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PTC素子および電池保護システム - 特開2008−66347 | j-tokkyo
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【発明の名称】 PTC素子および電池保護システム
【発明者】 【氏名】戸坂 久直

【要約】 【課題】第1に、PTC素子の組み立て精度を向上させることができ、PTC素子の製造コストを削減でき、PTC素子の組み立て不良を防止することができるPTC素子を提供すること。第2に、過剰電流から電池を保護することができる電池保護システムを提供すること。

【構成】本発明に係るPTC素子2は、所定の温度領域において温度上昇に伴い抵抗値が増加する素子本体4と、素子本体4の表裏面に接合された一対の第1および第2電極板とを有する。第2電極板は、二種類以上の材質の板材が積層されたクラッド板18である。クラッド板18において素子本体4と接合されるクラッド板側接合面11に凹凸13が形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の温度領域において温度上昇に伴い抵抗値が増加する素子本体と、
前記素子本体の表裏面に接合された一対の第1および第2電極板とを有するPTC素子であって、
前記第2電極板が、二種類以上の材質の板材が積層してあるクラッド板であり、
該クラッド板において前記素子本体と接合されるクラッド板側接合面に凹凸が形成されていることを特徴とするPTC素子。
【請求項2】
前記クラッド板が、前記クラッド板側接合面から外方に飛び出しているクラッド板突出部を有することを特徴とする請求項1に記載のPTC素子。
【請求項3】
前記素子本体が、正の温度係数を持つ導電性ポリマーである請求項1または2に記載のPTC素子。
【請求項4】
前記素子本体が、前記第1電極板との電極板接合面から外方に飛び出している素子本体突出部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のPTC素子。
【請求項5】
前記第1および第2電極板で覆われていない前記素子本体の露出面には、保護膜が形成してある請求項1〜4のいずれかに記載のPTC素子。
【請求項6】
前記クラッド板側接合面に形成された前記凹凸が、前記クラッド板突出部の表面にまで延長して形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のPTC素子。
【請求項7】
前記クラッド板が、該クラッド板における前記素子本体の接合位置を固定するための位置決め部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のPTC素子。
【請求項8】
前記位置決め部で区画された範囲内の前記クラッド板表面に前記凹凸が形成してあることを特徴とする請求項7に記載のPTC素子。
【請求項9】
前記凹凸が、前記クラッド板の表面に形成された節瘤であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のPTC素子。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のPTC素子と、
前記PTC素子の第1電極板に電気的に接続される保護回路と、
前記PTC素子の第2電極板に電気的に接続される電池とを有する電池保護システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電池や電子回路を過電流から保護すること等を目的として使用されるPTC素子と、そのPTC素子を有する電池保護システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
PTC(positive temperature coefficient)素子は、所定の温度領域において、素子の温度が上昇すると、素子の抵抗値が増加する特性を有する。特に、PTC素子の温度が素子本体を構成するポリマーの融解温度に達すると、PTC素子の抵抗が急激に増加する。このような性質はPTC特性と呼ばれる。
【0003】
PTC素子は、電子機器等の電気回路に組み込まれる。電子機器の使用中に、何らかの理由によって回路に過剰電流が流れた場合、電子機器の温度が上昇し、それに伴いPTC素子自体の温度も上昇する。そして、PTC素子の温度が素子本体を構成するポリマーの融解温度に達すると、PTC素子の抵抗値が急激に増加する。その結果、電気回路において、PTC素子が過剰電流を遮断する。よって、電気機器が過剰電流によって故障することを未然に防止できる。
【0004】
このように、PTC素子は、過熱、過剰電流に対する安全保護装置として使用される。具体的には、PTC素子は、携帯電話の電源である2次電池を過電流から保護するための回路(保護回路)に組み込まれたりする。2次電池の充電中または放電中に過剰電流が流れた場合、PTC素子は電流を遮断して2次電池を保護する。
【0005】
このようなPTC素子の一例としては、ポリマー材料(結晶性重合体)に導電性粒子を分散させた素子本体(重合体正温度係数抵抗体)を、電極板(あるいは金属箔)で挟んだ構造を有するポリマーPTC素子が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
ポリマーPTC素子は、従来、以下のような方法によって製造される。まず、金属粒子、カーボンブラック等の導電性フィラーを含む高分子(高密度ポリエチレン等)を押出成形し、素子本体を形成する。次に、素子本体の表裏面に、電極板を熱圧着することによって、ポリマーPTC素子が完成する。
【0007】
このポリマーPTC素子を所定の保護回路に組み込む際は、各電極板を、保護回路と電気的に接続された端子板、または2次電池等に接続されたクラッド板等へ接合する。あるいは、電極板を介して、端子板、クラッド板等の部品を素子本体へと接合したものをPTC素子とし、これを保護回路、2次電池等へ接合する。この接合は、従来、ハンダ付け、溶接等により実施される。
【0008】
従来のポリマーPTC素子の製造においては、上述のように、複数の部品を互いに接合しあうことによって素子が形成される。素子を構成する部品数が多いほど、素子の組み立て精度(各部品の接合位置の精度)が低くなる恐れがある。また、組み立てに多くの工数を要するため、素子の製造コストがかかる。さらには、素子の組み立て不良が発生し易いことが問題となる。
【0009】
また、上述のハンダ付け、溶接等の際に、素子本体が劣化することも問題となる。ハンダ付け、溶接等を行う場合、電極板、端子板、およびクラッド板の少なくとも一部分を高温に加熱する必要がある。ポリマーPTC素子の電極板(あるいは金属箔)は非常に薄いため、ハンダ付け、溶接の際に電極板へ加わる熱が、直ちに素子本体に伝導する。その結果、素子本体が高温となり、熱劣化(軟化または溶融)することがある。素子本体が軟化または溶融すると、ポリマー中の導電性粒子の分散性が不均一となる。このような熱履歴を経たポリマーPTC素子においては、室温での抵抗値(室温抵抗値)がこの熱履歴前に比べて大きく増大してしまう。
【0010】
さらには、素子本体が大気に直接曝されると、素子本体が大気中の酸素によって酸化されることも問題となる。素子本体が酸化されると、室温におけるポリマーPTC素子の室温抵抗値が、素子本体の酸化前に比べて大きく増大してしまう。また、上述のハンダ付け、溶接等に伴う素子本体の熱劣化は、素子本体の酸化によって促進されてしまう。
【0011】
また、素子本体が熱劣化あるいは酸化したポリマーPTC素子に対して、温度の上昇、下降を繰り返すと、ポリマーPTC素子の室温抵抗値がますます高くなってしまう。このように室温抵抗値の高くなったポリマーPTC素子においては、消費電力が増加してしまう。
【0012】
このように、ポリマーPTC素子の室温抵抗値の増大は、携帯電話などの小型機器に搭載する場合に、電力の浪費、あるいは電池の短寿命化などの問題につながる。
【特許文献1】国際公開 WO2004/023499
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その第1の目的は、PTC素子の組み立て精度を向上させることができ、PTC素子の製造コストを削減できるとともに、PTC素子の組み立て不良を防止することができるPTC素子を提供することである。また、本願発明の第2の目的は、過剰な電流が流れた場合に、電池を有効に保護することができる電池保護システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係るPTC素子は、
所定の温度領域において温度上昇に伴い抵抗値が増加する素子本体と、
前記素子本体の表裏面に接合された一対の第1および第2電極板とを有するPTC素子であって、
前記第2電極板が、二種類以上の材質の板材が積層してあるクラッド板であり、
該クラッド板において前記素子本体と接合されるクラッド板側接合面に凹凸が形成されている。
【0015】
好ましくは、前記素子本体が、正の温度係数を持つ導電性ポリマーである。
【0016】
本発明に係るPTC素子では、第2電極板としてクラッド板を用い、クラッド板を素子本体へ直接接合する。すなわち、従来技術のように、素子本体と、クラッド板との間に、クラッド板とは別の電極板を介在させる必要が無い。その結果、PTC素子の組み立て精度(素子本体に対するクラッド板の接合位置の精度)を向上させることができ、かつ、PTC素子の組み立て不良率を低下させることができる。また、本願発明においては、クラッド板とは別の電極板が不要であり、該電極板を素子本体へ接合する工程も不要となるため、PTC素子の製造に要する部品数、およびPTC素子の製造工程数が削減される。その結果、PTC素子の製造コストを削減することができる。
【0017】
また、本願発明では、素子本体と、クラッド板とを接合させると、素子本体の表面に、クラッド板側接合面上の凹凸が喰い込んで噛み合う。その結果、素子本体と、クラッド板との接合強度を向上させることができる。よって、PTC素子の組み立て不良率を低下させることができる。
【0018】
さらには、本願発明では、クラッド板において素子本体との接合に適した材質を有する側面と、素子本体とを接合することによって、素子本体とクラッド板との接合が容易となる。また、クラッド板において電池の電極と同じ材質を有する側面と、電池の電極とを接合することによって、クラッド板と、電池の電極との接合が容易になる。
【0019】
好ましくは、前記クラッド板が、前記クラッド板側接合面から外方に飛び出しているクラッド板突出部を有する。さらに好ましくは、クラッド板突出部は、クラッド板側接合面と同一平面方向において、クラッド板側接合面の側から外方に飛び出す。
【0020】
本願発明では、クラッド板が、クラッド板側接合面から外方に飛び出しているクラッド板突出部を有するため、クラッド板突出部を介して、PTC素子を電子回路へ接続(スポット溶接)することができる。
【0021】
好ましくは、前記第1および第2電極板で覆われていない前記素子本体の露出面には、保護膜が形成してある。
【0022】
素子本体の露出面に保護膜を形成することによって、素子本体が大気中の酸素によって酸化されることを防止できる。また、素子本体の酸化を防止することにより、ポリマーPTC素子の室温抵抗値の上昇を防止することができる。また、保護膜によって、素子本体を外部からの衝撃から保護することができる。すなわち、保護膜によって素子本体の機械的強度を向上させることができる。
【0023】
好ましくは、前記素子本体が、前記第1電極板との電極板接合面から外方に飛び出している素子本体突出部を有する。なお、電極板接合面とは、素子本体の表裏面のうち、第1電極板が密着、接合される面領域を意味する。
【0024】
素子本体の露出面に保護膜形成用樹脂を塗布する際に、樹脂は素子本体の露出面から第1電極板側へ回り込む恐れがある。そこで、素子本体が、素子本体突出部を有することによって、樹脂は、第1電極板の表面と素子本体突出部の表面との段差を乗り越えることができなくなる。その結果、樹脂は、第1電極板の表面上へは回り込めず、素子本体突出部の表面にのみ保持される。すなわち、第1電極板の表面(端子板が接合される側)に樹脂が塗布されること(保護膜が形成されること)を防止できる。その結果、第1電極板と端子板とを、保護膜に介在されることなく良好に密着、接合させることができる。
【0025】
また、素子本体突出部によって、第1電極板の表面(端子板が接合される側)に保護膜が形成されることが防止されるため、第1電極板と端子板との接合位置(端子接合部の位置)の寸法精度を向上させることができる。また、PTC素子全体の幅や厚みの寸法不良を防止することができる。
【0026】
さらには、本来、素子本体の露出面に塗布されるべき樹脂が、第1電極板の表面(本来、樹脂が塗布されてはならない面)に塗布されることを防止することにより、素子本体の露出面における樹脂の被覆厚さを充分なものとすることができる。その結果、素子本体の酸化を有効に防止することができる。
【0027】
また、素子本体が素子本体突出部を有することによって、素子本体と第1電極板とを接合する際に、両者間の位置決めが容易となる。すなわち、位置決めの際に、素子本体突出部の寸法以下程度の位置ズレが生じたとしても、第1電極板における素子接合面側(素子本体側)の表面を外部に露出させることなく、素子本体と第1電極板とを良好に接合することができる。
【0028】
上述のように、本発明に係るPTC素子においては、素子本体の酸化を防止することができる。その結果、本発明に係るPTC素子では、通常使用時においては、消費電力の低減を図ることができると共に、必要な場合には、電流を遮断して電子機器を保護すると言う本来の機能を有効に発揮することができる。
【0029】
好ましくは、前記クラッド板側接合面に形成された前記凹凸が、前記クラッド板突出部の表面にまで延長して形成されている。換言すれば、クラッド板側接合面に形成された凹凸と、クラッド板突出部の表面に形成された凹凸とが連続している。なお、クラッド板突出部の表面において電池の電極端子とスポット溶接される部分には、凹凸が形成されていないことが好ましい。
【0030】
凹凸を、クラッド板側接合面のみならず、クラッド板突出部の表面にまで延長して形成することによって、素子本体の露出面に塗布した保護膜形成用樹脂を、クラッド板突出部の表面に形成された凹凸に食い込ませ、保持することができる。その結果、保護膜と、クラッド板との接合強度を向上させることができる。また、クラッド板突出部表面において保護膜が形成されてはならない領域(スポット溶接部等)にまで、保護膜が形成されることを防止できる。
【0031】
また、クラッド板突出部表面に凹凸を形成することによって、クラッド板突出部の実質的な表面積が、凹凸のない場合に比べて大きくなる。従って、凹凸の形成により、クラッド板突出部と、電池の電極端子との溶接時に発生する熱を、クラッド板突出部表面から放熱させる効果を向上させることができる。その結果、溶接部位からの熱伝導による素子本体の熱劣化を防止することができる。
【0032】
さらには、クラッド板側接合面の凹凸と、クラッド板突出部の表面の凹凸とを同様の工程(めっき等)で同時に形成することによって、凹凸の形成に係る製造コストを低減させることができる。
【0033】
好ましくは、前記クラッド板が、該クラッド板における前記素子本体の接合位置を固定するための位置決め部を有する。なお、位置決め部とは、クラッド板上において素子本体の位置を固定させるための凹部、凸部等を意味する。
【0034】
位置決め部で区画された範囲内(クラッド板側接合部)に、素子本体を設置することによって、素子本体とクラッド板との接合の際の位置ズレを防止することができる。
【0035】
好ましくは、前記位置決め部で区画された範囲内の前記クラッド板表面に前記凹凸が形成してある。すなわち、前記位置決め部で区画された範囲内にあるクラッド板側接合面に凹凸が形成してあることが好ましい。
【0036】
その結果、素子本体とクラッド板との接合強度を向上させることができる。
【0037】
好ましくは、前記凹凸が、前記クラッド板の表面に形成された節瘤である。
【0038】
節瘤とは、凹凸差が0.5〜15μm程度で、頭部に対して中間部または基部がくびれている凸部を意味する。この節瘤状の凹凸をクラッド板側接合面に形成することによって、素子本体表面と、クラッド板側接合面とが良好に接合し、両者間の接合強度を向上させることができる。
【0039】
本発明に係る電池保護システムは、
上記のいずれかに記載のPTC素子と、
前記PTC素子の第1電極板に電気的に接続される保護回路と、
前記PTC素子の第2電極板に電気的に接続される電池とを有する。
【0040】
本発明に係る電池保護システムでは、過剰な電流が流れたとしても、電池を有効に保護することができる。また、電池保護システムが、室温抵抗値の小さいPTC素子を有することによって、電池保護システム、および電池保護システムを有する電子機器全体の消費電力を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るポリマーPTC素子の使用状態(電池保護システム)を示す要部断面図、
図2Aは、本発明の第1実施形態に係るポリマーPTC素子が有するクラッド板におけるクラッド板側接合面に形成された凹凸(節瘤)を、クラッド板表面に対して垂直上方から観察した電子顕微鏡写真、
図2Bは、本発明の第1実施形態に係るポリマーPTC素子が有するクラッド板におけるクラッド板側接合面に形成された凹凸(節瘤)を、クラッド板表面に対して水平方向から観察した電子顕微鏡写真、
図3は、本発明の第2実施形態に係るポリマーPTC素子の断面図、
図4A、図4B、図4Cは、本発明の第3実施形態に係るポリマーPTC素子の断面図であって、クラッド板における位置決め部を示す概略図である。
【0042】
(第1実施形態)
ポリマーPTC素子の全体構成
まず、本発明に係るPTC素子の一実施形態として、携帯電話の電源として用いられる2次電池セルを保護するためのポリマーPTC素子について説明する。
【0043】
図1に示すポリマーPTC素子2は、携帯電話の電源である2次電池セル32と、その二次電池セル32を過電流から保護するための保護回路30との間に組み込まれる。ポリマーPTC素子2は、過充電によるセル温度の異常上昇やセルの外部短絡による過電流が流れた場合、保護回路30と二次電池セル32との間の電流を遮断して2次電池セル32を保護する。
【0044】
以下では、まず、ポリマーPTC素子2の全体構成について説明する。
【0045】
図1に示すポリマーPTC素子2は、正の抵抗温度特性(PTC特性)を有する導電性ポリマーで構成してある素子本体4を備えている。この素子本体4は、表裏面(互いに対向する第1面6および第2面8)を有し、表裏面には第1電極板6、および第2電極板としてのクラッド板18が接合されている。このように、素子本体4は、第1電極板10と、クラッド板18との間に挟まれるように配置される。
【0046】
素子本体4の形状は、特に限定されず、直方体型、円柱型等が例示される。素子本体4の形状が直方体の場合、素子本体4の寸法は、縦3〜5mm×横2〜5mm×厚さ0.5〜1.0mm程度である。
【0047】
素子本体4の第1面6には、上述のように、第1電極板10の素子接合面17が接合されている。なお、以下では、素子本体4の第1面6において、第1電極板10(素子接合面17)の全域と重なっている面領域を、電極板接合面と記す。本実施形態においては、第1電極板10の素子接合面17の全域と、素子本体4の第1面6の全域とが重なっている。よって、本実施形態においては、素子本体4の第1面6全体が、電極板接合面となる。
【0048】
第1電極板10は、端子板16と第1電極板10とが重複する部分に位置する端子接合部(図示省略)において、端子板16に対してスポット溶接される。端子板16は、保護回路30に対して電気的に接続される。第1電極板10は、ニッケルまたはニッケル合金で構成してある。端子板16も、ニッケル端子板(ニッケルを主として含む板)で構成してあることが好ましい。ニッケルを主成分とする端子板16を用いることによって、ニッケルを主成分とする第1電極板10との接合(スポット溶接)の強度を向上させることができる。
【0049】
第1電極板10の厚みは、特に限定されないが、通常100〜300μm程度である。端子板16の厚みも、特に限定されないが、通常100〜300μm程度である。
【0050】
素子本体4の第2面8には、上述のように、クラッド板18のクラッド板側接合面11が直接接合されている。クラッド板18は、ニッケル層20とアルミニウム層22との2種類の板材が積層してある積層板で構成してある。クラッド板18におけるニッケル層20は、その表面にクラッド板側接合面11を有する。このクラッド板側接合面11が、素子本体4へと熱圧着される。また、クラッド板18におけるアルミニウム層22は、2次電池セル32の電極端子34と接触してスポット溶接などで接合される。
【0051】
2次電池セル32の電極端子34は、一般的には、アルミニウム材で構成してある。よって、電極端子34は、クラッド板18におけるアルミニウム層22に対して接合されやすい。
【0052】
本実施形態においては、従来技術のように、素子本体4と、クラッド板18との間に、クラッド板18とは別の電極板を介在させる必要が無い。その結果、PTC素子2の組み立て精度(素子本体4に対するクラッド板18の接合位置の精度)を向上させることができ、かつ、PTC素子2の組み立て不良率を低下させることができる。また、クラッド板18とは別の電極板が不要であり、該電極板を素子本体4へ接合する工程も不要となるため、PTC素子2の製造に要する部品数、およびPTC素子2の製造工程数が削減される。その結果、PTC素子2の製造コストを削減することができる。
【0053】
本実施形態においては、クラッド板側接合面11に凹凸13が形成されている。好ましくは、凹凸が、クラッド板の表面に形成された節瘤である。
【0054】
素子本体4と、クラッド板側接合面11とを接合させると、素子本体4の表面(第2面8)に、クラッド板側接合面上の凹凸13が喰い込んで噛み合う。その結果、素子本体4と、クラッド板側接合面11との熱圧着の際に、両者間の接合強度を向上させることができる。
【0055】
また、図2A,図2Bに占めすように、好ましくは、凹凸13として、凹凸差が5〜15μm程度で、頭部に対して中間部または基部がくびれている節瘤をクラッド板側接合面11に形成する。その結果、素子本体4の表面と、クラッド板側接合面11との接合強度を向上させることができる。
【0056】
また、好ましくは、第1電極板10の素子接合面17の表面にも、凹凸13が形成されている。その結果、素子本体表面と、第1電極板の素子接合面17とが良好に接合し、熱圧着における両者間の接合強度を向上させることができる。
【0057】
本実施形態においては、クラッド板18が、クラッド板側接合面11から外方に飛び出しているクラッド板突出部15を有する。好ましくは、クラッド板突出部15は、クラッド板側接合面11と同一平面方向において、クラッド板側接合面11の側から外方に飛び出す。
【0058】
このクラッド板突出部15を介して、ポリマーPTC素子2を2次電池セル32の電極端子34へ接続(スポット溶接)する。
【0059】
クラッド板18の厚さは、特に限定されないが、通常、100〜300μm程度である。クラッド板18の長さは、特に限定されず、用途に応じて自由に設計される。
【0060】
本実施形態においては、図1に示すように、第1電極板10およびクラッド板18(第2電極板)で覆われていない素子本体4の露出面には、保護膜3が形成されている。保護膜3を形成することで、大気中の酸素による素子本体4の酸化を防止し、素子本体4の劣化を防止することができる。また、素子本体4の酸化を防止することにより、ポリマーPTC素子2の室温抵抗値の上昇を防止することができる。また、保護膜3によって、素子本体4の機械的強度を向上させることができる。
【0061】
保護膜3の種類としては、酸素を遮蔽する機能を有するものであれば特に限定されないが、エポキシ樹脂、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)、PVA(ポリビニルアルコール)等が例示される。
【0062】
保護膜3の厚さは、特に限定されないが、50〜150μm程度である。厚さが薄過ぎると、保護膜3が、素子本体4の酸化を充分に防止できない。また、厚さが厚過ぎると、保護膜3を形成するたの樹脂が、第1電極板10の表面(端子板16が接合される側)に塗布される恐れがある。そこで、厚さを上記範囲内とすることによって、これらの不具合を防止できる。
【0063】
ポリマーPTC素子2の製造方法
次に、図1に示すポリマーPTC素子2の製造方法について説明する。
【0064】
(素子本体4)
素子本体4は、通常、主成分である重合体(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の高分子化合物)および導電性粒子を含む樹脂組成物(導電性ポリマー)から構成される。なお、素子本体4は、重合体として、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との両方を含んでもよい。
【0065】
まず、高分子化合物(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等)、導電性粒子(金属粉、カーボンブラック等)、低分子有機化合物および、高分子化合物同士を架橋反応させるための反応開始剤等を秤量、混練し、PTC組成物を調整する。混練の方法としては、特に限定されないが、ニーダ、押出機、ミル等が例示される。また、PTC組成物に含有させる導電性粒子としては、ふるい機等によって所定の粒径をもつ導電性粒子のみを分級し、これを用いる。次に、このPTC組成物を成形し、素子本体4(図1)を得る。なお、PTC組成物は、反応開始剤を含有していなくても良い。
【0066】
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。好ましくは、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる。エポキシ樹脂を用いることによって、ポリマーPTC素子が、十分な抵抗変化量及び耐熱性を有することができる。熱硬化性樹脂の分子量は、通常、重量平均分子量Mwが300〜10000程度である。上記の熱硬化性樹脂は単独で用いてもよく、また複数種の樹脂を用いてもよい。また、異なる種類の熱硬化性樹脂同士が架橋された構造を有する化合物を用いてもよい。
【0067】
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、好ましくは、結晶性ポリマーをを用いる。熱可塑性樹脂の融点は、特に限定されないが、好ましくは、70〜200℃程度である。融点がこの範囲にある樹脂を用いることによって、ポリマーPTC素子動作時における熱可塑性樹脂の融解、流動、素子本体4の変形を防止することができる。
【0068】
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニルコポリマ−等のコポリマ−、ポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド等のハロゲン化ビニルおよびビニリデンポリマ−、12−ナイロン等のポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、熱可塑性エラストマ−、ポリエチレンオキサイド、ポリアセタ−ル、熱可塑性変性セルロ−ス、ポリスルホン類、ポリメチル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。
【0069】
熱可塑性樹脂の重量平均分子量Mwは、特に限定されないが、好ましくは、10000〜5000000である。これらの熱可塑性樹脂は単独で用いてもよく、また複数種の樹脂を用いてもよい。また、異なる種類の熱可塑性樹脂同士が架橋された構造を有する化合物を用いてもよい。
【0070】
素子本体4に含まれる導電性粒子としては、特に限定されないが、金属粉、カーボンブラック等が例示される。好ましくは、導電性粒子として金属粉を用いる。この金属粉としては、好ましくは、ニッケルを主成分とするものを用いる。金属粉の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5〜4.0μm程度である。
【0071】
素子本体4において、樹脂組成物中の導電性粒子の含有量は、樹脂組成物全体に対して、好ましくは、20〜80質量%である。導電性粒子の含有量をこの範囲内とすることによって、非動作時の室温抵抗値を十分に低くすることができ、また、大きな抵抗変化量を得ることができる。さらには、素子抵抗のバラツキを十分に減少させることができる。
【0072】
素子本体4を構成する樹脂組成物は、上記の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、および導電性粒子以外に、例えば、ワックス、油脂、脂肪酸、高級アルコ−ル等の低分子有機化合物を更に含んでもよい。その結果、素子本体4の温度上昇に伴う抵抗変化量を増大させることができる。
【0073】
素子本体4は、内部に空隙を有し、この空隙に上記樹脂組成物を充填することが可能な基材を含んでもよい。このような基材としては、上記の役割を果たすことが可能なものであれば特に制限されず、織布、不織布、連続多孔質体等が例示される。
【0074】
素子本体4には、必要に応じて、電子線照射を行う。この電子線照射によって、反応開始剤が機能し、高分子同士の架橋反応が促進される。架橋反応のエネルギー源としては、電子線に限定されず、ガンマ線、紫外線、熱等も用いられる。照射する電子線の加速電圧及び電子線照射量は、素子本体4に含まれる高分子化合物の種類、あるいは素子本体の寸法等に応じて、適宜調整すればよい。なお、電子線照射は、電極板10および12の接合後であっても良い。また、素子本体4に対する電子線照射は、必ずしも行わなくても良い。
【0075】
(第1電極板10およびクラッド板18の形成)
第1金属板10は、所定厚みのニッケル金属板あるいはニッケル合金板を打ち抜き成型して形成される。クラッド板18は、ニッケル層20とアルミ層22とを圧延して成型された積層板を打ち抜き成型して形成される。
【0076】
(凹凸13の形成)
次に、クラッド板18のクラッド板側接合面11の表面に凹凸13を形成する。凹凸13の方法としては、特に限定されないが、めっき法、酸による表面処理、切削、ブラスト、あるいはエッチング等が挙げられる。好ましくは、クラッド板側接合面11の表面に、凹凸13として節瘤を形成する。好ましくは、めっき法によってクラッド板側接合面11の表面に節瘤を形成する。例えば、電解めっき法を用いる場合、以下のような手順で節瘤を形成する。
【0077】
まず、クラッド板18において、クラッド板側接合面11以下の部位(節瘤を形成してはならないスポット溶接部位等)にマスキングを施す。次に、マスキングを施したクラッド板18を、電解めっき液に浸漬し、クラッド板側接合面11の表面にめっき処理を施す。次に、電解メッキ液からクラッド板18を取り出し、マスキングを除去する。
【0078】
このようにして、クラッド板18のクラッド板側接合面11の表面に、図2A,2Bに示すような節瘤を多数有するメッキ膜が形成される。
【0079】
節瘤(めっき液の成分)の組成としては、特に限定されないが、クラッド板18のニッケル層20と同組成であるニッケルであることが好ましい。節瘤の組成をニッケルとすることによって、ニッケル層20の表面に節瘤を形成し易くなる。
【0080】
第1電極板10の素子接合面17に凹凸(節瘤)を形成する際も、クラッド板18の場合の同様の方法を用いればよい。
【0081】
次に、素子本体4における第1面6および第2面8に対して、それぞれ第1電極板10、クラッド板18を、熱プレス機等により、熱圧着する。熱圧着時の加熱温度は、素子本体4の材質にもよるが、好ましくは、130〜180°C程度である。また、熱圧着時の圧力は、好ましくは1×10〜20×10Pa程度である。
【0082】
なお、熱圧着時には、圧力により素子本体4が厚み方向に多少潰れて、第1電極板10およびクラッド板18の側方に多少はみ出すこともあるが、不要部分は、容易に除去することができる。
【0083】
(保護膜3の形成)
次に、第1電極板10およびクラッド板18で覆われていない素子本体4の露出面に、保護膜3を形成する。保護膜3の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、前述した樹脂を塗布して乾燥させる方法が例示される。
【0084】
このようにして、図1に示すように、本実施形態に係るポリマーPTC素子2が完成する。
【0085】
ポリマーPTC素子2の組み付け方法
ポリマーPTC素子2は、図1に示すように、2次電池セル32と、保護回路30との間に組み込まれる。
【0086】
ポリマーPTC素子2を、図1に示すように接続するために、たとえば、まず、クラッド板18におけるアルミニウム層22を、2次電池セル32の電極端子34と接触してスポット溶接する。素子2と2次電池セル32との間に隙間が形成される場合には、スペーサ36などを、素子2と2次電池セル32との間に配置させる。
【0087】
次に、あるいは、その前後に、第1金属板10に対して、保護回路30に接続してある端子板16を、端子接合部(図示省略)において、スポット溶接し、接合する。
【0088】
このようにして、図1に示すように、ポリマーPTC素子2と、保護回路30と、2次電池セル32とを有する電池保護システム1が完成する。
【0089】
本実施形態においては、第2電極板として、クラッド板18を素子本体4へ直接接合する。すなわち、従来技術のように、素子本体4と、クラッド板18との間に、クラッド板18とは別の電極板を介在させる必要が無い。その結果、ポリマーPTC素子2の組み立て精度(素子本体4に対するクラッド板18の接合位置の精度)を向上させることができる。また、ポリマーPTC素子2の組み立て不良率を低下させることができる。さらには、本実施形態では、クラッド板18とは別の電極板が不要となり、該電極板を素子本体4へ接合する工程も不要となる。よって、ポリマーPTC素子2の製造に要する部品数、およびポリマーPTC素子2の製造工程数が削減される。その結果、ポリマーPTC素子2の製造コストを削減することができる。
【0090】
また、クラッド板18において素子本体4との接合に適した材質を有する側面と、素子本体4とを接合することによって、素子本体4とクラッド板18との接合が容易となる。また、クラッド板18において2次電池セル32の電極端子34と同じ材質を有する側面と、電極端子34とを接合することによって、クラッド板18と、電極端子34との接続が容易になる。
【0091】
また、素子本体4と、クラッド板18とを接合させると、素子本体4の表面に、クラッド板側接合面11に形成された凹凸13が喰い込んで噛み合う。その結果、素子本体4と、クラッド板18との熱圧着時において、両者間の接合強度を向上させることができる。
【0092】
さらに、クラッド板18が、クラッド板側接合面11から外方に飛び出しているクラッド板突出部15を有するため、クラッド板突出部15を介して、ポリマーPTC素子2を、2次電池セルの電極端子34へ接続(スポット溶接)することができる。
【0093】
また、素子本体4の露出面に保護膜3を形成することによって、素子本体4が大気中の酸素によって酸化されることを防止できる。また、素子本体4の酸化を防止することにより、ポリマーPTC素子2の室温抵抗値の上昇を防止することができる。また、保護膜3によって、素子本体4の機械的強度を向上させることができる。
【0094】
また、保護膜3によって素子本体4の酸化が防止される結果、本実施形態に係るポリマーPTC素子2では、通常使用時においては、消費電力の低減を図ることができると共に、必要な場合には、電流を遮断して電子機器を保護すると言う本来の機能を有効に発揮することができる。
【0095】
また、本実施形態に係るポリマーPTC素子2と、保護回路30と、2次電池セル32とを有する電池保護システム1では、過剰な電流が流れた場合や、衝撃や圧力が作用したとしても、電池を有効に保護することができる。
【0096】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0097】
(第2実施形態)
例えば、図3に示すように、素子本体4が、第1電極板10との電極板接合面31から外方に飛び出している素子本体突出部33を有していてもよい。この場合においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、電極板接合面31とは、素子本体4の表裏面のうち、第1電極板10が密着、接合される面領域を意味する。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点について述べ、両者の共通事項に関する説明は省略する。
【0098】
素子本体4の露出面に保護膜形成用樹脂を塗布する際に、樹脂は素子本体4の露出面から第1電極板側へ回り込む恐れがある。そこで、素子本体4が、素子本体突出部33を有することによって、樹脂は、第1電極板10の表面と素子本体突出部33の表面との段差を乗り越えることができなくなる。その結果、樹脂は、第1電極板20の表面上へは回り込めず、素子本体突出部33の表面にのみ保持される。すなわち、第1電極板10の表面(端子板が接合される側)に樹脂が塗布されること(保護膜3が形成されること)を防止できる。その結果、第1電極板10と端子板とを、保護膜3に介在されることなく良好に密着、接合させることができる。
【0099】
また、素子本体突出部33によって、第1電極板10の表面(端子板が接合される側)に保護膜3が形成されることが防止されるため、第1電極板10と端子板との接合位置(端子接合部の位置)の寸法精度を向上させることができる。また、ポリマーPTC素子2全体の幅や厚みの寸法不良を防止することができる。
【0100】
さらには、本来、素子本体4の露出面に塗布されるべき樹脂が、第1電極板10の表面(本来、樹脂が塗布されてはならない面)に塗布されることを防止することにより、素子本体4の露出面における樹脂(保護膜3)の被覆厚さを充分なものとすることができる。その結果、素子本体4の酸化を有効に防止することができる。
【0101】
また、素子本体4が素子本体突出部33を有することによって、素子本体4と第1電極板10とを接合する際に、両者間の位置決めが容易となる。好ましくは、素子本体4の第1面の面積が、第1電極板10の素子接合面17の面積より大きく、素子本体突出部33が素子本体4の全周に位置する。その結果、素子本体4と第1電極板10との位置決めの際に、素子本体突出部33の寸法以下程度の位置ズレが生じたとしても、第1電極板10の素子接合面側(素子本体側)の表面を外部に露出させることない。よって、第1電極板10と素子本体4とを良好に接合することができる。
【0102】
なお、素子本体突出部33は、素子本体4に第1電極板10あるいはクラッド板18を熱圧着する際に、圧力により素子本体4が厚み方向に多少潰れて、第1電極板10およびクラッド板18の側方に多少はみ出すことによって、形成される。つまり、上述の実施形態においては、素子本体において不要部分として除去する部分が、本実施形態では除去されずに、素子本体突出部33として機能する。つまり、本実施形態では、素子本体から不要部分を除去する工程が省略される。その結果、ポリマーPTC素子2の製造工数および製造コストを削減することができる。
【0103】
また、図3に示すように、クラッド板側接合面11に形成された凹凸13が、クラッド板突出部15の表面にまで延長して形成されていてもよい。換言すれば、クラッド板側接合面11に形成された凹凸13と、クラッド板突出部15の表面に形成された凹凸13aとが連続している。なお、クラッド板突出部15の表面において2次電池セルの電極端子とスポット溶接される部分には、凹凸13aが形成されていないことが好ましい。
【0104】
凹凸13を、クラッド板側接合面11のみならず、クラッド板突出部15の表面にまで延長して形成することによって、素子本体4の露出面に塗布した保護膜形成用樹脂を、クラッド板突出部15の表面に形成された凹凸13aに食い込ませ、保持することができる。その結果、保護膜3とクラッド板18との接合強度を向上させることができる。また、クラッド板突出部表面において保護膜3が形成されてはならない領域(スポット溶接部等)にまで、保護膜3が形成されることを防止できる。
【0105】
また、クラッド板突出部15の表面に凹凸13aを形成することによって、クラッド板突出部15の実質的な表面積が、凹凸13aのない場合に比べて大きくなる。その結果、凹凸13aの形成により、クラッド板突出部15と、2次電池セルの電極端子34との溶接時に発生する熱を、クラッド板突出部15の表面から放熱させる効果を向上させることができる。よって、溶接部位からの熱伝導による素子本体4の熱劣化を防止することができる。
【0106】
さらには、クラッド板側接合面11の凹凸13と、クラッド板突出部15の表面の凹凸13aとを同様の工程(めっき等)で同時に形成することによって、凹凸の形成に係る製造コストを低減させることができる。
【0107】
(第3実施形態)
図4A,図4B,図4Cに示すように、クラッド板18が、クラッド板18における素子本体4の接合位置を固定するための位置決め部を有してもよい。以下では、第4実施形態と第1実施形態との相違点について述べ、両者の共通事項に関する説明は省略する。
【0108】
図4Aに示すポリマーPTC素子2においては、クラッド板18のニッケル層20の側に凹状の位置決め部41aが形成されている。この位置決め部41aの内部に素子本体4が設置、接合される。位置決め部41aで区画された凹部の内側(クラッド板側接合部11)に、素子本体4を設置することによって、素子本体4とクラッド板18との接合の際の位置ズレを防止することができる。
【0109】
また、位置決め部41aで区画された範囲内のクラッド板表面(クラッド板側接合面11)に凹凸13が形成してある。その結果、素子本体4とクラッド板18との熱圧着時において、素子本体4とクラッド板18(クラッド板側接合面11)との接合強度を向上させることができる。
【0110】
図4Bに示すポリマーPTC素子2においても、クラッド板18のニッケル層20の側に、凹状の位置決め部41bが形成されている。凹状の位置決め部41bの内部の寸法は、素子本体4(第2面8)の寸法よりも大きい。この位置決め部41bの内部に素子本体4が設置、接合される。位置決め部41bで区画された凹部の内側(クラッド板側接合部11)に、素子本体4を設置することによって、素子本体4とクラッド板18との接合の際の位置ズレを防止することができる。
【0111】
また、位置決め部41bで区画された範囲内のクラッド板表面(クラッド板側接合部11)には凹凸13が形成してある。その結果、素子本体4とクラッド板18との熱圧着時において、素子本体4とクラッド板18(クラッド板側接合面11)との接合強度を向上させることができる。さらには、位置決め部41bの内部の寸法が、素子本体4の寸法よりも大きいため、保護膜形成用樹脂を、位置決め部41bの底面に形成された凹凸13に食い込ませ、樹脂を凹部内部に保持することができる。その結果、保護膜3とクラッド板18との接合強度を向上させることができる。また、クラッド板表面において保護膜3が形成されてはならない領域(スポット溶接部等)にまで、保護膜3が形成されることを防止できる。
【0112】
図4cに示すポリマーPTC素子2においては、クラッド板18のニッケル層20の側に、一対の凸状の位置決め部41cが形成されている。この一対の凸状の位置決め部41cの内側に素子本体4が設置、接合される。位置決め部41cで区画された内側(クラッド板側接合部11)に、素子本体4を設置することによって、素子本体4とクラッド板18との接合の際の位置ズレを防止することができる。
【0113】
また、位置決め部41cで区画された範囲内のクラッド板表面(クラッド板側接合部11)に凹凸13が形成してある。その結果、素子本体4とクラッド板18との熱圧着時において、素子本体4とクラッド板18(クラッド板側接合面11)との接合強度を向上させることができる。
【0114】
(その他の実施形態)
本発明に係るポリマーPTC素子2は、2次電池セル32の過電流保護素子としてのみならず、自己制御型発熱体、温度センサー、限流素子、過電流保護素子等としても使用されることが可能である。
【0115】
また、本発明では、ポリマーPTC素子2の製造方法は、特に限定されない。
【0116】
また、第1〜3実施形態のポリマーPTC素子2におけるクラッド板18が、クラッド板側接合面11から外方に飛び出しているクラッド板突出部15を有してなくともよい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の第1実施形態に係るポリマーPTC素子の使用状態(電池保護システム)を示す要部断面図である。
【図2A】図2Aは、本発明の第1実施形態に係るポリマーPTC素子が有するクラッド板におけるクラッド板側接合面に形成された凹凸(節瘤)を、クラッド板表面に対して垂直上方から観察した電子顕微鏡写真である。
【図2B】図2Bは、本発明の第1実施形態に係るポリマーPTC素子が有するクラッド板におけるクラッド板側接合面に形成された凹凸(節瘤)を、クラッド板表面に対して水平方向から観察した電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るポリマーPTC素子の断面図である。
【図4A】図4Aは、本発明の第3実施形態に係るポリマーPTC素子の断面図であって、クラッド板における位置決め部を示す概略図である。
【図4B】図4Bは、本発明の第3実施形態に係るポリマーPTC素子の断面図であって、クラッド板における位置決め部を示す概略図である。
【図4C】図4Cは、本発明の第3実施形態に係るポリマーPTC素子の断面図であって、クラッド板における位置決め部を示す概略図である。
【符号の説明】
【0118】
1… 電池保護システム
2… ポリマーPTC素子
3… 保護膜
4… 素子本体
6… 素子本体の第1面
8… 素子本体の第2面
10… 第1電極板
11… クラッド板側接合面
13,13a… 凹凸
15… クラッド板突出部
16… 端子板
18… クラッド板(第2電極板)
30… 保護回路
32… 2次電池セル
34… 電極端子
【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
【出願日】 平成18年9月4日(2006.9.4)
【代理人】 【識別番号】100097180
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 均

【識別番号】100135404
【弁理士】
【氏名又は名称】圓尾 龍哉


【公開番号】 特開2008−66347(P2008−66347A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−239630(P2006−239630)