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【発明の名称】 移動ロボット
【発明者】 【氏名】阿部 幸司

【要約】 【課題】ガイドに沿って走行し、マーカ検出で自己位置を修正する移動ロボットにおいて、走行経路中の段差等によりマーカを誤認識して誤った自己位置修正を行うことがないようにする。

【構成】移動ロボットの進行方向について前後の2位置に設けた2つの指示手段検出部設と、自己位置検出部と、検出した地点指示手段の位置を、指示手段検出部と自己位置検出部の検出結果から判定する制御部とを備えており、制御部は、第一指示手段検出部で検出した地点指示手段の位置(S04) と、その後に第二の指示手段検出部で検出した地点指示手段の位置(S07) を比較し(S10) 、両者が略同一であれば、地点指示手段の存在を判定し、記憶情報から自己位置を補正する(S12) 。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に配設された地点指示手段を検出する移動ロボットであって、
移動ロボットの進行方向に対し互いに前後となる位置に設けられて前記地点指示手段の有無を検出する第一及び第二の指示手段検出部と、
現在の自己位置を検出する自己位置検出部と、
前記自己位置検出部の検出結果に基づき前記指示手段検出部にて検出された前記地点指示手段の位置を算出する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第二の指示手段検出部により検出された前記地点指示手段の位置が、前記第一の指示手段検出部により検出された前記地点指示手段の位置と略同一であれば、前記地点指示手段の存在を判定することを特徴とした移動ロボット。
【請求項2】
移動手段として駆動される車輪を備え、前記第一及び第二の指示手段検出部は、前記車輪を挟んで前記進行方向の前方と後方に設置されることを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット。
【請求項3】
前記指示手段検出部は、
前記走行経路に沿って配設され前記移動ロボットを案内する経路指示手段を検出するとともに、該経路指示手段が所定長さ破断している箇所を地点指示手段として検出する請求項1又は2に記載の移動ロボット。
【請求項4】
さらに、前記地点指示手段の位置を予め記憶した記憶部を備え、
前記制御部は、前記地点指示手段の存在を判定したときの当該地点指示手段の位置と、前記記憶部に記憶された当該地点指示手段の位置とを比較して、両者の差が所定距離以内であれば、前記記憶部に記憶された当該地点指示手段の位置により前記自己位置を補正し、両者の差が所定距離より大きければ異常を出力する請求項1乃至4の何れか一つに記載の移動ロボット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に設置された走行ガイドに沿って走行し、走行ガイド沿いに配置されるマーカを検出した場合には自己位置を修正する機能を備えた移動ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行経路に設置された走行ガイドに沿って移動手段により走行するロボットが下記特許文献1などにより知られている。特許文献1に記載されたロボットは、例えば路面に設置した帯状の磁気ガイドをロボット下部に取り付けた磁気センサで検出しながら走行し、ガイドの離間部分をいわゆるマーカとして検出し、マーカを検出するとマーカの位置情報から自己位置を判定するロボットである。この、特許文献1のロボットは、磁気ガイド上に所定間隔ごとに固定間隔で破断した箇所(ガイドの空白部分)を設けておき、その箇所をマーカとして認識する。
【特許文献1】特開平07-306716 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図6は、上述した特許文献1のロボットの走行経路に沿って設置された走行ガイドと、この走行ガイドに沿って配置されて走行経路を複数の走行区間に区分するマーカを示す平面図である。マーカは、マーカn−1からマーカn+2の如く走行ガイドの要所に所定長さの破断部分を設けてロボットが位置を認識させるために設置している。そしてロボットの下面には磁気センサが設けられており、ロボットはこの磁気センサで走行ガイドである磁気テープを認識しつつ走行し、マーカを検知してマーカの位置情報から自己位置を判定する。
【0004】
しかしながら、図6に示すように、ロボットの走行経路中のマーカnとマーカn+1の間の区間において、破線A−A’で示す路面上の位置に段差(例えば道路と歩道の間の段差等)がある場合には、ロボットがこの段差を越える時、ロボットの下面にある磁気センサが地面から離間し、一時的に磁気ガイドが検出できなくなり、ガイドの破断すなわちマーカであると誤認識してしまうことがある。
【0005】
このようにマーカを誤認識した場合、自己位置が誤った位置に判定されてしまい、正常に走行できなくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、走行経路中にある段差等のためにマーカを誤認識してしまう状況であっても、これをマーカと誤認識することなく、誤った自己位置修正を行うこともない移動ロボットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された移動ロボットは、
走行経路に配設された地点指示手段を検出する移動ロボットであって、
移動ロボットの進行方向に対し互いに前後となる位置に設けられて前記地点指示手段の有無を検出する第一及び第二の指示手段検出部と、
現在の自己位置を検出する自己位置検出部と、
前記自己位置検出部の検出結果に基づき前記指示手段検出部にて検出された前記地点指示手段の位置を算出する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第二の指示手段検出部により検出された前記地点指示手段の位置が、前記第一の指示手段検出部により検出された前記地点指示手段の位置と略同一であれば、前記地点指示手段の存在を判定することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載された移動ロボットは、請求項1に記載の移動ロボットにおいて、
移動手段として駆動される車輪を備え、前記第一及び第二の指示手段検出部は、前記車輪を挟んで前記進行方向の前方と後方に設置されることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載された移動ロボットは、請求項1又は2に記載の移動ロボットにおいて、
前記指示手段検出部は、
前記走行経路に沿って配設され前記移動ロボットを案内する経路指示手段を検出するとともに、該経路指示手段が所定長さ破断している箇所を地点指示手段として検出することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載された移動ロボットは、請求項1乃至4の何れか一つに記載の移動ロボットにおいて、
さらに、前記地点指示手段の位置を予め記憶した記憶部を備え、
前記制御部は、前記地点指示手段の存在を判定したときの当該地点指示手段の位置と、前記記憶部に記憶された当該地点指示手段の位置とを比較して、両者の差が所定距離以内であれば、前記記憶部に記憶された当該地点指示手段の位置により前記自己位置を補正し、両者の差が所定距離より大きければ異常を出力することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の移動ロボットによれば、走行経路に沿って設置された地点指示手段を指示手段検出部で検出し、地点指示手段の位置情報に基づいて自己位置を補正する移動ロボットにおいて、移動ロボットの走行方向の前後位置に所定間隔離して設置した指示手段検出部で検出した地点指示手段の位置がほぼ一致する場合に当該部分が正規の地点指示手段であることを判定するので、移動ロボットが段差等を越える際に誤って地点指示手段を認識し、自己の位置を誤って判断するといった不都合が発生するおそれはなくなり、所定のコースに沿った高い位置精度の走行制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
1.全体の構成(図1)
図1は、本発明の一実施形態に係る移動ロボット1が利用される環境である監視区域の平面図と、同移動ロボット1の外観を示す斜視図である。
【0013】
この移動ロボット1は、例えば警備目的のために使用される自律移動型のロボットであり、監視区域内の所定経路を巡回しながら図示しない異常判定用のセンサや撮像ユニット7、レーザセンサ2にて監視区域内の異常の検出を行うものである。
【0014】
図1(a)において、建物の周囲が、予め設定された移動ロボット1が巡回する移動経路とされており、その移動経路の全長にわたり、経路指示手段として磁界を発する帯状の磁気ガイド3が固定的に設けられている。監視区域は、建物と、この建物の周囲を一周するように設定された磁気ガイド3を含む所定面積の範囲とされている。
【0015】
この磁気ガイド3は、図1(a),(b)に示し、先述した図6にも示した例と同様に、複数の箇所で、それぞれ所定長さにわたって破断した部分(例えば10cm程度の空白部分)を有している。これらの一定の長さの破断部分は、移動経路上に設定された走行区間の境界に設けられており、移動経路上に設定された走行区間や移動経路上の位置(座標)を移動ロボット1に指示する地点指示手段としてのマーカとして機能する。すなわち、移動ロボット1が路面上を移動する際、移動ロボット1に搭載された後述する指示手段検出部としての磁気センサが磁気ガイド3を検知し、また磁気センサによる磁気非検知(前記破断部分)の区間が所定間隔である場合マーカとして認識し、当該位置の位置情報を得ることができるようになっている。
【0016】
なお、本実施形態の移動ロボットは、経路指示手段としては例示した前記磁気ガイド3を有しているが、この他、経路指示手段として走行路面上に白線テープを設け、指示手段検出手段としての撮像手段によって白線テープを検知するものでもよい。この場合には、撮像手段によって検知されるマーカは白線テープの要所に所定長さで設けた破断部分でもよいし、白線テープの近傍に別途設けた白色矩形等のマークであってもよい。
【0017】
また、磁気ガイド3の中途には、移動ロボット1による監視巡回行動の1サイクルにおける開始地点(出発点)及び終了地点(到着点)となり、ロボット不使用時の格納庫であるとともに、さらに移動ロボット1のバッテリーを充電する充電装置を備えたロボットボックス5が配置されている。
【0018】
なお、図1(a)には示さないが、例えば前記建物内のセキュリティー関連部署等には監視センタが設置されている。この監視センタには、本例の移動ロボット1及びこれに関連するシステムを運用するための管制装置等が配置されており、係員がその運用に当たる。
【0019】
図1(b)にその外観を示すように、移動ロボット1は、移動手段である左右の車輪6で前記磁気ガイド3に沿って走行しつつ、本体の正面側に装備した障害物検知手段としてのレーザセンサ2により、移動方向前方の監視区域を図示一点鎖線で示すように走査する。本体の上部には、全周囲を撮像できる撮像ユニット7が装備されており、レーザセンサ2等によって異常を発見した場合やその他必要な場合に周囲の必要な位置の画像を撮像できるようになっている。
【0020】
そして、この移動ロボット1は、監視巡回行動中に監視区域内で異常を検出すると、遠隔の前記監視センタに撮像画像とともに異常信号を送出する。監視センタでは、異常信号を受信すると、受信した撮像画像を表示して異常の確認を行い、移動ロボット1を遠隔操作して異常対処を行う。
【0021】
2.移動ロボット1の構成(図1〜図3)
図2は、本例の移動ロボット1の具体的な構成を示す機能ブロック図である。
【0022】
この移動ロボット1は、移動手段6,8、指示手段検出部10、移動制御部9、自己位置検出部13、障害物検出部16、記憶部17、撮像ユニット7、通信部20及びこれら各部を制御する制御部21、各部に電力を供給する電源部22を有している。以下に各部ごとに説明する。
【0023】
(1) 移動手段
移動ロボット1は図1(b)及び図3に示すように4つの車輪6を有しており、それらのうち右前輪6、左前輪6の2つが駆動輪(制御輪)として機能し、左右の後輪は従輪(キャスター)となる。移動手段は、右前輪6,左前輪6と左右各前輪6を独立に駆動する2つのモータ8で構成されており、左右各前輪6の回転速度により直進走行速度、旋回走行速度が制御され、旋回方向も制御される。この左右各前輪6の回転速度は移動制御部9により制御される。なお、左右前輪6を独立に制御する代わりに、舵角を制御して旋回速度を制御する方式でもよいし、車輪駆動でなく、左右のクローラを独立に制御する方式でもよい。
【0024】
(2) 指示手段検出部
指示手段検出部10は、移動経路上の経路指示手段である前述した磁気ガイド3を検出し、また磁気ガイド3上に配置された所定の破断部分をマーカとして検出する。
【0025】
指示手段検出部10は、磁気センサ11から成る。磁気センサ11は、図3に示すように、路面を検知可能な様に移動ロボット1の底面に設置されている。磁気センサ11は、例えば多数のホール素子を進行方向(図中矢印「前方」と同方向)に直交する方向に沿って所定間隔で並べた2つのセンサ群であり、移動ロボット下部に地面からの高さが同じ位置で、前輪の車軸の前後の2位置に互いに平行に配置され各々第一、第二の指示手段検出部として機能する。前後の磁気センサ11の間隔はマーカとしての破断部分の長さ以上離して設置し、前後の磁気センサ11が同時に破断部分を認識しないようにする。磁気センサ11は、駆動輪を挟んで設置するのが望ましい。理由は後述する。
【0026】
また、両磁気センサ11からの信号により磁気ガイド3上における磁気センサ11の左右の位置を検出し、車体の中心を磁気ガイド3に一致させて、車体が磁気ガイド3に平行となるように制御することができる。
【0027】
磁気センサ11は、移動ロボット1の経路を誘導すべき磁気ガイド3及びマーカ4を検出して制御部21に出力する。
【0028】
なお、指示手段検出部10は、磁気センサの他、経路指示手段や地点指示手段の種類に応じて前述した撮像手段(カメラ)や電磁誘導センサなどで構成されても良く、それぞれ移動経路に設置された経路指示手段としての白線テープ、電磁誘導ガイドを検出するようにすることもできる。経路指示手段及び指示手段検出部は設置する環境により選択できるようにすることが好ましい。
【0029】
(3) 移動制御部
移動制御部9は、移動手段の車輪6を駆動するモータ8を制御するための手段である。移動制御部9は、指示手段検出部10による磁気ガイド3の検知出力に応じて、例えば周知のPID制御などにより、移動ロボット1が磁気ガイド3に沿って移動するようモータ8を制御する。また、移動制御部9は、後述する自己位置算出手段としての位置算出部15による走行区間の検出に応じて、予め設定された経路情報に基づき移動速度を制御し、位置算出部15による特定地点の検出に応じて走行停止する。
【0030】
(4) 自己位置検出部
自己位置検出部13は、前記移動手段の各モータ8にそれぞれ設置された回転量検出部としてのレゾルバ14と、各レゾルバ14にそれぞれ接続された自己位置算出手段としての位置算出部15からなる。レゾルバ14はモータ8の回転軸の絶対位置をそれぞれ検出する。位置算出部15はレゾルバ14の出力から得られるモータ8の回転軸の回転量から左右各前輪6それぞれの回転量を算出し、左右各前輪6それぞれの回転量と車輪半径から算出された左右各前輪6の走行距離の平均から移動ロボット1の走行距離を算出する。
【0031】
本例では移動ロボット1の巡回経路は固定されているため、走行距離をもって自己位置とすることができる。走行距離として記録するのは、開始地点からの総距離としてもよいし、各マーカ4の位置からの距離として記録してもよい。なお、位置算出部15は左右各前輪それぞれの回転量の差と車輪間隔から移動ロボットの姿勢(向き)の変化を算出して左右各前輪による走行距離と姿勢変化からデッドレコニングにより自己位置を算出してもよい。
【0032】
また、後述する制御部21は、指示手段検出部10によるマーカ4の検知出力に応じて、マーカ4に対応して記憶している経路情報に基づき現在の走行区間を検出するとともに、自己位置検出部13が算出している自己位置の補正などを行う。
【0033】
(5) 障害物検出部
障害物検出部16は、移動ロボット1の前方を走査して路面の状態、路面上の異物その他の被検出対象を検出するための手段である。図1(b)及び図3(b)に示すように、障害物検出部16は移動ロボット1の本体の前面側に、進行方向の前方下方に向けて設置された測距センサとしてのレーザセンサ2を有している。レーザセンサ2は、レーザ発振器よりレーザ光を照射するとともに、レーザ光の光路上にある物体にて反射した際の反射光を受けて検知信号を出力する投受波部を備えている。レーザセンサ2は、レーザ光の走査手段である走査鏡と、この走査鏡を回転駆動する手段とを有しており、前記レーザ発振器から発射されるレーザ光の照射方向(照射角度)を制御して、移動ロボット1の前方を含む所定の範囲を所定周期(例えば33ms)で空間走査している。
【0034】
そして、障害物検出部16はレーザ光の照射から反射光検出までの時間により算出される障害物検出部16とレーザ光を反射した物体(測定点)との距離と、回転駆動される走査鏡の角度とにより、レーザ光を反射した物体、即ちレーザ光を反射した測定点の相対位置を算出する。相対位置は、移動ロボット1を基準とした測定点の位置である。
【0035】
障害物検出部16は障害物判定部18を備えており、レーザセンサ2の出力が障害物によるものか否かを判定する。障害物と判定されると、後述する通信部20より必要に応じて異常信号が出力され、また、移動制御部9が移動ロボット1の停止や減速などの予め定められた処理を行う。
【0036】
なお、障害物検出部16のレーザセンサ2は、レーザセンサ以外のセンサで構成されてもよい。例えば、障害物検出部16は赤外線タイプのセンサで構成されてもよく、ミリ波レーダタイプのセンサや超音波センサで構成されてもよい。
【0037】
(6) 記憶部
記憶部17は、移動ロボット1の各種処理に使用される情報を記憶している。記憶部17が記憶する情報には、以下1),2) が含まれる。
1)移動経路の情報を示した経路情報
2)位置算出部により算出された移動ロボット1の位置情報
【0038】
1)の経路情報は、本例の移動ロボット1が、例えば図6に示すような走行経路を走行する場合に必要となるコースに関する種々の制御情報である。
【0039】
図5は、図6に示すような走行経路に関する経路情報の内容を概念的に示した図である。経路情報には、全経路の始点、終点、及び各マーカの位置情報(XY座標)と、隣接する2つのマーカの間ごとに区切られた走行経路中の各走行区間(あるマーカ4から次のマーカ4までの区間)に関するデータが含まれる。各走行区間のデータには、当該区間の走行経路が直線又はカーブ(半径R)の別が含まれる。
【0040】
また、経路情報には、実際に設置されたマーカの位置座標だけでなく、マーカが設置されていない場所であっても、ロボットの行動が変化する場所の位置座標を記憶し、記憶した位置座標と、デッドレコニングで検出される自己位置を比較しながら走行するようにしてもよい。記憶する位置座標は、例えば、速度の変化する地点、カーブが始まる地点、旋回する地点などであり、これらの地点の位置座標を経路情報に記憶しておく。図5に示した経路情報はマーカ間の区間ごとに記憶されているが、上述のように設定された位置座標の経路としてデータを記憶してもよい。
また、経路情報には、各マーカを検出したときの制御命令が記憶されてよく、例えば、撮像ユニット7により、画像センシングを行う命令や、経路上の分岐点の進行方向を指定する命令などが、マーカに対応して記憶される。
【0041】
2)の位置情報は、自己位置検出部13の位置算出部15によって算出された走行中の移動ロボット1の当該算出時点における自己位置情報である。
また、本例では、後述するマーカの正確な判定等のため、前記自己位置情報と磁気センサ11の出力する磁気ガイド3の有無についての出力とからマーカ候補の長さとその座標を算出するが、このマーカ候補情報をマーカ候補がマーカと確定するまで記憶部17に記憶することができる。
【0042】
(7) 撮像ユニット
撮像ユニット7は、移動ロボット1の本体上面に搭載されて移動ロボット1の周囲を撮像する手段である。本例では、複数のカメラを周方向に外向きに並べて全周をカバーするようにしている。
【0043】
(8) 通信部
通信部20は、遠隔の監視センタと信号を送受信する無線通信手段である。通信部20は、移動ロボット1が監視領域内で障害物等の異常を検知した場合、遠隔の監視センタに無線等で異常信号を出力する。また、通信部20は、撮像ユニット7が撮像した画像と自己位置検出部13が算出した移動ロボット1の位置を遠隔の監視センタに送信し、監視センタから送信された制御コマンドの信号を受信して後述する制御部21に入力する。
【0044】
(9) 制御部
制御部21は、移動ロボット1の各構成部分を統括的に制御する手段であり、CPU等を備えたコンピュータで構成される。本例では、磁気ガイド3を検出しつつ、これに沿って移動しながら、レーザセンサ2によって進行方向の前方を監視するとともに、撮像ユニット7で周囲の状況を観察しており、さらにマーカ4の検出により自己位置を適宜補正しているが、このような制御は本制御部21によって行っている。
【0045】
なお、上述した各部の構成で、その機能がコンピュータ処理によって実現可能なものは、同コンピュータで実現されてよい。例えば、位置算出部15、移動制御部9、障害物判定部18などは同コンピュータで実現されてよい。また、記憶部17は、同コンピュータのメモリおよび外部記憶装置などで実現されてよい。
【0046】
3.移動ロボットの制御系における情報処理の手順及びこれによる動作
以下、本例の移動ロボット1の走行時における制御手段21による制御動作を説明する。本例の移動ロボット1が磁気ガイド3とマーカ4を検出して行う全体的な移動時の制御手順を図4のフローチャートを用いて説明する。図4における説明では、Sで始まる連続番号により制御手順の各ステップを示すものとする。
【0047】
まずS01 で走行開始後、記憶部17の経路情報(図5参照)から最初の走行区間の始点となるマーカ座標と当該区間の終点となるマーカ座標などの経路情報を取得する。
【0048】
次にS02 で移動ロボット1は、ガイドに沿って走行中、前方の磁気センサ11が磁気ガイド3を検出しているか否かを判断して、検出されている場合はS03 へすすむ。
【0049】
S03 では自己位置検出部13で算出した移動ロボット1の現在の自己位置(以下「現在位置」)が区間の終点となるマーカ4の位置座標から予め定められた所定距離(例えば+50cm)過ぎているか否かが判定され、過ぎていない場合は(S03,NO)はS02 へ戻り、S02 、S03 の処理を繰り返す。移動ロボット1の現在位置が、現在の走行区間の終点となるマーカ4の位置座標から予め定められた所定距離(例えば+50cm)以上過ぎている場合、マーカ位置を通り過ぎたと判定する(S03,YES )。この場合、本来検出すべき位置でマーカを検出していないということであるから、なんらかの画策行為(例えばマーカである破断部分に磁石等が置かれたなど)によりマーカ4が消失したものとS16 で判断し、S17 で異常停止して監視センタに異常信号を出力する。
【0050】
磁気ガイドが検出されない場合(S02,NO)は、S04 において、制御部21は、記憶部17の位置情報に記憶された現在位置についての情報と、磁気ガイドが検出されないことを示す磁気センサ11の出力信号とにより、磁気ガイド3が検出されない空白部分の始点と終点の各座標を算出し、これによって前記空白部分の長さを算出し、マーカ4に相当する所定長さ(例えばマーカ長±1cm)であるか否かを判定する。空白部分が所定長より短い場合又は長い場合のいずれかであればマーカでないとしてS05 にすすむ。尚、ここでは、空白部分の長さが上述の所定長を超えると判定された時点で空白部分の全長を求めることなくS05 へすすむ。
【0051】
S05 ではS04 で磁気ガイド3が検出されない空白部分がマーカ4でないと判定された場合(S04,NO)、その空白部分がマーカ4の長さよりも長いか否かが判定される。空白部分がマーカ4の長さよりも長いと判定された場合(S05,YES )には、空白部分はマーカ4ではなくマーカ4よりも長く続いているのでS15 でガイド消失と判断し、S17 で異常停止して監視センタに異常信号を出力する。これは例えば移動ロボットが走行経路から逸脱した場合や、ガイド上に物が置かれた場合に相当する。他方、空白部分がマーカ4の長さより短いと判断した場合(S05,NO)には、前述したS03 にすすむ。この場合、現在位置が、現在の走行区間の終点となるマーカ4を通り過ぎていないときは、単なる誤検出と判断してS02 へ戻るが、マーカ4の位置を通り過ぎているときは本来検出すべき位置でマーカを検出していないということであるからS16 でマーカ消失と判断する。
【0052】
S04 でマーカ4相当の空白区間が検出された場合(S04 、YES )には、空白区間の始点と終点を検出した各座標からS06 でその中点をマーカ候補の座標として記憶部17に記憶する。
【0053】
次にS07 で後方の磁気センサでも上記マーカ候補位置でマーカ相当の空白区間を検出したか否かが判定される。S07 の判定は、前方の磁気センサがマーカ候補を検知してから所定走行距離以内(S08 )の場合に行なわれる。この所定走行距離は前方の磁気センサと後方の磁気センサの間隔に相当する。
【0054】
後方の磁気センサでもマーカ相当の空白を検出した場合はS10 へすすむ。またS08 においてマーカ候補を検出してから所定距離以内に後方のセンサがマーカ相当の空白を検出しなかった場合には、S09 でマーカは無かったと判断し、マーカ候補の座標を記憶部17から消去して、S03 へすすむ。例えば、図7(a3),(a4)に示すように段差がある場合は、それを乗り越えるときに、前方の磁気センサ11が地面から離れ、一時的に磁気ガイドを検出できなくなり、マーカ4相当の空白部分をマーカ候補として検出する可能性があるが、後方の磁気センサ11は、前方の磁気センサ11がマーカ候補を検出してから所定距離以内に空白部分を検出しない可能性が高い(磁気ガイド3を検出し続ける可能性が高い)ので、S09 でマーカは無かったと判断することができる。
【0055】
後方の磁気センサ11がマーカ相当の空白区間を検出した場合(S07 、YES )には、S10 で検出した空白部分の座標が前後の磁気センサで略一致するか否かを判定する。具体的には後方の磁気センサ11が検出した空白部分の中点がマーカ候補位置と略一致( 例えば±10cm以内) しているか否かを判定する。一致していない場合、再びS08 へすすみ、マーカ候補位置から所定距離範囲内であるか否かを判定する。所定距離範囲以内であればS07 へ戻り、他のマーカ4相当の空白区間の有無を判断する。
【0056】
前後の磁気センサで検出したマーカ4相当の空白部分の座標が一致した場合(S10 、YES )、S11 では当該マーカ候補の位置が記憶部から読み出したマーカ座標(現在区間の終点)から所定範囲内(例えば±50cm以内)であるか否かを判定する。所定範囲内である場合(S11 、YES )には、S12 でマーカが正しく検知されたものと判断して自己位置の補正を行う。即ち、このマーカ4の位置情報(座標)により移動ロボット1の現在位置情報を書き換える。
【0057】
ここで、図4のS02,S04,S06,S07,S10,S11,S12 において説明した動作、すなわち前方の磁気センサ11で検知した磁気ガイド3の空白部分をマーカ候補として座標を記憶し、その後、後方の磁気センサ11でも磁気ガイド3の空白部分を検知し、その座標が記憶しておいたマーカ候補の座標と一致した場合に実際のマーカと認識する等の一連の動作を、図7(a1),(a2)において示す。(a1)は前方の磁気センサ11でガイドが破断した空白部分を検出した状態を示している。このとき検出された空白部分の位置座標をマーカ候補の座標として記憶する。(a2)は、後方の磁気センサ11でガイドの空白部分を検出した状態を示している。この後方の磁気センサ11が検出した空白部分の座標とマーカ候補の座標とを比較して真にマーカが存在するか否かを判定する。
【0058】
また前後の磁気センサがマーカ4相当の空白部分を検出した座標が一致しても、当該座標がマーカ4の位置から予め定められた所定距離範囲外であると判定された場合(S11,NO)、マーカ4の誤検知(画策)と判断する(S14 )。これは、本来マーカ4が検出されるべき位置以外でマーカ相当の空白部分が検出されたということであるから悪意者による画策行為である可能性ありとして、異常停止して(S17 )監視センタに異常信号を出力する。
【0059】
S12 でマーカ4の検知を確認したことにより、移動ロボット1は次の走行区間に入るので、S13 で当該次の走行区間の経路情報を記憶部17から読み出して現在の情報として更新する。
【0060】
S18 では移動ロボット1が走行経路全体の終点まで到達したか否かが判断され、終点まできていない場合は(S18,NO)、S02 へ戻って上述した制御を繰り返す。
【0061】
ここで図7(a3)、(a4)を用いて磁気センサ11を駆動輪を挟んで設置する理由を説明する。走行経路上の段差を移動ロボットが乗り越えるとき、駆動輪である前輪より前方に設置した磁気センサ11が地面から離隔してマーカと誤認したとしても、後方の磁気センサ11は逆に地面に近づくことになる。この状態は、補助輪である後輪が段差を乗り越えるまで維持される。従って、前方の磁気センサ11が磁気ガイド3を検出できず(破断部分として検出して)マーカ候補としても、後方の磁気センサ11はマーカ候補位置で磁気ガイド3を消失することなく検出しながら通過する可能性が高い。また補助輪である後輪が段差を乗り越える場合も、既に駆動輪が段差を乗り越えており補助輪以上の高さにあるため、後方の磁気センサ11が磁気ガイド3を消失することがなく、結果としてマーカとして誤認することがない。なお、本例では、磁気センサ11を駆動輪の前後に設置する例について説明したが、これに限定されない。例えば、駆動輪の前方と補助輪の後方とに磁気センサを設置する構成としてもよく、また、補助輪の前後に磁気センサを設置する構成としてもよい。
【0062】
以上説明したように、本例によれば、走行経路に沿って設置された磁気ガイド3と磁気ガイド3の破断部分であるマーカ4を共通の検出手段である磁気センサ11で検出し、マーカ4の位置情報に基づいて自己位置を補正する移動ロボット1において、移動ロボット1の前後に所定間隔はなして設置した磁気センサ11で検出した前記破断部分の位置がほぼ一致する場合に当該破断部分がマーカ4であることを判定するので、移動ロボット1が段差等を越える際に磁気ガイド3を検出できない場合に、これをマーカ4と誤認して自己の位置を誤って判断するといった不都合が発生するおそれはなくなり、所定のコースに沿った高い位置精度の走行制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る移動ロボット1が利用される環境である監視区域の平面図と、同移動ロボット1の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、本例の移動ロボット1の具体的な構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図3は、本例の移動ロボット1を示す底面図及び側面図である。
【図4】図4は、本例の移動ロボット1において磁気ガイド及びマーカを検知して行う走行制御のフローチャートである。
【図5】図5は、本例の移動ロボット1の記憶部に記憶されている経路情報を概念的に示す図である。
【図6】図6は、本例の移動ロボットの走行経路に沿って設置された磁気ガイド(走行ガイド)と、この磁気ガイドに沿って配置されて走行経路を複数の走行区間に区分するマーカを示す平面図である。
【図7】図7(a1)及び(a2)は、本例の移動ロボットが磁気ガイドを検知して行う走行制御において、平坦な走行面で磁気ガイドの空白部分をマーカ候補として認識する際の動作を連続的に示す図であり、同(a3)及び(a4)は、同ロボットが段差乗り越え時に磁気ガイドをマーカ候補として認識してしまう際の動作を連続的に示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1…移動ロボット
10…指示手段検出部
13…自己位置検出部
17…記憶部
21…制御手段としての制御部

【出願人】 【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光

【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行


【公開番号】 特開2008−33759(P2008−33759A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−208234(P2006−208234)