の放電電極とを有するサージ吸収素子を封止ガラス内に封止したサージアブソーバの製造方法において、前記サージ吸収素子の両端に一対の引出電極を固定する固定工程と、前記サージ吸収素子を中央に筒状部を有する封止用ガラス体内に収容して該封止用ガラス体の両端部を加熱し、該封止用ガラス体を含むガラス部材で構成された封止ガラス内に前記サージ吸収素子を封止する封止工程とを備え、該封止工程で、前記一対の引出電極が前記封止ガラスから引き出され、前記一対の引出電極の引き出し方向が、互いに平行であると共に前記サージ吸収素子の軸線に垂直であることを特徴とする。
この発明では、上述と同様に、放電空間を小さくすることなく基板上への実装を容易化させたサージアブソーバが得られる。ここで、封止用ガラス体の両端部のみを加熱溶融してサージ吸収素子を封止しているので、サージ吸収素子の放電電極への加熱が低減される。これにより、放電電極の表面の酸化を抑制してサージアブソーバの放電特性を安定させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のサージアブソーバによれば、引出電極を折り返すことなく引出電極間の距離を短縮できるので、放電空間を小さくすることなく基板上への実装を容易とすることができる。したがって、絶縁性管によって放電空間の容積が減少することを抑制することで、サージアブソーバの放電特性を安定化させることができる。
また、本発明のサージアブソーバの製造方法によれば、封止用ガラス体の両端部のみを加熱溶融してサージ吸収素子を封止しているので、サージ吸収素子の放電電極への加熱が低減される。これにより、放電電極の表面の酸化が抑制されてサージアブソーバの放電特性を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかるサージアブソーバの第1の実施形態を、図1を参照しながら説明する。ここで、図1はサージアブソーバの断面図を示している。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0014】
本実施形態におけるサージアブソーバ1は、いわゆるマイクロギャップを使用した放電型サージアブソーバであって、図1に示すように、円柱状のサージ吸収素子2と、サージ吸収素子2を収容する封止ガラス3と、封止ガラス3の内部から外部に引き出されてサージ吸収素子2と封止ガラス3の外部との導通を図る一対のリード線(引出電極)4、5とを備えている。
サージ吸収素子2は、円柱状セラミックス(絶縁性部材)11と、円柱状セラミックス11の表面に放電間隙12を介して対向配置された一対の放電電極13、14とを備えている。
【0015】
円柱状セラミックス11は、例えばムライト焼結体などのセラミックス材料で構成されている。
放電間隙12は、円柱状セラミックス11の周囲に沿って設けられており、例えばレーザカットやダイシング、エッチングなどの加工によって形成されている。また、放電間隙12は、0.01から1.5mmの幅で1から100本形成されるが、本実施形態では、110μmのものを1本形成している。
【0016】
放電電極13、14は、放電間隙12を介して対向配置された一対のトリガ電極15、16と、円柱状セラミックス11の両端に配置されてトリガ電極15、16とそれぞれ接触する一対のキャップ電極17、18とを備えている。
放電電極13、14は、それぞれトリガ電極15、16と、キャップ電極17、18とを備えている。
トリガ電極15、16は、例えばTiN(窒化チタン)などの導電性材料で構成された薄膜であって、円柱状セラミックス11の表面に物理蒸着(PVD)法や化学蒸着(CVD)法などの薄膜形成技術によって形成し、これを放電間隙12によって分断した構成となっている。
キャップ電極17、18は、円柱状セラミックス11よりも硬度の低い、例えばステンレスなどの金属からなり、断面ほぼU字状の椀状に形成されている。そして、キャップ電極17、18は、円柱状セラミックス11の両端に係合されている。
【0017】
封止ガラス3は、ガラス管21と、ガラス管21の両端に設けられた一対のガラス蓋22、23とを備えており、ガラス管21の両端にガラス蓋22、23を固着させた構成となっている。
ガラス管21は、例えば鉛ガラスで構成されており、円筒状を有している。そして、ガラス管21の内部にサージ吸収素子2が収容されている。ここで、サージ吸収素子2は、その軸線がガラス管21の軸線に対してほぼ直交するように配置されている。
ガラス蓋22、23は、ガラス管21と同様に例えば鉛ガラスで構成されており、円板状である。そして、ガラス蓋22、23は、加熱溶融、冷却されることでそれぞれガラス管21の両端に固着されている。
また、一方のガラス蓋22には、リード線4、5をそれぞれ挿通させるための引出孔22a、22bが形成されている。そして、ガラス蓋22は、リード線4、5を引出孔22a、22bにそれぞれ挿通した状態で加熱溶融、冷却されることでリード線4、5と固着されている。
【0018】
以上より、封止ガラス3は、内部にサージ吸収素子2を収容して封止することで、内部に放電空間24が形成されている。このとき、サージ吸収素子2は、封止ガラス3のほぼ中央部に位置しており、封止ガラス3の内壁から離間して配置されている。この放電空間24には、サージ吸収素子2における放電条件を一定にしてサージアブソーバ1の放電特性を安定させるために、例えばAr(アルゴン)などの不活性ガスが封止されている。
【0019】
一対のリード線4、5は、例えば銅覆鋼線(以下、CP線と称する)で形成されており、キャップ電極17、18にそれぞれ溶接されている。ここで、リード線4、5は、サージ吸収素子2の両端から互いが同方向となるように延在していると共に、その軸線がサージ吸収素子2の軸線に対してほぼ直交している。また、リード線4、5は、上述したように、ガラス蓋22に形成された引出孔22a、22bにそれぞれ挿通されると共にガラス蓋22を加熱溶融、冷却することで固着されている。これにより、リード線4、5は、それぞれ封止ガラス3内に収容されたサージ吸収素子2と封止ガラス3の外との導通を図っている。以上より、リード線4、5の引き出し方向は、互いに平行であると共にサージ吸収素子2の軸線に垂直となっている。
【0020】
以上のように構成された本発明のサージアブソーバ1について、以下にその製造方法を説明する。ここで、図2は、サージアブソーバ1の製造工程を示す工程図である。
まず、円柱状セラミックス11の表面に、例えばTiNなどの導電性材料で構成された薄膜をPVD法やCVD法などを用いて形成する。そして、これにレーザ光の照射などによって放電間隙12を形成し、一対のトリガ電極15、16を形成する。さらに、キャップ電極17、18を、トリガ電極15、16と接触するように円柱状セラミックス11の両端に係合させる。このようにして、サージ吸収素子2を形成する。その後、このサージ吸収素子2のキャップ電極17、18に、それぞれリード線4、5を溶接する(図2(a))。
【0021】
次に、図2(b)に示すようなカーボンヒータ30を用いてサージ吸収素子2を封止ガラス3内に封止する封止工程を行う。
この封止工程で用いられるカーボンヒータ30は、図2(b)、(c)に示すように、第1ヒータ部材31と第2ヒータ部材32とを備えている。
第1ヒータ部材31には、図2(b)、(c)に示すように、その上面にガラス蓋22及びガラス管21を載置する載置用凹部33が設けられている。また、載置用凹部33の中央部には、リード線4、5を収容可能なリード線用凹部33a、33bが形成されている。このリード線用凹部33a、33bは、その間隔がサージ吸収素子2に溶接されたリード線4、5の間隔とほぼ一致している。また、リード線用凹部33a、33bの深さは、サージ吸収素子2に溶接されたリード線4、5をリード線用凹部33a、33bのそれぞれに配置してガラス管21を載置用凹部33に載置したときに、サージ吸収素子2がガラス管21の軸方向におけるほぼ中央に位置するように形成されている。
また、第2ヒータ部材32には、図2(c)に示すように、その下面にガラス管21の端部及びガラス管21の端部に配置されたガラス蓋23を覆う被覆用凹部34が設けられている。また、第2ヒータ部材32は、ガラス蓋23を保持するウエイトピン35を備えている。
【0022】
以上のような構成のカーボンヒータ30を用いて封止工程を行うには、まず、引出孔22a、22bが形成されたガラス蓋22を載置用凹部33に載置する。そして、リード線4、5が溶接されたサージ吸収素子2を、リード線4、5がそれぞれリード線用凹部33a、33b内に配置されるように第1ヒータ部材31に配置する。さらに、ガラス管21を、載置用凹部33であってガラス蓋22を囲むように配置する(図2(b))。ここで、第1ヒータ部材31は、ガラス蓋22及びガラス管21の下端部を覆っている。また、サージ吸収素子2は、ガラス管21の軸方向におけるほぼ中央に位置している。
【0023】
続いて、ガラス蓋23をガラス管21の上端に配置する。そして、第2ヒータ部材32の被覆用凹部34でガラス蓋23及びガラス管21の上端部を覆う(図2(c))。ここで、ガラス蓋23は、その上端がウエイトピン35に接触しており、このウエイトピン35によって位置決めされている。なお、カーボンヒータ30による加熱前の状態におけるガラス管21及びガラス蓋22、23によって封止用ガラス体36が構成されている。この封止用ガラス体36では、加熱溶融前のガラス管21によって筒状部が構成されている。
【0024】
このように第1及び第2ヒータ部材31、32によってガラス蓋22、23及びガラス管21の上下両端部を被覆した状態で、第1及び第2ヒータ部材31、32でこれらの加熱を行う。ガラス蓋22、23及びガラス管21は、この加熱によってガラス蓋22、23及びガラス管21の上下両端部の加熱温度がガラス転移点に達し、軟化して互いに融着する。ここで、封止用ガラス体36の上下両端部のみをカーボンヒータ30で加熱しているので、封止用ガラス体36の加熱時にサージ吸収素子2の加熱が抑制される。このため、サージ吸収素子2の放電電極13、14を構成するトリガ電極15、16やキャップ電極17、18の表面が加熱によって酸化することが抑制される。
なお、この封止工程は、例えばArなどの不活性ガス雰囲気下で行われており、ガラス蓋22、23及びガラス管21が軟化して融着することによって封止ガラス3内に形成された放電空間24にArなどの不活性ガスが封止ガスとして封止される。
【0025】
このようにガラス蓋22、23及びガラス管21が軟化して融着することで、封止ガラス3が形成される。この後、第1及び第2ヒータ部材31、32による加熱を終了し、封止ガラス3を冷却する(図2(d))。以上のようにして、サージアブソーバ1を製造する。
【0026】
以上のように構成されたサージアブソーバ1にサージがリード線4、5から侵入すると、放電間隙12を介して対向配置されたトリガ電極15、16の間で電界電子放出を行う。その後、トリガ電極15、16の間で発生する電界電子放出からキャップ電極17、18の間で発生するアーク放電に移行する。ここで、放電によって発生した電流は、トリガ電極15、16、キャップ電極17、18及びリード線4、5を流れる。このようにして、サージが吸収される。このとき、サージ吸収素子2が封止ガラス3のほぼ中央部に位置すると共に封止ガラス3の内壁から離間して配置されているため、放電によってトリガ電極15、16やキャップ電極17、18の表面からの飛散物が封止ガラス3の内周壁に付着しにくくなっている。
【0027】
このような構成のサージアブソーバ1によれば、リード線4、5を封止ガラス3内で折り返すことなくリード線4、5間の距離を短縮でき、絶縁性管によって放電空間の容積が減少することを抑制できる。これにより、放電空間24を縮小することなく基板上へのサージアブソーバ1の実装を容易とすることができる。そして、サージアブソーバ1の放電特性を安定化させることができる。
また、このようなサージアブソーバ1の製造方法によれば、封止用ガラス体35の両端部のみを加熱溶融してサージ吸収素子2を封止するので、放電電極13、14の加熱が低減される。これにより、放電電極13、14の表面の酸化が抑制されてサージアブソーバ1の放電特性を安定させることができる。
【0028】
次に、本発明にかかるサージアブソーバの第2の実施形態について、図3を参照しながら説明する。ここで、図3はサージアブソーバの断面図を示している。なお、以下の説明において、上記実施形態で説明した構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、第2の実施形態におけるサージアブソーバ40では、封止ガラス41が一体的に形成されている点である。
【0029】
すなわち、封止ガラス41は、上述と同様に例えば鉛ガラスで構成されており、筒状部42と、筒状部42の両端に形成された収縮部43、44とを備えている。
筒状部42は、円筒状であって、内部にサージ吸収素子2を収容可能となっている。
収縮部43、44は、先端に向かうにしたがってその外形が漸次小さくなるように形成されており、断面ほぼU字状の椀状となっている。また、収縮部43には、リード線4、5を挿通させるための引出孔43a、43bが形成されている。
【0030】
次に、このような構成のサージアブソーバ40の製造方法について、以下にその製造方法を説明する。ここで、図4は、サージアブソーバ40の製造工程を示す工程図である。
まず、上述した第1の実施形態と同様に、サージ吸収素子2の両端にリード線4、5を溶接する。
【0031】
次に、図4(a)、(b)に示すようなカーボンヒータ50を用いて封止工程を行う。
この封止工程で用いられるカーボンヒータ50は、図4(a)、(b)に示すように、第1ヒータ部材51と第2ヒータ部材52とを備えている。
第1ヒータ部材51には、円筒状の封止用ガラス体53の下端を載置する載置用凹部54が設けられている。この載置用凹部54は、収縮部43の外面と同様の形状を有している。そして、載置用凹部54には、リード線用凹部54a、54bが設けられている。
また、第2ヒータ部材52は、封止用ガラス体53を加熱するヒータ部55と、載置用凹部54上に載置された封止用ガラス体53の軸方向で上下に移動可能な被覆部材56とを備えている。
ヒータ部55は、封止用ガラス体53を加熱溶融して封止ガラス41を形成したときに収縮部44が位置する高さの領域を加熱する構成となっている。また、ヒータ部55の上面には、スペーサ57が設けられている。このスペーサ57は、被覆部材56の後述する当接部58と当接して被覆部材56の封止用ガラス体53の軸方向での下方向への移動を規制する構成となっている。
被覆部材56の下面には、収縮部44の外面と同様の形状を有する被覆凹部56aが形成されている。そして、被覆部材56は、封止用ガラス体53の軸方向で上下に移動することで封止用ガラス体53の上端部と当接可能な構成となっている。また、被覆部材56には、被覆部材56の上下の移動方向に対して直交する方向に突出する当接部58が設けられている。この当接部58は、スペーサ57よりも上方に設けられており、被覆部材56が下方向に移動することによってスペーサ57の上面と当接する構成となっている。
【0032】
以上のような構成のカーボンヒータ50を用いて封止工程を行うには、まず、リード線4、5が溶接されたサージ吸収素子2を、リード線4、5がそれぞれリード線用凹部54a、54b内に配置されるように第1ヒータ部材51に配置する。そして、円筒状の封止用ガラス体53を載置用凹部54に搭載する(図4(a))。
【0033】
次に、第1ヒータ部材51及び第2ヒータ部材52のヒータ部55で封止用ガラス体53を加熱しながら被覆部材56を封止用ガラス体53の軸方向に沿って下方向に移動させる。そして、被覆凹部56aを封止用ガラス体53の上端部に接触させ、さらに被覆部材56を下方向に移動させる。このとき、第1ヒータ部材51やヒータ部55によって封止用ガラス体53の上下両端部が加熱されて軟化しているため、被覆部材56を下方向に移動させて封止用ガラス体53に対してその軸方向に沿った付加を与えることで、封止用ガラス体53の上下両端部が第1ヒータ部材51の載置用凹部54の内周面や被覆部材56の被覆凹部56aの内周面に沿って変形する。ここで、封止用ガラス体53の下端部が軟化することで、リード線用凹部54a、54b内に配置されたリード線4、5を囲むように封止用ガラス体53の下端部が変形し、収縮部43の引出孔43a、43bが形成される。
なお、被覆部材56の下方向への移動は、当接部58の下面がスペーサ57の上面と当接することによって停止する。このため、封止用ガラス体53がその軸方向で過度に収縮することが回避される。
【0034】
このように封止用ガラス体53を軟化して収縮させることで、筒状部42及びその両端に形成された収縮部43、44を有する封止ガラス41が形成される。この後、第1及び第2ヒータ部材51、52による加熱を終了し、封止ガラス41を冷却する(図4(c))。以上のようにして、サージアブソーバ40を製造する。
【0035】
このように構成されたサージアブソーバ40においても、上述と同様の作用、効果を奏する。
なお、本実施形態では、収縮部43、44がそれぞれ断面U字状の椀状を有しているが、例えば図5に示すような構造のサージアブソーバ60であってもよい。ここで、図5(a)はサージアブソーバの外観斜視図、図5(b)は(a)の断面図である。
このサージアブソーバ60は、封止ガラス61が筒状部42と収縮部62、63とを有している。この収縮部62は、封止ガラス61の軸方向に対して垂直な断面の外形が先端に向かうにしたがって直線状に縮小しており、先端に稜線64が形成されている。同様に、収縮部63は、封止ガラス61の軸方向に対して垂直な断面の外径が先端に向かうにしたがって直線状に縮小しており、先端に稜線65が形成されている。この稜線64、65は、封止ガラス61の軸方向に沿った平面視において互いが直交するように重なっている。また、収縮部62には、リード線4、5を挿通させるための引出孔62a、62bが形成されている。
このような構成のサージアブソーバ60でも、上述と同様の作用、効果を奏するが、収縮部62、63のそれぞれに稜線64、65が形成されており、この稜線64、65がねじれの位置にあるので、封止ガラス61の軸方向における座屈強度が向上する。ここで、稜線64、65が封止ガラス61の軸方向に沿った平面視においてなす角は、直角に限らず、ねじれの位置にあればよい。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、封止ガラスとして鉛ガラスを用いているが、鉛ガラスに限らず、バリウムガラスやソーダガラス、ホウ珪酸ガラスなどであってもよい。
また、円柱状セラミックスや板状セラミックス、筐体に用いる材料は、Alに限らず、コランダムや、ムライト、コランダムムライト、アクリル、ベークライトなど、他の絶縁性材料であってもよい。
また、トリガ電極に用いる導電性材料は、TiNやAgに限らず、例えばAg/Pd(パラジウム)合金、SnO(酸化スズ)、Al(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、SiC(炭化シリコン)、Ba(バリウム)あるいはBa化合物、C(炭素)、Ag/Pt(白金)合金、TiC(炭化チタン)、TiCN(炭窒化チタン)などの導電性材料、もしくはこれらにCu、Agを加えた中から選択した混合物で構成してもよい。
また、サージ吸収素子が円柱状セラミックスの両端に係合された一対のキャップ電極を有しているが、サージ吸収素子とリード線との接触状態が良好に確保できれば、キャップ電極を設けずに、トリガ電極とリード線とを直接接触させる構成としてもよい。
また、キャップ電極は、円柱状セラミックスよりも硬度が低ければよく、ステンレスに限られない。
また、封止する際の雰囲気、すなわち内部の不活性ガスは、放電特性に応じて決定され、例えば、N(窒素)、He(ヘリウム)、Xe(キセノン)、H(水素)、SF、CF(四フッ化炭素)、C(六フッ化二炭素)、C(八フッ化三炭素)、CO(二酸化炭素)及びこれらにArを加えた中から選択した混合ガスでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるサージアブソーバを示す断面図である。
【図2】図1のサージアブソーバの製造工程を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態におけるサージアブソーバを示す断面図である。
【図4】図3のサージアブソーバの製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明を適用可能な、他のサージアブソーバを示す外観図及び断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1,40,60 サージアブソーバ
2 サージ吸収素子
3,41,61 封止ガラス
4,5 リード線(引出電極)
11 円柱状セラミックス(絶縁性部材)
12 放電間隙
13,14 放電電極
21 ガラス管
22,23 ガラス蓋
24 放電空間
36,53 封止用ガラス体
42 筒状部
43,44,62,63 収縮部
64,65 稜線
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子


【公開番号】 特開2008−10278(P2008−10278A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178764(P2006−178764)