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【発明の名称】 信号識別方法、信号識別装置及び信号識別システム
【発明者】 【氏名】橋本 良仁

【要約】 【課題】保存データに障害が発生した場合に、外部記憶装置を設けることなく、保存データの少なくとも一部を復元する。

【構成】信号識別装置1a〜1dごとに、分割データ作成部5が学習データを3個の分割データに分割し、それぞれが互いに異なる組み合わせとなる3対の分割データを作成する。データ記憶部4が自己の学習データを学習データ記憶部40に記憶し、他の信号識別装置で作成された合計3対の分割データをバックアップデータ記憶部41,42に記憶する。信号識別装置1a,1dにおいて保存データに障害が発生した場合、信号識別装置1b,1cの通信部6が信号識別装置1a,1dに分割データを送信する。信号識別装置1aの通信部6が分割データを受信し、データ記憶部4が自己の学習データを復元して学習データ記憶部40に記憶し、他の分割データをバックアップデータ記憶部41,42に記憶する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習データを競合学習型ニューラルネットワークに入力して、検査対象物の状態を表す複数のカテゴリが設定されたクラスタリングマップを作成するマップ作成手段と、前記検査対象物の状態に基づく検査データを前記クラスタリングマップに入力し、前記検査データが前記複数のカテゴリのいずれに属するかを判定する判定手段とを備える信号識別装置をa(a≧4)台用いる信号識別方法であって、
前記信号識別装置ごとに自己の前記学習データを(a−1)個の分割データに分割し、前記(a−1)個の分割データをそれぞれ2度用いて、それぞれが互いに異なる組み合わせとなる(a−1)対の分割データを作成し、前記(a−1)対の分割データの中から互いに異なる1対の分割データを他の信号識別装置のそれぞれに送信するとともに、前記他の信号識別装置のそれぞれで作成された分割データを1対ずつ当該他の信号識別装置のそれぞれから受信し、その後、前記信号識別装置ごとに前記自己の学習データを構成する(a−1)個の分割データと、前記他の信号識別装置のそれぞれで作成された1対ずつの分割データとを保存データとして記憶した後、前記a台の信号識別装置のうち少なくとも1台の信号識別装置において前記保存データに障害が発生した場合、当該障害が発生した保存データに含まれる分割データを、障害が発生していない信号識別装置から当該障害が発生した信号識別装置に送信し、前記障害が発生した信号識別装置で受信した分割データを記憶して前記保存データの少なくとも一部を復元することを特徴とする信号識別方法。
【請求項2】
学習データを競合学習型ニューラルネットワークに入力して、検査対象物の状態を表す複数のカテゴリが設定されたクラスタリングマップを作成するマップ作成手段と、前記検査対象物の状態に基づく検査データを前記クラスタリングマップに入力し、前記検査データが前記複数のカテゴリのいずれに属するかを判定する判定手段とを備え、b(b≧3)台の他の信号識別装置とともに用いられる信号識別装置であって、
前記学習データをb個の分割データに分割し、前記b個の分割データをそれぞれ2度用いて、それぞれが互いに異なる組み合わせとなるb対の分割データを作成する分割データ作成手段と、
前記b対の分割データの中から互いに異なる1対の分割データを前記他の信号識別装置のそれぞれに送信し、前記他の信号識別装置のそれぞれで作成された分割データを1対ずつ当該他の信号識別装置のそれぞれから受信する通信手段と、
前記通信手段で受信された前記他の信号識別装置のそれぞれからの1対ずつの分割データと、前記学習データを構成するb個の分割データとを保存データとして記憶する記憶手段と
を備え、
前記他の信号識別装置のうち少なくとも1台の信号識別装置において保存データに障害が発生した場合に、前記通信手段が、前記記憶手段に記憶され当該障害が発生した保存データに含まれる分割データを、当該障害が発生した信号識別装置に送信し、
自己の保存データに障害が発生した場合に、前記通信手段が、当該自己の保存データに含まれる分割データを、障害が発生していない他の信号識別装置から受信し、前記記憶手段が、受信した分割データを記憶して前記保存データの少なくとも一部を復元する
ことを特徴とする信号識別装置。
【請求項3】
請求項2記載の信号識別装置を4台以上備えることを特徴とする信号識別システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の状態を識別する信号識別方法、信号識別装置及び信号識別システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象物の状態を識別する信号識別装置として、検査対象物が異常状態となった場合に競合学習型ニューラルネットワークを用いて検査対象物が異常状態であることを識別する物体検査装置が特許文献1に開示されている。特許文献1の物体検査装置は、実際の検査で測定されるすべてのカテゴリの測定データから特徴量を抽出し、複数の特徴量からなる学習用データセットを作成し、上記学習用データセットを教師なし競合学習型ニューラルネットワークに入力してクラスタリングマップを作成する。この特許文献1の物体検査装置には、上記すべてのカテゴリの測定データを保存データとして記憶するための学習データ記憶部が備えられている。また、複数の検査対象物の状態を同時に識別する場合には、上記特許文献1の物体検査装置が複数台用いられる。
【特許文献1】特開2004−354111号公報(段落0041,0042及び第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の物体検査装置には、他の物体検査装置とともに用いられている場合に、学習データ記憶部に記憶されている保存データに障害が発生しても、この保存データを全く復元することができないという問題があった。学習データ記憶部に記憶されていた保存データを一部でも復元することができれば、復元した保存データを基にして再度学習させることもできる。これに対して、保存データを全く復元することができない場合、保存データとして、すべてのカテゴリの測定データを再度作成しなければならない。
【0004】
上記問題を解決する手段として、この物体検査装置に外部記憶装置を接続し、この外部記憶装置に保存データをバックアップさせることが考えられるが、外部記憶装置を設けることによって、コストが高くなるとともに大型になるという新たな問題が発生する。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、保存データに障害が発生した場合に、外部記憶装置を設けることなく、保存データの少なくとも一部を復元することができる信号識別方法、信号識別装置及び信号識別システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る信号識別方法の発明は、学習データを競合学習型ニューラルネットワークに入力して、検査対象物の状態を表す複数のカテゴリが設定されたクラスタリングマップを作成するマップ作成手段と、前記検査対象物の状態に基づく検査データを前記クラスタリングマップに入力し、前記検査データが前記複数のカテゴリのいずれに属するかを判定する判定手段とを備える信号識別装置をa(a≧4)台用いる信号識別方法であって、前記信号識別装置ごとに自己の前記学習データを(a−1)個の分割データに分割し、前記(a−1)個の分割データをそれぞれ2度用いて、それぞれが互いに異なる組み合わせとなる(a−1)対の分割データを作成し、前記(a−1)対の分割データの中から互いに異なる1対の分割データを他の信号識別装置のそれぞれに送信するとともに、前記他の信号識別装置のそれぞれで作成された分割データを1対ずつ当該他の信号識別装置のそれぞれから受信し、その後、前記信号識別装置ごとに前記自己の学習データを構成する(a−1)個の分割データと、前記他の信号識別装置のそれぞれで作成された1対ずつの分割データとを保存データとして記憶した後、前記a台の信号識別装置のうち少なくとも1台の信号識別装置において前記保存データに障害が発生した場合、当該障害が発生した保存データに含まれる分割データを、障害が発生していない信号識別装置から当該障害が発生した信号識別装置に送信し、前記障害が発生した信号識別装置で受信した分割データを記憶して前記保存データの少なくとも一部を復元することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る信号識別装置の発明は、学習データを競合学習型ニューラルネットワークに入力して、検査対象物の状態を表す複数のカテゴリが設定されたクラスタリングマップを作成するマップ作成手段と、前記検査対象物の状態に基づく検査データを前記クラスタリングマップに入力し、前記検査データが前記複数のカテゴリのいずれに属するかを判定する判定手段とを備え、b(b≧3)台の他の信号識別装置とともに用いられる信号識別装置であって、前記学習データをb個の分割データに分割し、前記b個の分割データをそれぞれ2度用いて、それぞれが互いに異なる組み合わせとなるb対の分割データを作成する分割データ作成手段と、前記b対の分割データの中から互いに異なる1対の分割データを前記他の信号識別装置のそれぞれに送信し、前記他の信号識別装置のそれぞれで作成された分割データを1対ずつ当該他の信号識別装置のそれぞれから受信する通信手段と、前記通信手段で受信された前記他の信号識別装置のそれぞれからの1対ずつの分割データと、前記学習データを構成するb個の分割データとを保存データとして記憶する記憶手段とを備え、前記他の信号識別装置のうち少なくとも1台の信号識別装置において保存データに障害が発生した場合に、前記通信手段が、前記記憶手段に記憶され当該障害が発生した保存データに含まれる分割データを、当該障害が発生した信号識別装置に送信し、自己の保存データに障害が発生した場合に、前記通信手段が、当該自己の保存データに含まれる分割データを、障害が発生していない他の信号識別装置から受信し、前記記憶手段が、受信した分割データを記憶して前記保存データの少なくとも一部を復元することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る信号識別システムの発明は、請求項2に記載の信号識別装置を4台以上備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、2台以下の信号識別装置において保存データに障害が発生した場合に、障害が発生していない信号識別装置のそれぞれから、保存データに含まれるすべての分割データを揃えることができるので、外部記憶装置を設けることなく、保存データを復元することができる。
【0010】
また、3台以上(a−1)台以下の信号識別装置において保存データに障害が発生した場合であっても、障害が発生していない信号識別装置から、保存データに含まれる分割データのいくつかを揃えることができるので、外部記憶装置を設けることなく、保存データの一部を復元することができる。これにより、復元した自己の学習データを競合学習型ニューラルネットワークに再入力して新しいクラスタリングマップを作成することができ、再び検査データの判定を行うことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、b台の他の信号識別装置とともに用いたときに、自己を含む2台以下の信号識別装置において保存データに障害が発生した場合に、障害が発生していない他の信号識別装置から、保存データに含まれるすべての分割データを揃えることができるので、外部記憶装置を設けることなく、保存データを復元することができる。
【0012】
また、自己を含む3台以上b台以下の信号識別装置において保存データに障害が発生した場合であっても、障害が発生していない他の信号識別装置から、保存データに含まれる分割データのいくつかを揃えることができるので、外部記憶装置を設けることなく、保存データの一部を復元することができる。これにより、復元した自己の学習データを競合学習型ニューラルネットワークに再入力して新しいクラスタリングマップを作成することができ、再び検査データの判定を行うことができる。
【0013】
さらに、他の信号識別装置において保存データに障害が発生した場合に、記憶手段で記憶され障害が発生した保存データに含まれる分割データを、保存データに障害が発生した信号識別装置に出力することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、2台以下の信号識別装置において保存データに障害が発生した場合に、障害が発生していない信号識別装置から、保存データに含まれるすべての分割データを揃えることができるので、外部記憶装置を設けることなく、保存データを復元することができる。
【0015】
また、3台以上(信号識別装置の総数−1)台以下の信号識別装置において保存データに障害が発生した場合であっても、障害が発生していない信号識別装置から、保存データに含まれる分割データのいくつかを揃えることができるので、外部記憶装置を設けることなく、保存データの一部を復元することができる。これにより、復元した学習データを競合学習型ニューラルネットワークに再入力して新しいクラスタリングマップを作成することができ、再び検査データの判定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、本発明の実施形態に係る信号識別システムの構成について図1〜3を用いて説明する。この信号識別システムは、図2に示すように、それぞれが独立して検査対象物(図示せず)の正常状態及び異常状態を識別する4台の信号識別装置1a〜1dを備えている。
【0017】
各信号識別装置1a〜1dは他の信号識別装置とともに用いられるものであり、図1に示すように、検査対象物(図示せず)の状態を検出して電気信号に変換する信号入力部2と、信号入力部2で変換された電気信号から特徴量データを抽出する特徴量抽出部3と、学習時に抽出された複数の特徴量データからなる学習データを記憶するデータ記憶部4と、学習データを分割して分割データを作成する分割データ作成部5と、他の信号識別装置との間で分割データの送受信を行う通信部6と、学習データに基づいたクラスタリングマップを用いて検査対象物の状態を判定するニューラルネットワーク演算部7と、ニューラルネットワーク演算部7での判定結果を出力する出力部8とを備えている。なお、検査対象物は例えば回転機器を含む装置や設備などであるが、特に限定されるものではない。
【0018】
信号入力部2は、検査対象物(図示せず)の振動を検出する振動センサ20と、検査対象物の音を検出するマイクロホン21とを備えている。振動センサ20は、検出した振動をアナログの電気信号に変換する。一方、マイクロホン21は、検出した音をアナログの電気信号に変換する。
【0019】
特徴量抽出部3は振動センサ20、マイクロホン21、データ記憶部4及びニューラルネットワーク演算部7と接続している。この特徴量抽出部3は学習時に振動センサ20又はマイクロホン21から、検査対象物(図示せず)の正常状態及び異常状態に基づく電気信号を学習信号として入力し、入力した学習信号に対してノイズを除去する前処理を行う。その後、特徴量抽出部3は、前処理を行った学習信号にフーリエ変換を施すことによって、各周波数成分を要素とする特徴量データを複数抽出する。その後、特徴量抽出部3は複数の特徴量データを設定データ及び設定パラメータとともに1つの学習データとしてデータ記憶部4に記憶させる。なお、設定データは、例えばサンプリング周波数、測定時間(振動測定時間又は録音時間)、判定回数、通信方法又は通信速度などのデータであり、ユーザによって設定される。また、設定パラメータは、例えば周波数の範囲など、特徴量データを抽出するためのパラメータであり、ユーザによって設定される。
【0020】
一方、検査時においては、特徴量抽出部3は振動センサ20又はマイクロホン21から、検査対象物(図示せず)の状態に基づく電気信号を検査信号として入力する。その後、特徴量抽出部3は検査信号にフーリエ変換を施して特徴量データを抽出する。その後、特徴量抽出部3は特徴量データを検査データとしてニューラルネットワーク演算部7に出力する。
【0021】
データ記憶部4は例えば半導体メモリなどであり、特徴量抽出部3からの学習データと、後述の通信部6からの3対の分割データとを保存データとして記憶する。具体的には、自己の学習データを学習データ記憶部40に記憶し、各対の分割データの一方をバックアップデータ記憶部41に記憶し、他方をバックアップデータ記憶部42に記憶している。上記分割データの書き換えは各信号識別装置1a〜1dでの学習が終了した時点で行われる。
【0022】
また、データ記憶部4は、保存データに障害が発生した場合、後述の通信部6で受信された分割データを記憶して上記保存データの一部又は全部を復元する。
【0023】
分割データ作成部5は、データ記憶部4及び通信部6と接続し、データ記憶部4に記憶されている学習データを入力し、入力した学習データを3個の分割データに分割する。その後、分割データ作成部5は3個の分割データをそれぞれ2度用いて、3対の分割データを作成する。このとき、3対の分割データは、それぞれが互いに異なる組み合わせである。その後、分割データ作成部5は3対の分割データを通信部6に出力する。信号識別装置1aの場合について具体的に説明すると、信号識別装置1aの分割データ作成部5は、学習データD1(図3参照)を分割した3個の分割データD11,D12,D13(図3参照)を2度用いて、1対の分割データD11,D12と、1対の分割データD12,D13と、1対の分割データD11,D13とを作成して通信部6に出力する。なお、他の信号識別装置1b〜1dの分割データ作成部5も同様である。
【0024】
通信部6はデータ記憶部4及び分割データ作成部5と接続している。この通信部6は分割データ作成部5から3対の分割データを入力し、入力した3対の分割データの中から互いに異なる1対の分割データを、他の信号識別装置のそれぞれに備えられる通信部6に送信する。信号識別装置1aの場合について具体的に説明すると、信号識別装置1aの通信部6は1対の分割データD12,D13(図3参照)を信号識別装置1bの通信部6に送信し、1対の分割データD11,D13(図3参照)を信号識別装置1cの通信部6に送信し、1対の分割データD11,D12を信号識別装置1dの通信部6に送信する。なお、他の信号識別装置1b〜1dの通信部6も同様である。
【0025】
また、通信部6は、他の信号識別装置のそれぞれで作成された1対の分割データを他の信号識別装置のそれぞれから合計3対受信する。その後、通信部6は、受信した3対の分割データをデータ記憶部4に記憶させる。信号識別装置1aの場合について具体的に説明すると、信号識別装置1aの通信部6は1対の分割データD21,D22(図3参照)を信号識別装置1bの通信部6から受信し、1対の分割データD31,D32(図3参照)を信号識別装置1cの通信部6から受信し、1対の分割データD41,D42(図3参照)を信号識別装置1dの通信部6から受信する。なお、他の信号識別装置1b〜1dの通信部6も同様である。
【0026】
このような通信部6は、他の信号識別装置のうち少なくとも1台の信号識別装置において保存データに障害が発生した場合に、障害が発生した信号識別装置で作成された分割データをデータ記憶部4から入力し、入力した分割データを障害が発生した信号識別装置に送信する。
【0027】
また、通信部6は、自己の保存データに障害が発生した場合に、自己の保存データに含まれる分割データを、障害が発生していない他の信号識別装置から受信する。その後、通信部6は、受信した分割データをデータ記憶部4に記憶させる。
【0028】
ここで、各信号識別装置1a〜1dのデータ記憶部4の記憶状況について図3を用いて具体的に説明する。信号識別装置1aのデータ記憶部4は自己の学習データD1を学習データ記憶部40に記憶し、分割データD21,D31,D41をバックアップデータ記憶部41に記憶し、分割データD22,D32,D42をバックアップデータ記憶部42に記憶している。また、信号識別装置1bのデータ記憶部4は自己の学習データD2を学習データ記憶部40に記憶し、分割データD12,D32,D42をバックアップデータ記憶部41に記憶し、分割データD13,D33,D43をバックアップデータ記憶部42に記憶している。同様に、信号識別装置1cのデータ記憶部4は自己の学習データD3を学習データ記憶部40に記憶し、分割データD13,D23,D43をバックアップデータ記憶部41に記憶し、分割データD11,D21,D41をバックアップデータ記憶部42に記憶している。信号識別装置1dのデータ記憶部4は自己の学習データD4を学習データ記憶部40に記憶し、分割データD11,D22,D33をバックアップデータ記憶部41に記憶し、分割データD12,D23,D31をバックアップデータ記憶部42に記憶している。これにより、各学習データD1〜D4を構成する分割データD11〜D43のそれぞれを、自己の信号識別装置とは別の2つの信号識別装置に記憶することができる。
【0029】
図1に示すニューラルネットワーク演算部7は例えばマイクロコンピュータなどであり、教師なし競合学習型ニューラルネットワーク70と、学習時にクラスタリングマップを作成するマップ作成部71と、検査時にクラスタリングマップを用いて検査対象物(図示せず)の状態を判定するクラスタ判定部72とを備え、特徴量抽出部3、データ記憶部4、出力部8、マップ記憶部73及び判定結果記憶部74と接続している。
【0030】
マップ作成部71は、学習時に、データ記憶部4で記憶されている学習データを教師なし競合学習型ニューラルネットワーク70に入力する。教師なし競合学習型ニューラルネットワーク70は、複数の入力層ニューロンと複数の出力層ニューロンとの2層で構成されている。これら複数の出力層ニューロンはクラスタリングマップを構成する。このクラスタリングマップは、学習データを用いた学習によって出力層ニューロンごとに重み係数データが決定される。なお、これまでに学習データが教師なし競合学習型ニューラルネットワーク70に入力されていなかった場合、マップ作成部71は、データ記憶部4からの学習データを構成する複数の特徴量データの要素ごとに平均値を求め、求めた平均値に乱数によって一定範囲内のバラツキを与えた互いに異なる値を、学習開始時の各出力層ニューロンに初期値として与える。
【0031】
その後、マップ作成部71は出力層ニューロンごとに学習データの各特徴量データと重み係数データとのユークリッド距離を算出し、ユークリッド距離が最小となる特徴量データのカテゴリを設定する。その後、マップ作成部71はすべての特徴量データを教師なし競合学習型ニューラルネットワーク70に再入力し、検査対象物(図示せず)の正常状態の特徴量データと異常状態の特徴量データとが同じ出力層ニューロンに属していないかを確認する。これにより、検査対象物の状態を表す複数のカテゴリが設定されたクラスタリングマップを作成することができる。マップ作成部71で作成されたクラスタリングマップはマップ記憶部73に記憶される。
【0032】
クラスタ判定部72は検査時に特徴量抽出部3からの検査データをクラスタリングマップに入力する。その後、クラスタ判定部72はクラスタリングマップ上の出力層ニューロンごとに出力層ニューロンの重み係数データと検査データとのユークリッド距離を算出する。その後、クラスタ判定部72は、算出したユークリッド距離の中から最小値を抽出し、ユークリッド距離が最小値となる出力層ニューロンのカテゴリに検査データを分類する。検査データの分類によって検査対象物(図示せず)の状態が判定され、この判定結果が判定結果記憶部74に記憶される。
【0033】
出力部8はニューラルネットワーク演算部7から判定結果を入力し、入力した判定結果に基づいて警告音を鳴らしたり、警告画面を表示したりする。
【0034】
次に、本実施形態に係る各信号識別装置1a〜1dの信号識別方法について説明する。まず、学習方法について説明する。最初に、特徴量抽出部3が、検査対象物(図示せず)の状態に基づく学習信号を信号入力部2から入力し、前処理を行った学習信号から特徴量データを複数抽出する。続いて、データ記憶部4が複数の特徴量データを学習データとして記憶する。その後、マップ作成部71が学習データを教師なし競合学習型ニューラルネットワーク70に入力してSOMでの学習を行い、検査対象物の状態を表す複数のカテゴリが設定されたクラスタリングマップを作成する。
【0035】
続いて、検査方法について説明する。まず、信号入力部2の振動センサ20又はマイクロホン21が検査対象物(図示せず)の状態を検出して電気信号に変換する。続いて、特徴量抽出部3が振動センサ20又はマイクロホン21から電気信号を検査信号として入力し、前処理を行った検査信号から特徴量データを抽出して検査データとする。その後、クラスタ判定部72が検査データをクラスタリングマップに入力し、検査データをカテゴリに分類し、検査対象物の状態を判定する。
【0036】
次に、本実施形態に係る信号識別システムの各信号識別装置1a〜1dにおける学習データのバックアップについて図3を用いて説明する。まず、信号識別装置1a〜1dごとに、分割データ作成部5(図1参照)が自己の学習データD1〜D4を3個の分割データD11〜D43に分割し、3個の分割データD11〜D43をそれぞれ2度用いて、それぞれが互いに異なる組み合わせとなる3対の分割データを作成する。その後、信号識別装置1a〜1dごとに、データ記憶部4が、自己の学習データD1〜D4を構成する3個の分割データD11〜D43を学習データ記憶部40に記憶し、他の信号識別装置のそれぞれで作成された合計3対の分割データをバックアップデータ記憶部41,42に記憶する。
【0037】
次に、本実施形態に係る信号識別システムにおいて、4台の信号識別装置1a〜1dのうち2台の信号識別装置1a,1dに記憶されている保存データに障害が発生した場合の動作について図4を用いて説明する。信号識別装置1aに対しては、障害が発生していない信号識別装置1bの通信部6(図1参照)が分割データD12,D13,D21,D22,D42を送信し、障害を発生していない信号識別装置1cの通信部6が分割データD11,D31,D32,D41を送信する。その後、信号識別装置1aの通信部6が上記分割データD11〜D13,D21,D22,D31,D32,D41,D42を受信し、データ記憶部4が分割データD11〜D13から自己の学習データD1を復元して学習データ記憶部40に記憶し、分割データD21,D31,D41をバックアップデータ記憶部41に記憶し、分割データD22,D32,D42をバックアップデータ記憶部42に記憶する。
【0038】
一方、信号識別装置1dに対しては、信号識別装置1bの通信部6(図1参照)が分割データD12,D22,D23,D42を送信し、信号識別装置1cの通信部6が分割データD11,D31,D33,D41,D43を送信する。その後、信号識別装置1dの通信部6が上記分割データD11,D12,D22,D23,D31,D33,D41〜D43を受信し、データ記憶部4が分割データD41〜D43から自己の学習データD4を復元して学習データ記憶部40に記憶し、分割データD11,D22,D33をバックアップデータ記憶部41に記憶し、分割データD12,D23,D31をバックアップデータ記憶部42に記憶する。
【0039】
次に、本実施形態に係る信号識別システムにおいて、4台の信号識別装置1a〜1dのうち3台の信号識別装置1a,1c,1dに記憶されている保存データに障害が発生した場合の動作について図5を用いて説明する。信号識別装置1aに対しては、障害が発生していない信号識別装置1bの通信部6(図1参照)が分割データD12,D13,D21,D22,D32,D42を送信する。その後、信号識別装置1aの通信部6が上記分割データD12,D13,D21,D22,D32,D42を受信し、データ記憶部4が分割データD12,D13から自己の学習データD1の3分の2を復元して新たな学習データとして学習データ記憶部40に記憶し、分割データD21をバックアップデータ記憶部41に記憶し、分割データD22,D32,D42をバックアップデータ記憶部42に記憶する。その後、信号識別装置1aが新たな学習データを用いてクラスタリングマップを作成する。
【0040】
信号識別装置1cに対しては、信号識別装置1bの通信部6(図1参照)が分割データD13,D21,D23,D32,D33,D43を送信する。その後、信号識別装置1bの通信部6が上記分割データD13,D21,D23,D32,D33,D43を受信し、データ記憶部4が分割データD32,D33から自己の学習データD3の3分の2を復元して新たな学習データとして学習データ記憶部40に記憶し、受信した分割データD13,D23,D43をバックアップデータ記憶部41に記憶し、受信した分割データD21をバックアップデータ記憶部42に記憶する。その後、信号識別装置1cが新たな学習データを用いてクラスタリングマップを作成する。
【0041】
信号識別装置1dに対しては、信号識別装置1bの通信部6(図1参照)が分割データD12,D22,D23,D33,D42,D43を送信する。その後、信号識別装置1dの通信部6が上記分割データD12,D22,D23,D33,D42,D43を受信し、データ記憶部4が分割データD42,D43から自己の学習データD4の3分の2を復元して新たな学習データとして学習データ記憶部40に記憶し、受信した分割データD22,D33をバックアップデータ記憶部41に記憶し、受信した分割データD12,D23をバックアップデータ記憶部42に記憶する。その後、信号識別装置1dが新たな学習データに基づいてクラスタリングマップを作成する。
【0042】
以上、本実施形態によれば、図4に示すように2台以下の信号識別装置1a,1dにおいて保存データに障害が発生した場合に、障害が発生した信号識別装置1a,1dの通信部6(図1参照)が、保存データに含まれる分割データを、障害が発生していない信号識別装置1b,1cから受信することによって、保存データに含まれるすべての分割データを揃えることができるので、外部記憶装置を設けることなく、保存データを復元することができる。
【0043】
また、図5に示すように3台の信号識別装置1a,1c,1dにおいて保存データに障害が発生した場合であっても、障害が発生した信号識別装置1a,1c,1dの通信部6(図1参照)が、保存データに含まれる分割データを、障害が発生していない信号識別装置1bから受信することによって、保存データに含まれる分割データのいくつかを揃えることができるので、外部記憶装置を設けることなく、保存データの一部、特に自己の学習データD1,D3,D4の3分の2を復元することができる。これにより、復元した自己の学習データを教師なし競合学習型ニューラルネットワーク70に再入力して新しいクラスタリングマップを作成することができ、復元の度合いによって検査性能が低下するものの再び検査データの判定を行うことができる。
【0044】
なお、本実施形態の変形例として、m(m≧5)台以上の信号識別装置を備える信号識別システムであってもよい。このような信号識別システムであっても、各信号識別装置が(m−1)対の分割データを作成し、自己の学習データを構成する分割データと、他の信号識別装置のそれぞれで作成された分割データを1対ずつ記憶することによって、本実施形態と同様に、2台以下の信号識別装置において保存データに障害が発生した場合に、外部記憶装置を設けることなく、保存データを復元することができる。また、3台以上(m−1)台以下の信号識別装置において保存データに障害が発生した場合であっても、外部記憶装置を設けることなく、保存データの一部を復元することができる。これにより、復元した学習データを教師なし競合学習型ニューラルネットワーク70に再入力して新しいクラスタリングマップを作成することができ、再び検査データの判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る信号識別装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同上に係る信号識別システムの構成を示すブロック図である。
【図3】同上に係る各信号識別装置におけるデータ記憶部の記憶状況を示す図である。
【図4】同上に係る信号識別システムの動作を説明する図である。
【図5】同上に係る信号識別システムの動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0046】
1a〜1d 信号識別装置
4 データ記憶部
40 学習データ記憶部
41,42 バックアップデータ記憶部
5 分割データ作成部
6 通信部
70 教師なし競合学習型ニューラルネットワーク
71 マップ作成部
72 クラスタ判定部
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年8月30日(2006.8.30)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−59201(P2008−59201A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−234393(P2006−234393)