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【発明の名称】 押ボタン継手構造および押ボタン継手による押下力伝達方法
【発明者】 【氏名】坂東 卓

【要約】 【課題】本発明は、押ボタンの継手に関し、より詳細にはパイプ内に一連のボールを充填し、パイプの一端に操作部材を他端に可動部材を設けて操作部からの押下による変位をボールに伝達して可動部材を変位させる押ボタン継手構造および押ボタン継手による押下力伝達方法に関するものである。

【解決手段】本発明は、上部に操作面を下部に棒状のボスを有して上下方向に変位自在の操作部材と、パイプの内部に一連に充填した複数のボールとから成る変位伝達部材と、変位力を受ける受力面と対象物に変位力として作用する作用面とを有して押バネで付勢された可動部材とで構成し、変位伝達部材の一端は操作部材と係合して他端は前記可動部材と係合し、操作面の押下に基づいて押下方向に変位し、その変位によってボールがパイプ内を順次変位し可動部材が作用面の方向に変位する、ことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に操作面を下部に棒状のボスを有し、上下方向に変位自在の操作部材と、
パイプと該パイプの内部に一連に充填した複数のボールとから成る変位伝達部材と、
与えられた変位力を受ける受力面と、該受力面と反対に位置して対象物に変位力として作用する作用面とを有し、押バネで該作用面から該受力面の方向に付勢された可動部材とを備え、
前記変位伝達部材の一端は前記操作部材と係合して該一端に位置するボールが前記ボスと当接し、該変位伝達部材の他端は前記可動部材と係合して該他端に位置するボールが前記受力面と当接し、前記操作面の押下に基づいて該操作部材は押下方向に変位し、該変位によって該ボスを介して該ボールが前記パイプ内を順次変位し、該可動部材の受力面は該他端に位置するボールの変位を受けて該可動部材が該作用面の方向に変位すること
を特徴とする押ボタン継手構造。
【請求項2】
前記変位伝達部材は湾曲部を有し、該湾曲部の曲率半径は前記ボールの直径寸法の所定数倍以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の押ボタン継手構造。
【請求項3】
前記変位伝達部材のパイプは可撓性を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の押ボタン継手構造。
【請求項4】
前記変位伝達部材のパイプは柔軟性を有し、該パイプ内は潤滑材を塗布する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の押ボタン継手構造。
【請求項5】
上部に操作面を下部に棒状のボスを有する操作部材の該操作面が押下されることにより該操作部材は押下方向に変位し、
前記変位により、パイプの内部に一列に充填した所定の直径寸法のボールと当接した前記操作部材のボスは該ボールに作用して該ボールを該パイプ内を順次変位させ、
前記パイプの最終端のボールの変位により、該最終端のボールと当接する可動部材は押バネにより付勢された該可動部材を減勢して変位すること
を特徴とする押ボタン継手による押下力伝達方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、押ボタンの継手に関し、より詳細にはパイプ内に一連のボールを充填し、パイプの一端に操作部材を他端に可動部材を設けて操作部からの押下による変位をボールに伝達して可動部材を変位させる押ボタン継手構造および押ボタン継手による押下力伝達方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デスクトップ型のパーソナルコンピュータにはCDやDVD等の汎用5インチ光ディスクドライブユニットを搭載することが一般的になっている。これらのドライブユニットはパーソナルコンピュータの前面や側面に配置されている。パーソナルコンピュータは、その性能と共に外観のデザインも売上に大きく寄与することから、ドライブユニットを化粧パネルで覆い、イジェクトボタンのみ配置することが多く行なわれている。記録媒体はこのイジェクトボタンが押下されると、化粧パネルの一部がトレイ用のカバーとなっており、そのカバーが開いてトレイを排出するようになっている。イジェクトボタンはドライブユニットの構造から通常ドライブユニットが横置きの場合はトレイの下部に、縦置きの場合は後方に配置される。
【0003】
上記に示したドライブユニットのパーソナルコンピュータへの配置の従来例を図4を用いてより詳細に説明する。図4は、モニタと本体とが一体となったパーソナルコンピュータの例で、ドライブユニットは横置きに配置した例である。図4(a)はパーソナルコンピュータを覆う化粧パネルを外した状態を示しており、モニタ1の下部にドライブユニット10を配置している。この図のドライブユニット10において、イジェクトスイッチ20はトレイ30の下方右下に配置されている。
【0004】
図4(b)は、図4(a)に対して化粧パネルを取り付けた状態を示している。ドライブユニット10の前面をカバー50で覆い、イジェクトボタン40は図4(a)のイジェクトスイッチ20の正面前方に配置している。イジェクトボタン40を押下すると、イジェクトボタン40のカバー50に隠れた先端(図示せず)がイジェクトスイッチ20を押下し、トレイ10が排出するようになっている。
【0005】
図4(c)は、図4(b)の状態でイジェクトボタン40が押され、カバー50が開いてトレイ30が排出した状態を示している。図4(c)に示すように、イジェクトボタン40は排出したトレイ30の下に隠れ見にくい状態にある。
【0006】
このような不都合を解消するものとして、ドライブユニットの前面にアーム部を設け、アームの一端を筐体に固定し、他端を例えばドライブユニットの右側の位置に露出させ、その露出した部分をイジェクトボタンとする。そして、イジェクトボタンを押したとき、イジェクトスイッチが押され、トレイを排出する提案がなされている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−67760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に述べたように、イジェクトスイッチはドライブユニットの構造上トレイの下部に設けられ、そのイジェクトスイッチの前方にイジェクトボタンを配置するとトレイを排出したとき、そのトレイに隠れてイジェクトボタンが見にくい、と言う問題がある。即ち、操作性が悪い、という問題がある。
【0008】
特許文献1で提案された方法は梃子の原理でスイッチから離れた位置からイジェクトボタンの操作ができ、上記問題を解決する方法である。しかし、ドライブユニットを横置きにしてイジェクトスイッチを奥行き方向に押す場合(イジェクトボタンはイジェクトスイッチと同じように垂直面に配置することになる)はよいが、同様に横置きにドライブユニットを配置してイジェクトボタンを上方から下方に向かって押下するようにしたい場合には困難である。
【0009】
本発明は、イジェクトボタンの押下方向に制限されずにイジェクトスイッチから離れた位置に配置できる押ボタン継手構造および押ボタン継手による押下力伝達方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の押ボタン継手構造および押ボタン継手による押下力伝達方法は以下のように構成される。
(1)第1の発明
第1の発明の押ボタン継手構造は、操作部材、変位伝達部材および可動部材から構成する。
【0011】
操作部材は、上部に操作面を下部に棒状のボスを有し、上下方向に変位自在である。
【0012】
変位伝達部材は、パイプとそのパイプの内部に一連に充填した複数のボールとから成る。
【0013】
可動部材は、外部から与えられた変位力を受ける受力面と、その受力面と反対に位置して対象物に変位力として作用する作用面とを有して、可動部材は押バネで作用面から受力面の方向に付勢されている。
【0014】
そして、変位伝達部材の一端は操作部材と係合してその一端に位置するボールがボスと当接し、変位伝達部材の他端は可動部材と係合してその他端に位置するボールが受力面と当接し、操作面の押下に基づいて操作部材は押下方向に変位し、その変位によってボスを介してボールがパイプ内を順次変位し、可動部材の受力面は他端に位置するボールの変位を受けて可動部材が作用面の方向に変位すること、を特徴とするものである。
【0015】
上記の構造により、パイプ中のボールを変位の伝達手段に用いたので、スイッチから離れた位置に押ボタンを配置して、押下力を確実に伝えることができる押ボタン継手構造を提供できる。
(2)第2の発明
第2の発明は、第1の発明における押ボタン継手構造において変位伝達部材は湾曲部を有し、湾曲部の曲率半径はボールの直径寸法の所定数倍以上であることを特徴とするものである。
【0016】
上記により、変位伝達部材を定められた曲率以上とすることで、3次元の任意の方向に押下力の伝達ができる。
(3)第3の発明
第3の発明は、第1の発明における押ボタン継手構造において変位伝達部材のパイプが可撓性を有する、ことを特徴とするものである。
【0017】
変位伝達部材のパイプが可撓性を有することで、押ボタン継手構造の配置および取付けの自由度が高まる。
(4)第4の発明
第4の発明は、第1の発明における押ボタン継手構造において変位伝達部材のパイプが柔軟性を有し、該パイプ内は潤滑材を塗布する、ことを特徴とするものである。
変位伝達部材のパイプが柔軟性を有することで、より押ボタン継手構造の配置および取付けの自由度が高まる。
(5)第5の発明
第5の発明は、第1の発明の押ボタン継手構造における押下力伝達方法の発明である。
【発明の効果】
【0018】
上述のように本発明によれば、次に示す効果が得られる。
【0019】
第1の発明により、スイッチの正面前方に押ボタンの操作部を配置しなくてもよく、操作性の良い位置に押ボタンを配置できる押ボタン継手構造の提供ができる。
【0020】
第2の発明により、3次元の任意方向に押圧力の伝達ができ、より操作性の良い位置に押ボタンを配置できる。
【0021】
第3の発明により、押ボタン継手構造の装置への配置および取付けを容易にできる。
【0022】
第4の発明により、より押ボタン継手構造の装置への配置および取付けを容易にできる。
【0023】
第5の発明により、第1の発明と同様の効果が得られる押ボタンによる押下力伝達方法の提供ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
押ボタン継手構造の実施形態を、図1から図3を用いて説明する。
【0025】
図1は押ボタン継手構造100の全体の構成を示すもので、操作部材200、変位伝達部材300および可動部材400から構成する。
【0026】
操作部材200は、さらに操作部本体210と取付け金具220とから構成する。操作部本体210の上面が利用者によって押下される操作面211で、その操作面211の反対の面にボス212を形成している。ボス212は棒状でその断面は円形でその端面は後述するパイプ310内の上端部にあるボール320と当接している。また、操作部本体210はボス212の両側にガイド213を形成している。ボス212およびガイド213は、取付け金具220に開けられた穴を介して図の状態で上下に変位できる。ガイド213は、上下の変位において、ぐらつきを押さえる役割を持つ。取付け金具220は図1の横から見るとL字形状に成形しており、上部の面にボス212とガイド213を通す穴を設けている。ボス212を通す穴は下方に延びる外縁を形成し、その部分にパイプ310を係合している。取付け金具220の下部は装置に取り付けるためのものでネジ穴221を設けている。操作部本体210は例えばABS樹脂で成形したものであり、装置に配置したときこの部分が「押ボタン」となる。取付け金具220の材質は鉄や黄銅等である。
【0027】
変位伝達部材300は、パイプ310と複数のボール320から成る。パイプ310内にはボール320が一列に連なって充填し、ボール320は互いに接している状態にある。即ち、ボール320とボール310の間に隙間がないようにしておく(従って個々のボールは隣接するボールと二つの接点を持つことになる)。パイプ310は例えばABS樹脂で成形したものであり、ボール320はPOM(ポリアセタール樹脂)で成形したものである。POMは自己潤滑性があり、パイプ内面を変位する時の摩擦力が少なく、効率よく変位する。即ち、変位力を効率よく伝達する。この例では、パイプ外形は8mm、内径6mmでボール直径は5.8mmである。また、パイプの曲率半径は15mmである。曲率半径はボール320とパイプ310との摩擦係数によって異なるが、摩擦係数に対応してボール直径のn倍以上と実験に基づいて定めておく。パイプ310の材質はテフロン(登録商標)やPOMでもよく、また塩化ビニールでもよい。塩化ビニールは柔軟性があるが、内部のボール320との摩擦力が大きいので、この場合は例えばシリコーン系の潤滑材を内面に塗布しておく。
【0028】
可動部材400は、可動部材本体410、押ばね420、取付け金具A430および取付け金具B440からなる。可動部材本体410は鍔を備えた円柱形状で例えばABS樹脂を成形したもので、上部の面はボール320からの変位を受ける受力面411で、その反対面(下部の面)は例えば押ボタンスイッチに変位として作用する作用面412である。押バネ420は図1に示すように可動部本体410の下部の円柱の周りに配置し、取付け金具B440と可動部本体410の鍔との間にあって可動部本体410を上方に付勢している。可動部材本体410は例えばABS樹脂を成形したものであり、取付け金具A430および取付け金具B440は鉄や黄銅等である。
【0029】
次に、図1で示した押ボタン継手構造の変位の伝達の状態を図2を用いて説明する。図2では操作部本体210は例えばパーソナルコンピュータに取り付けられ、CDドライブのイジェクトボタンであり、可動部材400の作用面はCDドライブのイジェクトスイッチ(図示しない)と当接しているものとする。
【0030】
図2において、パーソナルコンピュータの利用者が操作部本体210の操作面211を押す(図2のF)と、操作部本体210は押下してそのボス212はパイプ310の上端にあるボール320を押すことになる。上端のボール320の変位に伴って、その上端のボール320と接しているボール320は変位し、順次ボールの変位が起る。即ち、変位力が伝達されることになる。パイプ310の最終端のボール320の変位により、そのボール320に接している可動部本体410の受力面411に変位力が働くので可動部本体410は押ばね420の付勢力に逆らって変位する(利用者が押下した力は押ばね420の付勢力より大きいものとする)。これにより、可動部本体410の作用面は下方に変位する(図2のΔX)ことになり、作用面412にイジェクトスイッチを当接しておけば、このイジェクトスイッチは押され、スイッチが投入されることになる。
【0031】
次に、図1の押ボタン継手構造100をパーソナルコンピュータに配置した場合の例を示す。図3(a)は化粧パネルを外した状態で、ドライブユニット10上のドライブスイッチ40(図3では見えない)に押ボタン継手構造100の可動部材400の作用面412が接するようにして金具A430および取付け金具B440で固定している。そして押ボタン継手構造100の操作部本体210を上方から押される位置に取付け金具220で固定している。この実施例では、変位伝達部材300は上方から左方に曲がり、さらに左方に曲がった変位伝達部材300は前方から後方に曲がり、二つの曲がった部分を有している。
図3(b)は、化粧パネルを取り付け、化粧パネルから露出した操作部本体210を押下した状態を示している。操作部本体210の押下によりカバー50が開き、トレイ30が排出した状態になっている。上方から下方に向かって操作部本体210が押され、その変位によりパイプ310内のボール320の変位は下方から左方に向かって変位し、最終端のボール320は前方から後方に向かって変位し、これによって可動部本体410が同方向(前方から後方)に変位し、ドライブユニット10のイジェクトスイッチ40の投入を行なうことになる。
上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
上部に操作面を下部に棒状のボスを有し、上下方向に変位自在の操作部材と、
パイプと該パイプの内部に一連に充填した複数のボールとから成る変位伝達部材と、
与えられた変位力を受ける受力面と、該受力面と反対に位置して対象物に変位力として作用する作用面とを有し、押バネで該作用面から該受力面の方向に付勢された可動部材とを備え、
前記変位伝達部材の一端は前記操作部材と係合して該一端に位置するボールが前記ボスと当接し、該変位伝達部材の他端は前記可動部材と係合して該他端に位置するボールが前記受力面と当接し、前記操作面の押下に基づいて該操作部材は押下方向に変位し、該変位によって該ボスを介して該ボールが前記パイプ内を順次変位し、該可動部材の受力面は該他端に位置するボールの変位を受けて該可動部材が該作用面の方向に変位すること
を特徴とする押ボタン継手構造。
(付記2)
前記変位伝達部材は湾曲部を有し、該湾曲部の曲率半径は前記ボールの直径寸法の所定数倍以上である
ことを特徴とする付記1に記載の押ボタン継手構造。
(付記3)
前記変位伝達部材のパイプは可撓性を有する
ことを特徴とする付記1または付記2に記載の押ボタン継手構造。
(付記4)
前記変位伝達部材のパイプは柔軟性を有し、該パイプ内は潤滑材を塗布する
ことを特徴とする付記1または付記2に記載の押ボタン継手構造。
(付記5)
上部に操作面を下部に棒状のボスを有する操作部材の該操作面が押下されることにより該操作部材は押下方向に変位し、
前記変位により、パイプの内部に一列に充填した所定の直径寸法のボールと当接した前記操作部材のボスは該ボールに作用して該ボールを該パイプ内を順次変位させ、
前記パイプの最終端のボールの変位により、該最終端のボールと当接する可動部材は押バネにより付勢された該可動部材を減勢して変位すること
を特徴とする押ボタン継手による押下力伝達方法。
(付記6)
前記ハイプ内のボールは、自己潤滑性を有する
ことを特徴とする付記1乃至付記4に記載の押ボタン継手構造。
(付記7)
前記ハイプ内のボールは、隣接するボールと二つの接点を有する
ことを特徴とする付記1乃至付記4に記載の押ボタン継手構造。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の押ボタン継手構造例である。
【図2】押ボタン継手構造における操作部を押下したときの可動部の変位である。
【図3】本発明の押ボタン継手構造のPC適用例である。
【図4】ドライブユニットとイジェクトボタンの配置の従来例
【符号の説明】
【0033】
1 モニタ
10 ドライブユニット
20 イジェクトスイッチ
30 トレイ
40 イジェクトボタン
50 カバー
200 操作部材
310 操作部本体
211 操作面
212 ボス
113 ガイド
320 取付け金具
221 取付けねじ穴
200 変位伝達部材
310 パイプ
320 ボール
300 可動部材
310 可動部本体
311 受力面
312 作用面
320 押さえばね
330 取付け金具A
340 取付け金具B
350 取付けねじ穴
【出願人】 【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
【出願日】 平成18年12月28日(2006.12.28)
【代理人】 【識別番号】100108187
【弁理士】
【氏名又は名称】横山 淳一


【公開番号】 特開2008−165514(P2008−165514A)
【公開日】 平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願番号】 特願2006−354728(P2006−354728)