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【発明の名称】 異常監視装置
【発明者】 【氏名】橋本 良仁

【氏名】姫澤 秀和

【要約】 【課題】異常の前兆の検出を可能にし、かつ対象信号の一時的な乱れを検査対象の異常と誤判断するのを防止可能にする。

【解決手段】信号入力部2は、機器Xの動作により生じる対象信号を取り込む。対象信号の特徴を表す特徴ベクトルを特徴抽出部3で抽出する。カテゴリ分類部1は、特徴抽出部3により抽出した特徴ベクトルを入力データとする競合学習型ニューラルネットワークを用いて構成される。乖離度演算部4は、カテゴリ分類部1における出力層のニューロンに設定された重みベクトルと機器Xの動作により得られた特徴ベクトルとの差分ベクトルの大きさを乖離度として求める。乖離度演算部4で求めた乖離度の履歴が履歴記録部5に記録され、判別部6は、乖離度の履歴において変化率が規定値以上かつ継続時間に達すると機器Xの動作状態に異常の前兆があると判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の動作を反映する電気信号を対象信号として取り込む信号入力部と、対象信号の特徴を表す特徴ベクトルを抽出する特徴抽出部と、特徴抽出部により抽出した特徴ベクトルを入力データとし学習データを用いてあらかじめ学習することにより出力層の各ニューロンに学習データのカテゴリに対応した重みベクトルが設定される競合学習型ニューラルネットワークからなるカテゴリ分類部と、カテゴリ分類部における出力層のニューロンに設定された重みベクトルと検査対象の動作により得られた特徴ベクトルとの差分ベクトルの大きさを乖離度として求める乖離度演算部と、乖離度の履歴を記録する履歴記録部と、履歴記録部に記録された乖離度の履歴の変化パターンを用いて検査対象の異常傾向を検出する判別部とを備えることを特徴とする異常監視装置。
【請求項2】
前記判別部は、前記履歴記録部に記録された乖離度の変化率が規定値以上であり、かつ乖離度の変化率が前記規定値以上である時間が規定の持続時間に達すると検査対象に異常傾向があると判断することを特徴とする請求項1記載の異常監視装置。
【請求項3】
前記競合学習型ニューラルネットワークは、前記検査対象が正常に動作しているときに各対象信号について得られた特徴ベクトルを学習データとし、各対象信号をそれぞれ1つのカテゴリとして学習されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の異常監視装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象の動作を反映した電気信号を競合学習型ニューラルネットワークにより分類することで、検査対象の動作の異常の有無を判定する異常監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ニューラルネットワーク(ニューロコンピュータ)の分類機能を利用することにより、検査対象から得られる対象信号を分類する技術が知られている。この種の技術は、音声の認識や機器が正常に動作しているか機器に異常が生じているかを判定する異常監視装置などに用いられている。たとえば、この種の技術を採用した異常監視装置では、機器の動作音や機器の振動をセンサ部(トランスデューサ)により電気信号に変換してセンサ部の出力を対象信号に用い、対象信号の特徴を表す複数の要素からなる特徴ベクトルを抽出し、この特徴ベクトルをニューラルネットワークで分類する技術が種々提案されている。
【0003】
ニューラルネットワークには種々の構成が知られており、たとえば、競合学習型ニューラルネットワーク(自己組織化マップ=SOM)を用いて特徴ベクトルのカテゴリを分類することが提案されている。競合学習型ニューラルネットワークは、入力層と出力層との2層からなるニューラルネットワークであり、学習モードと検査モードとの2動作を行う。
【0004】
学習モードでは、教師信号を用いずに学習データを与える。学習データにカテゴリを与えておけば、出力層のニューロンにカテゴリを対応付けることができ、同種のカテゴリに属するニューロンからなるクラスタを形成することができる。したがって、学習モードでは、出力層のニューロンのクラスタにカテゴリを示すクラスタリングマップを対応付けることができる。
【0005】
検査モードでは、分類しようとする特徴ベクトル(入力データ)を学習済みの競合学習型ニューラルネットワークに与え、クラスタリングマップにおいて発火したニューロンが属するクラスタのカテゴリをクラスタリングマップに照合することによって、入力データのカテゴリを分類することができる(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−354111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載された構成では、対象信号のカテゴリとして検査対象の動作状態が正常か異常かのカテゴリを設定しておくことにより、検査対象の正常・異常の判断が可能であるが、検査対象から取り込んだ対象信号ごとのカテゴリを出力する構成であるから、検査対象の動作状態が異常になった後にしか異常を検出することができない。つまり、異常の前兆を知ることができないという問題がある。また、外来ノイズや検査対象の動作の変動などにより対象信号が一時的に乱れた場合であっても、検査対象の動作状態が異常と判断されることがある。
【0007】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、検査対象から得られる対象信号の変化傾向を検出することにより、異常の前兆の検出を可能にし、また対象信号の一時的な乱れを検査対象の異常と誤判断するのを防止可能にした異常監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、検査対象の動作を反映する電気信号を対象信号として取り込む信号入力部と、対象信号の特徴を表す特徴ベクトルを抽出する特徴抽出部と、特徴抽出部により抽出した特徴ベクトルを入力データとし学習データを用いてあらかじめ学習することにより出力層の各ニューロンに学習データのカテゴリに対応した重みベクトルが設定される競合学習型ニューラルネットワークからなるカテゴリ分類部と、カテゴリ分類部における出力層のニューロンに設定された重みベクトルと検査対象の動作により得られた特徴ベクトルとの差分ベクトルの大きさを乖離度として求める乖離度演算部と、乖離度の履歴を記録する履歴記録部と、履歴記録部に記録された乖離度の履歴の変化パターンを用いて検査対象の異常傾向を検出する判別部とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記判別部は、前記履歴記録部に記録された乖離度の変化率が規定値以上であり、かつ乖離度の変化率が前記規定値以上である時間が規定の持続時間に達すると検査対象に異常傾向があると判断することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明では、請求項1または請求項2の発明において、前記競合学習型ニューラルネットワークは、前記検査対象が正常に動作しているときに各対象信号について得られた特徴ベクトルを学習データとし、各対象信号をそれぞれ1つのカテゴリとして学習されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明の構成によれば、対象信号の特徴を表す特徴ベクトルとカテゴリ分類部の特定のカテゴリのニューロンに設定された重みベクトルとの差分ベクトルの大きさに相当する乖離度に関して、履歴の変化パターンを用いて検査対象の異常傾向を判断するから、対象信号から得られた特徴ベクトルのカテゴリがカテゴリ分類部において異常のカテゴリに分類される前に、異常の前兆を検出することが可能になる。また、履歴の変化パターンにより異常傾向を検出するから、外来ノイズや検査対象の動作の変動などによる対象信号の一時的な乱れを異常傾向から除外することが可能であり、対象信号の一時的な乱れにより検査対象の異常と誤判断するのを防止することが可能になる。
【0012】
請求項2の発明の構成によれば、乖離度の変化率が規定値以上であるとき、つまり乖離度が増加傾向であって増加率が大きいときには、検査対象に異常傾向の可能性があると判断する。ただし、乖離度の変化率が規定値以上である状態が継続していないときには、一時的な乱れとみなし異常傾向と誤検出するのを防止することができる。要するに、対象信号の一時的な変動を検査対象の異常と誤認することなく検査対象の異常傾向、つまり異常の前兆を検出することが可能になる。
【0013】
請求項3の発明の構成によれば、学習データとして検査対象が正常に動作している場合の特徴ベクトルを用いるから、カテゴリ分類部としての競合学習型ニューラルネットワークには、検査対象の動作状態が正常であるときのカテゴリが設定される。つまり、検査対象が正常に動作している期間には、対象信号の種類にかかわらず乖離度は略0になるから、対象信号の種類とは関係なく0を基準にして異常傾向を検出することが可能になり、検査対象や信号入力部の構成によらず、判別部の判断基準の調節が不要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に説明する実施形態では、検査対象の動作によって生じる対象信号の特徴ベクトルにより、検査対象の動作が正常か異常かを判別する異常監視装置に本発明の技術を採用する例を示す。また、検査対象としてはモータのような動力源を備える設備機器を想定するが、検査対象の種類はとくに問わない。
【0015】
本実施形態で説明する異常監視装置は、図1に示すように、教師なしの競合学習型ニューラルネットワーク(以下、単に「ニューラルネット」と呼ぶ)からなるカテゴリ分類部1を用いている。カテゴリ分類部1としてのニューラルネットは、図2に示すように、それぞれ入力層11と出力層12との2層からなり、出力層12の各ニューロンN2が入力層11のすべてのニューロンN1とそれぞれ結合された構成を有している。カテゴリ分類部1としてのニューラルネットは、逐次処理型のコンピュータで適宜のアプリケーションプログラムを実行することにより実現する場合を想定しているが、専用のニューロコンピュータを用いることも可能である。
【0016】
カテゴリ分類部1としてのニューラルネットの動作には、学習モードと検査モードとがあり、学習モードにおいて適宜の学習データを用いて学習した後に、検査モードにおいて実際の対象信号から生成した複数の要素からなる特徴ベクトル(入力データ)のカテゴリを分類する。
【0017】
入力層11のニューロンN1と出力層12のニューロンN2との結合度(重み係数)は可変であり、学習モードにおいて、学習データをカテゴリ分類部1に入力することによりカテゴリ分類部1を学習させ、入力層11の各ニューロンN1と出力層12の各ニューロンN2との重み係数を決める。言い換えると、出力層12の各ニューロンN2には、入力層11の各ニューロンN1との間の重み係数を要素とする重みベクトルが対応付けられる。したがって、重みベクトルは入力層11のニューロンN1と同数の要素を持ち、入力層11に入力される特徴ベクトルの要素の個数と重みベクトルの要素の個数とは一致する。
【0018】
一方、検査モードでは、カテゴリを判定すべき入力データを学習済みのカテゴリ分類部1の入力層11に与えると、出力層12のニューロンN2のうち、重みベクトルと入力データとのユークリッド距離が最小であるニューロンN2が発火する。学習モードにおいて出力層12のニューロンN2にカテゴリが対応付けられていれば、発火したニューロンN2の位置のカテゴリによって入力データのカテゴリを知ることができる。
【0019】
カテゴリ分類部1であるニューラルネットにおける出力層12の各ニューロンN2には後述する手順でカテゴリを対応付ける。また、本実施形態では、カテゴリ分類部1で分類すべきカテゴリは正常と異常との2種類としており、学習モードにおいて正常のカテゴリの学習データのみを入力する。つまり、検査モードにおいて与えられた入力データがカテゴリ分類部1に設定された正常のカテゴリに属さないときには、入力データは異常とみなされる。
【0020】
出力層12の各ニューロンN2のカテゴリには、学習データのカテゴリが反映され、多数個(たとえば、150個)の学習データを与えると、カテゴリ分類部1における出力層12のニューロンN2のうち学習データのカテゴリに対応するニューロンN2に、学習データとのユークリッド距離の小さい重みベクトルが設定される。つまり、学習後に当該学習データを与えることによって、このニューロンN2が発火する。学習モードでカテゴリ分類部1に与えられる学習データは学習データ記憶部7に格納されており、必要に応じて学習データ記憶部7から読み出されてカテゴリ分類部1に与えられる。
【0021】
ところで、カテゴリ分類部1により分類する対象信号は、設備機器(以下、単に「機器」という)Xの動作に伴って得られる電気信号であって、たとえば、機器Xの動作時に生じる振動を検出する振動センサからなる信号入力部2の出力を用いる。
【0022】
ただし、信号入力部2の構成は機器Xの種類に応じて適宜に選択することができ、機器Xの動作音を検出するマイクロホン、TVカメラ、匂いセンサなどの各種のセンサを単独または組み合わせて用いることができる。あるいはまた、機器Xが発生する信号を取り出して対象信号に用いることも可能である。
【0023】
信号入力部2で得られた電気信号である対象信号は、特徴抽出部3に与えられ対象信号の特徴を表す特徴ベクトルが抽出される。特徴ベクトルは、機器Xが動作している期間の対象信号から抽出する必要があるから、機器Xの動作に同期したタイミング信号(トリガ信号)を用いたり、対象信号の波形の特徴(たとえば、ひとまとまりの対象信号の開始点と終了点)を用いたりすることによって、信号入力部2の出力から対象信号の切り出し(セグメンテーション)を行うタイミングを決める。機器Xから出力される対象信号は周期性を有しているものとし、セグメンテーションでは周期毎に分割し、周期毎の特徴ベクトルを抽出する。また、特徴抽出部3では、必要に応じて周波数帯域を制限するなどして、ノイズを低減させる前処理を行う。さらに、特徴抽出部3は対象信号をデジタル信号に変換する機能も備える。
【0024】
説明を簡単にするために、ここでは、セグメンテーションを行った後の対象信号から複数の周波数成分(周波数帯域ごとのパワー)を抽出し、各周波数成分を要素としたベクトルを特徴ベクトルに用いるものとする。周波数成分の抽出には、FFT(高速フーリエ変換)の技術、あるいは多数個のバンドパスフィルタからなるフィルタバンクを用いる。どの周波数のパワーを特徴ベクトルの要素に用いるかは、対象とする機器Xや抽出しようとする異常に応じて適宜に選択される。
【0025】
特徴抽出部3から周期毎に得られた特徴ベクトルは、特徴ベクトルの抽出のたびにカテゴリ分類部1に与えられる。また、特徴ベクトルは学習データとしても用いるために学習データ記憶部7にも格納される。学習データ記憶部7は、たとえば150個の特徴ベクトルを学習データとして保持する容量を有している。
【0026】
ここでは、学習データ記憶部7に格納されているデータの集合をデータセットと呼び、データセットを構成している各データはそれぞれ特定のカテゴリ(つまり、正常のカテゴリ)に対応付けられているものとする。
【0027】
ニューラルネットからなるカテゴリ分類部1を使用可能とするには、まずカテゴリ分類部1を学習モードとし、学習データ記憶部7に格納されている学習データを用いてカテゴリ分類部1の学習を行う。カテゴリ分類部1の学習を行うと、カテゴリ分類部1の出力層12における各ニューロンN2にはそれぞれ重みベクトルが設定される。
【0028】
カテゴリ分類部1における出力層12の各ニューロンN2に重みベクトルが設定された後、ニューラルネットからなるカテゴリ分類部1を検査モードとして学習データを再入力すると、学習データのカテゴリに応じたニューロンN2が発火する。発火するニューロンN2は、重みベクトルと入力データとのユークリッド距離が最小であるニューロンN2であるから、学習済みのカテゴリ分類部1に各対象信号の特徴ベクトルを与えて重みベクトルとのユークリッド距離(差分ベクトルの大きさ)に相当する評価値を求めると、各カテゴリへの帰属度を評価することができる。
【0029】
この評価値としては、乖離度を用いる。乖離度は重みベクトルと特徴ベクトルとの差分ベクトルの大きさを正規化した値であり、特徴ベクトルを[X]、カテゴリに対応付けたニューロンN2の重みベクトルを[Wwin]とすれば([a]はaがベクトルであることを意味している)、乖離度Yは次式で定義される。
Y=([X]/X−[Wwin]/Wwin)([X]/X−[Wwin]/Wwin)
ここにTは転置を表し、角付き括弧を付与していないX,Wwinは各ベクトルのノルムを表す。各ベクトルの要素をノルムで除算していることにより正規化される。
【0030】
乖離度は、カテゴリ分類部1に設定された重みベクトルとカテゴリ分類部1への入力データ(特徴ベクトル)とを用いて乖離度演算部4において求める。乖離度の適宜から明らかなように、機器Xが正常に動作している状態で対象信号が正常であるとすれば乖離度は略0になる。乖離度演算部4で求めた乖離度は、履歴記録部5に記録される。履歴記録部5はFIFO(先入れ先出し)の記憶部であって、セグメンテーションを行った対象信号ごとの乖離度が求められるたびに乖離度を記録し一定個数の乖離度を格納する。
【0031】
乖離度記録部5に格納された乖離度は、機器Xが正常に動作していれば図3の領域d1に示すように略0になるが、機器Xの動作が正常状態から異常状態の前兆が現れ始めると、図3の領域d2に示すように乖離度が次第に増加する。つまり、乖離度が0である状態を基準にして乖離度の変化パターンを検出すると、機器Xの動作状態の変化を検出することができる。
【0032】
ここで、対象信号の振幅のような単一の情報を用いることによっても機器Xの動作状態をある程度は検出することができるが、情報量が少ないから動作状態の検出精度は高くなく、一方、特徴ベクトルのような情報を用いると情報量が多いから動作状態の検出精度は高くなるが、個々の情報ごとに判定基準を設定しなければならないから、判定基準の設定が困難である。このような問題に対して、特徴ベクトルから得られる多数の情報を乖離度という0を基準に持つ単一の情報に集約し、この乖離度の変化パターンを用いて機器Xの動作状態の変化を判定するから、動作状態の変化を高精度に検出しながらも判定基準の設定が容易になる。
【0033】
乖離度の変化パターンによる動作状態の判定は判別部6において行う。判別部6では、乖離度が規定の閾値以上であって、乖離度の変化率が規定値以上(傾きが規定値以上)であるときに機器Xの動作状態に異常の前兆があるか異常が生じていると判断する。ただし、機器Xの動作状態には異常がなくとも外来ノイズや機器Xの動作の変動によって、図3の領域d3のように、単発的に乖離度の変化率が規定した閾値以上になる場合もあるから、乖離度の変化率が閾値以上である期間が規定した持続時間Tcに達しない場合には、機器Xの動作状態の異常ではないと判定する。
【0034】
時間経過に伴う乖離度の変化パターンによって機器Xの動作状態を判定するには、上述のように、乖離度が閾値以上かつ変化率が規定値以上である状態が規定した継続時間Tcに達したときに異常の前兆または異常が生じていると判断するのが望ましく、乖離度が閾値以上であれば異常が生じていると判断することも可能である。ただし、機器Xの動作状態の異常ではなく異常の前兆を検出すればよい場合には、機器Xの動作状態が正常であれば乖離度が略0であることに鑑み、閾値を設定せずに乖離度の変化率と時間Tcとによって異常の前兆があると判定するようにしてもよい。また、乖離度の変化パターンが不安定であって変化率が規定値以上である状態が規定した継続時間Tcには達しないが、短時間の間に変化率が規定値以上になる状態を繰り返す場合を異常の前兆とする判定基準を付加してもよい。このように、乖離度の変化パターンのどの部分に着目するかは適宜に選択可能である。
【0035】
なお、上述の動作例では、機器Xから1種類の信号を対象信号として検出しているが、機器Xの複数箇所から対象信号を取り込んだり、機器Xの1箇所から複数種類の対象信号を取り込んだりすることも可能であって、この場合には複数種類の対象信号から得られた各特徴ベクトルについての乖離度を求め、各特徴ベクトルの乖離度について、上述の判定を行えば、複数種類の対象信号の情報を組み合わせることにより、さらに高い精度で異常の前兆を検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上に用いるニューラルネットの概略構成図である。
【図3】同上に用いる判別部の原理を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 カテゴリ分類部
2 信号入力部
3 特徴抽出部
4 乖離度演算部
5 履歴記録部
6 判別部
7 学習データ記憶部
11 入力層
12 出力層
N1 ニューロン
N2 ニューロン
X 機器
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年10月12日(2006.10.12)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−97361(P2008−97361A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−278977(P2006−278977)