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【発明の名称】 譜面台調節機構
【発明者】 【氏名】朝倉 新吾

【要約】 【課題】従来よりも多くのパターンの取付角度による譜面台の取り付けを実現する譜面台調節機構を提供する。

【解決手段】本実施例の譜面台調節機構1は、鍵盤楽器本体2に対して譜面台3を回転可能に取り付ける蝶番10,譜面台3に配置された譜面台ギア20,鍵盤楽器本体2に取り付けられた操作ギア30などによって構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵盤楽器本体に対する譜面台の取付角度を調節するための譜面台調節機構であって、
該譜面台調節機構は、譜面台の取付角度を、一定の範囲内における任意の値とすることができる
ことを特徴とする譜面台調節機構。
【請求項2】
前記鍵盤楽器本体に対して前記譜面台を回転可能に取り付ける譜面台取付部と、
前記譜面台が回転する際の軌道に沿って配置された1以上の回転突起を有し、該回転突起が、前記譜面台の回転に連動し、かつ、該譜面台と同じ回転軸で回転する位置関係で取り付けられている回転突起部と、
前記回転突起と係合可能な係合突起を有し、該係合突起を前記回転突起に係合させた状態で、前記鍵盤楽器本体に対して一定範囲内で変位可能となるように前記鍵盤楽器本体に取り付けられている変位係合部と、を備え、
前記係合突起が前記回転突起と係合した状態で前記変位係合部が変位すると、前記係合突起が、前記回転突起に係合しながら変位することで該回転突起と共に前記回転突起部を回転させ、これにより、該回転と連動して前記譜面台が回転するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の譜面台調節機構。
【請求項3】
前記変位係合部は、前記係合突起が1以上形成されてなる棒状部材であって、該棒状部材が、その長手方向に延びる軸を回転軸として前記鍵盤楽器に対して回転可能となるように取り付けられ、また、前記係合突起それぞれが、前記棒状部材を回転させた場合における回転方向に沿って配置され、
前記変位係合部の棒状部材が回転すると、前記係合突起のうち少なくともいずれかが、前記回転突起に係合しながら回転することで該回転突起と共に前記回転突起部を回転させ、これにより、該回転と連動して前記譜面台が回転するように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の譜面台調節機構。
【請求項4】
前記変位係合部は、前記棒状部材の長手方向における所定の領域にのみ前記係合突起が形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の譜面台調節機構。
【請求項5】
前記変位係合部において、
前記係合突起は、前記棒状部材の一端側に形成されており、
前記棒状部材は、その他端側が前記鍵盤楽器における演奏者側に向けて延びる位置関係で配置されている
ことを特徴とする請求項4に記載の譜面台調節機構。
【請求項6】
前記譜面台の前記鍵盤楽器本体に対する回転を抑制する回転抑制部を備え、
前記回転抑制部は、
前記回転突起部の回転と連動して変位する変位固定部材と、
少なくとも、前記変位固定部材と嵌合して該変位固定部材の前記鍵盤楽器本体に対する変位を抑制する位置,および,前記変位固定部材と嵌合しない位置それぞれに変位可能な状態で、前記鍵盤楽器本体に取り付けられた嵌合部材と、からなり、
該嵌合部材が前記変位固定部材と嵌合する位置まで変位すると、前記変位固定部材の前記鍵盤楽器本体に対する変位が抑制されることに伴って前記回転突起部の回転が抑制され、これにより、該回転突起部と連動する前記譜面台の回転が抑制されるように構成されている
ことを特徴とする請求項2〜5いずれかに記載の譜面台調節機構。
【請求項7】
前記回転抑制部における前記変位固定部材は、前記変位係合部における係合突起の変位と連動して変位する位置関係で取り付けられており、
前記嵌合部材が前記変位固定部材と嵌合する位置まで変位すると、前記変位固定部材の前記鍵盤楽器本体に対する変位が抑制されることに伴って前記変位係合部の変位が抑制されることにより、該変位係合部の係合突起と前記回転突起が係合した状態での前記回転突起部の回転が抑制され、これにより、該回転突起部と連動する前記譜面台の回転が抑制されるように構成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の譜面台調節機構。
【請求項8】
前記鍵盤楽器本体に対して前記譜面台を回転可能に取り付ける譜面台取付部と、
前記譜面台の前記鍵盤楽器本体に対する回転を抑制する譜面台固定部と、を備え、
前記譜面台固定部は、
前記譜面台の回転に連動して回転する回転部材と、
前記回転部材に対向するように配置され、該回転部材と当接する当接位置,および,該回転部材から所定の距離離れた隔離位置それぞれに変位可能となるように、前記鍵盤楽器本体に取り付けられている移動部材と、からなり、
前記移動部材が前記当接位置に位置する場合に、前記移動部材が前記回転部材の回転を抑制することで、前記譜面台の回転を抑制する一方、
前記移動部材が前記隔離位置に位置する場合に、前記移動部材による前記回転部材の回転の抑制が解除されることで、前記譜面台の回転が可能となる
ことを特徴とする請求項1に記載の譜面台調節機構。
【請求項9】
前記移動部材は、磁石を備えており、
前記譜面台固定部は、少なくとも前記磁石との間に、引力または斥力のいずれか1つを発生する磁石を有する操作部材を備え、
前記移動部材は、前記移動部材の磁石と、前記操作部材の磁石と、の間の引力または斥力により、前記当接位置と前記隔離位置との間で変位する
ことを特徴とする請求項8に記載の譜面台調節機構。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
鍵盤楽器本体に対する譜面台の取付角度を調節するための譜面台調節機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鍵盤楽器には、譜面台の取付角度を調節するための譜面台調節機構として、次のようなものが備えられていることが一般的である。
それは、鍵盤楽器本体に対して回転可能に取り付けられた譜面台をその背面側から支持棒にて支持し、この支持棒の下端側を、譜面台の回転軸から遠ざかるように配置された複数の係合溝のうち、任意の係合溝に係合させることで、その譜面台の取付角度を調節する、といった構成のものである。
【0003】
この構成では、係合溝が譜面台から遠ざかるように配置されているため、支持棒を係合させる係合溝を変えることで、譜面台が鍵盤楽器本体に対して近づくまたは遠ざかるように回転し、これにより、譜面台の取付角度を調節することができる。
【0004】
このとき、譜面台における取付角度の調節可能な範囲は、支持棒の長さに依存するため、近年では、この支持棒の長さを変更可能に構成することで、その調節可能な範囲を変更することのできる技術も提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
この技術によれば、取付角度の調節可能な範囲を変更するにあたり、長さの異なる支持棒を複数種類用意したり、これらを交換したり、といったことが必要なくなるため、製造コストの削減や、作業の簡略化といった効果を得ることができる。
【特許文献1】特開2000−163046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した技術では、譜面台の取付角度を調節するために、支持棒の下端が係合する係合溝を選択する,または,支持棒の長さを変更するといった構造上、それらの組み合わせ,および,鍵盤楽器本体の形状(例えば、本持桿の奥行きなど)によって定まる数種類のパターンでしか取付角度を調節することができず、それ以外の細かい取付角度を実現することができない。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、従来よりも多くのパターンの取付角度による譜面台の取り付けを実現できる譜面台調節機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した問題点を解決するためになされた請求項1記載の発明は、鍵盤楽器本体に対する譜面台の取付角度を調節するための譜面台調節機構であって、該譜面台調節機構は、譜面台の取付角度を、一定の範囲内における任意の値とすることができることを特徴とする譜面台調節機構である。
【0009】
このような譜面台調節機構であれば、従来よりも多くのパターンの取付角度による譜面台の取り付けを実現することができる。
また、請求項1の構成を、請求項2に記載の譜面台調節機構のように構成することが考
えられる。
【0010】
この譜面台調節機構は、前記鍵盤楽器本体に対して前記譜面台を回転可能に取り付ける譜面台取付部と、前記譜面台が回転する際の軌道に沿って配置された1以上の回転突起を有し、該回転突起が、前記譜面台の回転に連動し、かつ、該譜面台と同じ回転軸で回転する位置関係で取り付けられている回転突起部と、前記回転突起と係合可能な係合突起を有し、該係合突起を前記回転突起に係合させた状態で、前記鍵盤楽器本体に対して一定範囲内で変位可能となるように前記鍵盤楽器本体に取り付けられている変位係合部と、を備える。
【0011】
この譜面台調節機構では、前記係合突起が前記回転突起と係合した状態で前記変位係合部が変位すると、前記係合突起が、前記回転突起に係合しながら変位することで該回転突起と共に前記回転突起部を回転させ、これにより、該回転と連動して前記譜面台が回転するように構成されている。
【0012】
このように構成された譜面台調節機構によれば、変位係合部を連続的に変位させると、係合突起が回転突起に係合しながら変位することで、この回転突起と共に回転突起部が回転するため、その回転と連動した譜面台の連続的な回転を実現することができる。
【0013】
このように、譜面台を連続的に回転させることができるため、変位係合部の変位量に応じて譜面台の取付角度を任意に変化させることができる結果、従来よりも多くのパターンの取付角度による譜面台の取り付けを実現できる。
【0014】
なお、上述した変位係合部は、回転突起部と連動して変位可能となるのであれば、その具体的な取り付け方は特に限定されない。例えば、変位係合部を、棒状の部材にて構成し、その長手方向に沿って変位可能となるように取り付けることが考えられる。
【0015】
また、上述した以外の例としては、変位係合部を棒状の部材にて構成し、その長手方向に延びる軸を回転軸として回転可能となるように取り付けることが考えられる。このためには、請求項2の構成を、請求項3に記載の譜面台調節機構のように構成するとよい。
【0016】
この譜面台調節機構において、前記変位係合部は、前記係合突起が1以上形成されてなる棒状部材であって、該棒状部材が、その長手方向に延びる軸を回転軸として前記鍵盤楽器に対して回転可能となるように取り付けられ、また、前記係合突起それぞれが、前記棒状部材を回転させた場合における回転方向に沿って配置される。
【0017】
この構成においては、前記変位係合部の棒状部材が回転すると、前記係合突起のうち少なくともいずれかが、前記回転突起に係合しながら回転することで該回転突起と共に前記回転突起部を回転させ、これにより、該回転と連動して前記譜面台が回転する。
【0018】
このように構成された譜面台調節機構によれば、変位係合部の棒状部材を連続的に回転させると、係合突起のうち少なくともいずれかが回転突起に係合しながら回転することで、この回転突起と共に回転突起部が回転するため、その回転と連動して譜面台を連続的に回転させることができる。
【0019】
このように、譜面台を連続的に回転させることができるため、変位係合部の棒状部材の変位量に応じて譜面台の取付角度を任意に変化させることができる結果、従来よりも多くのパターンの取付角度による譜面台の取り付けを実現できる。
【0020】
さらに、変位係合部の棒状部材は、その長手方向に延びる軸を回転軸として回転するだ
けで、変位係合部の鍵盤楽器に対する位置が変位しない。よって、変位係合部を変位させるために必要なスペースを考慮することなく鍵盤楽器本体および譜面台の形状を設計できる。
【0021】
なお、上述した譜面台調節機構において、変位係合部の棒状部材は、外部からの力を受けて回転することとなるが、このときの動力としては、他の動力機構からの動力や、ユーザの操作による動力が考えられる。
【0022】
このユーザの操作による動力で棒状部材を回転させるためには、例えば、変位係合部の棒状部材をユーザに操作させることで、棒状部材を回転させるように構成すればよい。その具体的な構成の例としては、例えば、請求項3の構成を、請求項4に記載の譜面台調節機構のように構成することが望ましい。
【0023】
この譜面台調節機構において、前記変位係合部は、前記棒状部材の長手方向における所定の領域にのみ前記係合突起が形成されている。
このように構成された譜面台調節機構によれば、変位係合部には、棒状部材における所定の領域にのみ係合突起が形成されているため、ユーザは、係合突起が形成されていない領域を持って棒状部材を回転させることができる。
【0024】
なお、上述した棒状部材は、ユーザによる操作ができるのであればどのように配置してもよいが、演奏者にとって譜面台の取付角度を調節するのに適した配置とすることが望ましい。
【0025】
このためには、請求項4の構成を、請求項5に記載の譜面台調節機構のように構成することが考えられる。
この譜面台調節機構の前記変位係合部においては、前記係合突起が、前記棒状部材の一端側に形成されており、前記棒状部材が、その他端側が前記鍵盤楽器における演奏者側に向けて延びる位置関係で配置されている。
【0026】
このように構成された譜面台調節機構によれば、棒状部材において係合突起の形成されていない他端側が演奏者側に向くように配置されることになる。そのため、演奏者は、実際に鍵盤楽器を演奏する状態で譜面台の取付角度を調節することができるため、譜面台を演奏中に見やすい適切な取付角度に調節できる。
【0027】
ところで、譜面台を任意の取付角度に調節した状態で固定するための具体的な構成は特に限定されない。その具体的な構成の例としては、例えば、請求項2〜5いずれかの構成を、請求項6に記載の譜面台調節機構のように構成することが考えられる。
【0028】
この譜面台調節機構は、前記譜面台の前記鍵盤楽器本体に対する回転を抑制する回転抑制部を備えており、前記回転抑制部が、前記回転突起部の回転と連動して変位する変位固定部材と、少なくとも、前記変位固定部材と嵌合して該変位固定部材の前記鍵盤楽器本体に対する変位を抑制する位置,および,前記変位固定部材と嵌合しない位置それぞれに変位可能な状態で、前記鍵盤楽器本体に取り付けられた嵌合部材と、からなる。
【0029】
この構成においては、該嵌合部材が前記変位固定部材と嵌合する位置まで変位すると、前記変位固定部材の前記鍵盤楽器本体に対する変位が抑制されることに伴って前記回転突起部の回転が抑制され、これにより、該回転突起部と連動する前記譜面台の回転が抑制される。
【0030】
このように構成された譜面台調節機構によれば、嵌合部材を変位固定部材と嵌合する位置まで変位させると、変位固定部材の鍵盤楽器本体に対する変位が抑制されることに伴って回転突起部の回転が抑制されるため、回転突起部と連動する譜面台の回転を抑制できる。
【0031】
そのため、譜面台を任意の取付角度まで回転させた後で、嵌合部材を変位固定部材と嵌合する位置まで変位させることにより、譜面台を任意の取付角度に調節した状態で固定できる。
【0032】
なお、上述した変位固定部材は、回転突起部と連動して変位可能となれば、回転突起部に取り付けてもよいし、変位係合部に取り付けてもよい。
上述した後者の構成を実現するためには、請求項6の構成を、請求項7に記載の譜面台調節機構のように構成することが考えられる。
【0033】
この譜面台調節機構においては、前記回転抑制部における前記変位固定部材が、前記変位係合部における係合突起の変位と連動して変位する位置関係で取り付けられている。
この構成においては、前記嵌合部材が前記変位固定部材と嵌合する位置まで変位すると、前記変位固定部材の前記鍵盤楽器本体に対する変位が抑制されることに伴って前記変位係合部の変位が抑制されることにより、該変位係合部の係合突起と前記回転突起が係合した状態での前記回転突起部の回転が抑制され、これにより、該回転突起部と連動する前記譜面台の回転が抑制される。
【0034】
このように構成された譜面台調節機構によれば、嵌合部材を変位固定部材と嵌合する位置まで変位させると、変位固定部材の鍵盤楽器本体に対する変位が抑制されることに伴って変位係合部の変位が抑制される。これにより、変位係合部の係合突起と回転突起が係合した状態で回転突起部の回転が抑制される結果、回転突起部と連動する譜面台の回転を抑制できる。
【0035】
そのため、譜面台を任意の取付角度まで回転させた後で、嵌合部材を変位固定部材と嵌合する位置まで変位させることにより、譜面台を任意の取付角度に調節した状態で固定できる。
【0036】
ところで、譜面台を自由な位置で固定させるために、請求項1の構成を、請求項8に記載の譜面台調節機構のように構成することが考えられる。
この譜面台調節機構は、前記鍵盤楽器本体に対して前記譜面台を回転可能に取り付ける譜面台取付部と、前記譜面台の前記鍵盤楽器本体に対する回転を抑制する譜面台固定部と、を備えている。
【0037】
前記譜面台固定部は、前記譜面台の回転に連動して回転する回転部材と、前記回転部材に対向するように配置され、該回転部材と当接する当接位置,および,該回転部材から所定の距離離れた隔離位置それぞれに変位可能となるように、前記鍵盤楽器本体に取り付けられている移動部材と、からなる。
【0038】
そして、前記移動部材が前記当接位置に位置する場合に、前記移動部材が前記回転部材の回転を抑制することで、前記譜面台の回転を抑制する一方、前記移動部材が前記隔離位置に位置する場合に、前記移動部材による前記回転部材の回転の抑制が解除されることで
、前記譜面台の回転が可能となるように構成されている。
【0039】
このように構成された譜面台調節機構によれば、移動部材が隔離位置である状態において、ユーザは、譜面台を自由な角度に回転でき、そして、適切な角度に回転させた状態で移動部材を当接位置に変位させることで、その角度のままに譜面台の回転を抑制することができる。
【0040】
このように、譜面台を任意の角度に回転させた状態で譜面台の回転を抑制できるため、従来よりも多くのパターンの取付角度による譜面台の取り付けを実現できる。
なお、上述した譜面台調節機構において、移動部材は、ユーザが直接的に手などで移動部材を変位させる構成であってもよく、また、ユーザの操作に応じて動作する機構を介して変位させる構成であってもよい。
【0041】
上述した後者の具体的な構成の例としては、例えば、請求項8の構成を請求項9に記載の譜面台調節機構のように構成することが考えられる。
この譜面台調節機構の前記移動部材は、磁石を備えており、前記譜面台固定部は、少なくとも前記磁石との間に引力,または,斥力のいずれか1つを発生する磁石を有する操作部材を備えている。
【0042】
そして、この譜面台調節機構において、前記移動部材は、前記移動部材の磁石と、前記操作部材の磁石と、の間の引力または斥力により、前記当接位置と前記隔離位置との間で変位することを特徴とする。
【0043】
このように構成された譜面台調節機構によれば、操作部材の磁石を変位させて移動部材の磁石に引力または斥力を与えることで、移動部材を当接位置と隔離位置との間で変位させることができ、それにより譜面台をその回転が抑制された状態,または,譜面台の回転の抑制が解除された状態,のいずれかとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施例を図面と共に説明する。
【実施例1】
【0045】
[全体構成]
本実施例の譜面台調節機構1は、図1に示すように、鍵盤楽器本体2に対して譜面台3を回転可能に取り付ける蝶番10,譜面台3の厚さ方向に貫通する溝内に配置された譜面台ギア20,鍵盤楽器本体2に取り付けられた操作ギア30とストッパー40,および,操作ギア30とストッパー40を鍵盤楽器本体2に固定するための固定金具50などによって構成されている。
【0046】
この譜面台調節機構1において、蝶番10は、軸部材12によって回転可能に連結されている板状部材の一方が鍵盤楽器本体2に取り付けられ、他方が譜面台3に取り付けられている。このように蝶番10が取り付けられることで、譜面台3は、蝶番10の軸部材12を回転軸として鍵盤楽器本体2に対して回転可能となる。
【0047】
また、譜面台ギア20は、複数の回転突起22からなるギアであって、これら回転突起22が譜面台3の回転する軌道に沿うように、かつ、その譜面台3と同じ回転軸で回転する位置関係で、譜面台3に取り付けられている。
【0048】
また、操作ギア30は、図2(a)に示すように、複数の係合突起32からなるギア部34,このギア部34から延びるシャフト36,このシャフト36におけるギア部34と反対の端部側に形成されたハンドル38,などによって構成されている。
【0049】
これらのうち、ギア部34の係合突起32は、シャフト36の長手方向に延びる軸を回転軸として回転させた場合におけるその回転方向に沿って配置されている。
また、このギア部34には、上述したストッパー40の先端が嵌合する形状の嵌合溝33が、各係合突起32の間それぞれに形成されている。
【0050】
そして、この操作ギア30において、シャフト36は、その長手方向に延びる軸が譜面台ギア20の回転軸と交差(本実施例では直交)し、ギア部34の係合突起32が譜面台ギア20の回転突起22と係合する位置関係で、鍵盤楽器本体2に対して固定されている。これにより、シャフト36は、ハンドル38が形成されている側の端部が演奏者側(図1におけるA方向)に向けて延びるように配置されることになる。
【0051】
このとき、シャフト36は、その長手方向に延びる軸を回転軸として回転可能となるように固定されており、これによって、ハンドル38を回転させることでシャフト36の先端側に配置されたギア部34を回転させることができる。
【0052】
また、ストッパー40は、操作ギア30のシャフト36の長手方向に沿って配置された棒状の部材であり、鍵盤楽器本体2に対してその長手方向に沿って変位可能となるように固定されている。これにより、このストッパー40は、その先端が、ギア部34の嵌合溝33に嵌合していない状態(図2(a)参照)から、嵌合溝33に嵌合している状態(図2(b)参照)へと変位させることができる。
[効果]
このように構成された譜面台調節機構1によれば、操作ギア30が、そのギア部34の係合突起32に譜面台ギア20の回転突起22が係合した状態で回転すると、その係合突起32のうち少なくともいずれかが回転突起22に係合しながら回転することで、その回転突起22と共に譜面台ギア20を回転させ、これにより、その回転と連動して譜面台3が回転する。そのため、操作ギア30を連続的に回転させると、譜面台3を連続的に回転させることができる。
【0053】
このように、本実施例の譜面台調節機構1によれば、操作ギア30により譜面台3を連続的に回転させることができるため、その操作ギア30の変位量に応じて譜面台3の取付角度を任意に変化させることができる結果、従来よりも多くのパターンの取付角度による譜面台の取り付けを実現できる。
【0054】
また、操作ギア30は、シャフト36の長手方向に延びる軸を回転軸として回転するように構成されていることから、操作ギア30の鍵盤楽器に対する位置が変位しない。よって、操作ギア30を変位させるために必要なスペースを考慮することなく鍵盤楽器本体2および譜面台3の形状を設計できる。
【0055】
また、本実施例の譜面台調節機構1によれば、操作ギア30は、シャフト36における一方の端部側にギア部34が形成されており、反対側の端部にハンドル38が形成されている。そのため、ユーザは、ハンドル38側の端部を持って操作ギア30を回転させることができる。
【0056】
また、本実施例の譜面台調節機構1によれば、操作ギア30は、シャフト36におけるハンドル38側の端部が演奏者側に向くように配置されているため、演奏者は、実際に鍵
盤楽器を演奏する状態で譜面台3の取付角度を調節することができる結果、譜面台3を演奏中に見やすい適切な取付角度に調節できる。
【0057】
また、本実施例の譜面台調節機構1によれば、ストッパー40の先端を嵌合溝33と嵌合する位置まで変位させると、嵌合溝33が形成されている操作ギア30の鍵盤楽器本体2に対する回転が抑制される。これにより、操作ギア30の係合突起32と譜面台ギア20の回転突起22が係合した状態で譜面台ギア20の回転が抑制される結果、譜面台ギア20と連動する譜面台3の回転を抑制できる。
【0058】
そのため、譜面台3を任意の取付角度まで回転させた後で、ストッパー40の先端を嵌合溝33と嵌合する位置まで変位させることにより、譜面台3を任意の取付角度に調節した状態で固定できる。
【0059】
なお、本実施例では、ストッパー40の先端が嵌合溝33と嵌合することによって譜面台3の回転を抑制するように構成されている。そのため、上述した譜面台3の調節は、ギア部34の回転方向に対する嵌合溝33の角度間隔で決まるパターンの取付角度に限られることになる。
【0060】
しかしながら、この嵌合溝33は、それが形成されるギア部34における位置、その大きさなどを、従来の鍵盤楽器における係合溝や支持棒などの位置や大きさに比べて自由に設計できる。そのため、例えば、嵌合溝33をギア部34において小さな間隔で形成しておけば、同じ回転量に対してより細かい角度間隔でストッパー40の先端を嵌合させることができる。これにより、従来の譜面台調節機構よりも細かく譜面台3の取付角度を調節できることになり、従来よりも多くのパターンの取付角度による譜面台の取り付けを実現できる。
[変形例]
以上、本発明の実施例1について説明したが、本発明は、上記実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0061】
例えば、上記実施例においては、操作ギア30が、シャフト36の長手方向に延びる軸を回転軸として回転する方向に変位する構成について例示した。しかし、本発明の操作ギア30は、譜面台ギア20と連動して変位可能であれば、その具体的な変位の方向については特に限定されない。
【0062】
例えば、操作ギア30の変位が、シャフト36の長手方向に沿った変位である構成であってもよい。この場合は、係合突起32を、シャフト36の長手方向に沿って配置することで、係合突起32が回転突起22と係合した状態、つまり操作ギア30が譜面台ギア20と連動した状態にて操作ギア30を変位させることができる。
【0063】
また、上記実施例において、操作ギア30が回転するための動力は、操作ギア30のハンドル38に対するユーザの操作である構成について例示した。しかし、本発明の操作ギア30が回転するための動力は、モーターのような他の動力機械からの動力であってもよい。
【0064】
また、上記実施例においては、操作ギア30のギア部34にストッパー40の先端を嵌合させるための嵌合溝33が形成された構成について例示した。しかし、この嵌合溝33は、譜面台ギア20と連動する部分であれば、操作ギア30以外に形成してもよい。
【0065】
例えば、図3に示すように、ギア部34とシャフト36との連結部分に、嵌合溝33を
形成してなる溝部材60を設けた構成とすることが考えられる。
また、上記のもの以外の例としては、嵌合溝33を、譜面台ギア20に形成することが考えられる。この場合は、ストッパー40を、譜面台ギア20に形成された嵌合溝33に嵌合する状態へ変位可能となる位置関係で鍵盤楽器本体2に固定するとよい。
[本発明との対応関係]
以上説明した実施例1において、蝶番10が本発明における譜面台取付部であり、譜面台ギア20が本発明における回転突起部であり、操作ギア30が本発明における変位係合部であり、ギア部34が本発明における変位固定部材であり、ストッパー40が本発明における嵌合部材である。
【実施例2】
【0066】
[全体構成]
本実施例の譜面台調節機構100は、図4に示すように、鍵盤楽器本体2に対して譜面台3を回転可能に取り付ける蝶番10,譜面台3の側面に取り付けられた回転部材110,一端が回転部材110と対向する位置に配置された柱状の移動部材120,回転部材110から移動部材120に向けて延びるガイド部材130,移動部材120に対してその長手方向の変位を許容し、それ以外の変位を抑制するレール部材140,鍵盤楽器本体2に取り付けられた操作部材150などによって構成されている。
【0067】
この譜面台調節機構100において、蝶番10は、上記実施例1と同様の構成である。そのため、譜面台3は、上記実施例1と同様に、蝶番10の軸部材12を回転軸として鍵盤楽器本体2に対して回転可能となる。
【0068】
また、回転部材110は、図5に示すように、略円柱状の部材であって、中心軸112方向の一方の端部110Aに向けて次第に細くなるように形成されている。また、回転部材110における中心軸112に沿う側面のうち、上述した細くなる部分の側面110Bは、その表面がゴムで形成されており、後述する移動部材120の当接面122と当接する。
【0069】
この回転部材110は、中心軸112が譜面台3の回転軸と一致する位置関係で、上述した一方の端部110Aとは反対に位置する他方の端部110Cが譜面台3に取り付けられている。そのため、回転部材110は、譜面台3の回転に伴って中心軸112を回転中心として回転する。
【0070】
また、ガイド部材130は、上述した一方の端部110Aから中心軸112に沿って延びる棒状の部材である。このガイド部材130における回転部材110と反対側の端部には、フランジ状に形成されたフランジ部132が設けられている。このガイド部材130は、その長手方向の中心軸が、回転部材110の中心軸112と重なるように配置されている。
【0071】
また、移動部材120は、図6(a)に示すように、柱状の柱部120Aと、柱部120Aの一端から、その中心軸に沿って延びる筒状の筒部120Bと、からなる。
この筒部120Bは、柱部120Aから離れるにつれて次第に広くなる形状であって、その内側面には、表面がゴムで形成された当接面122が形成されている。この当接面122は、回転部材110と移動部材120とを当接させた際に、回転部材110における上述した側面110Bと全面に亘って重なる。
【0072】
また、柱部120Aにおける筒部120Bと反対の端部には、磁石124が備えられて
いる。
この柱部120Aには、図6(b)(図6(a)におけるB断面図)に示すように、ガイド部材130が通過するガイド溝126,および,図7に示すようなT字型の断面を有するレール部材140が通過するレール溝128,が柱部120Aの長手方向に沿って形成されている。また、レール溝128は、筒部120Bにまで続いて形成されている。
【0073】
そして、この移動部材120は、図4に示すように、ガイド部材130がガイド溝126を通過し、レール部材140がレール溝128を通過するように配置されている。そのため、この移動部材120は、ガイド部材130の長手方向(図4における矢印方向)にのみ変位可能であって、譜面台3の回転方向に対しては回転変位不能となっている。
【0074】
また、操作部材150は、図8に示すように、板状の本体部152と、本体部152から延び出す棒状の部材である把持部材154と、からなる。
上述した本体部152は、移動部材120の磁石124と反発する磁石である斥力部152A,および,磁石124と引き合う磁石である引力部152Bを備えている。これらのうち、斥力部152Aは、本体部152における把持部材154が延び出す側面と反対側の側面において、その側面の長手方向における一方の端部に配置されている。また、引力部152Bは、上述した側面の長手方向における他方の端部に配置されている。
【0075】
また、操作部材150は、図4に示すように、その把持部材154の長手方向がガイド部材130の長手方向と直交する位置関係で、取付金具156を介して鍵盤楽器本体2に取り付けられている。この操作部材150のうち、本体部152は、上述した中心軸112のフランジ部132方向の延長線上に、斥力部152Aおよび引力部152Bが配置されるように取り付けられている。また、把持部材154は、本体部152から演奏者側に延び出すような位置関係で取り付けられている。
【0076】
また、上述した操作部材150は、その把持部材154を回転軸として回転可能となっている。これにより、上述した斥力部152Aおよび引力部152Bは、操作部材150の回転に伴って回転変位する。そして、操作部材150が半回転すると互いの位置が入れ替わることとなる。
【0077】
これらのことから、磁石124は、操作部材150が回転して、斥力部152Aが磁石124に接近したとき(図4においては、斥力部152Aがフランジ部132に接近する位置に回転変位したとき)に、斥力部152Aと反発して斥力部152Aから離れる方向(図4の矢印におけるB方向)の力を受ける一方、さらに操作部材150が半回転して、引力部152Bが磁石124に接近したときに、引力部152Bと引き合って引力部152Bに近づく方向(図4の矢印におけるC方向)の力を受ける。
[効果]
このように構成された譜面台調節機構100において、移動部材120は、その磁石124が本体部152の斥力部152Aと反発する力を受けると、斥力部152Aから離れる方向(図4の矢印におけるB方向)に変位して、当接面122と回転部材110の側面110Bとが当接する当接位置に位置することとなる。一方、この移動部材120は、磁石124が本体部152の引力部152Bと引き合う力を受けると、引力部152Bに近づく方向(図4の矢印におけるC方向)に変位して、磁石124とフランジ部132とが当接する隔離位置に位置することとなる。
【0078】
そして、移動部材120が当接位置に位置するときは、移動部材120の当接面122と、回転部材110の側面110Bと、の摩擦により、回転部材110の回転が抑制され
ることで、譜面台3の回転が抑制された抑制状態となる一方、移動部材120が隔離位置に位置するときは、移動部材120による回転部材110の回転の抑制が解除されるため、譜面台3の回転が可能な解除状態となる。
【0079】
このように、この譜面台調節機構100によれば、移動部材120を隔離位置に変位させることで、演奏者は譜面台3を自由な角度に回転できるようになり、そして、適切な角度に回転させた状態で移動部材120を当接位置に変位させることで、その角度のままに譜面台3の回転を抑制することができる。
【0080】
すなわち、譜面台3を任意の角度に回転させた状態で譜面台の回転を抑制できるため、従来よりも多くのパターンの取付角度による譜面台3の取り付けを実現できる。
また、このように構成された譜面台調節機構100によれば、把持部材154を回転変位させることで、移動部材120を変位させることができ、それにより譜面台3の回転が可能な解除状態と、譜面台3の回転が抑制された抑制状態と、を切り替えることができる。
[変形例]
以上、本発明の実施例2について説明したが、本発明は、上記実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0081】
例えば、上記実施例においては、回転部材110の側面110B,および,移動部材120の当接面122の表面それぞれを形成するゴムの摩擦によって、回転部材110の回転を抑制する構成を例示した。しかし、それらが当接している場合に回転部材110の回転を抑制可能であれば、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、側面110Bおよび当接面122の表面それぞれに1以上の突起が形成されており、それら突起が係合することで回転部材110の回転を抑制する構成であってもよい。
【0082】
また、上記実施例においては、磁石124と斥力部152Aとの反発する力,および,磁石124と引力部152Bとの引き合う力を利用して、抑制状態および解除状態を実現する構成について例示した。しかし、磁石124と操作部材150とにより、抑制状態,解除状態のいずれか一方の状態のみ実現する構成であって、他方の状態は別の手段を用いて実現する構成であってもよい。
【0083】
その具体的な例としては、例えば、磁石124とフランジ部132の間に弦巻バネが配置されており、引力部152Bが磁石124と引き合う位置でない場合には、弦巻バネにより移動部材120が回転部材110と嵌合する当接位置まで変位されて抑制状態となる一方、引力部152Bが磁石124と引き合う位置の場合には、その引力により移動部材120が隔離位置まで変位されて解除状態となる構成が考えられる。
[本発明との対応関係]
以上説明した実施例2において、蝶番10が本発明における譜面台取付部である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施例1の譜面台調節機構の構造を示す斜視図
【図2】操作ギアの構造を示す図
【図3】操作ギアの変形例の構造を示す図
【図4】実施例2の譜面台調節機構の構造を示す斜視図
【図5】回転部材およびガイド部材の構造を示す図
【図6】移動部材の構造を示す図
【図7】レール部材の構造を示す図
【図8】操作部材の構造を示す図
【符号の説明】
【0085】
1,100…譜面台調節機構、2…鍵盤楽器本体、3…譜面台、10…蝶番、12…軸部材、20…譜面台ギア、22…回転突起、30…操作ギア、32…係合突起、33…嵌合溝、34…ギア部、36…シャフト、38…ハンドル、40…ストッパー、50…固定金具、60…溝部材、110…回転部材、110A,110C…端部、110B…側面、112…中心軸、120…移動部材、120A…柱部、120B…筒部、122…当接面、124…磁石、126…ガイド溝、128…レール溝、130…ガイド部材、132…フランジ部、140…レール部材、150…操作部材、152…本体部、152A…斥力部、152B…引力部、154…把持部材、156…取付金具。
【出願人】 【識別番号】000001410
【氏名又は名称】株式会社河合楽器製作所
【出願日】 平成19年3月26日(2007.3.26)
【代理人】 【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人


【公開番号】 特開2008−241883(P2008−241883A)
【公開日】 平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願番号】 特願2007−79228(P2007−79228)