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【発明の名称】 楽器
【発明者】 【氏名】鈴木 秀雄

【要約】 【課題】少ない力でも容易に楽器を操作することができ、自然楽器の音を出力できるようにする。

【解決手段】レバー部23Aと離隔して設けられたタンポ皿23Cはモータ103Aにより駆動される。レバー部23Aにおいて、演奏者が触れる部分に貼り付けられているセンサは、演奏者が操作子に触れた時の圧力を検知する。制御部101が、センサにより検知された圧力に応じてモータ103Aを制御すると、レバー部23Aと離隔して設けられているタンポ皿23Cが動作して音孔23Dが開閉され、楽音が出力される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽器操作子と、
前記楽器操作子に対応した発音部と、
前記発音部を発音させる部材であって前記楽器操作子から離隔して前記楽器に設けられた発音部材と、
前記楽器操作子への作用を検知する検知手段と、
前記楽器操作子に対応した発音部材を駆動する駆動手段と、
前記検知手段により検知された作用に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段と
を有する楽器。
【請求項2】
前記検知手段は前記楽器操作子に加えられた力の大きさを検知し、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された力の大きさに応じて前記駆動手段を制御すること
を特徴とする請求項1に記載の楽器。
【請求項3】
前記楽器操作子は、回動軸を中心にして回動可能となっており、
前記検知手段は、前記楽器操作子の前記回動軸における回転角度を検知し、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された回転角度に応じて前記駆動手段を制御すること
を特徴とする請求項1に記載の楽器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器の演奏を補助する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、サクソフォンにおいては、演奏を行うためのキーが操作されるとリンク機構を介してタンポ皿が動作して音孔が開閉される。しかし、キーを操作してリンク機構を介してタンポ皿を動かすには、ある程度の力が必要となるため、力の弱い人はキーを操作するのが難しく、演奏を楽しむことができないという問題がある。一方、サクソフォンを模した電子楽器として、特許文献1に開示されている電子管楽器がある。この電子管楽器は、キーと管体との距離をユーザの操作に応じて変えることが可能となっており、キーと管体との距離を検出し、検出した距離に応じて楽音の発音特性を制御する。この電子管楽器においては、一般的な管楽器と比べて、リンク機構やタンポ皿等がないため、力の弱い人でもキーを容易に動かすことができ、演奏を楽しむことができる。
【特許文献1】特開平8−305362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示されている電子楽器においては、操作されているキーと、キーと管体との距離に応じて出力する音の音色や音高が決定され、決定された音が電子的に出力される。キーの操作は、一般的な管楽器と似たものであるが、出力される音は電子的なものであるため、自然楽器の音を楽しむことができないという問題がある。
【0004】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、その目的は、少ない力でも容易に楽器を操作することができ、自然楽器の音を出力することを可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために本発明は、楽器操作子と、前記楽器操作子に対応した発音部と、前記発音部を発音させる部材であって前記楽器操作子から離隔して前記楽器に設けられた発音部材と、前記楽器操作子への作用を検知する検知手段と、前記楽器操作子に対応した発音部材を駆動する駆動手段と、前記検知手段により検知された作用に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段とを有する楽器を提供する。
【0006】
この構成にあっては、前記検知手段は前記楽器操作子に加えられた力の大きさを検知し、前記制御手段は、前記検知手段により検知された力の大きさに応じて前記駆動手段を制御してもよい。
【0007】
また、この構成にあっては、前記楽器操作子は、回動軸を中心にして回動可能となっており、前記検知手段は、前記楽器操作子の前記回動軸における回転角度を検知し、前記制御手段は、前記検知手段により検知された回転角度に応じて前記駆動手段を制御してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少ない力でも容易に楽器を操作することができ、自然楽器の音を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[実施形態の構成]
まず、本発明の一実施形態の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るサクソフォンの全体図である。複数の音孔が設けられた管体1の上部には吹込管11を介してマウスピース12が配設され、管体1の下部には朝顔管13が配設されている。また、管体1の側面には、演奏者の左手により操作される左手主鍵群4と、左手側鍵群2と、演奏者の右手により操作される右手側鍵群3が配設されている。左手側鍵群2はHighDキー21、HighFキー23、HighEbキー24を含み、また、左手主鍵群4はCキー22、Aキー44を含んでいる。また、右手側鍵群3はHighDトリルレバー31、HighEキー32、サイドCレバー33、サイドBbレバー34を含んでいる。なお、一般に指を通常の位置からはずして押さえる鍵を側鍵と呼び、主鍵とは区別している。
【0010】
また、本実施形態に係るサクソフォンは、演奏者がサクソフォンのキーを操作した時に発音に係わる部材を駆動する演奏補助装置100を備えている。図2は、本実施形態に係る演奏補助装置100のハードウェア構成を示したブロック図である。図2に示したように、演奏補助装置100は、制御部101と、複数のセンサ102と、複数の駆動部103と、スイッチ104と、電源105とを備えている。なお、図面が繁雑になるのを防ぐために図1においては、複数の駆動部103及び鍵柱、鍵管は図示していない。
【0011】
スイッチ104は、演奏補助装置100の電源をON/OFFさせるためのスライド式のスイッチであり、管体1に配設されている。スイッチ104のスイッチのスライダがON側にスライドされている場合には、電源105から演奏補助装置100の各部に電力が供給されて演奏補助装置100が動作し、スイッチ104のスライダがOFF側にスライドされている場合には、演奏補助装置100の各部に電力が供給されず、演奏補助装置100は動作しないこととなる。
【0012】
センサ102は、フィルム状の圧力センサであり、演奏者がサクソフォンを演奏する時に触れる各種キーに貼り付けられている。センサ102は、演奏者がキーを押さえた時の指からの圧力を検知し、検知した圧力の値を示すアナログ信号を制御部101へ出力する。
駆動部103は、モータ103Aを備えており、サクソフォンが有する音孔に対応して管体1に配設されている。駆動部103が備えるモータ103Aの回転は制御部101によって制御される。
【0013】
制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)101A、ROM(Read Only Memory)101B、RAM(Random Access Memory)101C、入力端子および出力端子を備えた、所謂ワンチップ型のマイクロコンピュータであり、ROM101Bには、制御プログラムや圧力テーブルTB1、圧力テーブルTB2が記憶されている。図3(a)は、圧力テーブルTB1のフォーマットを例示した図であり、図3(b)は、圧力テーブルTB2のフォーマットを例示した図である。
【0014】
圧力テーブルTB1は、図4(a)に示した、圧力値と電流値との関係を格納したものであり、図3(a)に示したように、圧力テーブルTB1においては圧力値に対応付けて駆動部103のモータ103Aに供給する電流値が格納されている。
また、圧力テーブルTB2は、図4(b)に示した、圧力値と電流値との関係を格納したものであり、図3(b)に示したように、圧力テーブルTB2においても圧力値に対応付けて駆動部103のモータ103Aに供給する電流値が格納されている。
なお、図3(a)および図3(b)においては、各圧力値の関係は、a1<a2<a3<a4<a5・・・となっている。また、圧力テーブルTB1に格納されている電流値と圧力テーブルTB2に格納されている電流値の関係は、b11>b21、b12>b22、b13>b23、b14>b24、b15>b25・・・となっている。
【0015】
制御部101は、電源105から電力が供給されるとROM101Bに記憶されているプログラムに従って動作し、センサ102から出力された信号に応じて圧力テーブルTB1または圧力テーブルTB2を用いて駆動部103を制御する。
具体的には、制御部101は、センサ102から出力されるアナログ信号を受け取り、受け取ったアナログ信号が表す圧力値を記憶する。なお、この記憶される圧力値は、プログラムの実行開始時には初期化されて「0」が記憶される。制御部101は、センサ102から出力されるアナログ信号を受け取り、受け取ったアナログ信号が表す圧力値が、すでに記憶している圧力値から増加したか減少したかを判断する。そして、受け取ったアナログ信号が表す圧力値が、記憶している圧力値から増加したと判断した場合には、受け取ったアナログ信号が表す圧力値に対応する圧力値を圧力テーブルTB1において検索し、検索された圧力値に対応付けて格納されている電流値でモータ103Aを制御する。そして、記憶していた圧力値と比較した圧力値を新たに記憶する。一方、制御部101は、受け取ったアナログ信号が表す圧力値が、記憶している圧力値から減少したと判断した場合には、受け取ったアナログ信号が表す圧力値に対応する圧力値を圧力テーブルTB2において検索し、検索された圧力値に対応付けて格納されている電流値でモータ103Aを制御する。そして、記憶していた圧力値と比較した圧力値を新たに記憶する。
【0016】
次に、サクソフォンの鍵機構について説明する。図5は、図1に示したサクソフォンの左手側鍵群2に係る鍵機構を説明するための図である。図5に示したように、管体1には、鍵柱21Bの組と、鍵柱23Bの組と、鍵柱24Bの組とが取り付けられている。
図6(a)および図6(b)はHighFキー23の側面を模式的に示した図である。図5に示したように、鍵管23Fは鍵柱23Bにより回転自在に支持されており、この鍵管23Fには、HighFキー23が取り付けられている。左手側鍵群2におけるHighFキー23は、音孔23Dを開閉するためのキーである。HighFキー23には、センサ102が貼り付けられているレバー部23Aが設けられている。
また、HighFキー23に対応する音孔23Dの近傍には、駆動部103が配設されている。駆動部103が備えるモータ103Aのシャフトには、図に示したように屈曲している開閉部材103Bが取り付けられており、この開閉部材103Bの端部には、音孔23Dを塞ぐためのタンポ皿23Cが取り付けられている。
また、開閉部材103Bには図示を省略したバネが取り付けられており、開閉部材103Bは、このバネによりタンポ皿23Cを下方に引き下げる方向に付勢されている。
図6(a)において、モータ103Aのシャフトが反時計方向に回転すると、開閉部材103Bがシャフトの回転に伴ってシャフトを中心に回転する。そして、開閉部材103Bがシャフトを中心に反時計方向に回転すると、図6(b)に示したように、タンポ皿23Cが引き上げられて音孔23Dが開くこととなる。一方、モータのシャフトが図6(b)に示した状態から時計方向に回転すると、開閉部材103Bがシャフトの回転に伴ってシャフトを中心に回転する。開閉部材103Bがシャフトを中心に時計方向に回転すると、タンポ皿23Cが押し下げられて音孔23Dが閉まることとなる。
【0017】
鍵管23Fは、鍵柱23Bに設けられている図示せぬバネにより図6(a)の矢印A方向(第1の向き)に付勢されており、レバー部23Aは、演奏者が触れていない場合には、図6(a)に示した状態となっている。一方、レバー部23Aが演奏者により押下されると、HighFキー23は、バネの付勢力に抗して矢印A方向と反対方向(第2の向き)に回動する。
【0018】
以上、HighFキー23の構成について説明したが、HighDキー21、HighEbキー24の構成もHighFキー23と同様であり、HighDキー21はレバー部21Aを備え鍵管21Fを中心に回動し、HighEbキー24はレバー部24Aを備え鍵管24Fを中心に回動する。また、HighDキー21に対応する音孔21Dの近傍とHighEbキー24に対応する音孔24Dの近傍にも、各々の音孔に対応して駆動部103、開閉部材103B、タンポ皿21C,24Cが配設されている。
なお、図1においては図面が繁雑になるのを防ぐために各キーに対応した駆動部103と開閉部材103B、鍵柱および鍵管の図示が省略されているが、他のキーについても、鍵柱および鍵管が設けられており、各々の音孔に対応して駆動部103と開閉部材103Bとが配設されている。
【0019】
[実施形態の動作]
次に、本実施形態の動作について説明する。
まず、スイッチ104のスライダがON側にスライドされると、電源105から演奏補助装置100の各部に電力が供給される。スイッチがON側にスライドされて電力が供給された時点では、制御部101が記憶している圧力値は初期化されて「0」となっている。演奏補助装置100の各部に電力が供給されている状態において、演奏者が指でHighFキー23のレバー部23Aに触れると、指からの圧力がレバー部23Aに配設されているセンサ102により検知され、検知した圧力を示すアナログ信号が制御部101に入力される。
【0020】
制御部101は、センサ102から出力されたアナログ信号が入力されると、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、この変換したデジタル信号から、演奏者がセンサ102を押さえた時の圧力を示す圧力値を求める。
そして、制御部101は、圧力値を求めると、記憶している圧力値と求めた圧力値とを比較する。ここで、求めた圧力値が「a1」であると、記憶している圧力値は「0」であり、求めた圧力値は記憶している圧力値より高いため、制御部101は、求めた圧力値が格納されているセルを圧力テーブルTB1において検索する。そして、制御部101は、求めた圧力値が格納されているセルを見つけると、見つけたセルに対応付けて格納されている電流値を圧力テーブルTB1から読み出す。
【0021】
ここでは、求めた圧力値が「a1」であるため、この圧力値に対応付けて圧力テーブルTB1に格納されている電流値「b11」が読み出される。そして、求めた圧力値「a1」が新たに記憶される。制御部101は、電流値を読み出すと、読み出した電流値の電流をモータ103Aへ供給する。読み出した電流値の電流がモータ103Aに供給されると図6(a)に示したモータ103Aのシャフトを反時計方向に回転させるトルクがモータ103Aのシャフトに生じる。シャフトを反時計方向に回転させるトルクがシャフトに掛かると、シャフトに開閉部材103Bを介して連結されているタンポ皿23Cにはタンポ皿23Cを上方へ引き上げようとする力が加わることとなる。
【0022】
図7は、演奏者がレバー部23Aに加えた力と、タンポ皿23Cに働く力の関係を表した図であり、図8は、演奏者がレバー部23Aに加えた力と、タンポ皿23Cと音孔23Dとの間の距離との関係を表した図である。
ここで、レバー部23Aを押し下げる力がF11であると、タンポ皿23Cには、モータ103Aからの力が加わり、図7に示したように、タンポ皿23Cを引き上げようとする力はF23となる。しかしながら、ここでタンポ皿23Cを引き上げようとする力が、タンポ皿23Cを音孔23Dから離隔させるために必要な力に達していないと、タンポ皿23Cは音孔23Dから離隔せず、図8に示したようにタンポ皿23Cと音孔23Dとの間の距離は「0」のままで音孔23Dは閉じたままとなる。
【0023】
次に、演奏者がレバー部23Aに触れた指をさらに下方に下げようとして力F14を加えることにより、レバー部23Aに掛かる圧力が増加すると、増加した圧力がレバー部23Aに配設されているセンサ102により検知され、検知した圧力値を示すアナログ信号が制御部101に入力される。
【0024】
制御部101は、センサ102から出力されたアナログ信号から、演奏者がセンサ102を押さえた時の圧力を示す圧力値「a3」を求めると、記憶している圧力値と求めた圧力値とを比較する。ここで、記憶している圧力値は「a1」であり、求めた圧力値「a3」は記憶している圧力値より高いため、制御部101は、圧力テーブルTB1において、求めた圧力値が格納されているセルを検索し、見つけたセルに対応付けて格納されている電流値を圧力テーブルTB1から読み出す。ここで、求めた圧力値は「a3」であるので、この圧力値に対応付けて圧力テーブルTB1に格納されている電流値「b13」が読み出される。そして、求めた圧力値「a3」が新たに記憶される。制御部101は、電流値を読み出すと、読み出した電流値の電流をモータ103Aへ供給する。ここで、電流値「b13」は電流値「b11」より大となっているため、モータ103Aのシャフトには、電流値「b11」の電流を供給した時より大きなトルクが生じることとなり、タンポ皿23Cを引き上げようとする力は、電流値「b11」の電流を供給した時より大きなF24となる。ここで、タンポ皿23Cを引き上げようとする力F24が、タンポ皿23Cを音孔23Dから離隔させるために必要な力以上であると、タンポ皿23Cは上方へ引き上げられる。そして、図6(b)に示したように音孔23Dとタンポ皿23Cとの間の距離が空いて音孔23Dが開くこととなり、図8に示したように、音孔23Dとタンポ皿23Cとの間の距離がx1となる。
【0025】
この後、音孔23Dを塞ぐために演奏者が指にかける力を弱め、レバー部23Aを押し下げる力がF14より小さく且つF11より大きなF15となると、レバー部23Aにかかる圧力が減少する。この減少した圧力はレバー部23Aに配設されているセンサ102により検知され、検知した圧力を示すアナログ信号が制御部101に入力される。
制御部101は、センサ102から出力されたアナログ信号から演奏者がセンサ102を押さえた時の圧力を示す圧力値を求めると、記憶している圧力値と求めた圧力値とを比較する。ここで、求めた圧力値が「a2」である場合には、求めた圧力値が記憶している圧力値「a3」より低いため、制御部101は、求めた圧力値「a2」が格納されているセルを圧力テーブルTB2において検索する。そして、制御部101は、圧力テーブルTB2において、求めた圧力値が格納されているセルを検索し、見つけたセルに対応付けて格納されている電流値を圧力テーブルTB2から読み出す。
ここでは、求めた圧力値「a2」に対応付けて圧力テーブルTB2に格納されている電流値「b22」が読み出される。制御部101は、電流値を読み出すと、読み出した電流値の電流をモータ103Aへ供給する。ここで、電流値「b22」は電流値「b13」より小となっているため、モータ103Aのシャフトには、電流値「b13」の電流を供給した時より小さなトルクが生じることとなる。電流値「b13」の電流を供給した時より小さなトルクが生じると、図7に示したように、タンポ皿23Cを引き上げようとする力が、電流値「b13」の電流を供給した時より小となり、タンポ皿23Cを引き上げようとする力が、タンポ皿23Cを音孔23Dから離隔させるために必要な力より小となる。すると、タンポ皿23Cは下方へ引き下げられ、音孔23Dとタンポ皿23Cとの間の距離が縮まって図6(a)に示したように音孔23Dが塞がれることとなる。
【0026】
本実施形態においては、リンク機構を有していないため、レバー操作時に生じるリンク機構から管体への振動による音色への悪影響がなくなる。
また、本実施形態によれば、レバー部とタンポ皿とを繋げるリンク機構が無くてもタンポ皿を開閉して演奏を行うことができるので、従来のサクソフォンのレバー配置に限定されず、管体へのレバー配置の自由度が増すこととなる。
また、本実施形態においては、複雑なリンク機構を有していないため、サクソフォンの組み立てやメンテナンスを容易に行うことができる。
また、本実施形態によれば、音孔がモータにより開閉されるので、指で押さえる力が弱い者でも容易に演奏をすることができる。なお、上述した実施形態においては、センサ102をサクソフォンの他のキーに貼り付けると共に、他のタンポ皿の近傍にも駆動部103を配設し、他のタンポ皿についてもタンポ皿23Cと同様に制御するようにしてもよい。特に、大きなタンポ皿を有するバリトンサクソフォンのようなサクソフォンにおいては、タンポ皿が大きい分、タンポ皿を動かすのに力が必要となる。また、このような、バリトンサクソフォンの低音部に対応するタンポ皿を動かすためのキーは、小指で操作するようになっているため、力の弱い演奏者にとっては、操作に困難を要する。しかしながら、本実施形態によれば、小さな力でも演奏者の操作に応じてタンポ皿を容易に動かすことができるため、力が弱い演奏者であっても容易に演奏を行うことができる。
また、本実施形態によれば、演奏者がキーに触れたりキーを離したりしただけで音孔が開閉されるのではなく、指からの圧力に応じてタンポ皿を引き上げようとする力が制御されるので、演奏時におけるキーの微妙なタッチの感覚を損なうことがない。
また、本実施形態によれば、演奏に必要となる力を軽減できるので、早いパッセージのフレーズが実現できるようになり演奏の表現力が豊かになる。
【0027】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
【0028】
上述した実施形態においてはサクソフォンに演奏補助装置100を装着した場合について説明したが、演奏補助装置100はサクソフォンだけでなく、音孔を開閉する機構を備えた楽器であれば、サクソフォン以外の管楽器に装着してもよい。
【0029】
上述した実施形態においては、任意に選択したキーについてのみセンサと駆動部を設けるようにしてもよい。また、上述した実施形態においては、演奏補助装置の各部は、楽器への取り付けおよび取り外しが自在にできるようにしてもよい。
【0030】
上述した実施形態においては、楽器の操作子における圧力を検知して駆動部を制御しているが、単位時間当たりの操作子位置の変化量を検知して操作子の移動速度を求め、この移動速度に応じて駆動部を制御するようにしてもよい。また、移動速度を微分して操作子の加速度を求め、求めた加速度に応じて駆動部を制御するようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、鍵柱に支持されている鍵管の回転角度を角度センサにより検知し、検知した回転角度に応じて駆動部を制御するようにしてもよい。即ち、楽器の操作子における圧力を検知しても、楽器の操作子の回動軸における回転角度を検出しても、楽器の操作子の、楽器本体の音孔との相対的な距離を検出することになる。具体的には、図6(a)に示した状態においては、モータ103Aを駆動せず、図6(a)に示した状態からレバー部23Aの回動角度が大きくなるにつれてモータ103Aのトルクが大きくなるようにモータ103Aを制御してもよい。
【0031】
また、上述した実施形態においては、不揮発性メモリを演奏補助装置に設け、圧力テーブルを不揮発性メモリに記憶させるようにしてもよい。また、圧力テーブルを不揮発性メモリに記憶させる態様においては、圧力テーブルの内容を表示する液晶ディスプレイ等の表示装置と、数値を入力するためのテンキー等の操作子を演奏補助装置に設け、圧力テーブルに格納された数値を演奏者が変更できるようにしてもよい。
【0032】
また、不揮発性メモリに圧力テーブルを記憶させる構成においては、図9に示したように、圧力値が増加した時に使用される圧力テーブルTB1Aと圧力値が減少した時に使用される圧力テーブルTB2Aの組、圧力値が増加した時に使用される圧力テーブルTB1Bと圧力値が減少した時に使用される圧力テーブルTB2Bの組、圧力値が増加した時に使用される圧力テーブルTB1Cと圧力値が減少した時に使用される圧力テーブルTB2Cの組というように複数の圧力テーブルを記憶させておくと共に、この複数の圧力テーブルの組のいずれかを選択するための操作スイッチ107を演奏補助装置100に設け、制御部101は、演奏者が操作スイッチ107に行った操作に応じて複数の圧力テーブルの組のいずれかを選択し、選択された圧力テーブルに応じて駆動部103を制御するようにしてもよい。なお、複数の圧力テーブルは、不揮発性メモリ106ではなくROM101Bに記憶させるようにしてもよい。
【0033】
また、圧力テーブルを複数記憶している態様においては、楽器の個々のキー毎に対応して圧力テーブルを記憶させるようにしてもよい。例えば、上述した実施形態においては、HighFキー23に対して圧力テーブルTB1Aと圧力テーブルTB2A、HighEbキー24に対して圧力テーブルTB1Bと圧力テーブルTB2Bを対応付けるようにしてもよい。また、圧力テーブルに格納する値を圧力テーブル毎に同じ値にしたり異なる値にしたりするようにしてもよい。そしてキーが操作されたときには、操作されたキーに対応する圧力テーブルを用いて駆動部103を制御するようにしてもよい。この態様によれば、特定のキーのみ力を入れるのが困難な場合であっても、圧力テーブルの値を調整すれば、操作する力が小さくてもキーを操作することができる。そして、キー毎に操作に要する力が異なる場合であっても各キーを操作することができる。
【0034】
上述した実施形態においては、圧力テーブルからモータ103Aを制御する電流値を読み出した後に予め定めた時間をカウントし、時間のカウントが終了した後、読み出した電流値で実際にモータ103Aを制御するようにして、指でレバー部を操作してからモータ103Aが制御されるまでに遅延が生じるようにしてもよい。
【0035】
上述した実施形態においては、圧力テーブルを用いてモータ103Aを制御する電流値を求めているが、テーブルを用いるのではなく、一次関数や非線型関数により圧力値と電流値の関係を定め、この関数により圧力値から電流値を求めるようにしてもよい。
【0036】
上述した実施形態においては、圧力テーブルTB1に格納される圧力値と電流値との関係が図10に示した曲線L11のように非線形となり、圧力テーブルTB2に格納される圧力値と電流値との関係が図10に示した曲線L12のように非線形となるようにしてもよい。また、圧力テーブルTB1に格納される圧力値と電流値との関係が曲線L12のように非線形であり、圧力テーブルTB2に格納される圧力値と電流値との関係が曲線L11のように非線形であってもよい。
【0037】
上述した実施形態においては、モータ103Aに超音波モータを使用するようにしてもよい。そして、センサ102で検出した圧力値に応じて、超音波モータを制御し、レバー部23Aを上下させるようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、モータ103Aは、ステッピングモータであってもよい。ステッピングモータを使用する構成においては、圧力テーブルにおいては圧力値とステッピングモータのシャフトの回転角度とを対応付けて記憶し、センサ102で圧力を検知した場合にはシャフトの回転角度が検知した圧力値に対応づけて格納されている回転角度となるようにステッピングモータを制御するようにしてもよい。
【0038】
上述した実施形態においては、レバー部を押す時と離す時とで、異なる圧力テーブルを使用してモータの制御を行っているが、記憶する圧力テーブルの数を一つとし、レバー部を押す時と離す時とで同じテーブルを使用してモータを制御してもよい。
【0039】
上述した実施形態においては、演奏者がレバー部に加えた力とタンポ皿に働く力の関係は、図7に示したように直線的となっているが、図11(a)〜(d)に示したように曲線的であってもよい。また、図11(e)に示したように、レバー部に一定の力が加わるまでの間はタンポ皿に力を加えず、レバー部に一定以上の力が加わった時には、一定以上の力をタンポ皿に加えないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係るサクソフォンの全体図である。
【図2】同実施形態に係る演奏補助装置100の構成を示したブロック図である。
【図3】同実施形態に係る圧力テーブルTB1、TB2を例示した図である。
【図4】同圧力テーブルに格納されている圧力値と電流値の関係を表した図である。
【図5】同実施形態に係るサクソフォンの鍵機構を説明するための図である。
【図6】HighFキー23の側面を模式的に示した図である。
【図7】第1実施形態において演奏補助装置がONの時の、タンポ皿に働く力と演奏者がレバーに加えた力との関係を表した図である。
【図8】演奏者がレバーに力を加えた時のタンポ皿と音孔との間の距離の関係を表した図である。
【図9】本発明の変形例に掛かる演奏補助装置の構成を示したブロック図である。
【図10】本発明の変形例に係る圧力テーブルに格納される圧力値と電流値との関係を表した図である。
【図11】本発明の変形例において、タンポ皿に働く力と演奏者がレバーに加えた力との関係を表した図である。
【符号の説明】
【0041】
1・・・管体、2・・・左手側鍵群、3・・・右手側鍵群、4・・・左手主鍵群、11・・・吹込管、12・・・マウスピース、13・・・朝顔管、21・・・HighDキー、22・・・Cキー、23・・・HighFキー23、24・・・HighEbキー、21A、23A、24A・・・レバー部、21B、23B、24B・・・鍵柱、21C、23C、24C・・・タンポ皿、21D、23D、24D・・・音孔、23F・・・鍵管、31・・・HighDトリルレバー、32・・・HighEキー、33・・・サイドCレバー、34・・・サイドBbレバー、44・・・Aキー、100・・・演奏補助装置、101・・・制御部、102・・・センサ、103・・・駆動部、103A・・・モータ、104・・・スイッチ、105・・・電源
【出願人】 【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【出願日】 平成19年4月2日(2007.4.2)
【代理人】 【識別番号】100098084
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 研二


【公開番号】 特開2008−256801(P2008−256801A)
【公開日】 平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願番号】 特願2007−96723(P2007−96723)