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【発明の名称】 リード線引出し形SPDおよびSPD製造方法
【発明者】 【氏名】三島 健七郎

【氏名】池田 剛

【氏名】圓山 武志

【氏名】木本 健治

【要約】 【課題】酸化亜鉛形バリスタを収納する収納ケースから引き出す絶縁被覆形リード線と収納ケース内の引出し導体との接続を簡便に、安定した機械的強度で接続する。

【構成】酸化亜鉛形バリスタ1を収納する収納ケース30にリード線引出し用第一孔31と、この第一孔31に直交させて引出し導体接続用第二孔32を形成する。第一孔31にリード線20の連続した絶縁被覆剥き代部20pと絶縁被覆部20qを挿入し、第二孔32に引出し導体13の先端部を挿入し、この先端部を絶縁被覆剥き代部20pに公差させて接触させ、第一孔31にリード線20を接着剤50で固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化亜鉛形バリスタを含むSPD用素子を収納した収納ケース内で絶縁電線形リード線と前記SPD用素子の引出し導体とを接続したリード線引出し形SPDであって、
前記収納ケースは、前記リード線の部分的に絶縁被覆を除去した絶縁被覆剥き代部とこれに連続する絶縁被覆部から成る片端部が挿入されるリード線引出し用第一孔と、この第一孔に部分的に開口して前記引出し導体の先端部が挿入される引出し導体接続用第二孔を有し、
前記第一孔に挿入した前記リード線片端部の絶縁被覆剥き代部と、前記第二孔に挿入した引出し導体先端部とを交差させて接触させることで、前記リード線と引出し導体を接続したことを特徴とするリード線引出し形SPD。
【請求項2】
前記第一孔に、当該第一孔に挿入した前記リード線片端部の絶縁被覆部を接着剤で固定したことを特徴とする請求項1に記載のリード線引出し形SPD。
【請求項3】
前記第一孔の奥が、当該第一孔に挿入された前記リード線の絶縁被覆剥き代部先端が突き当たる閉口端であることを特徴とする請求項1または2に記載のリード線引出し形SPD。
【請求項4】
酸化亜鉛形バリスタを含むSPD用素子を収納した収納ケース内で絶縁電線形リード線と前記SPD用素子の引出し導体とを接続するSPD製造方法であって、
前記収納ケースは、前記リード線の部分的に絶縁被覆を除去した絶縁被覆剥き代部とこれに連続する絶縁被覆部から成る片端部が挿入されるリード線引出し用第一孔と、この第一孔に部分的に開口して前記引出し導体の先端部が挿入される引出し導体接続用第二孔を有し、
前記第一孔に挿入した前記リード線の絶縁被覆剥き代部と、前記第二孔に挿入した引出し導体先端部とを交差させて接触させる交差接触工程と、
前記第一孔内で前記リード線を捩り回転させるリード線捩り工程と、
前記第一孔に前記リード線の絶縁被覆部を接着剤で接着するリード線接着工程と、
を含むことを特徴とするリード線引出し形SPD製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化亜鉛形バリスタを収納した収納ケースから絶縁電線形リード線を引き出したリード線引出し形SPD(Surge Protective Device:サージ防護デバイス)の構造および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
雷害を防止する目的から、単相または三相交流電路や直流電路において電気機器と大地間に、雷による過渡的な過電圧を制限してサージ電流を分流するデバイスとしてSPDが設置されている。このSPD用素子としては、酸化亜鉛形バリスタが一般的に使用されている。
【0003】
酸化亜鉛形バリスタは、ZnOを主成分とする矩形や円板形の板状耐雷素子で、表裏両面に薄板状に電極を被着している。酸化亜鉛形バリスタは、表裏両面の電極間に印加する電圧に応じて抵抗が変化する特性、つまり、閾値電圧以下の電圧が印加された時には極めて高抵抗であって実質的に絶縁性を示し、閾値電圧を超える電圧が印加された時には低抵抗を示す非線形性の電流電圧特性を有する。
【0004】
一般に、酸化亜鉛形バリスタを使用したSPDは、酸化亜鉛形バリスタに放電ギャップやSPD保護用としての温度ヒューズ、電流ヒューズなどの他のSPD用素子と組み合わせて構成される。酸化亜鉛形バリスタは、雷サージが繰り返し入力されると、その入力レベルによっては経時的に劣化し、漏れ電流が増加して発熱し、熱暴走による発煙発火の原因となることがある。そこで、SPDでは、酸化亜鉛形バリスタの熱暴走による発煙発火を防止する保護手段として、バリスタ劣化による発熱で断線動作する温度ヒューズを酸化亜鉛形バリスタに一体に組み付けることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、酸化亜鉛形バリスタを使用したSPDは、酸化亜鉛形バリスタを含む複数種類のSPD用素子を樹脂製の絶縁性収納ケースに収納して、収納ケースでSPD用素子を電気的かつ機械的に保護している。収納ケースに収納された酸化亜鉛形バリスタを含むSPD用素子のケース外への電極引出しは、金属線や金属板の引出し導体、絶縁電線形リード線などの複数種類の導体を使用して行われている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−229303号公報
【特許文献2】特開2001−297904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
収納ケースから絶縁電線形リード線を導出したリード線引出し形SPDは、収納ケース内でSPD用素子の電極と絶縁電線形リード線とを、金属線や金属板の引出し導体で接続して、SPD回路を構成している。このようなSPD用素子の引出し導体と絶縁電線形リード線との接続は、半田付けやカシメ、圧着など様々な簡易な工法で行われているが、接続箇所が多くてSPD製造組立の接続工程に相当な工数を必要とし、SPD製造コストの低減を難しくしている。また、収納ケースから絶縁電線形リード線を引き出した場合、信頼性の面から引出しリード線に数kgの引張り荷重に耐えることが要求される。この要求を満たすため、絶縁電線形リード線の先端部を収納ケース内で屈曲させるなどして収納ケースでリード線を直接的に支持することが行われ、複雑な構成になるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、酸化亜鉛形バリスタを収納する収納ケースから引き出す絶縁電線形リード線と収納ケース内の引出し導体との接続を、工数少なくして簡単、確実性良く行えるようにしたリード線引出し形SPDを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的を達成する技術的手段は、酸化亜鉛形バリスタを含むSPD用素子を収納した収納ケース内で絶縁電線形リード線とSPD用素子の引出し導体とを接続したリード線引出し形SPDであって、収納ケースは、リード線の部分的に絶縁被覆を除去した絶縁被覆剥き代部とこれに連続する絶縁被覆部から成る片端部が挿入されるリード線引出し用第一孔と、この第一孔に部分的に開口して引出し導体の先端部が挿入される引出し導体接続用第二孔を有し、第一孔に挿入したリード線の絶縁被覆剥き代部と、第二孔に挿入した引出し導体先端部とを交差させて接触させることで、リード線と引出し導体を接続したことを特徴とする。
【0009】
ここで、収納ケースは、樹脂製の絶縁ケースが適用できる。収納ケースに収納される酸化亜鉛形バリスタを含むSPD用素子とは、酸化亜鉛形バリスタのみの場合と、酸化亜鉛形バリスタと酸化亜鉛形バリスタ以外の他の種類のSPD用素子のことである。酸化亜鉛形バリスタ以外の他のSPD用素子は、放電ギャップ(製品化されている放電ギャップ部品、引出し導体の途中に形成した放電ギャップ)、酸化亜鉛形バリスタに一体的に形成される温度ヒューズ、酸化亜鉛形バリスタと別体で酸化亜鉛形バリスタに配線される温度ヒューズ、電流ヒューズなどである。収納ケースに複数のSPD用素子が収納される場合、その複数全てのSPD用素子の引出し導体が対応するリード線に接続される、或いは、複数のSPD用素子の内の選択されたもののみの引出し導体が対応する絶縁電線形リード線に接続される。絶縁電線形リード線は、より線などの導体を塩化ビニールなどの樹脂で絶縁被覆した絶縁電線で、収納ケースの第一孔に挿脱可能に挿入される片端部の先端部分に、部分的に絶縁被覆を除去して導体を剥き出しにした絶縁被覆剥き代部を有する。この絶縁被覆剥き代部とこれに連続する所定長さの絶縁被覆部から成る片端部が第一孔に挿入される。第一孔に挿入されたリード線片端部の絶縁電線剥き代部と対面する一箇所に第二孔が形成される。この第二孔に挿入された引出し導体の先端部とリード線の絶縁電線剥き代部が交差して接触する。
【0010】
収納ケースの第一孔は、絶縁電線形リード線の片端部が軸方向に挿脱可能な直線状の挿入孔である。リード線の片端部は、その先端側の絶縁剥き代部から第一孔に挿入される。第一孔の先端は閉口端で、この閉口端にリード線片端部の先端が当接する位置まで第一孔にリード線が挿入される。第一孔の先端より離れた所定の箇所に第二孔が開口する。第二孔は、第一孔と直交または所定の交差角度で交差する直線状の挿入孔である。第二孔の第一孔と反対の端から第二孔に、引出し導体の直線状先端部が挿脱可能に挿入される。第一孔にリード線を挿入してから、第二孔に引出し導体を挿入して、リード線の絶縁電線剥き代部と引出し導体の先端部を交差させて接触させる。或いは、第二孔に引出し導体を挿入してから第一孔にリード線を挿入して、リード線の絶縁電線剥き代部と引出し導体の先端部を交差させて接触させる。リード線の絶縁電線剥き代部に剥き出された導体に引出し導体が貫通して、リード線と引出し導体が電気的かつ機械的に接続される。このような突き刺し貫通によるリード線と引出し導体の電気的接続状態は、半田付けやカシメといった他の工法に比べ安定しないが、雷サージに対応するSPDにおいては後述する理由で問題にならない。第一孔のリード線に第二孔の引出し導体を交差させて貫通させる構造のため、両者の機械的な接続が常に安定して行われ、第一孔に対してリード線を引き出す方向に荷重を掛けたときに、第二孔に引出し導体の先端部が係止して、リード線の引張り荷重を規定値以上にし、リード線引出形SPDの機械的な信頼性が良くなる。
【0011】
本発明においては、収納ケースの第一孔に、当該第一孔に挿入した絶縁電線形リード線の絶縁被覆部を接着剤で固定することができる。このように第一孔にリード線を接着剤で固定することで、リード線の絶縁電線剥き代部と第二孔の引出し導体の電気的かつ機械的接触状態が安定すると共に、リード線の引張り荷重が接着剤による接着力で増大する。
【0012】
また、収納ケースの第一孔に挿入したリード線と第二孔に挿入した引出し導体の先端部の互いに交差する角度は直角か、第一孔でのリード線引出し方向に対して鋭角にすることが望ましい。ここでの鋭角は、45°〜90°の角度である。このような交差角度の規定で、第一孔に対してリード線を引き出す方向に荷重を掛けたときに、引出し導体の先端部がリード線側に食い込む作用をして、リード線の引張り荷重をより強固、安定したものにする。
【0013】
また、本発明においては、収納ケースの第一孔の奥が、第一孔に挿入されたリード線の先端が突き当たる閉口端にすることができる。
【0014】
ここでの第一孔の奥の閉口端は、収納ケースの側壁で構成することができる。第一孔に絶縁電線形リード線は、その絶縁被覆剥き代部の先端が第一孔の閉口端に当接するところまで挿入されて位置決めされる。これにより第一孔へのリード線の挿入量が一定し、第二孔から挿入される引出し導体との電気的かつ機械的な接続が良好に行えるようになる。また、第一孔に挿入されるリード線の先端は絶縁被覆剥き代部での剥き出し導体であり、この導体が第一孔の閉口端で絶縁保護されて収納ケースの外面に出ず、リード線引出し形SPDの絶縁対策が容易になる。
【0015】
また、本発明のSPD製造方法は、収納ケースの第一孔に挿入したリード線の絶縁被覆剥き代部と、第二孔に挿入した引出し導体の先端部とを交差させて接触させる交差接触工程と、第一孔内でリード線を捩り回転させるリード線捩り工程と、第一孔にリード線の絶縁被覆部を接着剤で接着するリード線接着工程と、を含む製造方法とすることができる。
【0016】
上述の交差接触工程の後、第一孔内でリード線を捩り回転させて、互いに交差するリード線の絶縁電線剥き代部と引出し導体先端部との接触力を高め、電気的かつ機械的な接続状態を安定させる。このリード線捩り工程の後、第一孔にリード線を接着剤で固定して、リード線の回転戻りを阻止し、リード線と引出し導体の電気的かつ機械的な接続状態を安定させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、収納ケースの第一孔に挿入された絶縁電線形リード線の絶縁被覆剥き代部と収納ケースの第二孔に挿入した引出し導体の先端部を交差させて接触させるというワンタッチ式の簡易な作業で絶縁電線形リード線と引出し導体の電気的かつ機械的な接続ができるので、リード線と引出し導体の接続箇所が多くても、工数と作業時間少なくしてSPDの製造組立をすることができ、SPD製造組立コストの低減を容易にするという優れた効果を奏する。
【0018】
また、収納ケースの第一孔に挿入したリード線に第二孔に挿入した引出し導体の先端部を交差させて接続することで、第一孔に対してリード線を引き出す方向に荷重を掛けたときに、第二孔に引出し導体の先端部が係止して、リード線の引張り荷重が常に数kg以上の大きなものにでき、機械的強度の安定した高信頼度のリード線引出形SPDが提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1及び図2の実施の形態に示すリード線引出し形SPDは、図3の等価回路に示すように、ZnOを主成分とする酸化亜鉛形バリスタ1と、酸化亜鉛形バリスタ1の裏面側の電極12に接続された放電ギャップ2を備える。酸化亜鉛形バリスタ1と放電ギャップ2の二種類のSPD用素子が、共通の収納ケース30に収納される。酸化亜鉛形バリスタ1は、単相三線または三相三線交流電路に適用される矩形平板状の耐雷素子で、表面側にライン相の三電極11、…を有する。裏面側の電極12は、表面側の三電極11、…の全てに対向する共通電極である。酸化亜鉛形バリスタ1の形状は矩形状に限らず、円盤状のものであってもよい。収納ケース30は樹脂製の絶縁ケースで、収納ケース30から計4本の絶縁電線形リード線20、…を平行に引出してリード線引出し形SPDを構成する。
【0020】
酸化亜鉛形バリスタ1の表面側三電極11、…それぞれに1本ずつ引出し導体13、…が半田5で接続される。3本の各引出し導体13、…は、裸電線の線材であり、それぞれの先端部が対応するリード線20、…に電気的かつ機械的に接続される。酸化亜鉛形バリスタ1の共通電極12に接続された放電ギャップ2から1本の引出し導体14が引き出されて、対応する1本のリード線20に電気的かつ機械的に接続される。なお、図3に示す放電ギャップ2は製品化された放電ギャップ部品で、これに引出し導体14を接続している。このような放電ギャップ2に代わり、引出し導体14の途中に形成した図示しない放電ギャップを適用することも可能である。リード線20は、複数の銅線のより線から成る導体20aを樹脂の絶縁被覆材20bで被覆している。
【0021】
収納ケース30は矩形箱形の二分割ケースで、本体部30aと蓋部30bを備える。本体部30aは、有底上端開口の矩形箱形で、底部に平行な4条のリード線引出し用第一孔31、…を有する。各第一孔31、…は直線状で、それぞれに1本ずつ絶縁電線形リード線20、…の所定長さの片端部が挿脱可能に挿入される。本体部30aの内部空間に、バリスタ位置決め保持用リブ部30cと第二孔形成筒部30dが形成される。リブ部30c上に酸化亜鉛形バリスタ1が、その裏面の共通電極12を下にして位置決め載置される。酸化亜鉛形バリスタ1の共通電極12に半田付けなどで接続された放電ギャップ2は、本体部30aの底と酸化亜鉛形バリスタ1の間の空間に設置される。リブ部30cに位置決め載置された酸化亜鉛形バリスタ1の表面の三電極11、…に対応して3つの第二孔形成筒部30dが形成される。第二孔形成筒部30dは、対応する第一孔31の真上に突設させた円柱筒で、それぞれに第二孔32を軸方向に貫通させている。第二孔32は、線材の引出し導体13の1本が挿脱可能に挿入される直線状の貫通孔で、対応する第一孔31と交差する。
【0022】
図5(A)、(B)に示すように、第一孔31の先端は収納ケース30の側壁で閉口されて、この閉口端30eに当接するところまでリード線20の片端部20’が挿入される。リード線20の片端部20’は、図4に示すように、先端から1cm程度の長さで絶縁被覆材20bを除去した絶縁被覆剥き代部20pと、これに連続する所定長さの絶縁被覆部20qで構成される。第一孔31の閉口端から5mm程度離れた一箇所に第二孔32の先端(下端)が開口する。第一孔31の底に、第二孔32の延長孔としての小孔33が形成される。図5に示す小孔33は、収納ケース30の底板を貫通させているが、貫通させない有底の凹状孔でもよい。第一孔31にリード線20を、その先端が閉口端30eに当接する位置まで挿入すると、絶縁被覆剥き代部20pのほぼ中央の上下に第二孔32と小孔33が位置するよう寸法設定されている。また、第一孔31の開口端部と、リード線20の絶縁被覆部20qの外周が接着剤50で固定される。
【0023】
以上の実施の形態のリード線引出し形SPDは、次のように製造組立をすることができる。図4に示すように、収納ケース30の本体部30aから蓋部30bを開き、本体部30aの底部の第一孔31に対応する絶縁電線形リード線20の片端部20’を挿入する。リード線片端部20’の先端側の絶縁被覆剥き代部20pから先に第一孔31に挿入され、続いて絶縁被覆部20qが第一孔31に軽く圧入されるようにして挿入される。図5(A)に示すように、第一孔31の閉口端30eに絶縁被覆剥き代部20pの先端が当接するまで、リード線20の挿入が行われる。このようなリード線挿入は、4本のリード線20、…に対してそれぞれ順に行うか、治具(図示せず)を使用して4本同時に行うことができる。リード線挿入後、図4に示すように収納ケース30の本体部30aに引出し導体付バリスタ1を組み付け、このときにバリスタ1から延在する引出し導体13を対応する第二孔32に差し込む。
【0024】
図5(B)に示すように、線材の引出し導体13の先端を先鋭にして、この先端部を第二孔32に挿入し、第二孔32から第一孔31内のリード線20の絶縁被覆剥き代部20pである剥き出し導体20aのほぼ中央部に交差する方向で突き刺し、貫通させる。このような突き刺し貫通は、絶縁被覆剥き代部20pの剥き出し導体20aがより線ゆえに容易にして確実に行える。引出し導体13の先端部は、第二孔32にガイドされて変形することなく第一孔31に達し、そのまま先鋭端が絶縁被覆剥き代部20pを局部的に貫通して小孔33に達する。引出し導体13の先端部がリード線20の導体20aを貫通することで、両者が電気的かつ機械的に接続される。このような接続作業は、治具(図示せず)を使用して3本の引出し導体13、…に対して順に、或いは、3本同時に行うことができる。また、放電ギャップ2の引出し端子14と対応するリード線の接続も、上記と同様に行うことができる。このような接続作業は、第一孔にリード線を挿入し、第二孔に引出し端子を挿入するのみの簡単な作業で行うことができ、SPD製造組立工数を大幅に低減させ、組立時間を短縮することが容易になる。
【0025】
図5(B)の接続工程において、引出し導体13の先端部をリード線20に貫通させると、引出し導体13の先鋭端が収納ケース30の底の小孔33から突出することがある。このように突出した先鋭端は刃物などで切断して、図1に示すように収納ケース30の裏面に銘板などの絶縁シール35を貼付する。或いは、小孔33に絶縁材を充填して、小孔33を絶縁封止してもよい。なお、前述したように小孔33を有底の凹状孔にして、引出し導体13の先鋭端がケース外に突出しないようにすれば、前述のような特別な絶縁対策は不要である。
【0026】
引出し導体13を対応するリード線20に貫通させて両導体を電気的かつ機械的に接続した後、リード線20の絶縁被覆部20qと第一孔31の開口端部に接着剤50を塗布してリード線20を第一孔31に接着固定する。この固定で第一孔31に対してリード線20が捻れ回転せず、両導体の電気的かつ機械的接続状態が安定する。
【0027】
また、上記リード線引出し形SPDの製造組立は、次の順序で行うことも可能である。第二孔32に対応する引出し導体13の先端部を挿入しておいて、第一孔31に対応するリード線20の片端部20’を挿入する。このリード線挿入の段階で先端部の絶縁被覆剥き代部20pのより線である導体20aを引出し導体13に側方から食い込ませて、両導体を交差させて接触させる。その後、リード線20を第一孔31に接着剤50で固定する。
【0028】
また、第一孔31にリード線20を接着剤50で固定する前に、引出し導体13に交差して接触したリード線20を捩り回転させることも有効である。即ち、第一孔31に挿入したリード線20の絶縁被覆剥き代部20pと、第二孔32に挿入した引出し導体13の先端部とを交差させて接触させる交差接触工程の後、第一孔31に挿入したリード線20を左右いずれかの方向に捩り回転させるリード線捩り工程を設ける。このリード線捩り工程で、引出し導体13を貫通して交差したリード線20の絶縁被覆剥き代部20pが回転して引出し導体13との接触力が増大し、両導体の電気的かつ機械的接続状態がより強固になり安定する。このようなリード線捩り工程は、作業員の指先で簡単にして確実性良く行うことができる。リード線捩り工程の後、第一孔31に対応するリード線20を接着剤50で固定する(リード線接着工程)。
【0029】
以上のSPD製造組立において、リード線20の絶縁被覆剥き代部20pと引出し導体13の接触による電気的接続状態は、半田付けやカシメなどの接続状態に比べて安定せず、両導体の接触不良、電気的接続不良が生じる可能性がある。しかし、SPD(雷サージ防護デバイス)用素子として使用される場合においては、電気的接続不良箇所が放電ギャップ的な動作をして問題は無い。即ち、電気的接続不良箇所にSPD動作時に大きなサージ電圧が印加され、大電流が数十μsと極短時間だけ流れるから、仮に酸化被膜で接触抵抗が大きくなっていても大きなサージ電圧で酸化被膜を破壊させ信頼性を低下させない。
【0030】
また、引出し導体13を対応するリード線20に貫通させて両導体を機械的接続することで、機械的強度が大きく、かつ、安定する。図5(B)に示すように、第一孔31と第二孔32の交差角度をθとすると、この交差角度θは第一孔31に挿入されたリード線20の引出し方向Xに対して直角か鋭角に設定する。リード線20に引出し方向Xに引張り荷重を掛けたとき、リード線20を貫通する引出し導体13の先端部が第二孔32に係止して、リード線20に必要な引張り荷重を大きく設定することができる。このような引張り荷重は、交差角度θが直角か直角に近い鋭角の場合に効果的に増大させることができる。
【0031】
以上で説明したリード線引出し形SPDにおける酸化亜鉛形バリスタは、表面側に三電極を裏面側に共通電極を形成した三相多端子バリスタであるが、本発明はこれに限定されることなく、酸化亜鉛形バリスタの表裏面に一対の電極を形成した二端子バリスタなども適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態のリード線引出し形SPDの主要部構成を示す部分断面を含む側面図である。
【図2】図1のSPDの部分断面を含む正面図である。
【図3】図1のSPDの等価回路である。
【図4】図1のSPDの製造組立時の分解側面図である。
【図5】(A)は図1のSPDの製造組立時の部分拡大断面図、(B)は二導体接続時の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 酸化亜鉛形バリスタ、SPD用素子
2 放電ギャップ、SPD用素子
11、12 電極
13.14 引出し導体
20 絶縁電線形リード線
20’ 片端部
20a 導体
20b 絶縁被覆材
20p 絶縁被覆剥き代部
20q 絶縁被覆部
30 収納ケース
30a 本体部
30b 蓋部
30e 閉口端
31 第一孔
32 第二孔
33 小孔
50 接着剤
θ 交差角度
X リード線引出し方向
【出願人】 【識別番号】000123354
【氏名又は名称】音羽電機工業株式会社
【出願日】 平成18年8月23日(2006.8.23)
【代理人】 【識別番号】100064584
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾

【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳

【識別番号】100101616
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 吉之

【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦

【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛


【公開番号】 特開2008−53335(P2008−53335A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−226207(P2006−226207)