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【発明の名称】 チップ部品およびその製造方法
【発明者】 【氏名】木下 泰治

【氏名】星徳 聖治

【要約】 【課題】本発明は、上面電極と導体の合金化反応による抵抗値の上昇の影響を受けることなく、安定した低い抵抗値が得られるチップ部品を提供する。

【解決手段】絶縁基板11の上面の両端部に形成された金を主成分とする一対の上面電極12と、この一対の上面電極12に電気的に接続されるように形成された銀を主成分とする導体13と、この導体13を覆う保護膜14と、上面電極12と電気的に接続されるように絶縁基板11の裏面および端面に形成された端面電極15と、一対の上面電極12と導体13および端面電極15に電気的に接続されるめっき層17,18とを備え、導体13の一部が一対の上面電極12の幅方向両端部よりも外側に位置するように導体13を一対の上面電極12に電気的に接続し、かつ保護膜14が導体13の一部のみを覆う構成とすることにより、導体13における一対の上面電極12と重ならない部分を露出させるように構成したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板の上面の両端部に形成された金を主成分とする一対の上面電極と、この一対の上面電極に電気的に接続されるように形成された銀を主成分とする導体と、この導体を覆う保護膜と、前記一対の上面電極と電気的に接続されるように前記絶縁基板の裏面および端面に形成された端面電極と、前記上面電極と導体および端面電極に電気的に接続されるように形成されためっき層とを備え、前記導体の一部が前記一対の上面電極の幅方向両端部よりも外側に位置するように前記導体を一対の上面電極に電気的に接続し、かつ前記保護膜は前記導体の一部のみを覆う構成とすることにより、前記導体における上面電極と重ならない部分を露出させるように構成したチップ部品。
【請求項2】
上面電極と導体および端面電極に電気的に接続されるように補助上面電極をスパッタで形成し、かつ保護膜をガラスで形成した請求項1記載のチップ部品。
【請求項3】
1次分割ラインと2次分割ラインを有するシート状の絶縁基板の上面に複数の上面電極を前記1次分割ラインのみを跨ぐように形成する工程と、前記複数の上面電極と電気的に接続されるように前記1次分割ラインと2次分割ラインで囲まれた複数の個片領域内に導体を形成する工程と、前記導体を覆うように保護膜を形成する工程と、前記シート状の絶縁基板を前記1次分割ラインに沿って1次ダイシングする工程と、前記シート状の絶縁基板の裏面と前記1次ダイシングによって得られた端面に前記複数の上面電極と導体に電気的に接続されるように端面電極を形成する工程と、前記上面電極と導体および端面電極に電気的に接続されるように補助上面電極をスパッタで形成する工程と、前記2次分割ラインに沿って絶縁基板を分割し個片状の基板を得る工程と、前記個片状の基板の両端面に前記端面電極と補助上面電極の全面を覆うようにめっき層を形成する工程とを備え、前記複数の導体を複数の上面電極に電気的に接続されるように形成する工程において、前記複数の導体の一部が個片領域内において前記複数の上面電極の1次分割ライン方向の両端部よりも外側に位置するように前記複数の導体を複数の上面電極に電気的に接続し、かつ前記導体を覆うように保護膜を形成する工程において、前記保護膜は前記導体の一部のみを覆う構成とすることにより、前記導体における上面電極と重ならない部分を露出させるように構成したチップ部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はチップ部品、特に微小のジャンパーチップ部品およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のチップ部品の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0003】
図7(a)〜(c)および図8(a)〜(e)は従来のチップ部品の一例であるジャンパーチップ部品の製造工程図を示したもので、この図7(a)〜(c)および図8(a)〜(e)に基づいて、その製造方法を以下に説明する。
【0004】
まず、図7(a)に示すように、1次分割ライン1と2次分割ライン2を有し、かつ純度96%のアルミナからなるシート状の絶縁基板3の上面に、複数の上面電極4をスクリーン印刷工法で、1次分割ライン1を跨ぐように形成する。
【0005】
次に、図7(b)に示すように、1次分割ライン1と2次分割ライン2で囲まれた個片領域内に、複数の上面電極4に電気的に接続されるように複数の導体5を複数の上面電極4に重ねて形成する。
【0006】
次に、図7(c)に示すように、複数の導体5の全面を覆うようにスクリーン印刷工法により樹脂保護層6を形成する。
【0007】
次に、図8(a)に示すように、複数の上面電極4を切断するようにシート状の絶縁基板3を1次分割ライン1に沿ってダイシングで切断することにより、図8(b)に示すような短冊状の基板7を得る。
【0008】
次に、図8(c)に示すように、短冊状の基板7の端面に上面電極4と電気的に接続されるようにスパッタ等を用いて端面電極8を形成する。
【0009】
最後に、図8(d)に示すように、2次分割ライン2に沿って短冊状の基板7を分割することにより個片状の基板9を形成し、その後、図8(e)に示すようにバレルめっき法を用いて端面電極8の表面にニッケルめっき層(図示せず)と錫めっき層10を形成することによって、従来のチップ部品を製造していた。
【0010】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−78874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記した従来のチップ部品の製造方法においては、上面電極4を構成する材料と導体5を構成する材料が異なる場合、両者の重なり部分において合金化反応を起こして導体5の抵抗値が上昇するもので、特に低い抵抗値が要求されるジャンパーチップ部品においては特性が不安定になるものであった。特に、上面電極4はダイシング時のバリ発生を抑制する目的で金系の材料を用いて薄く印刷形成しており、また導体5は抵抗値の低い銀系の材料で構成することが多く、この場合、金系の上面電極4と銀系の導体5の重なり部分においては合金化反応が促進され、そしてこの合金化した部分で抵抗値が上昇するものである。この場合、従来のチップ部品は、導体5の全面が樹脂保護層6で覆われているため、めっき層を上面電極4に形成する場合、めっき層は抵抗値が上昇している合金化された部分に形成されることになり、その結果、安定した低い抵抗値を有するチップ部品が得られないという課題を有していた。
【0012】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、上面電極と導体の合金化反応による抵抗値の上昇の影響を受けることなく、微小サイズで安定した低い抵抗値が得られるチップ部品およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0014】
本発明の請求項1に記載の発明は、絶縁基板の上面の両端部に形成された金を主成分とする一対の上面電極と、この一対の上面電極に電気的に接続されるように形成された銀を主成分とする導体と、この導体を覆う保護膜と、前記一対の上面電極と電気的に接続されるように前記絶縁基板の裏面および端面に形成された端面電極と、前記上面電極と導体および端面電極に電気的に接続されるように形成されためっき層とを備え、前記導体の一部が前記一対の上面電極の幅方向両端部よりも外側に位置するように前記導体を一対の上面電極に電気的に接続し、かつ前記保護膜が前記導体の一部のみを覆う構成とすることにより、前記導体における上面電極と重ならない部分を露出させるように構成したもので、この構成によれば、導体の一部が一対の上面電極の幅方向両端部よりも外側に位置するように前記導体を一対の上面電極に電気的に接続し、かつ前記保護膜が前記導体の一部のみを覆う構成とすることにより、前記導体における上面電極と重ならない部分を露出させるように構成しているため、上面電極と電気的に接続される導体は上面電極と重ならない部分が保護膜から大きくはみ出すことになり、そしてこの保護膜からはみ出した導体部分は上面電極と合金化されていないため、上面電極と導体の重なる部分が合金化して抵抗値が上昇した場合でも、上面電極と重ならずに合金化されていない導体にめっき層を直接電気的に接続されるように形成することができ、これにより、安定した低い抵抗値を有するチップ部品が得られるという作用効果を有するものである。
【0015】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、上面電極と導体および端面電極に電気的に接続されるように補助上面電極をスパッタで形成し、かつ保護膜をガラスで形成したもので、この構成によれば、上面電極と導体および端面電極に電気的に接続されるように補助上面電極をスパッタで形成し、かつ保護膜をガラスで形成しているため、保護膜を樹脂で形成した場合に生じる樹脂のブリーディング(滲み出し)がなくなり、これにより、導体と補助上面電極および/またはめっき層との間にブリーディング膜が介在することがなくなるため、安定した低い抵抗値を有するチップ部品が得られるという作用効果を有するものである。
【0016】
本発明の請求項3に記載の発明は、1次分割ラインと2次分割ラインを有するシート状の絶縁基板の上面に複数の上面電極を前記1次分割ラインのみを跨ぐように形成する工程と、前記複数の上面電極と電気的に接続されるように前記1次分割ラインと2次分割ラインで囲まれた複数の個片領域内に導体を形成する工程と、前記導体を覆うように保護膜を形成する工程と、前記シート状の絶縁基板を前記1次分割ラインに沿って1次ダイシングする工程と、前記シート状の絶縁基板の裏面と前記1次ダイシングによって得られた端面に前記複数の上面電極と導体に電気的に接続されるように端面電極を形成する工程と、前記上面電極と導体および端面電極に電気的に接続されるように補助上面電極をスパッタで形成する工程と、前記2次分割ラインに沿って絶縁基板を分割し個片状の基板を得る工程と、前記個片状の基板の両端面に前記端面電極と補助上面電極の全面を覆うようにめっき層を形成する工程とを備え、前記複数の導体を複数の上面電極に電気的に接続されるように形成する工程において、前記複数の導体の一部が個片領域内において前記複数の上面電極の1次分割ライン方向の両端部よりも外側に位置するように前記複数の導体を複数の上面電極に電気的に接続し、かつ前記導体を覆うように保護膜を形成する工程において、前記保護膜は前記導体の一部のみを覆う構成とすることにより、前記導体における上面電極と重ならない部分を露出させるように構成したもので、この製造方法によれば、複数の導体を複数の上面電極に電気的に接続されるように形成する工程において、前記複数の導体の一部が個片領域内において前記複数の上面電極の1次分割ライン方向の両端部よりも外側に位置するように前記複数の導体を複数の上面電極に電気的に接続し、かつ前記導体を覆うように保護膜を形成する工程において、前記保護膜が導体の一部のみを覆う構成とすることにより、前記導体における上面電極と重ならない部分を露出させるように構成しているため、上面電極と電気的に接続される導体は上面電極と重ならない部分が保護膜から大きくはみ出すことになり、そしてこの保護膜からはみ出した導体部分は上面電極と合金化されていないため、上面電極と導体の重なる部分が合金化して抵抗値が上昇した場合でも、上面電極と重ならずに合金化されていない導体にめっき層を補助上面電極を介して直接電気的に接続されるように形成することができ、これにより、安定した低い抵抗値を有するチップ部品が得られるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明のチップ部品は、導体の一部が一対の上面電極の幅方向両端部よりも外側に位置するように前記導体を一対の上面電極に電気的に接続し、かつ導体を覆う保護膜が導体の一部のみを覆う構成とすることにより、前記導体における上面電極と重ならない部分を露出させるように構成しているため、上面電極と電気的に接続される導体は上面電極と重ならない部分が保護膜から大きくはみ出すことになり、そしてこの保護膜からはみ出した導体部分は上面電極と合金化されていないため、上面電極と導体の重なる部分が合金化して抵抗値が上昇した場合でも、上面電極と重ならずに合金化されていない導体にめっき層を直接電気的に接続されるように形成することができ、これにより、安定した低い抵抗値を有するチップ部品が得られるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態におけるチップ部品の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施の形態におけるチップ部品の一例であるジャンパーチップ部品の断面図、図2(a)〜(c)、図3(a)〜(c)および図4(a)〜(c)は同ジャンパーチップ部品の製造方法を示す製造工程図である。
【0020】
図1において、11は純度96%のアルミナからなる矩形状の絶縁基板、12は絶縁基板11の上面の両端部の中央に設けられた金を主成分とする上面電極、13は上面電極12と電気的に接続されるように設けられた銀を主成分とする導体、14は導体13の一部を覆うように設けられた保護膜である。15は絶縁基板11の裏面から端面にかけて設けられ、かつ前記上面電極12と電気的に接続される端面電極、16は前記上面電極12と導体13および端面電極15に電気的に接続されるように形成された補助上面電極である。17は前記端面電極15と補助上面電極16の上に形成されたニッケルめっき層、18はニッケルめっき層17の上に形成された錫めっき層である。
【0021】
次に、図2(a)〜(c)、図3(a)〜(c)および図4(a)〜(c)を用いて、本発明の一実施の形態におけるジャンパーチップ部品の製造方法を説明する。
【0022】
まず、図2(a)に示すように、1次分割ライン11aと2次分割ライン11bを有する純度96%のアルミナ等からなるシート状の絶縁基板11cを用意し、そしてこのシート状の絶縁基板11cの上面に、金レジネート等の金を主成分とする材料からなる複数の上面電極12を、1次分割ライン11aのみを跨ぐように升目状にスクリーン印刷し、ピーク温度850℃の焼成プロファイルで焼成する。なお、上面電極12を金レジネートを用いて形成すると薄く印刷することができるため、後述する1次ダイシングで上面電極12を切断する際にもバリが発生し難いものである。また、1次分割ライン11aと2次分割ライン11bはスリット状の分割溝としてあらかじめシート状の絶縁基板11cの上面および/または裏面に形成しておいてもよいものであるが、製造する部品が小型化して1次分割ライン11aと2次分割ライン11bで囲まれる領域(以下、個片領域とする)が狭くなると、スリット状の分割溝をあらかじめ設けておくことはシート状の絶縁基板11cの強度低下を招いてものづくりが困難になるため、通常は1次分割ライン11aと2次分割ライン11bにあらかじめスリット状の分割溝は設けないものである。
【0023】
次に、図2(b)に示すように、シート状の絶縁基板11cの上面に、1次分割ライン11aと2次分割ライン11bで囲まれた複数の個片領域内に上面電極12と電気的に接続されるように、銀パラジウム合金等の銀を主成分とする導電性ペーストからなる導体13を、個片領域内において上面電極12の1次分割ライン11a方向の両端部よりも外側に位置するように形成し、ピーク温度850℃の焼成プロファイルで焼成する。この場合、前記導体13は1次分割ライン11aと2次分割ライン11bで囲まれた複数の個片領域内にそれぞれ2個ずつ形成しているため、導体13の印刷位置が1次分割ライン11aの方向にずれた場合でも、いずれか一方の導体13が一対の上面電極12と確実に接続されることになり、導通不良は生じないものである。なお、導体13は必ずしも個片領域内に2個独立に形成しなくてもよく、一対の上面電極12の1次分割ライン11a方向の両端部よりも外側に十分はみ出す程度に導体13を幅広く形成する場合は、導体13は個片領域内に1個だけ形成してもよいものである。
【0024】
次に、図2(c)に示すように、複数の導体13の一部のみを覆うように1次分割ライン11aと平行に複数の保護膜14を形成する。ここで保護膜14を樹脂で形成すると、樹脂のブリーディング膜が形成されて導体13と後述するめっき層との接合が不安定になるため、保護膜14はガラスで形成するのが好ましい。また保護膜14は、導体13における露出部分をできるだけ広く確保するために、上面電極12と導体13の重なり部分を覆わないように図2(c)に示すように幅を狭くして形成しているものである。
【0025】
次に、図3(a)に示すように、1次分割ライン11aに沿ってシート状の絶縁基板11cをダイシングすることにより、図3(b)に示すような短冊状の基板11dを得る。このダイシング時においては、1次分割ライン11aの上には金を主成分とする上面電極12のみが薄く形成されているだけであるため、ダイシング時のバリは発生し難いものである。
【0026】
次に、図3(c)に示すように、短冊状の基板11dの裏面側からニッケルクロム合金等よりなるスパッタを施すことにより、短冊状の基板11dの裏面(図示せず)と端面に上面電極12と電気的に接続される端面電極15を形成する。なお、この端面電極15はニッケルクロム合金のスパッタ膜に限定されるものではなく他の材料で形成してもよいもので、例えばクロムからなる第1層と銅ニッケル合金からなる第2層の2層構造で形成してもよく、あるいは短冊状の基板11dの裏面と端面に導電性ペーストを塗布して形成してもよいものである。また、この端面電極15は、短冊状の基板11dの裏面中央部を覆うようにメタルマスクを設置し、そしてこの設置状態で形成することにより所望の形状を得ることができるが、シート状の絶縁基板11cを1次分割ライン11aに沿って1次ダイシングで分割する際に、1次ダイシングのスリットをシート状の絶縁基板11cの端部まで貫通させないようにし、そしてこの1次ダイシングのスリットが形成された状態のシート状の絶縁基板11cの裏面にメタルマスクを配置して裏面からスパッタを施すようにすれば、複数の短冊状の基板11dについて端面電極15の形成を同時に行うことができるものである。
【0027】
次に、図4(a)に示すように、短冊状の基板11dの上面からニッケルクロム合金等からなるスパッタを施すことにより、短冊状の基板11dの上面と端面に上面電極12と導体13および端面電極15に電気的に接続される補助上面電極16を形成する。なお、この補助上面電極16は、短冊状の基板11dの上面中央部(保護膜14の形成部分)を覆うようにメタルマスクを設置することによって所望の形状を得ることができるが、シート状の絶縁基板11cを1次分割ライン11aに沿って1次ダイシングで分割する際に、1次ダイシングのスリットをシート状の絶縁基板11cの端部まで貫通させないようにし、そしてこの1次ダイシングのスリットが形成された状態のシート状の絶縁基板11cの上面にメタルマスクを配置して上面からスパッタを施すようにすれば、複数の短冊状の基板11dについて補助上面電極16の形成を同時に行うことができるものである。また、図4(a)においては、補助上面電極16が上面電極12と導体13を完全に覆うとともに、保護膜14の一部を覆うように形成されているが、保護膜14を覆わずに導体13の一部を露出させるようにしてもよいものである。
【0028】
次に、短冊状の基板11dを図4(a)に示す2次分割ライン11bに沿って分割することにより、図4(b)に示すような個片状の基板11eを得る。
【0029】
最後に、図4(c)に示すように、個片状の基板11eにおける端面電極15および補助上面電極16の露出部分に、ニッケルめっき層17(図示せず)と錫めっき層18からなるめっき層を形成して、本発明の一実施の形態におけるジャンパーチップ部品を製造するものである。
【0030】
上記した本発明の一実施の形態におけるチップ部品の製造方法によって製造されたジャンパーチップ部品は、導体13の一部が一対の上面電極12の幅方向両端部よりも外側に位置するように導体13を一対の上面電極12に電気的に接続し、かつ保護膜14が導体13の一部のみを覆う構成とすることにより、導体13における上面電極12と重ならない部分を露出させるように構成しているため、上面電極12と電気的に接続される導体13は上面電極12と重ならない部分が保護膜14から大きくはみ出すことになり、そしてこの保護膜14からはみ出した導体13の部分は上面電極12と合金化されていないため、上面電極12と導体13の重なる部分が合金化して抵抗値が上昇した場合でも、上面電極12と重ならずに合金化されていない導体13にめっき層14を補助上面電極16を介して直接電気的に接続されるように形成することができ、これにより、安定した低い抵抗値を有するチップ部品を提供することができるという効果が得られるものである。また、保護膜14をガラスで形成しているため、保護膜14を樹脂で形成した場合に生じる樹脂のブリーディング(滲み出し)がなくなり、これにより、導体13と補助上面電極16および/またはニッケルめっき層17との間にブリーディング膜が介在することがなくなるため、特にジャンパーチップ部品に要求される低い抵抗値が安定して得られるものである。
【0031】
図5は、従来のチップ部品の一例であるジャンパーチップ部品と本発明の一実施の形態におけるチップ部品の一例であるジャンパーチップ部品の特性を比較した図を示したもので、この図5において、横軸は初期抵抗値、縦軸は100サイクルの熱衝撃試験を実施した後の抵抗値変化率を示す。導体13の一部を、個片領域内において上面電極12の1次分割ライン11a方向の両端部よりも外側に配置するとともに、保護膜14にガラスを用いてなる〇印で示された本発明の一実施の形態におけるチップ部品は、初期抵抗値が30mΩ付近で安定して低く、かつ熱衝撃試験後の抵抗値変化率も10%以下と低いもので、ジャンパーチップ部品に要求される低い抵抗値が安定して得られる特性を十分に満足しているものである。一方、導体を個片領域内において上面電極の1次分割ライン方向の両端部よりも内側のみに配置するとともに、保護膜に樹脂を用いてなる□印で示された従来例1と、導体を個片領域内において上面電極の1次分割ライン方向の両端部よりも内側のみに配置するとともに、保護膜にガラスを用いてなる△印で示された従来例2においては、初期抵抗値が40〜100mΩと高く、特に従来例1では保護膜に樹脂を用いているため、図6に示すような樹脂のブリーディング膜19が形成されて導体13と補助上面電極16との間の導通が不安定になり、これにより、抵抗値変化率が大きくなるものである。特に、ブリーディング膜19が緻密に形成されてしまうと、導体13と錫めっき層18との間の導電経路が必ず上面電極12を通ることになり、この場合、上面電極12は抵抗値の高い金レジネートで形成されているため、その影響により抵抗値が高くなってしまうものである。
【0032】
なお、上記本発明の一実施の形態においては、チップ部品の一例としてジャンパーチップ部品を例に説明したが、特に、このジャンパーチップ部品に限定されるものではなく、導体13をレーザートリミング等で切削して抵抗値を調整することにより、低い抵抗値を有する高精度のチップ抵抗器に適用することもできるものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係るチップ部品およびその製造方法は、上面電極と導体の重なる部分が合金化して抵抗値が上昇した場合でも、上面電極と重ならずに合金化されていない導体にめっき層を直接電気的に接続されるように形成することができるため、安定した低い抵抗値が得られるという効果を有するものであり、特に微小サイズのジャンパーチップ部品の製造方法に適用することにより有用となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態におけるチップ部品の一例であるジャンパーチップ部品の断面図
【図2】(a)〜(c)同ジャンパーチップ部品の製造方法を示す製造工程図
【図3】(a)〜(c)同ジャンパーチップ部品の製造方法を示す製造工程図
【図4】(a)〜(c)同ジャンパーチップ部品の製造方法を示す製造工程図
【図5】従来のチップ部品の一例であるジャンパーチップ部品と本発明の一実施の形態におけるチップ部品の一例であるジャンパーチップ部品の特性を比較した図
【図6】本発明の一実施の形態におけるチップ部品の一例であるジャンパーチップ部品の保護膜がブリーディングを起こした場合の断面図
【図7】(a)〜(c)従来のチップ部品の一例であるジャンパーチップ部品の製造方法を示す製造工程図
【図8】(a)〜(e)同ジャンパーチップ部品の製造方法を示す製造工程図
【符号の説明】
【0035】
11 絶縁基板
11a 1次分割ライン
11b 2次分割ライン
11c シート状の絶縁基板
11d 短冊状の基板
11e 個片状の基板
12 上面電極
13 導体
14 保護膜
15 端面電極
16 補助上面電極
17 ニッケルめっき層
18 錫めっき層
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年9月20日(2006.9.20)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−78294(P2008−78294A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−254322(P2006−254322)