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【発明の名称】 運転評価装置
【発明者】 【氏名】不破本 義孝

【氏名】國分 三輝

【氏名】樋口 和則

【要約】 【課題】本発明の目的は、被験者の運転の危険性を通知すると共に、適切な運転アドバイスを可能にする運転評価装置を提供する。

【構成】運転操作計測手段は、運転操作装置に与えられた操作をそれぞれ計測する。走行位置指定手段は、走行位置を指定する。模範運転操作記憶手段は、運転操作計測手段が計測した模範運転における操作データを走行位置に応じて予め記憶する。運転操作比較手段は、運転操作計測手段が計測した被験者の操作データと、模範運転における操作データとを走行位置に応じて比較する。走行場所記憶手段は、所定の走行コースの一部に予め設定された走行場所の位置を記憶する。アドバイス提示手段は、運転操作比較手段が走行場所において比較した操作データの差が所定の条件を満たすとき、その走行場所に対するアドバイスを提示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転操作装置を用いた被験者の運転を評価する運転評価装置であって、
前記運転操作装置に与えられた操作をそれぞれ計測する運転操作計測手段と、
走行位置を指定する走行位置指定手段と、
前記運転操作計測手段が計測した模範運転における操作データを前記走行位置に応じて予め記憶する模範運転操作記憶手段と、
前記運転操作計測手段が計測した被験者の操作データと、前記模範運転における操作データとを前記走行位置に応じて比較する運転操作比較手段と、
所定の走行コースの一部に予め設定された走行場所の位置を記憶する走行場所記憶手段と、
前記運転操作比較手段が前記走行場所において比較した前記操作データの差が所定の条件を満たすとき、当該走行場所に対するアドバイスを提示するアドバイス提示手段とを備える、運転評価装置。
【請求項2】
前記アドバイス提示手段は、前記走行場所における前記模範運転の操作データと被験者の操作データとに基づいて、当該走行場所における模範運転の運転操作内容と被験者の運転操作内容とをそれぞれ提示する、請求項1に記載の運転評価装置。
【請求項3】
前記走行場所をそれぞれ運転するときのアドバイス情報を、当該走行場所に対応して予め記憶するアドバイス記憶手段を、さらに備え、
前記アドバイス提示手段は、前記アドバイス記憶手段に記憶されたアドバイス情報に基づいて、前記走行場所に対するアドバイスを提示する、請求項1に記載の運転評価装置。
【請求項4】
前記アドバイス記憶手段は、前記走行場所における少なくとも1つの危険要素を示す情報を前記アドバイス情報として記憶し、
前記アドバイス提示手段は、前記アドバイス記憶手段に記憶されたアドバイス情報に基づいて、前記走行場所における少なくとも1つの危険要素を提示する、請求項3に記載の運転評価装置。
【請求項5】
前記アドバイス記憶手段は、前記走行場所に対して危険予知するため情報と当該危険予知事項に対処する運転指針を示す情報を前記アドバイス情報として記憶し、
前記アドバイス提示手段は、前記アドバイス記憶手段に記憶されたアドバイス情報に基づいて、前記走行場所における危険予知および当該危険予知事項に対処する運転指針を提示する、請求項3に記載の運転評価装置。
【請求項6】
前記運転操作装置は、車両に設けられており、
前記運転操作比較手段が前記走行場所において比較した前記操作データの差が所定の条件を満たすとき、前記模範運転における操作データに基づいた前記走行場所における模範運転の運転操作に被験者の運転操作を近づけるフィードバック制御を前記運転操作装置に対して行う運転操作制御手段を、さらに備える、請求項1に記載の運転評価装置。
【請求項7】
前記運転操作計測手段が計測した被験者の運転における操作データを、前記走行位置指定手段が指定した走行位置に応じて記憶する被験者運転操作記憶手段を、さらに備え、
前記運転操作比較手段は、前記被験者運転操作記憶手段に記憶された被験者の操作データと、前記模範運転操作記憶手段に記憶された模範運転における操作データとを、前記走行位置に応じて比較し、
前記アドバイス提示手段は、被験者が所定の走行ルートを走行した後、前記運転操作比較手段が比較した前記操作データの差が所定の条件を満たす前記走行場所を選択して、当該選択された走行場所に対するアドバイスを提示する、請求項1に記載の運転評価装置。
【請求項8】
前記運転操作比較手段は、前記運転操作計測手段が計測した被験者の操作データと、前記模範運転における操作データとを、被験者が運転している前記走行位置に応じて即時に比較し、
前記アドバイス提示手段は、前記運転操作比較手段が前記走行場所において比較した前記操作データの差が所定の条件を満たすとき、被験者が運転している当該走行場所に対するアドバイスを即時に提示する、請求項1に記載の運転評価装置。
【請求項9】
前記運転操作比較手段は、前記運転操作計測手段が計測した操作データを用いて、前記運転操作装置を操作した運転者の危険感受度を算出する危険感受度算出手段を含み、
前記運転操作比較手段は、前記運転操作計測手段が計測した模範運転の操作データを用いて算出された危険感受度と、前記運転操作計測手段が計測した被験者の操作データを用いて算出された危険感受度とを比較し、
前記運転操作比較手段が前記走行場所において比較した被験者の危険感受度が模範運転の危険感受度に対して閾値以上低いとき、当該走行場所に対するアドバイスを提示する、請求項1に記載の運転評価装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、運転評価装置に関し、より特定的には、被験者の運転操作を他の運転者の運転操作とを比較評価する運転評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者の運転操作量を用いて危険感受度を算出して、当該被験者の安全運転度合いを評価する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1で開示された装置は、被験者の各種運転操作量から危険感受度を推定し、模範的な危険感受度との比較評価によって被験者の安全運転度合いを評価する。具体的には、上記装置は、模範的な危険感受度に対して、被験者の危険感受度の差の総和によって総合的な安全運転度合いを求めている。また、被験者が運転する車の位置情報や地図情報を用いることによって、被験者の危険感受度の差が大きかった場所における運転比較も可能としている。
【特許文献1】特開2004−206207公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1で開示された装置は、なぜ危険を感じるべきなのか被験者に説明するための情報を持っていないため、被験者へ通知する情報が不足している。また、危険感受度という抽象的な値を被験者に提示するため、被験者にとってどのような運転操作をすればいいのか分かりにくい。つまり、被験者に安全運転させるためのアドバイスが不足しているため、評価が悪かった場面以外への応用学習が困難となり、安全運転を行うための示唆が得ることが難しい。
【0005】
それ故に、本発明の目的は、被験者の運転の危険性を通知すると共に、適切な運転アドバイスを可能にする運転評価装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような目的を達成するために、本発明は、以下に示すような特徴を有している。
第1の発明は、運転操作装置を用いた被験者の運転を評価する運転評価装置である。運転評価装置は、運転操作計測手段、走行位置指定手段、模範運転操作記憶手段、運転操作比較手段、走行場所記憶手段、およびアドバイス提示手段を備える。運転操作計測手段は、運転操作装置に与えられた操作をそれぞれ計測する。走行位置指定手段は、走行位置を指定する。模範運転操作記憶手段は、運転操作計測手段が計測した模範運転における操作データを走行位置に応じて予め記憶する。運転操作比較手段は、運転操作計測手段が計測した被験者の操作データと、模範運転における操作データとを走行位置に応じて比較する。走行場所記憶手段は、所定の走行コースの一部に予め設定された走行場所の位置を記憶する。アドバイス提示手段は、運転操作比較手段が走行場所において比較した操作データの差が所定の条件を満たすとき、その走行場所に対するアドバイスを提示する。
【0007】
なお、上記運転評価装置は、例えば、ドライビングシミュレータや自動車等の車両を運転する評価を行う。この場合、運転操作装置は、ドライビングシミュレータや車両等に搭載されたステアリングハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、およびシフトレバー等の入力装置となる。運転操作計測手段は、これらの運転操作装置に与えられた操作を直接的に計測してもいいし、当該運転操作装置の操作と連動する他の装置の動作や圧力等の物理量や車速等の走行動作を間接的に計測してもかまわない。さらに、運転操作計測手段は、運転操作装置に与えられた操作に加えて、運転者の顔や視線の向きを計測する視行動センサからの出力を計測してもかまわない。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、アドバイス提示手段は、走行場所における模範運転の操作データと被験者の操作データとに基づいて、その走行場所における模範運転の運転操作内容と被験者の運転操作内容とをそれぞれ提示する。
【0009】
第3の発明は、上記第1の発明において、アドバイス記憶手段を、さらに備える。アドバイス記憶手段は、走行場所をそれぞれ運転するときのアドバイス情報を、それら走行場所に対応して予め記憶する。アドバイス提示手段は、アドバイス記憶手段に記憶されたアドバイス情報に基づいて、走行場所に対するアドバイスを提示する。
【0010】
第4の発明は、上記第3の発明において、アドバイス記憶手段は、走行場所における少なくとも1つの危険要素を示す情報をアドバイス情報として記憶する。アドバイス提示手段は、アドバイス記憶手段に記憶されたアドバイス情報に基づいて、走行場所における少なくとも1つの危険要素を提示する。
【0011】
第5の発明は、上記第3の発明において、アドバイス記憶手段は、走行場所に対して危険予知するため情報とそれら危険予知事項に対処する運転指針を示す情報をアドバイス情報として記憶する。アドバイス提示手段は、アドバイス記憶手段に記憶されたアドバイス情報に基づいて、走行場所における危険予知およびそれら危険予知事項に対処する運転指針を提示する。
【0012】
第6の発明は、上記第1の発明において、運転操作装置は、車両に設けられる。運転評価装置は、運転操作制御手段を、さらに備える。運転操作制御手段は、運転操作比較手段が走行場所において比較した操作データの差が所定の条件を満たすとき、模範運転における操作データに基づいた走行場所における模範運転の運転操作に被験者の運転操作を近づけるフィードバック制御を運転操作装置に対して行う。
【0013】
第7の発明は、上記第1の発明において、被験者運転操作記憶手段を、さらに備える。被験者運転操作記憶手段は、運転操作計測手段が計測した被験者の運転における操作データを、走行位置指定手段が指定した走行位置に応じて記憶する。運転操作比較手段は、被験者運転操作記憶手段に記憶された被験者の操作データと、模範運転操作記憶手段に記憶された模範運転における操作データとを、走行位置に応じて比較する。アドバイス提示手段は、被験者が所定の走行ルートを走行した後、運転操作比較手段が比較した操作データの差が所定の条件を満たす走行場所を選択して、その選択された走行場所に対するアドバイスを提示する。
【0014】
第8の発明は、上記第1の発明において、運転操作比較手段は、運転操作計測手段が計測した被験者の操作データと、模範運転における操作データとを、被験者が運転している走行位置に応じて即時に比較する。アドバイス提示手段は、運転操作比較手段が走行場所において比較した操作データの差が所定の条件を満たすとき、被験者が運転しているその走行場所に対するアドバイスを即時に提示する。
【0015】
第9の発明は、上記第1の発明において、運転操作比較手段は、危険感受度算出手段を含む。危険感受度算出手段は、運転操作計測手段が計測した操作データを用いて、運転操作装置を操作した運転者の危険感受度を算出する。運転操作比較手段は、運転操作計測手段が計測した模範運転の操作データを用いて算出された危険感受度と、運転操作計測手段が計測した被験者の操作データを用いて算出された危険感受度とを比較する。運転操作比較手段が走行場所において比較した被験者の危険感受度が模範運転の危険感受度に対して閾値以上低いとき、その走行場所に対するアドバイスを提示する。
【発明の効果】
【0016】
上記第1の発明によれば、危険場所等の所定の走行場所において、模範運転と被験者の運転との間に差がある場合に被験者の危険性等の運転特性を気づかせると共に、走行場所におけるアドバイスを提示することによって適切な運転指導が可能となる。
【0017】
上記第2の発明によれば、危険場所等の所定の走行場所において、模範運転の運転操作内容と被験者の運転操作内容とを比較することによって、被験者は、被験者自身の運転特性を知ると共に模範運転に近づくための対処方法を知ることができる。
【0018】
上記第3の発明によれば、危険場所等の所定の走行場所に応じて予めアドバイス情報を作成して被験者に提示できるため、助言や文章等で様々な要素を想定したアドバイスが可能となる。
【0019】
上記第4の発明によれば、走行場所に潜む危険ポイント等、被験者が気づいていない危険要素を提示することができ、被験者の危険予測を促すことができる。
【0020】
上記第5の発明によれば、走行場所がなぜ/どのように危険なのか等を提示することによって被験者の危険予知を促すことができ、その対処方法を運転指針として助言することができる。
【0021】
上記第6の発明によれば、危険場所等の所定の走行場所では、強制的に車両の運転操作を模範運転操作に近づけるように制御するため、アドバイスだけでは自身の運転特性を変えない被験者であっても確実に事故回避に貢献することができる。
【0022】
上記第7の発明によれば、被験者が所定の走行ルートを走行した後、総合的な運転評価を行うことができる。例えば、上記走行ルート中において模範運転との差が大きかった上位の走行場所を選択して、当該走行場所に絞り込んだアドバイスを行うことができる。
【0023】
上記第8の発明によれば、被験者が走行中にアドバイスが提示されるため、被験者が走行先に潜む危険を事前に知ることができ、より現実的な危険を感じると共に、車両走行の場合は車両走行中の事故防止も期待できる。
【0024】
上記第9の発明によれば、運転者の危険感受度によって評価されるため、潜んでいる危険に気づく能力を促進して、被験者の危険感受度に対する意識向上が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る運転評価装置について説明する。説明を具体的にするために、モニタ上で自動車の運転や走行をシミュレーションするドライビングシミュレータからの情報に基づいて、被験者の運転評価を行う運転評価装置を用いる。なお、図1は、当該運転評価装置の構成を示すブロック図である。
【0026】
上記運転評価装置は、ドライビングシミュレータ8から得られる運転操作状態および模擬走行情報を用いて、当該ドライビングシミュレータ8を操作する被験者の運転評価を行う。ドライビングシミュレータ8は、運転操作装置81、運転模擬装置82、および模擬映像表示装置83を備えている。運転操作装置81は、被験者が模擬運転に使用するステアリングハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、およびシフトレバー等の入力装置で構成される。模擬映像表示装置83は、車窓から見える風景を表示するモニタであり、被験者は、模擬映像表示装置83に表示された風景を見ながら運転操作装置81を操作する。運転模擬装置82は、一般的なコンピュータシステムで構成され、運転操作装置81から得られる運転操作情報に応じて模擬映像をコンピュータ・グラフィクス(CG)やビデオ映像で生成して模擬映像表示装置83に表示する。
【0027】
運転評価装置は、運転操作計測部1a、走行位置指定部2a、被験者運転操作記憶部3a、模範運転操作記憶部4a、危険場面・アドバイス記憶部5a、運転操作比較部6a、およびアドバイス提示部7aを備えている。
【0028】
運転操作計測部1aは、運転操作装置81の操作状態をそれぞれ検出する。例えば、運転操作計測部1aは、ステアリングハンドルの操舵角や角速度を検出するステアリング角度センサや角速度センサ等を含んでいる。また、運転操作計測部1aは、アクセルペダルの操作状況(アクセルペダル踏込量)を検出するアクセルストロークセンサやスロットルバルブ開度センサ等を含んでいる。また、運転操作計測部1aは、ブレーキペダルの操作状況(ブレーキペダル踏込量)を検出するブレーキストロークセンサやブレーキ液圧センサ等を含んでいる。さらに、運転操作計測部1aは、シフトレバーの操作状況を検出するシフトポジションセンサやインヒビタスイッチ等を含んでいる。なお、運転操作計測部1aは、ブレーキペダル上に被験者の足が乗せられているかいるか否かを検出する光電スイッチ(ブレーキペダル構えセンサ)、模擬運転される車の車速を算出する算出部、被験者の顔や視線の向きを計測する視行動センサ等を、さらに備えていてもかまわない。
【0029】
走行位置指定部2aは、運転模擬装置82から得られる模擬走行情報を用いて、模擬走行している車の位置を指定する。例えば、走行位置指定部2aは、模擬走行開始からの模擬走行距離を算出したり、模擬映像表示装置83に表示する模擬映像のフレーム番号等を取得したりして、模擬走行している車の位置を指定する。
【0030】
被験者運転操作記憶部3aは、ハードディスク等の記憶手段で構成され、運転操作計測部1aが検出したそれぞれの操作情報を走行位置指定部2aが指定する走行位置に対応付けて記憶する。模範運転操作記憶部4aは、ハードディスク等の記憶手段で構成され、交通状況や周辺環境の危険度を規範的に感受できる熟練者(自動車学校運転指導員、タクシー運転者、バス運転者等)の操作情報を走行位置に対応付けて予め記憶する。例えば、模範運転操作記憶部4aは、ドライビングシミュレータ8を用いて上記熟練者が模範運転を行い、当該模範運転中に運転操作計測部1aが検出したそれぞれの操作情報を走行位置指定部2aが指定する走行位置に対応付けて記憶する。なお、模範運転操作記憶部4aに記憶する情報は、複数の熟練者が模範運転して得られた情報を蓄積して平均化したものでもかまわない。危険場面・アドバイス記憶部5aは、ハードディスク等の記憶手段で構成され、上記模擬映像において「危険を感じる場面」それぞれに対する走行位置情報と、それらの場面に応じたアドバイス情報とを記憶する。
【0031】
ここで、図2を参照して、「危険を感じる場面」について説明する。なお、図2は、模擬走行ルートに対して設定された危険場面K1〜Knの一例を示す図である。
【0032】
図2において、上記「危険を感じる場面」は、例えば、事故多発地点、一時停止交差点や踏切、見通しの悪い交差点やカーブ、歩行者や他の車が進路上に飛び出す可能性のある場面等であり、これらの場面が危険場面K1〜Knとして予め模擬走行ルート上に設定される。
【0033】
例えば、危険場面K1は、優先道路途中にある見通しの悪い交差点に設定されている。このような危険場面K1における模範運転では、交差点の左右からの歩行者や他車の飛び出しを危険予知して減速意図の運転をしたり、見通しの悪い場所からできるだけ距離を置く回避操舵をしたりすることが多い。一方、危険感受度の低い運転者による運転では、危険場面K1に遭遇しても、危険予知をしないために減速意図や回避操舵等の運転を行わない。したがって、危険場面K1では、模範運転と危険感受度の低い運転との間で運転操作の差が生じやすくなる。
【0034】
また、危険場面K2は、事故多発地点となっているカーブに設定されている。このような危険場面K2における模範運転では、事前に熟練者が事故多発地点であることを知っていたり、カーブの曲率が見た目以上に急であることを察知したりする等の危険予知から、大きく減速する運転をしたり、カーブを安定した状態で曲がりきるための回避操舵をしたりすることが多い。一方、危険感受度の低い運転者による運転では、危険場面K2に遭遇しても、危険予知をしないために減速が不足した運転を行ったり、回避操舵等の運転を行わなかったりする。したがって、危険場面K2でも、模範運転と危険感受度の低い運転との間で運転操作の差が生じやすくなる。
【0035】
また、危険場面K3は、道路脇で歩行者が進路を横断しようとしている場所に設定されている。このような危険場面K3における模範運転では、道路脇の歩行者を察知して減速意図の運転をしたり、当該歩行者からできるだけ距離を置く回避操舵をしたりすることが多い。一方、危険感受度の低い運転者による運転では、危険場面K3に遭遇しても、歩行者の存在を見落としたり、歩行者が飛び出さないと思い込んだりして、減速意図や回避操舵等の運転を行わない。したがって、危険場面K3でも、模範運転と危険感受度の低い運転との間で運転操作の差が生じやすくなる。
【0036】
このように、危険場面・アドバイス記憶部5aは、適切な危険判断が必要な場所を危険場面K1〜Knとして記憶している。具体的には、危険場面・アドバイス記憶部5aは、危険場所K1〜Knそれぞれの範囲(走行位置情報)や画像を記憶している。危険場所K1〜Knの範囲は、それぞれ危険場所K1〜Knから所定距離手前の位置から当該危険場所K1〜Knを通過する位置までの範囲に設定される。例えば、危険場所K1〜Knの範囲は、模擬映像表示装置83に危険場所K1〜Knとして表示される模擬映像のフレーム番号範囲等によって設定される。なお、危険場所K1〜Knは、運転評価装置の管理者が、予め危険場所として任意の位置を選出して、危険場面・アドバイス記憶部5aに設定すればよい。また、後述により明らかとなるが、危険場面・アドバイス記憶部5aは、危険場所K1〜Kn毎に、危険ポイント情報やアドバイス文章等も記憶している。
【0037】
ここで、交通状況によっては、全ての運転者が必ず減速・停止・操舵する場面もある。例えば、赤黄信号、一時停止、交差点右左折、カーブ等では、必ず減速・停止・操舵の原因となる。危険場面・アドバイス記憶部5aは、模擬走行時において必ず減速・停止・操舵を行う場所に対しても、それぞれの走行位置情報も記憶している。
【0038】
図1に戻り、運転操作比較部6aは、一般的なコンピュータシステムで構成され、模範運転における危険感受度と被験者の運転における危険感受度とを比較する。運転操作比較部6aは、操作情報抽出部61a、危険感受度算出比較部62a、および危険感受度算出テーブル63aを含んでいる。以下、危険感受度の算出方法について説明する。
【0039】
操作情報抽出部61aは、走行位置(走行時間)に応じて、被験者運転操作記憶部3aや模範運転操作記憶部4aに記憶された操作情報、危険場面・アドバイス記憶部5aに記憶された危険場面および交通状況を抽出する。そして、危険感受度算出比較部62aは、危険感受度Rをそれぞれ算出する。例えば、危険感受度算出比較部62aは、走行位置tにおける危険感受度Rtを
Rt=(Dt+St)Mt …(1)
で算出する。ここで、Dtは、走行位置tにおいて運転者がどの程度強く減速を意図しているかを示す減速意図項である。Stは、走行位置tにおいて運転者がどの程度大きく(または速く)操舵しているかを示す回避操舵項である。Mtは、走行位置tにおける補正項である。なお、減速意図項Dtおよび回避操舵項Mtに、危険感受度Rtに影響する重みを示す重み付け係数をそれぞれ乗算してもかまわない。例えば、用途や運転者に応じて重み付け係数を適宜変更することによって、適切な危険感受度Rtを算出することが可能となる。
【0040】
危険感受度算出比較部62aは、危険感受度算出テーブル63aに格納されているアクセル/ブレーキ操作分類基準テーブルを参照して、走行位置tにおけるアクセルペダルの操作状況およびブレーキペダルの操作状況に基づいて、減速意図項Dtを算出する。
【0041】
図3は、アクセル/ブレーキ操作分類基準テーブルの一例を示す図である。危険感受度算出比較部62aは、アクセル/ブレーキ操作分類基準テーブルを参照し、操作情報抽出部61aが抽出した走行位置tにおける操作情報が「運転操作」の何れの項目に該当するかを判定し、該当する項目に対応するD値(0〜6のいずれか)を抽出して走行位置tにおける減速意図項Dtとする。
【0042】
アクセル/ブレーキ操作分類基準テーブルでは、減速意図が高い操作に対して大きなD値が記述されている。具体的には、アクセルストロークが30%以上で運転者がアクセルペダルを踏み込んだとき、D値が0に設定される。アクセルストロークが5%以上30%未満で運転者がアクセルペダルを踏み込んだとき、D値が1に設定される。アクセルストロークが5%未満で運転者がアクセルペダルを踏み込んだとき、またはアクセルペダルおよびブレーキペダルの何れも運転者が踏み込んでいないとき、D値が2に設定される。ブレーキストロークが5%未満で運転者がブレーキペダルを踏み込んだとき、D値が3に設定される。ブレーキストロークが5%以上30%未満で運転者がブレーキペダルを踏み込んだとき、D値が4に設定される。ブレーキストロークが30%以上50%未満で運転者がブレーキペダルを踏み込んだとき、D値が5に設定される。そして、ブレーキストロークが50%以上で運転者がブレーキペダルを踏み込んだとき、D値が6に設定される。
【0043】
危険感受度算出比較部62aは、危険感受度算出テーブル63aに格納されているステアリング操作分類基準テーブルを参照して、走行位置tにおけるステアリングの操作状況に基づいて、回避操舵項Stを算出する。
【0044】
図4は、ステアリング操作分類基準テーブルの一例を示す図である。危険感受度算出比較部62aは、ステアリング操作分類基準テーブルを参照し、操作情報抽出部61aが抽出した走行位置tにおける操作情報が「運転操作」の何れの項目に該当するかを判定し、該当する項目に対応するS値(0〜4のいずれか)を抽出して走行位置tにおける回避操舵項Stとする。
【0045】
ステアリング操作分類基準テーブルでは、大きくまたは速く操舵する操作に対して大きなS値が記述されている。具体的には、ステアリング角速度が15deg/s(度/秒)未満で運転者が操舵しているとき、S値が0に設定される。ステアリング角速度が15deg/s以上30deg/s未満で運転者が操舵しているとき、S値が1に設定される。ステアリング角速度が30deg/s以上45deg/s未満で運転者が操舵しているとき、S値が2に設定される。ステアリング角速度が45deg/s以上90deg/s未満で運転者が操舵しているとき、S値が3に設定される。そして、ステアリング角速度が90deg/s以上で運転者が操舵しているとき、S値が3に設定される。
【0046】
危険感受度算出比較部62aは、危険感受度算出テーブル63aに格納されている環境情報分類基準テーブルを参照して、走行位置tにおける交通状況に基づいて、補正項Mtを算出する。
【0047】
図5は、環境情報分類基準テーブルの一例を示す図である。危険感受度算出比較部62aは、環境情報分類基準テーブルを参照し、操作情報抽出部61aが抽出した走行位置tにおける「交通状況」が何れの項目に該当するかを判定し、該当する項目に対応するM値(0.5または1.0)を抽出して走行位置tにおける補正項Mtとする。
【0048】
環境情報分類基準テーブルでは、赤黄信号、一時停止、交差点右左折、カーブ等の模擬走行時において必ず減速・停止・操舵を行う場所に対して、M値が0.5に設定される。また、必ずしも減速・停止・操舵を行う必要のない他の交通状況に対して、M値が1.0に設定される。
【0049】
ここで、危険感受度Rの概念について説明する。一般的に、運転者は、周辺の交通状況を認知し、運転中に危険を感じたり危険予知を行うとき、その危険を回避したり、危険を減らしたりするような防衛運転を行う。例えば、運転者は、前方に路上駐車車両があり、駐車車両が動き出したり駐車車両の陰から歩行者等が飛び出したりしたら避けられない危険を感じたら、減速したり一時停止したり路上駐車車両から離れるように進路を変更したりして危険を避けようとする。また、運転者は、交差点を直進するときでも、左側の交差路から他の車両が飛び出す危険を予知すると、減速や進路を右に変更する等によって危険を避けようとする。つまり、運転者は、周囲の状況において何らかの危険を予知すれば、何らかの運転行動を行う。例えば、運転者は、いつでも減速できるようにブレーキペダルに足を構えたり、実際に減速するためにブレーキペダルを踏んだり、左右に避けるために早くまたは大きくステアリングを回したりする。このような運転行動を捉えることで、運転者がどの程度の危険を予知しているか推定でき、この運転行動の評価を可能とするパラメータが危険感受度Rである。
【0050】
また、上記運転行動は、危険を回避する目的以外の状況によっても頻繁に発生する。例えば、運転者は、赤信号や一時停止場所では、危険性の有無や大小にかかわらず、減速および停止を行う。これは、運転者が危険予知して回避する運転行動ではなく、交通法規に従っているだけの行動である。他にも交差点等での右左折やカーブを曲がる場合も、ほぼ無条件に減速や停止のための操作を行い、右左折のためのステアリング操作による旋回を行う。このような状況の場合、危険感受度Rが高くなることが考えられるが、補正項Mt=0.5を乗算することによって、これらの運転行動が危険感受度Rtにあまり影響を与えないようにしている。
【0051】
一方、同じ危険な状況下にあっても、安全であると思い込んで運転する運転者も存在する。このような運転者の「思い込み」を防ぐことができれば、交通事故を大幅に低減させることが期待できる。つまり、運転者は、危険な交通状況を適切に危険であると感じていれば、防衛運転をすることができるが、危険な交通状況なのに危険と感じていなければ、危険回避や防衛運転をできない。そこで、運転者が「思い込み」に至っているときに、適切な危険回避に導くようなアドバイスを行うことができれば、交通事故の危険性を低減させることができる。このような運転中の運転者の主観的リスクを定量的な危険感受度Rとして求めている。
【0052】
なお、上述した危険感受度Rの算出例では、運転者の減速意図および回避操舵を主眼に説明したが、他の操作情報を用いて危険感受度Rを算出してもかまわない。例えば、模擬運転の車速やシフトレバーの操作状況を、上述した危険感受度Rの評価因子に加えてもかまわない。また、被験者が顔や視線の向きを計測する視行動センサを装着している場合、被験者の注視点の位置を危険感受度Rの評価因子に加えることもできる。例えば、模擬映像の中で、被験者が見落とすことによって危険となる危険ポイントを被験者が注目したか否かを判定することによって、危険感受度Rの評価因子として利用することができる。
【0053】
危険感受度算出比較部62aは、被験者運転操作記憶部3aから抽出された操作情報を用いて算出した被験者の危険感受度Rと、模範運転操作記憶部4aから抽出された操作情報を用いて算出した模範運転における危険感受度Rとを比較して、差が大きな走行区間(特に、危険場所K)を抽出する。以下、被験者の危険感受度Rと模範運転の危険感受度Rとの比較方法について説明する。
【0054】
図6および図7は、模擬運転中の被験者の危険感受度Rと模範運転の危険感受度Rの程度の一例をグラフでそれぞれ示している。図6および図7においては、縦軸を危険感受度R、横軸を走行位置tとし、被験者Uの危険感受度Rおよび模範者Mの危険感受度Rの走行位置tに応じた推移を示している。なお、図7は、図6のグラフのおいて、危険場所Kを示す1区間を取り出して拡大した図である。
【0055】
図6および図7において、同じ走行ルートを模擬運転しても、各走行位置tに対して模範者Mの危険感受度Rと被験者Uの危険感受度Rとの差が生じる。この走行ルートには、上述した危険場所K1〜Kn(図6ではK1〜Knの範囲で示す)も含まれているが、これら危険場所K1〜Knにおいても両者の差が生じている。
【0056】
危険感受度算出比較部62aは、各走行位置tにおける模範者Mの危険感受度Rと被験者Uの危険感受度Rとを定量的に比較するために、走行位置tにおける乖離度Ptを算出する。例えば、乖離度Ptは、
Pt=dt/SIt
で算出される。ここで、dtは、走行位置tにおける模範者Mの危険感受度Rと被験者Uの危険感受度Rとの差であり、模範者Mの危険感受度Rが被験者Uの危険感受度Rより大きい場合に正の値となる(図7参照)。SItは、模範者Mの危険感受度Rの標準偏差であり、模範者Mのばらつきを示している。
【0057】
次に、危険感受度算出比較部62aは、危険場所K1〜Kn毎に各区間における乖離度Pの距離平均Qを求める。例えば、危険場所Kを示す区間n中の乖離度Pの距離平均Qnは、
【数1】


で算出される。ここで、Tnは、区間nの走行距離である。tsnは、区間nが開始される走行位置tである。tenは、区間nが終了する走行位置tである。
【0058】
そして、危険感受度算出比較部62aは、危険場所K1〜Kn毎に算出された距離平均Qを用いて、危険場所K1〜Knから距離平均Qが大きい区間を選択する。例えば、危険感受度算出比較部62aは、距離平均Qが大きい上位3区間の危険場所Kを選択する。また、例えば、危険感受度算出比較部62aは、閾値以上の距離平均Qを示す区間の危険場所Kを選択する。
【0059】
なお、危険感受度算出比較部62aは、距離平均Qを用いて危険度の高い危険場所Kを選択しており、この動作のためだけに危険感受度Dおよび乖離度Pを利用している場合、模擬走行期間全てに対して危険感受度Dや乖離度Pを算出する必要はない。例えば、危険場所K1〜Knの区間だけ危険感受度Dおよび乖離度Pを算出して距離平均Qが得られれば、上述した動作を行うことができる。
【0060】
アドバイス提示部7aは、運転操作比較部6aが選択した危険場面Kについて、被験者にアドバイスを与える。アドバイス提示部7aの構成は、被験者に与えるアドバイスの態様によって異なる。例えば、表示装置に画像を表示して被験者にアドバイスを与える場合、アドバイス提示部7aは、表示装置に表示する画像を生成して表示制御を行う半導体チップ等のユニットで構成される。また、画像を紙に印刷して被験者にアドバイスを与える場合、アドバイス提示部7aは、印刷装置に出力する印刷画像を生成する半導体チップ等のユニットで構成される。アドバイス提示部7aは、選択された危険場面Kについて、模範運転および被験者の運転の少なくとも一方を提示したり、危険のポイントを提示したり、アドバイス文章を提示したり、乖離度Pを提示したりする。
【0061】
図8は、アドバイス提示部7aが紙に印刷して提示するアドバイスの一例を示す図である。図8において、アドバイス提示部7aは、アドバイス場面の画像a1、アドバイス場面での被験者の運転a2、アドバイス場面での模範運転a3、アドバイス場面内の危険ポイントa4、およびアドバイス文章a5を表示する。
【0062】
アドバイス場面の画像a1は、選択された危険場面Kの画像であり、危険場面Kの1場面を示す静止画像が印刷用紙の一部に印刷される。例えば、この静止画像は、模擬映像表示装置83がモニタに表示する模擬映像から生成すればよく、予め危険場面・アドバイス記憶部5aに記憶される。そして、アドバイス提示部7aは、危険場面・アドバイス記憶部5aに記憶された模擬映像を適宜参照することによって、アドバイス場面の画像a1を生成する。図8に示したアドバイス場面の画像a1の例は、模擬走行において被験者が優先道路の交差点を通過しようとしている1場面である。当該場面では、右側から対向車線へ左折しようとする車(1)、右側から被験者の走行車線へ右折しようとする車(2)、および左側に横断しようとしている歩行者(3)がそれぞれ存在し、それぞれが矩形枠で囲まれて強調表示されている。
【0063】
アドバイス場面での被験者の運転a2は、選択された危険場面Kにおいて、被験者が模擬運転した内容を示している。被験者が模擬運転した内容は、運転操作計測部1aが被験者の模擬運転の際に検出した運転操作装置81の操作情報を用いて作成することができ、アドバイス提示部7aは、被験者運転操作記憶部3aに記憶された操作情報や操作情報抽出部61aが抽出した操作情報を用いて、アドバイス場面での被験者の運転a2を作成する。図8に示したアドバイス場面での被験者の運転a2の例では、被験者の運転では、車速40km/hで被験者がアクセルペダルを強く踏んでいたことが示されている。
【0064】
アドバイス場面での模範運転a3は、選択された危険場面Kにおける模範運転の内容を示している。模範運転の内容も、運転操作計測部1aが模範者の模擬運転の際に検出した運転操作装置81の操作情報を用いて作成することができ、アドバイス提示部7aは、模範運転操作記憶部4aに記憶された操作情報や操作情報抽出部61aが抽出した操作情報を用いて、アドバイス場面での模範運転a3を作成する。図8に示したアドバイス場面での模範運転a3の例では、模範的な運転では、車速20km/hでアクセルペダルを軽く踏んでおくことが適当であることが示されている。
【0065】
アドバイス場面内の危険ポイントa4は、選択された危険場面Kにおける危険ポイントを示している。上記危険ポイントは、危険場面K1〜Kn毎に予め作成されて予め危険場面・アドバイス記憶部5aに記憶される。そして、アドバイス提示部7aは、危険場面・アドバイス記憶部5aから選択された危険場面Kに対する危険ポイントを適宜参照することによって、アドバイス場面内の危険ポイントa4を生成する。図8に示したアドバイス場面内の危険ポイントa4の例では、アドバイス場面の画像a1において強調表示された各ポイントに応じて危険ポイントが示されている。具体的には、アドバイス場面内の危険ポイントa4では、車(1)が左折してくる危険ポイントと、車(2)が陰から右折してくる危険ポイントと、歩行者(3)が飛び出してくる危険ポイントとが示されている。
【0066】
アドバイス文章a5は、選択された危険場面Kにおいて、被験者の危険感受度を上げるための具体的なアドバイスを示している。例えば、アドバイス文章a5には、危険場面Kにおいて危険予知するため情報と当該危険予知事項に対処する運転指針を示す情報等とが記述される。上記アドバイスは、危険場面K1〜Kn毎に予め作成されて予め危険場面・アドバイス記憶部5aに記憶される。そして、アドバイス提示部7aは、危険場面・アドバイス記憶部5aから選択された危険場面Kに対するアドバイスを適宜参照することによって、アドバイス文章a5を生成する。図8に示したアドバイス文章a5の例では、被験者が危険と感じるべき理由が具体的に記述され、被験者の危険予知を促している。具体的には、アドバイス文章a5では、車(1)が大回りで左折して被験者の車の前に飛び出す可能性があること、車(2)の運転者からは車(1)が遮って被験者の車が見えないので発進する可能性があること、歩行者(3)を見落としがちであること等の危険予知すべき理由が具体的に示され、速度を落として安全確認することを促して対処方法を報知している。
【0067】
図9は、アドバイス提示部7aが表示装置に表示するアドバイスの他の例を示す図である。図9において、アドバイス提示部7aは、アドバイス場面のリプレイ画像a6、アドバイス場面での模範運転a7、およびアドバイス場面での被験者の運転a8を表示する。
【0068】
アドバイス場面のリプレイ画像a6は、選択された危険場面Kの画像であり、危険場面Kの開始から終了までの動画像が表示装置の一部に表示される。例えば、この動画像は、模擬映像表示装置83がモニタに表示する模擬映像から生成すればよく、予め危険場面・アドバイス記憶部5aに記憶される。そして、アドバイス提示部7aは、危険場面・アドバイス記憶部5aに記憶された模擬映像を適宜参照することによって、アドバイス場面のリプレイ画像a6を生成する。図9に示したアドバイス場面のリプレイ画像a6の例は、模擬走行において前方が見えにくい片側一車線道路を被験者が走行している場面である。
【0069】
アドバイス場面での模範運転a7は、選択された危険場面Kにおける模範運転の内容を示している。模範運転の内容は、上述したように運転操作計測部1aが模範者の模擬運転の際に検出した運転操作装置81の操作情報を用いて作成することができ、アドバイス提示部7aは、模範運転操作記憶部4aに記憶された操作情報や操作情報抽出部61aが抽出した操作情報を用いて、アドバイス場面での模範運転a7を作成する。図9に示したアドバイス場面での模範運転a7の例では、模範運転では、車速37km/hでアクセルペダルを軽く踏んでいたことが画像で表現されている。
【0070】
アドバイス場面での被験者の運転a8は、選択された危険場面Kにおいて、被験者が模擬運転した内容を示している。被験者が模擬運転した内容は、上述したように運転操作計測部1aが被験者の模擬運転の際に検出した運転操作装置81の操作情報を用いて作成することができ、アドバイス提示部7aは、被験者運転操作記憶部3aに記憶された操作情報や操作情報抽出部61aが抽出した操作情報を用いて、アドバイス場面での被験者の運転a8を作成する。図9に示したアドバイス場面での被験者の運転a8の例では、被験者の運転では、車速51km/hで被験者がアクセルペダルを強く踏んでいたことが画像で表現されている。
【0071】
このように、アドバイス提示部7aは、選択された危険場面Kについて、模範運転および被験者の運転の少なくとも一方を提示したり、危険のポイントを提示したり、アドバイス文章を提示したりすることによって、危険予知すべき理由や対処方法を具体的に被験者にアドバイスする。このアドバイスを受けることによって、被験者は、自身の運転特性を知って、よくある危険パターンを認知することができる。また、被験者は、自身の運転特性と危険パターンとの関係を理解して、安全運転のための具体的な対処方法を知ることができる。
【0072】
次に、図10および図11を参照して、上記運転評価装置を使用することによる改善効果の検証例を説明する。なお、図10は、上記運転評価装置によるアドバイス前後において、ドライビングシミュレータを用いた評価の変化を示すグラフである。図11は、上記運転評価装置によるアドバイス前後において、実車走行での評価の変化を示すグラフである。
【0073】
図10において、ドライビングシミュレータを用いた第1回目〜第4回目の評価における運転リスク指数の変化を示している。運転リスク指数は、被験者の運転操作と模範運転操作とに基づいて、所定の方法によって算出した指数であり、アクセル/ブレーキペダル操作、ステアリング操作、車速等に応じて運転操作の差を定量的に示すものである。
【0074】
まず、被験者15人に対して、それぞれドライビングシミュレータを用いた第1回目の評価を行って運転リスク指数を算出した。そして、同じ被験者15人に対して、上記運転評価装置による第1回アドバイスを実施した後、再度、それぞれドライビングシミュレータを用いた第2回目の評価を行って運転リスク指数を算出した。これらドライビングシミュレータを用いた第2回目評価の運転リスク指数平均値は、第1回目評価に対して52%の運転リスク低減効果が認められた。なお、ドライビングシミュレータの評価および運転評価装置によるアドバイスに用いた走行シナリオ(走行ルート)は、全て別コースである。
【0075】
さらに、上記被験者15人のうち、12人に対して、第2回目の評価の後に3ヶ月間インターバルを開けて、それぞれドライビングシミュレータを用いた第3回目の評価を行って運転リスク指数を算出した。そして、同じ被験者12人に対して、上記運転評価装置による第2回アドバイスを実施した後、再度、それぞれドライビングシミュレータを用いた第4回目の評価を行って運転リスク指数を算出した。これらドライビングシミュレータを用いた第3回目評価の運転リスク指数平均値は、第1回目評価に対して24%の運転リスク低減効果が認められた。また、これらドライビングシミュレータを用いた第4回目評価の運転リスク指数平均値は、第1回目評価に対して74%の運転リスク低減効果が認められた。なお、3ヶ月間のインターバル後においても、ドライビングシミュレータの評価および運転評価装置によるアドバイスに用いた走行シナリオ(走行ルート)は、全て別コースである。
【0076】
図11において、実車を用いた第1回目および第2回目の指導員評価における減点変化を示している。指導員による減点は、一般的な検定試験の基準であり、自動車教習所の指導員によって15分間の公道運転を評価したときの総減点点数を示している。
【0077】
まず、被験者11人に対して、それぞれ実車走行によって第1回目の指導員による減点評価を行って総減点点数を得た。そして、同じ被験者11人に対して、上記運転評価装置による第1回アドバイスを実施した後、再度、それぞれ実車走行によって第2回目の指導員による減点評価を行って総減点点数を得た。これら実車確認による第2回目の総減点点数平均値は、第1回目実車確認に対して33%の減点数低減効果が認められた。なお、実車走行コースは、全て同じコースである。
【0078】
このように、上記運転評価装置によるアドバイスを被験者が受けることによって、ドライビングシミュレータを用いた評価および実車確認による評価の何れにおいても、上記運転評価装置を使用することによる改善効果が大きいことが検証されている。また、上記運転評価装置を使用することによって短期的にも長期的にも改善効果があることが検証されている。
【0079】
(第2の実施形態)
以下、図12を参照して、本発明の第2の実施形態に係る運転評価装置について説明する。説明を具体的にするために、実車走行における車両からの情報に基づいて、被験者の運転評価を行う運転評価装置を用いる。なお、図12は、当該運転評価装置の構成を示すブロック図である。
【0080】
上記運転評価装置は、車両9から得られる運転操作状態および実車走行情報を用いて、当該車両9を操作する被験者の運転評価を行う。車両9は、運転操作装置91およびGPS(Global Positioning System)92を備えている。運転操作装置91は、被験者が車両9の運転に使用するステアリングハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、およびシフトレバー等の入力装置で構成される。GPS92は、車両9に備えられたGPSアンテナがGPS衛星から受信した信号を入力として、車両9の現在位置を算出する。なお、GPSアンテナがGPS衛星から信号を受信できないときは、ジャイロスコープ等を用いて、上記車両9の現在位置を算出してもかまわない。
【0081】
上記運転評価装置は、運転操作計測部1b、走行位置指定部2b、被験者運転操作記憶部3b、模範運転操作記憶部4b、危険場面・アドバイス記憶部5b、運転操作比較部6b、およびアドバイス提示部7bを備えている。
【0082】
運転操作計測部1bは、運転操作装置91の操作状態をそれぞれ検出する。例えば、運転操作計測部1bは、車両9のステアリングハンドルの操舵角や角速度を検出するステアリング角度センサや角速度センサ等を含んでいる。また、運転操作計測部1bは、アクセルペダルの操作状況(アクセルペダル踏込量やスロットルバルブの開度)を検出するアクセルストロークセンサやスロットルバルブ開度センサ等を含んでいる。また、運転操作計測部1bは、ブレーキペダルの操作状況(ブレーキペダル踏込量やマスタシリンダ圧)を検出するブレーキストロークセンサやブレーキ液圧センサ等を含んでいる。さらに、運転操作計測部1bは、シフトレバーの操作状況を検出するシフトポジションセンサやインヒビタスイッチ等を含んでいる。なお、運転操作計測部1bは、ブレーキペダル上に被験者の足が乗せられているかいるか否かを検出する光電スイッチ(ブレーキペダル構えセンサ)や車両9の車速を算出する算出部等を、さらに備えていてもかまわない。
【0083】
走行位置指定部2bは、GPS92から得られる車両9の現在位置情報(緯度/経度等)を用いて、走行している車両9の走行位置座標で走行位置を指定する。なお、走行位置指定部2bは、車両9の走行ルートが一定の場合、当該走行ルートの走行開始からの走行距離で走行位置を指定してもかまわない。
【0084】
被験者運転操作記憶部3bは、ハードディスク等の記憶手段で構成され、運転操作計測部1bが検出したそれぞれの操作情報を走行位置指定部2bが指定する走行位置に対応付けて記憶する。模範運転操作記憶部4bは、ハードディスク等の記憶手段で構成され、交通状況や周辺環境の危険度を規範的に感受できる熟練者(自動車学校運転指導員、タクシー運転者、バス運転者等)の操作情報を走行位置に対応付けて予め記憶する。例えば、模範運転操作記憶部4bは、車両9を用いて上記熟練者が所定コース上(例えば、自動車教習所内に設けられた走行コースや公道で指定した走行コース等)で模範運転を行い、当該模範運転中に運転操作計測部1bが検出したそれぞれの操作情報を走行位置指定部2bが指定する走行位置に対応付けて記憶する。なお、模範運転操作記憶部4bに記憶する情報は、複数の熟練者が模範運転して得られた情報を蓄積して平均化したものでもかまわない。危険場面・アドバイス記憶部5bは、ハードディスク等の記憶手段で構成され、上記走行コースにおいて「危険を感じる場面」それぞれに対する走行位置情報と、それらの場面に応じたアドバイス情報とを記憶する。
【0085】
ここで、「危険を感じる場面」は、模擬走行と実車走行との相違点があるが、基本的には図2を用いて説明した模擬走行における危険場面K1〜Knと同様であるため、詳細な説明を省略する。危険場面・アドバイス記憶部5bは、第1の実施形態と同様に適切な危険判断が必要な場所を危険場面K1〜Knとして記憶している。具体的には、危険場面・アドバイス記憶部5bは、危険場所K1〜Knそれぞれの範囲(走行位置情報)を記憶している。危険場所K1〜Knの範囲は、それぞれ危険場所K1〜Knから所定距離手前の位置から当該危険場所K1〜Knを通過する位置までの範囲に設定される。なお、危険場所K1〜Knの範囲は、実車走行を前提として設定することが必要となるため、カーナビゲーション装置で用いる地図等、走行位置指定部2bがGPS92を用いて位置指定可能な地図媒体上でそれらの範囲を指定するのが好ましい。また、危険場面・アドバイス記憶部5bは、危険場所K1〜Kn毎に、危険ポイント情報やアドバイス文章等も記憶してもかまわない。また、危険場面・アドバイス記憶部5bは、実車走行時において必ず減速・停止・操舵を行う場所に対しても、それぞれの走行位置情報も記憶している。
【0086】
運転操作比較部6bは、一般的なコンピュータシステムで構成され、同じ走行ルートを走行した場合に、模範運転における危険感受度と被験者の運転における危険感受度とを比較する。運転操作比較部6bは、操作情報抽出部61b、危険感受度算出比較部62b、および危険感受度算出テーブル63bを含んでいる。なお、危険感受度の算出方法については、第1の実施形態で説明した方法と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0087】
危険感受度算出比較部62bは、被験者運転操作記憶部3bから抽出された操作情報を用いて算出した被験者の危険感受度Rと、模範運転操作記憶部4bから抽出された操作情報を用いて算出した模範運転における危険感受度Rとを比較して、差が大きな走行区間(特に、危険場所K)を抽出する。なお、被験者の危険感受度Rと模範運転の危険感受度Rとの比較方法についても、第1の実施形態で説明した方法と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0088】
アドバイス提示部7bは、運転操作比較部6bが選択した危険場面Kについて、被験者にアドバイスを与える。アドバイス提示部7bの構成は、被験者に与えるアドバイスの態様によって異なる。例えば、表示装置に画像を表示して被験者にアドバイスを与える場合、アドバイス提示部7bは、表示装置に表示する画像を生成して表示制御を行う半導体チップ等のユニットで構成される。また、画像を紙に印刷して被験者にアドバイスを与える場合、アドバイス提示部7bは、印刷装置に出力する印刷画像を生成する半導体チップ等のユニットで構成される。
【0089】
アドバイス提示部7bがこれらの構成の場合、被験者に提示されるアドバイスは、図8や図9に示した態様が可能である。ここで、アドバイス場面の画像a1やアドバイス場面のリプレイ画像a1は、実車走行では模擬映像が不要であるために模擬映像を利用することができないが、予め危険場所K毎に静止画像や動画像を撮像して、危険場面・アドバイス記憶部5bに格納しておくことによって、第1の実施形態と同様の画像を提示することもできる。
【0090】
また、車両9が公道に設定された走行コースを走行する場合、歩行者や他の車両の存在等の不確定要素に対して事前に予測できないために、当該不確定要素におけるアドバイスを予め用意することは極めて困難である。このような場合、定例的な不確定要素の存在に基づいて、危険ポイントやアドバイス文章を予め作成してもかまわない。例えば、定例的に横断歩行者が多い場所(例えば、学校前の横断歩道や歩行者が頻繁に横断する道路)、定例的に路上駐車車両が多い場所、出会い頭事故が多い交差点等において、被験者に対して危険ポイントやアドバイスを事前に作成して提示することは可能である。また、自動車教習所内の走行コースを走行する場合は、モデル的に駐車車両や歩行者を当該走行コース上に配置することが可能であるため、不確定要素であっても第1の実施形態と同様の危険ポイントやアドバイスを予め用意して提示することができる。なお、確定要素(例えば、カーブ曲率や見通しの悪さ)に対する危険ポイントやアドバイスは、実車走行においても予め用意して提示できることは言うまでもない。
【0091】
このように、アドバイス提示部7bは、選択された危険場面Kについて、模範運転および被験者の運転の少なくとも一方を提示したり、危険のポイントを提示したり、アドバイス文章を提示したりすることによって、危険予知すべき理由や対処方法を具体的に被験者にアドバイスする。このアドバイスを受けることによって、被験者は、実車走行における自身の運転特性を知って、よくある危険パターンを認知することができる。また、被験者は、実車走行における自身の運転特性と危険パターンとの関係を理解して、安全運転のための具体的な対処方法を知ることができる。
【0092】
また、実車走行を前提とした運転評価装置では、危険感受度Rに基づいて、リアルタイムにアドバイスを提示してもかまわない。例えば、危険感受度算出比較部62bは、走行位置t毎に被験者および模範者の危険感受度Rtをそれぞれ算出することが可能であり、走行位置t毎の乖離度Ptも算出可能である。したがって、運転評価装置は、危険場所Kの区間内において、走行位置t毎の乖離度Ptが閾値以上となったときをトリガとして、リアルタイムにアドバイスを提示することも可能である。実車走行においてリアルタイムにアドバイスを与えることによって、被験者が走行先に潜む危険を事前に知ることができ、より現実的な危険を感じると共に、実車走行中の事故防止も期待できる。
【0093】
この場合、被験者が運転中にアドバイスを与えることになるので、アドバイス提示部7bは、被験者の運転に悪影響がない方法でアドバイスを提示することが求められる。例えば、被験者が車両9の運転中でも簡単に視認できる位置(例えば、スピードメータ付近)に、運転操作装置91それぞれに対応した報知装置(例えば、複数のLED(Light Emitting Diode))を設置する。そして、危険場所Kの区間内で走行位置t毎の乖離度Ptが閾値以上となったとき、アドバイス提示部7bは、その要因を解析し、主因となった運転操作装置91を示す報知装置を作動させる。例えば、図8や図9のように乖離度Pが大きくなった主因が被験者のアクセル操作の場合、アドバイス提示部7bは、アクセルペダルを示すLEDを点灯させて被験者にアドバイスする。
【0094】
また、上述した報知装置は、被験者の視覚を通じてアドバイスを提示するデバイスに限定されない。例えば、被験者の触感を通じてアドバイスを提示してもかまわない。具体的には、運転操作装置91それぞれにバイブレータを設置し、アドバイス提示部7bが主因となった運転操作装置91のバイブレータを作動させる。また、被験者の聴覚を通じてアドバイスを提示してもかまわない。具体的には、車両9に設けられたスピーカを介して、アドバイス場面での被験者の運転a2やa8、アドバイス場面での模範運転a3やa7、アドバイス場面内の危険ポイントa4、アドバイス文章a5(図8および図9参照)等を音声で読み上げることによって、被験者にアドバイスを与える。この場合、危険場面・アドバイス記憶部5bに音声データで各アドバイス情報を記憶させておき、アドバイス提示部7bが適宜必要な音声データを読み出せば、音声によるアドバイスも可能となる。
【0095】
さらに、上述した報知装置は、運転操作装置91をそれぞれ直接制御するものであってもよい。一例として、危険場所Kの区間内で走行位置t毎の乖離度Ptが閾値以上となったとき、アドバイス提示部7bは、その要因を解析し、主因となった運転操作装置91の操作が模範運転における走行位置tの操作に近づくように制御する。例えば、図8や図9のように乖離度Pが大きくなった主因が被験者のアクセル操作の場合、アドバイス提示部7bは、踏み込み量が浅くなるようにアクセルペダルのストロークを強制的に制御したり、スロットルバルブの開度を強制的に絞ったりすることによって、車両9の走行制御を行う。また、他の例として、危険場所Kの区間内で走行位置tにおける模範運転操作と被験者の運転操作との差が閾値以上になったとき、アドバイス提示部7bがその差を埋めるように運転操作装置91を制御してもかまわない。このように、強制的に車両9の運転操作を模範運転操作に制御するため、アドバイスだけでは自身の運転特性を変えない被験者であっても確実に事故回避に貢献することが期待できる。
【0096】
なお、危険場面・アドバイス記憶部5aや5bに格納される情報は、予め運転評価装置にプリインストールされたものでもいいし、ユーザが適宜作成/追加してもかまわない。また、危険場面・アドバイス記憶部5aや5bに格納される情報は、光ディスクやハードディスクに記憶されたソフトウェアとして予め用意されたものでもいいし、車載情報端末によりインターネット等のネットワーク回線を介してダウンロードされたものでもいいし、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報として道路インフラからの通信回線(例えば、光学式・電波式ビーコン)を介して受信した情報であってもよい。
【0097】
また、運転者の危険感受度と模範運転の危険感受度との比較による総合的判断を行うことができれば、上述したパラメータは、上述した算出方法に限定されるものではない。また、危険感受度算出テーブル63aおよび63bに格納された各基準テーブルは、任意に変更してもかまわない。
【0098】
また、上述した実施形態では、模範運転の危険感受度と被験者の運転の危険感受度との差(減算)を用いて比較を行ったが、他の方法で比較を行ってもかまわない。例えば、両者の危険感受度の比や相関を用いて、両者の比較を行ってもかまわない。また、危険感受度を算出せずに、模範運転の操作情報と被験者の操作情報との差、比、および相関等を用いて両者の比較を行ってもかまわない。運転操作比較部における処理の本質的な原理は、模範運転と被験者の運転とを比較することにあるため、模範運転と被験者の運転との乖離度が導き出せる値であれば、他のパラメータを用いてもかまわない。
【0099】
また、第1の実施形態に係る運転評価装置および第2の実施形態に係る運転評価装置共に、模擬走行または実車走行後に当該自身の走行を振り返ったアドバイスを被験者に行うことによって、走行ルート全体の運転に対する総合的な助言を可能としている。しかしながら、このような効果を期待しない場合、被験者が走行している際に即時にアドバイスを与えるだけでもかまわない。この場合、被験者の運転操作情報を模擬走行後または実車走行後まで記憶することが不要となるため、被験者運転操作記憶部3aや3bを運転評価装置に設けなくてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明に係る運転評価装置は、被験者の運転の危険性を通知すると共に、適切な運転アドバイスを可能にし、ドライビングシミュレータや車両等に搭載して被験者に安全運転アドバイスを行う装置等の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】第1の実施形態に係る運転評価装置の構成を示すブロック図
【図2】模擬走行ルートに対して設定された危険場面K1〜Knの一例を示す図
【図3】アクセル/ブレーキ操作分類基準テーブルの一例を示す図
【図4】ステアリング操作分類基準テーブルの一例を示す図
【図5】環境情報分類基準テーブルの一例を示す図
【図6】模擬運転中の被験者の危険感受度Rと模範運転の危険感受度Rの程度の一例を示すグラフ
【図7】図6のグラフのおいて、危険場所Kを示す1区間を取り出して拡大した図
【図8】アドバイス提示部7aが紙に印刷して提示するアドバイスの一例を示す図
【図9】アドバイス提示部7aが表示装置に表示するアドバイスの他の例を示す図
【図10】図1の運転評価装置によるアドバイス前後において、ドライビングシミュレータを用いた評価の変化を示すグラフ
【図11】図1の運転評価装置によるアドバイス前後において、実車走行での評価の変化を示すグラフ
【図12】第2の実施形態に係る運転評価装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0102】
1…運転操作計測部
2…走行位置指定部
3…被験者運転操作記憶部
4…模範運転操作記憶部
5…危険場面・アドバイス記憶部
6…運転操作比較部
61…操作情報抽出部
62…危険感受度算出比較部
63…危険感受度算出テーブル
7…アドバイス提示部
8…ドライビングシミュレータ
81、91…運転操作装置
82…運転模擬装置
83…模擬映像表示装置
9…車両
92…GPS
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
【出願日】 平成18年8月30日(2006.8.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−58459(P2008−58459A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−233278(P2006−233278)