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【発明の名称】 鍵盤蓋の開閉装置
【発明者】 【氏名】井上 馨

【要約】 【課題】前蓋と後蓋とを上下に重ねてコンパクトに収納でき、鍵盤蓋を閉じたときに段差が生ずることがなく、良好に鍵盤部を覆うことができる鍵盤蓋の開閉装置を提供する。

【解決手段】楽器ケース1内の鍵盤部2を前蓋12と後蓋13とに分割された鍵盤蓋3で開閉可能に覆う鍵盤蓋3の開閉装置16において、前蓋12と後蓋13とを回転可能に連結する連結部材14と、楽器ケース1の側板7に設けられて連結部材14をガイドする第1連結ガイド部17と、後蓋13の側面に設けられて連結部材14を移動可能にガイドする第2連結ガイド部と、楽器ケース1の側板7に設けられ、連結部材14を上下方向に回転させる傾斜部を有する自由ガイド領域部19とを備えた。従って、前蓋12と後蓋13とを上下に重ねてコンパクトに収納でき、また鍵盤蓋3を閉じたときに段差が生ずることがなく、平坦に連続した状態で良好に鍵盤部2を覆うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽器ケース内の前部側に設けられた鍵盤部を、前蓋と後蓋とに分割された鍵盤蓋で、開閉可能に覆う鍵盤蓋の開閉装置において、
前記前蓋の後部に回転可能に取り付けられて前記前蓋と前記後蓋とを連結する2軸ヒンジの連結部材と、
前記楽器ケース内の側面に設けられて前記連結部材の前記前蓋側の軸部を前記鍵盤部のほぼ中間部に対応する箇所から前記鍵盤部の後方にガイドする溝状の第1連結ガイド部と、
前記後蓋の側面に設けられて前記連結部材の前記後蓋側の軸部を前記後蓋の前部から後部に移動可能にガイドする溝状の第2連結ガイド部と、
前記楽器ケース内の側面に設けられ、前記後蓋の前部が前記鍵盤部の後部付近に対応する箇所に移動したときに前記連結部材を上下方向に回転させる傾斜部を有し、前記連結部材を回転可能な状態でガイドする溝状の自由ガイド領域部と、
前記後蓋の後部に設けられて前記自由ガイド領域部の底部にガイドされて移動する後部支持軸とを備えていることを特徴とする鍵盤蓋の開閉装置。
【請求項2】
前記連結部材は、一端部が前記前蓋の後部に回転可能に取り付けられて他端部が前記楽器ケースの前記第1連結ガイド部にガイドされて移動する第1支持軸と、一端部が前記後蓋の前記第2連結ガイド部にガイドされて相対的に移動すると共に他端部が前記自由ガイド領域部の前記傾斜部に到達したときにその傾斜部に沿って上下方向に移動する第2支持軸と、前記鍵盤蓋を閉じるときに前記自由ガイド領域部の前記傾斜部によって前記前蓋の後端面と前記後蓋の前端面とを互いに対面させる位置に回転移動させ、且つ前記鍵盤蓋を開くときに前記自由ガイド領域部の前記傾斜部によって前記前蓋の後端面と前記後蓋の前端面とを上下方向に離間させて前記前蓋と前記後蓋とが重なる位置に回転移動させるように前記第1、第2支持軸を連結する連結部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤蓋の開閉装置。
【請求項3】
前記連結部材の前記第2支持軸は、前記自由ガイド領域部側に位置する前記他端部が前記連結部よりも前記自由ガイド領域部側に向けて突出して形成されており、前記自由ガイド領域部は、その幅が前記第1、第2支持軸間のピッチとほぼ同じかそれよりも少し狭い幅で形成されていると共に、その深さが前記第2支持軸の前記連結部よりも突出した長さだけ深く形成されていることを特徴とする請求項2に記載の鍵盤蓋の開閉装置。
【請求項4】
前記前蓋の前部には前側回転部材が設けられており、前記楽器ケース内の側面には、前記前蓋の前記前側回転部材を前記鍵盤部の前部に対応する箇所から前記鍵盤部の後部付近に対応する箇所にガイドする前側ガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鍵盤蓋の開閉装置。
【請求項5】
前記後蓋の後部には後側回転部材が設けられており、前記楽器ケース内の側面には、前記後側回転部材を前記鍵盤部の後部付近に対応する箇所から前記鍵盤部の後方にガイドする後側ガイド部が前記自由ガイド領域部に沿って設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鍵盤蓋の開閉装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、ピアノなどの鍵盤楽器に用いられる鍵盤蓋の開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ピアノなどの鍵盤楽器においては、楽器ケースのコンパクト化を図るために、特許文献1に記載されているように、楽器ケースの前部側に設けられた鍵盤部を開閉自在に覆う鍵盤蓋を前蓋と後蓋とに分割し、この鍵盤蓋を閉じるときに前蓋と後蓋とが前後にずれて鍵盤部を覆い、鍵盤蓋を開くときに前蓋と後蓋とが上下に重なって楽器ケース内に収納されるように構成したものがある。
【特許文献1】特開平08−263051号
【0003】
すなわち、この鍵盤楽器における鍵盤蓋の開閉装置は、前蓋の後端部に回転軸を取り付け、この回転軸の両端部を、後蓋の両側に設けられて上方に突出したガイド部材のガイド孔内に移動自在に挿入して側方に突出させると共に、この突出した回転軸の両端部にピニオンギアを設け、このピニオンギアを楽器ケース内の両側面に設けられたラックギアに噛み合わせて転動させるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の鍵盤蓋の開閉装置では、前蓋の後端部に設けられた回転軸が常に後蓋の上側に配置されているため、前蓋の後部と後蓋の前部とが常に上下に重なり合うことになる。このため、鍵盤蓋を開いて楽器ケース内に収納したときには、前蓋と後蓋とを重ね合わせることができても、鍵盤蓋を閉じて鍵盤部を覆った状態のときには、前蓋と後蓋とが前後にずれるが、前蓋の後端部と後蓋の前端部とが上下に重なるため、鍵盤蓋に段差ができてしまう。このため、前蓋の後部と後蓋の前部とが平坦に連続する状態にならず、外観上、好ましくないという問題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、前蓋と後蓋とを上下に重ねてコンパクトに収納できると共に、鍵盤蓋を閉じたときに段差が生ずることなく、前蓋と後蓋とを前後にずらして良好に鍵盤部を覆うことができる鍵盤蓋の開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、楽器ケース内の前部側に設けられた鍵盤部を、前蓋と後蓋とに分割された鍵盤蓋で、開閉可能に覆う鍵盤蓋の開閉装置において、
前記前蓋の後部に回転可能に取り付けられて前記前蓋と前記後蓋とを連結する2軸ヒンジの連結部材と、
前記楽器ケース内の側面に設けられて前記連結部材の前記前蓋側の軸部を前記鍵盤部のほぼ中間部に対応する箇所から前記鍵盤部の後方にガイドする溝状の第1連結ガイド部と、
前記後蓋の側面に設けられて前記連結部材の前記後蓋側の軸部を前記後蓋の前部から後部に移動可能にガイドする溝状の第2連結ガイド部と、
前記楽器ケース内の側面に設けられ、前記後蓋の前部が前記鍵盤部の後部付近に対応する箇所に移動したときに前記連結部材を上下方向に回転させる傾斜部を有し、前記連結部材を回転可能な状態でガイドする溝状の自由ガイド領域部と、
前記後蓋の後部に設けられて前記自由ガイド領域部の底部にガイドされて移動する後部支持軸とを備えていることを特徴とする鍵盤蓋の開閉装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記連結部材は、一端部が前記前蓋の後部に回転可能に取り付けられて他端部が前記楽器ケースの前記第1連結ガイド部にガイドされて移動する第1支持軸と、一端部が前記後蓋の前記第2連結ガイド部にガイドされて相対的に移動すると共に他端部が前記自由ガイド領域部の前記傾斜部に到達したときにその傾斜部に沿って上下方向に移動する第2支持軸と、前記鍵盤蓋を閉じるときに前記自由ガイド領域部の前記傾斜部によって前記前蓋の後端面と前記後蓋の前端面とを互いに対面させる位置に回転移動させ、且つ前記鍵盤蓋を開くときに前記自由ガイド領域部の前記傾斜部によって前記前蓋の後端面と前記後蓋の前端面とを上下方向に離間させて前記前蓋と前記後蓋とが重なる位置に回転移動させるように前記第1、第2支持軸を連結する連結部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤蓋の開閉装置である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記連結部材の前記第2支持軸は、前記自由ガイド領域部側に位置する前記他端部が前記連結部よりも前記自由ガイド領域部側に向けて突出して形成されており、前記自由ガイド領域部は、その幅が前記第1、第2支持軸間のピッチとほぼ同じかそれよりも少し狭い幅で形成されていると共に、その深さが前記第2支持軸の前記連結部よりも突出した長さだけ深く形成されていることを特徴とする請求項2に記載の鍵盤蓋の開閉装置である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記前蓋の前部に前側回転部材が設けられており、前記楽器ケース内の側面には、前記前蓋の前記前側回転部材を前記鍵盤部の前部に対応する箇所から前記鍵盤部の後部付近に対応する箇所にガイドする前側ガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鍵盤蓋の開閉装置である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記後蓋の後部に後側回転部材が設けられており、前記楽器ケース内の側面には、前記後側回転部材を前記鍵盤部の後部付近に対応する箇所から前記鍵盤部の後方にガイドする後側ガイド部が前記自由ガイド領域部に沿って設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鍵盤蓋の開閉装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、鍵盤蓋を収納するときに、前蓋を後方に移動させるだけで、前蓋と後蓋とを連結する連結部材が第1、第2連結ガイド部および自由ガイド領域部によってガイドされて移動することにより、鍵盤部の上側に前後に並んで配置されていた前蓋と後蓋とを自由ガイド領域部の傾斜部で上下にずらして鍵盤部の後方に位置する楽器ケース内に重ね合わせて収納することができる。また、この鍵盤蓋を閉じるときには、前蓋を前方に移動させるだけで、前蓋と後蓋とを連結する連結部材が第1、第2連結ガイド部および自由ガイド領域部によってガイドされて移動することにより、上下に重なり合った前蓋と後蓋とを前後にずらして鍵盤部の上方に配置させることができる。
【0012】
このため、前蓋を後方に移動させて鍵盤蓋を収納したときには、前蓋と後蓋とを上下に重ね合わせてコンパクトに収納することができ、これにより楽器ケースの奥行サイズを小さく抑えることができる。また、前蓋を前方に移動させて鍵盤蓋を閉じるときには、上下に重なり合った前蓋と後蓋とが前後にずれると共に、連結部材が自由ガイド領域部の傾斜部によって上下方向に回転することにより、前蓋の後部と後蓋の前部とを対面させることができるので、前蓋と後蓋とをほぼ平坦状に連続させることができる。このため、鍵盤蓋を閉じたときに前蓋と後蓋とに段差が生ずることがなく、前後にずれた前蓋と後蓋とで鍵盤部を良好に覆うことができ、これにより外観的に好ましいものを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施形態1)
以下、図1〜図11を参照して、この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態1について説明する。
図1はこの発明の鍵盤楽器において鍵盤蓋を閉じた状態を示した断面図、図2はその鍵盤楽器において鍵盤蓋を開いて収納した状態を示した断面図である。
この鍵盤楽器は、図1および図2に示すように、楽器ケース1を備え、この楽器ケース1内の前部側(図1では左側)に鍵盤部2が配置され、この鍵盤部2の上側に鍵盤蓋3が開閉自在に設けられた構成になっている。
【0014】
楽器ケース1は、図1および図2に示すように、底板4を備えている。この底板4の前端部(図1では左端部)には、前板5が起立して設けられており、この底板4の後端部(図1では右端部)には、後板6が起立して設けられている。また、底板4の両側部(図1では紙面の表裏面方向)には、一対の側板7が起立して設けられており、この一対の側板7の上部における後部間、つまり鍵盤部2の後方に位置する箇所の側板7間には、天板8が後板6の上端部に載置された状態でほぼ水平に設けられている。これにより、楽器ケース1は、前板5と天板8との間が上方に開放され、この開放された部分から鍵盤部2が上方に露出するように構成されている。
【0015】
鍵盤部2は、図1および図2に示すように、白鍵および黒鍵からなる複数の鍵10を鍵盤シャーシ11上に配列したものであり、楽器ケース1の底板4上に鍵盤シャーシ11が配置され、この状態で鍵盤シャーシ11上の複数の鍵10が楽器ケース1の前板5と天板8との間に位置して上方に露出するように構成されている。この場合、鍵盤部2は、その後部が天板8の前端部よりも少し後側に位置し、これにより天板8の真上から鍵盤部2の後部が見えないように配置されている。また、この鍵盤2の後部と楽器ケース1の後板6との間には、電源部(図示せず)などの電子部品を収納する部品収納領域9が設けられている。
【0016】
鍵盤蓋3は、図1および図2に示すように、前蓋12と後蓋13とに分割され、この前蓋12と後蓋13とが連結部材14によって連結され、この状態で前蓋12と後蓋13とが楽器ケース1の前後方向(図1では左右方向)にスライドして鍵盤部2を開閉自在に覆うように構成されている。この場合、前蓋12の前端部にはカバー部材15が設けられており、このカバー部材15には取手部15aが設けられている。また、この鍵盤蓋3は、閉じたときに、カバー部材15の先端部が、楽器ケース1の前板5の上端部に設けられたストッパ部15bに当接するように構成されている。
【0017】
この鍵盤蓋3の開閉装置16は、図1〜図7に示すように、前蓋12と後蓋13とを連結する2軸ヒンジの連結部材14と、楽器ケース1の側板7に設けられて連結部材14をガイドする第1連結ガイド部17と、後蓋13の側面に設けられて連結部材14を移動可能にガイドする第2連結ガイド部18と、楽器ケース1の側板7に設けられて連結部材14を回転可能な状態でガイドする自由ガイド領域部19と、後蓋13の後部に設けられて自由ガイド領域部19の底部21に沿ってガイドされる後部支持軸20とを備えている。この場合、開閉装置16は、鍵盤蓋3の両側および楽器ケース1の両側に位置する一対の側板7にそれぞれ設けられているが、図1〜図11では、それらの片側のみを示す。
【0018】
連結部材14は、図3および図5に示すように、第1支持軸22と、第2支持軸23と、この第1、第2支持軸を連結する連結部24とを備えている。第1支持軸22は、その一端部が前蓋12の後部における側面に第1補強部材25によって回転自在に取り付けられ、他端部が楽器ケース1の側板7に設けられた第1連結ガイド部17にガイドされて移動するように構成されている。第2支持軸23は、その一端部が後蓋13の第2連結ガイド部18にガイドされて移動すると共に、他端部が後述する自由ガイド領域部19の傾斜部21aに位置したときにその傾斜部21aに沿って上下方向に移動するように構成されている。
【0019】
連結部24は、図3および図5に示すように、前蓋12の後部における側面と後蓋13の前部における側面とに接近した位置において、第2支持軸23の端部、つまり第2連結ガイド部18にガイドされる一端部と反対側の他端部に設けられて、第1支持軸22のほぼ中間部に取り付けられ、これにより第1支持軸22と第2支持軸23とを所定間隔離した状態で連結するように構成されている。
【0020】
すなわち、この連結部24は、鍵盤蓋3を閉じるときに後述する自由ガイド領域部19の傾斜部21aによって前蓋12の後端面12aと後蓋13の前端面13aとを互いに対面させる位置に回転移動させ、且つ鍵盤蓋3を開いて収納するときに後述する自由ガイド領域部19の傾斜部21aによって前蓋12の後端面12aと後蓋13の前端面13aとを上下方向に離間させることにより、前蓋12と後蓋13とが重なる位置に回転移動させて、後蓋13を前蓋12の下側に吊り下げるように構成されている。
【0021】
第1連結ガイド部17は、前蓋12の後部に回転可能に取り付けられた連結部材14の第1支持軸22が挿入して移動する凹部状の溝であり、図2および図4に示すように、楽器ケース1の側板7における鍵盤部2のほぼ中間部に対応する箇所から鍵盤部2の後方、つまり楽器ケース1内の後部に亘って設けられている。この場合、第1連結ガイド部17は、その前側部分が鍵盤部2のほぼ中間部に対応する箇所から鍵盤部2の後部付近つまり天板8の前端部に対応する箇所に亘って緩やかに後部上がりに傾斜し、中間部分が鍵盤部2の後部付近から少し急な角度で後部上りに傾斜し、後側部分が鍵盤部2の後部に対応する箇所から楽器ケース1内の後部に亘って天板8と平行するほぼ水平な状態で設けられている。
【0022】
第2連結ガイド部18は、図3、図5および図6に示すように、連結部材14の第2支持軸23が挿入して移動する凹部状の溝であり、後蓋13の側面にその前部から後部に亘って設けられている。この場合、第2連結ガイド部18は、図6および図7に示すように、後蓋13の側部に取り付けられた第2補強部材26によって形成されている。また、この第2連結ガイド部18は、後蓋13の前側および後側に開放されておらず、その前端部および後端部が塞がれ、これにより連結部材14の第2支持軸23が後蓋13の前後方向に離脱しないように構成されている。
【0023】
自由ガイド領域部19は、図3および図4に示すように、連結部材14の連結部24が第1支持軸22を中心に回転可能な状態で移動する凹部状の溝であり、第1連結ガイド部17の下側にこれに連続した状態で、鍵盤部2の後部付近に対応する箇所、つまり第1連結ガイド部17の中間部分に位置する箇所から楽器ケース1の後部に亘ってほぼ水平に設けられている。この場合、自由ガイド領域部19の深さは、図5に示すように、連結部材14の連結部24が挿入する深さであり、第1連結ガイド部17よりも浅く形成されている。
【0024】
また、この自由ガイド領域部19の上下方向の幅は、図4に示すように、連結部材14の第1支持軸22を除く幅、つまり第2支持軸23と連結部24とが挿入する広い幅で形成されている。さらに、この自由ガイド領域部19の前部は、図4に示すように、前側に向かうに従って次第に狭くなる楔形状に形成されている。すなわち、この自由ガイド領域部19の前部における上辺部は、第1連結ガイド部17の中間部分と同じ傾斜で形成されており、またこの自由ガイド領域部19の前部における底部21は、後部側に向かうに従って次第に低くなる傾斜部21aに形成されている。
【0025】
これにより、自由ガイド領域部19の前部は、鍵盤蓋3を開いて収納するときに連結部材14が自由ガイド領域部19の前部に到達すると、後蓋13の重量によって連結部材14の第2支持軸23の他端部、つまり第2連結ガイド部18に挿入する一端部と反対側に位置する第2支持軸23の他端部を傾斜部21aに沿って下側に移動させることにより、前蓋12の後端面12aと後蓋13の前端面13aとを上下方向に離間させるように、連結部材14の第1支持軸22を中心に連結部材14を回転させて、第2支持軸23および連結部24を自由ガイド領域部19内に導くように構成されている。
【0026】
また、この自由ガイド領域部19の前部は、鍵盤蓋3を閉じるときに連結部材14が自由ガイド領域部19の前部に到達すると、後蓋13の重量に抗して連結部材14の第2支持軸23の他端部を傾斜部21aに沿って上側に移動させて第2支持軸23を押し上げることにより、前蓋12の後端面12aと後蓋13の前端面13aとを互いに対面させるように、連結部材14の第1支持軸22を中心に連結部材14を回転させて、第2支持軸23および連結部24を第1連結ガイド部17の位置に押し上げるように構成されている。さらに、この自由ガイド領域部19は、図3および図4に示すように、その底部21が後蓋13の側面における後部に設けられた後部支持軸20をガイドするように構成されている。
【0027】
一方、前蓋12の前部における側面には、図1および図2に示すように、ガイドローラ27が設けられている。このガイドローラ27は、楽器ケース1の側板7に設けられたローラガイド部28によってガイドされるように構成されている。このローラガイド部28は、ガイドローラ27が転動しながら移動する凹部状のレールであり、楽器ケース1の側板7における鍵盤部2の前部に対応する箇所から鍵盤部2の後部付近に対応する箇所に亘って設けられている。この場合、ローラガイド部28は、その後部が段差28aをもって少し低く形成され、ガイドローラ27がローラガイド部28の後端部に位置したときに、ガイドローラ27が勝手に前側に移動するのを阻止するように構成されている。
【0028】
また、後蓋13の後部における下部には、図1および図2に示すように、回転軸30が取付部材31によって取り付けられており、この回転軸30の両端部には、ピニオンギア32が取り付けられている。このピニオンギア32は、楽器ケース1の側板7に設けられたラックギア33に噛み合って転動するように構成されている。すなわち、ラックギア33は、楽器ケース1の側板7における自由ガイド領域部19の下側に位置した状態で、鍵盤部2の後部付近に対応する箇所から鍵盤部2の後方に亘って自由ガイド領域部19の底部21とほぼ平行に設けられている。この場合、ラックギア33の前部は、図1および図2に示すように、少し前上がりに傾斜して形成され、これにより鍵盤蓋3を閉じたときに、後蓋13の後部を第1連結ガイド部17の位置まで押し上げるように構成されている。
【0029】
また、後蓋13の回転軸30は、図3および図5に示すように、その端部が楽器ケース1の側板7に設けられた軸ガイド部34によってガイドされるように構成されている。この軸ガイド部34は、図4に示すように、回転軸30の端部が挿入して移動する凹部状の溝であり、ラックギア33と同様、鍵盤部2の後部付近に対応する箇所から鍵盤部2の後方に亘って自由ガイド領域部19の底部21とほぼ平行に設けられていると共に、その前部が少し前上がりに傾斜して自由ガイド領域部19内に食い込んだ状態で設けられている。この場合、軸ガイド部34は、その深さが自由ガイド領域部19よりも深く形成され、回転軸30と連結部材14との移動動作を妨げないように構成されている。
【0030】
次に、この鍵盤蓋3の開閉装置16における作用について説明する。
まず、鍵盤蓋3を開いて収納する場合には、前蓋12を後方に向けて移動させる。すると、図1および図9において前蓋12の前部に設けられたガイドローラ27がローラガイド部28にガイドされて後方に移動すると共に、前蓋12の後部に回転可能に取り付けられた連結部材14の第1支持軸21が楽器ケース1の第1連結ガイド部17にガイドされて後方に移動する。
【0031】
このときには、前蓋12が連結部材14を介して後蓋13を後方に押すので、後蓋13の前部が、連結部材14と共に第1連結ガイド部17に沿って後方に移動し、これに伴って後蓋13の後部に設けられて第1連結ガイド部17のほぼ中間部分に位置している後部支持軸20が、図10に示すように、自由ガイド領域部19の底部21に沿って後方に移動する。また、このときには、後蓋13の後部に設けられた回転軸30の端部が軸ガイド部34によってガイドされながら、回転軸30に取り付けられたピニオンギア32がラックギア33に噛み合って転動する。
【0032】
そして、後蓋13の前部が鍵盤部2の後部付近に移動して連結部材14が自由ガイド領域部19の前部に到達すると、図8および図10に示すように、連結部材14が後蓋13の重量によって第1支持軸22を中心に回転して、前蓋12の後端面12aと後蓋13の前端面13aとが上下方向にずれる。すなわち、自由ガイド領域部19は、図4に示すように、その前部における底部21が後部下がりの傾斜面21aに形成されているので、連結部材14が自由ガイド領域部19の前部に到達すると、後蓋13の重量により連結部材14の第2支持軸23の他端部側が傾斜部21aに沿って下側に移動する。
【0033】
これにより、図8および図10に示すように、連結部材14が第1支持軸22を中心に回転して、前蓋12の後端面12aと後蓋13の前端面13aとが上下方向にずれ、後蓋13の前部が連結部材14によって前蓋12の下側に吊り下げられる。この状態で、前蓋12が楽器ケース1の第1連結ガイド部17にガイドされて後方に移動する。このときには、図2および図11に示すように、後蓋13は移動せず、連結部材14の第2支持軸23が後蓋13の第2連結ガイド部18にガイドされて相対的に後方に移動するので、前蓋12が連結部材14と共に後方に移動して後蓋13の上側に重なる。
【0034】
そして、前蓋12を更に後方に移動させると、連結部材14が自由ガイド領域部19内を移動して連結部材14の第2支持軸23が後蓋13の第2連結ガイド部18の後部に当接し、後蓋13の第2連結ガイド部18に対する連結部材14の相対的な移動が停止される。この後、前蓋12の後部が楽器ケース1の第1連結ガイド部17にガイドされて後方に移動すると、この前蓋12の移動に伴って連結部材14が自由ガイド領域部19内を移動しながら後蓋13を更に後方に移動させる。
【0035】
これにより、図2および図11に示すように、前蓋12と後蓋13とが上下に重なり合った状態で天板8の下側に収納されると共に、ガイドローラ27がローラガイド部28の段差28aを乗り越えて段差28aに係止される。また、この状態のときには、後蓋13の後部支持軸20が自由ガイド領域部19の後端部に位置し、回転軸30が軸ガイド部34の後端部に位置し、ピニオンギア32がラックギア33の後端部に位置する。
【0036】
一方、鍵盤蓋3を閉じるときには、図2および図11に示す状態で、前蓋12を手前側に引き出す。すると、前蓋12の前部に設けられたガイドローラ27がローラガイド部28の段差28aを乗り越えてローラガイド部28にガイドされて前方に移動すると共に、前蓋12の後部に回転可能に取り付けられた連結部材14の第1支持軸22が楽器ケース1の第1連結ガイド部17にガイドされて前方に移動する。
【0037】
このときには、後蓋13は移動せず、連結部材14の第2支持軸23が後蓋13の第2連結ガイド部18にガイドされて、連結部材14が自由ガイド領域部19内を前方に移動する。このため、図8に示すように、前蓋12が連結部材14と共に前方に移動して後蓋13に対する前蓋12の重なりが前側にずれる。この状態で、前蓋12が更に前方に移動すると、図8および図10に示すように、連結部材14が自由ガイド領域部19内を移動して連結部材14の第2支持軸23が後蓋13の第2連結ガイド部18の前部に当接し、後蓋13の第2連結ガイド部18に対する連結部材14の相対的な移動が停止される。
【0038】
この後、連結部材14の第1支持軸22が楽器ケース1の第1連結ガイド部17にガイドされながら、前蓋12が前方に移動すると、この前蓋12の移動に伴って連結部材14が後蓋13を前方に移動させると共に、後蓋13の後部に設けられた後部支持軸20を自由ガイド領域部19の底部21に沿って前方に移動させる。このときには、後蓋13の後部に設けられた回転軸30の端部が軸ガイド部34によってガイドされながら、回転軸30に取り付けられたピニオンギア32がラックギア33に噛み合って前方に転動する。
【0039】
そして、連結部材14が自由ガイド領域部19の前部に到達すると、図8および図10に示すように、連結部材14が自由ガイド領域部19の前部によって第1支持軸22を中心に回転して後蓋13の前部を引き上げる。すなわち、自由ガイド領域部19は、その前部における底部21が後部側に向かうに従って次第に低くなる傾斜部21aに形成されていることにより、この傾斜部21aに沿って連結部材14の第2支持軸23が前側に移動すると、第2支持軸23が押し上げられる。
【0040】
これに伴って連結部材14が第1支持軸22を中心に回転して連結部24および第2支持軸23を第1連結ガイド部17の位置に押し上げると共に、後蓋13の前端面13aを第1連結ガイド部17の位置に引き上げ、後蓋13の前端面13aを前蓋12の後端面12aに対面させる。この状態で、前蓋12を更に前方に移動させると、前蓋12と共に後蓋13が連結部材14によって楽器ケース1の第1連結ガイド部17に沿って鍵盤部2の上方に移動して配置される。このため、鍵盤蓋3を閉じたときに、図1に示すように、前蓋12と後蓋13とに段差が生ずることがなく、前蓋12と後蓋13とが連結部材14によってほぼ平坦状に連続した状態で鍵盤部2を覆う。
【0041】
このように、この鍵盤蓋3の開閉装置16によれば、鍵盤蓋13を開いて収納するときに、前蓋12を後方に移動させるだけで、前蓋12と後蓋13とを連結する連結部材14が、第1連結ガイド部17、第2連結ガイド部18、および自由ガイド領域部19によってガイドされて移動することにより、鍵盤部2の上側に前後に並んで配置されていた前蓋12と後蓋13とを自由ガイド領域部19の傾斜部21aで上下にずらして鍵盤部2の後方に位置する楽器ケース1内に重ね合わせて収納することができる。
【0042】
このため、鍵盤蓋3が前蓋12と後蓋13とに分割されていても、鍵盤蓋3を収納するときに、前蓋12と後蓋13とを重ね合わせてコンパクトに収納することができると共に、楽器ケース1の奥行サイズを小さく抑えることができる。これにより、開閉時における前蓋12と後蓋13との移動領域を最小限に抑えることができ、その下側に位置する楽器ケース1内の部品収納領域9を十分に広くすることができる共に、その部品収納領域9が鍵盤蓋3の開閉動作の影響を受けないので、部品収納領域9を有効に利用することができる。
【0043】
また、この鍵盤蓋3の開閉装置16によれば、鍵盤蓋3を閉じるときに、前蓋12を前方に移動させるだけで、前蓋12と後蓋13とを連結する連結部材14が、第1連結ガイド部17、第2連結ガイド部18、および自由ガイド領域部19によってガイドされて移動することにより、前蓋12と後蓋13とを前後にずらして鍵盤部2の上方に配置させることができ、この前蓋12と後蓋13とで鍵盤部2を良好に覆うことができる。
【0044】
すなわち、前蓋12を前方に移動させて鍵盤蓋3を閉じるときには、前蓋12と後蓋13とが前後にずれると共に、連結部材14が自由ガイド領域部19の傾斜部21aによって上下方向に回転することにより、上下にずれていた前蓋12の後端面12aと後蓋13の前端面13aとを対面させることができるので、前蓋12と後蓋13とをほぼ平坦状に連続させることができる。このため、鍵盤蓋3を閉じたときに前蓋12と後蓋13とに段差が生ずることがなく、平坦状に連続した前蓋12と後蓋13とで鍵盤部2を確実に且つ良好に覆うことができ、これにより外観的にも好ましいものを提供することができる。
【0045】
この場合、連結部材14は、一端部が前蓋12の後部に回転可能に取り付けられて他端部が楽器ケース1の第1連結ガイド部17にガイドされて移動する第1支持軸22と、一端部が後蓋13の第2連結ガイド部18にガイドされて相対的に移動すると共に他端部が自由ガイド領域部19の傾斜部21aに移動したときにその傾斜部21aに沿って上下方向に移動する第2支持軸23と、鍵盤蓋3を閉じるときに自由ガイド領域部19の傾斜部21aで前蓋12の後端面12aと後蓋13の前端面13aとを互いに対面させる位置に回転移動させ、且つ鍵盤蓋3を開くときに自由ガイド領域部19の傾斜部21aで前蓋12の後端面12aと後蓋13の前端面13aとを上下方向に離間させて前蓋12と後蓋13とが重なる位置に回転移動させるように前記第1、第2支持軸22、23を連結する連結部24とを備えているので、前蓋12と後蓋13とを円滑に重ね合わせて収納することができると共に、前蓋12と後蓋13とを平坦状に並べて鍵盤部2を覆うことができる。
【0046】
すなわち、鍵盤蓋を開いて収納するときには、連結部材14が自由ガイド領域部19の前部に到達すると、連結部材14が回転可能な状態になるので、この連結部材14の第2支持軸23が後蓋13の重量によって自由ガイド領域部19の傾斜部21aに沿って下側に移動し、これにより連結部材14が第1支持軸22を中心に回転するので、前蓋12の後端面12aと後蓋13の前端面13aとを円滑に上下方向にずらすことができる共に、後蓋13を前蓋12の下側に吊り下げることができ、この状態で前蓋12を後方にさせることができるので、前蓋12を後蓋13の上側に良好に重ね合わせて収納することができる。
【0047】
また、鍵盤蓋3を閉じるときには、連結部材14が自由ガイド領域部19を回転可能な状態で移動して自由ガイド領域部19の前部に到達すると、連結部材14の第2支持軸23が後蓋13の重量に抗して自由ガイド領域部19の傾斜部21aに沿って押し上げられるので、連結部材14が第1支持軸22を中心に回転し、これにより上下にずれていた前蓋12の後端面12aと後蓋13の前端面13aとを確実に対面させることができる。このため、前蓋12と後蓋13とを平坦な状態で連続させることができ、この連続した前蓋12と後蓋13とで鍵盤部2を良好に覆うことができる。
【0048】
この場合、第1連結ガイド部17は、その深さが自由ガイド領域部19よりも深く形成されており、これにより第1連結ガイド部17と自由ガイド領域部19とが異なる深さで形成されているので、第1連結ガイド部17と自由ガイド領域部19とが楽器ケース1の側板7に干渉した状態で形成されていても、連結部材14の第1、第2支持軸22、23が第1連結ガイド部17と自由ガイド領域部19とに沿って移動する際、その両者の動作を妨げないようにすることができ、これにより連結部材14の移動動作および回転動作をスムーズに行うことができる。
【0049】
また、この鍵盤蓋3の開閉装置16では、前蓋12の前部にガイドローラ27が設けられており、楽器ケース1内の側板7には、前蓋12のガイドローラ27を鍵盤部2の前部に対応する箇所から鍵盤部2の後部付近に対応する箇所にガイドするローラガイド部28が設けられていることにより、鍵盤蓋3を開閉するときに、前蓋12を滑らかに移動させることができ、これにより鍵盤蓋3の開閉操作性を向上させることができる。この場合、ローラガイド部28は、その後部が段差28aをもって少し低く形成されていることにより、鍵盤蓋3を開いて収納したときに、段差28aによってガイドローラ27の前側への移動を阻止することができるので、鍵盤蓋3が勝手に閉じるのを防ぐことができ、これにより安全性の高いものを提供することができる。
【0050】
さらに、この鍵盤蓋3の開閉装置16では、後蓋13の後部に回転軸30が設けられていると共に、この回転軸30にピニオンギア32が取り付けられており、楽器ケース1の側板7には、ピニオンギア32を鍵盤部2の後部付近に対応する箇所から鍵盤部2の後方にガイドするラックギア33が自由ガイド領域部19の下側に沿って設けられていることにより、後蓋13が移動するときに、ピニオンギア32がラックギア33に噛み合って転動するので、後蓋13を円滑に移動させることができる。この場合、特に前蓋12が後蓋13上に重なって重量が重くなっても、後蓋13を滑らかに且つ良好に移動させることができ、これによっても鍵盤蓋3の開閉操作性を向上させることができる。
【0051】
(実施形態2)
次に、図12〜図14を参照して、この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態2について説明する。なお、図1〜図11に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器における鍵盤蓋3の開閉装置16は、連結部材40の第2支持軸41の端部を連結部24から楽器ケース1の自由ガイド領域部42側に突出させ、この突出した第2支持軸41の端部が挿入する自由ガイド領域部42を、第1、第2支持軸22、41間のピッチとほぼ同じかそれよりも少し狭い幅で、且つ第2支持軸41の突出した長さだけ深く形成した構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0052】
すなわち、連結部材40の第2支持軸41は、図12および図14に示すように、実施形態1の第2支持軸23よりも少し長く形成され、これにより一端部が後蓋13の側面に設けられた第2連結ガイド部18に移動可能に挿入された状態で、連結部材40が自由ガイド領域部42内に位置するときに、他端部が連結部24から突出して自由ガイド領域部42内に挿入した状態で移動するように構成されている。
【0053】
この場合、連結部材40の連結部24は、前蓋12と後蓋13との各側面に接近した位置において、第1支持軸22の中間部分と第2支持軸41の他端部側との間に取り付けられて、第1、第2支持軸22、41を所定間隔離して連結するように構成されている。また、自由ガイド領域部42は、第2支持軸41が連結部24から突出した長さだけ実施形態1よりも深く形成されているが、第1連結ガイド部17よりも浅く形成されている。また、この自由ガイド領域部42は、その幅が第1、第2支持軸22、41間のピッチとほぼ同じかそれよりも少し狭い幅で形成されている。
【0054】
このような鍵盤蓋3の開閉装置16によれば、実施形態1と同様の作用効果があるほか、連結部材40の第2支持軸41の他端部が連結部24から自由ガイド領域部42側に向けて突出して形成されており、自由ガイド領域部42が、第1、第2支持軸22、41間のピッチとほぼ同じかそれよりも少し狭い幅で、且つ第2支持軸41の連結部24から突出した長さだけ深く形成されていることにより、連結部材40の第2支持軸41を自由ガイド領域部42の底部21に接触させて移動させることができ、これにより連結部材40がふら付くことなく、円滑に且つ安定した状態で連結部材40を自由ガイド領域部42に沿って移動させることができるので、より一層、鍵盤蓋3の開閉操作性を向上させることができる。
【0055】
なお、上記実施形態1、2では、連結部材14または40の第1、第2支持軸22、23または41が直接、第1、第2連結ガイド部17、18に接触して移動するように構成した場合について述べたが、これに限らず、例えば第1、第2支持軸22、23または41に、ローラやギアなどの回転部材を取り付けて転動させるように構成しても良い。このように構成すれば、より一層、円滑に動作させることができる。
【0056】
また、上記実施形態1、2では、前蓋12と後蓋13とをほぼ水平な状態で重ね合わせて収納したが、必ずしも水平に重ね合わせる必要はなく、前後方向に少し傾けた状態で前蓋12と後蓋13とを重ね合わせて収納するようにしても良く、また上記実施形態1、2では、前蓋12を後蓋13の上側に重ね合わせて収納するように構成したが、これに限らず、前蓋12を後蓋13の下側に重ね合わせて収納するように構成して良い。
【0057】
また、上記実施形態1、2では、後蓋13の後部に取り付けられた回転軸30にピニオンギア32が設けられ、このピニオンギア32が楽器ケース1の側板7に設けられたラックギア33に噛み合って転動するように構成した場合について述べたが、これに限らず、例えば後蓋13の回転軸30にローラを取り付け、このローラが転動するガイドレールを楽器ケース1の側板7に設けた構成でも良い。
【0058】
さらに、上記実施形態1、2では、前蓋12を手動で操作する場合について述べたが、これに限らず、前蓋12にモータを設け、このモータで前蓋12のガイドローラ27を駆動回転させてローラガイド部28に沿って自動的に移動させるように構成しても良い。このように構成すれば、鍵盤蓋3を自動的に開閉することができるので、使い勝手の良いものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態1において鍵盤蓋を閉じた状態を示した断面図である。
【図2】図1の鍵盤蓋を開いて収納した状態を示した断面図である。
【図3】図1の鍵盤楽器の一側部を示した要部の平面図である。
【図4】図1の楽器ケースの側板に設けられた第1連結ガイド部、自由ガイド領域部、ローラガイド部、および軸ガイド部の位置関係を示した側面図である。
【図5】図2のA−A矢視における拡大断面図である。
【図6】図3における後蓋の側面に連結部材を取り付ける状態を示した一部分解した平面図である。
【図7】図6のB−B矢視における一部分解した断面図である。
【図8】図1の鍵盤蓋を開く途中の状態を示した断面図である。
【図9】図1の状態における連結部材の各軸と各ガイド部との位置関係を示した図である。
【図10】図8の状態における連結部材の各軸と各ガイド部との位置関係を示した図である。
【図11】図2の状態における連結部材の各軸と各ガイド部との位置関係を示した図である。
【図12】この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態2において鍵盤楽器の一側部を示した要部の平面図である。
【図13】図12の楽器ケースの側板に設けられた第1連結ガイド部、自由ガイド領域部、ローラガイド部、および軸ガイド部の位置関係を示した側面図である。
【図14】図12において鍵盤蓋を開いて収納した状態における連結部材の箇所の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 楽器ケース
2 鍵盤部
3 鍵盤蓋
7 側板
12 前蓋
12a 前蓋の後端面
13 後蓋
13a 後蓋の前端部
14、40 連結部材
16 開閉装置
17 第1連結ガイド部
18 第2連結ガイド部
19、42 自由ガイド領域部
20 後部支持軸
21 自由ガイド領域部の底部
21a 底部の傾斜部
22 第1支持軸
23、41 第2支持軸
24 連結部
27 ガイドローラ
28 ローラガイド部
30 回転軸
32 ピニオンギア
33 ラックギア
34 軸ガイド部
【出願人】 【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
【出願日】 平成18年12月20日(2006.12.20)
【代理人】 【識別番号】100090619
【弁理士】
【氏名又は名称】長南 満輝男


【公開番号】 特開2008−152160(P2008−152160A)
【公開日】 平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願番号】 特願2006−342197(P2006−342197)