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【発明の名称】 電子楽器、電子楽器用消音装置
【発明者】 【氏名】櫻井 洋一

【氏名】清水 克男

【要約】 【課題】鍵盤メカユニットを楽器本体から引き出した状態で鍵盤メカユニットに増設可能な消音装置を提供する。

【解決手段】ハンマーの配列を複数に区分し、各区分の境界位置に後付け固定具27を設ける。後付け固定具に一方の回動遊端の相互に回動軸28を差し渡した回動アーム26を装着する。回動軸をハンマーシャンクと弦の間の空間に架設する。回動軸の周面の一部から一方向に突片が突出し、突片の突出端に緩衝材が装着され消音バーを構成する。回動軸の回動位置を調整し、打鍵時にハンマーシャンクが跳ね上がる際にハンマーが弦に突き当たる直前にハンマーシャンクが消音バーに当接する消音モードと、消音バーがハンマーシャンクの上昇を阻止しない演奏モードとに切替え可能とし、更に回動アームを回動させることにより消音装置を増設した鍵盤メカユニットを楽器本体から引き出すこと及び外部から楽器本体に収納することを可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弦とハンマーシャンクとの間の空間に配置した回動軸と、
この回動軸の周面から一方向に突出した消音バーと、
この消音バーの突出方向を調整し消音モードと発音モードとに切替える切替手段と、
前記回動軸を所定位置から降下させる降下手段と、
を備えることを特徴とする電子楽器。
【請求項2】
床面と平行な姿勢で支持される棚板と、この棚板の周縁に所定の高さを維持して巡らされ、一部に開放面を形成する側板と、この側板の前記開放面に隣接して前記側板の上側の相互に差し渡されたピン板と、このピン板と前記側板とで囲まれる平面に実装されたフレームと、このフレームとピン板に設けられたピンによって端が固定され、所望の音高の音を発生する弦とによって楽器本体を構成し、
更に、前記棚板と前記ピン板と側板とによって形成される空洞内の前記棚板上に摺動自在に配置された基台と、この基台上において前記空洞の開放面から外向に突出し、前記棚板とほぼ平行な姿勢で配列されたキーと、前記空洞の内部において前記キーの配列方向と平行する軸を軸芯として回動自在に支持され、前記空洞の背面側から後方に突出し、平素は後方に向う程漸次棚板に近づく向に傾斜した姿勢で支持されたハンマーシャンクと、各ハンマーシャンクの回動遊端に装着されたハンマーとによって鍵盤メカユニットが構成され、これら楽器本体及び鍵盤メカユニットにより鍵盤楽器を構成すると共に、前記ハンマーシャンクの回動遊端と前記弦との間の空間に前記ハンマーシャンクの配列方向と平行する軸を回動軸芯として前記ハンマーシャンクの配列範囲の全幅にわたって差し渡された回動軸と、この回動軸の周面から突出した突片及びこの突片の突出端に装着された緩衝材とによって構成された消音バーと、前記回動軸を回動させ、前記消音バーの突出方向を変更し、前記鍵盤楽器を消音モードと発音モードとに切替える切替手段と、前記キーの各キーに対応して設けられ、打鍵されたキーを検出する打鍵検出スイッチ群と、前記鍵盤メカユニットを前記空洞から引き出す際に前記回動軸を前記支持位置から降下させる支持位置解除手段と、
を備えることを特徴とする電子楽器。
【請求項3】
装着対象となる鍵盤楽器のハンマーレールに沿って配列された複数の回動アームと、
この複数の回動アームの相互間に回動自在に装着された回動軸と、
この回動軸の周面から一方向に突出した消音バーと、
前記回動軸の回動位置を調整し、前記消音バーの突出方向を切替える切替手段と、
前記消音バーの位置を高位置から低位置に開放させる支持位置解除手段と、
を備えることを特徴とする電子楽器用消音装置。
【請求項4】
鍵盤メカユニットに実装されているハンマーシャンクの回動面と平行する回動面に沿って回動自在に支持され、鍵盤メカユニットの全幅を複数に分割し、各分割点毎に設けた複数の回動アームと、
この複数の回動アームのそれぞれの回動遊端側の相互に差し渡され、前記ハンマーシャンクの配列方向と平行する軸を回動軸芯として回動自在に支持された回動軸と、
この回動軸の周面から一方向に突出した突片及びこの突片の突出端に装着した緩衝材とによって構成した消音バーと、
この消音バーの突出方向を調整し、鍵盤楽器を発音モードと消音モードとに切替える切替手段と、
平素は前記消音バーの位置を前記ハンマーシャンクから離れた位置に支持し、前記鍵盤メカユニットを楽器本体から引き出す際に前記消音バーの支持位置を前記ハンマーシャンクから離れた位置から前記ハンマーシャンクに近づく位置に降下させる支持位置解除手段と、
を備えることを特徴とする電子楽器用消音装置。
【請求項5】
請求項3または4の何れかに記載の電子楽器用消音装置において、前記支持位置解除手段と前記回動アームとの間に前記消音バー支持位置微調手段を備え、前記消音バーの架設位置を微調整できる構成としたことを特徴とする電子楽器用消音装置。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れかに記載の電子楽器用消音装置において、前記消音バーは前記ハンマーの配列の全幅の区間において複数に分割され、各分割区間毎に支持位置解除手段と消音バー支持位置微調手段を備える構成としたことを特徴とする電子楽器用消音装置。
【請求項7】
請求項3乃至6の何れかに記載の電子楽器用消音装置において、前記消音バーは前記ハンマーの配列の全幅の区間において複数に分割され、一部の分割位置において、クランク形状の継手によって連結し、このクランク形状の継手によって楽器本体のフレームの突起を回避する構成としたことを特徴とする電子楽器用消音装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は通常のピアノを消音モードに切替え可能とし、消音モードでは電子回路で生成した信号により音を発生する構成とした電子楽器であり、更にこの電子楽器に搭載する電子楽器用消音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より通常のピアノ(以下アコースティックピアノと称す)に消音機能を付加し、消音モードでは電子楽器として機能させる消音機能付ピアノが各種提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
ここでグランドピアノの構成の概要を説明する。グランドピアノは図6に示すように床面と平行な姿勢で支持される棚板11と、この棚板11の周縁に所定の高さを維持して巡らされ、一部に開放面12を形成する側板13と、この側板13が開放された開放面12に隣接して側板13の上側の相互に差し渡されたピン板14と、このピン板14と側板13とによって囲まれる平面に実装されるフレーム15と、このフレーム15とピン板14に設けられたチューニングピン16Aと、こまピン(非図示)によって音高を決める両端が固定され、所望の音高の音を発生する弦16とによって楽器本体10が構成される。
【0004】
一方鍵盤メカユニット20は図7に示すように基台21と、この基台21の上部に搭載されたキー22と、キー22の打鍵により上向に跳ね上げられるハンマーシャンク23と、このハンマーシャンク23の各回動遊端に装着されたハンマー24と、ハンマーシャンク23を回動自在に支持するハンマーレール25と、打鍵されたキーの位置を検出する打鍵検出スイッチKSWとによって構成される。
【0005】
尚、キー22とハンマーシャンク23との間にハンマーアクション機構が存在するが、この発明ではこのハンマーアクション機構を発明の対象とするものではなく、ここではキー22を打鍵するとこれに連動してハンマーシャンク23が弦16に向って跳ね上げられ、ハンマー24が弦16に衝撃を与える動作が理解できればよい。
鍵盤メカユニット20の主要部は図6に示したように棚板11と側板13とピン板14とによって形成される空洞17の内部に収納される。キー22は空洞17の開放面12から前方に突出して配置され、ハンマー24は空洞17の背面側に突出して配置される。
【0006】
ハンマー24の各ハンマーが定常位置(無打鍵時)に存在している状態では、ハンマー24はピン板14の下面より低い位置に存在するが基台21をロックしているロック機構のロックを外すことにより基台21を手前に引き出すことができる。つまり鍵盤メカユニット20を空洞17の外側に引き出すことができる。基台21は引き出す方向のロックが施錠されている状態でも空洞17の内部では演奏者から見て左右の方向に移動することができる。つまり、特に図示していないが、ピアノには弱音ペダルが備えられ、弱音ペダルを踏むと基台21が数mm程度右側又は左側に移動し、ハンマー24が打撃する弦の本数を減少させ、発音量を減少させる機能を備える。この結果、鍵盤メカユニット20は空洞17の貫通方向及びキーの配列方向の何れにも摺動できるように配置されている
【特許文献1】特許第3743363号明細書
【特許文献2】特許第3484680号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
グランドピアノにあっては、図6及び図7で説明したように鍵盤メカユニット20を空洞17から引き出すことができる。然し乍ら空洞17の上面はピン板14で塞がれており、通過できる高さに制限を受ける。この結果従来、つまり特許文献1では鍵盤メカユニット20に消音装置を装着すると鍵盤ユニット20を外側に引き出すことができなくなるものと判断し、消音装置を楽器本体10側に装着している。
【0008】
ピアノの製造時に消音装置を組み込む場合には消音装置の組み込みを行うことができる。然し乍ら消音装置を後付けする場合、その組み込み作業はピアノをユーザ宅より工場に引き取り、工場で消音装置を組み込む作業を行っている。この結果、ピアノの移送費用、消音装置の組み込みに要する費用を必要とし、多額な費用が発生する。
この発明の目的はユーザ宅でも比較的簡素にピアノに組み込むことができる電子楽器用消音装置と、この消音装置を実装した電子楽器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明ではピアノの中の特にグランドピアノは鍵盤メカユニットをピアノ本体から引き出すことができる構造に注目し、鍵盤メカユニットをピアノ本体から引き出した状態で鍵盤メカユニットに消音装置を後付け可能とした点を特徴とするものである。
本発明で請求する電子楽器の具体的な構成は、
弦とハンマーシャンクとの間の空間に配置した回動軸と、この回動軸の周面から一方向に突出した消音バーと、この消音バーの突出方向を調整し消音モードと発音モードとに切替える切替手段と、回動軸を所定位置から降下させる降下手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明で請求する電子楽器の更に具体的な構成は床面と平行な姿勢で支持される棚板と、この棚板の周縁に所定の高さを維持して巡らされ、一部に開放面を形成する側板と、この側板の開放面に隣接して側板の上側の相互に差し渡されたピン板と、このピン板と側板とで囲まれる平面に実装されたフレームと、このフレームとピン板に設けられたピンによって端が固定され、所望の音高の音を発生する弦とによって楽器本体を構成し、更に、棚板とピン板と側板とによって形成される空洞内の棚板上に摺動自在に配置された基台と、この基台上において空洞の開放面から外向に突出し、棚板とほぼ平行な姿勢で配列されたキーと、空洞の内部においてキーの配列方向と平行する軸を軸芯として回動自在に支持され、空洞の背面側から後方に突出し、平素は後方に向う程漸次棚板に近づく向に傾斜した姿勢で支持されたハンマーシャンクと、各ハンマーシャンクの回動遊端に装着されたハンマーとによって鍵盤メカユニットが構成され、これら楽器本体及び鍵盤メカユニットとにより鍵盤楽器を構成すると共に、ハンマーシャンクの回動遊端と前記弦との間の空間にハンマーシャンクの配列方向と平行する軸を回動軸芯としてハンマーシャンクの配列範囲の全幅にわたって差し渡された回動軸と、この回動軸の周面から突出した突片及びこの突片の突出端に装着された緩衝材とによって構成された消音バーと、回動軸を回動させ、消音バーの突出方向を変更し、鍵盤楽器を消音モードと発音モードとに切替える切替手段と、キーの各キーに対応して設けられ、打鍵されたキーを検出する打鍵検出スイッチ群と、鍵盤メカユニットを空洞から引き出す際に回動軸を支持位置から降下させる支持位置解除手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この発明で請求する電子楽器用消音装置は装着対象となる鍵盤楽器のハンマーレールに沿って配列された複数の回動アームと、この複数の回動アームの相互間に回動自在に装着された回動軸と、この回動軸の周面から一方向に突出した消音バーと、回動軸の回動位置を調整し、消音バーの突出方向を切替える切替手段と、消音バーの位置を高位置から定位置に開放させる支持位置解除手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
この発明による電子楽器用消音装置は前記記載の電子楽器に実装する電子楽器用消音装置において、鍵盤メカユニットに実装されているハンマーシャンクの回動面と平行する回動面に沿って回動自在に支持され、鍵盤メカユニットの全幅を複数に分割し、各分割点毎に設けた複数の回動アームと、この複数の回動アームのそれぞれの回動遊端側の相互に差し渡され、ハンマーシャンクの配列方向と平行する軸を回動軸芯として回動自在に支持された回動軸と、この回動軸の周面から一方向に突出した突片及びこの突片の突出端に装着した緩衝材とによって構成した消音バーと、この消音バーの突出方向を調整し、鍵盤楽器を発音モードと消音モードとに切替える切替え手段と、平素は消音バーの位置をハンマーシャンクから離れた位置に支持し、鍵盤メカユニットを楽器本体から引き出す際は消音バーの支持位置をハンマーシャンクから離れた位置からハンマーシャンクに近づく位置に降下させる支持位置解除手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
この発明による電子楽器用消音装置は更に前記記載の電子楽器用消音装置において、支持位置解除手段と回動アームとの間に消音バー支持位置微調手段を備え、消音バーの架設位置を微調整できる構成としたことを特徴とする。
【0014】
この発明による電子楽器用消音装置は更に、前記記載の電子楽器用消音装置において、消音バーは前記ハンマーの配列の全幅の区間において複数に分割され、各分割区間毎に支持位置解除手段と消音バー支持位置微調手段を備える構成としたことを特徴とする。
【0015】
この発明による電子楽器用消音装置は更に、前記記載の電子楽器用消音装置において、消音バーはハンマーの配列の全幅の区間において複数に分割され、一部の分割位置において、クランク形状の継手によって連結し、このクランク形状の継手によって楽器本体のフレームの突起を回避構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明による電子楽器によれば簡素な操作によってピアノを発音モードと消音モードに切り替えることができる。更に、この発明による電子楽器用消音装置によれば鍵盤メカユニットに消音装置を組み込む構造としたから、鍵盤メカユニットを楽器本体から引き出した状態で組み込み作業を行なうことができるから組み込む作業は容易である。従って、後付けする場合でもユーザ宅で簡素に組み込みを行なうことができる利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明ではハンマーの配列を複数の区分に分割し、各区分の境界毎に、一端が鍵盤メカユニットの固定部材に対して回動自在に軸支した複数の回動アームを設ける。この回動アームは平素は消音バーを所定位置に支持するための支持手段として作用するが、鍵盤メカユニットを楽器本体から引き出す際及び鍵盤メカユニットを外部から楽器本体に収納する際に消音バーを楽器本体に備えたピン板の下を通過させるために下向に降下させる降下手段として作用する。
【0018】
回動アームの回動遊端の相互間に回動軸が回動自在に軸支される。回動軸の一部の相互間はクランク形状の継手で連結される。クランク状の継手により補強アームの存在を回避し、実質的にフレームの存在位置を回転軸芯が貫通した姿勢を維持して回動軸を回動自在に軸支する。
【0019】
回動軸の周面の一部から一方向に突片を突出形成し、この突片の突出端辺にフェルトのような緩衝材を装着し、この突片と緩衝材とによって消音バーを形成する。回動軸を回動させ、消音バーの突出方向を選択することにより、打鍵時に跳ね上げられたハンマーシャンクが消音バーに当たり、ハンマーが弦に当たる直前で上昇を阻止する状態(消音モード)と、ハンマーシャンクの上昇は消音バーに阻止されることなく達せられ、従ってハンマーが弦に衝突する状態(発音モード)とに切り替えることができる。
【0020】
消音モードでは各キーに装着した打鍵検出スイッチが打鍵されたキーを検出し、各キーに割り当てられた音名の音を電子回路で生成し、電気回路により音を発生する電子楽器として作用する。
【実施例1】
【0021】
図1乃至図5にこの発明による電子楽器の実施例を示す。図6及び図7と対応する部分には同一符号を付して示す。
図1及び図2は演奏可能な状態におけるこの発明による電子楽器の要部を説明するための図1は平面図、図2は側面図を示す。図中23は図7で説明したハンマーシャンク23を示す。このハンマーシャンク23は一端がハンマーレール25にハンマーレール25の長手方向と平行する向の回動軸を軸芯として回動自在に支持されている。ハンマーシャンク23がハンマーレール25の軸支持位置を中心に回動し、ハンマーシャンク23の回動遊端に装着されているハンマー24が跳ね上げられ、ハンマー24は弦16を打弦する。図2に示すKSWは打弦検出スイッチを示す。この打弦検出スイッチKSWはどの音に対応するキーが打弦されたかを検出し、その検出信号を音源回路に伝達する。
【0022】
この発明では図1に示すようにハンマー24の配列方向の全幅の区間をハンマー24の配列方向の全幅の区間を例えばA、B、C、Dの4区間に分離し、各分離点の各境界位置に回動アーム26を装着する。回動アーム26はハンマーレール25に固定した後付け固定具27によって回動自在に支持される。後付け固定具27はこの実施例では例えば図4に示すようにコ字状に折曲げた金属板に切欠27Aを形成し、この切欠27Aをハンマーレール25に係合させ、コ字状に折曲げた二枚の板を連結する連結部27Bに螺合したネジ27Cをハンマーレール25に突き当てハンマーレール25に向ってネジ27Cの先端を締付けることによって後付け固定具27をハンマーレール25に固定した場合を示す。このように固定した後付け固定具27はハンマーレール25の長手方向と垂直に交叉する面27Dを有し、この面に垂直に回動支持軸27Eを植設し、この回動支持軸27Eに回動アーム26を回動自在に軸支する。従って、回動アーム26はハンマーシャンク23の回動面と平行する回動面に沿って回動自在に支持される。
【0023】
回動アーム26は軸支持点位置を中心にキー22の突出方向に突出した前方突出部26Aと、ハンマーシャンク23の突出方向に突出した後方突出部26Bとを有する。前方突出部26Aは後付け固定具27の連結部27Bに近接する位置まで延長され、その延長端部に折曲部26A−1を形成し、この折曲部26A−1にネジ26A−2を例えば溶着等により植設する。ネジ26A−2を固定板26A−3に形成した孔に貫通させ、固定板26A−3の表裏を一対のナット26A−4で挟み付け、ナット26A−4の螺合位置を調整することにより、回動アーム26の回動支持位置を微調整できるように構成する。従って、ネジ26A−2と、固定板26A−3と、ナット26A−4とによって消音バーの支持位置を微調整する消音バー支持位置微調手段30(図2、図4参照)を構成する。
【0024】
固定板26A−3は後付け固定具27に向って延長され、その延長部分に孔26A−5(図4参照)を形成する。この孔26A−5に支持位置解除手段26A−6を構成するネジを貫通させる。後付け固定具27の連結部27Bにはネジ孔が設けられ、このネジ孔に支持解除手段26A−6を構成するネジを螺合し、締付けることにより固定板26A−3を連結部27Bに固定する。
【0025】
固定板26A−3が後付け固定具27の連結部27Bに固定されている状態では回動アーム26の後方突出部26Bの先端は図2に示すようにハンマーシャンク23より離れた位置(上部位置)に支持される。
【0026】
回動アーム26の後方突出部26Bの回動遊端側には、回動アーム26の相互間に回動軸28を回動自在に支持する。つまり、回動軸28の回動軸芯はハンマーシャンク23の配列方向と平行する軸芯によって回動自在に軸支持される。
【0027】
回動軸28の周面にはその一部に突片29A(図2参照)が一方向に突出形成される。突片29Aの突出端には例えばフェルトのような緩衝材29Bを装着する。これら突片29Aと緩衝材29Bとによって消音バー29を構成する。回動軸28は図1に示す区間A〜Dの全てにわたっての各境界位置では折曲り可能であるが、回転方向に関しては連結されている。消音バー29は全ての区間A〜Dの何れにおいても、同一の角度方向に突出した状態で各回動アーム26の相互間に架設される。
【0028】
消音バー29が図2に示す角度θ1に存在する状態では、打鍵に対応して跳ね上げられたハンマーシャンク23はハンマー24が弦16に達する直前に消音バー29に衝合し、弦16からの音の発生を阻止する。消音バー29の回動位置を図2に示す角度θ2に設定した場合は、打鍵されて跳ね上げられたハンマーシャンク23は途中で消音バー29に衝合することなく、従ってハンマー24を弦16に衝合させ、弦16から音を発生させる。この結果回動軸28を回動操作し、消音バー29の回動位置を図2に示す角度位置θ1とθ2に設定することにより消音モードと発音モードとに設定することができる。
【0029】
回動軸28を回動操作し、消音モードと発音モードとに切り替える切替手段40としては図5に示すように回動軸28の周面から回動軸28の軸芯に向って形成した孔28Aと、この孔28Aに差し込んで回動軸28を回動操作する操作レバー31とによって構成することが考えられる。また他の方法として或る回動アーム26の板面に装着したモータと、このモータの駆動力を回動軸28に伝達する減速ギアと、消音モードと発音モードの設定に応じてモータを正転方向と逆転方向に起動させる制御回路と、消音バー29の突出位置θ1とθ2の位置を検出してモータを停止させる制御回路とを備えた構成も考えられる。
【0030】
尚、図1に示した平面図において、低音部区間Aと中音部区間Bとの間にクランク形状の継手32を設けた例を示す。このクランク形状の継手32はこの部分に弦16の位置より下向に大きく突出したフレーム15が存在するから設けられたものである。つまり、クランク形状の凹部にフレーム15の突出部分を収納し、これにより回動軸28をフレーム15の障害を回避して全ての区間A〜Dで一体に回転方向に連結できるように構成したものである。
【0031】
また先に図4を用いて説明したナット26A−4はネジ26A−2に対する螺合位置を調整することにより回動アーム26の回動位置を微調整することができる。この結果、各区間A〜Dの何れの区間でも独自に回動軸28の架設位置、つまり消音バー29の架設位置を微調整することができる。この結果音域に応じてハンマーシャンク23が消音バー29に当接するタイミングを微調整することができる。つまり、ハンマーシャンク23が消音バー29に当接するタイミングをハンマー24が弦16に当たる直前のタイミングで微調整することができる。これにより打鍵の感触を発音モードのそれに合致させる調整を行なうことができる。
【0032】
この点において、特許文献1では脱進タイミング変更機構を設け、消音モード時にあっても発音モード時と同等の打鍵感触が得られる構成としているが、この発明では消音バー29をハンマー24が弦16に衝突する直前のタイミングに設定可能であることをもって、脱進タイミング変更機構を設ける必要がない利点が得られる。
以上は発音モード及び消音モードの何れでも平素の演奏可能な状況の説明である。以下では例えば調律等を行なう場合において鍵盤メカユニット20(図7参照)を楽器本体10(図6参照)から引き出すことが可能であることを説明する。
【0033】
鍵盤メカユニット20を楽器本体10から引き出す場合は、図4に示した固定板26A−3を後付け固定具27に固定している支持位置解除手段26A−6を取り外し、固定板26A−3を後付け固定具27から解放することにより、回動アーム26は図3に示す状態に回動する。つまり、この回動状態では消音バー29はハンマーシャンク23に近づいた位置に降下する。この結果、回動軸28の位置が図2の場合と比較してピン板14の下面の位置より低くなり、この状態では基台21を引き出すことにより鍵盤メカユニット20を楽器本体10から支障なく引き出すことができる。また、鍵盤メカユニット20に後付けにより消音装置を増設した状態で回動アーム26を図3に示す姿勢に降下させることにより、楽器本体10の外から鍵盤メカユニット20を支障無く楽器本体10の内部に収納することができる。収納後に固定板26A−3(図4参照)を後付け固定具27に固定すれば演奏可能な状態に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
製造中のピアノは元より、販売されたピアノに対しても後付けにより消音装置を比較的安価に増設することができる。この結果従来より幅広いユーザに消音機能付ピアノを実用できる機会が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明による電子楽器の要部を説明するための平面図。
【図2】この発明による消音装置の構成を説明するための側面図。
【図3】この発明による消音装置の動作を説明するための側面図。
【図4】この発明による消音装置の要部を詳細に説明するための斜視図。
【図5】この発明による消音装置の発音モードと消音モードとの切替え手段の実施例を説明するための図。
【図6】従来の技術を説明するための斜視図。
【図7】従来の技術を説明するための側面図。
【符号の説明】
【0036】
10 楽器本体 23 ハンマーシャンク
11 棚板 24 ハンマー
12 開放面 25 ハンマーレール
13 側板 26 回動アーム
14 ピン板 26A−6 支持位置解除手段
15 フレーム 27 後付け固定具
16 弦 28 回動軸
17 空洞 29 消音バー
20 鍵盤メカユニット 30 消音バー支持位置微調手段
21 基台 31 操作レバー
22 キー 40 切替手段
【出願人】 【識別番号】000130329
【氏名又は名称】株式会社コルグ
【出願日】 平成19年3月22日(2007.3.22)
【代理人】 【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹

【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄

【識別番号】100066153
【弁理士】
【氏名又は名称】草野 卓


【公開番号】 特開2008−233642(P2008−233642A)
【公開日】 平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願番号】 特願2007−74803(P2007−74803)