トップ :: G 物理学 :: G05 制御;調整

【発明の名称】 電源内蔵集積回路
【発明者】 【氏名】齋藤 考生

【氏名】室田 和明

【要約】 【課題】複数の電圧レギュレータに対して、その給電負荷に応じて適切に過熱保護を図ることのできる電源内蔵集積回路を提供する。

【構成】入力電圧を夫々所定の出力電圧に調整する複数の電圧レギュレータ41と、前記電圧レギュレータ41の近傍温度に基づいて何れかの電圧レギュレータ41を停止させる過熱停止信号を出力する複数の過熱保護回路42とが基板上に集積配置され、各過熱保護回路42の過熱検知温度が夫々異なるように設定されるとともに、その出力が前記複数の電圧レギュレータ41の何れかに接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を夫々所定の出力電圧に調整する複数の電圧レギュレータと、前記電圧レギュレータの近傍温度に基づいて何れかの電圧レギュレータを停止させる過熱停止信号を出力する複数の過熱保護回路とが基板上に集積配置され、各過熱保護回路の過熱検知温度が夫々異なるように設定されるとともに、その出力が前記複数の電圧レギュレータの何れかに接続されている電源内蔵集積回路。
【請求項2】
各過熱保護回路の出力が前記複数の電圧レギュレータの何れに接続されるかを外部信号により切替可能なセレクタ回路を備えている請求項1記載の電源内蔵集積回路。
【請求項3】
前記複数の電圧レギュレータの何れかにその出力電圧または出力電流に基づいて当該電圧レギュレータを停止させる異常停止信号を出力する異常検出回路を設け、当該電圧レギュレータに対する過熱保護回路の出力と前記異常検出回路の出力とがゲート回路を介して当該電圧レギュレータに接続され、双方の出力が停止レベルであるときにのみ当該電圧レギュレータを停止させるように構成されている請求項1記載の電源内蔵集積回路。
【請求項4】
前記過熱保護回路の出力が外部出力されるとともに、遅延回路を介して前記電圧レギュレータに接続されている請求項1または2記載の電源内蔵集積回路。
【請求項5】
前記過熱保護回路のうち過熱検知温度が低い過熱保護回路の出力が、過熱検知温度の高い過熱保護回路が接続された電圧レギュレータの負荷回路に対して接続可能に構成されている請求項1または2記載の電源内蔵集積回路。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電圧を夫々所定の出力電圧に調整する複数の電圧レギュレータと、前記電圧レギュレータの近傍温度に基づいて前記電圧レギュレータを停止させる過熱停止信号を出力する過熱保護回路とが基板上に集積配置されている電源内蔵集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電圧レギュレータ等、大電流を駆動するトランジスタを備えた集積回路では、負荷の過失短絡や過電流により集積回路が熱破壊される虞があるため、集積回路中に異常温度を検出して前記トランジスタ等を強制オフする過熱保護回路が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、入力電圧を夫々所定の出力電圧に調整する複数の電圧レギュレータが基板上に集積配置されている電源内蔵集積回路では、回路構成の簡素化のために単一の過熱保護回路が設けられ、異常温度が検出されると全ての電圧レギュレータの出力電流が制限されるように構成されたものが提案されている。
【0004】
特許文献2には、温度センサと常時駆動される冷却用ファンとを内蔵した電源を備えた情報処理装置において、前記温度センサ出力により電源内部の温度監視を連続的に行い、予め設定された異常温度の監視状態に入った場合にその経過時間を計測し、異常温度の監視状態が予め設定された所定時間以上継続した場合にはその時点でプログラムのシャットダウン処理を行うとともに、所定時間内であっても前記異常温度よりも高く予め設定された危険温度に達した場合には即座にプログラムのシャットダウン処理を行うようにしたことを特徴とする情報処理装置が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−234739号公報
【特許文献2】特開平9−171420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、一つの電圧レギュレータの過失短絡により集積回路の内部温度が異常上昇するときに、全ての電圧レギュレータの出力が停止されると、他の電圧レギュレータから給電される負荷に対して大きな影響を及ぼすという問題があった。
【0007】
例えば、そのような負荷としてマイクロコンピュータを用いた制御回路が接続されているような場合に、不意に給電が停止するとメモリに記憶されたデータが消失し、当該マイクロコンピュータによる制御システムに重大な問題を引き起こすことになるのである。
【0008】
特に電源内蔵集積回路が車両に搭載される様々な制御回路や負荷回路への電力供給回路として使用される場合には、不意に給電が停止すると重要な故障データや制御データが消失し、システムの安全性及び信頼性を損なうという問題があった。
【0009】
特許文献2に記載されたシャットダウン制御は、電源が停止していないという条件の下で成立するものであり、電源が停止すると対策できないものであった。
【0010】
そこで、例えば、電源内蔵集積回路を構成する電圧レギュレータのうち、マイクロコンピュータを用いた制御回路を負荷とする電圧レギュレータに過熱保護回路の出力を接続しないように構成すると、制御回路等に過失短絡が発生したときに電源内蔵集積回路が熱破壊されるという問題が生じる。
【0011】
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、複数の電圧レギュレータに対して、その給電負荷に応じて適切に過熱保護を図ることのできる電源内蔵集積回路を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明による電源内蔵集積回路の特徴構成は、入力電圧を夫々所定の出力電圧に調整する複数の電圧レギュレータと、前記電圧レギュレータの近傍温度に基づいて何れかの電圧レギュレータを停止させる過熱停止信号を出力する複数の過熱保護回路とが基板上に集積配置され、各過熱保護回路の過熱検知温度が夫々異なるように設定されるとともに、その出力が前記複数の電圧レギュレータの何れかに接続されている点にある。
【0013】
上述の構成によれば、各電圧レギュレータにより給電される負荷回路の特性に応じて過熱検知温度を異ならせることができるようになり、過電流により破壊され易い負荷回路は過熱検知温度を低く設定して信頼性を高め、過電流によるダメージよりも給電停止により大きな不都合が生じるマイクロコンピュータ等が搭載される負荷回路は過熱検知温度を高く設定して動作の信頼性を確保することができるようになるというように、システムのフレキシビリティを高めることができるようになる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明した通り、本発明によれば、複数の電圧レギュレータに対して、その給電負荷に応じて適切に過熱保護を図ることのできる電源内蔵集積回路を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明による電源内蔵集積回路を電子機器に適用した実施形態について説明する。
【0016】
前記電子機器は、図1に示すように、CPU13を搭載しており前記電子機器の各構成要素を制御する負荷回路3としてのマイクロコンピュータ1と、前記マイクロコンピュータ1において使用されるプログラムやデータを保存しておく外部記憶手段2と、前記電子機器の動作において各々の機能を実現するための制御を行なう負荷回路3(図1では3aから3d)と、本発明による電源内蔵集積回路4とを備えて構成されている。
【0017】
前マイクロコンピュータ1は、プログラム格納用のROM11と、データ処理のために使用するワーキングエリアとしてのRAM12と、前記プログラムを実行するCPU13等を備えて構成されており、前記プログラムに基づいて所定の機能が実現されるように構成されている。
【0018】
前記外部記憶手段2は、ハードディスクや磁気ディスク等の大容量の記憶媒体で構成されており、前記マイクロコンピュータ1で使用されるデータやプログラムが格納されている。
【0019】
前記外部記憶手段2と前記CPU13との間の転送速度は、前記RAM12と前記CPU13との間の転送速度に比べて遅いため、前記マイクロコンピュータ1は、必要に応じて、前記データを前記外部記憶手段2から前記RAM12へ転送させてから処理を行なうように構成されている。
【0020】
また、前記マイクロコンピュータ1は、必要に応じて、前記プログラムや前記データを前記RAM12から前記外部記憶手段2へ転送させて、バックアップデータとして保存するように構成されている。
【0021】
前記負荷回路3aから3dの各々は、前記電子機器にモータが搭載されている場合のモータの駆動を制御するための回路や、前記電子機器に映像モニタが搭載されている場合の各種情報の入力と表示を制御するための回路等の、前記電子機器の各種機能を実現するための回路で構成されている。
【0022】
以下、前記電源内蔵集積回路4の複数の実施形態について説明する。
【0023】
第一の実施形態として、前記電源内蔵集積回路4は、図2に示すように、バッテリ等の電源(図示せず)と、前記電源からの入力電圧を夫々所定の出力電圧に調整する複数の電圧レギュレータ41(図2では41aから41e)と、前記電圧レギュレータ41の近傍温度に基づいて何れかの電圧レギュレータ41を停止させる過熱停止信号を出力する複数の過熱保護回路42(図2では42aと42b)とが基板上に集積配置されて構成されている。
【0024】
前記電圧レギュレータ41は、図3に示すように、前記電源からの入力Vinとマイクロコンピュータ1または負荷回路3(図3では負荷回路3)との間に直列接続されるブーストトランジスタ411と、前記過熱保護回路42からの過熱停止信号に基づいて前記入力Vinと前記負荷回路3との導通と遮断を切り替えるスイッチ412と、前記ブーストトランジスタ411の出力電圧を分圧して帰還電圧Vfbを生成する抵抗413、414と、前記ブーストトランジスタ411の出力電圧を設定するための基準電圧Vrefを生成する基準電圧電源415と、前記帰還電圧Vfbが前記誤差増幅器416の非反転入力端子に入力され、前記基準電圧Vrefが前記誤差増幅器416の反転入力端子に入力されており、前記帰還電圧Vfbと前記基準電圧Vrefを比較する電圧調整コンパレータ416とを備えて構成されており、前記電圧調整コンパレータ416の出力と前記ブーストトランジスタ411のベースが接続されている。
【0025】
尚、ブーストトランジスタ411の上流側にスイッチ回路412を設けるものであっても良く、また、ブーストトランジスタ411のベース電圧を誤差増幅器416による制御状態と、誤差増幅器416にかかわらずブーストトランジスタ411をオフ状態にする停止状態とを切り替えるようにスイッチ回路を設けるものであってもよい。
【0026】
そして、前記電圧レギュレータ41は、前記帰還電圧Vfbが前記基準電圧Vrefより小さいときには、前記ブーストトランジスタ411の出力電流を増加させて前記出力電圧が高くなるように制御して、一方、前記帰還電圧Vfbが前記基準電圧Vrefより大きいときには、前記ブーストトランジスタ411の出力電流を抑制して前記出力電圧が低くなるように制御するように構成されている。
【0027】
前記電源内蔵集積回路4において、複数の電圧レギュレータ41の何れか(例えば、電圧レギュレータ41a)には、その出力電圧に基づいて当該電圧レギュレータ41aを停止させる異常停止信号を出力する異常検出回路43が設けられており、当該電圧レギュレータ41aに対する過熱保護回路42aの出力と前記異常検出回路43の出力とが、AND回路等で構成されるゲート回路44を介して当該電圧レギュレータ41aに接続され、双方の出力が停止レベルであるときにのみ当該電圧レギュレータ41aを停止させるように構成されている。
【0028】
尚、図2では、前記異常検出回路43が設けられているのは前記電圧レギュレータ41aのみであるが、前記異常検出回路43が複数の電圧レギュレータ41の夫々に設けられてもよいことはいうまでもない。
【0029】
前記異常検出回路43は、図4(a)に示すように、前記電圧レギュレータ41(図4(a)では41a)の出力電圧を分圧して被判定出力電圧Vj1を生成する抵抗431、432と、当該電圧レギュレータ41aに過熱異常が発生していると判断する基準となる過熱判定基準電圧Vth1を生成する過熱基準電圧電源433と、反転入力端子に入力した前記被判定出力電圧Vj1と非反転入力端子に入力した前記過熱判定基準電圧Vth1を比較する過熱判定コンパレータ434とを備えて構成されている。
【0030】
そして、当該電圧レギュレータ41aの内部温度上昇に伴う当該電圧レギュレータ41aにおける電圧降下の増大によって、当該電圧レギュレータ41aの出力電圧、つまり、前記被判定出力電圧Vj1が低下して、前記過熱基準電圧Vth1より小さくなると、前記異常検出回路43は、前記過熱判定コンパレータ434より異常停止信号を出力する。
【0031】
また、前記異常検出回路43は、図4(b)に示すように、前記過熱基準電圧電源433と前記過熱判定コンパレータ434の代わりに、過熱判定トランジスタ435と過熱基準電源436と過熱基準抵抗437を備えた構成であってもよい。
【0032】
図4(b)に示す構成において、当該電圧レギュレータ41aの内部温度が上昇していない場合は、前記被判定出力電圧Vj1が大きいことから、前記過熱判定トランジスタ435のコレクタからエミッタへ流れる電流が大きく、よって、前記異常検出回路43から前記ゲート回路44へ流れる電流は小さく、異常停止信号は出力されない。
【0033】
一方、当該電圧レギュレータ41aの内部温度が上昇した場合は、前記被判定出力電圧Vj1が小さくなることから、前記過熱判定トランジスタ435のコレクタからエミッタへ流れる電流が小さくなり、よって、前記異常検出回路43から前記ゲート回路44へ流れる電流は大きくなり、異常停止信号が出力される。
【0034】
さらに、前記異常検出回路43は、前記電圧レギュレータ41において使用されている抵抗を共用している構成であってもよく、図5に示すように、図4(a)に示す前記異常検出回路43の抵抗431、432と、図3に示す前記電圧レギュレータ41の抵抗413、414を抵抗R1、R2、R3として共用しており、図4(a)に示す過熱基準電圧電源433と、図3に示す基準電圧電源415を共用基準電源E1として共用している。
【0035】
尚、前記電源内蔵集積回路4が、前記マイクロコンピュータ1用の前記電圧レギュレータ41aの出力電圧が低下した際に、前記マイクロコンピュータ1にリセット信号を出力するリセット回路を内蔵している場合には、前記リセット回路を前記異常検出回路43として用いてもよい。つまり、前記異常検出回路43の出力の代わりに前記リセット回路より出力される前記リセット信号が、前記ゲート回路44を介して前記電圧レギュレータ41aに接続されるのである。
【0036】
前記過熱保護回路42は、基板上に集積配置されているチップとしての前記電圧レギュレータ41のチップ温度または前記チップ温度と擬制される温度(以下、近傍温度と示す)を検出するために、前記近傍温度が検出可能な程に前記チップの各々に近接した位置に配置されている温度検出手段(図示せず)を備えて構成されており、前記温度検出手段によって検出されたある電圧レギュレータ41の温度が異常上昇していると判断した場合、つまり、前記過熱保護回路42において予め設定されている過熱検知温度を超えた旨が検出された場合に、前記過熱保護回路42は自身に接続されている全ての電圧レギュレータ41に対して過熱停止信号を出力するように構成されている。
【0037】
前記温度検出手段は、例えば、サーミスタや温度センサIC等で構成されており、前記サーミスタは、前記半導体基板上に集積配置する必要性からチップサーミスタが望ましい。
【0038】
また、前記過熱保護回路42の各々の過熱検知温度は、夫々異なるように設定されており、例えば、図2に示す2個の過熱保護回路42aと42bにおいて、前記過熱保護回路42aの過熱検知温度が前記過熱保護回路42bの過熱検知温度よりも高く設定されている場合は、前記電圧レギュレータ41cから41eは、前記電圧レギュレータ41aと41bよりも低い温度で過熱であると判断されて停止することになる。
【0039】
さらに、各過熱保護回路42の出力は、前記複数の電圧レギュレータ41の何れか(一つ又は複数)に接続されているが、この接続について詳述すると、例えば、同一の過熱検知温度によって過熱状態であると判断される負荷回路3に用いられる電圧レギュレータ41は同じ過熱保護回路42に接続され、または、同一の基板上に接続されている若しくは基板外部に接続されている等の接続の分類が同一の負荷回路3に用いられる電圧レギュレータ41は同じ過熱保護回路42に接続される。
【0040】
以上説明した第一の実施形態によれば、ある電圧レギュレータ41が、他の電圧レギュレータ41の過熱異常に起因して停止することが好ましくない場合でも、上述の構成によれば、異常検出回路411が、異常判定対象である電圧レギュレータ41の出力電圧異常を検出した場合のみ、当該電圧レギュレータ41を停止させるので、過熱保護回路42が複数の電圧レギュレータ41に接続されていた場合に、当該電圧レギュレータ41が他の電圧レギュレータ41の過熱保護による停止によって停止させられてしまう虞を回避することができる。
【0041】
第二の実施形態として、前記電源内蔵集積回路4は、図6に示すように、 前記過熱保護回路42の出力が外部出力されるとともに、遅延回路45を介して前記電圧レギュレータ41aに接続されるように構成されている。
【0042】
前記遅延回路45は、例えば、入力信号を所定時間後に出力させる少なくとも一つのD型フリップフロップ(図示せず)を備えて構成されており、前記過熱停止信号が前記電圧レギュレータ41aに入力されるタイミングが、前記過熱停止信号が前記マイクロコンピュータ1に入力されるタイミングに対して、所定時間遅延する。
【0043】
尚、前記遅延回路45は、入力信号を所定時間後に出力させる機能を有しているのであれば、前記D型フリップフロップ以外で構成されていてもよいことは言うまでもない。
【0044】
また、図6では、前記遅延回路45の出力は、前記電圧レギュレータ41aのみに接続されているが、前記電圧レギュレータ41aの代わりに、または前記電圧レギュレータ41aに加えて、前記電圧レギュレータ41の少なくとも一つの回路(図6では電圧レギュレータ41b)に接続されていてもよく、さらに、前記所定時間が夫々異なる遅延回路45を複数設けて、各々の遅延回路45の出力が異なる電圧レギュレータ41に接続されていてもよい。
【0045】
以上説明した第二の実施形態によれば、ある電圧レギュレータ41(図6では41a)からの給電によって作動する前記電源内蔵集積回路4の外部にある負荷回路(図6ではマイクロコンピュータ1)が、不意の電源停止前に所定処理、例えばデータの不揮発性メモリ等への書込み処理を行なう必要がある場合であっても、前記マイクロコンピュータ1が前記過熱保護回路42の出力、つまり、前記過熱停止信号を受け取ることにより確実に所定処理を開始し、終了することができる。
【0046】
また、前記過熱保護回路42の出力が前記遅延回路45を介して前記電圧レギュレータ41aに伝わることによって、前記所定処理前または所定処理最中に前記電圧レギュレータ41aの電源が停止してしまい、前記マイクロコンピュータ1が前記所定処理を実行することが不可能となる虞を防止することができる。
【0047】
第三の実施形態として、前記電源内蔵集積回路4は、図7に示すように、前記過熱保護回路42のうち過熱検知温度が低い過熱保護回路42bの出力が、過熱検知温度の高い過熱保護回路42aが接続された電圧レギュレータ41の負荷回路3(図7では負荷回路としてのマイクロコンピュータ1)に対して接続可能に構成されている。
【0048】
詳述すると、前記過熱保護回路42bの過熱検知温度である低い過熱検知温度TH1を超えると、前記過熱保護回路42bは過熱停止信号を出力し、前記過熱保護回路42bより過熱停止信号を受け取った前記マイクロコンピュータ1は、前記プログラムや前記データを前記RAM12から前記外部記憶手段2へ転送させる。
【0049】
その後、前記過熱保護回路42aの過熱検知温度である高い過熱検知温度TH2を超えると、前記過熱保護回路42aは過熱停止信号を出力し、前記過熱保護回路42aより過熱停止信号を受け取った前記電圧レギュレータ41aは停止するので、前記マイクロコンピュータ1は停止する。
【0050】
従って、前記RAM12から前記外部記憶手段2へのデータ等の転送は、前記低い過熱検知温度TH1に達してから前記高い過熱検知温度TH2に達するまでの時間で行なわれるので、前記低い過熱検知温度TH1と前記高い過熱検知温度TH2の差分は、一般的な温度変化の速さに基づいて、前記RAM12から前記外部記憶手段2へのデータ等の転送が行なわれるに十分な差分に設定する。
【0051】
低い過熱検知温度TH1によって停止させられる電圧レギュレータ41の具体例としては、アンテナ、外部アンプ、モータ等の前記電源内蔵集積回路4の外部へ接続する負荷回路3に用いるものがあり、高い過熱検知温度TH2によって停止させられる電圧レギュレータ41の具体例としては、CPU13やデジタルシグナルプロセッサ(DSP)等の前記電源内蔵集積回路4の内部へ接続する負荷回路3に用いるものがある。
【0052】
尚、図7では、前記過熱保護回路42bの出力は、前記マイクロコンピュータ1のみに接続されているが、前記マイクロコンピュータ1の代わりに、または前記マイクロコンピュータ1に加えて、他の負荷回路3(図7では過熱保護回路42aに接続されている負荷回路3a)に接続されていてもよい。
【0053】
以上説明した第三の実施形態によれば、過熱状態に至る温度上昇局面において、低い温度に達した時点において、前記負荷回路3(図7ではマイクロコンピュータ1)が電源停止前に行なう必要がある所定処理を開始して、一定時間後に高い温度に達した時点において、前記負荷回路3に給電している電圧レギュレータ41を停止させることで、前記電圧レギュレータ41の停止を前記負荷回路3の所定処理開始から遅延させるための新たな回路を設けることなく、前記所定処理前または所定処理最中に前記電圧レギュレータ41の電源が停止して前記所定処理の実行が不可能となる虞を防止することができる。
【0054】
第四の実施形態として、前記電源内蔵集積回路4は、各過熱保護回路42の出力が前記複数の電圧レギュレータ41の何れに接続されるかを外部信号により切替可能なセレクタ回路46を備えて構成されている。
【0055】
詳述すると、前記セレクタ回路46は、外部信号、例えば、前記マイクロコンピュータ1からの制御信号や外部スイッチによる設定信号によって、前記過熱保護回路42の夫々と接続される前記電圧レギュレータ41が決定される。
【0056】
例えば、図8において破線で示すように、入力接点46aから46cの各々と接続される出力接点461から465が、つまり、入力接点46aは出力接点461から465の少なくとも一つと接続する又は全く接続しない、入力接点46bは出力接点461から465の少なくとも一つと接続する又は全く接続しない、そして、入力接点46cは出力接点461から465の少なくとも一つと接続する又は全く接続しないとの組合せの何れかが決定される。
【0057】
以上説明した第四の実施形態によれば、外部信号によって前記セレクタ回路46を制御するだけで、過熱検知温度が夫々異なる各過熱保護回路42に接続される電圧レギュレータ41を変更することができる、つまり、各電圧レギュレータ41に過熱保護をかける温度の切り替えを容易に行なうことができるので、各電圧レギュレータ41によって給電される負荷回路3において、前記負荷回路3に搭載されている回路素子の劣化や、前記負荷回路3自体の交換といった突然の状況の変化による過熱保護をかける温度の切り替えにも柔軟に対応することができる。
【0058】
以下、別実施形態について説明する。
【0059】
上述の第一の実施形態では、図2に示すように、電圧レギュレータ41aに対する過熱保護回路42aの出力と異常検出回路43の出力とがゲート回路44を介して当該電圧レギュレータ41aに接続され、双方の出力が停止レベルであるときにのみ当該電圧レギュレータ41aを停止させる構成について説明したが、当該電圧レギュレータ41aは、前記過熱保護回路42の出力に係わらず、自身の出力が停止レベルであるときに当該電圧レギュレータ41aを停止させる構成であってもよい。
【0060】
詳述すると、図9に示すように、当該電圧レギュレータ41aは、前記過熱保護回路42とは接続されておらず、前記異常検出回路43の出力がゲート回路44を介することなく直接入力されており、たとえ、前記過熱保護回路42が過熱状態でない判断をしていても、前記異常検出回路43から異常停止信号が出力されていれば、当該電圧レギュレータ41aは停止させられる。
【0061】
上述の第一の実施形態では、異常検出回路43は、電圧レギュレータ41の出力電圧に基づいて異常停止信号を出力する構成について説明したが、前記異常検出回路43は、電圧レギュレータ41の出力電流に基づいて異常停止信号を出力する構成であってもよい。
【0062】
出力電流に基づいて異常停止信号を出力する前記異常検出回路43は、図10(a)に示すように、バッテリ等の電源からの入力電流である負荷電流を参照するための負荷電流トランジスタ43Aと、前記負荷電流トランジスタ43Aに流れる電流をブーストトランジスタ411に流れる電流よりも小さい所定値に制限し、且つ、被判定電圧Vj2を生成するための制限抵抗43Bと、電圧レギュレータ41に過熱異常が発生しているか否かの判定基準となる過熱基準電圧Vth2が反転入力端子に入力されており、前記基準電圧と非反転端子に入力されている前記過熱判定基準電圧Vj2とを比較する過熱判定コンパレータ434とを備えて構成されている。
【0063】
そして、過熱判定対象の電圧レギュレータ41の内部温度上昇に伴う負荷電流の増加によって、前記被判定電圧Vj2が増加して、前記過熱基準電圧Vth2より大きくなると、前記異常検出回路43は、前記過熱判定コンパレータ434より異常停止信号を出力する。
【0064】
また、電圧レギュレータ41に流れる電流が過大となって前記電圧レギュレータ41が故障することを防止するための過電流検知回路が、過熱判定対象の電圧レギュレータ41に内蔵されている場合には、前記異常検出回路43は、前記過電流検知回路47を前記異常検出回路43として用いる構成であってもよい。
【0065】
例えば、前記異常検出回路43と同じ回路構成である前記過電流検知回路47を用いた場合、過熱判定コンパレータ434の出力が所定値以上だった場合、つまり、前記異常検出回路43が異常停止信号を出力した際に、図10(a)において破線で示すように、当該出力を電圧調整コンパレータ416に入力することで、前記電圧調整コンパレータ416をオフとするように前記過電流検知回路47を構成することで、当該電圧レギュレータ41に過電流が流れることを防止している。
【0066】
さらに、前記過電流検知回路47が前記電圧調整コンパレータ416をオフとするよりも前に、前記異常検出回路43が異常停止信号を出力する構成であってもよい。
【0067】
詳述すると、前記異常検出回路43と前記過電流検知回路47は、図10(b)に示すように、前記電源内蔵集積回路4の内部に制限抵抗43Cと43Dを設けておき、前記制限抵抗43Cと43Dの合成抵抗より生成される電圧を過熱判定電圧Vj3として、前記異常検出回路43を構成する前記過熱判定コンパレータ434の非反転入力端子に入力し、前記制限抵抗43Dのみより生成される電圧を過電流判定電圧Vj4として、前記過電流検知回路47を構成する過電流判定コンパレータ471の非反転入力端子に入力し、前記過熱判定コンパレータ434と前記過電流判定コンパレータ471の反転入力端子には前記過熱基準電圧Vth2が入力されるように構成されている。
【0068】
前記過熱判定電圧Vj3が前記過電流判定電圧Vj4よりも大きく、両電圧共に同一の基準電圧である前記過熱基準電圧Vth2と比較することから、始めに、前記負荷電流がある電流値まで上昇することにより、前記異常停止信号が出力され、次に、前記負荷電流がさらに上昇することにより、前記電圧調整コンパレータ416をオフとする過電流を防止するための信号が出力される。
【0069】
上述のように、過熱検知と過電流検知を二段階に分けることによって、電圧レギュレータ41に過大電流が流れるまで前記異常停止信号が出力されない不都合を是正している。
【0070】
上述の実施形態では、電源と他の回路を内蔵した集積回路としての電源内蔵集積回路について説明したが、本発明は、他の回路を含まず、入力電圧を夫々所定の出力電圧に調整する複数の電圧レギュレータと、前記電圧レギュレータの近傍温度に基づいて何れかの電圧レギュレータを停止させる過熱停止信号を出力する複数の過熱保護回路とが基板上に集積配置され、各過熱保護回路の過熱検知温度が夫々異なるように設定されるとともに、その出力が前記複数の電圧レギュレータの何れかに接続されている電源集積回路として構成されるものであってもよい。
【0071】
尚、上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等を適宜変更設計できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】電子機器の機能ブロック構成図
【図2】電源内蔵集積回路の機能ブロック構成図
【図3】電圧レギュレータの回路説明図
【図4】(a)は、コンパレータを用いた異常検出回路を示し、(b)は、トランジスタを用いた異常検出回路を示した回路説明図
【図5】電圧レギュレータと異常検出回路で抵抗を共有した回路を示した回路説明図
【図6】遅延回路を備えた電源内蔵集積回路の機能ブロック構成図
【図7】低い温度での過熱検知と高い温度での過熱検知の時間差を利用した電源内蔵集積回路の機能ブロック構成図
【図8】セレクタ回路を備えた電源内蔵集積回路の機能ブロック構成図
【図9】ゲート回路を備えていない電源内蔵集積回路の機能ブロック構成図
【図10】(a)は、出力電流に基づいて異常停止信号を出力する異常検出回路を示し、(b)は、異常検出回路と過電流検知回路を示す回路説明図
【符号の説明】
【0073】
4:電源内蔵集積回路
41:電圧レギュレータ
42:過熱保護回路
43:異常検出回路
44:ゲート回路
45:遅延回路
46:セレクタ回路
【出願人】 【識別番号】000237592
【氏名又は名称】富士通テン株式会社
【出願日】 平成18年8月11日(2006.8.11)
【代理人】 【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫


【公開番号】 特開2008−46719(P2008−46719A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−219457(P2006−219457)