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【発明の名称】 荷電粒子ビーム描画方法および装置
【発明者】 【氏名】山 崎 仁 嗣

【要約】 【課題】斜め線状パターンを高精度に描画する。

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定時間毎に一定のピッチで階段状に変化するX方向走査信号をX方向偏向器に、前記と同じ一定時間毎に一定のピッチで階段状に変化するY方向走査信号をY方向偏向器にそれぞれ供給することにより、被描画材料上を荷電粒子ビームで走査して被描画材料上に斜め線状パターンを描く様にした荷電粒子ビーム描画方法において、描画すべき斜め線状パターンのX方向若しくはY方向に対する角度に基づいて前記各走査信号の前記一定時間の長さを変える様にした荷電粒子ビーム描画方法。
【請求項2】
X方向に平行な線状パターンを描く時の前記一定時間をToとし、描画すべき斜め線状パターンのX方向に対する角度をθとした場合、前記各走査信号の前記一定時間の長さをTo/cosθとした請求項1記載の荷電粒子ビーム描画方法。
【請求項3】
Y方向に平行な線状パターンを描く時の前記一定時間をToとし、描画すべき斜め線状パターンのY方向に対する角度をθとした場合、前記各走査信号の前記一定時間の長さをTo/cosθとした請求項1記載の荷電粒子ビーム描画方法。
【請求項4】
荷電粒子ビーム発生手段、該荷電粒子ビーム発生手段からの荷電粒子ビームを被描画材料上に集束する集束レンズ、走査信号発生手段から一定時間毎に一定のピッチで階段状に変化するX方向走査信号が供給されるX方向偏向器、及び、前記と同じ一定時間毎に一定のピッチで階段状に変化するY方向走査信号が供給されるY方向偏向器を備えた荷電粒子ビーム描画装置において、描画すべき斜め線状パターンのX方向若しくはY方向に対する角度に基づいて前記一定時間の長さが変えられた前記X方向走査信号、Y方向走査信号を、それぞれ、前記X方向偏向器、Y方向偏向器に供給する様に成した荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項5】
X方向に平行な線状パターンを描く時の前記一定時間をToとし、描画すべき斜め線状パターンのX方向に対する角度をθとした場合、前記各走査信号の前記一定時間の長さをTo/cosθとした請求項4記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項6】
Y方向に平行な線状パターンを描く時の前記一定時間をToとし、描画すべき斜め線状パターンのY方向に対する角度をθとした場合、前記各走査信号の前記一定時間の長さをTo/cosθとした請求項4記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、斜め線状パターンの描画精度を向上させる荷電粒子ビーム描画方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ビーム描画装置は、被描画材料上の所定の位置に電子ビームを照射することにより該被描画材料面上の所定の位置に所定のパターンを描く装置である。この様な電子ビーム描画装置で使用されている描画方式の1つにスポットビーム描画方式がある。この描画方式は、断面をスポット状に細く絞った電子ビームで被描画材料上の各所定領域内を走査することにより、被描画材料上に所定のパターンを描画する方式である。
【0003】
図1はこの様なスポットビーム描画方式を使用した電子ビーム描画装置の1概略例を示したものである。
【0004】
図中1は電子銃、2,3は、それそれ、前記電子銃1からの電子ビームを被描画材料4上に集束するための集束レンズ、対物レンズである。
【0005】
5X,5Yは、前記電子銃1からの電子ビームで前記被描画材料4上を、それぞれX,Y方向に走査させるためのX方向偏向器,Y方向偏向器である。
【0006】
6は描画すべき各パターンの位置、X,Y方向の寸法等に関する描画パターンデータが記憶されているデータメモリ、7は該データメモリから描画パターンデータを読み出し、該読み出した描画パターンデータと走査信号生成指令を走査信号生成回路8に送る制御装置である。
【0007】
尚、9X,9YはD/A変換器、10X,10Yは増幅器である。
【0008】
この様な構成の電子ビーム描画装置において、電子銃1からの電子ビームは集束レンズ2及び対物レンズ3により被描画材料4上にスポット状に集束される。
【0009】
この際、制御装置7はデータメモリ6から各パターンデータを順次読み出し、走査信号生成指令と共に、これらのパターンデータを順次走査信号生成回路8に送る。
【0010】
該走査信号生成回路8は、順次、各パターンを描くためのX,Y方向走査信号を生成し、X方向走査信号をD/A変換器9X,増幅器10Xを介してX方向偏向器5Xへ、Y方向走査信号をD/A変換器9Y,増幅器10Yを介してY方向偏向器5Yへ供給する。
【0011】
前記X方向偏向器5X、Y方向偏向器5Yは、それぞれ、送られてきたX方向走査信号、Y方向走査信号に基づいて前記電子ビームで被描画材料4上を走査させるので、該被描画材料4上の各所定位置に、各所定のパターンが描かれる。
【0012】
さて、描画すべきパターンの中に、電子ビームによるライン走査のみで描かれるパターン、いわゆる線状パターンがある。例えば、X軸に平行な線状パターンを描く場合、図2の(a)のAに示す如きX方向走査信号とBに示す如きY方向走査信号が前記走査信号生成回路8により生成される。尚、図2において、縦軸は電子ビームの偏向量で、横軸は時間を示している。
【0013】
前記X方向走査信号Aは、一定時間毎に一定のピッチで変化する階段状の波形の信号であり、Y方向走査信号Bは時間に対して一定の波形の信号である。
【0014】
この様なX方向走査信号を前記X方向偏向器5Xに、Y方向走査信号を前記Y方向偏向器5Yにそれぞれ供給すると、前記被描画材料4上でスポット状電子ビームの照射点Bsが一定時間毎に一定の距離Lo(例えば、電子ビームスポット径の1/2)ずつX方向に移動する(図3の(a))ので、前記被描画材料4上にX軸に平行な線状パターンが描かれる。
【0015】
尚、Y軸に平行な線状パターンを描く場合には、時間に対して一定の波形の
X方向走査信号を前記X方向偏向器5Xに、一定時間毎に一定のピッチで変化する階段状の波形のY方向走査信号を前記Y方向偏向器5Yにそれぞれ供給する。
【0016】
【特許文献1】特開平9−245717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
所で、X軸やY軸に平行ではない線状パターン、いわゆる斜め線状パターンを描く場合には、図2の(b)のCに示す如き一定時間毎に一定のピッチで変化する階段状の波形のX方向走査信号と、Dに示す如き前記と同じ一定時間毎に一定のピッチで変化する階段状の波形Y方向走査信号を前記走査信号生成回路8で生成し、それぞれ、X方向偏向器5X、Y方向偏向器5Yに供給する。この結果、図3(b)に示す様に、前記被描画材料4上でスポット状電子ビームの照射点Bsが一定時間毎に一定の距離(Lp)ずつX軸に対して一定角度(例えば、θ)を成して移動し、該移動により斜め線状パターンが前記被描画材料4上に描かれる。
【0018】
さて、前記X軸或いはY軸に平行な線状パターン(平行線状パターンと称す)を描く場合には、前記した様に、スポット状電子ビーム照射点Bsが一定時間毎に一定距離Lo(例えば、電子ビームスポット径の1/2)ずつ移動するので、隣同士のスポット状電子ビームの照射点BsがQoに示す様に、部分的に重なる。
【0019】
しかし、斜め線状パターンを描く場合には、スポット状電子ビームの照射点Bsの一定時間毎の移動距離Lpは、前記平行線状パターン描画時の移動距離Loの1/cosθとなる。│θ│を0度と45度の間と考えると、前記移動距離LpはLoより長くなる。そのため、斜め線状パターンを描く時のスポット状電子ビームの照射点Bsの重なりは、図3の(b)のQpに示す様に、前記平行線状パターンを描く場合の重なり(Qo)より小さくなり、その差分だけ露光不足が発生する。
【0020】
この結果、斜め線パターンの描画においては精度低下を避ける事が出来なかった。
【0021】
本発明は、この様な問題を解決する事を目的としてなされたもので、新規な荷電粒子ビーム描画方法及び装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の荷電粒子ビーム描画方法は、一定時間毎に一定のピッチで階段状に変化するX方向走査信号をX方向偏向器に、前記と同じ一定時間毎に一定のピッチで階段状に変化するY方向走査信号をY方向偏向器にそれぞれ供給することにより、被描画材料上を荷電粒子ビームで走査して被描画材料上に斜め線状パターンを描く様にした荷電粒子ビーム描画方法において、描画すべき斜め線状パターンのX方向若しくはY方向に対する角度に基づいて前記各走査信号の前記一定時間の長さを変える様にしたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の荷電粒子ビーム描画装置は、荷電粒子ビーム発生手段、該荷電粒子ビーム発生手段からの荷電粒子ビームを被描画材料上に集束する集束レンズ、走査信号発生手段から一定時間毎に一定のピッチで階段状に変化するX方向走査信号が供給されるX方向偏向器、及び、前記と同じ一定時間毎に一定のピッチで階段状に変化するY方向走査信号が供給されるY方向偏向器を備えた荷電粒子ビーム描画装置において、描画すべき斜め線状パターンのX方向若しくはY方向に対する角度に基づいて前記一定時間の長さが変えられた前記X方向走査信号、Y方向走査信号を、それぞれ、前記X方向偏向器、Y方向偏向器に供給する様に成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、描画すべき斜め線状パターンのX方向若しくはY方向に対する角度に基づいて各走査信号の各一定時間の長さを変える事により、スポット状電子ビームの1位置での照射時間、即ち1ショット時間を長くする様にしたので、スポット状電子ビーム照射点の重なり部分での露光不足が補われる。その結果、斜め線パターンの描画精度が高精度に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
図4は本発明の電子ビーム描画装置の一概略例を示している。尚、図中前記図1にて使用した記号と同一記号を付したものは同一構成要素を示す。
【0027】
図中21は制御装置7の指令に従って1ショット時間を演算するショット時間算定ユニット、22は制御装置7に直結し、データメモリ6からの描画パターンデータを一旦記憶するメモリである。
【0028】
この様な構成の電子ビーム描画装置により斜め線状パターンを描く場合について説明する。
【0029】
電子銃1からの電子ビームは集束レンズ2及び対物レンズ3により被描画材料4上にスポット状に集束される。
【0030】
この際、キーボードの如き入力装置(図示せず)からの入力に従って制御装置7はデータメモリ6から斜め線状パターン描画データを読み出し、メモリ22に一旦記憶させる。
【0031】
この斜め線状パターン描画データには、斜め線状パターンの位置、縦・横寸法(平行線状パターンのX方向寸法、Y方向寸法に相当する)、及び角度データ等から成る。
【0032】
これらのデータの内、角度データは、被描画材料4の面上に設定された直交座標軸のX軸(Y軸)に対する角度θを表すデータで、角度θは、0°<│θ│<45°の範囲にある。
【0033】
次に、前記制御装置7は前記メモリ22から斜め線状パターン描画データの角度データを読み出してショット時間算定ユニット21に供給すると同時に、該ショット時間算定ユニット21にショット時間の算定の指令を供給する。
【0034】
該ショット時間算定ユニットは、前記斜め線状パターンデータの角度データに基づき、次の演算式(1)によって、スポット状電子ビームの1位置での照射時間(以後、1ショット時間と称す)Tsを算出する。
【0035】
Ts=To/cosθ (1)
尚、Toは平行線状パターンを描く時の1ショット時間である。
【0036】
次に、制御装置7は、前記ショット時間算定ユニット21で算出された斜め線状パターンの1ショット時間Tsと前記斜め線状パターンデータ(斜め線状パターンの位置、縦・横寸法のデータ)を走査信号生成指令と共に、走査信号生成回路8に送る。
【0037】
該走査信号発生回路8は、前記1ショット時間Tsと前記斜め線状パターンデータ(斜め線状パターンの位置、縦・横寸法のデータ)とに基づいて、図5(a)のE,Fに示す如き、一定時間毎に一定のピッチで変化する階段状の波形のX方向走査信号とY方向走査信号を生成する。
【0038】
これらのX方向走査信号EとY方向走査信号Fの1ステップ時間幅は、従来の走査信号の1ステップ時間幅が図5(b)の(イ)に示す様にToに対応していたのに対し、(ロ)に示す様にTo/cosθに対応している。
【0039】
この様な1ステップ時間幅を有するX方向走査信号E、Y方向走査信号Fが、それぞれ、D/A変換器9X及び増幅器10X,D/A変換器9Y及び増幅器10Yを介してX方向偏向器5X、Y方向偏向器5Yに供給されると、前記被描画材料4上でスポット状電子ビームの照射点が、前記To/cosθに対応した1ショット時間毎に一定の距離(Lp)ずつX軸に対して一定角度θを成して移動し、該移動により斜め線状パターンが前記被描画材料4上に描かれる。
【0040】
この際、スポット状電子ビームの照射点Bsの一定時間毎の移動距離Lpは、前記平行線状パターン描画時の移動距離Loの1/cosθと長くなり、スポット状電子ビームの照射点Bsの重なりが平行線状パターンを描く場合より小さくなるが、その差分に対応して1ショット時間が長くなっているので、前記照射点Bsの重なり部分での露光不足が補われる。
【0041】
この結果、斜め線パターンの描画においては精度低下無く、高精度な描画が可能となる。
【0042】
尚、前記ショット時間算定ユニット21を前記走査信号生成回路8に組み込み、ここで、1ショット時間の算出て、該1ショット時間に基づく走査信号を作成するようにしても良い。
【0043】
又、ショット時間算定ユニットを設けず、予め、斜め線状パターンの角度データに基づいて1ショット時間を求めておき、例えば、前記メモリ22に事前に記憶させておいても良い。
【0044】
尚、前記例では電子ビーム描画装置を例に挙げて説明したが、イオンビームを用いた描画装置にも適応可能である。

【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】従来の電子ビーム描画装置の一例を示している。
【図2】従来の走査信号の波形の一例を示している
【図3】線状パターンの描画の説明に使用した図である。
【図4】本発明の荷電粒子ビーム装置の一例として示した電子ビーム描画装置の1概略図である。
【図5】本発明の走査信号波形の一例を示している。
【符号の説明】
【0046】
1…電子銃
2…集束レンズ
3…対物レンズ
4…被描画材料
5X…X方向偏向器
5Y…方向偏向器
6…データメモリ
7…制御装置
8…走査信号生成回路
9X,9Y…D/A変換器
10X,10Y…増幅器
21…ショット時間算定ユニット
22…メモリ
61…斜め線図形の角度情報
51…メモリ
100…ショット時間算定部

特許の図
【出願人】 【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−4573(P2008−4573A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169508(P2006−169508)