| 【発明の名称】 |
ZnO透明導電膜及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】安井 寛治
【氏名】齊藤 健次
【氏名】黒木 雄一郎
【氏名】高田 雅介
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| 【要約】 |
【課題】ZnO膜製造時の物理的なダメージを抑制し、残留能力が小さく良好な結晶性を有し、透明性及び導電性等の性状に優れたZnO透明導電膜、及びその低コストで効率の良い製造方法を提供する。
【構成】ZnOを主材料として、アルミニウム及びフッ素を共ドープすることによりZnO透明導電膜を構成する。このZnO透明導電膜は、基板を配置した陽極と、Al2O3を含有するZnOとZnF2をターゲットとして配置した陰極の間にメッシュ状のグリッド電極を設け、陰極に高周波電力を印加することにより基板上に形成することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ZnOを主材料として、アルミニウム及びフッ素がドープされていることを特徴とするZnO透明導電膜。 【請求項2】 アルミニウムのドープ量が1〜5原子%であることを特徴とする請求項1に記載のZnO透明導電膜。 【請求項3】 フッ素のドープ量が0.5〜3原子%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のZnO透明導電膜。 【請求項4】 抵抗率が1×10−3Ωcm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のZnO透明導電膜。 【請求項5】 Al2O3を含有するZnOとZnF2をターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタリングにより基板上にZnO透明導電膜を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のZnO透明導電膜の製造方法。 【請求項6】 基板を配置した陽極と、ターゲットを配置した陰極の間にメッシュ状のグリッド電極を配置し、陰極に高周波電力を印加することにより基板上にZnO透明導電膜を形成することを特徴とする請求項5に記載のZnO透明導電膜の製造方法。 【請求項7】 グリッド電極に−40〜−60Vの負バイアスを印加することを特徴とする請求項6に記載のZnO透明導電膜の製造方法。 【請求項8】 基板温度50〜250℃で基板上にZnO透明導電膜を形成することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のZnO透明導電膜の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ZnOを主材料とする透明導電膜、及びその製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 酸化亜鉛(ZnO)は広いバンドギャップを持ち、可視から赤外域にかけて透明で、還元雰囲気下での耐性に優れた半導体材料である。そして、その優れた特性から、各種ディスプレーデバイスの透明導電膜や、太陽電池の窓層材料等への応用が期待されている。 ZnO膜の堆積方法には、スパッタリング、スプレーパイロリシス、MOCVD、レーザアブレーション法など種々の方法が知られており、その中でもマグネトロンスパッタリング法は、比較的結晶性の良好な大面積の膜を低温で成長させるのに適した方法である。しかしながら、通常のスパッタ法では放電空間で発生する高エネルギー荷電粒子が基板表面に入射することによって膜中に残留応力を発生させると共に、様々な結晶欠陥を生成する。その結果、ドーピング効率の低下やキャリア移動度の減少により低抵抗膜の作製が妨げられる。 【0003】 一方、ZnO薄膜にアルミ、インジウム等を添加物(ドーパント)として加えることにより高い導電性を実現し、透明導電膜として各種電子材料に応用することが知られており、その際に2種以上のドーパントを加えることも提案されている。(例えば、特許文献1、2参照) 【特許文献1】特開2003−104794号公報 【特許文献2】特開2003−41363号公報 【0004】 しかしながら、これら従来の技術によればZnO薄膜の導電性等が実用レベルに到るものを得ることは困難であり、また特許文献2のように2段階の成膜工程を必要とする等、低コストで効率良く所望の性状を有するZnO透明導電膜を製造することは困難であった。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 したがって、本発明はこれら従来技術の問題を解消して、ZnO膜製造時の物理的なダメージを抑制し、残留能力が小さく良好な結晶性を有し、透明性及び導電性等の性状に優れたZnO透明導電膜、及びその低コストで効率の良い製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明では、上記課題を解決するために次の1〜8の構成を採用する。 1.ZnOを主材料として、アルミニウム及びフッ素がドープされていることを特徴とするZnO透明導電膜。 2.アルミニウムのドープ量が1〜5原子%であることを特徴とする1に記載のZnO透明導電膜。 3.フッ素のドープ量が0.5〜3原子%であることを特徴とする1又は2に記載のZnO透明導電膜。 4.抵抗率が1×10−3Ωcm以下であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載のZnO透明導電膜。 5.Al2O3を含有するZnOとZnF2をターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタリングにより基板上にZnO透明導電膜を形成することを特徴とする1〜4のいずれかに記載のZnO透明導電膜の製造方法。 6.基板を配置した陽極と、ターゲットを配置した陰極の間にメッシュ状のグリッド電極を配置し、陰極に高周波電力を印加することにより基板上にZnO透明導電膜を形成することを特徴とする5に記載のZnO透明導電膜の製造方法。 7.グリッド電極に−40〜−60Vの負バイアスを印加することを特徴とする6に記載のZnO透明導電膜の製造方法。 8.基板温度50〜250℃で基板上にZnO透明導電膜を形成することを特徴とする5〜7のいずれかに記載のZnO透明導電膜の製造方法。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、スパッタ法によりZnO膜を製造する際に、膜に発生する物理的なダメージを抑制して、残留応力が小さく良好な結晶性を有するZnO透明導電膜を低コストで効率良く得ることができる。このZnO透明導電膜は、透明性及び導電性等の性状に優れ、各種材料として実用化への途を拓くものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 以下、本発明のZnO透明導電膜の好ましい実施の形態について、図面に基づいて説明する。 図1は、本発明でZnO透明導電膜の製造に使用する高周波マグネトロンスパッタリング装置の1例を示す模式図であり、図2は図1の装置のチャンバの部分拡大模式図である。 【0009】 この高周波マグネトロンスパッタリング装置Aは、チャンバ1、水素ガス供給源2、アルゴンガス供給源3、高周波電源4及び真空ポンプ5により構成されている。 ステンレス製の円筒形チャンバ1内には、上側フランジ11に取り付けられた陽極12、下側フランジ13に取り付けられたターゲット電極となる陰極14、及び亜鉛メッキを施したステンレスメッシュからなるグリッド電極15が配置されている。陽極12及び陰極14はテフロン(登録商標、以下同じ)製のチューブ16によりチャンバ1から絶縁されており、これらの電極内部はパイプ17内に冷却水を流すことによって冷却される。また、グリッド電極15は、アルミナ円筒ガイシ18を用いてチャンバ1のベースプレートから絶縁されている。そして、チャンバ1は編みこみ銅線(図示せず)により接地されている。 【0010】 この装置では、ターゲット上にドープ材料19を配置するために、ターゲット電極14をチャンバ1の下部に配置した。また、ドープ材料19の下方の陰極14内にはSmCo磁石20が設置されている。そして、円筒形ガイシ21上には、基板22を固定したセラミックヒータ23を下向きに設置してある。 【0011】 本発明で使用するドープ材料(ZAOターゲット)19は、ZnO粉末とAl2O3(2重量%)の焼結体であり、熱浴としての銅製のバッキングプレート(図示せず)に固定されている。 【0012】 陽極12は、例えば直径70mm程度の円筒状の平板電極とすることができ、チャンバ1上部のフランジ11に設置される。陽極12の直下にはセラミックヒータ23を下向きに配置し、基板22をセラミックヒータ23にネジ等で固定している。(図2参照) グリッド電極15は、亜鉛メッキを施したステンレスメッシュ材により、例えば円筒状に構成され、アルミナ円筒ガイシ18を挟んで設置されており、直流安定化電源(図示せず)により直流電圧を印加することができる。 【0013】 高周波電源4とチャンバ1の間には、1000pF程度のブロッキングコンデンサ(図示せず)を設け、電力を供給している電極と高周波電力供給部を直流的に分離する。このブロッキングコンデンサの働きにより、陰極14は、セルフバイアスと呼ばれるアース電位からみてマイナスの電位を持つことができる。 【0014】 ZAO膜中へのフッ素のドープは、円板状のフッ化亜鉛タブレットをZAOターゲット上に設置することによって行うことができる。フッ化亜鉛タブレットは、フッ化亜鉛粉末を油圧式加圧成型器により、小さな薄い円板型に成型することによって得ることができる。このフッ化亜鉛タブレットは、ZAOターゲット上のエロージョン領域(スパッタ現象が顕著に生じるターゲットの領域)近傍に配置され、タブレットの数や大きさを選択することにより、膜中に取り込まれるフッ素の量を制御することができる。 【実施例】 【0015】 つぎに、実施例により本発明をさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。 (実施例1) 図1の高周波マグネトロンスパッタリング装置を使用し、陽極12と陰極14の間隔を40mmとし、両電極の中間位置に亜鉛メッキを施したステンレスメッシュからなるグリッド電極15を設置した。 基板22として、有機溶媒で洗浄処理したSi基板(10mm×10mm)及びガラス基板(10mm×10mm)を使用した。陰極14には、ドープ材料としてZnO粉末とAl2O3(2重量%)の焼結体であるZAOターゲット19を配置した。また、ZAOターゲット19上には、ZAO膜中にフッ素をドープするために直径が7mmのフッ化亜鉛タブレットを配置し、タブレットの数を増減することにより膜中に取り込まれるフッ素の量を制御した。 【0016】 チャンバ1内を2.0×10−6Torr程度の減圧にし安定化させた後に、セラミックヒータ23の電源を入れて基板22を100℃に加熱し、アルゴンガス供給源3からチャンバ1内に圧力が2〜10mTorrになるようにアルゴンガスを供給した。電極内に冷却水を流すとともに、グリッド電極15に直流安定化電源により直流電圧(−40Vの負バイアス)を印加した。 チャンバ1内のガス圧が安定化した後に、高周波電源4により陰極14に13.56MHZの高周波電力を印加し、アルゴン放電を起させZAOターゲットをスパッタさせた。チャンバ1内の真空度は10−3Torrのオーダーに設定した。90分間堆積反応を行った後に、得られたアルミニウム、フッ素共ドープ膜(膜圧:0.1μm)について、膜の抵抗率(Ωcm)と膜中のフッ素量との関係を測定した結果を図3に示す。基板として、Si基板とガラス基板を使用した場合において、有意の差異は生じなかった。 【0017】 図3にみられるように、膜中のフッ素量が増加するにつれて、膜の抵抗率は指数関数的に減少し、最小値はアルミニウムのみをドープした場合の約5分の1である、7.8×10−4Ωcmに達した。この抵抗率は、基板温度や放電条件、フッ素含有量等を選択することによって、1×10−4Ωcm以下、望ましくは1×10−5Ωcm程度まで低減することが可能であると思われる。 【0018】 ガラス基板上に堆積させたアルミニウム、フッ素共ドープ膜(フッ素含有量:1原子%)について、島津製作所製の分光光度計「UV−365」を使用して、可視光領域における光透過率を測定した結果を図4に示す。なお、基板を通して測定した光透過率は、膜自体の光透過率とは異なるため、参照光側にガラス基板をセットして測定した。 図4にみられるように、この共ドープ膜は、波長400nm〜800nmにおいて、85%以上の透過率を有していた。また、目視により膜を観察した場合にも無色透明であり、膜中の欠陥準位が減少しているものと考えられる。 【0019】 (実施例2) 実施例1において、基板の加熱温度を50℃とした以外は、実施例1と同様にしてアルミニウム、フッ素共ドープ膜(膜圧:0.1μm)を作製した。得られたアルミニウム、フッ素共ドープ膜について、膜の抵抗率(Ωcm)と膜中のフッ素量との関係を測定した結果を図5に示す。また、ガラス基板上に堆積させたアルミニウム、フッ素共ドープ膜(フッ素含有量:1原子%)について、光透過率を測定した結果を図6に示す。 得られた共ドープ膜は、実施例1の共ドープ膜と同様の性状を有するものであった。 【0020】 上記の例では、基板としてSi基板及びガラス基板を使用し、基板温度50℃及び100℃でアルミニウム、フッ素共ドープ膜を堆積させた例について説明したが、本発明がこれらの例に限定されるものでは無いことは言うまでもない。 基板としては特に制限はなく、金属、金属酸化物、ガラス、セラミックス、プラスチック等、通常スパッタリングにより膜を形成する際に使用される基板はいずれも使用することができる。また、基板の加熱温度も20℃〜500℃程度、好ましくは50℃〜250℃程度の範囲で、適宜選択することができる。 【図面の簡単な説明】 【0021】 【図1】本発明でZnO透明導電膜の製造に使用する高周波マグネトロンスパッタリング装置の1例を示す模式図である。 【図2】図1の装置のチャンバの部分拡大模式図である。 【図3】実施例1で得られたアルミニウム、フッ素共ドープ膜について、膜の抵抗率と膜中のフッ素量との関係を示す図である。 【図4】実施例1で得られたアルミニウム、フッ素共ドープ膜について、光透過率を測定した結果を示す図である。 【図5】実施例2で得られたアルミニウム、フッ素共ドープ膜について、膜の抵抗率と膜中のフッ素量との関係を示す図である。 【図6】実施例2で得られたアルミニウム、フッ素共ドープ膜について、光透過率を測定した結果を示す図である。 【符号の説明】 【0022】 1 チャンバ 2 水素ガス供給源 3 アルゴンガス供給源 4 高周波電源 5 真空ポンプ 11,13 フランジ 12 陽極 14 陰極 15 グリッド電極 16 テフロンチューブ 17 パイプ 18,21 円筒ガイシ 19 ドープ材料 20 磁石 22 基板 23 セラミックヒータ
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| 【出願人】 |
【識別番号】304021288 【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
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| 【出願日】 |
平成18年7月4日(2006.7.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100102299 【弁理士】 【氏名又は名称】芳村 武彦
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| 【公開番号】 |
特開2008−16240(P2008−16240A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月24日(2008.1.24) |
| 【出願番号】 |
特願2006−184089(P2006−184089) |
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