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【発明の名称】 ジャンパーチップ部品およびその製造方法
【発明者】 【氏名】中村 元久

【氏名】木下 泰治

【要約】 【課題】本発明は、上面電極と導体の合金化の影響を抑制することができ、これにより、ゼロオームに近い抵抗値が安定して得られるジャンパーチップ部品およびその製造方法を提供することを目的とするものである。

【構成】本発明は、絶縁基板11と、前記絶縁基板11の上面の両端部に形成された一対の上面電極12と、前記一対の上面電極12を切断するように前記絶縁基板11の上面に形成された溝18と、前記一対の上面電極12を電気的に接続するように前記溝18の内部および前記一対の上面電極12間に位置する絶縁基板11の上面に形成された導体13とで構成したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、前記絶縁基板の上面に両端部に形成された一対の上面電極と、前記一対の上面電極を切断するように前記絶縁基板の上面に形成された溝と、前記一対の上面電極を電気的に接続するように前記溝の内部および前記一対の上面電極間に位置する絶縁基板の上面に形成された導体とで構成したジャンパーチップ部品。
【請求項2】
上面電極を金を主成分とする材料で構成した請求項1記載のジャンパーチップ部品。
【請求項3】
導体を銀を主成分とする材料で構成した請求項1記載のジャンパーチップ部品。
【請求項4】
一次ダイシングラインと二次ダイシングラインを有するシート状の絶縁基板を準備する工程と、前記シート状の絶縁基板の上面に前記一次ダイシングラインを跨ぐように複数対の上面電極を形成する工程と、前記複数対の上面電極を切断するように前記シート状の絶縁基板の上面に前記二次ダイシングラインと略平行に複数の溝を形成する工程と、前記複数対の上面電極を電気的に接続するように前記複数の溝の内部および前記複数対の上面電極間に位置する絶縁基板の上面に導体を形成する工程とを備えたジャンパーチップ部品の製造方法。
【請求項5】
複数の溝をレーザーで形成するようにした請求項4記載のジャンパーチップ部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、特に微小サイズのジャンパーチップ部品およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のジャンパーチップ部品の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0003】
図6(a)〜(c)は従来のジャンパーチップ部品の製造工程図を示したもので、この図6(a)〜(c)に基づいて、その製造方法を説明する。
【0004】
まず、図6(a)に示すように、アルミナ等の絶縁基板1の上面に、金レジネートからなる複数の上面電極2と厚膜銀ペーストからなる複数の導体3を、規則的に整列された升目状に印刷して焼成する。この場合、導体3はその両端部を上面電極2に重ねて電気的に接続するようにする。
【0005】
次に、図6(b)に示すように、導体3を覆うように樹脂またはガラスからなる保護層4を形成する。
【0006】
次に、図6(c)に示すように、ダイシングカッター5を用いてシート状の絶縁基板1を切断し、短冊状基板を得る。このようにして得られた短冊状基板の端面に端面電極層を形成した後、個片状基板に分割し、そしてバレルめっき法によって個片状基板の端面電極層にめっき層を形成することにより、従来のジャンパーチップ部品を製造していた。
【0007】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−78874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した従来のジャンパーチップ部品においては、金レジネートからなる上面電極2と厚膜銀ペーストからなる導体3とが合金化し、そしてその合金化した部分の抵抗値が上昇するため、ジャンパーチップ部品の要求特性であるゼロオームに近い抵抗値が得られないという課題を有していた。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、上面電極と導体の合金化の影響を抑制することができ、これにより、ゼロオームに近い抵抗値が安定して得られるジャンパーチップ部品およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0011】
本発明の請求項1に記載の発明は、絶縁基板と、前記絶縁基板の上面の両端部に形成された一対の上面電極と、前記一対の上面電極を切断するように前記絶縁基板の上面に形成された溝と、前記一対の上面電極を電気的に接続するように前記溝の内部および前記一対の上面電極間に位置する絶縁基板の上面に形成された導体とで構成したもので、この構成によれば、一対の上面電極を切断するように絶縁基板の上面に形成された溝の内部および前記一対の上面電極間に位置する絶縁基板の上面に前記一対の上面電極を電気的に接続するように導体を形成しているため、絶縁基板の上面に形成された溝の部分で導体の厚みが厚くなって抵抗値が下がることになり、これにより、抵抗値の上昇が抑えられてゼロオームに近い抵抗値が安定して得られるジャンパーチップ部品を提供することができるという作用効果を有するものである。
【0012】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、上面電極を金を主成分とする材料で構成したもので、この構成によれば、上面電極が金を主成分とする材料で構成されているため、上面電極を薄く形成することができるとともに、絶縁基板のダイシング時においてもバリが発生し難くなり、これにより、薄くて形状の安定した微小サイズのジャンパーチップ部品を提供することができるという作用効果を有するものである。
【0013】
本発明の請求項3に記載の発明は、特に、導体を銀を主成分とする材料で構成したもので、この構成によれば、導体が導電率の高い銀を主成分とする材料で構成されているため、ゼロオームに近い抵抗値が安定して得られるジャンパーチップ部品を提供することができるという作用効果を有するものである。
【0014】
本発明の請求項4に記載の発明は、一次ダイシングラインと二次ダイシングラインを有するシート状の絶縁基板を準備する工程と、前記シート状の絶縁基板の上面に前記一次ダイシングラインを跨ぐように複数対の上面電極を形成する工程と、前記複数対の上面電極を切断するように前記シート状の絶縁基板の上面に前記二次ダイシングラインと略平行に複数の溝を形成する工程と、前記複数対の上面電極を電気的に接続するように前記複数の溝の内部および前記複数対の上面電極間に位置する絶縁基板の上面に導体を形成する工程とを備えたもので、この製造方法によれば、複数対の上面電極を切断するようにシート状の絶縁基板の上面に二次ダイシングラインと略平行に複数の溝を形成するとともに、この複数の溝の内部および複数対の上面電極間に位置する絶縁基板の上面に、複数対の上面電極を電気的に接続するように導体を形成しているため、この複数の溝の部分で導体の厚みが厚くなって抵抗値が下がることになり、これにより、抵抗値の上昇が抑えられてゼロオームに近い抵抗値が安定して得られるジャンパーチップ部品を製造できるという作用効果を有するものである。
【0015】
本発明の請求項5に記載の発明は、特に、複数の溝をレーザーで形成するようにしたもので、この製造方法によれば、複数の溝をレーザーで形成するようにしているため、シート状の絶縁基板上に独立パターンで形成する上面電極のサイズが微小であっても精度良く複数の溝を形成することができ、また、この複数の溝の内部に複数対の上面電極を電気的に接続するように導体を形成しているため、この溝の部分で導体の厚みが厚くなって抵抗値が下がることになり、これにより、抵抗値の上昇が抑えられて、ゼロオームに近い抵抗値が安定して得られるジャンパーチップ部品を製造できるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明のジャンパーチップ部品は、一対の上面電極を切断するように絶縁基板の上面に形成された溝の内部および前記一対の上面電極間に位置する絶縁基板の上面に、前記一対の上面電極を電気的に接続するように導体を形成しているため、絶縁基板の上面に形成された溝の部分で導体の厚みが厚くなって抵抗値が下がることになり、これにより、抵抗値の上昇が抑えられてゼロオームに近い抵抗値が安定して得られるジャンパーチップ部品を製造できるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態におけるジャンパーチップ部品の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施の形態におけるジャンパーチップ部品の断面図、図2(a)〜(c)および図3(a)〜(d)は本発明の一実施の形態におけるジャンパーチップ部品の製造方法を示す製造工程図である。また図4(a)〜(c)は図2(a)〜(c)においてジャンパーチップ部品個片となる領域を拡大した斜視図、図5(a)〜(c)は図4(a)〜(c)のA−A線、B−B線、C−C線における断面図である。
【0019】
図1において、11は純度約96%のアルミナから絶縁基板、12は絶縁基板11の上面の両端部に形成された金レジネートからなる一対の上面電極、13は前記一対の上面電極12を電気的に接続するように形成された厚膜銀ペーストからなる導体である。14は導体13の一部を覆うように設けられた保護層である。15は一対の上面電極12および導体13と電気的に接続されるように絶縁基板11の両端面に形成された一対の端面電極、16は一対の端面電極15の表面に形成されたニッケルめっき層、17はニッケルめっき層16の表面に形成された錫めっき層である。
【0020】
次に図2(a)〜(c)、図3(a)〜(d)、図4(a)〜(c)および図5(a)〜(c)を用いて、本発明の一実施の形態におけるジャンパーチップ部品の製造方法を説明する。
【0021】
まず、図2(a)、図4(a)、図5(a)に示すように、一次ダイシングライン11aと二次ダイシングライン11bを有するシート状の絶縁基板11cを準備し、そしてこのシート状の絶縁基板11cの上面に一次ダイシングライン11aを跨ぐように金レジネートからなる複数対の上面電極12をスクリーン印刷し、ピーク温度850℃の焼成プロファイルで焼成する。この場合、前記複数対の上面電極12は金を主成分としていて厚さ1μm以下と薄く形成することができるため、後述するダイシング時にバリが発生し難く、厚みが薄く形状の安定した微小サイズのジャンパーチップ部品を製造できるという効果を有するものである。なお、この上面電極12は後述する導体13ならびに端面電極15の下地となるため、膜厚が薄く抵抗値が高くても特性的な問題は生じないものである。
【0022】
次に、図2(b)、図4(b)、図5(b)に示すように、複数対の上面電極12を切断するようにシート状の絶縁基板11cに達するまで二次ダイシングライン11bと略平行に、レーザーを用いて複数の溝18を形成する。ここで溝18は、図5(b)に示すように上面電極12を完全に切断し、さらに絶縁基板11の一部を削って絶縁基板11の深さ方向に達するように形成するものである。ここでシート状の絶縁基板11cに形成される溝18の深さは、シート状の絶縁基板11cの強度が低下しないように、シート状の絶縁基板11cの厚みの半分以下とする。また、複数の溝18はレーザー工法を用いて形成するため、シート状の絶縁基板11c上に独立パターンで形成する上面電極12のサイズが微小であっても、精度良く複数の溝18を形成することができるものである。
【0023】
ここで、複数の溝18を形成する部分を避けた形のパターンで上面電極12を形成した方が、上面電極12の材料である金の使用量を削減することができるためコストダウンになるという考え方もあるが、0603や0402等の微小サイズのジャンパーチップ部品を製造する場合には、複数の溝18の部分を避けたパターンを形成しようとしてもスクリーン印刷の精度上対応が困難であるため、ジャンパーチップ部品個片となる領域毎に一対の上面電極12を形成した後にレーザー工法を用いて複数の溝18を形成するものである。
【0024】
次に、図2(c)、図4(c)、図5(c)に示すように、複数の溝18の内部および複数対の上面電極12間に位置するシート状の絶縁基板11cの上面に、複数対の上面電極12を電気的に接続するように銀を主成分とする電極ペーストからなる導体13をスクリーン印刷し、ピーク温度850℃の焼成プロファイルで焼成する。この場合、図5(c)に示すように、上面電極12を切断するように絶縁基板11の一部を削って絶縁基板11に達するまで形成された溝18の内部に導体13を形成しているため、この溝18の部分においては銀からなる導体13の厚みが厚くなって導体13の抵抗値が下がることになり、これにより、抵抗値の上昇が抑えられて、ゼロオームに近い抵抗値が安定して得られるジャンパーチップ部品を製造できるものである。また、従来の構成である溝18を有しない構成と比べると、上面電極12と導体13が互いに接触する面積も少なくなるため、金からなる上面電極12と銀からなる導体13が互いに反応して合金化することによる抵抗値の上昇も抑制することができるものである。なお、導体13は厚く形成する方が抵抗値がゼロオームに近くなるが、ジャンパーチップ部品の寸法精度の問題もあるので絶縁基板11の厚みに対して極端に厚く形成することは避ける必要があり、このため、導体13の厚みは5〜10μmに制御することが望ましい。
【0025】
次に、図3(a)に示すように、導体13を覆うように、樹脂またはガラスからなる保護層14を形成する。この場合、保護層14は図1に示すように、導体13の両端部を覆わないように形成して上面電極12を覆わないようにするものである。なぜならば、上面電極12は厚みが薄く抵抗値が高いため、保護層14で上面電極12を覆ってしまうと金レジネートで薄く形成した上面電極12の高い抵抗値の影響を受けてしまい、ジャンパーチップ部品の必須条件であるゼロオームに近い抵抗値が得られなくなるからである。
【0026】
次に、図3(b)に示すように、ダイシングブレード19を用いて一次ダイシングライン11aに沿ってシート状の絶縁基板11cを切断し、短冊状の基板を得る。
【0027】
次に、図3(c)に示すように、短冊状基板11dの端面に上面電極12および導体13と電気的に接続されるように、銀を主成分とする導電性ペーストを塗布することによって端面電極15を形成する。なお、端面電極15は導電性ペーストに限定されるものではなく、抵抗値の低い材料を用いてスパッタで形成してもよいものである。その後、ダイシングブレード19を用いて二次ダイシングライン11bに沿って短冊状基板11dを切断し、個片状の基板を得る。
【0028】
最後に、図3(d)に示すように、個片状基板11eの端面電極15にニッケルめっき層(図示せず)と錫めっき層17をバレルめっき法によって形成し、本発明の一実施の形態におけるジャンパーチップ部品を製造するものである。
【0029】
上記した本発明の一実施の形態における製造方法によって製造されたジャンパーチップ部品は、上面電極12を切断するように絶縁基板11の一部を削って絶縁基板11に達するまで形成された溝18の内部に導体13を形成しているため、絶縁基板11に達するまで形成された溝18の部分で導体13の厚みが厚くなって抵抗値が下がることになり、これにより、抵抗値の上昇が抑えられてゼロオームに近い抵抗値が安定して得られるという優れた効果を奏するものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係るジャンパーチップ部品およびその製造方法は、絶縁基板の上面に形成された溝の部分で導体の厚みが厚くなって抵抗値が下がることになり、これにより、抵抗値の上昇が抑えられてゼロオームに近い抵抗値が安定して得られるという効果を有するものであり、特に微小サイズのジャンパーチップ部品に適用することにより有用となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態におけるジャンパーチップ部品を示す断面図
【図2】(a)〜(c)同チップ抵抗器の製造方法を示す製造工程図
【図3】(a)〜(d)同チップ抵抗器の製造方法を示す製造工程図
【図4】(a)〜(c)図2の要部拡大斜視図
【図5】(a)〜(c)図4の要部拡大断面図
【図6】(a)〜(c)従来のチップ抵抗器の製造方法を示す製造工程図
【符号の説明】
【0032】
11 絶縁基板
11a 一次ダイシングライン
11b 二次ダイシングライン
11c シート状の絶縁基板
12 上面電極
13 導体
18 溝
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年7月12日(2006.7.12)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−21775(P2008−21775A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−191408(P2006−191408)