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【発明の名称】 手術用トレーニング装置
【発明者】 【氏名】熊谷 徹

【氏名】森川 治

【氏名】山下 樹里

【氏名】横山 和則

【要約】 【課題】教師と学習者とが同じ環境で同じ動作を行うことができるようにした手術用トレーニング装置を提供する。

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実物とほぼ同じ模型を用いて学習者が教師の内視鏡による手術行為を学習するための手術用トレーニング装置であって、
教師と教師用模型(101)との相対位置と同一となるように学習者のトレーニング位置に対する相対位置に設置される学習者用模型(1)と、
トレーニング位置の学習者の全身を撮影する第1カメラ(15)と、
トレーニング位置の学習者の腕の動きと手元の内視鏡担持部を同時に撮影する第2カメラ(14)と、
教師の全身を撮影する第3カメラ(115)と、
教師の腕の動きと手元の内視鏡担持部を同時に撮影する第4カメラ(114)と、
教師が用いる内視鏡カメラ(112)と、
学習者が用いる内視鏡カメラ(12)と、
前記第1カメラ(15)で撮影された全身の映像を映し出すための学習者用の第1画像モニタ(5)と、
前記第2カメラ(14)で撮影された内視鏡担持部の映像を映し出すための学習者用の第2画像モニタ(4)と、
学習者が用いる内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す学習者用の内視鏡画像モニタ(2)と、
教師の内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す学習者用の内視鏡画像モニタ(3)と、
教師が用いる内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す教師用の内視鏡画像モニタ(102)と、
学習者が用いる内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す教師用の内視鏡画像モニタ(103)と、
前記第3カメラ(115)で撮影された全身の映像を映し出すための教師用の第3画像モニタ(105)と、
前記第4カメラ(114)で撮影された内視鏡担持部の映像を映し出すための教師用の第4画像モニタ(104)と、
を備え、
学習者用模型(1)、第1カメラ(15)および第2カメラ(14)の相対位置と、教師用模型(101)、第3カメラ(115)および第4カメラ(114)の相対位置とが同一になるように設置し、
前記学習者用の第1画像モニタ(5)が、学習者のトレーニング位置を中心として、第1カメラ(15)の方向、またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、前記第1画像モニタ(5)には鏡像を表示し、
前記学習者用の第1画像モニタ(5)が、学習者のトレーニング位置を中心として、第1カメラ(15)と反対方向、またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第1画像モニタ(5)には正像を表示し、
前記学習者用の第1画像モニタ(5)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、前記第1画像モニタ(5)には正像または鏡像を表示し、
前記学習者用の第2画像モニタ(4)が、学習者のトレーニング位置を中心として、第2カメラ(14)の方向、またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、第2画像モニタ(4)には鏡像を表示し、
前記学習者用の第2画像モニタ(4)が、学習者のトレーニング位置を中心として、第2カメラ(14)と反対方向、またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第2画像モニタ(4)には正像を表示し、
前記学習者用の第2画像モニタ(4)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、前記第2画像モニタ(4)には正像または鏡像を表示し、
前記学習者用の第1画像モニタ(5)は、前記学習者と教師の全身画像を重ね合わせて表示し、
前記学習者用の第2画像モニタ(4)は、前記学習者と教師の内視鏡担持部画像を重ね合わせて表示し、
学習者の内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す内視鏡画像モニタ(2)と前記学習者用の内視鏡画像モニタ(3)には、それぞれ学習者の内視鏡画像と教師の内視鏡画像を表示し、
教師の内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す内視鏡画像モニタ(102)と前記教師用の内視鏡画像モニタ(103)には、それぞれ教師の内視鏡画像と学習者の内視鏡画像を表示すると共に、
第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)には、それぞれ第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)に映し出される画像と同じ学習者と教師の重ね合わせ画像を表示し
第3画像モニタ(105)が、教師の位置を中心として、第3カメラ(115)の方向、またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)には鏡像を表示し、
第3画像モニタ(105)が、教師の位置を中心として、第3カメラ(115)と反対方向、またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)には正像を表示し、
第3画像モニタ(105)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)には正像または鏡像を表示し、
第4画像モニタ(104)が、教師の位置を中心として、第4カメラ(114)の方向、またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、第4画像モニタ(104)には鏡像を表示し、
第4画像モニタ(104)が、教師の位置を中心として、第4カメラ(114)と反対方向、またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第4画像モニタ(104)には正像を表示し、
第4画像モニタ(104)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、第4画像モニタ(104)には正像または鏡像を表示する、
ことを特徴とする手術用トレーニング装置。
【請求項2】
実物とほぼ同じ模型を用いて学習者が教師の内視鏡による手術行為を学習するための手術用トレーニング装置であって、
教師と教師用模型(101)との相対位置と同一となるように学習者のトレーニング位置に対する相対位置に設置される学習者用模型(1)と、
トレーニング位置の学習者の全身を撮影する第1カメラ(15)と、
教師の全身を撮影する第3カメラ(115)と、
教師が用いる内視鏡カメラ(112)と、
学習者が用いる内視鏡カメラ(12)と、
前記第1カメラ(15)で撮影された全身の映像を映し出すための学習者用の第1画像モニタ(5)と、
学習者が用いる内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す学習者用の内視鏡画像モニタ(2)と、
教師が用いる内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す学習者用の内視鏡画像モニタ(3)と、
教師が用いる内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す教師用の内視鏡画像モニタ(102)と、
学習者が用いる内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す教師用の内視鏡画像モニタ(103)と、
前記第3カメラ(115)で撮影された全身の映像を映し出す第3画像モニタ(105)と、
を備え、
学習者用模型(1)、学習者のトレーニング位置および第1カメラ(15)の相対位置と、教師用模型(101)、教師および第3カメラ(115)の相対位置とが同一になるように設置し、
前記学習者用の第1画像モニタ(5)が、学習者のトレーニング位置を中心として第1カメラ(15)の方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、前記第1画像モニタ(5)には鏡像を表示し、
前記学習者用の第1画像モニタ(5)が、学習者のトレーニング位置を中心として第1カメラ(15)と反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第1画像モニタ(5)には正像を表示し、
前記学習者用の第1画像モニタ(5)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、前記第1画像モニタ(5)には正像または鏡像を表示し、
前記学習者用の第1画像モニタ(5)は、前記学習者と教師の全身画像を重ね合わせて表示し、
学習者の内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す内視鏡画像モニタ(2)と前記学習者用の内視鏡画像モニタ(3)には、それぞれ学習者の内視鏡画像と教師の内視鏡画像を表示し、
教師の内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す内視鏡画像モニタ(102)と前記教師用の内視鏡画像モニタ(103)には、それぞれ教師の内視鏡画像と学習者の内視鏡画像を表示すると共に、
第3画像モニタ(105)には、第1画像モニタ(5)に映し出される画像と同じ学習者と教師の重ね合わせ画像を表示し
第3画像モニタ(105)が、教師の位置を中心として、第3カメラ(115)の方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)には鏡像を表示し、
第3画像モニタ(105)が、教師の位置を中心として第3カメラ(115)と反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)には正像を表示し、
第3画像モニタ(105)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)には正像または鏡像を表示する、
ことを特徴とする手術用トレーニング装置。
【請求項3】
実物とほぼ同じ模型を用いて学習者が教師の内視鏡による手術行為を学習するための手術用トレーニング装置であって、
教師と教師用模型(101)との相対位置と同一となるように学習者のトレーニング位置に対する相対位置に設置される学習者用模型(1)と、
トレーニング位置の学習者の腕の動きと手元の内視鏡担持部を同時に撮影する第2カメラ(14)と、
教師の腕の動きと手元の内視鏡担持部を同時に撮影する第4カメラ(114)と、
教師が用いる内視鏡カメラ(112)と、
学習者が用いる内視鏡カメラ(12)と、
前記第2カメラ(14)で撮影された内視鏡担持部の映像を映し出すための学習者用の第2画像モニタ(4)と、
学習者が用いる内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す学習者用の内視鏡画像モニタ(2)と、
教師の内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す学習者用の内視鏡画像モニタ(3)と、
教師が用いる内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す教師用の内視鏡画像モニタ(102)と、
学習者が用いる内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す教師用の内視鏡画像モニタ(103)と、
前記第4カメラ(114)で撮影された内視鏡担持部の映像を映し出すための教師用の第4画像モニタ(104)と、
を備え、
学習者用模型(1)、学習者のトレーニング位置および第2カメラ(14)の相対位置と、教師用模型(101)、教師および第4カメラ(114)の相対位置とが同一になるように設置し、
前記学習者用の第2画像モニタ(4)が、学習者のトレーニング位置を中心として第2カメラ(14)の方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、前記第2画像モニタ(4)には鏡像を表示し、
前記学習者用の第2画像モニタ(4)が、学習者のトレーニング位置を中心として第2カメラ(14)と反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、前記第2画像モニタ(4)には正像を表示し、
前記学習者用の第2画像モニタ(4)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、前記第2画像モニタ(4)には正像または鏡像を表示し、
前記学習者用の第2画像モニタ(4)は、前記学習者と教師の内視鏡担持部画像を重ね合わせて表示し、
学習者の内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す内視鏡画像モニタ(2)と前記学習者用の内視鏡画像モニタ(3)には、それぞれ学習者の内視鏡画像と教師の内視鏡画像を表示し、
教師の内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す内視鏡画像モニタ(102)と前記教師用の内視鏡画像モニタ(103)には、それぞれ教師の内視鏡画像と学習者の内視鏡画像を表示すると共に、
第4画像モニタ(104)には、第2画像モニタ(4)に映し出される学習者と教師の重ね合わせ画像を表示し
第4画像モニタ(104)が、教師の位置を中心として、第4カメラ(114)の方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、第4画像モニタ(104)には鏡像を表示し、
第4画像モニタ(104)が、教師の位置を中心として第4カメラ(114)と反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第4画像モニタ(104)には正像を表示し、
第4画像モニタ(104)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、第4画像モニタ(104)には正像または鏡像を表示する、
ことを特徴とする手術用トレーニング装置。
【請求項4】
モニタに表示する前記教師の全身画像または内視鏡担持部画像は、予め撮影されて記憶されたビデオ画像を用いることを特徴とする請求項1、2または3のいずれかに記載の手術用トレーニング装置
【請求項5】
前記学習者および教師の手元用の第2カメラ(14)及び第4カメラ(114)は、複数個備えることを特徴とする請求項1または3に記載の手術用トレーニング装置。
【請求項6】
実物とほぼ同じ模型を用いて学習者が教師の手術行為を学習するための手術用トレーニング装置であって、
教師と教師用模型(101)との相対位置と同一となるように学習者のトレーニング位置に対する相対位置に設置される学習者用模型(1)と、
トレーニング位置の学習者の全身を撮影する第1カメラ(15)と、
トレーニング位置の学習者の腕の動きと手元部位を同時に撮影する第2カメラ(14)と、
教師の全身を撮影する第3カメラ(115)と、
教師の腕の動きと手元部位を同時に撮影する第4カメラ(114)と、
前記第1カメラ(15)で撮影された全身の映像を映し出すための学習者用の第1画像モニタ(5)と、
前記第2カメラ(14)で撮影された手元部位の映像を映し出すための学習者用の第2画像モニタ(4)と、
前記第3カメラ(115)で撮影された全身の映像を映し出すための教師用の第3画像モニタ(105)と、
前記第4カメラ(114)で撮影された手元部位の映像を映し出すための教師用の第4画像モニタ(104)と、
を備え、
学習者用模型(1)、前記第1カメラ(15)および第2カメラ(14)の相対位置と、教師用模型(101)、第3カメラ(115)および第4カメラ(114)の相対位置とが同一になるように設置し、
前記学習者用の第1画像モニタ(5)が、学習者のトレーニング位置を中心として、第1カメラ(15)の方向、またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、前記第1画像モニタ(5)には鏡像を表示し、
前記学習者用の第1画像モニタ(5)が、学習者のトレーニング位置を中心として、第1カメラ(15)と反対方向、またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第1画像モニタ(5)には正像を表示し、
前記学習者用の第1画像モニタ(5)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、前記第1画像モニタ(5)には正像または鏡像を表示し、
前記学習者用の第2画像モニタ(4)が、学習者のトレーニング位置を中心として、第2カメラ(14)の方向、またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、第2画像モニタ(4)には鏡像を表示し、
前記学習者用の第2画像モニタ(4)が、学習者のトレーニング位置を中心として、第2カメラ(14)と反対方向、またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第2画像モニタ(4)には正像を表示し、
前記学習者用の第2画像モニタ(4)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、前記第2画像モニタ(4)には正像または鏡像を表示し、
前記学習者用の第1画像モニタ(5)は、前記学習者と教師の全身画像を重ね合わせて表示し、
前記学習者用の第2画像モニタ(4)は、前記学習者と教師の手元部位画像を重ね合わせて表示し、
第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)には、それぞれ第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)に映し出される画像と同じ学習者と教師の重ね合わせ画像を表示し
第3画像モニタ(105)が、教師の位置を中心として、第3カメラ(115)の方向、またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)には鏡像を表示し、
第3画像モニタ(105)が、教師の位置を中心として、第3カメラ(115)と反対方向、またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)には正像を表示し、
第3画像モニタ(105)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)には正像または鏡像を表示し、
第4画像モニタ(104)が、教師の位置を中心として、第4カメラ(114)の方向、またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、第4画像モニタ(104)には鏡像を表示し、
第4画像モニタ(104)が、教師の位置を中心として、第4カメラ(114)と反対方向、またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第4画像モニタ(104)には正像を表示し、
第4画像モニタ(104)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、第4画像モニタ(104)には正像または鏡像を表示する、
ことを特徴とする手術用トレーニング装置。
【請求項7】
モニタに表示する前記教師の全身画像及び又は手元部位画像は、予め撮影されて記憶されたビデオ画像であることを特徴とする請求項6記載の手術用トレーニング装置。
【請求項8】
前記学習者および教師の手元部位用の第2カメラ(14)および第4カメラ(114)は、複数個備えることを特徴とする請求項6または7に記載の手術用トレーニング装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡を用いる手術手技の教示・自習を支援するための手術用トレーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における内視鏡を用いる手術用トレーニングシステムに関係する技術としては、例えば、特許文献1に記載されている内視鏡システム、また、特許文献2に記載されているような人体模型が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の内視鏡システムは、従来の内視鏡は、細い筒状であるために単眼光学系の場合が多く、そのため操作時に奥行き情報が把握しづらく、どの程度の奥行き方向まで内視鏡を入れることが可能であるかを判断することが困難であったとして、ここでの内視鏡システムでは、単眼光学系の場合でも奥行き情報を的確に得られる内視鏡システムを提供するものとしている。
【0004】
特許文献2に記載の人体模型は、内視鏡を用いて、診断、手術など高度な技術が要求される分野における医者の技術習得用トレーニング等に用いる模型であり、このような人体模型を用いることにより、医者や医師となる学習者は適切に高度な技術が要求される内視鏡を用いる手術の訓練を行うことができるものとなっている。
【0005】
手術用トレーニングシステムとしては、特許文献3に示されている歯科実習装置のように、実習者の治療実習の状況および教授者の模範治療を単独のカメラで撮影し、実習者および教授者の映像を同時に提示することにより、学習を促進する歯科用のトレーニングシステムが提案されている。また、特許文献4においては、教師映像と学習者の映像を単独のスクリーンに呈示し、体操・ダンス等の肉体的技能の訓練を促進するシステムを提案している。特許文献5に示されている医療実習装置は、歯科用のトレーニングシステムであり、学習者の器具先端の軌跡と、許容される範囲のフレーム表示を重ねて表示することにより、学習者の技能を評価を容易にするものである。また、このような手術訓練用の人体模型としては、特許文献6に記載されているものが知られている。
【特許文献1】特開2000−210248号公報
【特許文献2】特開2001−005377号公報
【特許文献3】特許第3614868号公報
【特許文献4】特表平09−502033号公報
【特許文献5】特許第3660521号公報
【特許文献6】特開2004−347623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、高度な技術が要求される内視鏡を用いる手術の訓練を行う場合、教師は学習者の近くにいて、教師は学習者の態度を観測しながら指導および助言等を行わなくてはならないが、教師が遠隔地にいる場合には、例えば、遠隔で映像を伴う通信システムであるテレビ会議システムを応用する場合においても、学習者にとっては、教師と学習者との間の十分なコミュニケーションが行えず、その学習が十分に行えない。
【0007】
このような手術の訓練を受ける学習者は、教師が用いる人体模型と同じ人体模型を用いて、教師とほぼ同時に、教師が行う動作と全く同じ動作を、細部に渡る動作までも観察できるようにして、その動作を繰り返し行うことで、学習効果を高めることができる。
【0008】
しかしながら、従来における内視鏡手術のトレーニングシステムは、教師が模範手術を見せる状況と同じ環境において、学習者が、教師が行う動作と同じ動作を行い、学習できるように、訓練用の環境は整備されていなかった。このため、学習者は、十分な手術の訓練を行うことはできないという問題点があった。
【0009】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、手術手技のトレーニングシステムにおいて、教師と学習者とが同じ環境で、同じ動作を行うことができるようにした手術用トレーニング装置を提供することにある。具体的には、学習者に対して、内視鏡を用いる手術手技の教示・自習を支援する手術用トレーニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は第1の態様として、本発明による手術用トレーニング装置は、実物とほぼ同じ模型を用いて学習者が教師の内視鏡による手術行為を学習するための手術用トレーニング装置であって、教師と教師用模型(101)との相対位置と同一となるように学習者のトレーニング位置に対する相対位置に設置される学習者用模型(1)と、トレーニング位置の学習者の全身を撮影する第1カメラ(15)と、トレーニング位置の学習者の腕の動きと手元の内視鏡担持部を同時に撮影する第2カメラ(14)と、教師の全身を撮影する第3カメラ(115)と、教師の腕の動きと手元の内視鏡担持部を同時に撮影する第4カメラ(114)と、教師が用いる内視鏡カメラ(112)と、学習者が用いる内視鏡カメラ(12)と、前記第1カメラ(15)で撮影された全身の映像を映し出すための学習者用の第1画像モニタ(5)と、前記第2カメラ(14)で撮影された内視鏡担持部の映像を映し出すための学習者用の第2画像モニタ(4)と、学習者が用いる内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す学習者用の内視鏡画像モニタ(2)と、教師の内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す学習者用の内視鏡画像モニタ(3)と、教師が用いる内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す教師用の内視鏡画像モニタ(102)と、学習者が用いる内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す教師用の内視鏡画像モニタ(103)と、前記第3カメラ(115)で撮影された全身の映像を映し出すための教師用の第3画像モニタ(105)と、前記第4カメラ(114)で撮影された内視鏡担持部の映像を映し出すための教師用の第4画像モニタ(104)とを備え、学習者用模型(1)、前記第1カメラ(15)および第2カメラ(14)の相対位置と、教師用模型(101)、第3カメラ(115)および第4カメラ(114)の相対位置とが同一になるように設置し、前記学習者用の第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)が、学習者のトレーニング位置を中心としてそれぞれ第1カメラ(15)または第2カメラ(14)の方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、前記第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)には鏡像を表示し、前記学習者用の第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)が、学習者のトレーニング位置を中心としてそれぞれ第1カメラ(15)または第2カメラ(14)と反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)には正像を表示し、前記学習者用の第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、前記第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)には正像または鏡像を表示し、前記学習者用の第1画像モニタ(5)は、前記学習者と教師の全身画像を重ね合わせて表示し、前記学習者用の第2画像モニタ(4)は、前記学習者と教師の内視鏡担持部画像を重ね合わせて表示し、学習者の内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す内視鏡画像モニタ(2)と前記学習者用の内視鏡画像モニタ(3)には、それぞれ学習者の内視鏡画像と教師の内視鏡画像を表示し、教師の内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す内視鏡画像モニタ(102)と前記教師用の内視鏡画像モニタ(103)には、それぞれ教師の内視鏡画像と学習者の内視鏡画像を表示すると共に、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)には、それぞれ第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)に映し出される画像と同じ学習者と教師の重ね合わせ画像を表示し、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)が、教師の位置を中心として、それぞれ第3カメラ(115)または第4カメラ(114)の方向、またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)には鏡像を表示し、
第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)が、教師の位置を中心として、それぞれ第3カメラ(115)または第4カメラ(114)と反対方向、またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)には正像を表示し、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)には正像または鏡像を表示することを特徴とするものである。
【0011】
本発明は第2の態様として、本発明による手術用トレーニング装置は、実物とほぼ同じ模型を用いて学習者が教師の内視鏡による手術行為を学習するための手術用トレーニング装置であって、教師と教師用模型(101)との相対位置と同一となるように学習者のトレーニング位置に対する相対位置に設置される学習者用模型(1)と、トレーニング位置の学習者の全身を撮影する第1カメラ(15)と、教師の全身を撮影する第3カメラ(115)と、教師が用いる内視鏡カメラ(112)と、学習者が用いる内視鏡カメラ(12)と、前記第1カメラ(15)で撮影された全身の映像を映し出すための学習者用の第1画像モニタ(5)と、学習者が用いる内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す学習者用の内視鏡画像モニタ(2)と、教師の内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す学習者用の内視鏡画像モニタ(3)と、教師が用いる内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す教師用の内視鏡画像モニタ(102)と、学習者が用いる内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す教師用の内視鏡画像モニタ(103)と、前記第3カメラ(115)で撮影された全身の映像を映し出すための教師用の第3画像モニタ(105)とを備え、学習者用模型(1)、学習者のトレーニング位置および第1カメラ(15)の相対位置と、教師用模型(101)、教師および第3カメラ(115)の相対位置とが同一になるように設置し、前記学習者用の第1画像モニタ(5)が、学習者のトレーニング位置を中心として第1カメラ(15)の方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、前記第1画像モニタ(5)には鏡像を表示し、前記学習者用の第1画像モニタ(5)が、学習者のトレーニング位置を中心として第1カメラ(15)と反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第1画像モニタ(5)には正像を表示し、前記学習者用の第1画像モニタ(5)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、前記第1画像モニタ(5)には正像または鏡像を表示し、前記学習者用の第1画像モニタ(5)は、前記学習者と教師の全身画像を重ね合わせて表示し、学習者の内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す内視鏡画像モニタ(2)と前記学習者用の内視鏡画像モニタ(3)には、それぞれ学習者の内視鏡画像と教師の内視鏡画像を表示し、教師の内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す内視鏡画像モニタ(102)と前記教師用の内視鏡画像モニタ(103)には、それぞれ教師の内視鏡画像と学習者の内視鏡画像を表示すると共に、第3画像モニタ(105)には、第1画像モニタ(5)に映し出される画像と同じ学習者と教師の重ね合わせ画像を表示し、第3画像モニタ(105)が、教師の位置を中心として、第3カメラ(115)の方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)には鏡像を表示し、第3画像モニタ(105)が、教師の位置を中心として第3カメラ(115)と反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)には正像を表示し、第3画像モニタ(105)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)には正像または鏡像を表示することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明は、第3の態様として、本発明による手術用トレーニング装置は、実物とほぼ同じ模型を用いて学習者が教師の内視鏡による手術行為を学習するための手術用トレーニング装置であって、教師と教師用模型(101)との相対位置と同一となるように学習者のトレーニング位置に対する相対位置に設置される学習者用模型(1)と、トレーニング位置の学習者の腕の動きと手元の内視鏡担持部を同時に撮影する第2カメラ(14)と、教師の腕の動きと手元の内視鏡担持部を同時に撮影する第4カメラ(114)と、教師が用いる内視鏡カメラ(112)と、学習者が用いる内視鏡カメラ(12)と、前記第2カメラ(14)で撮影された内視鏡担持部の映像を映し出すための学習者用の第2画像モニタ(4)と、学習者が用いる内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す学習者用の内視鏡画像モニタ(2)と、教師の内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す学習者用の内視鏡画像モニタ(3)と、教師が用いる内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す教師用の内視鏡画像モニタ(102)と、学習者が用いる内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す教師用の内視鏡画像モニタ(103)と、前記第4カメラ(114)で撮影された内視鏡担持部の映像を映し出すための教師用の第4画像モニタ(104)とを備え、学習者用模型(1)、学習者のトレーニング位置および第2カメラ(14)の相対位置と、教師用模型(101)、教師および第4カメラ(114)の相対位置とが同一になるように設置し、前記学習者用の第2画像モニタ(4)が、学習者のトレーニング位置を中心として第2カメラ(14)の方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、前記第2画像モニタ(4)には鏡像を表示し、前記学習者用の第2画像モニタ(4)が、学習者のトレーニング位置を中心として第2カメラ(14)と反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、前記第2画像モニタ(4)には正像を表示し、前記学習者用の第2画像モニタ(4)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、前記第2画像モニタ(4)には正像または鏡像を表示し、前記学習者用の第2画像モニタ(4)は、前記学習者と教師の内視鏡担持部画像を重ね合わせて表示し、学習者の内視鏡カメラ(12)で撮影された映像を映し出す内視鏡画像モニタ(2)と前記学習者用の内視鏡画像モニタ(3)には、それぞれ学習者の内視鏡画像と教師の内視鏡画像を表示し、教師の内視鏡カメラ(112)で撮影された映像を映し出す内視鏡画像モニタ(102)と前記教師用の内視鏡画像モニタ(103)には、それぞれ教師の内視鏡画像と学習者の内視鏡画像を表示すると共に、第4画像モニタ(104)には、第2画像モニタ(4)に映し出される画像と同じ学習者と教師の重ね合わせ画像を表示し、第4画像モニタ(104)が、教師の位置を中心として、第4カメラ(114)の方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、第4画像モニタ(104)には鏡像を表示し、第4画像モニタ(104)が、教師の位置を中心として第4カメラ(114)と反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第4画像モニタ(104)には正像を表示し、第4画像モニタ(104)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、第4画像モニタ(104)には正像または鏡像を表示することを特徴とするものである。
【0013】
これらの場合において、モニタに表示する前記教師の全身画像または内視鏡担持部画像は、予め撮影されて記憶されたビデオ画像を用いるように構成され、また、前記学習者および教師の手元用の第2カメラ(14)及び第4カメラ(114)は、複数個を備えるような構成とされてもよい。
【0014】
また、本発明は、第4の態様として、本発明による手術用トレーニング装置は、実物とほぼ同じ模型を用いて学習者が教師の手術行為を学習するための手術用トレーニング装置であって、教師と教師用模型(101)との相対位置と同一となるように学習者のトレーニング位置に対する相対位置に設置される学習者用模型(1)と、トレーニング位置の学習者の全身を撮影する第1カメラ(15)と、トレーニング位置の学習者の腕の動きと手元部位を同時に撮影する第2カメラ(14)と、教師の全身を撮影する第3カメラ(115)と、教師の腕の動きと手元部位を同時に撮影する第4カメラ(114)と、前記第1カメラ(15)で撮影された全身の映像を映し出すための学習者用の第1画像モニタ(5)と、前記第2カメラ(14)で撮影された手元部位の映像を映し出すための学習者用の第2画像モニタ(4)と、前記第3カメラ(115)で撮影された全身の映像を映し出すための教師用の第3画像モニタ(105)と、前記第4カメラ(114)で撮影された手元部位の映像を映し出すための教師用の第4画像モニタ(104)とを備え、学習者用模型、前記第1カメラ(15)および第2カメラ(14)の相対位置と、教師用模型、第3カメラ(115)および第4カメラ(114)の相対位置とが同一になるように設置し、前記学習者用の第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)が、学習者のトレーニング位置を中心としてそれぞれ第1カメラ(15)または第2カメラ(14)の方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、前記第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)には鏡像を表示し、前記学習者用の第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)が、学習者のトレーニング位置を中心としてそれぞれ第1カメラ(15)または第2カメラ(14)と反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)には正像を表示し、前記学習者用の第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、前記第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)には正像または鏡像を表示し、前記学習者用の第1画像モニタ(5)は、前記学習者と教師の全身画像を重ね合わせて表示し、前記学習者用の第2画像モニタ(4)は、前記学習者と教師の手元部位画像を重ね合わせて表示し、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)には、それぞれ第1画像モニタ(5)および第2画像モニタ(4)に映し出される画像と同じ学習者と教師の重ね合わせ画像を表示し、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)が、教師の位置を中心として、それぞれ第3カメラ(115)または第4カメラ(114)の方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)には鏡像を表示し、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)が、教師の位置を中心としてそれぞれ第3カメラ(115)または第4カメラ(114)と反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)には正像を表示し、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)が、前記方向と異なる方向に置かれた場合には、第3画像モニタ(105)および第4画像モニタ(104)には、正像または鏡像を表示することを特徴とするものである。
【0015】
この場合において、モニタに表示する前記教師の全身画像及び又は手元部位画像は、予め撮影されて記憶されたビデオ画像であるように構成されてもよく、また、前記学習者および教師の手元部位用の第2カメラ(14)および第4カメラ(114)は、複数個を備えるような構成とされてもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記のような特徴を有する本発明の手術用トレーニング装置によれば、学習者および教師をそれぞれ複数のカメラにより撮影し呈示する内視鏡手術のための手技用のトレーニング装置が提供され、手術器具先端を含む内視鏡画像に加えて、内視鏡把持部の映像・全身の映像を呈示する内視鏡手術の手術用トレーニング装置が提供される。
【0017】
この手術用トレーニング装置においては、教師と学習者の手元映像・全身映像を、ビデオカメラで撮影しておくことにより、例えば、クロマキー、ルミナンスキー等の画像処理技術により画像合成して、教師および学習者に呈示することもできる。内視鏡手術手技においては、加えて教師および学習者の内視鏡画像が、教師および学習者に呈示される。
【0018】
このように、内視鏡画像、手元画像、全身画像など複数の視点から撮影した学習者および教師の画像が呈示されることにより、学習者が学習者と教師の手技の差異を容易に認識でき、学習者にとっては手術手技の獲得が促進される。また、教師が学習者の手技の欠点を容易に認識でき、学習者に適切な指示を与えることができる。事前に記録された教師映像を用いることができる場合においては、教師の手術手技と学習者の手術手技の比較を容易にすることができる手術用トレーニング装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施する場合の形態について、具体的に図面を参照して説明する。図1は、学習者を撮影するカメラ、学習者に映像を呈示するモニタの設置方法を説明する図であり、図2は、教師を撮影するカメラ、教師に映像を呈示するモニタの設置方法を説明する図である。図1に示す図は、学習者のトレーニングルームにおける機器の配置構成を示しており、また、図2に示す図は、学習者を訓練する教師のトレーニングルームの機器の構成を示している。これらの図から明らかなように、本発明の手術用トレーニング装置においては、学習者用トレーニングルームおよび教師用トレーニングルームは、共に同じ機器の構成で同じ配置の構成となっている。
【0020】
図1において、10は学習者用システム、1は学習者用模型、2は学習者内視鏡画像呈示モニタ、3は教師内視鏡画像呈示モニタ、4は内視鏡担持部画像呈示モニタ、5は全身画像呈示モニタ、12は内視鏡カメラを含む学習者用内視鏡、14は学習者内視鏡担持部撮影カメラ、15は学習者全身画像撮影カメラ、21は学習者用マイクロフォン、22は学習者用スピーカ、30はトレーニング位置で訓練を受ける学習者である。
【0021】
また、図2において、100は教師用システム、101は教師用模型、102は教師内視鏡画像呈示モニタ、103は学習者内視鏡画像呈示モニタ、104は内視鏡担持部画像呈示モニタ、105は全身画像呈示モニタ、112は内視鏡カメラを含む教師用内視鏡、114は教師内視鏡担持部撮影カメラ、115は教師全身画像撮影カメラ、121は教師用マイクロフォン、122は教師用スピーカ、130は学習者と同様な位置関係でトレーニングの模範動作を教示する教師である。
【0022】
図1および図2において、複数個が設けられるカメラ(12,14,15,112,114,115)および画像提示モニタ(2,3,4,5,102,103,104,105)は、それぞれの信号線により結合されており、学習者用システム10のカメラ(12,14,15)で撮影された画像が、学習者用の画像提示モニタ(2,4,5)で表示されると共に教師用の画像提示モニタ(103,104,105)で表示され、教師用システム100のカメラ(112,114,115)で撮影された画像が、教師用の画像提示モニタ(102,104,105)で表示されると共に学習者用の画像提示モニタ(3,4,5)で表示される。
【0023】
本実施例の手術用トレーニング装置は、実物とほぼ同じ模型を用いて学習者が教師の内視鏡による手術行為を学習するため、図1および図2に示されるように、教師用模型101および学習者用模型1の設置位置は、それぞれ教師130と教師用模型101との相対位置と同一となるように学習者30のトレーニング位置に対する相対位置に設置される。このように、教師用模型101および学習者用模型1が設置された状態で、学習者全身画像撮影カメラ15が、トレーニング位置の学習者の全身を撮影する。学習者内視鏡担持部撮影カメラ14は、トレーニング位置の学習者の腕の動きと手元の内視鏡担持部を同時に撮影する。
【0024】
教師全身画像撮影カメラ115は、教師の全身を撮影し、教師内視鏡担持部撮影カメラ114は、教師の腕の動きと手元の内視鏡担持部を同時に撮影する。教師用内視鏡112には内視鏡カメラが含まれており、教師用模型101に対して教師が行っている手術における模型内部の状態が撮影される。同様に、学習者用内視鏡12には内視鏡カメラが含まれており、学習者用模型1に対して学習者が行っている手術の模型内部の状態が撮影される。
【0025】
学習者用システム10における全身画像呈示モニタ5には、学習者全身画像撮影カメラ15で撮影された全身の映像が映し出され、内視鏡担持部画像呈示モニタ4には、学習者内視鏡担持部撮影カメラ14で撮影された内視鏡担持部の映像が映し出される。また、学習者用システム10における学習者内視鏡画像呈示モニタ2には、学習者用内視鏡12のカメラで撮影された映像が映し出され、これに並べて設置された教師内視鏡画像呈示モニタ3には、教師用内視鏡112のカメラで撮影された映像が映し出される。
【0026】
教師用システム100においても、同様に、全身画像呈示モニタ105には、教師全身画像撮影カメラ115で撮影された全身の映像が映し出され、内視鏡担持部画像呈示モニタ104には、教師内視鏡担持部撮影カメラ114で撮影された内視鏡担持部の映像が映し出される。また、同じく、教師用システム100における教師内視鏡画像呈示モニタ102には、教師用内視鏡112のカメラで撮影された映像が映し出され、これに並べて設置された学習者内視鏡画像呈示モニタ103には、学習者用内視鏡12のカメラで撮影された映像が映し出される。
【0027】
また、学習者用模型1、学習者全身画像撮影カメラ15および学習者内視鏡担持部撮影カメラ14の相対位置と、教師用模型101、教師全身画像撮影カメラ115および教師内視鏡担持部撮影カメラ114の相対位置とが同一になるように設置される。
【0028】
学習者用システム10には、学習者用マイクロフォン21、学習者用スピーカ22が設置され、同様に、教師用システム100には、教師用マイクロフォン121、教師用スピーカ122が設置されて、学習者の発話を、学習者用マイクロフォン21および教師用スピーカ122を介して教師に呈示する。また、教師の発話は、教師用マイクロフォン121および学習者用スピーカ22を介して学習者に呈示する。これにより、学習者と教師の音声による対話を可能にしている。
【0029】
図3は、学習者に呈示する映像の合成方法を説明する図であり、図4は、教師に呈示する映像の合成方法を説明する図である。図3および図4において、44は内視鏡担持部画像合成部、45は全身画像合成・左右反転部、144は内視鏡担持部画像合成部、145は全身画像合成・左右反転部である。学習者用システム10および教師用システム100において、それぞれのカメラで撮影された画像がそれぞれの画像呈示モニタで表示される場合には、図3および図4に示す内視鏡担持部画像合成部44、全身画像合成・左右反転部45、内視鏡担持部画像合成部144、全身画像合成・左右反転部145により、次に説明するように、画像合成または左右反転して表示される。ここでの画像合成および左右反転の画像処理には、クロマキー、ルミナンスキー等の画像処理技術が利用されるが、この内容は公知であるので説明は省略する。
【0030】
それぞれのカメラで撮影された画像がそれぞれの画像呈示モニタで表示される場合において、学習者用システム10においては全身画像呈示モニタ5および内視鏡担持部画像呈示モニタ4が、学習者のトレーニング位置を中心としてカメラの方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合には、全身画像呈示モニタ5および内視鏡担持部画像呈示モニタ4には鏡像が表示され、また、学習者用システム10の全身画像呈示モニタ5および内視鏡担持部画像呈示モニタ4が、学習者のトレーニング位置を中心としてカメラと反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合には、全身画像呈示モニタ5および内視鏡担持部画像呈示モニタ4には正像が表示される。また、学習者用システムの全身画像呈示モニタ5および内視鏡担持部画像呈示モニタ4が、前記の方向と異なる方向に置かれた場合には、全身画像呈示モニタ5および内視鏡担持部画像呈示モニタ4には正像または鏡像が表示される。
【0031】
学習者用の全身画像呈示モニタ5および内視鏡担持部画像呈示モニタ4には、画像処理により、学習者と教師のそれぞれの全身画像、内視鏡担持部画像を重ね合わせて表示し、学習者内視鏡画像呈示モニタ2と学習者用の教師内視鏡画像呈示モニタ3には、それぞれ学習者の内視鏡画像と教師の内視鏡画像が表示され、また、教師内視鏡画像呈示モニタ102と教師用システム100の学習者内視鏡画像呈示モニタ103には、それぞれ教師の内視鏡画像と学習者の内視鏡画像が表示される。
【0032】
このように、画像処理により、学習者と教師のそれぞれの全身画像、内視鏡担持部画像を重ね合わせて表示することができるが、画像処理を行う前の教師の映像については、記録して画像ファイルとして記憶しておき、後に利用することができる。その記憶した画像ファイルを学習者の学習の状況に合わせて画像合成して、再生することにより、学習者は教師が不在の場合であっても、繰り返し訓練を行うことができる。
【0033】
図5は、予め撮影されて記憶された教師の画像を再生するシステム構成を説明する図である。図5において、52は教師内視鏡画像ファイル、54は教師内視鏡坦持部画像ファイル、55は教師全身画像ファイル、56は教師音声ファイル、61は動画像同期再生部、62はフットスイッチである。この画像再生システムにおいては、学習者は、両手は手術の訓練により使えない状態で画像ファイルを再生することが多いので、例えば、ペダルを踏む足の操作によって、フットスイッチ62を操作することにより、動画像同期再生部61を制御し、教師を撮影した訓練用の画像ファイル(52〜56)に対して、任意に画像の再生・一時停止など制御を行いながら学習を進めることができる。
【0034】
上述したように、学習者に呈示する画像は、全身画像呈示モニタ5および内視鏡担持部画像呈示モニタ4が、学習者のトレーニング位置を中心としてカメラの方向またはカメラの方向から±約60度内に置かれた場合、また、学習者のトレーニング位置を中心としてカメラと反対方向またはカメラと反対方向から±約60度内に置かれた場合、その他の場合のそれぞれに対応して、鏡像または正像を表示するように画像表示の制御を行うように構成されているが、これは、後述するように、次のような実験を行った結果から得られた知見に基づいて、学習者が効率的に学習効果を高めるようなシステムとして構成しているためである。図6は、カメラ、モニタ、作業ボード、被験者の位置関係を評価する実験を説明する図であり、カメラとモニタの位置関係の角度θが−30度(=330度)の時の例を説明する図である。図7は、実験結果のカメラとモニタのなす角度と作業時間を関係を示す図である。これらの図を参照して説明する。
【0035】
(カメラとモニタのなす角度と作業時間の関係)
実験としては、図6に示すように、カメラとモニタのなす角度θを変えて、次の作業を行う時間を計測する実験を行った。すなわち、本発明の手術用トレーニング装置に係る学習者に要求する学習の作業と同様な作業として、作業ボード上に重畳表示された折れ線の上を指で速く正確になぞる作業を行う時間を計測する実験を行った。実験の手順は次の通りである。
(1)カメラで作業ボードと被験者の上半身を撮影する。
(2)カメラからの映像と課題図形を重畳表示して、それを正像、鏡像の2種類でモニタに表示する。
(3)被験者がモニタを見ながら課題図形をなぞる時間を計測する。
(4)比較のため、作業ボードに課題と同じ図形を印刷した紙を張り、目視でそれをなぞる課題も実施する。
【0036】
このような実験を行った結果としては、図7に示すような結果が得られている。カメラとモニタのなす角度θと作業時間の関係は、図7に示すようなものとなっている。この実験の結果では、作業ボードはカメラの方を向いているため、角度θによってはなぞりにくい可能性があるが、目視でなぞる場合は、ほぼ20秒と一定していた。θ=0度±60度では鏡像表示が正像表示より有意に作業時間が短く、逆にθ=180度±60度では正像表示が鏡像表示より有意に作業時間が短かった。θ=90度と270度では、両者の間に有意な差異は認められなかった。このような実験結果から得られる知見に基づいて、上述したように手術用トレーニング装置のシステムを構成している。
【0037】
次に、このような手術用トレーニング装置を医療分野に適用したトレーニングシステムについて説明する。利用する場合の具体的な機材についても例示して説明する。
【0038】
(実施例1:内視鏡下鼻内手術手技の遠隔教示)
このシステムは、内視鏡下鼻内手術手技のための遠隔トレーニングシステムである。
【0039】
(1 模型)
学習者用模型1および教師用模型101は、内視鏡下鼻内手術手技の試行を行うのに十分な精度を持った患者モデルとする。例えば、特許文献2に記載の「人体模型」または特許文献6に記載の「人体模型及びその製造方法」における患者モデルが利用できる。学習者用模型1と教師用模型101は同一の形態の患者モデルとする。これにより、学習者は教師の手技の細部まで模倣することができ、技能を獲得できる。
【0040】
(2 機器の設置位置)
学習者用模型1、学習者を撮影するビデオカメラ12、14、15、学習者に画像を呈示するモニタ2、3、4、5、および学習者30の立ち位置の関係は、図1に示すように設置する。教師用模型101、教師を撮影するビデオカメラ112、114、115、教師に画像を呈示するモニタ102、103、104、105、および教師130の立ち位置の関係についても、図1に示す位置関係と同様に、図2に示すように設置する。
【0041】
(2-1 学習者と模型の位置関係)
実際の内視鏡下鼻内手術手技と同様に、学習者30は左肩を前にした半身で、学習者用模型1の左脇に立つ。
【0042】
(2-2 学習者に画像を呈示するモニタの設置位置)
学習者内視鏡画像モニタ2は、実際の内視鏡下鼻内手術手技と同様に、学習者用模型1の正中線上の学習者の見やすい位置に設置する。鼻腔内に手術器具が入っている間、学習者は学習者内視鏡画像呈示モニタ2を注視する必要がある。そこで学習者内視鏡画像呈示モニタ2の、左隣に内視鏡担持部画像呈示モニタ4を設置する。内視鏡担持部画像呈示モニタ4には、学習者と教師の内視鏡担持部画像をクロマキー技術により重ね合わせて表示する。これにより、学習者は学習者内視鏡画像モニタ2を視界に入れながら、学習者と教師の内視鏡担持部画像を比較できる。
【0043】
また、学習者内視鏡画像呈示モニタ2の、右隣に教師内視鏡画像呈示モニタ3を設置する。これにより、学習者は、学習者内視鏡画像と教師内視鏡画像を比較できる。
【0044】
正しい手技を行うために、正しい姿勢で手技を行うことが、不可欠である。そこで学習者と教師の全身画像を比較できるように、全身画像呈示モニタ5を、教師内視鏡画像呈示モニタ3のさらに右に設置し、学習者と教師の全身画像をクロマキー技術により重ね合わせて表示する。これにより、学習者は、学習者と教師の全身画像を比較できる。
【0045】
画像提示モニタの位置関係から、学習者は、学習者内視鏡画像呈示モニタ2を視界に入れながら、全身画像呈示モニタ5を見る事はできない。このことは、学習の妨げにならない。なぜなら、熟練者は、術中に姿勢を変えないので、学習者は必要に応じて要所で全身画像呈示モニタ5を用いて学習者と教師の全身画像を比較すればよい。
【0046】
(2-3 学習者を撮影するビデオカメラの設置位置)
学習者システム10における学習者内視鏡担持部撮影カメラ14は、内視鏡を担持する左手、鉗子類を操作する右手、および鼻腔付近のクローズアップ画像を撮影するため学習者用模型1の右前方に設置する。ここで、学習者内視鏡担持部撮影カメラ14を学習者用模型1の右前方に設置するのは、学習者用模型1の右側に設置すると鉗子類を操作する右手に隠れて、内視鏡を担持する左手が撮影できないからである。
【0047】
一般に学習者内視鏡担持部撮影カメラ14は、学習する手術手技に応じて、最も学習者と教師の手技の比較が容易になる位置に設置する。必要に応じて複数の学習者内視鏡担持部撮影カメラ14を設置する。学習者全身画像撮影カメラ15は、学習者30の全身を撮影するように模型の右側に設置する。
【0048】
(2-4 教師と模型、ビデオカメラ、画像呈示モニタの位置関係)
教師130と教師用模型101、教師を撮影するビデオカメラ114、115、教師に画像を呈示するモニタ102、103、104、105の相対位置は、学習者30と学習者用模型1、学習者を撮影するビデオカメラ14、15、学習者に画像を呈示するモニタ2、3、4、5の相対位置と同じにする。
【0049】
(3 内視鏡担持部画像および全身画像の合成方法)
内視鏡担持部画像および全身画像の合成方法については、図3および図4を参照して説明する。
【0050】
(3-1 内視鏡担持部画像合成方法)
学習者内視鏡担持部撮影カメラ14および教師内視鏡担持部撮影カメラ114で撮影された画像は、内視鏡担持部画像合成部44または144で、クロマキー技術を用いて合成する。合成は、合成後の画像において学習者および教師の内視鏡担持部が見えるように、両者の内視鏡担持部が重ならないように行う。合成した画像は、内視鏡担持部画像呈示モニタ4、104で学習者および教師に呈示する。
【0051】
(3-2 全身画像合成方法)
学習者全身画像撮影カメラ15および教師全身画像撮影カメラ115で撮影された画像は、全身画像合成・左右反転部45および145で、クロマキー技術を用いて合成するとともに左右反転し鏡像とする。画像の合成は、合成後の画像において学習者および教師が見えるように、両者が重ならないように行う。合成・左右反転した画像は、全身画像呈示モニタ5、105で学習者および教師に呈示する。
【0052】
画像を反転することにより、全身画像呈示モニタ5、105に呈示される学習者および教師の像は、学習者30および教師130から見て鏡に写る自己像と同様な鏡像となり、自己像の認識および姿勢の修正が容易となる。
【0053】
(4 マイクロフォンとスピーカの設置)
学習者用システム10に、学習者用マイクロフォン21、学習者用スピーカ22を設置する。教師用システム100に、教師用マイクロフォン121、教師用スピーカ122を設置する。学習者の発話を、学習者用マイクロフォン21および教師用スピーカ122を介して教師に呈示する。教師の発話を、教師用マイクロフォン121および学習者用スピーカ22を介して学習者に呈示する。これにより学習者と教師の音声による対話を可能にする。
【0054】
(実施例2: 内視鏡下鼻内手術手技の自習システム)
内視鏡下鼻内手術手技のための自習トレーニングシステムである。
【0055】
(1 教示ビデオの作成方法)
教師用システム100(図2)において教師が実施した学習者に対して呈示した模範となる教師の模範手術手技を、教師用内視鏡12、教師内視鏡担持部撮影カメラ14、教師全身画像撮影カメラ15用いて撮影し、それぞれ教師内視鏡画像ファイル52、教師内視鏡担持部画像ファイル54、教師全身画像ファイル55に記録する。また教師用マイクロフォン121を用いて教師による解説を、教師音声ファイル56に記録する。
【0056】
(2 教示ビデオの再生方法(図5)と自習トレーニングの方法)
教師内視鏡画像ファイル52、教師内視鏡担持部画像ファイル54、教師全身画像ファイル55および教師音声ファイル56に記録された画像と音声を、動画像同期再生部61にて、時間のずれが生じないように同期して再生する。再生した画像と音声を、それぞれ教師用内視鏡カメラ112、教師内視鏡担持部撮影カメラ114、教師全身画像撮影カメラ115で撮影した画像および教師用マイクロフォン121による音声の代わりに用いて、学習者用システム10(図3)の内視鏡画像合成部44、全身画像合成・左右反転部45による画像合成を経て、教師内視鏡画像呈示モニタ3、内視鏡担持部画像呈示モニタ4、全身画像呈示モニタ5により呈示する。また、学習者用スピーカ22にても、学習者30に呈示する。これにより、学習者30は、学習者30の手技と教示ビデオの模範手技を容易に比較することができ、技能の獲得が促進される。
【0057】
動画像同期再生部61は、学習者30が操作するフットスイッチ62に応じて、再生、一時停止、早送り、巻き戻しの再生制御を行う。
【0058】
(実施例3: 内視鏡手術手技の模型を用いた遠隔指示)
内視鏡下鼻内手術において、遠隔地の指導医からの手術室の執刀医への指示を可能にするシステムである。非常に稀な症例等では経験が豊富な医師の絶対数が少なく、手術現場に立ち会うことが不可能な場合がある。このとき本システムを用いて遠隔地の経験ある医師から手術室の執刀医に指示を与えることにより、手術の安全性を向上できる。
【0059】
(1 手術室用システム)
学習者用システム10(図1)を手術室に構成する。ただし、学習者用模型1の位置に患者が位置するように手術台を設置し、手術室用システムとする。
【0060】
(2 遠隔地用システム)
教師用システム100(図2)を構成し、教師用模型101として手術を受ける患者の解剖学的特徴を十分に反映した個別患者模型を設置し、遠隔地用システムとする。
【0061】
(3 遠隔地の指導医からの模型を用いた指示)
遠隔地の指導医は、個別患者模型を用いて模範手術手技を行い、また手術部位を指し示す等を行い、手術室の執刀医に具体的に指示を与える。手術室の執刀医は、学習者内視鏡画像呈示モニタ2、教師内視鏡画像呈示モニタ3、内視鏡担持部画像呈示モニタ4、全身画像呈示モニタ5の画像を用いて、遠隔地の指導医の指示を確認する。遠隔地の指導医は、学習者内視鏡画像呈示モニタ103、内視鏡担持部画像呈示モニタ104、全身画像呈示モニタ105の画像を用いて、手術室の執刀医の手技を監視する。
【0062】
(実施例4: 手術手技の遠隔指示)
内視鏡を用いない一般の手術手技において、遠隔地の指導医から手術室の執刀医への指示を可能にするシステムである。
【0063】
(1 手術室用システム)
学習者用システム10(図1)を手術室に構成し、ただし、学習者用模型1の位置に患者が位置するように手術台を設置し、学習者用内視鏡12および学習者内視鏡画像呈示モニタ2、教師内視鏡画像呈示モニタ3を除き、手術室用システムとする。
【0064】
このとき、学習者内視鏡担持部撮影カメラ14は、手術室の執刀医の手元および術野を撮影できるように設置する。一般に学習者内視鏡担持部撮影カメラ14は、手術手技の認識が容易になる位置に設置する。また、必要に応じて複数のカメラを設置する。
【0065】
(2 遠隔地用システム)
教師用システム100(図2)から、教師用模型101、教師用内視鏡112、教師内視鏡モニタ102、学習者内視鏡モニタ103を除き、遠隔地用システムとする。
【0066】
(3 遠隔地の指導医から手術室の執刀医へ指示を行う方法)
内視鏡担持部画像呈示モニタ4、104には、学習者内視鏡担持部撮影カメラ14で撮影された手術室の執刀医の手元および術野画像と、教師内視鏡担持部カメラ114で撮影された遠隔地の指導医の手元画像を、クロマキー技術等により合成表示する。
【0067】
遠隔地の指導医は、内視鏡担持部画像呈示モニタ104に呈示される術野を指差して、手術室の執刀医に指示する。手術室の執刀医は、画像呈示モニタ4、5の画像から遠隔地の指導医の指示を確認する。
【0068】
遠隔地の指導医は、内視鏡担持部画像呈示モニタ104、全身画像呈示モニタ105の画像を用いて、手術室の執刀医の手技を監視する。
【0069】
(実施例5: 手術手技の評価)
手術手技の評価を可能にするシステムである。手術手技の技能検定は、医療事故を減らす手段として重要である。内視鏡手術の評価では、内視鏡画面のビデオ記録が評価の対象として用いられる。その評価結果は評価者間のばらつきが大きく問題がある。一方、評価者が手術室に入って評価をする方法では、評価者間の差が小さいことが知られているが、評価者が被評価者の手術現場に出向くことは現実的でない。そこで、本システムは、内視鏡画面に加えて内視鏡担持部等の映像を記録し、より多くの情報を評価者に呈示することにより、精度の高い評価を可能とする。
【0070】
(1 評価ビデオの作成方法)
実施例2の教示ビデオの作成と同様に、模型を対象として被評価者の手術手技を記録する。ここで患者を対象とした手術手技を記録してもよく、その場合には実施例3の手術室用システムを用いて、評価ビデオを記録する。
【0071】
(2 評価の方法)
実施例2の再生方法と同様に、評価ビデオの再生を行う。評価者は、教師内視鏡画像呈示モニタ3、内視鏡担持部画像呈示モニタ4、全身画像呈示モニタ5、学習者用スピーカ22にて、被評価者の手術手技を評価する。このとき学習者内視鏡画像呈示モニタ2および模型は省略可能である。
【0072】
ここでは、ビデオ記録を用いた評価方法を示したが、実施例1の学習者用システムに被評価者、教師用システムに評価者を配置すれば、リアルタイムで遠隔地から評価を行うことができる。
【0073】
学習者用模型1および教師用模型101に代えて、加工対象または作業対象となる現物またはその代替品を用いることにより、手術手技以外の技能トレーニング及び遠隔指示に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】学習者を撮影するカメラ、学習者に映像を呈示するモニタの設置方法を説明する図である。
【図2】教師を撮影するカメラ、教師に映像を呈示するモニタの設置方法を説明する図である。
【図3】学習者に呈示する映像の合成方法を説明する図である。
【図4】教師に呈示する映像の合成方法を説明する図である。
【図5】予め撮影されて記憶された教師の画像を再生する方法を説明する図である。
【図6】カメラ、モニタ、作業ボード、被験者の位置関係を評価する実験を説明する図である。
【図7】実験結果のカメラとモニタのなす角度と作業時間を関係を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1 学習者用模型
2 学習者内視鏡画像呈示モニタ
3 教師内視鏡画像呈示モニタ
4 内視鏡担持部画像呈示モニタ
5 全身画像呈示モニタ
10 学習者用システム
12 学習者用内視鏡
14 学習者内視鏡担持部撮影カメラ
15 学習者全身画像撮影カメラ
21 学習者用マイクロフォン
22 学習者用スピーカ
30 学習者
44 内視鏡担持部画像合成部
45 全身画像合成・左右反転部
52 教師内視鏡画像ファイル
54 教師内視鏡坦持部画像ファイル
55 教師全身画像ファイル
56 教師音声ファイル
61 動画像同期再生部
62 フットスイッチ
100 教師用システム
101 教師用模型
102 教師内視鏡画像呈示モニタ
103 学習者内視鏡画像呈示モニタ
104 内視鏡担持部画像呈示モニタ
105 全身画像呈示モニタ
112 教師用内視鏡
114 教師内視鏡担持部撮影カメラ
115 教師全身画像撮影カメラ
121 教師用マイクロフォン
122 教師用スピーカ
130 教師
144 内視鏡担持部画像合成部
145 全身画像合成・左右反転部

【出願人】 【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
【出願日】 平成18年8月29日(2006.8.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−58364(P2008−58364A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−231784(P2006−231784)