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【発明の名称】 可変抵抗器
【発明者】 【氏名】増田 文年

【要約】 【課題】安価に製造することができてコネクタに接続可能とした可変抵抗器を得る。

【構成】可変抵抗器本体10とブラケット20とからなる可変抵抗器。可変抵抗器本体10は、抵抗体を表面に設けた絶縁基板1と、摺動子を取り付けたロータ4と、複数の端子5と、カバーと、を備えている。端子5は絶縁基板1にインサートモールドされ、両側の端子5の一端が抵抗体に電気的に接続されるとともに、他端の引出し部が絶縁基板1の同一側面から導出し、引出し部の中央部付近に曲げ加工(リブ加工)による曲げ部9を有している。端子5は厚みが均一な薄板で構成され、表面実装用端子としても機能し、コネクタへの挿入実装用端子としても機能する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗体を表面に設けた絶縁基板と、前記絶縁基板に埋設され、一端が前記抵抗体に電気的に接続されるとともに他端が前記絶縁基板から突出した端子と、前記抵抗体上を摺動するように回転自在に取り付けられた摺動子と、前記絶縁基板及び前記摺動子を保護するためのカバーと、を有する可変抵抗器本体と、
前記可変抵抗器本体を収納する収納部と、相手側コネクタのハウジングを保持するための保持部と、基板への取付け部と、を有するブラケットと、を備え、
前記端子は厚みが均一な薄板で構成され、かつ、相手側コネクタのターミナルと弾性的に接続するための曲げ部が設けられていること、
を特徴とする可変抵抗器。
【請求項2】
前記ブラケットは前記可変抵抗器本体の絶縁基板又はカバーに設けた位置決めピンにカシメ構造にて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の可変抵抗器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、可変抵抗器、特に、コネクタにも接続可能な可変抵抗器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、可変抵抗器はプリント基板に直接的に実装するように構成されているが、この種の可変抵抗器をコネクタに電気的に接続してプリント基板に取り付ける場合がある。この場合、可変抵抗器を何らかの方法でプリント基板に対して機械的に固定する必要がある。その例として、特許文献1には、絶縁基板上に設けられた抵抗体との接続部、中間部及び絶縁基板から突出する引出し部からなるコネクタ接続用端子を備えた可変抵抗器が記載されている。このコネクタ接続用端子の引出し部がコネクタに接続されることにより、プリント基板と可変抵抗器との電気的接続が確保されると同時に、可変抵抗器のカバーに形成した保持部にコネクタを保持することで可変抵抗器がプリント基板に機械的にかつ間接的に固定される。
【0003】
しかしながら、前述のごとく可変抵抗器のカバーの構造をコネクタ接続専用品にすると、コネクタ接続タイプ以外の可変抵抗器との部品共用化や加工標準化ができず、製造コストが上昇するという問題点を有している。また、特許文献1のコネクタ接続用端子は、引出し部の厚みを中間部よりも厚くしている。中間部を薄くすることで接続部及び引出し部に不要な力を加えることなく、可変抵抗器の薄型化を実現しようとするものである。ところが、このために引出し部を折り畳んで引出し部の厚みを厚くすることは特別な加工を要するため、さらに製造コストを上昇させる要因となる。
【特許文献1】特開2002−313607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、安価に製造することができてコネクタに接続可能とした可変抵抗器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明に係る可変抵抗器は、
抵抗体を表面に設けた絶縁基板と、絶縁基板に埋設され、一端が前記抵抗体に電気的に接続されるとともに他端が絶縁基板から突出した端子と、抵抗体上を摺動するように回転自在に取り付けられた摺動子と、絶縁基板及び摺動子を保護するためのカバーと、を有する可変抵抗器本体と、
可変抵抗器本体を収納する収納部と、相手側コネクタのハウジングを保持するための保持部と、基板への取付け部と、を有するブラケットと、を備え、
端子は厚みが均一な薄板で構成され、かつ、相手側コネクタのターミナルと弾性的に接続するための曲げ部が設けられていること、
を特徴とする。
【0006】
本発明に係る可変抵抗器においては、別部材のブラケットを可変抵抗器本体に取り付けることにより、量産用の可変抵抗器がコネクタ対応型の可変抵抗器となる。さらに、このブラケットが相手側コネクタのハウジングを保持することによって、相手側コネクタのターミナルと端子との接続が容易になる。
【0007】
そして、ブラケットは可変抵抗器本体の絶縁基板又はカバーに設けた位置決めピンにカシメ構造にて固定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、別部材のブラケットを可変抵抗器本体に取り付けることにより、量産用の可変抵抗器をコネクタ対応型の可変抵抗器に容易に変更でき、製造コストを低減できる。さらに、このブラケットは相手側コネクタのハウジングを保持することによって、相手側コネクタのターミナルと端子との接続を容易にできる。そして、端子の引出し部に曲げ部が設けられていることにより、厚みを変更することなく相手側コネクタのターミナルと弾性的に接続することができ、製造コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明に係る可変抵抗器の実施例について添付図面を参照して説明する。
【0010】
図1に、可変抵抗器21と相手側コネクタ31の外観を示す。可変抵抗器21は、可変抵抗器本体10とブラケット20とからなる。図2及び図6に示すように、可変抵抗器本体10は、概略、抵抗体2を表面に設けた絶縁基板1と、摺動子3を取り付けたロータ4と、複数の端子5と、カバー6とを備えている。
【0011】
絶縁基板1の中央部にはロータ4の回転軸受け穴が形成されており、抵抗体2は回転軸受け穴の周囲に略円弧状に配設されている。絶縁基板1は、はんだ付けの熱に耐え、高温雰囲気で安定動作を可能にするため、耐熱性熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられる。
【0012】
三つの端子5は全て絶縁基板1にインサートモールドされ、中央の端子5の一端がロータ4に電気的に接続され、両側の端子5の一端が抵抗体2に電気的に接続されている。三つの端子5の全ての他端の引出し部が絶縁基板1の同一側面から導出している。端子5は厚みが均一な薄板で構成され、引出し部の中央部付近に曲げ加工(リブ加工)による曲げ部9を有している。これらの端子5は、可変抵抗器本体10を単独で、即ち、ブラケット20を用いることなく、プリント基板に実装するための表面実装用端子としても機能し、かつ、以下に説明するようにコネクタ31への接続用端子としても機能する。端子5は、銅合金又は不錆鋼などの良導電性の薄板からなり、はんだ濡れ性を向上させるため、引出し部に金や銀などの貴金属めっき、はんだめっき、錫めっきなどの表面処理を行うことが望ましい。
【0013】
ロータ4は、絶縁基板1の回転軸受け穴に挿通され、回転自在な状態で取り付けられており、回転操作される係合穴4aが形成されている。さらに、ロータ4の外周縁部には、良好な導電性とバネ特性とを有する金属、例えば銅合金、不錆鋼又は貴金属系合金などの薄板からなる半円弧状の摺動子3がロータ4と一体的に設けられ、この摺動子3の中央部には抵抗体2上に弾性的に接触する接点部が形成されている。
【0014】
カバー6は、絶縁基板1の表面を覆うように配設され、抵抗体2や摺動子3やロータ4などを保護する。
【0015】
図3に示すように、ブラケット20は、可変抵抗器本体10を収納する収納部11、相手側コネクタ31のハウジング33を保持するための左右の保持部12、及び、図示しないプリント基板などへの取付け部14を備えている。取付け部14には、可変抵抗器21をプリント基板などにねじ止めするための取付け穴14aが形成されている。
【0016】
収納部11の略中央部には、可変抵抗器本体10のロータ4を露出させるための円形開口部15が設けられている。円形開口部15の周囲には、可変抵抗器本体10の位置決めピン8に嵌合する四つの穴16が設けられている。さらに、二つの保持部12の対向面には、相手側コネクタ31の抜け防止のための係止部13が形成されている。
【0017】
収納部11の高さは、可変抵抗器本体10の厚み寸法以上とする。これにより、ブラケット20と可変抵抗器本体10との間に隙間が形成され、可変抵抗器21をプリント基板にねじ止め実装した際に、可変抵抗器本体10をブラケット20とプリント基板で挟み込んで締め付けるおそれがなくなる。この結果、可変抵抗器21の動作不良が発生しない。
【0018】
ブラケット20は、板厚が薄くても十分な機械的強度を得ることができる金属からなることが望ましい。例えば、ステンレススチール、黄銅などの銅合金、鉄板などが用いられる。銅合金や鉄板の場合には、錫やニッケルなどで表面処理を行うとよい。また、ブラケット20は樹脂製であってもよく、はんだ付けの熱に耐え、高温雰囲気で安定動作を可能にするため、耐熱性熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を好適に用いることができる。例えば、液晶(LCP)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアミド樹脂などが用いられる。
【0019】
可変抵抗器本体10とブラケット20は、絶縁基板1の裏面側に設けた位置決めピン8によるカシメ構造で固定されている。即ち、ブラケット20の収納部11に可変抵抗器本体10を収納すると、可変抵抗器本体10の位置決めピン8がブラケット20の穴16を挿通して突出する。ピン8の先端を図4(A)に示すようにカシメることによって抜け止めを図る。カシメ方法としては、冷間カシメ、熱カシメ、超音波カシメなどがある。また、カシメによる方法ではなく、位置決めピン8の中央部を縦割して広げる方法であってもよい。
【0020】
なお、図4(B)に示すように、ブラケット20に座ぐり穴18を形成すれば、ブラケット20の厚みを厚くして機械的強度を向上させるとともに、可変抵抗器21の高さ寸法を抑えることができる。
【0021】
あるいは、図6に示すように、カバー6の表面側に設けた位置決めピン7をブラケット20の穴に挿通させて突出させた後、該位置決めピン7の先端をカシメるようにしてもよい。
【0022】
図5(A)はこうして得られた可変抵抗器21の一部を切り欠いた底面図、図5(B)はI−I断面図である。この可変抵抗器21は、回転軸をロータ4の係合穴4aに係合させ、ロータ4が回動することで抵抗値に基づいて回転角度を検出する。ブラケット20は可変抵抗器本体10を保護するので、プリント基板などに実装された可変抵抗器21を外部ストレスから守り、可変抵抗器21の電気特性を安定させる。
【0023】
一方、図1に示す相手側コネクタ31は、ハウジング33内に三つのターミナル32(図7(A)参照)を収納している。ターミナル32のそれぞれはハウジング33の一方の端面から引き出されているリード線36に電気的に接続している。ハウジング33の左右の側面には、それぞれガイドレール34と抜け止め用突起35が設けられている。
【0024】
相手側コネクタ31は、ガイドレール34を案内にしてブラケット20の保持部12に挿入され、抜け止め用突起35と係止部13とが嵌合することによって保持される。これにより、図7(B)に示すように、可変抵抗器21の端子5がターミナル32に圧入され、電気的に接続される。
【0025】
以上の構成からなる可変抵抗器21は、可変抵抗器本体10として標準のものを使用してコネクタ31に接続でき、製造コストを低減できる。そして、可変抵抗器本体10を単独でプリント基板に表面実装する場合には、端子5をプリント基板に直接にはんだ付けして、可変抵抗器本体10をプリント基板に電気的及び機械的に接続することができる。
【0026】
詳しくは、端子5をコネクタ接続用として使用する場合には、別部材のブラケット20を可変抵抗器本体10に取り付け、取付け部14にてプリント基板に機械的に固定する。そして、端子5を相手側コネクタ31に挿入することにより、可変抵抗器本体10をプリント基板などに電気的に接続する。これにより、標準の可変抵抗器本体10をコネクタ対応型の可変抵抗器21に容易に変更でき、製造コストを低減できる。
【0027】
さらに、ブラケット20は相手側コネクタ31のハウジング33を保持することによって、相手側コネクタ31のターミナル32と端子5との接続を容易に確保できる。そして、端子5の引出し部に曲げ部9を設けることにより、端子5の厚みを変更することなく、ターミナル32と弾性的に接続することができ、製造コストを低減できる。
【0028】
なお、本発明に係る可変抵抗器は、前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0029】
例えば、端子5の引出し部に形成される曲げ部は、図8(A)に示すように、端子幅方向に頂部が延在する曲げ加工による曲げ部51であってもよい。また、図8(B)に示すように、平坦状に一方に突出した曲げ加工による曲げ部52であってもよい。あるいは、図8(C)に示すように、端子長さ方向に頂部が延在する曲げ加工による曲げ部53であってもよい。さらに、これらの曲げ加工位置は、引出し部の略中央部に限定したものであってもよいし、先端部まで達するものであってもよい。
【0030】
また、図9に示すように、ブラケット20の保持部12にコネクタのハウジング抜け止め係止部13を設ける代わりに、片持ち構造の弾性を有するコネクタのハウジング抜け止め部材60を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る可変抵抗器の一実施例を示す斜視図である。
【図2】可変抵抗器本体を示し、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は底面図である。
【図3】ブラケットを示し、(A)は底面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【図4】ブラケットの取付けカシメ部を示し、(A)は第1例の断面図、(B)は第2例の断面図である。
【図5】可変抵抗器を示し、(A)は一部を切り欠いた底面図、(B)はI−I断面図である。
【図6】可変抵抗器本体の一部を切り欠いた斜視図である。
【図7】相手側コネクタのターミナルを示し、(A)は接続前の断面図、(B)は接続後の断面図である。
【図8】端子の曲げ部の変形例を示す斜視図である。
【図9】ブラケットの変形例を示し、(A)は底面図、(B)は側面図である。
【符号の説明】
【0032】
1…絶縁基板
2…抵抗体
3…摺動子
4…ロータ
5…端子
6…カバー
7,8…位置決めピン
9…曲げ部
10…可変抵抗器本体
11…収納部
12…保持部
14…取付け部
20…ブラケット
21…可変抵抗器
31…相手側コネクタ
32…ターミナル
33…ハウジング
【出願人】 【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100091432
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 武一


【公開番号】 特開2008−16512(P2008−16512A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183772(P2006−183772)