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【発明の名称】 圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法
【発明者】 【氏名】永瀬 正明

【氏名】土肥 亮介

【氏名】池田 信一

【氏名】西野 功ニ

【氏名】平田 薫

【氏名】杉田 勝幸

【氏名】松本 篤諮

【要約】 【課題】従前の圧力式流量制御装置では、その機構上流量出力信号の存在でもって絞り機構下流側バルブの開動作を判定することが出来ないので不都合である。そのため、圧力式流量制御装置の作動時の流量出力信号の変動状態から絞り機構下流側バルブの開放を簡単に判定できるようにする

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絞り機構の上流側の流体圧力P1を用いて絞り機構を流通する流体流量Qfを演算し、当該流体流量演算値Qfと流量設定値Qeとの差を流量制御信号Qyとして絞り機構上流側のコントロールバルブ2を開閉制御することにより、前記流量制御信号Qyが零となるように前記流体圧力P1を調整すると共に、前記流体流量演算値Qfを流量出力信号Qoとして出力するようにした構成の圧力式流量制御装置を用いたガス供給設備において、圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブを開放すると共に圧力式流量制御装置へ入力する流量設定値Qeを変動させ、当該流量設定値Qeの変動中の前記流量出力信号Qoの変動の大きさΔVを検出し、当該流量出力信号Qoの変動の大きさΔVが規定値以上の場合には、絞り機構下流側バルブの開放作動が正常であると判断し、また、前記変動の大きさΔVが規定値以下の場合には開放作動が異常であると判断する構成としたことを特徴とする圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法。
【請求項2】
圧力式流量制御装置へ入力する流量設定値Qeの変動時に、定常流量設定値Qe″より大きな流量設定値Qe′若しくは定常流量設定値Qe″よりも小さな流量設定値Qe′を流量設定値Qeとして入力するようにした請求項1に記載の絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法。
【請求項3】
絞り機構の上流側の流体圧力P1を用いて絞り機構を流通する流体流量Qfを演算し、当該流体流量演算値Qfと流量設定値Qeとの差を流量制御信号Qyとして絞り機構上流側のコントロールバルブ2を開閉制御することにより、前記流量制御信号Qyが零となるように前記流体圧力P1を調整すると共に、前記流体流量演算値Qfを流量出力信号Qoとして出力するようにした構成の圧力式流量制御装置を用いたガス供給設備において、圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブを閉鎖すると共に圧力式流量制御装置へ入力する流量設定値Qeを零とし、当該流量設定値Qeを零としたあとの変動中の前記流量出力信号Qoの変動の大きさΔVを検出し、当該流量出力信号Qoの変動の大きさΔVが規定値以上の場合には、絞り機構下流側バルブの開放作動が正常であると判断し、また、前記変動の大きさΔVが規定値以下の場合には開放作動が異常であると判断する構成としたことを特徴とする圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法。
【請求項4】
絞り機構下流側バルブの閉鎖と同時又は一定時間Δt遅れて圧力式流量制御装置へ入力する流量設定値Qeを零にするようにした請求項3に記載の圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法。
【請求項5】
絞り機構の上流側の流体圧力P1を用いて絞り機構を流通する流体流量Qfを演算し、当該流体流量演算値Qfと流量設定値Qeとの差を流量制御信号Qyとして絞り機構上流側のコントロールバルブ2を開閉制御することにより、前記流量制御信号Qyが零となるように前記流体圧力P1を調整すると共に、前記流体流量演算値Qfを流量出力信号Qoとして出力するようにした構成の圧力式流量制御装置を用いたガス供給設備において、圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブを開放すると共に圧力式流量制御装置へ流量設定信号Qeを入力し、前記絞り機構下流側バルブが閉鎖したあとの前記流量出力信号Qoの変動の大きさΔVを検出し、当該流量出力信号Qoの変動の大きさΔVが規定値以上の場合には、絞り機構下流側バルブの開放作動が正常であると判断し、また、前記変動の大きさΔVが規定値以下の場合には開放作動が異常であると判断する構成としたことを特徴とする圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法。
【請求項6】
絞り機構下流側バルブの開放指令の発信から所定時間Δt遅れて圧力式流量制御装置へ流量設定信号Qeを入力し、前記流量出力信号Qoの降下率の大きさを検出するようにした請求項5に記載の圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法。
【請求項7】
絞り機構を音速ノズル又はオリフィスとするようにした請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6に記載の圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力式流量制御装置の絞り機構の下流側に設けたバルブの開放作動の異常を圧力式流量制御装置の流量出力信号のモニターにより検出する方法に関するものであり、主として半導体製造装置や食品関係、化学関係設備等の圧力式流量制御装置を用いた流体供給設備に於いて利用されるものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造設備や化学関係設備等のガス供給設備では、近年熱量式流量制御装置に変えて圧力式流量制御装置が多く利用されている。圧力式流量制御装置は構造が簡単で製造コストの引下げや設備の小型化が図れるうえ、制御精度や応答性の点でも熱量式流量制御装置に優るとも劣らないからである。
【0003】
ところで、ガス供給設備等に於いては、ガス供給設備を構成する各機器、特にバルブ類の動作状態等を定期的に点検するのが一般的であり、これ等の点検作業は、ガス供給設備からガスを安定供給するうえで不可欠な事項である。
【0004】
上述のような要望への対応として、本願出願人は先に図9に示すような圧力式流量制御装置を用いたガス供給に於けるバルブの異常検出方法を開発し、これを特願2005−253996号として公開している。
即ち、上記特願2005−253996号の技術は、図9のようなガス供給設備におけるバルブV1、V2、V3の作動状態やシートリークの有無(以下、チェックと呼ぶ)を、各バルブV1、V2、V3を配管路から取り外すことなしにチェックできるようにしたものであり、優れた実用的効用を奏するものである。尚、図9において、Goはパージガス、Gpはプロセスガス、FCSは圧力式流量制御装置、1a、1b、1cは配管路、Eはプロセスチャンバである。
【0005】
また、この図9に示したガス供給設備において、例えばバルブV1、V2、V3の作動状態(開・閉状態)の正常・異常を判断する場合には、図10に示したような手順でチェックが行われて行く。
【0006】
即ち、先ず、ステップSoで異常チェックを開始する。引き続き、ステップS1でV1閉、V2開→閉(切換)、V3閉の操作を行い、FCSの下流側配管1bにN2を充填する。次に、ステップS2にて、FCSの圧力表示P1をチェックし、P1の増減ΔP1が0か否かを判断する。
ΔP1が0でない場合であって、P1上昇の場合には、V1又はV2の何れか一方又は両方が異常(シートリーク又は動作不良)であり、また、P1が減少の場合には、V3が異常(シートリーク又は動作不良)であると判断する(ステップS3)。
【0007】
次に、ステップS4で、V1開、V2閉にしてプロセスガス(実ガス)GpをFCSへ流し、ステップS5でFCSの圧力表示P1をチェックする。P1の上昇があればV1の動作は正常(ステップS7)、P1の上昇が無ければV1の動作異常と判断して(ステップS6)、V1の動作状況を確認する。その後、ステップS8でV1閉、V2開とし、FCSの圧力表示P1をチェックする(ステップS9)。P1が上昇しなければ、V2の動作異常と判断して(ステップ10)としてV2の動作状況を確認する。
また、P1が上昇すれば、V2の動作は正常と判断される(ステップS11)。
【0008】
続いて、ステップS12で、前記ステップS2におけるバルブ類の異常がバルブV3の動作異常に該当するか否かを判断する。即ち、ステップS2の判断がNo(バルブV1、V2、V3の内の何れかが動作異常)であって、且つバルブV1及びV2の動作が正常であれば、バルブV3が動作異常と判断され(ステップS13)、また、ステップS2に於ける判断がyesの場合には、各バルブV1、V2、V3の動作が正常であると判断される(ステップS14)。
【0009】
上記各バルブV1、V2、V3の動作の正常が確認されると、引き続きステップS15へ入り、シートリークのチェックが行われる。また、当該バルブ作動状態の正常、異常判断においては、イ.各バルブV1、V2、V3、FCS及び配管系1a、1b、1c等には、シートリーク以外の外部リーク(例えば継手やボンネット等からの漏れ)は無いこと、ロ.各バルブの駆動部は正常に動作すること、ハ.FCSは正常に動作すること、ニ.V1、V2は同時に開放することが無いこと等が、前提となっていることは勿論である。
【0010】
しかし、圧力式流量制御装置FCSは、図11に示す如く、所謂オリフィスや音速ノズル等の絞り機構8の上流側ガス圧力P1やガス温度T1に基づいて絞り機構8を流通するガス流量を演算する構成となっている(特開平8−338546号等)。そのため、例えば絞り機構8の下流側のバルブV3が閉鎖状態にあって絞り機構8を流通するガス流量が零であっても、管路3にガス圧P1がかかっていれば、流量演算回路13の流量演算器20でガス流量Qfが演算され、これが流量出力信号Qoとして外部へ出力されることになる。即ち、バルブV3の開放不良によりガスが流通していなくても、流量出力信号Qoが外部へ出力されることになる。
尚、図11に於いて、2はコントロール弁、12は流量出力回路、14は流量設定回路、16は演算制御回路、21は比較回路、Qyは制御信号(Qy=Qe−Qf)である。
【0011】
その結果、例えば、ガス供給設備の稼動中にFCSの下流側のバルブV3の開閉作動が行われた際に、当該バルブV3の開放作動に異常が有るか否かを、FCSの流量出力信号Q0から直接確認することが出来ない。
【0012】
何故なら、前述の通り、絞り機構8を流通するガス流が零(バルブV3が閉鎖状態)であっても、絞り機構上流側に圧力P1があれば流量出力信号Qoが外部へ出力されるため、バルブV3に異常が生じてこれが開放されずに閉鎖されていても、流量出力信号Q0上ではバルブV3が常に開放されていることになるからである。
【0013】
【特許文献1】特開平8−338546号
【特許文献2】特開平2000−66732号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願発明は、圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブの異常検出における上述の如き問題、即ち圧力式流量制御装置の機構上絞り機構上流側に圧力P1が存在すれば、絞り機構を流通するガス流が無くても外部へ流量出力信号Qoが出力されるため、圧力式流量制御装置の絞り機構上流側圧力P1(或いは流量出力信号Qo)を用いて絞り機構下流側バルブの開放作動の異常を正確に判断することができないと云う問題を解決せんとするものであり、圧力式流量制御装置をガス供給設備の異常検出モードに切り替えすることなしに、絞り機構下流側バルブの開又は閉時の圧力式流量制御装置からの流量出力信号Qoの変動に基づいて、絞り機構下流側バルブの開作動の異常を迅速且つ確実の判断できるようにした、圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、絞り機構の上流側の流体圧力P1を用いて絞り機構を流通する流体流量Qfを演算し、当該流体流量演算値Qfと流量設定値Qeとの差を流量制御信号Qyとして絞り機構上流側のコントロールバルブ2を開閉制御することにより、前記流量制御信号Qyが零となるように前記流体圧力P1を調整すると共に、前記流体流量演算値Qfを流量出力信号Qoとして出力するようにした構成の圧力式流量制御装置を用いたガス供給設備において、圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブを開放すると共に圧力式流量制御装置へ入力する流量設定値Qeを変動させ、当該流量設定値Qeの変動中の前記流量出力信号Qoの変動の大きさΔVを検出し、当該流量出力信号Qoの変動の大きさΔVが規定値以上の場合には、絞り機構下流側バルブの開放作動が正常であると判断し、また、前記変動の大きさΔVが規定値以下の場合には開放作動が異常であると判断することを発明の基本構成とするものである。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、圧力式流量制御装置へ入力する流量設定値Qeの変動時に、定常流量設定値Qe″より大きな流量設定値Qe′若しくは定常流量設定値Qe″よりも小さな流量設定値Qe′を流量設定値Qeとして入力するようにしたものである。
【0017】
請求項3の発明は、絞り機構の上流側の流体圧力P1を用いて絞り機構を流通する流体流量Qfを演算し、当該流体流量演算値Qfと流量設定値Qeとの差を流量制御信号Qyとして絞り機構上流側のコントロールバルブ2を開閉制御することにより、前記流量制御信号Qyが零となるように前記流体圧力P1を調整すると共に、前記流体流量演算値Qfを流量出力信号Qoとして出力するようにした構成の圧力式流量制御装置を用いたガス供給設備において、圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブを閉鎖すると共に圧力式流量制御装置へ入力する流量設定値Qeを零とし、当該流量設定値Qeを零としたあとの変動中の前記流量出力信号Qoの変動の大きさΔVを検出し、当該流量出力信号Qoの変動の大きさΔVが規定値以上の場合には、絞り機構下流側バルブの開放作動が正常であると判断し、また、前記変動の大きさΔVが規定値以下の場合には開放作動が異常であると判断することを発明の基本構成とするものである。
【0018】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、絞り機構下流側バルブの閉鎖と同時又は一定時間Δt遅れて圧力式流量制御装置へ入力する流量設定値Qeを零にするようにしたものである。
【0019】
請求項5の発明は、絞り機構の上流側の流体圧力P1を用いて絞り機構を流通する流体流量Qfを演算し、当該流体流量演算値Qfと流量設定値Qeとの差を流量制御信号Qyとして絞り機構上流側のコントロールバルブ2を開閉制御することにより、前記流量制御信号Qyが零となるように前記流体圧力P1を調整すると共に、前記流体流量演算値Qfを流量出力信号Qoとして出力するようにした構成の圧力式流量制御装置を用いたガス供給設備において、圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブを開放すると共に圧力式流量制御装置へ流量設定信号Qeを入力し、前記絞り機構下流側バルブが閉鎖したあとの前記流量出力信号Qoの変動の大きさΔVを検出し、当該流量出力信号Qoの変動の大きさΔVが規定値以上の場合には、絞り機構下流側バルブの開放作動が正常であると判断し、また、前記変動の大きさΔVが規定値以下の場合には開放作動が異常であると判断することを発明の基本構成とするものである。
【0020】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、絞り機構下流側バルブの開放指令の発信から所定時間Δt遅れて圧力式流量制御装置へ流量設定信号Qeを入力し、前記流量出力信号Qoの降下率の大きさを検出するようにしたものである。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6の何れかの発明に於いて、絞り機構をオリフィス又は音速ノズルとするようにしたものである。
【発明の効果】
【0022】
本願発明においては、圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブの開又は閉動作と同時若しくは絞り機構下流側バルブの開又は閉動作から一定時間Δt遅れて圧力式流量制御装置の流量設定値Qeを入り又は切りにして変動させ、絞り機構下流側バルブの開又は閉動作と流量設定値Qeの入り又は切りとの間における流量出力信号Qoの変動状態から、絞り機構下流側バルブの開動作の異常、正常を判断する構成としている。
その結果、特別な検査装置を別途に設置若しくは付加したり、或いは圧力式流量制御装置をガス供給設備の異常検出モードに切り替えすることなしに、圧力式流量制御装置の流量出力信号Qoをモニターするだけで、ガス供給設備の稼動中に圧力式流量制御装置の絞り機構下流側バルブの開動作の正常、異常を容易に且つ簡単判断することができ、圧力式流量制御装置の「流量出力信号Qoの存在が、直ちに絞り機構下流側バルブの開動作と結びつかない。」と云う問題を、容易に克服することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明で使用する圧力式流量制御装置の基本構成を示すものであり、また、図2は本発明の第1実施例に係る絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法の実施説明図である。
【0024】
図1を参照して、圧力式流量制御装置FCSは、ガス供給口1、コントロール弁2、弁駆動部4、圧力検出器6、絞り機構8、ガス流出口9、流量出力回路12、流量演算回路13、流量設定回路14、演算制御回路16等からその要部が形成されており、また、図1において3は絞り機構上流側配管、5は絞り機構下流側配管、7は温度検出器、15は流量変換回路、10、11、22は増幅器、17、18はA/D変換器、19は温度補正回路、20は流量演算器、21は比較回路、Qcは演算流量信号、Qfは切換演算流量信号、Qeは流量設定信号、Qoは流量出力信号、Qyは流量制御信号、P1は絞り機構上流側気体圧力、kは流量変換率である。
また、図1及び図2等で示した実施形態に於いては、絞り機構8として所謂オリフィスを使用しているが、オリフィスに代えて音速ノズルやダイヤフラムバルブを用いても良いことは勿論である。
【0025】
上記図1に示した圧力式流量制御装置FCSは、絞り機構上流側気体圧力P1と絞り機構下流側圧力P2との比P2/P1が流体の臨界値等に等しいか若しくはこれより低い場合(所謂気体の流れが臨界状態下にあるとき)に主として用いられるものであり、絞り機構8を流通する気体流量Qcは、Qc=KP1(但し、Kは比例定数)で与えられる。尚、圧力式流量制御装置FCSには、臨界状態と非臨界状態の両方の流れ状態となる気体の流量制御に主として用いられ、絞り機構を流れる気体の流量QcをQc=KP2m(P1−P2n(Kは比例定数、mとnは定数、P2は絞り機構下流側気体圧力)として演算する型式のものもあるが、基本的な構成は図1の圧力式流量制御装置FCSと同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0026】
また、当該圧力式流量制御装置FCSでは、制御流量の設定値は流量設定信号Qeとして電圧値で与えられる。例えば、上流側圧力P1の圧力制御範囲0〜3(kgf/cm2abs)を電圧範囲0〜5Vで表示したとすると、Qe=5V(フルスケール値)は、3(kgf/cm2abs)の圧力P1における流量Qcを表すことになる。
より具体的に説明すると、いま流量変換回路15の変換率が1に設定されているときに、流量設定信号Qe=5Vが入力されると、切換演算流量信号Qf(Qf=kQc)は5Vとなり、上流側圧力P1が3(kgf/cm2abs)になるまでコントロール弁2が開閉操作されることになり、P1=3(kgf/cm2abs)に対応する流量Qc=KP1の気体が、絞り機構8を通して流通することになる。
【実施例1】
【0027】
図2は本願発明の第1実施例に係る絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法の実施に使用した試験ユニットの説明図である。即ち、当該試験ユニットは図2に示すように、圧力式流量制御装置FCSの上流側及び下流側にガス供給バルブV1及び絞り機構下流側バルブV2を夫々連結すると共に、これにプログラマブルコントローラPLC及びデータロガDLを配置し、プログラマブルコントローラPLCから所定のプログラムに従ってバルブV1、V2及び圧力式流量制御装置FCSの流量設定回路14へ流量設定信号Qeを供給すると共に、データロガDLにバルブV2への弁開放信号IV2、FCSへの流量設定信号Qe及びFCSからの流量出力信号Qoを夫々記録するよう構成されている。
尚、図2において、Sはガス源、Cはチャンバである。
【0028】
即ち、圧力式流量制御装置FCSの絞り機構下流側バルブV2の異常(閉から開にならないもの)を検知するため、前記図2の如き試験系を構成し、FCSへ流量設定信号Qeとして、図3に示すように一旦定常流量値Qe″とは異なる流量値Qe′に設定したあと、定状流量値Qe″に戻すような流量設定信号Qeを入力する。尚、図3の(a)は定常流量値Qe″とは異なる流量設定値Qe′を定常状態流量値Qe″よりも大とした場合であり、また図3の(b)は、異なる流量設定値Qe′を定常流量設定値Qe″よりも小とした場合を示すものである。
【0029】
図3に示す如き流量設定信号QeをFCSへ入力すると共に、これと同時に絞り機構下流側バルブV2へ閉作動電流IV2(励磁電流)を供給すると、圧力式流量制御装置FCSからの流量出力Qoは、図3の(a)、(b)の最下方に記載されているような変化をする。
即ち、絞り機構下流側バルブV2が開放しない場合の流量出力Qo′とバルブV2が正常に開放される場合の流量出力Qo″との間には、流量出力Qoに偏差ΔVが発生するので、圧力式流量制御装置FCSからの流量出力信号Qoをモニターすることにより、絞り機構下流側バルブV2が正常に開放されたか否かの判断ができる。
【0030】
具体的には、チャンバCを用いたプロセス処理工程を終了するための準備段階又はプロセス処理工程を開始するための準備段階に於いて、プログラマブルコントローラPLCを介して圧力式流量制御装置FCSへ流量設定信号Qeを、また、絞り機構下流側バルブV2へ弁開放電流IV2を夫々供給すると共に、その時のFCSからの流量出力信号Qoの変化状態を観察し、前記偏差ΔVが設定値以上になれば、下流側バルブV2が正常に開放されたと判断し、逆に前記偏差ΔVが規定値以下であれば、バルブV2が正常に開放されずに開放異常であると判断する。
【実施例2】
【0031】
実施例2は、プロセス処理の終了時に絞り機構下流側バルブV2の作動異常を検出するようにしたものである。図4は、実施例2に於いて用いた試験系統の説明図であり、図4において、EVは操作用電磁弁、V1はFCS上流側バルブ、Peは真空ポンプ、Pbはバラトロン、VRは流量弁、N2は操作用ガス、PGはプロセスガスである。
【0032】
絞り機構下流側バルブV2の作動異常の検出は、図5の(a)に示すように圧力式流量制御装置FCSの流量設定信号Qeの遮断及び絞り機構下流側バルブV2の閉鎖を同時に行う場合(以下、通常ステップと呼ぶ)と、図5の(b)に示すように絞り機構下流側バルブV2の閉鎖とFCSの流量設定信号Qeの遮断との間に時間Δtの遅れを設ける場合(以下、マルチステップと呼ぶ)の二種について、何れも処理プロセスの停止時にFCSへの流量設定信号Qeを零(FCS遮断)にしてから後のFCS流量出力信号Qoの変化をモニターすることにより、行った。
【0033】
図5の(a)及び(b)に示すように、圧力式流量制御装置FCSからの流量出力信号Qoが、絞り機構下流側バルブV2の閉鎖及びFCS閉鎖(FCSのコントロール弁2の閉鎖)の後でも下降せず、同じ流量出力信号Qo′の状態が保持されている場合には、絞り機構下流側バルブV2には開放異常があることになる。何故なら、絞り機構下流側バルブV2が閉鎖されているのにFCSの流量出力Qoが零にならずに流量出力Qo′で出力されていると云うことは、絞り機構8と絞り機構下流側バルブV2との間にガス圧が残留し、且つこの残圧が全く減少しない状態(即ち、バルブV2の弁体が開放方向へ作動出来ない状態)にあることになるからである。
【0034】
現実のバルブ異常の判定においては、電磁弁EVと絞り機構下流側バルブV2間のバルブ作動圧供給ラインUの内容積や絞り機構下流側バルブV2の閉鎖用電流信号の入力と、現実のバルブV2の閉鎖作動との間の遅れ時間等を考慮のうえ、FCSの流量出力信号Qoの降下率の閾値を定め、当該流量出力信号Qoの降下率が所定の降下率より小さい場合には、絞り機構下流側バルブV2の開放作動に異常があると判断する。
【0035】
図6は、絞り機構下流側バルブV2の閉鎖用作動信号入力と実作動時間との差ΔtVと、FCS流量出力Qo(絞り機構上流側圧力P1)及び絞り機構下流側圧力P2との関係を示すものであり、(a)はΔtVが大のとき、(b)はΔtVが小のときを示すものである。
図6の(a)、(b)からも明らかなように、前記ΔtVが小さい場合(図6のb)には、FCS流量出力Qo(絞り機構上流側圧力P1)の変化量が小さくなるため、前記流量出力信号Qoの降下率からのバルブV2の異常判断が難しくなる。
【0036】
また、前記ΔtVの大きさは、バルブV2や電磁弁EV、バルブ作動圧供給ラインVの容積等によって、更に、絞り機構下流側圧力P2の変化は、圧力式流量制御装置FCSの使用流量レンジやチャンバC側の圧力等の条件によって、夫々大きく異なってくることは、勿論のことである。
【実施例3】
【0037】
実施例3は、圧力式流量制御装置FCSの立上り時のFCS流量出力信号をモニターすることにより、絞り機構下流側バルブV2の異常(開放不作動)を検知するものであり、主として、プロセス系統の立上げ準備段階の中で、絞り機構下流側バルブV2の作動異常を検出する場合に用いられるものである。
【0038】
当該実施例3に於いて用いた試験装置は、前記図4に示した試験装置と同一であり、第3実施例にあっては具体的には、圧力式流量制御装置FCSの1次側のバルブV1及び絞り機構下流側バルブV2が開放されてからFCSへ流量設定信号Qeが入力されるまでの時間Δt内(デイレイタイムΔt=0.2sec)に発生するFCS流量出力信号Qoの降下量をモニターし、当該降下量基準にして、絞り機構下流側バルブV2の開放作動の異常を判断するものである。
【0039】
図7は、実施例3におけるFCS流量出力信号Qoと、デイレイタイムΔt=0.2secと、絞り機構下流側バルブV2の開放遅れ時間ΔtV等との関係を示すものである。プロセスの起動準備の段階で、FCSの上流側バルブV1及び絞り機構下流側バルブV2を開にしてから、デイレイタイムΔt=0.2sec遅れてFCSを作動(流量設定信号Qein)させたとき、絞り機構下流側バルブV2が正常に開放動作をする場合には、FCS流量出力信号QoがデイレイタイムΔt中に下降し、逆に、絞り機構下流側バルブV2が正常に開放動作をしない場合には、デイレイタイムΔt中のFCS流量出力信号Qoの変化が無い状態となる。
【0040】
尚、前記FCS流量出力信号Qoの変化の度合(降下率)が、絞り機構下流側バルブV2の開放遅れ時間ΔtVの大小によって大きく変化することは、前記実施例2の場合と全く同じである。従って、絞り機構下流側バルブV2への作動圧供給ラインUの長さや電磁弁EVの種類、圧力式流量制御装置FCSの流量設定レンジ等が、前記FCS流量出力信号QoのデイレイタイムΔt中の降下率に大きく影響することになる。
【0041】
図8は、圧力式流量制御装置FCSの流量設定信号Qe及び絞り機構下流側バルブV2の数を変化した場合の流量出力信号Qoの降下状態を調査した結果を示すものである。圧力式流量制御装置FCSとしては定格流量1SLMの標準タイプのものを使用し、またバルブV1にはCv値0.1のもの、バルブV2にはCv値0.2のものを夫々使用している。更に、バルブV1、V2の作動圧供給ラインUは内径2.5mφ、長さ1mとし、流量制御弁VR及び真空ポンプPeは、N2=2SLM供給の時に絞り機構下流側圧力P2が120Torrとなるように調整されている。
【0042】
図8からも明らかなように、FCSの設定流量信号QeがQe=100%のときのFCS流量出力信号Qoの平均圧力降下率は89.9%(バルブV2台数=1)〜79.4%(バルブ台数V2=4)であり、Qe=50%のときの平均降下率は85.4%(V2=1台)〜79.7%(V2=4台)、Qe=5%のときの平均降下率は86.3%(V2=1台)〜70.6%(V2=4台)であって何れの場合にも、バルブの異常(開放不作動)を検出することが出来た。
尚、圧力降下率は(B−A)/A×100%として演算した値であり、ここでBはプロセス終了後のFCSの流量出力信号Qo、Aはマルチステップ時の0.2sec後のFCS流量出力信号Qo′の値である(図8の(a)を参照)。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、圧力式流量制御装置FCSを用いたガス供給設備であれば如何なる設備にも適用することができ、圧力式流量制御装置FCSの絞り機構下流側バルブの開放動作を、圧力式流量制御装置FCSの流量設定入力Qeを変化させたときの流量出力信号Qoの変化状態から、確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明で使用する圧力式流量制御装置FCSの基本構成の一例を示すものである。
【図2】本発明の第1実施例に係る圧力式流量制御装置による絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法の実施説明図である。
【図3】第1実施例における圧力式流量制御装置FCSへの流量設定入力信号Qe及び絞り機構下流側バルブV2への弁開放電流IV2と、FCSからの流量出力信号Qoとのタイミング関係を示すものであり、(a)は試験時の流量設定信号Qe′を定常流量設定信号Qe″より大とした場合、(b)は試験時のFCSへの流量Qe′を定常流量設定信号Qe″よりも小とした場合を示すものである。
【図4】本発明の第2実施例に係る圧力式流量制御装置による絞り機構下流側バルブの作動異常検出方法の実施説明図である。
【図5】第2実施例におけるFCSへの流量設定入力信号Qeと、絞り機構下流側バルブV2を駆動する電磁弁EVへの電磁電流IV2と、FCSからの流量出力信号Qoとのタイミング関係を示すものであり、(a)は前記絞り機構下流側バルブV2の閉鎖とFCSの閉鎖を略同時とした場合、(b)は絞り機構下流側バルブの閉鎖から時間Δt=0.2sec遅れてFCSへの流量設定入力Qeを零(FCS閉鎖)とした場合を、夫々示すものである。
【図6】図6は、図5の(b)に示したマルチステップ方法によるFCS流量出力信号Qoの降下率と、絞り機構下流側バルブV2の作動遅れ時間ΔtVとの関係を示す説明図である。
【図7】図7は、実施例3(マルチステップにより圧力式流量制御装置FCSを立上げする時のFCS流量出力信号Qoの変化率から異常判定をする場合)における図6と同内容の説明図である。
【図8】実施例3におけるFCS流量出力信号Qoの変化状況を示すものであり、図8の(a)は流量設定入力Qe=100%(5V)、(b)はQe=50%、(c)はQe=5%としたときの状態である(絞り機構下流側バルブV2が1基の場合及び4基並列の場合)。
【図9】従前の圧力式流量制御装置を用いたガス供給設備の一例を示すものである。
【図10】先願に係る圧力式流量制御装置を用いたガス供給設備を対象とするバルブ異常検出方法のフローチャートである。
【図11】従前の圧力式流量制御装置の基本構成図である。
【符号の説明】
【0045】
Qeは流量設定値(流量設定信号)
Qe″定常流量設定値
Qe′変動時の流量設定値
Qcは流量演算値
Qfは切換流量演算値
Qoは流量出力信号
Qyは流量制御信号
1は絞り機構上流側気体圧力
kは流量変換率
IV2はバルブV2の作動用電流
ΔVは絞り機構下流側バルブV2が不開放の時の流量出力信号の偏差
Qo′は絞り機構下流側バルブV2が不開放の時の流量出力
Qoは絞り機構下流側バルブV2が正常作動の時の流量出力
EVは電磁弁
Uはバルブ作動圧供給ライン
Peは真空ポンプ
VRは流量弁
Pbはバラトロン真空計
PGはプロセスガス
2はバルブ作動用ガス
Cはチャンバ
1、V2はエア駆動弁
PLCはプログラマブルコントローラ
PLはデータロガ
Sはガス供給源(N2
Qe″は定常流量
Qe′は定常流量とは異なる設定流量
1はガス供給口
2はコントロール弁
3は絞り機構上流側管路
4は弁駆動部
5は絞り機構下流側管路
6は圧力検出器
7は温度検出器
8は絞り機構
9はガス流出口
10は増幅器
11は増幅器
12は流量出力回路
13は流量演算回路
14は流量設定回路
15は流量変換回路
16は演算制御回路
17はA/D変換器
18はA/D変換器
19は温度補正回路
20は演算回路
21は比較回路
22は増幅器
【出願人】 【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫


【公開番号】 特開2008−15581(P2008−15581A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183061(P2006−183061)