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【発明の名称】 異方性導電膜及びその製造方法
【発明者】 【氏名】藤田 太郎

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性の基膜と、前記基膜の第一表面から第二表面に貫通する状態で設けられた導通部を有する異方性導電膜であって、
前記導通部は膜厚方向に弾力性を有し、前記基膜の第一表面及び第二表面の少なくとも一方から突出していることを特徴とする異方性導電膜。
【請求項2】
前記導通部が、多孔質構造であることを特徴とする、請求項1に記載の異方性導電膜。
【請求項3】
前記導通部の気孔率が20%〜80%であり、前記基膜の気孔率が10%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の異方性導電膜。
【請求項4】
前記基膜がポリテトラフルオロエチレン樹脂、アラミド樹脂又はポリイミド樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の異方性導電膜。
【請求項5】
前記導通部が、多孔質構造の樹脂表面に導電性金属が付着した構造であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の異方性導電膜。
【請求項6】
気孔率が20%〜80%である電気絶縁性の多孔質膜を厚み方向に部分的に圧縮し、前記多孔質膜の圧縮部の気孔率を10%以下とする工程、及び前記多孔質膜の非圧縮部に導電性金属を付着させて導通部を形成する工程、を有することを特徴とする異方性導電膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品の電気的検査や、電子部品と配線基板との接続等に用いることができる異方性導電膜及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICチップ、LSIチップなどの電子部品の不良品を取り除くスクリーニング手法の一つとしてバーンイン試験が行われている。バーンイン試験は電子部品の通常の動作条件よりも高温条件で加速ストレスを印加し、故障発生を加速して短時間で不良品を取り除く試験である。試験対象である電子部品をバーンインボードに配置し、高温漕中で外部から加速ストレスとなる電源電圧及び入力信号を一定時間印加した後、電子部品を外部に取り出して良品と不良品との判定試験を行う。
【0003】
例えば半導体ウェハのバーンイン試験を行う場合、半導体ウェハの表面の電極パッドと検査装置(バーンインボード)のヘッド電極との間に異方性導電膜を挟んで試験を行う。この異方性導電膜は半導体ウェハ電極の高さばらつきや検査装置のヘッド電極の高さばらつきによる接触不良を解消するために用いられるものである。
【0004】
特許文献1には、電気絶縁性の多孔質樹脂膜を基膜とし、該基膜の複数箇所に、第一表面から第二表面にかけて厚み方向に貫通する複数の貫通孔を設け、次いで、各貫通孔内壁面の樹脂部に導電性金属を付着させて導通部を形成した異方性導電膜が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の異方性導電膜は、電気絶縁性の多孔質樹脂膜の厚み方向に複数の導通部がそれぞれ独立して形成されており、膜厚方向に導通可能であるが各導通部間は導通することがない。また該導通部は、貫通孔内壁面の多孔質構造を構成する樹脂部に、無電解めっきなどにより導電性金属を付着させたものである。
【0006】
この異方性導電膜は膜厚方向に弾力性があり、低圧縮加重で膜厚方向の導通が可能である。また繰り返し荷重負荷を加えても、弾性により膜厚が復帰し、検査に繰り返し使用することが可能である。また微細な貫通孔を開けることで導通部を微細化し、ファインピッチの電子部品検査に対応可能である。
【0007】
異方性導電膜の基膜としては、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜が多く使用されている。多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜はフィブリルと該フィブリルによって互いに連結されたノードとからなる微細繊維状組織による多孔質構造により優れた弾力性を示し、また耐熱性にも優れるからである。このような多孔質構造の樹脂部に導電性金属を付着させているため、導通部の弾力性が優れている。
【0008】
【特許文献1】特開2004−265844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
半導体ウェハのバーンイン試験においては、検査対象である半導体ウェハの表面の電極パッドと異方性導電膜の導通部とを確実に接続して導通を得る必要がある。そのため異方性導電膜と被検査体を接触させた後、圧縮荷重を加えて異方性導電膜の導通部と被検査体の電極とを密着させている。
【0010】
図1は異方性導電膜5と被検査体6とを接続する前の状態を示す断面の模式図である。異方性導電膜5を被検査体6と検査装置(図示しない)との間に挟み、圧縮荷重を図の矢印の方向に加えて異方性導電膜と被検査体を密着させることで異方性導電膜の導通部1と被検査体の電極3を接触させる。従来の異方性導電膜では、導通部1と非導通部(基膜)2はほぼ同じ高さとなっている。
【0011】
接続後の状態を図2に示す。被検査体の電極3が基板4の表面より飛び出している凸形状であれば、圧縮荷重を加えた際に電極上の導通部は電極の無い部分(非導通部)に比べて大きく圧縮され、低圧縮荷重でも被検査体と導通部は良好に導通する。
【0012】
しかし被検査体形状は様々であり、電極高さが基板表面と同じ高さのものや、図3に示すように、電極3が基板4の内部に埋まり、さらに基板4の表面にレジスト層7があり電極が被検査体表面よりもへこんだ凹形状のものがある。このような被検査体と異方性導電膜とは良好な導通をとりにくい。図3に示すように、電極3と導通部1とを導通させるために電極の無い部分の異方性導電膜全体を大きく圧縮させなければならないからである。
【0013】
本発明は上記の問題に鑑み、膜厚方向の弾力性によって繰り返し検査が可能であると共に、耐熱性に優れ、さらに種々の電極形状を持つ被検査体においても低圧縮荷重で優れた接続信頼性を有する異方性導電膜、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、電気絶縁性の基膜と、前記基膜の第一表面から第二表面に貫通する状態で設けられた導通部を有する異方性導電膜であって、前記導通部は膜厚方向に弾力性を有し、前記基膜の第一表面及び第二表面の少なくとも一方から突出していることを特徴とする異方性導電膜である(請求項1)。
【0015】
図4に本発明の異方性導電膜の斜視模式図を、また図4のA−A’断面として図5に本発明の異方性導電膜の断面形状を模式的に示す。導通部9は基膜10の第一表面及び第二表面の少なくとも一方から突出するように設けられている。図6に本発明の異方性導電膜と凹形状の電極を持つ被検査体8との接続状態を示す。導通部9が基膜10の表面から突出しているため、基膜を大きく圧縮させなくても被検査体の電極と導通部とを接続することができ、低圧縮荷重で被検査体と異方性導電膜が良好に導通する。
【0016】
請求項2に記載の発明は、前記導通部が、多孔質構造であることを特徴とする請求項1に記載の異方性導電膜である。導通部が多孔質構造であるため、膜の厚み方向の導電性が向上する。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記導通部の気孔率が20%〜80%であり、前記基膜の気孔率が10%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の異方性導電膜である。導通部と基膜の気孔率にこのような差をつけることで、導通部を効率よく形成することができる。なお気孔率とは多孔質体の総体積に対する全ての気孔の体積の割合をいい、ASTM D−792に従って基膜の密度を測定することで求めることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記基膜がポリテトラフルオロエチレン樹脂、アラミド樹脂又はポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の異方性導電膜である。これらの樹脂は耐熱性が高く、また電気絶縁性、耐薬品性にも優れるためである。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記導通部が、多孔質構造の樹脂表面に導電性金属が付着した構造であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の異方性導電膜である。多孔質構造の樹脂表面に導電性金属が付着しているため、導電性金属の表面積が大きくなり、異方性導電膜の導電性が向上する。また異方性導電膜を電子部品の電気的検査に用いる場合、導電部全体が大きく変形しても局所的には導電性金属の変形量は小さくて済み、繰り返し使用しても導電性金属が脱落しにくい導通部を形成することができる。図7に多孔質樹脂11の表面に導電性金属12が付着した状態の断面模式図を示す。
【0020】
請求項6に記載の発明は、気孔率が20%〜80%である電気絶縁性の多孔質膜を厚み方向に部分的に圧縮し、前記多孔質膜の圧縮部の気孔率を10%以下とする工程、及び前記多孔質膜の非圧縮部に導電性金属を付着させて導通部を形成する工程、を有することを特徴とする異方性導電膜の製造方法である。請求項6に記載の方法では、電気絶縁性の多孔質膜を部分的に圧縮して気孔率の高い部分と低い部分を形成する。金属は気孔率の高い部分にのみ選択的に付与するため、気孔率の高い非圧縮部のみに導電性金属を付着させやすくなる。その結果、気孔率が低く金属の付着していない非導通部と気孔率が高く金属が付着した導通部とを有する異方性導電膜を効率よく形成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、膜厚方向の弾力性によって繰り返し検査が可能であると共に、耐熱性に優れ、さらに非検査体の電極形状が凹形状であっても優れた接続信頼性を有する異方性導電膜及びその製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の基膜を構成する材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(EFTE)などのフッ素樹脂、及びポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、変性ポリフェニレンエーテル(mPPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、アラミド樹脂、などを使用することができる。これらの中でも弾力性が高く、耐熱性に優れるポリテトラエチレン樹脂、アラミド樹脂又はポリイミド樹脂が好ましい。これらの樹脂は一種で使用しても良いし、複数の樹脂を組み合わせても良い。
【0023】
本発明の基膜は、上記の樹脂を構成材料とする多孔質膜又は無孔質膜を使用することができる。後述するように、多孔質膜の一部を膜の厚み方向に圧縮して元の多孔質膜よりも気孔率を下げたものを基膜とすることが好ましい。更に、導通部の気孔率を20〜80%として、基膜の気孔率を10%以下とすると導通部を効率よく形成することができ更に好ましい。
【0024】
多孔質膜の気孔率は20〜80%であることが好ましい。また平均孔径は10μm以下であることが好ましく、導通部のファインピッチ化の観点からは、平均孔径が1μm以下であることがより好ましい。
【0025】
多孔質膜の中でも、特に延伸法により得られた延伸多孔質PTFE膜は、弾性、耐熱性、加工性、機械的特性、誘電特性、低アウトガス特性などに優れ、しかも均一な孔径分布を持つため好ましい。図8は延伸多孔質PTFE膜の内部構造を示す断面写真の一例である。図8に示すように、延伸多孔質PTFE膜は、非常に細かいフィブリル13と、該フィブリルによって互いに連結されたノード14からなる微細組織を有しており、この微細網目状構造が多孔質構造を形成している。
【0026】
延伸多孔質PTFE膜は例えば特公昭42−13560号公報に記載の方法により製造することができる。まずPTFEの未焼結粉末に液体潤滑剤を混合し、ラム押し出しによってチューブ状または板状に押し出す。厚みの薄いフィルムまたはシートが所望の場合は圧延ロールによって板状体の圧延を行う。押出圧延工程の後、必要に応じて押出品または圧延品から液体潤滑剤を除去する。こうして得られた押出品または圧延品を一軸方向に延伸すると、未焼結の延伸多孔質PTFE膜が膜状で得られる。未焼結の延伸多孔質PTFE膜を、収縮が起こらないように固定しながらPTFEの融点である327℃以上の温度に加熱して、延伸した構造を焼結・固定すると、強度の高い延伸多孔質PTFE膜が得られる。延伸多孔質PTFE膜がチューブ状である場合には、チューブを切り開くことにより平らな膜にすることができる。得られた延伸多孔質PTFE膜をそのまま、又は一部を膜の厚み方向に圧縮して基膜とする。
【0027】
また本発明の基膜として、上記のPTFE樹脂膜と、別の樹脂膜とを組み合わせたものも使用できる。アラミド樹脂のようにPTFE樹脂よりも熱膨張係数の低い樹脂を第二の樹脂層としてPTFE樹脂と組み合わせると、異方性導電膜全体の熱膨張係数を低くすることができ、高温雰囲気下での試験に置いても優れた接続信頼性が得られる。PTFE樹脂層と第二の樹脂層との接着方法は特に限定されないが、第一の樹脂層と第二の樹脂層を積層し、樹脂の融点以上の温度で加熱、圧着して熱融着することが好ましい。
【0028】
基膜の厚みは使用目的や使用箇所等に応じて適宜選択することができるが、好ましくは5〜2000μm、より好ましくは10〜1500μm、特に好ましくは20〜1000μmである。
【0029】
次に導通部について説明する。本発明の導通部は、前記基膜の第一表面から第二表面に貫通する状態で設けられている。また前記導通部は膜厚方向に弾力性を有し、前記基膜の第一表面及び第二表面の少なくとも一方から突出している。導通部をこのような形状とすることで、被検査体の電極が被検査体の表面と同じ高さであったり、被検査体表面よりもへこんだ凹形状の電極であっても低圧縮荷重で被検査体と導通部が良好に導通する異方性導電膜が得られる。
【0030】
導通部は膜厚方向に弾力性を有するものであればその構造は限定されないが、多孔質構造の樹脂表面に導電性金属が付着した構造とすると、導通部の弾力性が高くなり、また導電性金属の付着量が多くなることで異方性導電膜の導電性が向上し、好ましい。多孔質構造の樹脂表面に導電性金属を付着させる方法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、無電解めっき法などが挙げられるが、効率良く導電性金属を析出させて付着させるには無電解めっき法が好ましい。
【0031】
導電性金属の付着量を適度に制御することによって、導通部での多孔質構造を保持することができる。本発明の異方性導電膜では、導電性金属が多孔質構造の樹脂部の表面に沿って付着しているため、導電性金属層が多孔質構造と一体となって多孔質構造となっており、その結果導通部は多孔質構造となる。そのため、例えば基膜中に導電性金属の塊を埋め込んだ導通部に比べて弾力性が高く、電極検査において圧縮荷重を繰り返し加えても弾性回復し、繰り返し使用可能となる。導通部は基膜の任意の位置に設けることができ、規則的な配列で設けても良いし、検査対象となる電気部品の電極位置と対応させた部分に設けることもできる。
【0032】
導通部を形成するには、まず導電性金属を付着する位置を特定する必要がある。導電性金属を付着させる位置を特定する方法としては、たとえば多孔質の基膜に液体レジストを含浸させてパターン状に露光し、現像してレジスト除去部を導電性金属の付着位置とする方法がある。また多孔質の基膜の特定位置の膜厚方向に貫通孔を形成して、該貫通孔の壁面を導電性金属の付着位置とすることもできる。前者の方法では基膜の表面のみから導通部を形成するため、導通部の径が小さいと、例えば無電解めっきのように液相処理を行う場合には、処理液が膜の内部まで浸漬し難い。これに対し後者の方法では貫通孔の壁面から処理液を浸漬させることができるため、導通部の径が小さくなっても効率よく導通部を形成でき、ファインピッチ対応可能な異方性導電膜の作成に適している。
【0033】
また導通部を形成する方法として、電気絶縁性の多孔質膜を厚み方向に部分的に圧縮し、前記多孔質膜の圧縮部の気孔率を10%以下とした後に、多孔質膜の非圧縮部に導電性金属を付着させる方法が挙げられる。
【0034】
無電解めっきのように液相処理によって導電性金属を付着させる場合、処理液は気孔率の高い部分には早く浸透するが、気孔率の低い部分には浸透し難い。多孔質膜を部分的に圧縮すると、気孔率の低い圧縮部には導電性金属が付着せず、気孔率の高い非圧縮部のみに導電性金属を付着させることができる。圧縮部への導電性金属の付着を防止するには、圧縮部の気孔率を10%以下とすることが必要である。この製造方法では、液体レジストの塗布や、貫通孔の形成等の工程が不必要であり、より簡単な工程で導通部を形成できる。
【0035】
導通部の形状は円形、星形、多角形など任意である。また導通部の大きさは検査対象となる電極の形状に合わせて任意に選択することができる。導通部の形状が円形であれば、小径の導通部の場合には通常5〜1000μm、好ましくは10〜100μmとする。また比較的大径の導通部の場合には孔径を50〜3000μm、好ましくは100〜1500μmとする。
【0036】
電気絶縁性の多孔質膜の非圧縮部の樹脂表面に導電性金属を析出させて付着させるには無電解めっき法が好ましい。無電解めっき法では、通常、めっきを析出させたい箇所に化学還元反応を促進する触媒を付与する必要がある。触媒としては、塩化スズ−塩化パラジウムコロイド溶液等を用いることができる。また触媒を付与する前に、エタノールや界面活性剤等で基膜を前処理しておくことが好ましい。
【0037】
触媒を付与した後、無電解めっき法により樹脂表面に導電性金属を析出させ、導通部を形成する。無電解めっき時間を制御することにより適度なめっき量とし、多孔質膜の弾力性を保持したまま導電性を与えることが可能となる。導電性金属としては銅、ニッケル、ニッケル合金、金などが挙げられる。特に高導電性が必要な場合は金又は銅を使用することが好ましい。
【0038】
また導通部は、酸化防止及び電気的接触性を高めるため、酸化防止剤を使用するか、貴金属または貴金属の合金で被覆しておくことが好ましい。貴金属としては、電気抵抗の小さい点でパラジウム、ロジウム、金が好ましい。貴金属等の被覆層の厚さは0.005〜0.5μmが好ましく、さらに好ましい範囲は0.01〜0.1μmである。
【0039】
多孔質の基膜の特定位置の膜厚方向に貫通孔を形成して、該貫通孔の壁面を導電性金属の付着位置とする方法においては、上記の触媒液や無電解めっき液は基膜表面からも浸透するため、あらかじめ基膜の両面又は片面にマスク層を融着させた後に触媒を付与し、その後マスク層を剥離して無電解めっき処理を行う。また貫通孔の径が小さくファインピッチ対応可能な異方性導電膜とするためには、貫通孔の壁面のみに導電性金属を付着させるために触媒液の処理時間や前処理液の処理時間を厳密にコントロールする必要がある。
【0040】
これに対し、電気絶縁性の多孔質膜を厚み方向に部分的に圧縮し、前記多孔質膜の圧縮部の気孔率10%以下とした後に多孔質膜の非圧縮部に導電性金属を付着させる方法では、非圧縮部と圧縮部の気孔率の違いによって導電性金属が非圧縮部に選択的に付着するためマスク層は不要であり、また前処理液や触媒液の処理時間もそれほど厳密にコントロールする必要がない。マスク層やレジストを併用して導電性金属を付着させても良く、この場合は圧縮部の気孔率が比較的高くても導通部のみに選択的に導電性金属を付着させることができ、異方性導電膜全体の弾力性を向上できる。
【0041】
次に図面を参照しながら本発明の異方性導電膜の製造例を具体的に説明する。
【0042】
図9は本発明の異方性導電膜の製造工程を示すものであり、延伸多孔質PTFE膜をプレス加工する前の状態の断面模式図である。延伸多孔質PTFE膜15(孔径0.1μm、気孔率(ASTM D−792)50%、膜厚120μm、10cm×10cm)を2枚の金型16の間に挟んでプレスする。図10はプレス加工後の延伸多孔質PTFE膜の断面の模式図である。プレス加工することで、延伸多孔質PTFE膜に圧縮部17と非圧縮部18が設けられる。圧縮部の気孔率は7.7%(ASTM D−792)、膜厚は65μmとする。圧縮部は異方性導電膜の基膜となる。
【0043】
プレス加工した延伸多孔質PTFE膜をエタノールに1分間浸漬して親水化した後、100ml/Lに希釈したメルテックス(株)製メルプレートPC−321に60℃で4分間浸漬し脱脂処理を行う。さらに積層体を10%硫酸に1分間浸漬した後、プレディップとして0.8%塩酸にメルテックス(株)製エンプレートPC−236を180g/Lの割合で溶解した液に2分間浸漬する。
【0044】
さらに触媒付与液(メルテックス(株)製エンプレートアクチベータ444を3%、エンプレートアクチベータアディティブを1%、塩酸を3%溶解した水溶液にメルテックス(株)製エンプレートPC−236を150g/Lの割合で溶解した液)に5分間浸漬する。次にメルテックス(株)製エンプレートPA−360の5%溶液に5分間浸漬し、パラジウム触媒核の活性化を行い、非圧縮部全体に触媒パラジウム粒子を付着させる。
【0045】
メルテックス(株)製メルプレートCu−3000A、メルプレートCu−3000B、メルプレートCu−3000C、メルプレートCu−3000Dをそれぞれ5%、メルプレート3000−スタビライザーを0.1%で建浴した無電解銅めっき液に、エアー攪拌を行いながら上記処理を施した延伸多孔質PTFE膜膜を20分間浸漬して、非圧縮部のみに銅粒子を析出させる。さらに、5ml/Lで建浴したメルテックス(株)製エンテックCu−56に30秒間浸漬して防錆処理することで異方性導電膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】凸形状の電極を持つ非検査体と、従来の異方性導電膜とを接続する前の状態を示す断面の模式図である。
【図2】凸形状の電極を持つ非検査体と、従来の異方性導電膜との接続状態を示す断面の模式図である。
【図3】凹形状の電極を持つ非検査体と、従来の異方性導電膜との接続状態を示す断面の模式図である。
【図4】本発明の異方性導電膜の斜視図である。
【図5】本発明の異方性導電膜のAA’断面の模式図である。
【図6】凹形状の電極を持つ非検査体と、本発明の異方性導電膜との接続状態を示す断面の模式図である。
【図7】多孔質樹脂表面に導電性金属が付着した状態の断面模式図である。
【図8】延伸多孔質PTFE膜の内部構造を示す断面写真である。
【図9】本発明の異方性導電膜の製造工程を示すものであり、延伸多孔質PTFE膜を金型でプレス加工する前の状態の断面模式図である。
【図10】本発明の異方性導電膜の製造工程を示すものであり、プレス加工した延伸多孔質PTFE膜の断面模式図である。
【符号の説明】
【0047】
1 導通部
2 非導通部
3 被検査体の電極
4 被検査体の基板
5 異方性導電膜
6 被検査体
7 レジスト
8 被検査体
9 導通部
10 基膜
11 多孔質樹脂
12 導電性金属
13 フィブリル
14 ノード
15 延伸多孔質PTFE膜
16 金型
17 圧縮部
18 非圧縮部

特許の図
【出願人】 【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】 【識別番号】100102691
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 稔

【識別番号】100112117
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 幹雄

【識別番号】100116366
【弁理士】
【氏名又は名称】二島 英明


【公開番号】 特開2008−41592(P2008−41592A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−217918(P2006−217918)