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【発明の名称】 ペダル操作装置
【発明者】 【氏名】赤羽根 英司

【氏名】岩本 貴宏

【氏名】山田 晃廉

【要約】 【課題】前後方向に揺動操作するペダルの操作範囲の規制手段を、ペダルの横に設置および操作のスペースを不要にし、かつ切換操作を容易にし、提供する。

【構成】操作規制手段28が、ペダル22の踏み面Tの裏に一体に取り付けられ縁部に操作範囲規制部32を有したペダルブラケット34と、選択した操作範囲規制部と協同してペダル22の操作範囲を規制するロックピン36と、ロックピン36を操作範囲規制部それぞれに対応する位置に係脱自在に係止する係止部38を有したサポートブラケット40と、ロックピン36に連結されペダル22の前側に位置し選択した操作範囲規制部に対応する係止部とロックピン36との係脱を操作するロックレバー42を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心に前後方向に揺動操作可能なペダルの操作範囲を選択自在に規制する操作規制手段を備え、
操作規制手段が、
ペダルの踏み面の裏に一体に取り付けられ該軸線を中心にした弧状の縁部に複数種類の操作範囲規制部を有したペダルブラケットと、
該軸線に平行に位置し選択した操作範囲規制部と協同しペダルの操作範囲を規制するロックピンと、
ロックピンを複数の操作範囲規制部それぞれに対応する位置に係脱自在に係止する複数の係止部を有したサポートブラケットと、
ロックピンに連結されペダルの前側に位置し選択した操作範囲規制部に対応する係止部とロックピンとの係脱を操作するロックレバーと
を備えている、
ことを特徴とするペダル操作装置。
【請求項2】
複数種類の操作範囲規制部が、
ペダルの前後両方向の操作が可能な複動部、前方向の操作が可能な単動部、および両方向の操作が不可能な固定部を備えている、
ことを特徴とする請求項1記載のペダル操作装置。
【請求項3】
ロックピンが、
付勢手段によって該軸線の方向に付勢されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のペダル操作装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルのような作業機械に好適なペダル操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械の代表例である油圧ショベルは、運転席の床面に、作業装置などの作動を操作するための複数のペダル操作装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このペダルは、オペレータの足によって前後に揺動操作され、例えばシリンダの伸縮を操作するペダルは、操作しない状態においては、付勢力によって前後の中間の「中立」位置に保持されシリンダの作動は停止され、「前方」に踏込んだ状態においてはシリンダは例えば伸張され、踏込みを解除すると「中立」位置に戻り、逆に「後方」に踏込んだ状態においてはシリンダは収縮され、踏込みを解除すると「中立」位置に戻る。
【0004】
油圧ショベルのような作業機械は、作業に応じて種々の作業装置、例えばブレーカー、グラップルなどを交換装備する。したがってペダルの操作には、作業装置に合わせて次の3つの代表的な形態が要求される。
【0005】
第1形態:作業装置が、例えば把持装置であるグラップル、圧壊装置である破砕爪のような場合は、掴む・離す、の操作が必要である。したがって、ペダルの操作は「前方」で掴む、「中立」で保持する、「後方」で離すの、「複動」操作が必要である。
【0006】
第2形態:作業装置が、例えば打撃装置であるブレーカーのような場合は、作動は打撃するかしないかだけであるので、ペダルの操作は「前方」でオン、「中立」でオフの、「単動」操作が必要である。
【0007】
第3形態:作業装置を作業の状況などによって操作しない場合は、隣接したペダルの操作などにおいて間違ってペダルを踏込み作業装置が作動するのを防ぐために、あるいはペダルを備えても作業装置を装備していない場合には、ペダルを前後に動かないようにする、「固定」の形態が必要である。
【0008】
ペダルに要求される複動、単動、固定のような操作形態を、機械的に切換可能に規制する手段が種々実用されている。一例(特許文献2、図7参照)は、ペダルの下の床面にペダルの裏面に当接しその移動を規制するボルトを着脱可能に取り付けるものである。他の例(特許文献2、図1〜図5参照)は、ペダルの横に複数のピンを抜き差し自在に取り付けピンの抜き差しによってペダルの移動を規制するものである。
【特許文献1】特開平7−292726号公報
【特許文献2】特開平8−175215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のような操作の規制手段を有したペダル操作装置には、次のとおりの改善の望まれている課題がある。
【0010】
すなわち、ペダル下の床面にペダルの移動を規制するボルトを着脱可能に備える手段は、ペダル操作の形態の切換頻度が少ない、あるいはほとんどない場合には有効であるが、切換頻度が多い場合には、ボルトの着脱に工具が必要であり、切換操作は面倒である。
【0011】
ペダルの横に複数のピンを抜き差し自在に備える手段は、ペダルの横に複数のピンの設置スペースおよび操作スペースが必要であり、複数のペダルが隣接して設置される場合、また床面が狭い場合には、ピンの設置および操作が難しく、複数のピンの操作も煩わしい。
【0012】
さらに、上述の油圧ショベルのような作業機械は、作業装置を迅速に着脱交換できようにしたクイックカプラ装置を備えている。そして、作業に応じて、作業装置を例えば、単動操作のブレーカーあるいは複動操作のグラップルに交換装備し、同じ操作ペダルによって操作する場合には、単動操作と複動操作とが容易に切り換えできることが望まれている。
【0013】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、前後方向に揺動操作されるペダルの操作範囲を切り換える手段を、ペダルの横に設置および操作のスペースを不要にし、かつ切換操作を容易し、備えたペダル操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、上記技術的課題を解決するペダル操作装置として、軸線を中心に前後方向に揺動操作可能なペダルの操作範囲を選択自在に規制する操作規制手段を備え、操作規制手段が、ペダルの踏み面の裏に一体に取り付けられ該軸線を中心にした弧状の縁部に複数種類の操作範囲規制部を有したペダルブラケットと、該軸線に平行に位置し選択した操作範囲規制部と協同しペダルの操作範囲を規制するロックピンと、ロックピンを複数の操作範囲規制部それぞれに対応する位置に係脱自在に係止する複数の係止部を有したサポートブラケットと、ロックピンに連結されペダルの前側に位置し選択した操作範囲規制部に対応する係止部とロックピンとの係脱を操作するロックレバーとを備えている、ことを特徴とするペダル操作装置が提供される。
【0015】
好適には、複数種類の操作範囲規制部は、ペダルの前後両方向の操作が可能な複動部、前方向の操作が可能な単動部、および両方向の操作が不可能な固定部を備えている。また、ロックピンは、付勢手段によって該軸線の方向に付勢されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に従って構成されたペダル操作装置の操作規制手段は、ペダルの裏に取り付けられペダルの揺動軸線を中心にした縁部に操作範囲規制部を有したペダルブラケットと、この規制部と協同しペダルの操作範囲を規制するロックピンと、ロックピンを操作範囲規制部の対応する位置に係脱自在に係止する係止部を有したサポートブラケットと、ペダルの前側に位置しロックピンの係脱を操作するロックレバーを備えている。
【0017】
したがって、ペダルの操作範囲を切り換えるには、ペダル前側のロックレバーを用いて、ペダルの裏に配設された、ペダルブラケットの操作範囲規制部、サポートブラケットの係止部、およびロックピンを、選択的組み合わせればよいので、ペダルの操作範囲を切り換える手段を、ペダルの横に設置および操作のスペースを不要にし、かつ切換操作を容易し備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に従って構成されたペダル操作装置について、好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0019】
図1および図2を参照して説明する。ペダル操作装置Pは、ペダル22の踏み面Tに足を乗せ、軸線Xを中心に中立位置(図1の状態)から矢印Fで示す前方あるいはRで示す後方に操作することにより、床20に設置した油圧パイロット弁24を切換操作し、油圧シリンダなど油圧作動機器の作動を制御するためのパイロット圧油を給排する。油圧パイロット弁24は床20に複数のボルト26によって取り付けられている。
【0020】
ペダル操作装置Pは、ペダル22の前後方向の操作範囲を、前後の操作を可能にする「複動」、中立位置と前方の間の操作を可能にする「単動」、および前後の操作を不可能にする「固定」に、選択自在に規制する操作規制手段28を備えている。
【0021】
操作規制手段28は、ペダル22の踏み面Tの裏に一体に取り付けられ軸線Xを中心にした弧状の縁部30に複数種類の操作範囲規制部32を有したペダルブラケット34と、軸線Xに平行に位置し選択した操作範囲規制部32と協同しペダル22の操作範囲を規制するロックピン36と、ロックピン36を操作範囲規制部32それぞれに対応する位置に係脱自在に係止する複数の係止部38を有したサポートブラケット40と、ロックピン36に連結されペダル22の前側に位置し選択した操作範囲規制部32に対応する係止部38とロックピン36との係脱を操作するロックレバー42を備えている。
【0022】
ペダルブラケット34は、鋼板を折り曲げて形成され、ペダル22の前後方向に延びる矩形の底板部34aと、底板部34aの左右両側から上方に延びペダル22の裏面の前後方向中央に一体に接合されるとともに前側に弧状の縁部30を形成した側板部34b、34cと、底板部34aの後端から上方に延びペダル22の裏面後部に一体に接合された後板部34dを備えている。底板部34aは油圧パイロット弁24に複数のボルト44によって取り付けられている。
【0023】
サポートブラケット40は、鋼板を折り曲げて形成され、床20面に取り付けられる底部40aと、底部40aから上方にペダルブラケット34の両側に沿って延び、上端部に係止部38が形成された縦板40b、40cを備えている。
【0024】
図1、図2とともに図3(a)主として図3(a)を参照して操作範囲規制部32について説明する。操作範囲規制部32は、複数種類の操作範囲規制部としての複動部32a、単動部32b、固定部32cを、一対の側板部34b、34cそれぞれの縁部30に、底板部34a側のY1位置からペダル22の裏面Y5位置までの間に、順次に備えている。
【0025】
複動部32aは、位置Y1とY2の間に軸線Xを中心に半径R1の円弧部32dによって形成されている。単動部32bは、位置Y2とY3の間に半径R1よりも、ほぼロックピン36の外径分小さい半径R2の円弧部32eによって形成されている。位置Y2において半径R1の円弧部32dは、半径R2の円弧部32eに放射状に延びる壁部32fを有したR部によって連結されている。固定部32cは、位置Y3とY4の間に、半径R2よりもほぼロックピン36の外径分小さい半径R3に底部を位置付けた、ロックピン36を係止するU字凹部32gによって形成されている。位置Y4とY5の間は、半径R2あるいはそれより小さい半径R4の円弧部32hを備えている。
【0026】
図1、図2とともに図3(b)主として図3(b)を参照して係止部38について説明する。係止部38は、縦板40b、40cそれぞれの上端部に、複数の係止部として複動用係止部38a、単動用係止部38b、固定用係止部38cを、一対の係止部それぞれにロックピン36を差し渡し自在に、また係脱を自在に凹溝状に形成して備えている。
【0027】
一方の縦板40bは、後に述べる付勢手段46用の取付穴40dを備えている。サポートブラケット40は底部40aが床20面に載置され、ボルト(省略されている)によって取り付けられている。
【0028】
図1〜図3を参照して説明を続ける。ロックピン36は、丸棒状に形成され、サポートブラケット40の一対の縦板40b、40cそれぞれの、複動用係止部38a、単動用係止部38b、固定用係止部38cに、両端部が係止される長さを有している。ロックピン36の一端部側、ペダルブラケット34の側板部34bとサポートブラケット40の縦板40bの間には矩形の板片46aが位置付けられ、ロックピン36は板片46aに、貫通し固定されている。
【0029】
板片46aの一端とサポートブラケット40の取付穴40dの間には、ロックピン36を軸線Xの方向に付勢する付勢手段46である引っ張りばね46bが取り付けられている。板片46aの他側に、前述のロックレバー42が、T字状の握り部を有して一体に取り付けられている。
【0030】
図1〜図3とともに図4を参照して、操作範囲を「複動」、「単動」あるいは「固定」に規制する操作規制手段28の作用について説明する。
【0031】
「複動」図4(a):
ロックピン36をロックレバー42によって付勢手段46の付勢力に抗してサポートブラケット40の係止部38から離し、複動用係止部38aに位置付け係止すると、ロックピン36はペダルブラケット34の操作範囲規制部32の複動部32aに対向した外側に位置付けられ、ペダル22および一体になったペダルブラケット34は、軸線Xを中心にした揺動をロックピン36によって規制されることなく、中立位置(N)から前方(F)および後方(R)の操作が自在な、「複動」操作可能な状態になる。
【0032】
「単動」図4(b):
ロックピン36をロックレバー42によって単動用係止部38bに位置付け係止すると、ロックピン36はペダルブラケット34の操作範囲規制部32の単動部32b対向した外側に位置付けられ、ペダル22および一体になったペダルブラケット34は、壁部32fがロックピン36に当接し軸線Xを中心にした後方(R)への移動が止められるので、中立位置(N)から前方(F)の操作、すなわち「単動」操作が可能な状態になる。
【0033】
「固定」図4(c):
ロックピン36をロックレバー42によって固定用係止部38cに位置付け係止すると、ロックピン36はペダルブラケット34の操作範囲規制部32の固定部32cに位置付けられ、ペダル22および一体になったペダルブラケット34は、ロックピン36によって軸線Xを中心にした中立位置(N)から前方(F)後方(R)の操作が不可能な「固定」の状態になる。
【0034】
上述したとおりの操作規制手段28を備えたペダル操作装置Pの作用効果について説明する。
【0035】
ペダル操作装置Pは、ペダル22の操作範囲を選択自在に規制する操作規制手段28が、ペダル22の踏み面Tの裏に一体に取り付けられ軸線Xを中心にした縁部30に複数種類の操作範囲規制部32(32a、32b、32c)を有したペダルブラケット34と、軸線Xに平行に位置し選択した操作範囲規制部32と協同しペダル22の操作範囲を規制するロックピン36と、ロックピン36を複数の操作範囲規制部32それぞれに対応する位置に係脱自在に係止する複数の係止部38(38a、38b、38c)を有したサポートブラケット40と、ロックピン36に連結されペダル22の前側に位置し選択した操作範囲規制部32に対応する係止部38とロックピン36との係脱を操作するロックレバー42を備えている。
【0036】
したがって、ペダル22の複数種類の操作範囲32を切り換えるには、ペダル22の前側に位置したロックレバー42によってロックピン36の係止位置を、ペダル22裏のペダルブラケット34に備えた複数種類の操作範囲規制部32に選択的に対応させ係止すればよいので、ペダル22の操作範囲の切換手段である操作規制手段28を、ペダル22の横に設置および操作のスペースを不要にし、かつ切換操作を容易し、備えることができる。
【0037】
ペダル操作装置Pは、複数種類の操作範囲規制部32として、ペダル22の前後両方向の操作が可能な複動部32a、前方向の操作が可能な単動部32b、さらに両方向の操作が不可能な固定部32cを備えているので、ペダル操作の目的に応じてこの3種の操作形態を適宜に切り換え、効率よくペダル操作を行うことができる。
【0038】
特に、油圧ショベルのように種々の作業装置を迅速に着脱交換できるクイックカプラ装置を備え、作業装置として単動操作のブレーカーあるいは複動操作のグラップルを装備する場合には、一つのペダル操作装置Pを操作規制手段28によって容易に単動操作用、複動操作用に切り換えることができる。
【0039】
また、ロックピン36は、付勢手段46によって軸線X方向に付勢されているので、ペダル操作装置Pを、より確実に、また容易に、複数種類の操作範囲規制部に、規制そして保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に従って構成されたペダル操作装置の側面図。
【図2】図1のペダル操作装置の斜視図(ボルトなどの取付手段は省略されている)。
【図3】図1のペダルブラケットおよびサポートブラケットの要部拡大詳細図。(a)はペダルブラケット、(b)はサポートブラケット。
【図4】図1の操作規制手段の(a)「複動」(b)「単動」(c)「固定」の作用説明図。
【符号の説明】
【0041】
22:ペダル
28:操作規制手段
30:縁部
32a:複動部(操作範囲規制部)
32b:単動部(操作範囲規制部)
32c:固定部(操作範囲規制部)
34:ペダルブラケット
38a:複動用係止部(係止部)
38b:単動用係止部(係止部)
38c:固定用係止部(係止部)
40:サポートブラケット
42:ロックレバー
46:付勢手段
P:ペダル操作装置
T:踏み面
X:軸線
【出願人】 【識別番号】000190297
【氏名又は名称】新キャタピラー三菱株式会社
【出願日】 平成18年7月14日(2006.7.14)
【代理人】 【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純

【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子


【公開番号】 特開2008−21218(P2008−21218A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−194048(P2006−194048)