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【発明の名称】 スパークプラグ
【発明者】 【氏名】堀田 信行

【氏名】大林 和重

【要約】 【課題】従来に比べて燃焼圧測定におけるノイズの発生を低減することができ、S/N比の向上により、燃焼圧測定の精度の向上を図ることのできるスパークプラグを提供する。

【構成】主体金具1は、略円筒状に形成されており、その先端側の外周面には、ねじ部7が形成され、このねじ部7より後端側の外周部には、工具係合部8が設けられている。この工具係合部8よりさらに後端側に閉塞部としての嵌合部9が設けられ、この嵌合部9に、中心電極3が嵌め込まれた絶縁碍子2が圧入され保持されている。主体金具1の工具係合部8には、圧力検出センサ配置部81が設けられ、ここに圧力検出センサ15が配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延在する中心電極と、
前記中心電極を、当該中心電極の先端部が突出して取り囲むように保持する筒状の絶縁碍子と、
内燃機関に取り付けるための工具係合部を有すると共に、前記絶縁碍子を取り囲むように保持する筒状の主体金具と、
を具備したスパークプラグであって、
前記主体金具の内周面と前記絶縁碍子の外周面を直接又は他部材により係合し、該主体金具と該絶縁碍子との間を閉塞する閉塞部を備え、前記閉塞部より先端側において、前記主体金具に設けられ、内燃機関の燃焼圧に応じて生じる前記主体金具の変形量を計測し、その変形量に基づいて前記燃焼圧を検出する圧力検出センサを備えたことを特徴とするスパークプラグ。
【請求項2】
請求項1記載のスパークプラグにおいて、
前記主体金具の前記工具係合部よりも後端側に、圧入、焼き嵌め、冷やし嵌め、ロー付けのいずれかによって前記絶縁碍子を保持する嵌合部を備え、当該嵌合部が前記閉塞部であることを特徴とするスパークプラグ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のスパークプラグにおいて、
前記主体金具は、内燃機関に取り付けた際に当該内燃機関と当接される取り付け座面を備え、該取り付け座面より後端側に前記圧力検出センサが設けられていることを特徴とするスパークプラグ。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項記載のスパークプラグにおいて、
前記圧力検出センサが前記工具係合部に配設されていることを特徴とするスパークプラグ。
【請求項5】
請求項4記載のスパークプラグにおいて、
前記工具係合部は、径方向の肉厚が他の工具係合部の部位より薄くなる圧力検出センサ配置部を備え、当該圧力検出センサ配置部の少なくとも一部に前記圧力検出センサを配置したことを特徴とするスパークプラグ。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項記載のスパークプラグにおいて、
前記圧力検出センサの前記主体金具の変形量の計測方向が、径方向であることを特徴とするスパークプラグ。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか1項記載のスパークプラグにおいて、
前記圧力検出センサの配置位置より先端側の前記主体金具内に、当該主体金具の内周面と前記絶縁碍子の外周面とに接触する放熱部品を備え、前記放熱部品は、軸方向先端側と後端側を連通する連通部を有することを特徴とするスパークプラグ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用エンジン等の内燃機関に使用されるスパークプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スパークプラグとして、中心電極と、この中心電極を保持する絶縁碍子と、先端部に接地電極が接続され機関取り付けのための工具係合部を有する主体金具とを備え、主体金具内に絶縁碍子が保持された構造のものが知られている。このようなスパークプラグでは、筒状に形成された主体金具内に絶縁碍子を挿入し、主体金具の一方の端部を加締めることによって主体金具内に絶縁碍子を保持する構造とすることが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記構造のスパークプラグでは、主体金具の加締め部を加締めて係合させるために、絶縁碍子にフランジ状の大径部を形成する必要がある。このためスパークプラグの最大径を細くすることができない。そこで、絶縁碍子を主体金具に、溶接結合、接着結合、焼き嵌め等によって保持するようにしたスパークプラグも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
上記のように主体金具と絶縁碍子とを加締めによって固定したスパークプラグでは、十分な固着強度を確保することができ、信頼性も高いが、小型化することが困難である。また、溶接結合、接着結合、焼き嵌め等によって主体金具と絶縁碍子とを固定したスパークプラグでは、小型化することは可能であるが、耐振動性や結合部分の十分な信頼性を確保することが困難であるため未だ実用化されるには至っていない。
【0005】
また、上記のように主体金具と絶縁碍子とを加締めによって固定した構造のスパークプラグでは、絶縁碍子の周囲に設けたリングに圧電素子を配置したスパークプラグも知られている(例えば、特許文献3参照。)。このスパークプラグでは、内燃機関の燃焼圧が、絶縁碍子を介してリングに伝えられ、リングに圧縮応力(歪み)が発生し、その圧縮応力を圧電素子によって検出することで、燃焼圧を検出している。
【特許文献1】特開2002−164147号公報
【特許文献2】特開2002−158078号公報
【特許文献3】特開平7−45353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術において、内燃機関の燃焼圧による絶縁碍子の変位を、リングを介して圧電素子によって検出するようにしたスパークプラグでは、内燃機関の振動によって、主体金具内に保持された絶縁碍子が揺れ等を生じるため、この内燃機関の振動が検出信号にノイズとして表れる。また、リングの軸方向への歪みに基づいて燃焼圧を検出しているので、間接的に燃焼圧を測定することになるため感度が低くなり、さらに、内燃機関のピストンの移動による軸方向の振動によるノイズが発生し易く、高いS/N比を実現して精度良く燃焼圧を検出することが困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。本発明は、従来に比べて燃焼圧測定におけるノイズの発生を低減することができ、S/N比の向上により、燃焼圧測定の精度の向上を図ることのできるスパークプラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスパークプラグは、軸線方向に延在する中心電極と、前記中心電極を、当該中心電極の先端部が突出して取り囲むように保持する筒状の絶縁碍子と、内燃機関に取り付けるための工具係合部を有すると共に、前記絶縁碍子を取り囲むように保持する筒状の主体金具と、を具備したスパークプラグであって、前記主体金具の内周面と前記絶縁碍子の外周面を直接又は他部材により係合し、該主体金具と該絶縁碍子との間を閉塞する閉塞部を備え、前記閉塞部より先端側において、前記主体金具に設けられ、内燃機関の燃焼圧に応じて生じる前記主体金具の変形量を計測し、その変形量に基づいて前記燃焼圧を検出する圧力検出センサを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明のスパークプラグでは、主体金具と絶縁碍子との間を閉塞する閉塞部より先端側、かつ、主体金具に、内燃機関の燃焼圧に応じて生じる主体金具の変形から燃焼圧を検出する圧力検出センサが設けられている。このため、主体金具の内側部分に燃焼圧が加わることによって主体金具が変形し、その変形から直接的に燃焼圧を測定することができる。また、内燃機関の振動による絶縁碍子の揺れ等に起因するノイズが加わることもない。これによって、従来に比べて燃焼圧測定におけるノイズの発生を低減することができ、S/N比の向上により、燃焼圧測定の精度の向上を図ることができる。
【0010】
本発明のスパークプラグの一態様では、主体金具の工具係合部よりも後端側に、圧入、焼き嵌め、冷やし嵌め、ロー付けのいずれかによって絶縁碍子を保持する嵌合部を設け、当該嵌合部によって閉塞部を形成することができる。このような構成とすれば、圧力検出センサを配置する部位の自由度を高めることができる。この場合、例えば、内燃機関に取り付けた際に当該内燃機関と当接される主体金具の取り付け座面よりも後端側に圧力検出センサを設けることができ、例えば、圧力検出センサを工具係合部に設けることができる。このような構成とすれば、スパークプラグを内燃機関に取り付けた際に加わる応力の影響が圧力検出センサに印加されることを防止できる。また、工具係合部には、平面部分があるので、容易に圧力検出センサを取り付けることができる。さらに、工具係合部に、径方向の肉厚が他の工具係合部の部位より薄くなる圧力検出センサ配置部を設け、この圧力センサ配置部の少なくとも一部に圧力検出センサを配置すれば、より高感度で燃焼圧を検出することができる。
【0011】
また、本発明のスパークプラグの一態様では、圧力検出センサの主体金具の変形量の計測方向を、径方向とすることができる。これによって、軸方向の変形、例えばスパークプラグを内燃機関に取り付けた時の軸力の影響を受けないので、取り付けによる初期ばらつきを小さくすることができる。更に、内燃機関運転時の振動成分(ノイズ成分)は、軸方向が主である為、軸方向に対して垂直な方向を計測することで、ノイズに強い圧力センサを得ることができる。
【0012】
また、本発明のスパークプラグの一態様では、前記圧力検出センサの配置位置より先端側の前記主体金具内に、当該主体金具の内周面と前記絶縁碍子の外周面とに接触する放熱部品を備え、前記放熱部品は、軸方向先端側と後端側を連通する連通部を有することを特徴とする。これによって、放熱性を維持しつつ、放熱部材により燃焼圧の伝搬が阻害されることを防止することができ、燃焼圧を高感度で精度良く測定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来に比べて燃焼圧測定におけるノイズの発生を低減することができ、S/N比の向上により、燃焼圧測定の精度の向上を図ることのできるスパークプラグを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスパークプラグ100の要部断面構成を拡大して示すものであり、図2は、スパークプラグ100の全体の外観を示している。スパークプラグ100は、略円筒状の主体金具1と、先端部が突出するようにその主体金具1内に嵌め込まれる略円筒状の絶縁碍子2とを備えている。図1中に点線で示すように、絶縁碍子2内の先端側の中心部分にはその軸方向に沿って銅芯入りの中心電極3が配置されており、中心電極3の先端部は絶縁碍子2から突出した状態となっている。そして、この中心電極3の先端部と対向するように、接地電極10が配置されている。この接地電極10は、一端が主体金具1に結合され、接地電極10の他端側と中心電極3との間には所定間隔の火花放電ギャップが形成されている。
【0015】
絶縁碍子2は、例えばアルミナあるいは窒化アルミニウム等のセラミック焼結体により略円筒状に構成されている。図1中に点線で示すように、絶縁碍子2の内部には自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込むための貫通孔が設けられ、その後端側に端子金具4が挿入・固定され、先端部側に中心電極3が挿入・固定されている。これらの端子金具4と中心電極3とは、絶縁碍子2の貫通孔内において抵抗体30及び導電性ガラスシール層31を介して電気的に接続されている。また、絶縁碍子2は、主体金具1より後端側で主体金具1より露出する碍子径大部21と、碍子径大部21より小径の碍子中胴部22と、碍子中胴部22より小径である碍子脚長部23とを有している。本実施形態では、碍子中胴部22は、後端側に位置し大径の後端側碍子中胴部220と、先端側に位置し小径の先端側碍子中胴部221とから構成されている。
【0016】
主体金具1は、炭素鋼やステンレス鋼等の金属、例えば、S35C、S45C、SUS430、SUS630等により円筒状に形成されており、スパークプラグ100のハウジングを構成するとともに、その先端側(図中下側)の外周面には、スパークプラグ100を図示しない内燃機関(エンジンブロック)に取り付けるためのねじ部7が形成されている。このねじ部7より後端側の外周部には、主体金具1をエンジンブロックに取り付ける際に、スパナやレンチ等の工具を係合させる工具係合部8が設けられている。そして、この工具係合部8よりさらに後端側には、嵌合部9が設けられている。
【0017】
嵌合部9は、絶縁碍子2を嵌合保持するためのものであり、本実施形態においてこの嵌合部9は、絶縁碍子2を圧入することによって、径方向に嵌合保持するようになっている。また、この嵌合部9は本発明でいう閉塞部を構成しており、嵌合部9によって、主体金具1と絶縁碍子2との間の気密保持が行われている。
【0018】
上記のように、嵌合部9を工具係合部8よりも後端側に設けることにより、工具係合部8に工具を係合させてスパークプラグ100をエンジンブロックに締め付けた際などに、嵌合部9にねじれトルクや軸力が加わることを防止でき、嵌合部9における結合部分(嵌合保持)の信頼性を向上させることができる。すなわち、スパークプラグ100のエンジンブロックへの取り付け、取り外しを繰り返して何度も行ったとしても、嵌合部9にねじれトルクや軸力が加わらないので、絶縁碍子2との結合状態に緩み等が生じることがない。また、主体金具1の後端側で絶縁碍子2を保持することにより、絶縁碍子2が振動した際の振動周波数を高めることができ、耐振動性を向上させることができる。
【0019】
また、上記のような嵌合部9を、例えばねじ部7の部分に設けたとすると、絶縁碍子2の圧入によってねじ部7が膨らみ、ねじ精度が低下する可能性があるが、本実施形態のように、工具係合部8よりも後端側に設けることにより、このような不具合が生じることを防止することができる。更に、一般に後端側に設けることで絶縁碍子2の碍子径大部21側で嵌合することができる。碍子径大部21は厚肉であるために絶縁碍子2の破壊荷重が小/中径部と比べて高く、そのため嵌合力を強めに設計しても、絶縁碍子2への負担が軽減できる。また、エンジンでの使用を考えた場合、比較的低温部となるため都合がよい。なお、図1,2において、5はスパークプラグ100を機関に取り付けた際に当該機関に当接し機関との間で気密封止面を形成する取り付け座面である。この取り付け座面5と機関の当接面との間には、例えば気密シールのためのリング状のシール部材が配置される場合がある。
【0020】
本実施形態において、工具係合部8は、図3に示すように、外径が略六角形状に構成されており、その一面に、主体金具1の基材の肉厚を他の工具係合部8より薄くした圧力検出センサ配置部80が形成されている。そして、この圧力検出センサ配置部80に、圧力検出センサ15が配置されている。なお、図1,2に示すように、圧力検出センサ15には、検出信号の取り出し等のためのシールド線16が接続されている。なお、圧力検出センサ15としては、例えば、抵抗式歪ゲージ、半導体歪ゲージ、圧電素子、クォーツ等からなり、主体金具1の歪みを検出可能なセンサを用いることができる。
【0021】
このように、主体金具1と絶縁碍子2との間を気密に閉塞する閉塞部である嵌合部9より先端側、かつ、主体金具1の外側に、内燃機関の燃焼圧に応じて生じる主体金具1の変形から燃焼圧を検出する圧力検出センサ15が設けられている。これによって、嵌合部9より先端側において、主体金具1の内部と内燃機関が連通するので、燃焼圧が直接主体金具1の内側から主体金具1を変形させ、その変形から直接的に燃焼圧を測定することができる。また、内燃機関の振動による絶縁碍子2の揺れ等に起因するノイズが加わることもない。これによって、従来に比べて燃焼圧測定におけるノイズの発生を低減することができ、S/N比の向上により、燃焼圧測定の精度の向上を図ることができる。
【0022】
なお、嵌合部9においては、上記した圧入に限らず、例えば、焼き嵌め、冷やし嵌め、ロー付けのいずれかによって絶縁碍子2を保持するとともに気密保持を行うようにしても良い。いずれの方法によって絶縁碍子2の機械的保持及び気密保持を行うかによらず、工具係合部8の後端側に閉塞部である嵌合部9を設けることにより、嵌合部9より先端側であればいずれの部位にでも圧力検出センサ15を配置することができるので、圧力検出センサ15を配置する部位の自由度を高めることができる。
【0023】
この場合、本実施形態のように、内燃機関に取り付けた際に当該内燃機関と当接され気密封止する主体金具1の取り付け座面5よりも後端側に圧力検出センサ15を設けることが好ましい。これにより、スパークプラグ100を内燃機関に取り付けた際に加わる応力の影響が圧力検出センサ15に印加されることを防止できる。
【0024】
また、本実施形態のように、圧力検出センサ15を、工具係合部8に配置すれば、工具係合部8には、平面部分があるので、容易に圧力検出センサ15を取り付けることができる。さらに、本実施形態のように、工具係合部8の一部に、主体金具1の基材の肉厚を他の工具係合部8より薄くした圧力検出センサ配置部80を配設し、ここに圧力検出センサ15を配置すれば、圧力検出センサ配置部80の燃焼圧による変形量を多くすることができるので、より高感度で燃焼圧を検出することができる。
【0025】
ところで、主体金具1と圧力検出センサ15との熱膨張率の差等によって、圧力検出センサ15を直接主体金具1に耐熱接着材、ガラス接着材、ロー付け等で固定することが困難な場合は、例えば、図4に示すように、主体金具1と圧力検出センサ15との間に、熱膨張率の緩衝材として作用する板状部材81を配置することもできる。また、このような構成とした場合、板状部材81と主体金具1との間をレーザ溶接等で溶接するとともに、板状部材81の下側に位置する主体金具1の部分に開口部82を設けて、燃焼圧が板状部材81に直接加わるようにしても良い。こうすれば、板状部材81を設けたことによる感度の低下を抑制することができる。
【0026】
本実施形態では、燃焼圧が加わると、主体金具1が径方向に膨らむように変形するので、圧力検出センサ15の主体金具1の変形量の計測方向が、軸方向に対して垂直な径方向となる。これによって、軸方向の変形、例えばスパークプラグを内燃機関に取り付けた時の軸力の影響を受けないので、取り付けによる初期ばらつきを小さくすることができる。更に内燃機関運転時の振動成分(ノイズ成分)は、軸方向が主である為、軸方向に対して垂直な方向を計測することで、ノイズに強い圧力センサを得ることができる。
【0027】
主体金具1の内周面は、絶縁碍子2の碍子径大部21と対向する大孔部11と、碍子中胴部22と対向する中孔部12と、碍子脚長部23と対向する小孔部13とを有している。また、中孔部12は、後端側碍子中胴部220と対向する大径の後端側中孔部120と、先端側碍子中胴部221と対向する小径の先端側中孔部121とから構成されている。
【0028】
図1に示すように、上記の絶縁碍子2と主体金具1との間には、これらの間に介在するように(絶縁碍子2の外周面と主体金具1の内周面に接触するように)、環状の放熱部材40,41が設けられている。これらの放熱部材40,41は、例えば主体金具1と同様な金属から構成されており、絶縁碍子2と主体金具1との間の放熱経路を形成している。これらの放熱部材40,41は、圧力検出センサ15の配置位置より軸方向先端側の主体金具1内に配設されている。このため、図5に示すように、放熱部材40,41には、燃焼ガスによる燃焼圧が主体金具1内を伝搬すること阻害しないように、軸方向先端側と後端側を連通する連通部45が設けられている。これによって、放熱性を維持しつつ、放熱部材40,41により燃焼圧の伝搬が阻害されることを防止することができ、圧力検出センサ15によって、燃焼圧を高感度で精度良く測定することができる。なお、連通部45の形状は、図5に示すものに限らず、放熱部材40,41の軸方向先端側と後端側を連通するものであれば、どのような形状のものでも良い。
【0029】
図1に示すように、絶縁碍子2の大径部21の中径部22側端部には、所定角度のテーパーが形成され、主体金具1の嵌合部9に圧入するための圧入導入部24とされている。この圧入導入部24のテーパー角度は、1〜5度程度とすることが好ましく、2〜4度程度とすることがさらに好ましい。テーパー角度を1度以上、好ましくは2度以上とする理由は、テーパー角度によって、テーパー長(圧入導入部長さ)が変化し、テーパー角度が1度未満となると、テーパー長が急激に長くなるためである。また、テーパー角度を5度以下、好ましくは4度以下とする理由は、十分な抜き後の嵌合代を確保するためである。この抜き後の嵌合代とは、一旦圧入した後引き抜いた時の絶縁碍子2の外形(D1)と圧入部9の内径(D2)との径差(D2−D1)のことを示しており、十分な嵌合強度(一定以上の抜け荷重)を得るためにはある程度大きい必要がある。
【0030】
上記のように、本実施形態では、嵌合部9に、絶縁碍子2を圧入して嵌合保持する構成となっているので、従来のように主体金具1の加締め部を係合させるための大径の部位を絶縁碍子2に設ける必要がなく、スパークプラグ100の最大径を細くすることができる。これによって、エンジンブロックに設けるスパークプラグ100取り付け用の孔の径を小さくすることができ、エンジン設計における自由度を高めることができる。なお、前記したとおり、圧入の他、焼き嵌め、冷やし嵌め、ロー付け、或いはこれらの組み合わせによって、嵌合部9に絶縁碍子2を嵌合させるようにしても良い。
【0031】
また、本実施形態のスパークプラグでは、嵌合部分の信頼性を高める、すなわち抜け荷重を高くする必要があるが、この抜け荷重を高くすればするほど、圧入荷重も高くなってしまう。このようなときには、圧入時に潤滑材を使用することで嵌合部の信頼性を高く保ったまま、圧入荷重を少なくすることができる。この場合、圧入後に熱処理を行うことで抜け荷重が増大する。これは、熱処理によって潤滑材が分解され潤滑効果がなくなるためと、嵌合部9の接触状態が熱処理前では点接触の状態にあるが、点接触部には局所的に高面圧が掛かっており、この状態に熱を与えることで主体金具材が軟化、そして塑性変形することで接触状態が点から面接触へと変化し、嵌合部9の真の接触面積が増大するための2つの効果による。このような潤滑材としては、例えばパスキンM30(商品名)、セロゾール(商品名)等を使用することができる。
【0032】
熱処理は、例えば温度300℃で15分程度行うことが好ましい。このような圧入後の熱処理を行わなかった場合、圧入荷重と抜け荷重は略同一となる。ところが、上記のような熱処理を行うことにより、例えば嵌合部直径(絶縁碍子の外径)が10mmのスパークプラグの場合に実際に測定したデータの一例を挙げれば、圧入荷重が150Kgに対して、室温での抜け荷重が610Kg、200℃での抜け荷重が520Kgとなった。また、例えば嵌合部直径(絶縁碍子の外径)が8mmのスパークプラグの場合に実際に測定したデータの一例を挙げれば、圧入荷重が157Kgに対して、室温での抜け荷重が357Kg、200℃での抜け荷重が276Kgとなった。この圧入の際は、主体金具1の取り付け座面5を支持して絶縁碍子2の圧入を行っている。主体金具1には公知の方法によって、先端に接地電極10が接合されているので(図1参照。)、この接地電極10を変形させてしまうことなく圧入を行うためには取り付け座面5を支持して圧入することが好ましい。
【0033】
さらに、前記したとおり、上記嵌合部9は、絶縁碍子2の外側との間で、必要とされる気密性が確保できるようになっている。スパークプラグ100を取り付けた状態で内部から1.55MPaの圧力が加わった場合の気密性について測定したところ、常温では漏れ量が略0ml/min、200℃で略1ml/min程度であり、一般に市販されている加締めによるスパークプラグと同等以上の気密性が確保されていることが分かった。このように、本実施形態に係るスパークプラグ100では、嵌合部9において気密性を確保するようになっているので、従来のように気密性を確保するためのシールとなるタルク粉末等の充填が必要なく、このため構造を簡易化することができる。
【0034】
上記実施形態のスパークプラグ100を内燃機関に取り付け、圧力検出センサ15の出力を測定するとともに、同じ内燃機関に取り付けた標準としての圧力計(キスラー社製)の出力と比較する試験を行ったところ、両者の出力波形が相対的に精度良く一致していることが確認できた。また、圧力検出センサ15の出力のノイズレベルも低く、高いS/N比で高精度に燃焼圧を検出できることが確認できた。
【0035】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。例えば、本実施形態に記載したL字形状の接地電極10の他、複数の接地電極を組み合わせたもの、さらには一般に沿面放電タイプと呼ばれるもののひとつである主体金具の先端部が火花放電電極を兼ねるタイプであってもよい。
【0036】
なお、本実施形態では、主体金具の工具係合部よりも後端側の部分のみを嵌合部として絶縁碍子を保持する形態を示しているが、機関にスパークプラグを取り付ける際にねじれトルクによって絶縁碍子の嵌合が外れたり緩まったりすることがない範囲で工具係合部にかかって嵌合部としてもよい。また、嵌合部において絶縁碍子と当接する部分の長さは1mm以上とすることが好ましい。しかしながら、長すぎると過剰な圧入荷重を必要としてしまうため、作製の面からは嵌合部の内径を上限とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係るスパークプラグの要部断面構成を拡大して示す図。
【図2】図1のスパークプラグの全体の外観構成を示す図。
【図3】図1のスパークプラグの要部断面構成を拡大して示す図。
【図4】図1のスパークプラグの変形例の要部断面構成を拡大して示す図。
【図5】図1のスパークプラグの放熱部材の構成を拡大して示す図。
【符号の説明】
【0038】
1……主体金具、2……絶縁碍子、3……中心電極、7……ねじ部、8……工具係合部、9……嵌合部、10……接地電極、15……圧力検出センサ、81……圧力検出センサ配置部、100……スパークプラグ。
【出願人】 【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
【出願日】 平成18年4月4日(2006.4.4)
【代理人】 【識別番号】100077849
【弁理士】
【氏名又は名称】須山 佐一


【公開番号】 特開2008−4266(P2008−4266A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−102850(P2006−102850)