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【発明の名称】 産業車両の操舵制御装置
【発明者】 【氏名】刀谷 郁也

【氏名】小島 睦之

【要約】 【課題】走行方向にかかわらず、車両を誘導線に沿って安定的に走行させることができるようにする。

【構成】誘導線の位置を検出する前後2つの位置検出手段と、車両の走行方向を判定する判定手段と、誘導線の位置と走行方向とに基づいて転舵輪の目標操舵角を算出する算出手段と、転舵輪の実際の操舵角を検出する角度検出手段と、実際の操舵角が目標操舵角と一致するよう駆動装置を制御する制御手段とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前後方向中央から前後何れか一方に偏倚した位置に転舵輪が配置され、他方に偏倚した位置に固定輪が配置されており、上記転舵輪の向きを駆動装置によって変えるようにした産業車両において、走行路に設けられた誘導線に沿って走行するよう上記駆動装置を制御する操舵制御装置であって、
上記車体に前後に離間して設けられ、上記誘導線の位置を検出する2つの位置検出手段と、当該車両の走行方向を判定する判定手段と、検出された上記誘導線の位置と判定された上記走行方向とに基づいて上記転舵輪の目標操舵角を算出する算出手段と、上記転舵輪の実際の操舵角を検出する角度検出手段と、検出される上記実際の操舵角が上記目標操舵角と一致するよう上記駆動装置を制御する制御手段とを備え、
上記位置検出手段は何れも、各位置検出手段の基準位置に対する上記誘導線の位置の左右方向ずれ量を検出するものであり、上記転舵輪側の位置検出手段は、上記転舵輪よりも上記車体の前後方向中央から離れた位置に設けられ、上記転舵輪と反対側の位置検出手段は、上記固定輪よりも上記車体の前後方向中央に近い位置に設けられており、
上記算出手段は、上記走行方向が上記転舵輪側であると判定される場合には、上記転舵輪側の位置検出手段により検出される上記ずれ量に基づいて上記目標操舵角を算出し、上記走行方向が上記転舵輪と反対側であると判定される場合には、上記両位置検出手段によりそれぞれ検出される上記ずれ量に基づいて上記目標操舵角を算出するものであることを特徴とする産業車両の操舵制御装置。
【請求項2】
上記算出手段は、上記走行方向が上記転舵輪側であると判定される場合には、上記転舵輪側の位置検出手段により検出される上記ずれ量に所定の係数を乗算して上記目標操舵角を算出し、
上記走行方向が上記転舵輪と反対側であると判定される場合には、上記固定輪よりも上記車体の前後方向中央から離れた位置に仮想位置検出手段を想定し、上記両位置検出手段により検出される上記ずれ量に基づいて上記仮想位置検出手段において検出されると想定される仮想ずれ量を算出し、該仮想ずれ量に所定の係数を乗算して上記目標操舵角を算出するものであることを特徴とする請求項1に記載の産業車両の操舵制御装置。
【請求項3】
上記算出手段は、上記固定輪を中心として上記転舵輪側の位置検出手段と前後に対称となる位置に上記仮想位置検出手段を想定して、上記仮想ずれ量を算出するものであることを特徴とする請求項2に記載の産業車両の操舵制御装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導線に沿って走行するよう転舵輪を制御する産業車両の操舵制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、産業車両に所定の走行コースを走行させるようにする車両誘導システムが用いられており、その中に、走行路に誘導線を設け、この誘導線を車両に設けたセンサで検出して車両の位置や姿勢を制御するようにしたものがある。誘導線を用いた車両誘導システムにおける誘導線に沿った車両の走行は、例えば車両が誘導線から逸れた場合に誘導線に近づくよう転舵輪を制御することで実現され、このときの転舵輪の操舵角を求める手法としては次のものなどがある。
【0003】
特許文献1の技術では、前輪を操舵する車両において、後進走行の際に、後側のセンサの後方に仮想のセンサを想定し、実際のセンサで検出される車体中央と誘導線とのずれ量(ズレ量)から仮想センサで誘導線が検出されるセンシング点を推定する。その上で、このセンシング点と後輪間中心点とを結ぶ線分の車体中心線に対する角に応じて、前輪の操舵角(ステアリング角)を求めるようにしている。又、特許文献2の技術では、車体の前後に設けられたセンサで検出されるセンサの中央部と誘導線とのずれ量(変位量)から車体の走行方向前方に設定された仮想点における変位量を算出し、その変位量から操舵角(ステアリング角)を求めるようにしている。
【0004】
尚、特許文献1には、前進時には前側のセンサで検出されるずれ量(ズレ量)から操舵角(ステアリング角)を求め、後進時には後側のセンサで検出されるずれ量(ズレ量)から操舵角(ステアリング角)を求める技術が記載されており、特許文献3の技術では、走行用電動機に設けたエンコーダの出力によって車両の走行方向を判断し、前進時には前側のセンサを選択し、後進時には後側のセンサを選択するようにしている。
又、誘導線を検出するセンサは、例えば特許文献1に見られるように、車両の前端、又は後端近傍に配置されることが多いが、車両の形態によっては車両の内側に配置されることもある。
【0005】
ところで、上記のような誘導線を用いた車両誘導システムは専ら無人搬送車や無人フォークリフトなどに用いられるものであるが、例えば特許文献4に示すように、運転者による操作に従った手動制御と誘導線に従った自動制御とを切換えられるようにした車両もある。特許文献4の技術では、運転台に設けられたスイッチを操作することによって手動制御と自動制御との何れかが選択されるようになされている。
【0006】
【特許文献1】特開平5−333928号公報
【特許文献2】特開2002−373023号公報
【特許文献3】特開平9−235099号公報
【特許文献4】特開平7−206400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
走行方向によって前後のセンサの何れかを選択して制御を行うようにすれば、処理を簡素化できるものの、転舵輪の位置との関係によっては車両姿勢の不安定化を招くことが考えられる。
そこで、特許文献1の技術のように実際のセンサよりも走行方向前方に仮想センサを想定したり、特許文献2の技術のように走行方向前方に仮想点を設定したりして転舵輪の操舵角を求めるようにすると、仮想センサや仮想点の位置に実際のセンサが到達する前に操舵制御を行うことになるので、誘導線に対する車両の姿勢を制御しやすくなる。しかしその一方で、単純に実際のセンサで検出される誘導線とのずれ量に比例した操舵角とする場合に比べ、操舵角を求める処理がやや煩雑になる。
【0008】
本発明は、上記従来の技術に代わって、走行方向にかかわらず、車両を誘導線に沿って安定的に走行させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、車体の前後方向中央から前後何れか一方に偏倚した位置に転舵輪が配置され、他方に偏倚した位置に固定輪が配置されており、上記転舵輪の向きを駆動装置によって変えるようにした産業車両において、走行路に設けられた誘導線に沿って走行するよう上記駆動装置を制御する操舵制御装置であって、上記車体に前後に離間して設けられ、上記誘導線の位置を検出する2つの位置検出手段と、当該車両の走行方向を判定する判定手段と、検出された上記誘導線の位置と判定された上記走行方向とに基づいて上記転舵輪の目標操舵角を算出する算出手段と、上記転舵輪の実際の操舵角を検出する角度検出手段と、検出される上記実際の操舵角が上記目標操舵角と一致するよう上記駆動装置を制御する制御手段とを備え、上記位置検出手段は何れも、各位置検出手段の基準位置に対する上記誘導線の位置の左右方向ずれ量を検出するものであり、上記転舵輪側の位置検出手段は、上記転舵輪よりも上記車体の前後方向中央から離れた位置に設けられ、上記転舵輪と反対側の位置検出手段は、上記固定輪よりも上記車体の前後方向中央に近い位置に設けられており、上記算出手段は、上記走行方向が上記転舵輪側であると判定される場合には、上記転舵輪側の位置検出手段により検出される上記ずれ量に基づいて上記目標操舵角を算出し、上記走行方向が上記転舵輪と反対側であると判定される場合には、上記両位置検出手段によりそれぞれ検出される上記ずれ量に基づいて上記目標操舵角を算出するものであることを特徴とする構成としている。
【0010】
このような本発明によれば、車両の走行方向によって転舵輪の目標操舵角の算出の仕方が適切に切り替わる。つまり、走行方向が転舵輪側であれば転舵輪側の位置検出手段によって検出されるずれ量に基づいて目標操舵角が算出され、走行方向が転舵輪と反対側であれば両位置検出手段によってそれぞれ検出されるずれ量に基づいて目標操舵角が算出される。そのため、転舵輪側に走行する際には、転舵輪側の位置検出手段に従った目標操舵角によって誘導線に沿って安定した走行を実現することができ、又、転舵輪と反対側、つまり固定輪側に走行する際には両位置検出手段に従った目標操舵角によって誘導線に沿って安定した走行を実現することができる。
【0011】
尚、本発明における判定手段としては、転舵輪や固定輪の回転方向から車両の走行方向を判定するものなどを採用することができる。
【0012】
上記の構成において、上記算出手段は、上記走行方向が上記転舵輪側であると判定される場合には、上記転舵輪側の位置検出手段により検出される上記ずれ量に所定の係数を乗算して上記目標操舵角を算出し、上記走行方向が上記転舵輪と反対側であると判定される場合には、上記固定輪よりも上記車体の前後方向中央から離れた位置に仮想位置検出手段を想定し、上記両位置検出手段により検出される上記ずれ量に基づいて上記仮想位置検出手段において検出されると想定される仮想ずれ量を算出し、該仮想ずれ量に所定の係数を乗算して上記目標操舵角を算出するものとすることができる。
ここで、上記仮想ずれ量とは、想定される上記仮想位置検出手段の基準位置に対する上記誘導線の位置の左右方向ずれ量のことである。
【0013】
このようにすれば、走行方向が転舵輪側であれば転舵輪側の位置検出手段によって検出されるずれ量に係数を乗算して目標操舵角が算出され、走行方向が転舵輪と反対側であれば仮想位置検出手段によって検出されると想定される仮想ずれ量に係数を乗算して目標操舵角が算出される。そのため、転舵輪側に走行する際には非常に簡素な処理で目標操舵角を求めることができ、又、転舵輪と反対側、つまり固定輪側に走行する際には、転舵輪側に走行する際ほどではないものの、比較的簡素な処理で適切に目標操舵角を求めることができる。
【0014】
尚、転舵輪側に走行する際に目標操舵角の算出に用いる係数と、転舵輪と反対側に走行する際に目標操舵角の算出に用いる係数とは異なる値とすることができ、又、何れの係数も一定値とするだけでなく、走行速度や積載荷重、走行している場所など車両の状況に応じて変動する値とすることが可能である。
【0015】
更に、上記の構成において、上記算出手段は、上記固定輪を中心として上記転舵輪側の位置検出手段と前後に対称となる位置に上記仮想位置検出手段を想定して、上記仮想ずれ量を算出するものとすることができる。
【0016】
このようにすれば、車両が転舵輪と反対側に走行する際に、転舵輪側に走行する際と同様の要領で実際の転舵輪の目標操舵角を算出することができる。すなわち、固定輪を中心として転舵輪と前後に対称となる位置に仮想の転舵輪を想定し、仮想位置検出手段で検出されると想定される仮想ずれ量に所定の係数を乗算して仮想転舵輪についての目標操舵角を求め、この目標操舵角から実際の転舵輪についての目標操舵角を算出することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、本発明によれば、車両の走行方向によって転舵輪の目標操舵角の算出の仕方が適切に切り替わるので、転舵輪側に走行する際には転舵輪側の位置検出手段に従った目標操舵角によって、転舵輪と反対側、つまり固定輪側に走行する際には両方の位置検出手段に従った目標操舵角によって、誘導線に沿って安定した走行を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明をフォークリフトに適用した実施例を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示すように、この実施例に係るフォークリフトは、車体1に後方へ延設された左右一対のレッグ部2を備えており、各レッグ部2の先端部分(車体1の後端部分)に1つずつ後輪3が設けられている。車体1の前後方向中央よりも前側に偏倚した位置には前輪4が設けられ、このフォークリフトは2つの後輪3と1つの前輪4とで走行する。ここで、後輪3は操舵されず、駆動もされない固定輪であり、前輪4は転舵輪と走行駆動輪とを兼ねたものである。
【0020】
又、車体1には、走行路に設けられた誘導線Gの位置を検出するバー状の位置センサ1A,1Bが設けられている。何れの位置センサも位置センサの左右方向中心位置に対する誘導線Gの位置の左右方向ずれ量を検出するものであり、位置センサ1Aは車体1の前端付近(前輪4よりも前方の位置)に、位置センサ1Bは車体1の、レッグ部2の基端部分付近(後輪3よりも前方で前輪4よりも後方の位置)に、互いに平行に設けられている。
この実施例では、左右の後輪3は車体1の左右方向中央から左右方向へ等距離の位置に配置され、前輪4は車体1の左右方向中央の位置に配置されており、位置センサ1A,1Bは、車体1の左右方向中央よりも平面視左側に偏倚した位置に配置されている。尚、図4及び図5において、Cが車体1の左右方向中央を表す線、Xが位置センサ1A,1Bの左右方向中心位置を表す線であり、Oが中央線C上での車体1の前後方向中央を表す点である。
【0021】
更に、図1に示すように、車体1の後部には運転者が搭乗する運転台5が設けられ、この運転台5の床部分には左右一対のフォーク6が設けられている。運転台5の前壁部分には前輪4を転舵輪として回転させるためのステアリングハンドル7、オン・オフ操作される切換スイッチ8、及び前輪4を走行駆動輪として回転させるためのアクセルレバー9などが設けられている。
ステアリングハンドル7にはその操作角度を検出する角度センサ7Aが設けられており、アクセルレバー9にはその操作角度を検出する角度センサ9Aが設けられている。又、切換スイッチ8は、ステアリングハンドル7の操作に従った制御と、誘導線Gに従った制御とを切換えるためのものであり、その信号は、角度センサ7A,9Aからの信号と共に、後述する制御装置13へ入力される。
【0022】
図2に示すように、前輪4は車体1の前部に縦軸周りに回転可能に設けられたドライブ装置10に支持されており、ドライブ装置10の上方位置には走行用モータ11が設けられている。前輪4と走行用モータ11とはドライブ装置10に内蔵されたギヤを介して連結されており、走行用モータ11からの駆動トルクがドライブ装置10を介して前輪4に伝えられ、前輪4が横軸周りに回転する。こうして前輪4が回転すると、その回転数に応じた走行速度でフォークリフトが走行する。尚、走行用モータ11には、その回転数を検出する速度センサ11Aが内蔵されている。
【0023】
又、図2に示すように、ドライブ装置10の上方位置には操舵用モータ12も設けられている。ドライブ装置10と操舵用モータ12とは、上記とは異なるギヤを介して連結されており、操舵用モータ12からの駆動トルクがドライブ装置10に伝えられ、ドライブ装置10が前輪4と共に縦軸周りに回転する。ドライブ装置11には、その回転角度(操舵角)を検出する角度センサ10Aが付設されており、この角度センサ10A及び速度センサ11Aからの信号は制御装置13へ入力され、この制御装置13によって走行用モータ11、操舵用モータ12が制御される。尚、前述のように、ドライブ装置11と前輪4とは操舵用モータ12によって駆動されて一体的に回転するものであるから、角度センサ10Aで検出されるドライブ装置11の回転角度(操舵角)が前輪4の操舵角であり、以下では、単に前輪4の操舵角として説明する。
【0024】
制御装置13は車体1に搭載されており、図3に示すように、走行用モータ11を制御する走行制御部14と、操舵用モータ12を制御する操舵制御部15とを備える。走行制御部14には角度センサ9A及び速度センサ11Aからの信号が入力され、走行制御部14はこれらの信号に基づいて走行用モータ11の制御を行う。操舵制御部15には位置センサ1A,1B、角度センサ7A,10A、切換スイッチ8、及び速度センサ11Aからの信号が入力され、操舵制御部15はこれらの信号に基づいて操舵用モータ12の制御を行う。
【0025】
走行制御部14は、角度センサ9Aからのアクセル操作角度に応じて目標走行速度を算出する導出部140と、この目標走行速度及び速度センサ11Aからの走行用モータ11の回転数に応じて走行用モータ11を制御する駆動部141とを備える。導出部140はアクセル操作角度に比例した目標走行速度を算出し、駆動部141は走行用モータ11の回転数をフォークリフトの実際の走行速度に換算し、この実際の走行速度と目標走行速度とが一致するように走行用モータ11の出力を決定して走行用モータ11を制御する。
【0026】
一方、操舵制御部15は、切換スイッチ8のオン・オフに従って手動操舵制御を行うか自動操舵制御を行うかを判定する判定部150と、角度センサ7Aからのステアリング操作角度に応じて前輪4の目標操舵角θを算出する導出部151と、位置センサ1A,1Bからの誘導線Gのずれ量に応じて目標操舵角θを算出する導出部152と、目標操舵角θ及び角度センサ10Aからの前輪4の実際の操舵角に応じて操舵用モータ12を制御する駆動部153とを備える。
尚、この実施例において、前輪4の操舵角は、前輪4が直進方向を向いた状態を0とし、この状態から平面視左回りに正の値、平面視右回りに負の値としている。又、図4及び図5に示すように、この実施例において後輪3は固定輪であるので、旋回半径の大小にかかわらず、フォークリフトの旋回中心Pは後輪3の回転軸の延長線上に位置する。そのため、位置センサ1A,1Bは旋回中心Pの前方に位置することになる。
【0027】
さて、切換スイッチ8がオフであると、判定部150は、ステアリングハンドル7の操作に従って前輪4の向きを制御する手動操舵制御を行うと判定し、その旨の信号を導出部151へ伝える。この信号を受けた導出部151は、角度センサ7Aで検出されるステアリング操作角度に応じて前輪4の目標操舵角θを算出し、駆動部153は、角度センサ10Aで検出される前輪4の実際の操舵角と、導出部151で算出される目標操舵角θとが一致するように操舵用モータ12の出力を決定して操舵用モータ12を制御する。
【0028】
切換スイッチ8がオンであると、判定部150は、誘導線Gの位置に従って前輪4の向きを制御する自動操舵制御を行うと判定し、その旨の信号を導出部152へ伝える。この信号を受けた導出部152は、位置センサ1Aで検出される誘導線Gのずれ量Ha、及び位置センサ1Bで検出される誘導線Gのずれ量Hbを用いて目標操舵角θを算出する。ここで、導出部152には速度センサ11Aで検出される走行用モータ11の回転数も入力され、これに応じて導出部152はフォークリフトの走行方向を判定し、その走行方向によって後述するように目標操舵角θを算出する。駆動部153は、角度センサ10Aで検出される前輪4の実際の操舵角と、導出部152で算出される目標操舵角θとが一致するように操舵用モータ12の出力を決定して操舵用モータ12を制御する。
【0029】
図4に示すように、走行方向が前進方向、つまりフォークリフトが前輪4側へ走行する際には、導出部152は、位置センサ1Aにおける誘導線Gのずれ量Haに所定の係数Kを乗算して前輪4の目標操舵角θ(=Ha×K)を求める。
【0030】
従って、フォークリフトが前進する際に、誘導線Gに対し車体1が平面視左側に逸れている場合には、目標操舵角θは負の値として求められ、前輪4が直進方向を向いた状態から平面視右回りに操舵される。これによりフォークリフトは右旋回で走行し、誘導線Gに近づいて行く。逆に、誘導線Gに対し車体1が平面視右側に逸れている場合には、目標操舵角θは正の値として求められ、前輪4が直進方向を向いた状態から平面視左回りに操舵される。これによりフォークリフトは左旋回で走行し、誘導線Gに近づいて行く。
【0031】
図5に示すように、走行方向が後進方向、つまりフォークリフトが後輪3側へ走行する際には、導出部152は、先ず位置センサ1Aにおける誘導線Gのずれ量Haと位置センサ1Bにおける誘導線Gのずれ量Hbとを用いて、仮想位置センサ1Aiにおける誘導線Gの仮想ずれ量Haiを算出する。ここで、仮想位置センサ1Aiは後輪3の回転軸及び旋回中心Pを通る直線を中心として位置センサ1Aと前後対称の位置に想定されるものであり、旋回中心Pから位置センサ1Aまでの前後方向距離Laと同じだけ旋回中心Pより後方に位置する。尚、図5において、Lbは旋回中心Pから位置センサ1Bまでの前後方向距離、Lwは位置センサ1A,1B間の前後方向距離、Ldは旋回中心Pから前輪4の回転中心までの前後方向距離である。
又、導出部152は、仮想位置センサ1Aiと同様に、前輪4と前後対称の位置に仮想輪4iを想定し、仮想輪4iに対する仮想目標操舵角θiを算出する。つまり、導出部152は、仮想ずれ量Haiに所定の係数Kiを乗算して仮想輪4iの仮想目標操舵角θi(=Hai×Ki)を求める。更に、導出部152は、この仮想目標操舵角θiの符号を反転させて前輪4の目標操舵角θ(=−θi)を求める。
【0032】
従って、フォークリフトが後進する際に、誘導線Gに対し車体1が平面視左側(走行方向に向かって右側)に逸れている場合には、仮想目標操舵角θiは負の値となり目標操舵角θは正の値となって、前輪4が直進方向を向いた状態から平面視左回りに操舵される。これによりフォークリフトは左旋回(走行方向に向かって右旋回)で走行し、誘導線Gに近づいて行く。逆に、誘導線Gに対し車体1が平面視右側(走行方向に向かって左側)に逸れている場合には、仮想目標操舵角θiは正の値となり目標操舵角θは負の値となって、前輪4が直進方向を向いた状態から平面視左回りに操舵される。これによりフォークリフトは右旋回(走行方向に向かって左旋回)で走行し、誘導線Gに近づいて行く。
【0033】
尚、この実施例では、フォークリフトが停車中(走行用モータ11の回転数が0)であるときは、前進時と同様に、導出部152は、位置センサ1Aにおけるずれ量Haを用いて前輪4の目標操舵角θを求めるようにしている。
【0034】
以上のように、この実施例によれば、フォークリフトの走行方向によって前輪4の目標操舵角θの算出の仕方が切り替わり、前進時には前側の位置センサ1Aによって検出されるずれ量Haに基づいて目標操舵角θが算出され、後進時には前後の位置センサ1A,1Bによって検出されるずれ量Ha,Hbに基づいて目標操舵角θが算出される。そのため、前進、後進にかかわらず、誘導線Gに沿って安定した走行を実現することができる。
又、前進時にはずれ量Haに係数Kを乗算して目標操舵角θを算出し、後進時には仮想ずれ量Haiに係数Kiを乗算して算出した仮想目標操舵角θiの符号を反転させて目標操舵角θを求めるので、何れも簡素な処理で目標操舵角θを求めることができる。特に、後進時に前輪4と前後対称の位置に想定される仮想輪4iの仮想目標操舵角θiを算出するようにすることで、前進時に前輪4の目標操舵角θを算出するのと同様の要領で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例に係るフォークリフトの斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る走行・操舵システムの概略図である。
【図3】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施例の説明図である。
【図5】本発明の実施例の説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 車体
1A 前側の位置センサ
1Ai 仮想位置センサ
1B 後側の位置センサ
3 後輪
4 前輪
4i 仮想輪
7 ステアリングハンドル
7A 角度センサ
8 切換スイッチ
9 アクセルレバー
9A 角度センサ
10 ドライブ装置
10A 角度センサ
11 走行用モータ
11A 速度センサ
12 操舵用モータ
13 制御装置
15 操舵制御部
G 誘導線
Ha 前側の位置センサにおけるずれ量(実測値)
Hai 仮想位置センサにおけるずれ量(推定値)
Hb 後側の位置センサにおけるずれ量(実測値)
θ 前輪の目標操舵角
θi 仮想輪の目標操舵角
【出願人】 【識別番号】000232807
【氏名又は名称】日本輸送機株式会社
【出願日】 平成18年7月17日(2006.7.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−26928(P2008−26928A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−194999(P2006−194999)