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【発明の名称】 操作感覚呈示装置
【発明者】 【氏名】宮田 雅彦

【氏名】廣江 輝一

【氏名】石垣 誠司

【氏名】熊谷 勝秀

【要約】 【課題】制御が簡単にでき、しかもバリアのような強い反力を出すことも可能な操作感覚呈示装置を提供する。

【構成】例えば操作部材3をX方向の一方向へ操作する際に、第1の電磁石13を通電すると、磁性板11にX方向スライダ12が吸着されるため、使用者は、第1のスライドレール保持部9ごと第1のスプリング14の付勢力に抗して移動させることになり、反力が徐々に大きくなる。第1の電磁石13を断電すると、磁性板11とX方向スライダ12との吸着力が解除されるため、操作部材3は第1のスプリング14の付勢力に関係なく移動させることができ、操作力は軽くなる。第1のスライドレール保持部9の移動範囲を規制することで、バリアのような強い反力を出すことが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向およびこれと直交するY方向へ移動可能に設けられた操作部材と、
前記X方向に延びるX方向スライドレールを有するとともに、前記X方向へ移動可能に設けられた第1のスライドレール保持部と、
前記Y方向に延びるY方向スライドレールを有するとともに、前記Y方向へ移動可能に設けられた第2のスライドレール保持部と、
前記操作部材の前記X方向への移動に伴い前記X方向スライドレールに沿って移動可能に設けられたX方向スライダと、
前記操作部材の前記Y方向への移動に伴い前記Y方向スライドレールに沿って移動可能に設けられたY方向スライダと、
前記X方向スライダと前記第1のスライドレール保持部とを一体化させる状態とそれらを相対的に移動可能とする状態とに切り替える第1の電磁石と、
前記Y方向スライダと前記第2のスライドレール保持部とを一体化させる状態とそれらを相対的に移動可能とする状態とに切り替える第2の電磁石と、
前記第1のスライドレール保持部を中立位置へ付勢するように設けられた第1の付勢手段と、
前記第2のスライドレール保持部を中立位置へ付勢するように設けられた第2の付勢手段と、
前記操作部材の前記X方向およびY方向の位置を検出する位置検出手段と、
この位置検出手段の検出結果に基づき前記第1および第2の電磁石を通断電制御する制御手段とを具備したことを特徴とする操作感覚呈示装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、X方向およびこれと直交するY方向に移動可能な操作部材を有し、その操作部材の移動操作に対して操作感覚を呈示する操作感覚呈示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の操作感覚呈示装置では、ジョイスティック構造やボールネジ、或いはパンタグラフなどのリンク機構を用いるとともに、駆動源としてモータを用い、そのモータの回転力を利用して操作感覚を付与する構成のものが多い(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−224202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、モータを用いたものでは、トルクや回転方向を細かく制御する必要があるため、制御が複雑になるという欠点がある。また、バリア等の強い反力を出そうとすると、大型のモータが必要になってくるという欠点もある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、制御が簡単にでき、しかもバリアのような強い反力を出すことも可能な操作感覚呈示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明の操作感覚呈示装置は、X方向およびこれと直交するY方向へ移動可能に設けられた操作部材と、前記X方向に延びるX方向スライドレールを有するとともに、前記X方向へ移動可能に設けられた第1のスライドレール保持部と、前記Y方向に延びるY方向スライドレールを有するとともに、前記Y方向へ移動可能に設けられた第2のスライドレール保持部と、前記操作部材の前記X方向への移動に伴い前記X方向スライドレールに沿って移動可能に設けられたX方向スライダと、前記操作部材の前記Y方向への移動に伴い前記Y方向スライドレールに沿って移動可能に設けられたY方向スライダと、前記X方向スライダと前記第1のスライドレール保持部とを一体化させる状態とそれらを相対的に移動可能とする状態とに切り替える第1の電磁石と、前記Y方向スライダと前記第2のスライドレール保持部とを一体化させる状態とそれらを相対的に移動可能とする状態とに切り替える第2の電磁石と、前記第1のスライドレール保持部を中立位置へ付勢するように設けられた第1の付勢手段と、前記第2のスライドレール保持部を中立位置へ付勢するように設けられた第2の付勢手段と、前記操作部材の前記X方向およびY方向の位置を検出する位置検出手段と、この位置検出手段の検出結果に基づき前記第1および第2の電磁石を通断電制御する制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0006】
上記構成において、例えば、第1の電磁石の通電により第1のスライドレール保持部とX方向スライダとを一体化した状態で、操作部材をX方向の一方向へ移動操作しようとすると、操作部材とX方向スライダと第1のスライドレール保持部とが一体に操作部材の操作方向へ移動しようとする。このとき、操作部材を操作する人は、第1の付勢手段の付勢力に抗して操作することになる。そして、位置検出手段により操作部材が予め決められた位置に移動したことが検出されると、制御手段は第1の電磁石を断電する。すると、第1のスライドレール保持部とX方向スライダとの一体化状態が解除され、それらが相対的に移動できる状態となる。このため、操作部材を操作する人は、第1の付勢手段の付勢力に関係なく操作部材をX方向へ移動させることが可能となる。このように、操作部材がX方向へ移動操作される際に、第1の電磁石を通断電制御することにより、操作感覚を付与することができる。操作部材がY方向へ移動操作される際にも、第2の電磁石を上記のように通断電制御することにより、操作感覚を付与することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、第1および第2の電磁石と、第1および第2の付勢手段とにより、操作感覚を呈示するようにしている。この場合、制御としては第1および第2の電磁石を通断電制御するだけでよいから、モータを使用する場合とは違い、複雑な制御を行う必要がなく、制御が簡単になる。また、第1および第2のスライドレール保持部の移動範囲を規制することで、バリアのような強い反力を出すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
まず、図1には、操作感覚呈示装置1の概略的な構成が示されている。この図1において、矩形板状をなすベース2の上方には、人の手によって移動操作される操作部材3が配置されている。この操作部材3は、矩形状をなすノブ4と、このノブ4の下面に下向きに突設されたシャフト5とを有していて、図中、X方向とこれと直交するY方向へ移動可能に配置されている。ノブ4の下方には、X方向に延びるシャフトガイド6と、Y方向に延びるシャフトガイド7とが直交する状態に配置されている。これらシャフトガイド6,7はそれぞれスリット6a,7aを有していて、これらシャフトガイド6,7のスリット6a,7aの交差部分に、上記シャフト5が上方から挿通されている。
【0009】
ベース2の上面の隅部には、ブロック8が固定状態に設けられている。ベース2の上面の一辺には、2個のブロック8,8間に位置させて第1のスライドレール保持部9がX方向へ移動可能に設けられている。第1のスライドレール保持部9は、X方向に延びる本体部9aの長手方向の両端部に上方へ向けて突出する端部壁9b、9cを有し、全体として上面側が開口したコ字形をなしている。対向する端部壁9b,9c間には、X方向に延びるX方向スライドレール10と、磁性体製の磁性板11が平行状態に設けられている。
【0010】
X方向スライドレール10には、磁性体製のX方向スライダ12が設けられている。X方向スライダ12は、X方向スライドレール10および磁性板11の上面に沿ってX方向へ移動可能となっている。X方向スライダ12には、Y方向へ延びる前記シャフトガイド7の一端部が連結されている。第1のスライドレール保持部9における本体部9aの長手方向の中央部の上面には、第1の電磁石13が設けられている。この第1の電磁石13が通電されると、磁性板11が磁化され、この磁性板11にX方向スライダ12が吸着される。
【0011】
第1のスライドレール保持部9における各端部壁9b,9cと、これと対向するブロック8間には、第1の付勢手段を構成する圧縮コイルスプリングからなる第1のスプリング14が配設されている。第1のスライドレール保持部9は、これら2個の第1のスプリング14の付勢力により図1に示す中立位置に付勢されている。
【0012】
ベース2の上面の一辺において、第1のスライドレール保持部9の外側に位置させてX方向位置センサ15(位置検出手段に相当)が設けられていて、このX方向位置センサ15の操作子15aの上端部がX方向スライダ12に連結されている。このX方向位置センサ15は、例えば電気抵抗式のものであり、操作子15aの移動位置に応じて抵抗値が変化することで出力される信号(図2の符号Sx参照)が変化する構成となっている。従って、X方向スライダ12がX方向へ移動されることに伴い操作子15aが同方向へ移動し、これに基づき信号Sxが変化する。
【0013】
また、ベース2の上面において、第1のスライドレール保持部9が配置された辺と隣り合った辺には、2個のブロック8,8間に位置させて第2のスライドレール保持部16がY方向へ移動可能に設けられている。この第2のスライドレール保持部16は、第1のスライドレール保持部9と同様に、Y方向に延びる本体部16aの長手方向の両端部に上方へ向けて突出する端部壁16b、16cを有し、全体として上面側が開口したコ字形をなしている。対向する端部壁16b,16c間には、Y方向に延びるY方向スライドレール17と、磁性体製の磁性板18が平行状態に設けられている。
【0014】
Y方向スライドレール17には、磁性体製のY方向スライダ19が設けられている。Y方向スライダ19は、Y方向スライドレール17および磁性板18の上面に沿ってY方向へ移動可能となっている。Y方向スライダ19には、X方向へ延びる前記シャフトガイド6の一端部が連結されている。第2のスライドレール保持部16における本体部16aの長手方向の中央部の上面には、第2の電磁石20が設けられている。この第2の電磁石20が通電されると、磁性板18が磁化され、この磁性板18にY方向スライダ19が吸着される。
【0015】
第2のスライドレール保持部16における各端部壁16b,16cと、これと対向するブロック8間には、第2の付勢手段を構成する圧縮コイルスプリングからなる第2のスプリング21が配設されている。第2のスライドレール保持部16は、これら2個の第2のスプリング21の付勢力により図1に示す中立位置に付勢されている。
【0016】
ベース2の上面において、第2のスライドレール保持部16の外側に位置させてY方向位置センサ22(位置検出手段に相当)が設けられていて、このY方向位置センサ22の操作子22aの上端部がY方向スライダ19に連結されている。このY方向位置センサ22も、X方向位置センサ15と同様に例えば電気抵抗式のものであり、操作子22aの移動位置に応じて抵抗値が変化することで出力される信号(図2の符号Sy参照)が変化する構成となっている。従って、Y方向スライダ19がY方向へ移動されることに伴い操作子22aが同方向へ移動し、これに基づき信号Syが変化する。
【0017】
図2は、操作感覚呈示装置1の電気的構成を示すブロック図である。上記第1および第2の電磁石13,20が、制御部25によって制御される構成となっている。制御部25は、例えば上記ベース2に設けられており、第1および第2の電磁石13,20をドライバ26,27を介して通断電制御する制御回路28(制御手段に相当)と、X方向およびY方向位置センサ15,22から出力される信号の増幅およびA/D変換を行う信号処理回路29,30と、制御回路28と外部機器31との間でデータの送受信を行うための通信インターフェース32を有して構成されている。
【0018】
制御回路28は、CPUを主体として、メモリやI/Oなどの周辺装置(いずれも図示せず)を備えて構成されており、このうち、メモリには操作部材3の位置に応じて操作部材3に対してどのような操作感覚を呈示するかといった内容を示すデータが記憶されるようになっている。このデータは、外部機器31から通信インターフェース32を介して書き込まれるようになっている。信号処理回路29は、アンプ部とA/D変換部(いずれも図示せず)を有していて、このうちアンプ部で、信号Sx,Syの増幅を行い、A/D変換部で増幅後の信号をデジタル信号Dx,Dyに変換してから制御回路28に出力するようになっている。
【0019】
外部機器31は、例えばナビゲーション装置などであり、カーソルなどを画面上に表示する表示器を有する機器である。そして、制御回路28から外部機器31には、通信インターフェース32を介して操作部材3の位置を示すデータが出力されるように構成されており、これにより、操作部材3の移動操作に応じて画面上のカーソルが移動するようになっている。
【0020】
次に上記構成の作用を説明する。
図1は操作部材3が、X方向およびY方向ともに中立位置に位置された状態が示されている。この状態では、操作部材3のX方向の位置がX方向位置センサ15により検出されるとともに、操作部材3のY方向の位置がY方向位置センサ22により検出される。使用者が操作部材3のノブ4に手を掛けて、操作部材3をX方向或いはY方向へ移動操作すると、その操作部材3の位置が変化し、その位置は、X方向位置センサ15およびY方向位置センサ22の出力信号に基づき制御回路28により検出される。制御回路28は、その検出位置に応じて第1および第2の電磁石13,20を通断電制御する。
【0021】
ここで、例えば操作部材3がX方向の一方向へ操作されたときに、図3(a)に示すようなパターン節度感を呈示する場合には、制御回路28は、第1の電磁石13を図3(b)に示すように制御する。
【0022】
具体的には、操作部材3がX方向のある位置に位置された状態では、制御回路28は、第1の電磁石13を通電している。この状態で、操作部材3がX方向の一方向へ操作されると、シャフトガイド7を介してX方向スライダ12が同方向へ移動しようとする。このとき、第1の電磁石13が通電されているため、磁性板11が磁化され、この磁性板11にX方向スライダ12が吸着された状態となる。このため、第1のスライドレール保持部9と、磁性板11と、X方向スライダ12とが一体化された状態となるため、操作部材3とX方向スライダ12と第1のスライドレール保持部9とが一体に操作部材3の操作方向へ移動しようとする。この場合、操作部材3を操作する人は、一方の第1のスプリング14の付勢力に抗して操作することになるため、反力は徐々に大きくなる(図3(a)のA1の線参照)。X方向スライダ12の移動に伴い、X方向位置センサ15の操作子15aが同方向へ移動し、これに伴いX方向位置センサ15の出力信号Sxが変化し、制御回路28は操作部材3のX方向の位置変化を検出する。
【0023】
制御回路28は、操作部材3の位置変化に伴い、第1の電磁石13を断電する。すると、磁性板11の磁化が解除され、X方向スライダ12に対する磁性板11の吸着力が解除されるため、X方向スライダ12は、X方向スライドレール10および磁性板11に対して相対的に移動可能となる。このため、反力は小さくなる(図3(a)のA2の線参照)。そして、操作部材3がさらに移動すると、制御回路28は、再び第1の電磁石13を通電する。すると、反力が再び大きくなり、第1の電磁石13を断電すると、反力は小さくなる。そして、第1の電磁石13を通電したままの状態にすると、操作部材3を操作する人にとっては、反力が極端に大きくなり、壁に当たったような感覚となる(図3(a)のB参照)。
【0024】
上記した説明では、操作部材3がX方向へ操作された場合を説明したが、操作部材3がY方向へ移動操作された場合も、操作部材3のY方向の位置に応じて第2の電磁石20を通断電制御することにより、図3(a)と同様な操作感覚を呈示することができる。
また、操作部材3が斜め方向へ移動操作された場合も、操作部材3のX方向およびY方向の位置に応じて第1および第2の電磁石13,20を通断電制御することにより、図3(a)と同様な操作感覚を呈示することができる。
【0025】
上記した実施形態によれば次のような作用効果を得ることができる。すなわち、第1および第2の電磁石13,20と、第1および第2のスプリング14,21とにより、操作感覚を呈示するようにしている。この場合、制御としては第1および第2の電磁石13,20を通断電制御するだけでよいから、モータを使用する場合とは違い、複雑な制御を行う必要がなく、制御が簡単になる。また、第1および第2のスライドレール保持部9,16の移動範囲を規制することで、バリアのような強い反力を出すことが可能となる。
【0026】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
第1の電磁石13をX方向スライダ12に設けるとともに、第2の電磁石20をY方向スライダ19に設け、それら第1および第2の電磁石13,20の通電により対応する磁性板11,18を吸着する構成とすることもできる。
第1および第2のスプリング14,21は、圧縮コイルスプリングに代えて、板ばね、或いは引張りコイルスプリングを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、操作感覚呈示装置の概略構成を示す斜視図
【図2】電気的構成を示すブロック図
【図3】(a)は操作感覚の一例を示す図、(b)は第1の電磁石の制御例を示す図
【符号の説明】
【0028】
図面中、1は操作感覚呈示装置、2はベース、3は操作部材、9は第1のスライドレール保持部、10はX方向スライドレール、11は磁性板、12はX方向スライダ、13は第1の電磁石、14は第1のスプリング(第1の付勢手段)、15はX方向位置センサ(位置検出手段)、16は第2のスライドレール保持部、17はY方向スライドレール、18は磁性板、19はY方向スライダ、20は第2の電磁石、21は第2のスプリング(第2の付勢手段)、22はY方向位置センサ(位置検出手段)、28は制御回路(制御手段)、31は外部機器を示す。
【出願人】 【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
【出願日】 平成18年8月24日(2006.8.24)
【代理人】 【識別番号】100071135
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 強


【公開番号】 特開2008−53434(P2008−53434A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−227840(P2006−227840)