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無線タグ及びID読取装置 - 特開2008−3773 | j-tokkyo
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【発明の名称】 無線タグ及びID読取装置
【発明者】 【氏名】佐々木 隆弘

【要約】 【課題】IDデータを発信する無線タグを特定のグループに属するIDデータを有する無線タグに限定することによってIDデータ読み取りに要する時間を短縮する。

【構成】IDデータ読取装置10は、IDデータ要求コマンドの発信(S254)に先立ってグループ指定コマンドを発信する(S252)。各無線タグ(20a、20b)は、自己の属するグループを特定するデータを記憶しており、グループ指定コマンドを受信した際にそのグループ指定コマンドによって指定されるグループが自己の属するグループでない場合には、自己を予め決められた時間の間はID読取装置が発信するID要求コマンドに対して応答しない無応答モードに設定する(S204b)。ID読取装置10は、特定したグループに属する無線タグのみから発信されるIDデータを読み取ればよいので、IDデータ読み取りに要する時間を短縮できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己の属するグループを特定するデータを記憶しており、ID読取装置が発信するグループ指定コマンドを受信した際にそのグループ指定コマンドによって指定されるグループが自己の属するグループでない場合に予め決められた時間の間はID読取装置が発信するID要求コマンドに対して応答しないことを特徴とする無線タグ。
【請求項2】
ID読取装置が発信するID要求コマンドに対して応答する場合には、記憶しているIDデータを複数のサブデータに分割し、ID要求コマンドを受信する毎に分割したサブデータを順次発信することを特徴とする請求項1の無線タグ。
【請求項3】
記憶しているIDデータの少なくとも一部が自己の属するグループを特定するデータを兼ねていることを特徴とする請求項1または2に記載の無線タグ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの無線タグからIDデータを読み取るID読取装置であり、ID要求コマンドの発信に先立って、特定のグループ以外のグループに属する無線タグは予め決められた時間の間はID要求コマンドに対して応答しないことを指示するグループ指定コマンドを発信することを特徴とするID読取装置。
【請求項5】
無線タグが発信した無線信号を復調又は復号できなかった場合に、その旨を通知する通知手段を備えることを特徴とする請求項4のID読取装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグと、その無線タグが記憶するIDデータを読み取るID読取装置に関する。本明細書でいう無線タグは、ICタグ、電子タグ、あるいはRFIDと呼ばれることもある。
【背景技術】
【0002】
複数の無線タグが発信するIDデータを同時に読み取ることのできる無線タグシステムが開発されている。夫々の無線タグは、ID読取装置が発信するID要求コマンドを受信すると、記憶しているIDデータを発信する。ID読取装置は、複数の無線タグが発信するIDデータを同時に読み取ることができる。IDデータの同時読み取りは、マルチリード、輻輳制御、或いはアンチコリジョンと呼ばれることがある。無線タグシステムはマルチリードが可能であるため、多くの物品の夫々をIDデータで識別して管理する様々なシステムに応用可能である。
無線タグシステムによる物品管理において、無線タグを取り付けた様々な物品の中から特定のグループに属する物品に付した無線タグのIDデータのみを読み取りたい場合がある。例えば車の生産工場では、無線タグを取り付けた部品の集まりのなかから、シリンダブロックを構成する部品のIDデータのみを読み取りたい場合などである。
従来の無線タグシステムでは、ID読取装置が発信するID要求コマンドを受信した複数の無線タグがIDデータを発信する。ID要求コマンドは特定の無線タグに対して発信されるのではなく、不特定多数のタグに向けて発信される。ID要求コマンドを受信した全ての無線タグがIDデータを発信する。ID読取装置は夫々の無線タグから発信されたIDデータを読み取る。読み取ったIDデータを整理し、必要に応じて特定のグループに属するIDデータに関する情報を表示する。即ち、従来の無線タグシステムでは、特定のグループに属する無線タグのIDデータを読み取りたい場合でも、ID読取装置と通信可能な範囲にある全ての無線タグのIDデータを読み取ってから、IDデータをグループ分けする必要があった。
時間コストを低減するためにIDデータの読み取りは早い方がよい。そのためには、ID要求コマンドを受信した全ての無線タグがIDデータを発信するのではなく、特定のグループに属する無線タグだけがIDデータを発信するように構成できればよい。そうすることによって、ID読取装置は通信可能な範囲にある全ての無線タグのIDデータを読み取る必要がなくなり、読み取りに要する時間を短縮することができる。
特許文献1に、特定のグループに属するRFタグ(本明細書にいう無線タグ)だけにIDデータを発信させる技術が開示されている。特許文献1では、各RFタグに、夫々のRFタグが属する階層を示すデータを記憶させておく。そしてタグリーダライタ(本明細書にいうID読取装置)がRFタグに対して発信するID要求コマンドを表す通信パケットに階層データを組み込む。RFタグは、ID要求コマンドを表す通信パケットを受信すると、その通信パケットに組み込まれた階層データを読み出す。読み出した階層データが、自己の記憶している階層データと一致しない場合には、その通信パケットに対して応答しない。一方、通信パケットに組み込まれた階層データが、自己の記憶している階層データと一致する場合には、自己のIDデータを発信する処理を実行する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−185070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、タグリーダライタが発信するID要求コマンドの中に階層データを組み込むことによって、そのID要求コマンドに組み込まれた階層と異なる階層に属するRFタグにはIDデータを発信させない。IDデータを発信するRFタグの数を少なくすることができる。その結果、RFタグのIDデータを読み取る時間を短縮することができる。
ところで、無線タグシステムではマルチリードを実現するために、ひとつのIDデータを読み取るまでにID読取装置と無線タグの間で複数回の通信を必要とすることが多い。マルチリード方式の詳細については説明を割愛するが、例えば、無線タグは、ID読取装置が発信するID要求コマンドを受信する毎に自己が記憶しているIDデータを最上位ビットから順次発信する場合がある。その場合には、ひとつのIDデータを読み取るまでにID読取装置と無線タグの間でIDデータのビット数に応じた回数の通信が行なわれることになる。全てのIDデータを読み取るまでには、上記ビット数と同数回の通信がIDデータを発信する無線タグの数だけ繰り返される。
上述した従来の技術では、ID要求コマンドに階層データが組み込まれる。ID要求コマンドに階層データを組み込む場合、全ての無線タグが階層データを読み取るまでに階層データのビット数と同数回の通信を行う必要が生じる。即ち従来の技術では、特定の階層に属するIDを有する無線タグのみからIDデータを発信させるための準備として、ID読取装置は、階層データのビット数と同じ回数の通信を全ての無線タグと行なう必要がある。ID要求コマンドに階層データを組み込むことによってIDデータを発信する無線タグの数を限定しても、全ての無線タグが階層データを読み込むまでに相応の時間を要するために、必要な数のIDデータを読み取る際の総時間の短縮効果が相殺されてしまう可能性がある。
短時間で特定のグループに属する無線タグだけにID要求コマンドに応答してIDデータを発信させる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ID読取装置が宛先を特定せずに発信するID要求コマンドを受信して、記憶しているIDデータをID読取装置へ発信する無線タグに具現化できる。この無線タグは、自己の属するグループを特定するデータを記憶しており、ID読取装置が発信するグループ指定コマンドを受信した際にそのグループ指定コマンドによって指定されるグループが自己の属するグループでない場合に予め決められた時間の間はID読取装置が発信するID要求コマンドに対して応答しないことを特徴とする。
本発明に係る無線タグは、ID要求コマンドとは独立したコマンドであるグループ指定コマンドを受け付ける。ID読取装置がひとたびグループ指定コマンドを発信すると、その後の予め決められた時間内に発信するID要求コマンドに応答してIDデータを発信する無線タグは、グループ指定コマンドによって指定されるグループに属する無線タグに限定される。ID読取装置が読み取るべき無線タグの数を特定のグループに属する無線タグに限定できる。マルチリードでは、同時に発信される複数のIDデータを経時的に読み取っていく処理が行われる場合が多い。即ち、ID読取装置がIDデータの読み取りに要する総時間は発信されるIDデータの数に概ね比例する。本発明によれば、特定のグループに属さないIDデータを記憶している無線タグからはIDデータが発信されないので、ID読み取り処理に要する時間を短縮することができる。
ここで、ID要求コマンドとグループ指定コマンドは独立したコマンドであるため、グループ指定コマンドは、無線タグにIDデータの発信を要求しない。従ってID読取装置から無線タグへのグループ指定コマンドの伝達は1回の通信で成立するように構成することができる。1回の通信で、各無線タグは、自己が次にID読取装置から発信されるID要求コマンドに対して応答すべきグループに属するか否かを特定できる。即ち、ID読取装置は、特定のグループに属する無線タグだけにID要求コマンドに応答させるように準備するのに、グループ指定コマンドを1回発信するだけでよい。これによって、短時間で特定のグループに属する無線タグだけがID要求コマンドに応答してIDデータを発信することのできる無線タグを実現できる。
さらに、本発明に係る無線タグは、従来のID要求コマンドをそのまま使用できる。即ち、本発明に係る無線タグは、従来のID読取装置を含む無線タグシステムに対して互換性を有するという利点がある。例えば、無線タグを取り付けた物品をグループごとに管理する必要のない場所では従来のID読取装置を配置し、グループごとに管理する必要のある場所ではグループ指定コマンドを発信できるID読取装置を配置することが可能となる。従来のID読取装置を有効に利用することができる。
【0006】
本発明に係る無線タグは、ID読取装置が発信するID要求コマンドに対して応答する場合には、記憶しているIDデータを複数のサブデータに分割し、ID要求コマンドを受信する毎に分割したサブデータを順次発信するものであってよい。そのような無線タグは、前述したようにマルチリードに適している。その一方で、そのような無線タグは、ひとつのIDデータを読み取る際にID読取装置と無線タグとの間で複数回の通信を必要とする。そしてマルチリードでは、IDの読み取りに要する総時間は、[読み取るべきIDデータの数]×[ひとつのIDデータを読み取るために要する時間]となる。即ち、1回の通信に要する時間が僅かに増加するだけでも、読み取るべきIDデータの数が多くなるほど、また、ひとつのIDを読み取る際に必要とされる通信回数が多くなるほど読み取りに要する総時間は大きく増加してしまう。特許文献1の技術のように、特定のグループに属する無線タグのみにIDデータを発信させるための準備に時間を要してしまうと、結果的にIDデータを発信する無線タグの数を限定する効果を相殺してしまう可能性がある。本発明に係る無線タグは、IDデータを読み取る際に行われるID読取装置と無線タグの間の通信は従来と同じにすることができる。即ち、本発明に係る無線タグを利用すると、ひとつのIDデータの読み取りに要する時間を増加させることなく、IDデータを発信する無線タグを特定のグループに属する無線タグに限定することができる。即ち、必要な数のIDデータの読み取りに要する総時間を短縮できる。
【0007】
自己の属するグループを特定するデータは、記憶しているIDデータとは独立したデータであってもよいし、記憶しているIDデータの一部あるいは全部が兼ねていてもよい。前者の場合は、共通性のないIDデータを有する無線タグ群をグループ化することができる。後者の場合は無線タグが記憶すべきデータの量を増加させることがない。さらに、記憶しているIDデータの全部がグループを特定するデータを兼ねている場合には、特定のIDデータを有する無線タグが存在するか否かを容易に確認することが可能となる。
【0008】
本発明はまた、上記説明した無線タグからIDデータを読み取るID読取装置に具現化することもできる。このID読取装置は、ID要求コマンドの発信に先立って、特定のグループ以外のグループに属する無線タグは予め決められた時間の間はID要求コマンドに対して応答しないことを指示するグループ指定コマンドを発信することを特徴とする。即ち、ID読取装置は、グループ指定コマンドを発信することによって、予め決められた時間の間、IDデータを発信する無線タグを、グループ指定コマンドによって指定されるグループと同じグループを特定するデータを記憶している無線タグに限定することができる。これによってIDデータの読み取りに要する総時間を短縮することができる。
【0009】
上記のID読取装置は、無線タグが発信した無線信号を復調又は復号できなかった場合に、その旨を通知する通知手段を備えることが好ましい。無線タグとID読取装置の間の通信が正常に行なわれない可能性もある。特に、外部の装置が発信する無線信号から電力を得る無線タグの場合、無線タグが発信する無線信号は極めて微弱となる。そのような場合には、ID読取装置が受信する無線タグからの無線信号が復調又はデジタル信号に復号できるほどには強くない可能性がある。そのような場合に、受信した無線信号が復調又は復号できないことを通知する通知手段を設けることによって、IDデータを読み取ることができなくとも、少なくともグループ指定コマンドで指定するグループに属する無線タグが存在することを無線タグの利用者に通知することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、IDデータ読み取る際に無線タグとID読取装置の間で行なわれる1回の通信に要する時間を増加させることなく、特定のグループに属する無線タグだけがID要求コマンドに応答してIDデータを発信することのできる無線タグを提供することができる。またそのような無線タグに適したID読取装置を提供することができる。
【実施例】
【0011】
図面を参照して本発明に係る実施例について説明する。図1は、無線タグシステムの概要を示す図である。本実施例は、自動車の生産ラインにおいて、自動車を構成する部品を管理する生産管理システムに無線タグシステムを適用するものである。無線タグシステムは、複数の無線タグ20a、20b、20c、及び20dと、夫々の無線タグが記憶するIDデータを読み取るID読取装置10を備える。無線タグ20a、20b、20c、及び20dは、それぞれ自動車部品30a、30b、30c、及び30dに取り付けられている。なお、自動車は膨大な数の部品から構成されるが、図1では4つの部品30a−30dのみを例示している。
ID読取装置10は、ID読取装置本体12、アンテナ14、キーボード16、ディスプレイ18を備える。ID読取装置10はまた、自動車部品30a−30dを管理する上位システム50と接続されている。
無線タグ20a−20dを取り付けた自動車部品30a−30dをアンテナ14の前に集めて、作業者(不図示)がキーボード16を操作すると、ID読取装置本体12が動作してアンテナ14を介して無線タグ20a−20dの夫々が記憶しているIDデータを読み取ることができる。読み取ったIDデータは、ディスプレイ18に表示されるとともに上位システム50へ送信される。
【0012】
無線タグは夫々固有のIDデータを記憶している。IDデータの例を図2に示す。本実施例では、IDデータは9桁の数字で表される。その上位2桁は車種を識別する番号を表す。3桁目と4桁目の2桁はアセンブリモジュールを識別する番号を表す。例えば3桁目と4桁目が01はシリンダブロックを表し、02はシリンダヘッドブロックを表す。下位の5桁は個別の部品を識別する番号を表す。上記のように定義されるIDデータを用いることによって、自動車を構成する部品を車種ごとやアセンブリモジュールごとに管理することができる。例えばIDデータの上位2桁を指定することで特定の車種の部品をグループ化して管理することができる。或いは3桁目と4桁目を指定することで、特定のアセンブリモジュールに関する部品をグループ化して管理することができる。或いは、上位4桁を指定することで、特定の車種の特定のアセンブリモジュールに関する部品をグループ化して管理することも可能となる。
【0013】
作業者がキーボード16を操作して、例えばIDデータの上位2桁に番号「01」を指定するなど自動車部品のグループを特定するデータを入力すると、アンテナ14の前に集められた部品30a−30dの中から特定されたグループに属するIDデータを有する無線タグのIDデータがID読取装置10によって読み取られてディスプレイ18に表示される。こうして、作業者は特定のグループに属する無線タグが取り付けられた自動車部品が確かにアンテナ14の前に集められていることを確認することができる。また、ID読取装置10によって読み取られたIDデータは、自動車部品を管理する上位システム50へ送られる。こうして自動車部品がグループごとに上位システム50上で管理される。
【0014】
次に、ID読取装置10と各無線タグ20a、20bの間で行なわれる通信について図3を参照して説明する。図3は、ID読取装置10と無線タグ20aの間の通信、及びID読取装置10と無線タグ20bの間の通信のタイムチャート図である。図3は、上から下に向って時間の経過を示している。まずID読取装置10がグループ指定コマンドを発信する(ステップS252)。グループの指定とは、例えば前述したように、IDデータの上位2桁に特定の番号を指定することである。グループ指定コマンドを含めてID読取装置10から発信される信号は、具体的には、例えば次の内容を有する。
・ヘッダ部:信号の開始を示すデータが含まれる。
・コマンド部:本信号が示すコマンドの種類を特定するデータが含まれる。コマンド部に含まれるデータは例えばヘッダ部から始まる信号がグループ指定コマンドであることを示すデータ或いは後述するID要求コマンドであることを示すデータなどである。
・パラメータ部:本信号を受信した無線タグが、コマンド部に応答して処理を行うときに用いるパラメータを指定するデータが含まれる。コマンドがグループ指定コマンドの場合、このパラメータ部に含まれるデータによってグループが指定される。例えば、図2に示した例のようにIDデータが9桁であり、上位2桁が「01」であるIDデータのグループを指定するときには、このパラメータ部に「01*******」というデータが設定される。ここで「*」(アスタリスク)はワイルドカードを意味しており、全体で9桁のIDデータのうち、上位2桁が「01」であり、残りの7桁は任意であるIDデータのグループを指定することを意味する。
【0015】
上記の構成の信号は、無線信号に変換されてID読取装置10のアンテナ14から発信される。ここで、上に示したように、ID読取装置10から発信される信号(グループ指定コマンドやID要求コマンド)には、信号を受け取るべき無線タグを特定するデータがない。即ち、ID読取装置10から発信される信号は、不特定多数の無線タグに対して発信される信号である。そのような信号は、一斉同報通知、或いはブロードキャストと呼ばれることがある。
【0016】
ステップS252でID読取装置10から発信されたグループ指定コマンドは、無線タグ20a及び20bで受信される(ステップS202a及びステップS202b)。ここで、無線タグ20aが記憶しているIDデータは、ステップS252でID読取装置10から発信されたグループ指定コマンドによって指定されるグループに属するIDデータであるとする。一方、無線タグ20bが記憶しているIDデータは、ステップS252でID読取装置10から発信されたグループ指定コマンドによって指定されるグループに属さないIDデータであるとする。
無線タグ20aでは、ステップS202aで受信したグループ指定コマンドが解析されて、そのグループ指定コマンドによって指定されるグループは、自己(無線タグ20a)が記憶しているIDデータが属するグループであると判断される(ステップS204a)。この場合、無線タグ20aは何もしない。一方、無線タグ20bでは、ステップS202bで受信したグループ指定コマンドが解析されて、そのグループ指定コマンドによって指定されるグループは、自己(無線タグ20b)が記憶しているIDデータが属するグループでないと判断される(ステップS204b)。この場合、無線タグ20bは、以後、期間T2の間はID読取装置10から発信されるID要求コマンドに対して応答しない無応答モードに自己を設定する。
【0017】
ID読取装置10は、ステップS252でグループ指定コマンドを発信したのち、期間T1後にID要求コマンドを発信する(ステップS254)。なお、期間T1は、ID読取装置10がグループ指定コマンドを発信してから無線タグがそのコマンドを受信し、解析し、自己を無応答モードに設定するのに要する時間に設定されている。即ち、ID読取装置10がID要求コマンドを発信するときには、グループ指定コマンドによって指定されたグループに属さない無線タグは無応答モードに設定された状態となっている。
【0018】
前述したように、ID要求コマンドも不特定多数の無線タグに対して発信される信号である。従って、無線タグ20aと無線タグ20bの両者ともID要求コマンドを受信する(ステップS206a、ステップS206b)。
ID要求コマンドを受信した無線タグ20aは、そのID要求コマンドに応答して自己が記憶しているIDデータを発信する(ステップS208a)。無線タグ20aが発信したIDデータはID読取装置10によって受信される(ステップS256)。即ち、無線タグ20aが記憶するIDデータがID読取装置10によって読み取られる。一方、無線タグ20bでは、ID要求コマンドを受信した時点(ステップS206b)では、無応答モードに設定されている。従って、無線タグ20bは、ステップS206bに対してなんら応答しない。即ち、無線タグ20bは、ID読取装置10からID要求コマンドを受信しても、IDデータを発信しない。
上記説明したように、無線タグ20aと20bのうち、グループ指定コマンドによって指定されるグループに属するIDデータを記憶する無線タグ20aからはIDデータが発信される。一方、グループ指定コマンドによって指定されるグループに属さないIDデータを記憶する無線タグ20bからはIDデータが発信されない。無線タグ20bからはIDデータが発信されないので、ID読取装置10は、無線タグ20bのIDデータを読み取る処理を実行しない。これによって、無線タグ20a、20bを対象とするID読み取り処理において、無線タグ20bのIDデータを読み取る場合に要する時間を短縮できる。
【0019】
ID読取装置10は、受信したIDデータを表示する処理を行う(ステップS258)。あるいは受信したIDデータを上位システムへ送信する処理(不図示)を行う。一方、無線タグ20bでは、ステップS210bで無応答モードを設定した後、期間T2後に無応答モードを解除する処理を行う(ステップS212b)。即ち、無線タグ20bは、ステップS212bの処理以後は、ID読取装置10が発信するID要求コマンドを受信した場合に、これに応答してIDデータを発信する状態に戻る。
【0020】
図3では、無線タグ20aと20bを例として説明したが、無線タグが多数存在しても同様である。ID読取装置10は、ID要求コマンドの発信に先立って、グループ指定コマンドを発信することによって、IDデータを発信する無線タグを、そのグループ指定コマンドで指定されるグループに属するIDデータを記憶している無線タグに限定することができる。ID読取装置10は、IDデータの読み取り処理において、特定のグループに属するIDデータを記憶している無線タグからのみ発信されるIDデータを読み取ればよい。マルチリードでは、同時に発信される複数のIDデータを経時的に読み取っていく処理が行われる場合が多い。即ち、ID読取装置10がIDデータの読み取りに要する総時間は発信されるIDデータの数に概ね比例する。本実施例によれば、特定のグループに属さないIDデータを記憶している無線タグのIDデータを読み取る処理が行われなくなるので、ID読み取り処理に要する時間を短縮することができる。
また、図3において、破線260で示した処理群は、ID読み取り処理そのものを示している。ID読み取り処理は、従来の処理と同じでよい。従って、ひとつのIDデータを読み取るために要する時間は、従来の無線タグシステムと同等である。ID要求コマンドとは独立したコマンドとしてグループ指定コマンドを発信することによって、ひとつのIDデータを読み取るために要する時間を増加させることなく、IDデータを発信する無線タグの数を特定のグループに属する無線タグに限定することができる。これによって、IDデータの読み取り処理に要する総時間を短縮することができる。
【0021】
なお、図3では、破線260で示したID読み取り処理は、1回のID要求コマンド発信(ステップS254)とこれに応答する1回のIDデータ発信(ステップS208a)で達成されている。マルチリードでは、無線タグは記憶しているIDデータを複数のサブデータに分割し(典型的にはIDデータのビットごとに分割される)、ID読取装置が発信するID要求コマンドに応答してIDデータのサブデータを発信するプロトコルが採用される場合が多い。即ち、図3で破線260に示される処理が、複数のID要求コマンド発信処理と、複数のIDデータ発信処理を含む場合である。
ここで、特定のグループに属するIDデータを記憶する無線タグのみにIDデータの発信をさせるために、本実施例とは異なり、ID要求コマンドにグループを指定するデータを組み込む場合を考える。ID要求コマンドによってID読取装置と無線タグの間でIDデータをやり取りするためには、IDデータのビット数と同じ回数の通信を必要とする場合が多い。その場合、ID読取装置は、ID要求コマンドに組み込まれているグループを指定するデータのビット数と同数の通信を全ての無線タグと行う必要がある。即ち、ID読取装置は、夫々の無線タグが特定のグループに属するか否かの判断が行なえるようになるまでに、全ての無線タグと複数回の通信を必要とする。IDデータを発信する無線タグの個数を限定するための準備に複数回の通信を必要とする。IDデータを発信する無線タグの個数を限定しても、その準備に要する時間によって、IDデータの読み取り処理に要する総時間を短縮する効果が薄れてしまう。
一方、本実施例の無線タグシステムでは、グループ指定コマンドとID要求コマンドが独立した別個のコマンドであり、無線タグはグループ指定コマンドに対して応答を返す必要がないため、ID読取装置はグループ指定コマンドを1回発信するだけで、全ての無線タグにグループ指定コマンドを送ることができる。ID読取装置はグループ指定コマンドを1回発信するだけで、次に発信するID要求コマンドに対して応答する無線タグの個数を限定することができる。IDデータを発信する無線タグの個数を限定するために要する時間は1回のグループ指定コマンドの送信で済むため、IDデータの読み取りに要する総時間を短縮することができる。
【0022】
次に、ID読取装置10によるIDデータ受信処理(図3のステップS256)について説明する。ここでは、ID読取装置10は、無線タグが発信するIDデータを示す電波を受信したが、その電波をIDデータに復調できない場合の処理について説明する。特に、電力を外部から送信される電波から得るいわゆるパッシブ型の無線タグの場合、供給可能な電力が微弱であるため、発信する電波の強度が、ID読取装置が復号するには不十分となる可能性がある。以下の処理は、そのような場合に有効な処理である。図4は、ID読取装置10におけるIDデータ受信処理のフローチャート図である。
ID読取装置10は、図3に示すID要求コマンド発信処理(ステップS254)を実行した後に図4に示すIDデータ受信処理を実行する。
まずステップS402でタイマをスタートさせる。このタイマは、無線タグが発信する応答キャリア(IDデータを示す無線信号)を検出する期間を計測するためである。即ち、タイマによる計測時間が所定時間経過するまで応答キャリアを検出し続ける(ステップS404及びステップS424)。
【0023】
応答キャリアが検出されると(ステップS404:YES)、次に検出した応答キャリアを復調(検波)する(ステップS406)。復調が正常に行なわれた場合(ステップS408:YES)には、次に復調した応答キャリアからIDデータを復号化する(ステップS410)。ここで復号化には、ノイズエラーを含んだ応答キャリアから、IDデータを含むデジタルデータを読み取る処理を含む。復号化が正常に行なわれた場合(ステップS412:YES)、次にステップS414で応答データのチェックを行なう。ここでいう応答データは、ステップS410の復号化処理で得られたデジタルデータであり、IDデータとそのIDデータが正しいか否かを検証するパリティデータを含む。ステップS414ではパリティチェックが行なわれる。パリティチェックが正常であれば(ステップS416:YES)、ひとつのIDデータが正常に読み取られたことになりそのIDデータを記憶する(ステップS418)。そしてステップS402でスタートさせたタイマが所定時間経過していなければ(ステップS424:NO)、次の応答キャリアの検出に備える(ステップS404)。ステップS416のパリティチェックの結果が異常の場合(ステップS416:NO)には、ステップS420の処理を行う。パリティチェックの結果が異常の場合には、ひとつの無線タグからの応答キャリアを正常に復号化までしているので、パリティチェックの結果が異常と判断された回数が即ち、IDデータを正常に読み取れなかった無線タグの個数を示す。従ってステップS420では、パリティチェックの結果が異常と判断された回数をカウントする。
一方、応答キャリアの復調が正常に行なわれなかった場合(ステップS408:NO)、或いは復号化が正常に行なわれなかった場合(ステップS412:NO)には、ステップS422の処理を行う。この場合には、応答キャリアが存在していることは判断できるが、応答キャリアを発信している無線タグの個数までは判断できない。そこで、ステップS422では、復調或いは復号化が正常に行なわれなかったことを記憶する。復調或いは復号化が正常に行なわれなかったことを後に作業者或いは上位システムへ通知することによって、IDデータを読み取れなかった無線タグが存在していることを通知できる。その通知によって、作業者、或いは上位のシステムに対してなんらかの対処が必要であることを示唆することができる。
【0024】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】無線タグシステムの概要図である。
【図2】IDデータの一例を示す図である。
【図3】ID読取装置と無線タグの通信のタイミングチャート図である。
【図4】IDデータ受信処理のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0026】
10:ID読取装置
12:ID読取装置本体
14:アンテナ
16:キーボード
18:ディスプレイ
20a、20b、20c、20d:無線タグ
30a、30b、30c、30d:自動車部品
50:上位システム
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−3773(P2008−3773A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171414(P2006−171414)