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【発明の名称】 透明導電膜形成方法及び透明導電膜
【発明者】 【氏名】廣瀬 達也
【氏名】遠山 尚秀
【氏名】橋本 伸久
【氏名】近藤 慶和
【課題】低抵抗、高透過率な透明導電膜を低温での形成が可能な透明導電膜形成方法と、それにより得られる透明導電膜を提供すること。

【構成】透明導電膜形成材料を含有する液体を基材に付与し、該基材上に付与された透明導電膜形成材料を含有する液体を大気圧または大気圧近傍の圧力下で大気圧プラズマ処理することにより透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法であって、該大気圧プラズマ処理が対向する電極間に酸化ガスを含有するガス1を供給し、該電極間に高周波電界を発生させることによってガス1を励起ガス1とし、該励起ガス1に透明導電膜形成材料を含有する液体を晒す工程1と、対向する電極間に還元ガスを含有するガス2を供給し、該電極間に高周波電界を発生させることによってガス2を励起ガス2とし、該励起ガス2に工程1により形成された薄膜を晒す工程2とを含むことを特徴とする透明導電膜形成方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明導電膜形成材料を含有する液体を基材に付与し、該基材上に付与された透明導電膜形成材料を含有する液体を大気圧または大気圧近傍の圧力下で大気圧プラズマ処理することにより透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法であって、該大気圧プラズマ処理が対向する電極間に酸化ガスを含有するガス1を供給し、該電極間に高周波電界を発生させることによってガス1を励起ガス1とし、該励起ガス1に透明導電膜形成材料を含有する液体を晒す工程1と、対向する電極間に還元ガスを含有するガス2を供給し、該電極間に高周波電界を発生させることによってガス2を励起ガス2とし、該励起ガス2に工程1により形成された薄膜を晒す工程2とを含むことを特徴とする透明導電膜形成方法。
【請求項2】
前記酸化ガスが酸素または炭酸ガスであることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項3】
前記還元ガスが水素、アンモニアまたはメタンであることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項4】
前記ガス1及びガス2が窒素、アルゴン、ヘリウムのうち1種類以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項5】
前記透明導電膜形成材料が金属原子含有化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項6】
前記金属原子含有化合物の金属原子がIn、Ga、Al、Sn、Ge、Sb、Bi及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項5に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項7】
前記透明導電膜形成材料を含有する液体がアルコールを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項8】
前記透明導電膜形成材料を含有する液体を液滴として基材上に付与することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項9】
前記基材の温度が150℃以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項10】
前記基材が樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項11】
透明導電膜形成材料を含有する液体を基材に付与し、該基材上に付与された透明導電膜形成材料を含有する液体を大気圧または大気圧近傍の圧力下で大気圧プラズマ処理することにより透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法であって、該大気圧プラズマ処理が対向する電極間に酸化ガスと還元ガスを含有するガス3を供給し、該電極間に高周波電界を発生させることによってガス3を励起ガス3とし、該励起ガス3に透明導電膜形成材料を含有する液体を晒すことを特徴とする透明導電膜形成方法。
【請求項12】
前記酸化ガスが酸素または炭酸ガスであることを特徴とする請求項11に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項13】
前記還元ガスが水素、アンモニアまたはメタンであることを特徴とする請求項11または12に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項14】
前記ガス3が窒素、アルゴン、ヘリウムのうち1種類以上を含有することを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項15】
前記透明導電膜形成材料が金属原子含有化合物であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項16】
前記金属原子含有化合物の金属原子がIn、Ga、Al、Sn、Ge、Sb、Bi及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項15のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項17】
前記透明導電膜形成材料を含有する液体がアルコールを含有することを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項18】
前記透明導電膜形成材料を含有する液体を液滴として基材上に付与することを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項19】
前記基材の温度が150℃以下であることを特徴とする請求項11〜18のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項20】
前記基材が樹脂フィルムであることを特徴とする請求項11〜19のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法で形成されることを特徴とする透明導電膜。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、プラズマディスプレイパネル、電子ペーパー、タッチパネルや太陽電池等の各種エレクトロニクス素子に好適に用いられる透明導電膜及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より低電気抵抗(低比抵抗値)で、高い可視光透過率の透明導電膜を有する物品、例えば、透明導電性フィルムは液晶画像表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(以降、有機ELと略記する)画像表示装置、プラズマディスプレイパネル、電界放出型ディスプレイ等のフラットディスプレイの透明電極、太陽電池の透明電極、電子ペーパー、タッチパネル、電磁波シールド材、赤外線反射膜等多くの分野に利用されている。
【0003】
特に有機EL画像表示装置では自発光で低消費電力であることから、液晶ディスプレイで用いられるバックライトや照明灯への適用が検討されている。しかしながら、発光面積が大きくなると、透明導電膜の抵抗値に起因する発光ムラが発生する。これを解決するためには、表面抵抗値として10Ω/□以下、望ましくは5Ω/□以下の低抵抗な透明導電膜が必要とされる。一般に、透明導電膜の膜厚を厚くすると抵抗率は小さくなるが、その反面、可視光領域における光透過率が低下し、ディスプレイ用途として致命的な問題となるため、低抵抗化と高い可視光透過率の両立を図ることが困難であった。
【0004】
上記課題に対し、銀元素等の金属薄膜と錫をドープした酸化インジウム等の酸化物透明導電膜との積層構造とし、更に干渉効果を付与させることにより、低抵抗化と可視光透過率を改良する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1で開示されている方法では、低抵抗化と高い可視光透過率の両立を図るという点では決して充分な品質にはなく、特に有機EL画像表示装置に適用した際には、発光部が薄膜構成であるが故に金属薄膜と酸化物透明導電膜との界面で全反射を起こし、発光効率が低下するという課題を抱えている。
【0005】
一方、透明導電膜としては、SnO2、In23、CdO、ZnO、SbドープSnO2、FドープSnO2、AlドープZnO、SnドープIn23等の酸化物またはドーパントによる複合酸化物膜がある。
【0006】
中でも、錫をドープした酸化インジウム(以降、ITOという場合がある)膜が優れた電気特性とエッチングによる加工の容易さから最も広く使用されているが、ITOのような透明導電膜は主に塗布に代表される湿式製膜法か、あるいはスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の真空製膜法によって形成されていた。真空蒸着法やスパッタリング法は低抵抗な透明導電膜を得ることができ、工業的にはDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて比抵抗値が10-4Ω・cmオーダーの優れた導電性を有するITO膜を得ることができる。
【0007】
しかしながら、これらの物理的製作法(PVD法)は、真空中で目的物質を基板に堆積させて膜を成長させるものであり、真空容器を使用しなければならず、そのために装置が大がかりで高価となり、また原料の使用効率が悪くて生産性が低く、大面積の膜を得ることも困難であった。更に低抵抗品を得るためには製膜時に200〜300℃に加熱する必要があり、プラスチックフィルム上に低抵抗の透明導電膜を形成することは困難である。
【0008】
また、ゾルゲル法(塗布法)は分散調液、塗布、乾燥といった多くのプロセスが必要であるだけでなく、被処理基材との接着性が低いためにバインダー樹脂を使用することが必要で、透明性が悪くなってしまう。また、得られた透明導電膜の電気特性もPVD法を用いた場合に比較すると劣っている。
【0009】
また、熱CVD法は気化した原材料、あるいは原材料溶液を基材に吹きつけ、熱分解させることで膜を形成するものであり、装置が簡単で生産性に優れ、大面積の成膜が容易に行えるという利点があるが、通常、焼成時に400℃から500℃での高温処理を必要とするため使用する基材が限られてしまうという問題点を有していた。特に、プラスチックフィルム基材への成膜は困難であった。
【0010】
In、Sn、Sb、Al、Znから選ばれる金属微粒子(または、これらの合金微粒子)、及びITO微粒子などの金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散した分散液を基材に塗布後、焼成を高温で真空雰囲気、あるいは酸化ガス雰囲気等で行って透明導電膜を得る技術(例えば、特許文献2参照。)、また高温基材上にInCl3、SnCl4のアルコール溶液を塗布し、熱分解反応を起こさせて、基材上に酸化物微粒子のITO膜を形成する技術(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
【0011】
本発明者等は国際公開第02/48428号パンフレットや特開2004−68143号公報により、大気圧プラズマ法を用いることでこれらが両立できることを提案した。しかしながら、薄膜形成材料から薄膜を得るときの収率を更に高めることが望ましく、また透明導電膜の求められる低抵抗化と高い可視光透過率として、更に高いものが求められている。
【特許文献1】特開2005−93441号公報
【特許文献2】特開2005−243249号公報
【特許文献3】特開2004−311174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、低抵抗、高透過率な透明導電膜を低温での形成が可能な透明導電膜形成方法と、それにより得られる透明導電膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0014】
1.透明導電膜形成材料を含有する液体を基材に付与し、該基材上に付与された透明導電膜形成材料を含有する液体を大気圧または大気圧近傍の圧力下で大気圧プラズマ処理することにより透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法であって、該大気圧プラズマ処理が対向する電極間に酸化ガスを含有するガス1を供給し、該電極間に高周波電界を発生させることによってガス1を励起ガス1とし、該励起ガス1に透明導電膜形成材料を含有する液体を晒す工程1と、対向する電極間に還元ガスを含有するガス2を供給し、該電極間に高周波電界を発生させることによってガス2を励起ガス2とし、該励起ガス2に工程1により形成された薄膜を晒す工程2とを含むことを特徴とする透明導電膜形成方法。
【0015】
2.前記酸化ガスが酸素または炭酸ガスであることを特徴とする前記1に記載の透明導電膜形成方法。
【0016】
3.前記還元ガスが水素、アンモニアまたはメタンであることを特徴とする前記1または2に記載の透明導電膜形成方法。
【0017】
4.前記ガス1及びガス2が窒素、アルゴン、ヘリウムのうち1種類以上を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0018】
5.前記透明導電膜形成材料が金属原子含有化合物であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0019】
6.前記金属原子含有化合物の金属原子がIn、Ga、Al、Sn、Ge、Sb、Bi及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする前記5に記載の透明導電膜形成方法。
【0020】
7.前記透明導電膜形成材料を含有する液体がアルコールを含有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0021】
8.前記透明導電膜形成材料を含有する液体を液滴として基材上に付与することを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0022】
9.前記基材の温度が150℃以下であることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0023】
10.前記基材が樹脂フィルムであることを特徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0024】
11.透明導電膜形成材料を含有する液体を基材に付与し、該基材上に付与された透明導電膜形成材料を含有する液体を大気圧または大気圧近傍の圧力下で大気圧プラズマ処理することにより透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法であって、該大気圧プラズマ処理が対向する電極間に酸化ガスと還元ガスを含有するガス3を供給し、該電極間に高周波電界を発生させることによってガス3を励起ガス3とし、該励起ガス3に透明導電膜形成材料を含有する液体を晒すことを特徴とする透明導電膜形成方法。
【0025】
12.前記酸化ガスが酸素または炭酸ガスであることを特徴とする前記11に記載の透明導電膜形成方法。
【0026】
13.前記還元ガスが水素、アンモニアまたはメタンであることを特徴とする前記11または12に記載の透明導電膜形成方法。
【0027】
14.前記ガス3が窒素、アルゴン、ヘリウムのうち1種類以上を含有することを特徴とする前記11〜13のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0028】
15.前記透明導電膜形成材料が金属原子含有化合物であることを特徴とする前記11〜14のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0029】
16.前記金属原子含有化合物の金属原子がIn、Ga、Al、Sn、Ge、Sb、Bi及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする前記15のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0030】
17.前記透明導電膜形成材料を含有する液体がアルコールを含有することを特徴とする前記11〜16のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0031】
18.前記透明導電膜形成材料を含有する液体を液滴として基材上に付与することを特徴とする前記11〜17のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0032】
19.前記基材の温度が150℃以下であることを特徴とする前記11〜18のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0033】
20.前記基材が樹脂フィルムであることを特徴とする前記11〜19のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法。
【0034】
21.前記1〜20のいずれか1項に記載の透明導電膜形成方法で形成されることを特徴とする透明導電膜。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、低温での透明導電膜形成が可能な透明導電膜形成方法が提供でき、それによって低抵抗、高透過率な透明導電膜を得ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明者は鋭意検討の結果、基材上に透明導電膜形成材料を含有する液体を付与し、該液体を特定の方法で大気圧プラズマ処理することにより、低抵抗、高透過率な透明導電膜を効率的に、且つ低温でも可能な透明導電膜形成方法が得られることを見出した。更に、使用するガスの酸化力、還元力をコントロールすることで様々な目的に合った透明導電膜を形成することができる。
【0037】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0038】
(大気圧プラズマ処理)
本発明は、大気圧または大気圧近傍の圧力下の大気圧プラズマ処理において、対向する電極間に酸化ガスを含有するガス1を供給し、該電極間に高周波電界を発生させることによってガス1を励起ガス1とし、該励起ガス1に透明導電膜形成材料を含有する液体を晒す工程1と、対向する電極間に還元ガスを含有するガス2を供給し、該電極間に高周波電界を発生させることによってガス2を励起ガス2とし、該励起ガス2に工程1により形成された薄膜を晒す工程2を行うことを特徴とする。
【0039】
ここで、酸化ガスは酸化性雰囲気を形成するところの、分子内に酸素を含む化学的酸化性を有するガスであり、還元ガスは還元的雰囲気を形成するところの、化学的還元性を有するガスである。また、晒す工程とは接触させる工程である。
【0040】
また、該大気圧プラズマ処理が対向する電極間に酸化ガスと還元ガスを含有するガス3を供給し、該電極間に高周波電界を発生させることによってガス3を励起ガス3とし、該励起ガス3に透明導電膜形成材料を含有する液体を晒すことを特徴とする。
【0041】
大気圧プラズマ処理に用いられる電極、電極間に供給されるガス、高周波電界の発生のさせ方等については、国際公開第02/48428号パンフレットや特開2004−68143号公報に記載のものを用いることができる。
【0042】
大気圧もしくはその近傍の圧力下の圧力とは、90〜110kPa程度であり、93〜104kPaが好ましい。
【0043】
電極としては、金属母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。少なくとも対向する印加電極とアース電極の片側に誘電体を被覆すること、更に好ましくは対向する印加電極とアース電極の両方に誘電体を被覆することである。誘電体としては比誘電率が6〜45の無機物であることが好ましく、このような誘電体としてはアルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいはケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。
【0044】
本発明において、電極間に供給するガスは、酸化ガスを含有するガス1、及び還元ガスを含有するガス2、または酸化ガスと還元ガスを含有するガス3であり、酸化ガスとしては酸素、炭酸ガスが、還元ガスとしては水素、アンモニア、メタンが挙げられる。加えて、ガス1、ガス2、ガス3は窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスのうち1種類以上を含有することが好ましい。ガス1、ガス2、ガス3は電極間に高周波電界を発生させることによって励起ガスとなる。なお、酸化ガス、還元ガスの含有量はガス全量に対して0.01〜5体積%含有させることが好ましく、それによって反応促進され、且つ緻密で良質な透明導電膜を形成することができる。
【0045】
電極間に発生させる高周波電界は断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わないが、本発明の効果を高く得るためには連続したサイン波であることが好ましい。高周波電界の周波数は、好ましくは100〜150MHzである。
【0046】
また、電極間に供給する電力密度は好ましくは1.0W/cm2以上であり、上限値としては好ましくは50W/cm2以下、更に好ましくは20W/cm2以下である。
【0047】
なお、電極間に供給するガスが放電ガスとして窒素を含有する場合は、大きい放電開始電界強度が必要となるため2種類の高周波電界を重畳することが好ましい。このようにすることによって、放電ガスが窒素であっても高密度なプラズマの発生が達成でき、良質な薄膜が得られ、高速に製膜でき、更には安価、且つ安全に運転でき、環境負荷の低減も達成できる。2種類の高周波電界は、以下の関係を満たすことで安定な放電状態を維持することができる。
【0048】
即ち、第1の高周波電界の周波数ω1より第2の高周波電界の周波数ω2が高く、且つ前記第1の高周波電界の強さV1、前記第2の高周波電界の強さV2及び放電開始電界の強さIVとの関係が、V1≧IV>V2、またはV1>IV≧V2を満たすことである。ここで、第1の高周波電界の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることができる。下限は1kHz程度が望ましい。一方、第2の高周波電界の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2の高周波電界の周波数が高い程プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な透明導電膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
【0049】
このように電極間に発生させた電界中に、基材に付与した透明導電膜形成材料を含有する液体もしくは基材に付与する前の前記液体を晒し、活性化して、基材上で薄膜化させる。
【0050】
(透明導電膜形成材料を含有する液体)
透明導電膜形成材料は、形成する薄膜の種類によって適宜選択することができる。
【0051】
本発明に使用する透明導電膜形成材料としては、金属原子含有化合物が好ましく、具体的には金属塩、ハロゲン金属化合物を挙げることができる。金属塩、ハロゲン金属化合物の金属としては、Al、Zn、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Biを挙げることができる。
【0052】
本発明においては、透明導電膜形成材料としては金属塩が最も好ましい。金属塩の中では硝酸塩が好ましい。硝酸塩は高純度品が入手しやすく、また使用時の媒体として好ましい水に対する溶解度が高い。硝酸塩としては、硝酸インジウム、硝酸錫、硝酸亜鉛、硝酸ガリウム等が挙げられる。ハロゲン金属化合物としては、塩素を含むハロゲン金属化合物が挙げられ、具体的には塩化インジウム、塩化錫、塩化アンチモン、塩化亜鉛が挙げらる。
【0053】
本発明において、透明導電膜形成材料は媒体としての液体に溶解または分散させて存在させる。溶解させる方が好ましい。媒体としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、n−ヘキサン等の有機溶媒、水及びこれらの混合溶媒が使用できる。特に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコールが好ましい。
【0054】
本発明において、透明導電膜形成材料を含有する液体は基材上に付与され、もしくは直接に電極間の電界中に供給される。
【0055】
基材上に付与する場合は、ディッピング等の塗布により塗布膜として付与、もしくは噴霧等により液滴として付与するが、液滴として付与することが好ましい。また、直接電界中に供給する場合は液滴として供給する。プラズマ反応性、生産性の観点から、液滴の平均粒径は5μm以下、好ましくは1μm以下である。液滴の平均粒径の測定方法は、液滴群にレーザー光を照射し、そこから発せられる回折・散乱光の強度分布パターンから粒度分布を算出する方法が簡便であり、東日コンピュータアプリケーションズ株式会社のLDSA−1500A等が利用できる。
【0056】
(基材)
本発明に用いられる基材について説明する。
【0057】
本発明に用いられる基材としては、板状、シート状またはフィルム状の平面形状のもの、あるいはレンズその他成形物等の立体形状のもの等の薄膜をその表面に形成できるものであれば特に限定はない。基材が静置状態でも移送状態でもプラズマ状態の混合ガスに晒され、均一の薄膜が形成されるものであれば基材の形態または材質には制限ない。形態的には平面形状、立体形状でもよく、平面形状のものとしてはガラス板、樹脂フィルム等を挙げることができる。材質的には、ガラス、樹脂、陶器、金属、非金属等様々なものを使用できる。具体的には、ガラスとしてはガラス板やレンズ等、樹脂としては樹脂レンズ、樹脂フィルム、樹脂シート、樹脂板等を挙げることができる。
【0058】
樹脂フィルムは、本発明に係る大気圧プラズマ処理装置の電極間または電極の近傍を連続的に移送させて透明導電膜を形成することができるので、スパッタリングのような真空系のようなバッチ式でない大量生産に向き、連続的な生産性の高い生産方式として好適である。
【0059】
樹脂フィルム、樹脂シート、樹脂レンズ、樹脂成形物等成形物の材質としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートのようなセルロースエステル、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリメチルアクリレート、アクリレートコポリマー等を挙げることができる。
【0060】
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でも、ゼオネックスやゼオノア(日本ゼオン(株)製)、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルムのARTON(ジェイエスアール(株)製)、ポリカーボネートフィルムのピュアエース(帝人(株)製)、セルローストリアセテートフィルムのコニカタックKC4UX、KC8UX(コニカミノルタ(株)製)等の市販品を好ましく使用することができる。更にポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルフォン等の固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延製膜、溶融押し出し製膜等の条件、更には縦、横方向に延伸条件等を適宜設定することにより使用することができるものを得ることができる。
【0061】
これらのうち、光学的に等方性に近いセルロースエステルフィルムが光学素子に好ましく用いられる。セルロースエステルフィルムとしては、上記のようにセルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられるものの一つである。セルローストリアセテートフィルムとしては、市販品のコニカタックKC4UX等が有用である。
【0062】
これらの樹脂の表面にゼラチン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂等を塗設したものも使用できる。
【0063】
また、本発明に用いられる基材は上記の記載に限定されない。フィルム形状のものの膜厚としては10〜1000μmが好ましく、より好ましくは40〜200μmである。
【0064】
なお、製膜中の基材の温度は150℃以下、好ましくは120〜150℃が好ましい。
【0065】
(大気圧プラズマ処理装置)
次に、本発明に用いられる大気圧プラズマ処理装置について、図1〜図3を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態はこれらに限られるものではない。
【0066】
図1は、透明導電膜形成材料を含有する液体を液滴として基材上に付与、もしくは電極間に供給する場合に用いられる超音波噴霧器の概略図である。これにより微小液滴(液滴)を形成することができる。図1中、1は超音波噴霧器、11は窒素ガスを導入する導入管、12は液滴原料としての透明導電膜形成材料を含有する液体を貯留する原料貯留部、13は超音波発生部、14は超音波発生部13に接続された電源、15は発生した液滴を放出する放出管である。導入管11から原料貯留部12に窒素ガスを導入し、且つ電源14をONすることにより超音波発生部13から超音波を発生させると、液滴が発生する。このようにして発生した液滴は、放出管15を通って超音波噴霧器1外へ放出され、図示しない大気圧プラズマ装置の適宜の場所において液滴が噴霧されることになる。
【0067】
図2は、超音波噴霧器を備えた枚葉式の大気圧プラズマ処理装置の概略図である。図2中、1は図1と同様の超音波噴霧器である。超音波噴霧器1から下部方向に噴霧された液滴は、噴霧空間Aで基材S上に付与されることになる。21は固定された第1電極、22は基材Sを支持し、図中白矢の方向に反復運動することが可能な第2電極である。第1電極21と第2電極22とは所定のギャップを有して対向して設けられ、このギャップが放電空間D1、D2を構成する。第1電極21と第2電極22は、それぞれ負荷であるフィルタ23A、B、Cと更にマッチングボックス24A、B、Cと、更に高周波電源25Aまたは25Bと接続され、接地されている。フィルタは異なる2種類の高周波電界を前記放電空間で重畳するため、互いの電源に互いの高周波が影響を与えないために挿入するものである。また、マッチングボックスは高周波電源のエネルギーを有効に利用するため、負荷の持つリアクタンス成分をキャンセルし、インピーダンスを補正するために挿入している。
【0068】
高周波電源25Aにより発生させる第1の高周波電界、及び高周波電源25Bにより発生させる第2の高周波電界は、次の関係を満たす。第1の高周波電界の周波数ω1より第2の高周波電界の周波数ω2が高く、且つ前記第1の高周波電界の強さV1、前記第2の高周波電界の強さV2及び放電開始電界の強さIVとの関係がV1≧IV>V2、またはV1>IV≧V2を満たす。前述したように、この関係を満たす2種類の高周波電界を重畳することで、放電開始電界強度が大きい窒素等のガスを用いた場合でも、安定して高密度な放電状態を達成することができ、質の高い製膜を行うことができる。
【0069】
例えば、第1の高周波電界としては周波数100kHzの高周波を、それと対向する第2の高周波電界としては周波数13.56MHzの高周波を用いる。そして、電極間には、窒素ガスに対し酸素ガス0.1体積%、水素ガス1体積%の混合ガスを導入し放電空間を形成させる。
【0070】
ガラス等の基材Sは第2電極22上に載置され、噴霧空間Aと放電空間D1、D2との間を反復移動する。噴霧空間Aでは透明導電膜形成材料を含有した液体の液滴が基材S上に付与される。放電空間D1、D2では窒素等の放電ガスが供給され、2種類の高周波電界が重畳され、高密度なプラズマが発生しており、ここに液滴が付与された基材Sが晒される。これを繰り返すことによって薄膜が形成される。
【0071】
図3は、超音波噴霧器を備えたロール式の大気圧プラズマ処理装置の概略図である。図3中、参照符号で図2と同一であるものは図2で説明した部材と同じである。図3においてSはプラスチックフィルム等の長尺の基材である。基材Sは第2電極であるロール電極22Rの周囲に巻回され、図中の矢印の方向に搬送されている。超音波噴霧器1から噴霧される透明導電膜形成材料を含有する液滴は、噴霧空間Aにおいて基材S上に付与される。その後、第1電極21と第2電極22Rとの間で形成される放電空間D1、D2を液滴が付与された基材Sが通過すると、薄膜が形成される。
【0072】
対向する第1電極及び第2の電極の電極間距離は、電極の一方に誘電体を設けた場合、該誘電体表面ともう一方の電極の導電性の金属質母材表面との最短距離のことを言う。双方の電極に誘電体を設けた場合、誘電体表面同士の距離の最短距離のことを言う。電極間距離は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電界強度の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
【0073】
大気圧プラズマ処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3−4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5−4500
A3 春日電機 15kHz AGI−023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50−4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF−6k
A6 パール工業 200kHz CF−2000−200k
A7 パール工業 400kHz CF−2000−400k
等の市販のものを挙げることができ、いずれも使用することができる。
【0074】
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF−2000−800k
B2 パール工業 2MHz CF−2000−2M
B3 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
B4 パール工業 27MHz CF−2000−27M
B5 パール工業 150MHz CF−2000−150M
等の市販のものを挙げることができ、いずれも好ましく使用できる。
【0075】
なお、上記電源のうち、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。それ以外は連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
【0076】
本発明においては、このような電界を印加して、均一で安定な放電状態を保つことができる電極を大気圧プラズマ処理装置に採用することが好ましい。
【0077】
本発明において、対向する電極間に印加する電力は第2電極(第2の高周波電界)に1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成液滴に与え、薄膜を形成する。第2電極に供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm2、より好ましくは20W/cm2である。下限値は、好ましくは1.2W/cm2である。なお、放電面積(cm2)は電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
【0078】
また、第1電極(第1の高周波電界)にも1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給することにより、第2の高周波電界の均一性を維持したまま、出力密度を向上させることができる。これにより、更なる均一高密度プラズマを生成でき、更なる製膜速度の向上と膜質の向上が両立できる。好ましくは5W/cm2以上である。第1電極に供給する電力の上限値は、好ましくは50W/cm2である。
【0079】
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側(第2の高周波電界)は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
【実施例】
【0080】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0081】
実施例
〔透明導電膜1の作製〕
(透明導電膜形成材料を含有する液体の調製)
金属成分の合計が約0.1mol/L、金属成分中のスズ濃度が5at%となるように塩化インジウム(InCl3・3.5H2O、高純度化学研究所製、純度99.99%)、無機スズ化合物として塩化第一錫(SnCl2・2H2O、高純度化学研究所製、純度99.9%)をエタノール50mlに溶解し5時間攪拌し、塗布液を調合した。
【0082】
(塗布方法)
スプレーイングジャパン製のアトマイジング装置を用いて、基材(ポリエーテルスルフォンフィルム)に前記の透明導電膜形成材料を含有する液体をスプレー塗布した。ノズルは気体と液体とを混合させ液を微粒化し、塗料を液滴として塗布する一般的な2流体ノズルであり、気体を電磁弁等で制御することにより、間歇的に基材に液滴をスプレー塗布することができる。
【0083】
(第1工程のプラズマの形成)
図2に示す大気圧プラズマ処理装置を用いて、供給口に+1kVの直流電界を印加し、上記によりポリエーテルスルフォンフィルムに吹きつけた。図2の大気圧プラズマ処理装置は基材Sを保持する電極22Rに周波数100kHzの高周波電源を接続し、それと対向する棒状電極21A、Bに13.56MHzの高周波電源を接続すると共に電源本体と電極間には、インピーダンス整合をとるためのマッチングボックスを接続している。また、マッチングボックスと電極との間には、共に互いの電流が流れ込まないようにフィルタを設置している。放電空間D1に窒素ガスに対し酸素ガス0.1体積%の混合ガスを導入し、放電を形成した。プラズマガスに晒される部分は、噴霧空間Aの下流に位置するため塗布直後、噴霧された液体はプラズマガスに晒されることになる。
【0084】
(第2工程のプラズマの形成)
酸素ガスに変えて水素ガスを窒素ガスに対し0.1体積%の混合ガスを導入し、放電D2を形成した以外は上記第1工程と同様にして、プラズマを生成した。プラズマガス2に晒される部分は、第1工程の下流に位置するため、第1工程に晒されて形成された透明導電膜がプラズマガス2に晒されることになる。
【0085】
なお、13.56MHzの高周波電源の出力密度は3W/cm2とした。
【0086】
スプレーは間歇式となっており、還元プラズマ空間を抜けるまではスプレー塗布されない形式となっている。これにより塗布、酸化処理、還元処理を繰り返し行え、繰り返し行うことにより所定の膜厚まで製膜することができる。なお、製膜中の基材Sの温度は150℃に維持し保温した。
【0087】
〔透明導電膜2の作製〕
アトマイジング装置を図1に示す超音波噴霧器1を用いて、25℃の上記調製した透明導電膜形成材料を含有する液体を基材に塗布した以外は、透明導電膜1と同様にして透明導電膜2を作製した。また、超音波噴霧装置で発生した液滴を搬送するキャリアガスを間歇的に供給することで液滴を間歇的に供給することができる。
【0088】
〔透明導電膜3の作製〕
透明導電膜1の作製において、図2の大気圧プラズマ処理装置に代えて、図3に示す大気圧プラズマ処理装置30を用いた以外は同様にして、透明導電膜3を作製した。
【0089】
このとき、スプレー塗布装置1で塗布後、第1工程、第2工程でプラズマ処理し、リバースする際にスプレー塗布装置1をとめ、スプレー塗布装置2を起動させ、第1工程に酸化ガスに変えて還元ガスを導入し、第2工程に還元ガスに変えて酸化ガスを導入することにより、塗布、酸化処理、還元処理を実現できる。これを繰り返すことにより、所定の膜厚まで製膜が行える。
【0090】
〔透明導電膜4の作製〕
透明導電膜1の作製において、第1工程の酸素ガスを窒素に対して0.01%にした以外は同様にして、透明導電膜4を作製した。
【0091】
〔透明導電膜5の作製〕
透明導電膜1の作製において、最初、第1工程の酸化ガスが窒素に対して酸素0.01体積%、第2工程の還元ガスが窒素に対して水素0.01体積%で処理し、途中から第1工程の酸化ガスが窒素に対して酸素0.05体積%、第2工程の還元ガスが窒素に対して水素0.01体積%で処理し、更に第1工程の酸化ガスが窒素に対して酸素0.1体積%、第2工程の還元ガスが窒素に対して水素0.01体積%で処理することで、透明導電膜5を作製した。途中でプラズマ処理条件を変えることで、任意に薄膜の性能を変化させることができる。
【0092】
〔透明導電膜6の作製〕
図3に示す大気圧プラズマ処理装置を用いて、供給口に+1kVの直流電界を印加し、透明導電膜1の作製において調製した透明導電膜形成材料を含有する液体をポリエーテルスルフォンフィルムに吹きつけた。図3の大気圧プラズマ処理装置は基材Sを保持する電極22Rに周波数100kHzの高周波電源を接続し、それと対向する棒状電極21に13.56MHzの高周波電源を接続するとともに電源本体と電極間には、インピーダンス整合をとるためのマッチングボックスを接続している。またマッチングボックスと電極との間には、ともに互いの電流が流れ込まないようにフィルタを設置している。放電空間D1に窒素ガスに対し酸素ガス0.1体積%と水素0.1体積%の混合ガスを導入し放電を形成した。プラズマガスに晒される部分は、噴霧空間Aの下流に位置するため塗布直後、噴霧された液体はプラズマガスに晒されることになる。
【0093】
なお、13.56MHzの高周波電源の出力密度は3W/cm2とした。製膜中の基材Sの温度は150℃に維持し保温した。この際、放電空間D2は放電しておらず、スプレー塗布装置2も起動していない。
【0094】
〔透明導電膜7の作製〕
透明導電膜1の作製において、基材温度120℃とした以外は同様にして、透明導電膜7を作製した。
【0095】
〔透明導電膜8の作製〕
透明導電膜3の作製において、基材温度120℃とした以外は同様にして、透明導電膜8を作製した。
【0096】
〔透明導電膜9の作製〕
(透明導電膜形成材料を含有する液体の調製)
金属成分の合計が約0.1mol/L、金属成分中のスズ濃度が5at%となるように硝酸インジウム(In(NO33・3.5H2O、高純度化学研究所製、純度99.99%)、無機スズ化合物として塩化第一錫(SnCl2・2H2O、高純度化学研究所製、純度99.9%)を純水50mlに溶解し5時間攪拌し、塗布液を調合した。
【0097】
上記液体を用い、還元ガスをN2に対し3体積%とした以外は透明導電膜1と同様にして、透明導電膜9を作製した。
【0098】
〔透明導電膜10の作製〕
(透明導電膜形成材料を含有する液体の調製)
金属成分の合計が約0.1mol/L、金属成分中のインジウム濃度が5at%となるように塩化亜鉛(ZnCl2、和光純薬製、純度99.9%)、無機In化合物として塩化インジウム(InCl3・4H2O、高純度化学研究所製、純度99.9%)をエタノール50mlに溶解し5時間攪拌し、塗布液を調合した。
【0099】
上記液体を用いた以外は透明導電膜1と同様にして、透明導電膜10を作製した。
【0100】
〔透明導電膜11の作製〕
ヘリウムガス圧力66.5Paの条件下で、高周波誘導加熱を用いるガス中蒸発法によりSnを6質量%含むIn−Sn合金微粒子を生成する際に、生成過程のIn−Sn合金微粒子にα−テルピネオールとドデシルアミンとの20:1(容量比)の蒸気を接触させ、冷却捕集してIn−Sn合金微粒子を回収し、α−テルピネオール溶媒中に独立した状態で分散している平均粒子径10nmのIn−Sn合金微粒子を20質量%含有する分散液を調製した。この分散液(コロイド液)1容量に対してアセトンを5容量加え、攪拌した。極性のアセトンの作用により分散液中の微粒子は沈降した。2時間静置後、上澄みを除去し、再び最初と同じ量のアセトンを加えて攪拌し、2時間静置後、上澄みを除去した。この沈降物から残留溶媒を完全に除去し、平均粒子径10nmのIn−Sn合金微粒子を作製した。
【0101】
金属微粒子として、上記ガス中蒸発により作製したIn−Snの合金微粒子を使用した。この粒子はその平均粒径が10nmであり、X線回折により酸化されていない合金微粒子であることを確認した。また、Snの含有量は蛍光X線分析により6質量%であった。
【0102】
この微粒子を10質量%の濃度にて有機溶媒(トルエン)中に分散させ、この分散液をスピンコート法によりガラス基材上に塗布した。その後、この塗膜を1×10-3Paの減圧下において、150℃、10minの条件で焼成した。次いで、酸化性雰囲気(大気)中で150℃、60minの焼成を行った。更に水素ガス雰囲気中及び一酸化炭素雰囲気中で焼成し、透明導電膜11を作製した。
【0103】
〔評価〕
得られた透明導電膜について以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0104】
(表面比抵抗)
JIS R 1637に従い、四端子法により表面比抵抗(Ω・cm)を求めた。なお、測定には三菱化学製ロレスタ−GP、MCP−T600を用いた。
【0105】
(透過率)
JIS R 1635に従い、日立製作所製分光光度計1U−4000型を用いて550nmの波長で透過率(%)を測定した。
【0106】
(密着性)
JIS K 5400に準拠した碁盤目試験を行った。形成された薄膜の表面に、片刃のカミソリを用いて、面に対して90度で1mm間隔で縦横に11本ずつの切り込みを入れ、1mm角の碁盤目を100個作成した。この上に市販のセロファン(登録商標)テープを貼り付け、その一端を手でもって垂直に剥がし、切り込み線からの貼られたテープ面積に対する薄膜の剥がされなかった面積の割合(%)を測定し、密着性の評価を行った。
【0107】
【表1】


【0108】
表1に記載の結果より明らかなように、本発明の透明導電膜形成方法で作製した透明導電膜は、比較に対し、優れた表面抵抗特性と高い透過率を有し、且つ基材との密着性に優れていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】超音波噴霧器の一例を示す概略図である。
【図2】枚葉式の大気圧プラズマ処理装置の一例を示す概略図である。
【図3】ロール式の大気圧プラズマ処理装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0110】
1、2 超音波噴霧器
11 導入管
12 原料貯留部
13 超音波発生部
14 電源
15 放出管
21A、B 第1電極
22 第2電極
22R、35 ロール回転電極
23A、B、C フィルタ
24A、B、C マッチングボックス
25A、B 高周波電源
A 噴霧空間
M ガス・液滴
S 基材

特許の図
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタホールディングス株式会社
【出願日】 平成18年7月14日(2006.7.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−21580(P2008−21580A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−193911(P2006−193911)