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【発明の名称】 操作ペダルの支持構造
【発明者】 【氏名】徳毛 雅之

【氏名】日浦 哲男

【氏名】石田 博文

【要約】 【課題】非衝突時はペダルの不用意な脱落を規制し且つ車両衝突時にはドライバの足に衝突エネルギが入力するのを防止する。

【解決手段】ペダルブラケット(3)と回動レバー(7)と脱落規制部材(8)を備える。ペダルブラケット(3)は、ブレーキペダル(4)を軸支する第1支軸(S1)を受け入れる第1支持孔(303)と、第1支持孔(303)に連なる切欠き(304)と、ピン部材(20)を受け入れる長孔(307)とを備える。回動レバー(7)は、ペダルブラケット(3)に設けられた第2支軸(S2)を中心に回動可能であり、車両の衝突時に車体側部材と干渉することにより第1支軸(S1)を押し下げる。脱落規制部材(8)は、第1支軸(S1)に回動可能に設けられており、ピン部材(20)と第2支軸(S2)と係合して回動が規制されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバによって操作される操作ペダルの支持構造であって、
ダッシュパネルに固定され、前記操作ペダルを軸支する車幅方向に延びる第1支軸を受け入れる第1支持孔と、車幅方向に延びるピン部材を受け入れる車体前後方向に延びる長孔とを備えたペダルブラケットと;
前記ペダルブラケットに設けられ且つ車幅方向に延びる第2支軸を中心に回動可能な回動レバーであって、車両の衝突時に車体側部材と干渉することにより前記第2支軸を中心に揺動して前記第1支軸を下方に押し下げる回動レバーと;
前記第1支軸に回動可能に設けられ且つ前記ピン部材と前記第2支軸又は回動レバー若しくはペダルブラケットとに係合して、前記第1支軸の脱落を規制するとともに、車両の非衝突時には前記回動レバーに対して相対回転不能に連結され、車両の衝突時に回動レバーの揺動によって連結解除可能に構成された脱落規制部材と;を有し、
車両衝突時に前記回動レバーの揺動によって前記脱落規制部材による脱落の規制を解除するとともに前記第1支軸を下方に押し下げることにより該第1支軸が前記第1支持孔から離脱することを特徴とする操作ペダルの支持構造。
【請求項2】
前記回動レバーが、前記ピン部材と係合する爪を有する、請求項1に記載の操作ペダルの支持構造。
【請求項3】
前記脱落規制部材が前記ピン部材を受け入れて該ピン部材に係止されるU字状フォーク部を有する、請求項1に記載の操作ペダルの支持構造。
【請求項4】
前記ペダルブラケットに、非衝突時に、前記第1支軸が前記第1支持孔から離脱するのを規制する離脱規制部が設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の操作ペダルの支持構造。
【請求項5】
前記第1支持孔に連なる切欠きを更に有し、該切欠きを通じて衝突時に前記第1支持孔から離脱した前記第1支軸を前記ペダルブラケットから下方に脱落させる、請求項1〜4記載の操作ペダルの支持構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は操作ペダルの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキペダルやクラッチペダル等のドライバの足によって操作される操作ペダルは、ペダルブラケットを介してダッシュパネルに支持されている。すなわち、ペダルブラケットはダッシュパネルに固定され、このペダルブラケットに対して操作ペダルは、その上端部が、車幅方向に延びる第1支軸を介してペダルブラケットに連結されている。このようなペダル類は、車両の衝突時(前方衝突時)に、その衝突エネルギがペダル類を介して、ペダルを操作しているドライバの足に入力しなようにするのが望ましい。
【0003】
この要請に応じる技術として、特許文献1は、ペダルブラケットに対して回動レバーを車幅方向に延びる第2支軸によって揺動自在に保持し、前方衝突時には、回動レバーが車体側部材と当接することにより、第2支軸を中心として回動して、この回動レバーの回動により、操作ペダルを支持している第1支軸を強制的に後方へ変位させることを提案している。
【0004】
特許文献2は、前方衝突時に、操作ペダルの揺動支点となる回転軸を、操作ペダルの下端部に設けられたペダル踏込み部に対して相対的に後方側に変位させるようなペダル支持構造として、上記回転軸を上方の初期位置に保持させるためにスプリングの付勢力を利用することを提案している。
【0005】
特許文献3は、前方衝突時に、操作ペダルの支軸を保持するペダルブラケットを車幅方向に拡開変形させることにより、ペダルブラケットからペダルを離脱させることを提案している。
【0006】
【特許文献1】特表2005-510785号公報
【特許文献2】特許3269372号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第0659615号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した特許文献1及び2に記載されたものでは、非衝突時に、操作ペダルの支軸が脱落しないようにしているが、ドライバによるペダル踏み込み操作に起因して下方への大きな荷重が作用した場合に、操作ペダルの支軸が脱落してしまう虞がある。また、特許文献3に記載されたものでは、車両の衝突時にペダルブラケットが拡開変形される際に、斜め方向の荷重が作用する等により操作ペダルが傾斜状態になると、操作ペダルのペダルブラケットからの確実な離脱ということを確保することが難しくなる。
【0008】
この発明は、非衝突時はペダルの不用意な脱落を確実に規制することができ、かつ、車両衝突時にはペダルを通じてドライバの足に衝突エネルギが入力してしまうのを防止することができる操作ペダルの支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
ドライバによって操作される操作ペダルの支持構造であって、
ダッシュパネルに固定され、前記操作ペダルを軸支する車幅方向に延びる第1支軸を受け入れる第1支持孔と、車幅方向に延びるピン部材を受け入れる車体前後方向に延びる長孔とを備えたペダルブラケットと;
前記ペダルブラケットに設けられ且つ車幅方向に延びる第2支軸を中心に回動可能な回動レバーであって、車両の衝突時に車体側部材と干渉することにより前記第2支軸を中心に揺動して前記第1支軸を下方に押し下げる回動レバーと;
前記第1支軸に回動可能に設けられ且つ前記ピン部材と前記第2支軸又は回動レバー若しくはペダルブラケットとに係合して、前記第1支軸の脱落を規制するとともに、車両の非衝突時には前記回動レバーに対して相対回転不能に連結され、車両の衝突時に回動レバーの揺動によって連結解除可能に構成された脱落規制部材と;を有し、
車両衝突時に前記回動レバーの揺動によって前記脱落規制部材による脱落の規制を解除するとともに前記第1支軸を下方に押し下げることにより該第1支軸が前記第1支持孔から離脱することを特徴とする操作ペダルの支持構造を提供することにより達成される。
【0010】
本発明の操作ペダルの支持構造によれば、非衝突時にあってはペダルブラケットの第1支持孔に設けられた第1支軸によって操作ペダルが支持されているが、衝突時には、回動レバーによって第1支軸が強制的に第1支持孔から離脱させられ、この第1支軸は、脱落規制部材によって非衝突時の脱落を規制した状態で支持されることから、非衝突時に操作ペダルが下方に脱落するのを防止しつつ、衝突時に衝突エネルギがドライバの足に作用するのを抑制することができる。このことに加えて、脱落規制部材が、第1支軸に回動可能に設けられ且つピン部材と第2支軸又は回動レバー若しくはペダルブラケットとに係合して、第1支軸の脱落を規制するとともに、車両の非衝突時には前記回動レバーに対して相対回転不能に連結され、車両の衝突時に回動レバーの揺動によって連結解除可能に構成されているため、非衝突時、例えば車両への組み付け時には不用意に回動レバーが揺動するのを防止することができ、これにより操作ペダルの支持構造をユニット化して車両に組み付けるときの作業性を向上することができる。
【0011】
例えば、脱落規制部材をピン部材と係合させる手段として、本発明の実施の形態では、脱落規制部材にピン部材を受け入れて該ピン部材に係止されるU字状フォーク部が設けられている。前記回動レバーは好ましくはピン部材と係合する爪を有し、衝突時の回動レバーの回動に伴って回動レバーの爪をピン部材と干渉させることによりピン部材を長孔内で変位させ、このピン部材の変位によってピン部材と係合している脱落規制部材をピン部材から離脱させるようにするのが好ましい。これによれば、衝突時に脱落規制部材を確実にピン部材から離脱させることができる。
【0012】
前記ペダルブラケットには、非衝突時に、前記第1支軸が前記第1支持孔から離脱するのを規制する離脱規制部を設けて不用意に第1支軸が第1支持孔から離脱するのを防止するのが好ましい。衝突時に第1支持孔から離脱する第1支軸は、好ましくは、第1支持孔に連なる切欠きを通じてペダルブラケットから下方に脱落させるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0014】
図1は、実施例のブレーキペダルの支持構造の側面図である。図1において、参照符号1はダッシュパネルであり、その前方にエンジンルームERが位置し、後方に車室Cが位置している。ダッシュパネル1には、そのエンジンルームER側にブレーキブースタ2が取り付けられ、車室C側にペダルブラケット3が取り付けられており、ペダルブラケット3には、ブレーキペダル4が車体前後方向に揺動自在に支持されている。従来と同様に、ブレーキブースタ2はブレーキペダル4にプッシュロッド2aを介して連結されており、ブレーキペダル4の下端部つまりペダル踏込み部4aをドライバ(図示せず)が足で前方に押すことにより、ブレーキペダル4がその上端部の第1支軸S1を中心に前方動してプッシュロッド2aを前方に押すことで車両を制動することができる。
【0015】
図1の参照符号5は、車幅方向に延びるパイプからなるステアリングコラム支持用のインストルメントパネルレインフォースメントを示し、インストルメントパネルレインフォースメント5には、前方に向けて延びる車体側部材6を有し、この車体側部材6の前端に、略垂直方向に広がりを有する垂直壁6aが設けられている。
【0016】
図2〜図5は、ペダルブラケット3を含むブレーキペダル4を支持するための支持構造を示す図である。これら図2〜図5を参照して、ペダルブラケット3には、車両前突時にブレーキペダル4の支軸S1をペダルブラケット3から下方に脱落させる機構が設けられている。
【0017】
ブレーキペダル4の支持機構は、ペダルブラケット3の他に、回動レバー7と脱落規制部材8とを含む。ペダルブラケット3は、基本的に、ダッシュパネル1にボルト止めされる取付基板部301と、この取付基板部301の上端部において、その左右両端縁から後方に互いに平行に延びる左右一対の側板部302とを有している。各側板部302には略円形の第1支持孔303が形成され、この左右の第1支持孔303には、車幅方向に延びる第1支軸S1が挿入される。
【0018】
図3を参照して、第1支軸S1は、その主要部品としてボルト13が採用されており、このボルト13は、ボルトヘッド13aとは反対側の先端部にネジ13bが切られており、このネジ13bは、ペダルブラケット3に対する第1支軸S1の取付け後において車幅方向外側に位置される。
【0019】
ブレーキペダル4は、上端部に設けられた挿通孔4bに内外二重のスリーブ14、15が挿通され、内側スリーブ15に上記ボルト13を挿入した後にボルト13にナット16を螺合することにより組み付けられ、そして、ブレーキペダル4は第1支軸S1を中心に揺動自在に支持される。
【0020】
図6は作用説明図であるが、この図6から最も良く分かるように、上記第1支持孔303は、これに連なる切欠き304を通じて下方に開放しており、切欠き304は、切欠き304を規定する互いに対向する両側壁間の離間距離Dが突起305によって第1支持孔303の直径よりも狭められており、これにより非衝突時に第1支軸S1が第1支持孔303から下方に離脱するのを規制する離脱規制部が構成されて第1支軸S1が不用意に第1支持孔303から切欠き304を通じて下方に離脱するのを防止しつつ、第1支軸S1に対して下方に向けて設定値以上の大きな荷重が加わったときには、突起305及び/又は第1支軸S1(ボルト13)の変形を伴って実質的に拡開した切欠き304を通じて第1支軸S1が下方に離脱することができる。なお、図示の例では、切欠き304を規定する両側壁のうち一方の側壁に突起305を設けてあるが、双方の側壁に突起305を設けてもよい。
【0021】
ペダルブラケット3の一対の側板部302、302には、上記第1支持孔303の前方に長孔307が形成され、上記第1支持孔303の後方に、円形の第2支持孔308が形成されている。なお、図2などに符号309で示す仮想線は加工基準孔を示す。
【0022】
ペダルブラケット3には、前述した回動レバー7と脱落規制部材8が組み付けられており、後述するように、この3つの部材3、7、8の連係によって、車両が前方衝突したときに、ブレーキペダル4を回動レバー7の揺動によってペダルブラケット3から下方に離脱させることができるとともに、車両の非衝突時には脱落規制部材8によってブレーキペダル4の脱落を規制することができる。
【0023】
図4から分かるように、回動レバー7は、断面略コ字状に形成されており、それぞれペダルブラケット3の各側板部302の内面に沿って延びる左右一対のT字状の側板部701と、両側板部701の上端縁部を互いに連結する天板部702とを有し、側板部701の上端部及び天板部702は後方に大きく延びる形状を有している。
【0024】
回動レバー7は、各側壁部701の下端部に形成された円形透孔703に円筒状スペーサ704が嵌装されており、この円筒状スペーサ704の長さ寸法は、両側壁部701、701間の離間距離よりも大きく、円筒状スペーサ704の両端部は、各側壁部701の外側に突出している。円筒状スペーサ704の突出端部704aには、後の説明から分かるように、脱落規制部材8の後端部が係止されるようになっている。
【0025】
回動レバー7の前端部には、上下の爪705a、705bを備えて前方に向けて開放したU字状の第1フォーク部705を有し、また、各側板部701の下端縁且つ前部において、ブレーキペダル4の軸部つまり第1支軸S1と対向する部分に円弧状形状部706を有する。
【0026】
回動レバー7は、第2支軸S2を介してブレーキブラケット3に対して回動可能に取り付けられており、この第2支軸S2の前方に円弧状形状部706が設けられている。すなわち、ブレーキブラケット3には、前述したように、その両側板部303の後端部に第2支持孔308が形成され、この第2支持孔308よりも前方に円弧状形状部706が位置するようになっている。そして、一対の第2支持孔308には第2支軸S2が設けられ、この第2支軸S2が回動レバー7の円筒状スペーサ704内に挿入される。
【0027】
図3を参照して、第2支軸S2は、その主要部品としてボルト21が採用されており、このボルト21は、ボルトヘッド21aとは反対側の先端部にネジ21bが切られており、このネジ21bは、ペダルブラケット3に対する第2支軸S2の取付け後において車幅方向外側に位置され、ナット22が螺着される。
【0028】
回動レバー7をブレーキブラケット3に組み付けた状態では、回動レバー7の前端部の第1フォーク部705が、ブレーキブラケット3の長孔307間に延びるピン部材20(図3)に係止され、また、回動レバー7の円弧状形状部706は、第1支軸S1の外周面に対して所定のクリアランスC(図2)を介して位置するように設定されている。勿論のことであるが、ピン部材20は長孔307の長手方向に沿って変位可能である。
【0029】
上記脱落規制部材8は、ペダルブラケット3の各側板部302の内側且つ回動レバー7の各側板部701の外側に位置して、ペダルブラケット3と回動レバー7との間に配設される。すなわち、脱落規制部材8は、互いに独立した一対の部材で構成されている。
【0030】
脱落規制部材8は、ペダルブラケット3の各側板部302に沿って前後方向に延びる形状を有し、図4から分かるように、その前後方向中央部に円形孔801が形成され、後端部に下方に向けた半円状の凹所802が形成され、前端に、上下の爪803a、803bによって規定され且つ前方に向けて開放したU字状のフォーク部803が形成されている。
【0031】
脱落規制部材8は、中央円形孔801に上記第1支軸S1を挿入した状態でペダルブラケット3に組み付けられ、この組立状態では、脱落規制部材8の後端部の凹所802が上記円筒状スペーサ704の各突出端部704aの上に載置された状態で係止される(図4、図5)。すなわち、凹所802は円筒状スペーサ704の突出端部704aの円形の外形輪郭と相補的な円弧状の形状を有しており、この凹所802が円筒状スペーサ704の突出端部704aの上半分の部分に載置された状態で係止される。
【0032】
脱落規制部材8は、これをペダルブラケット3に組み付けた状態では、その前端に設けられたU字状フォーク部803が上記ピン部材20を受け入れた状態となり、このピン部材20に係止された状態となるため、非衝突時の第1支軸S1に対する支持剛性を確保することができると共に、第1支軸S1の脱落を規制することができる。
【0033】
すなわち、ブレーキペダル4が軸支される第1支軸S1の前方に位置するピン部材20には、回動レバー7及び脱落規制部材8の2つのU字状フォーク705、803が係止されるが、この2つのU字状フォーク705、803は、その開放した向きが異なっており、回動レバー7のフォーク705が斜め上方に向き、脱落規制部材8のU字状フォーク803が水平方向に向いている。
【0034】
脱落規制部材8は、その後端部、例えば凹所802の上方領域に小孔804が設けられ、この小孔804に挿入した締結部材24を介して回動レバー7に位置固定されている(図5)。図4の参照符号707は、締結部材24を受け入れるために回動レバー7に設けられた小孔である。締結部材24は例えばアルミニウム製のカシメピンで構成され、この締結部材24を横断する方向に大きな力が作用したときには締結部材24が破断して脱落規制部材8と回動レバー7とが分離される。
【0035】
このように、脱落規制部材8を締結部材24で回動レバー7と一体化することにより、ブレーキペダル4、回動レバー7、脱落規制部材8とをペダルブラケット3に対してサブアッセンブリしたときに、このサブアッセンブリ組立体は、脱落規制部材8がU字状フォーク803と回動レバー7の円筒状スペーサ704の突出端部704aと締結部材24との3箇所で位置固定されていることから、脱落規制部材8と回動レバー7との相対的な動きが規制されサブアッセンブリ組立体全体が位置固定された状態となっている。したがって、このサブアッセンブリ組立体がユニット化され、車体に組み付ける際の組み付け作業性を向上することができる。
【0036】
上述したペダル支持構造によれば、ブレーキペダル4は第1支軸S1を介してペダルブラケット3に揺動可能に支持されているため、従来と同様に、ブレーキペダル4の下端のペダル踏込み部4aを足で踏み込むことで車両を制動することができ、また、第1支軸S1は、ピン部材20によって下方への変位が規制された脱落規制部材8によっても支持されているため、ブレーキ踏み込み時における第1支軸S1に対する支持剛性を十分に確保することができると共に脱落を規制することができる。
【0037】
車両が前方衝突してダッシュパネル1(図1参照)及びペダルブラケット3が後方に変位したときには、回動レバー7の側板部701の後端が、車体側部材6の垂直壁6aに衝突し、これに伴って回動レバー7が、第2支軸S2を中心として、回動レバー7の後端部が上方に跳ね上がる方向に回動する。図6は、この状態変化を示すものであり、回動レバー7は仮想線で示す位置が正規状態であり、前方衝突時には、正規状態から、回動レバー7の後端が車体側部材6に衝突して跳ね上がる状態に変わる。
【0038】
回動レバー7が回動すると、回動レバー7の前端部が下方に変位する。この回動レバー7の前端部の下方への変位よってU字状フォーク705の上側爪705aがピン部材20を長孔307内で前方に変位させる。ピン部材20が前方に変位してピン部材20から離脱した回動レバー7は、その前端部が更に下方に変位することができ、そして、回動レバー7の円弧状形状部706が第1支軸S1を下方に押し下げ、これにより、ブレーキペダル4を軸支する第1支軸S1は、ペダルブラケット3の第1支持孔303から切欠き304に入り込み、突起305を押し潰す及び/又は第1支軸S1そのものの変形を伴いながら切欠き304を通過してペダルブラケット3の下方に脱落する。
【0039】
車両の前方衝突時の上述した回動レバー7の動きに関連して、回動レバー7と脱落規制部材8とを一体化している締結部材24は、回動レバー7の変位に伴う剪断力によって破断し、これにより脱落規制部材8は回動レバー7から解放された状態となる。また、回動レバー7のU字状フォーク705がピン部材20を前方に強制変位させることに伴って、ペダルブラケット3の長孔307内を前方に変位するピン部材20は脱落規制部材8のU字状フォーク803から離脱し、これにより、脱落規制部材8は、ピン部材20から解放された状態となる。
【0040】
締結部材24の破断による回動レバー7からの解放及びピン部材20が前方に変位することに伴ってピン部材20から解放された脱落規制部材8は、ブレーキペダル4と共に脱落することになる。
【0041】
如上の説明から理解できるように、車両が前方衝突したときに、ブレーキペダル4がペダルブラケット3から離脱するため、ブレーキペダル4が後方へ後退してしまうのを確実に防止することができると共に、車両の非衝突時には、脱落規制部材8によってブレーキペダル4がブレーキブラケット3から脱落するのを規制することができる。また、脱落規制部材8を締結部材24で回動レバー7と一体化することにより、両者の相対的な動きを規制してブレーキペダル4の支持構造をユニット化でき、車両に組み付けるときの作業性を向上することができる。
【0042】
なお、本発明は、例示された実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0043】
前述した実施例では、回動レバーの円弧状形状部706とブレーキペダル4の上端縁との間に所定のクリアランスCを設け、かつ、脱落規制部材8の円形孔801に対してブレーキペダル4の第1支軸S1がクリアランスなく挿通支持される構造を採用してあるが、回動レバー7の円弧状形状部706とブレーキペダル4の上端縁との間におけるクリアランスCを極力小さく設定し、他方、脱落規制部材8の円形孔801の直径を拡大又は円形孔801の形状を楕円形状にするなどブレーキペダル4を軸支する第1支軸S1が所定の範囲内で自由に変位可能な状態にする構造を採用してもよい。
【0044】
前述した実施例では、回動レバー7の前端にU字状のフォーク部705を設けてあるが、このU字状フォーク705の下側爪705bを省いて上側爪705aだけで構成してもよい。なお、この場合には、ピン部材20の前方への変位を規制するため長孔307の長手方向中央部分に突起305と同様の突起を設けるなど、非衝突時に長孔307の後端部にピン部材20を位置固定する構成が必要である。
【0045】
前述した実施例では、回動レバー7に設けられた第2支軸S2を構成する円筒状スペーサ704の突出端部704aに、脱落規制部材8の後端部の凹所802を係止させるようにしたが、これに限定されることなく、脱落規制部材8の後端部を第2支軸S2に対して回動可能に連結することができるのであれば任意の構造を採用してもよいし、また、脱落規制部材8の後端部をペダルブラケット3に回動可能に連結する構成を採用してもよい。
【0046】
前述した実施例では、衝突時に、第1支軸S1が第1支持孔303から切欠き304を通じてペダルブラケット3から下方に脱落するように構成されているが、例えば第1支持孔303の下方に車体前後方向に延びる長孔をペダルブラケット3に設け、この長孔によって衝突時に前記第1支持孔303から離脱した第1支軸S1を受け入れるようにしてもよい。
【0047】
更に、前述した実施例では、本発明の適用例としてブレーキペダル4の支持構造を例示したが、これに限定されることなく、本発明は、例えばアクセルペダル、クラッチペダル等の他の操作ペダルにも同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例に係るブレーキペダルの支持構造を車両に組み込んだ状態の概略側面図である。
【図2】実施例のブレーキペダルの支持構造の側面図であり、非衝突時の状態を示す図である。
【図3】実施例のブレーキペダルの支持構造の分解斜視図である。
【図4】実施例のブレーキペダルの支持構造に含まれる回動レバー及び脱落規制部材の分解斜視図図である。
【図5】実施例に含まれる回動レバーと脱落規制部材とを組み付けたサブアッセンブリ組立体の斜視図である。
【図6】実施例のブレーキペダルの支持構造において衝突時の動作を説明するための、図2に対応した図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ダッシュパネル
3 ペダルブラケット
4 ブレーキペダル
6 車体側部材
6a 車体側部材垂直壁
7 回動レバー
8 脱落規制部材
24 締結部材
301 取付基板部
302 側板部
303 ペダルブラケットの第1支持孔
304 ペダルブラケットの切欠き
305 ペダルブラケットの突起(離脱規制部)
307 ペダルブラケットの長孔
308 ペダルブラケットの第2支持孔
705 回動レバーのU字状フォーク部
705a 回動レバーの上側爪
705b 回動レバーの下側爪
706 円弧状形状部
801 脱落規制部材の円形孔
802 脱落規制部材の半円状凹所
803 脱落規制部材のU字状フォーク部
S1 第1支軸
S2 第2支軸
【出願人】 【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【識別番号】506132544
【氏名又は名称】株式会社オートテクニカ
【出願日】 平成18年9月22日(2006.9.22)
【代理人】 【識別番号】100098187
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 正司

【識別番号】100085707
【弁理士】
【氏名又は名称】神津 堯子


【公開番号】 特開2008−77466(P2008−77466A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−256860(P2006−256860)